台本概要

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タイトル 父が遺したもの
作者名 のぼライズ  (@tomisan5012_2)
ジャンル コメディ
演者人数 5人用台本(男3、女1、不問1)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 父が末期ガンで亡くなった。目の前には青白く染まった顔に白い布が覆われている父の姿。父は最後の力を振り絞り、たった一言だけ僕に何か遺そうとしたが…掠れて何も聞こえなかった。
後日、父の遺品を整理していると…

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
まさと 49 まさきの息子。中3
まさき 71 まさとの父親。むっつりスケベ
しにがみ 不問 57 死後のまさきの担当になった死神。
男の訪ね者 23 台詞の【】内は兼役です。3役用意してます。
女の訪ね者 28 台詞の【】内は兼役です。2役用意してます。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
まさと:(N)父が亡くなった。死因は末期ガンだった。今僕の目の前には、青白く血の気が抜かれた父の顔に白い布が覆われている。でも、父は最後の力を振り絞り、たった一言だけ僕に伝えようとした。とてもかすれた声であまり聞き取れにくかったが… まさき:「何も…出来ずに…(少し息を吸って)ごめ…ごめん…な…」 まさと:(N)今さら…今さら謝ったって…何も出来やしねぇよ… 0:  まさき:『父が遺したもの』 0:  しにがみ:「あれから4日、一応私はあなたに「生き返る」か「三途の川を渡る」かの2択を選ばせる為に4日間の猶予を与えた。まぁ、まだ約束の時間まで2時間はあるけども」 まさき:「いや…どんだけ時間を与えても、俺の答えは1つ…渡らせてくれ」 しにがみ:「答えは変わらない、という事で良いんですね?」 まさき:「死ぬまで何もしてあげられなかった親父が、今さら生き返ったって…」 しにがみ:「また生き返って、何かしてあげれば良いのでは?死神がこう言うのも何だけれども…生きているうちは、やり直しなんて何度でも…」 まさき:「そんな綺麗事通りにはいかないものさ。それにやり直しは出来ても、まさとの中の俺の印象は…リセットされないものさ…」 しにがみ:「そうですか…」 まさき:「あぁ…」 しにがみ:「でも、残り許す時間まで息子さんの傍に居てあげましょう」 まさき:「ずっとこの部屋に居ても…俺にとっては息が詰まる思いでしかない…」 しにがみ:「息止まってる身だという自覚は持ってください」 まさき:「え、厳しい…」 しにがみ:「でもまぁ…息子さんもお父さんであるあなたを亡くしてから、数日あまり食事を摂っている姿を見かけないですね」 まさき:「まぁ…ショック、なのかな」 まさと:「よし…遺品はこれで全部かな?思ったよりお父さんの私物って、無かったんだな…」 しにがみ:「物欲が無かったのですか?」 まさき:「できる事なら…自分に遣うお金を、まさとの為に使いたかったからだ。幼くして母さんが失踪し、せめてもの思いでまさとに、お金の苦労はさせたくなかったからな」 しにがみ:「死神からしても、とても良い父親だと思いますが…ね?」 まさき:「……」 まさと:「あとは、ここの引き出し…か…あれ?固いな…何か引っ掛かっているのかな…?」 まさき:「え…引き出し?引き出しの中は…あっ!いや!待って!?そこには!」 しにがみ:「う…うん?」 まさと:「(力強く引っ張って開く)よいしょ…あれ?このビデオテープ、何だこれ…「ピンクの花ぞ(のに迷い込んだ童貞少年…)」」 まさき:「(勢いよく隠すように、遮るように)いやいや、これは違うんだ!違うのよ!?見てないから!俺見てないからね!?」 しにがみ:「いえ、私の顔を見て訴えられましても…あの、疑ってないですよ?男の性(さが)では…?」 まさき:「そんな慰めいらない!」 まさと:「え…しかもこれ…アブノーマ(ルジャンルの作品…)」 まさき:「(後ろめたさを意地でも隠すように、遮るように)俺絶対見てないからぁ!」 しにがみ:「そんなあなたの息子さんは、しっかりと見るんですね…」 まさき:「息子!?君の言ってる息子はどっちのむす(この事を言ってるんだ!このエロ死神!)」 しにがみ:「(遮るように)君の息子さんの方に決まってるやろがい!」 0:チャイムが鳴る まさと:「あれ、チャイムの音…?誰だろ…はぁーい!」 まさき:「来客…?誰だろか…わざわざ線香あげに来る様な身寄りも友人もいないぞ…?」 しにがみ:「うわ、お前さみし」 まさと:「はい、お待たせしました!」 男の訪ね者:「【ビデオショップの店員】あっ、急にすみませんね。私こういう者でして…」 しにがみ:「少し太り気味の…ポロシャツのおっさん?」 まさき:「線香…あげに来たんですかね?」 しにがみ:「(即答で)違うと思います」 まさと:「え…あの?」 男の訪ね者:「【ビデオショップの店員】あのー今回ですね、ご承知かもしれませんが…延滞しているビデオ等がございましてね?」 まさと:「え、あの…人違いでは…?」 男の訪ね者:「【ビデオショップの店員】いえいえ、お借りしていてまだご返却が確認されていないのが…「ピンクの花ぞ(のに迷い込んだ童貞少年…)…」」 まさき:「(さらに隠したい勢いで、遮るように)あぁね!あのビデオ!?あのビデオの事でしたか!えぇえぇ、そうでしたそうでした!レンタルしてたやつでしたね!はいはいはいはいはいははぁい!」 しにがみ:「え?まさか、レンタルしてたビデオだったん?あれ」 男の訪ね者:「【ビデオショップの店員】〜と…はい、以上の5本と、あと紛失されてしまった1本をですね、この延滞料金と弁償金合わせて、明後日までに振り込みお願いしますぅ」 まさと:「(桁を数える)…え!?こ…こんなに!?え、あ、ちょちょちょっと待って!?」 男の訪ね者:「【ビデオショップの店員】(とても良い笑顔で)では、失礼致します」 まさと:「え、え、ガチで待って!?」 しにがみ:「…あの息子さんですら動揺を隠しきれてないほどの料金らしいけど…?どのくらい延滞してたの?」 まさき:「え、そりゃ…もう…ゴニョゴニョ…」 しにがみ:「え、なに?聞こえない?」 まさき:「あ、ほらぁ!また誰か来たぁ!」 しにがみ:「ほんっと隠したい気満々じゃないですか…って、あっ本当に来てますね」 0:チャイムが鳴る まさと:「?…またチャイム?今度は誰だろう?」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】あらぁ、こんにちは!まさとくん」 まさと:「(すごく爽やかに)あ、父と同僚のおばさん!こんにちは!」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】お…おば…おばさ…(咳払い)まさとくん、急にお父さんが亡くなってしまって…寂しくなるわね」 しにがみ:「うん…まぁ、お世辞でもお姉さんとは言えないよな…」 まさき:「そんな事言ってあげるなよ!あの彼女だってな、外見も若く見せようとマイナス5歳も若く見える化粧品ってCMで評判の物を塗りたくっていたり…まぁ、目のシワが余計に目立ってしまったが…それに、最近じゃあ若い子と話を合わせる為に、常に話題チェックして合わせようとしたり…まぁその、的外れだがな…」 しにがみ:「まぁ気づいてると思うが、君の方が酷い物言いだぞ?」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】まさか、まさきの線香をあげるとはね…思いもしなかったわ…」 まさき:「(少し涙ぐむ)…今だけ、お姉さんと呼んであげよう」 しにがみ:「お前ほんっっと最低だな」 まさと:「お姉さん、お茶ここに置いておきますね」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】あら…ありがとう」 しにがみ:「え、ちゃっかり息子さんもお姉さん呼びしてるだと!?」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】まさとくんはもう…小学4年生か…」 まさと:「(即答で)いえ、中学3年です」 しにがみ:「間違えるか!」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】(ため息を吐く)…時の流れって怖いものね、小学4年生だと思っていたら中学3年生だったり…」 しにがみ:「だから間違えねぇって!」 まさき:「(真剣な顔で)…確かに」 しにがみ:「だよね…間違えないよな」 まさき:「時の流れはほんっっとに怖い…」 しにがみ:「だから間違える訳無いんだって!」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】でも…お父さんが亡くなったのは…うちの会社的にもでかいわね…」 まさき:「(また涙ぐむ)…そうか、会社のみんな…俺が居なくなって…ぐすん」 まさと:「え…お姉さん、なにしてるの?」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】え?…タンスを開けて、お父さんのパンツを確認しているだけよ…(深いため息を吐く)…会社の雰囲気的にも、しばらくは暗い日々が続きそうね…」 まさき:「どさくさに紛れてパンツを見るなよ」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】ムードメーカーだったもの…少し失礼…」 まさき:「そして俺のパンツで鼻を擤(か)むなぁぁぁあ!!」 しにがみ:「そして女性演者に鼻を擤ます演技をさせなかった著者は偉い」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】(まぁまぁ涙ぐむ)…不思議ね」 まさと:「?…泣いてるんですか?」 まさき:「いやいや…泣いてくれるなよ、こっちまで泣けて(くるじゃねえか)…」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】(遮るように)会社の雰囲気は暗くても、この人のパンツは明るい色だなって…」 まさき:「やかましやぁ!」 しにがみ:「え、まさか…今履いてるのは何色ですか!」 まさき:「履いてねぇよ!燃えました!はいはい、燃えましたよチクショウ!」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】じゃ、帰るわね!まさとくん、ゆっくり休むのよ?」 まさと:「え、パンツ片手だけど…まぁ、はい」 しにがみ:「しっかり息子さん、最後まで引いていきましたね」 まさき:「そりゃでしょうよ!」 しにがみ:「?…おや、また誰か来ましたね?」 まさき:「よく来るなぁ…」 0:チャイムが鳴る まさと:「?…よく来るな…誰だろ?」 まさき:「今度こそ、まともは知り合いが来てくれ」 しにがみ:「ビデオショップの店員は知り合いとしてカウントされるんですね?」 男の訪ね者:「【会社の後輩】ちわーす!あっ、まさとくんじゃないっすか!」 まさと:「え、えーと…」 しにがみ:「しっかり引いてる辺り、高得点ですね」 まさき:「え、何の採点!?」 男の訪ね者:「【会社の後輩】え、まさか…俺っち、忘れられてるっすか?」 まさと:「あぁ…あの、すいません…」 男の訪ね者:「【会社の後輩】(深いため息)…知り合った人を忘れるだなんて、ご法度ですよ?まさとくん!」 まさと:「は…はぁ…」 まさき:「あれ?…そういやこいつ、まさとに会わせた事あったっけ?」 男の訪ね者:「【会社の後輩】僕はね!君が小学4年生だった時…」 まさき:「え、小学4年生の時…?」 まさと:「はい…」 男の訪ね者:「【会社の後輩】…の写真をお父さんに見せて貰った事があるんだ!」 まさき:「いや、息子のまさとが知ってる訳ないだろ!」 しにがみ:「悍ましくヤバい人ですね…」 まさと:「(咳払いして)ところで…用件は?」 しにがみ:「すごい迷惑がっている事を、あからさまに表に出してるぅ…」 男の訪ね者:「【会社の後輩】あ、そうそう!先輩の線香あげと、あとこないだ借りた物を返しに…」 まさと:「借りた物?」 男の訪ね者:「【会社の後輩】えぇ、じゃあ君に渡しておくね!」 まさと:「?…DVD?」 男の訪ね者:「【会社の後輩】はい!「いいなり女きょ(うしと温泉旅行4時間)…」」 まさき:「(必死に隠すように遮るように)あぁぁあぁ!息子に言うなぁぁあぁ!」 しにがみ:「それってどんなお話なんですか?」 まさき:「聞くな!お前わざとだろ!?ってかあれ、紛失してると思ってたビデオじゃん!弁償せずに済んで良かったね!」 まさと:「それってどんなお話なんですか?」 まさき:「お前も聞くな、まさと!」 男の訪ね者:「【会社の後輩】え、あらすじ?うーん困ったな、そうだな…台本の無い俳優と女優の演技のぶつかり合いのドラマ…かな?」 まさき:「おぉ…相変わらず口が上手いな…あいつは」 男の訪ね者:「【会社の後輩】まぁ、詳しい事はパッケージを見た方が早いよ、はいどうぞ」 まさき:「いや、見せるな!見るな、見させろ、見せろぉぉ!」 しにがみ:「あの、なんか混乱してないっすか?」 まさと:「うわ…」 まさき:「わぁぁぁ、もう存在自体居なくなりたいぃ…」 しにがみ:「安心してください、もう死んでます」 男の訪ね者:「【会社の後輩】じゃ、またね!まさとくん」 まさと:「あ…あぁ…あの、はい…」 まさき:「あいつとんでもねぇ物を落としていきやがったな!」 しにがみ:「うん…もう何か…生き返っても…ふふっ、何も残らなさそう…」 まさき:「何ほくそ笑んでるんだよ!…もうさっさと渡らせてくれよぉ」 しにがみ:「あれ?また誰か来ましたよ?知り合い多いですね?」 まさき:「ろくな奴居ないけどな」 0:チャイムが鳴る まさと:「え、また…?今度は誰…?」 しにがみ:「おや、今度は2人組ですか…」 まさき:「え、待って…あいつ…」 男の訪ね者:「【謎の男】こんにちは、君がまさとくんかな?」 まさと:「え、あ…あの…」 しにがみ:「?…知り合いなんですか?」 まさき:「いいや、男の方じゃねぇ…」 女の訪ね者:「【謎の女】…こんにちは、まさと」 まさと:「あぁ…あの、どちら様で?」 女の訪ね者:「【謎の女】覚えてる…わけ…ないか、私ね…」 まさき:「あいつは…」 女の訪ね者:「【謎の女】まさとの…」 まさき:「俺の…」 女の訪ね者:「【まさとの母】お母さん…なのよ?」 まさき:「妻だったんだ」 まさと:「え…」 しにがみ:「うそ…」 まさと:「でも…何で…」 まさき:「何であいつが…再婚相手なんか連れて…」 男の訪ね者:「【まさとの母の再婚相手】改めて、こんにちは。まことくん」 しにがみ:「どうでもいいが◯◯(男の訪ね者のキャスト名)の今の役名、ややこしくないか?まさとの母の再婚相手だなんて…」 まさき:「いいや俺等関係ないから、この際どうでもいい」 しにがみ:「…そうだね」 女の訪ね者:「【まさとの母】いきなり…お母さんだなんて言われて、まことは困惑するわよね…」 まさと:「……」 女の訪ね者:「【まさとの母】…お母さんね、あなたを…まさととお父さんを捨てた訳じゃないの…」 まさと:「うそだ…」 女の訪ね者:「【まさとの母】え…?」 まさき:「うそだ…」 しにがみ:「え…」 まさと:「僕の母さんは…」 まさき:「俺の嫁はな…」 まさと:「父さんの事を…」 まさき:「息子の事を…」 まさと:「そんな軽い考えで…」 まさき:「そんな軽はずみな考えでな…」 まさと:大きく息を吸う まさき:大きく息を吸う まさと:「捨てたりしないんだよ!」 まさき:「捨てたりしねぇんだよ!」 男の訪ね者:「【まさとの母の再婚相手】ま…まさとくん…お母さんはね?」 女の訪ね者:「【まさとの母】…あなた、良いのよ」 男の訪ね者:「【まさとの母の再婚相手】いや…でも…」 女の訪ね者:「【まさとの母】お母さんね、まさとやお父さんに悪い事しちゃったみたい。高校在学時にまさとが出来て、産まれて双方の実家に孫の顔を見せに行ったの。事情はどうであれ双方とも初孫だから、きっと喜ぶと思ったの。でもねお父さんと共に双方の親御さんに追い返されちゃったのよ。「未成年で子供の出来た夫婦の面なんぞ見たくない」ってね」 まさき:「あぁ…そうだったな」 まさと:「……」 女の訪ね者:「【まさとの母】あの人も家族にご飯を食べさせようと、高校中退して朝から晩まで働いてたの。でも私はね、まさとの子育てと家事で手いっぱいで、自分の中であの人と比べた時に、「果たして私は、この家族に貢献出来てるのかしら?」と思い込んでしまって…そして、その自分が嫌で…嫌で嫌で…気が付いたら私は、まさとを置いて逃げてしまっていて…」 しにがみ:「子持ちの若い母親に多いノイローゼ…か…」 まさき:「あいつ…相当追い込まれてたんだな…(深いため息を吐く)気付いてやれなかったな…」 しにがみ:「……」 まさと:「じゃあ…」 女の訪ね者:「【まさとの母】…?」 まさと:「じゃあ…母さんにとって、僕は邪魔だったって言いたかったの?」 女の訪ね者:「【まさとの母】え…!?」 男の訪ね者:「【まさとの母の再婚相手】まさとくん…いい加減にしなさい…まことくんのお母(さんはね)…」 女の訪ね者:「【まさとの母】(遮るように)良いのよあなた、もういいの…線香あげて帰りましょう」 0:3秒、間をあける まさき:「おい…しにがみ」 しにがみ:「はいはーい」 まさき:「約束の時間まで、あと何分だ?」 しにがみ:「えーと…あと3分で約束の時間ですね」 まさき:「もう一度…生き返るなんて事はしない」 しにがみ:「おや…では渡りますか?」 まさき:「その前に…まさとと…話が…したい」 しにがみ:「それは無理です」 まさき:「……」 しにがみ:「で・す・が!一時的に物体に触れる事は出来ますが…?」 まさき:「…そうか」 0:3秒、間をあける 女の訪ね者:「【まさとの母】それじゃあ、私達…帰るね」 まさと:「……」 男の訪ね者:「【まさとの母の再婚相手】う…うん?あれ、上から何か降って…って、何だこれ?」 女の訪ね者:「【まさとの母】あら、これは…え、ブリーフ?」 まさと:「え!?あっ、それ僕の!?わぁ、名前書いてるし!か、返して!…って、あれ、なんか…書いてある?」 女の訪ね者:「【まさとの母】…書いてあるわね?」 まさと:「でもこの字…どっかで見た覚えが…まさか」 男の訪ね者:【まさとの母の再婚相手】その真っ白いブリーフに書いてある文字を2人は読み、そして読み終えた頃には親子2人して玄関で抱き合い、しばらくの間だけ、2人に雨が降っていた。大粒の、激しい雨が。 0:3秒、間をあける しにがみ:「いや、良いエピローグ持ってきてもさ、周りからしてみれば…ブリーフを2人して握りしめて泣いてるだけでしょ?」 まさき:「仕方ないじゃんか、時間のない時に書く物探してたらさ、そこに息子のブリーフがあったんだもの!」 しにがみ:「ふふ…中3でブリーフとか…ふふふ…」 まさき:「笑ってあげるなよぉ…いや、ってかちゃんと!ブリーフ以外買ってあげてますからぁ!ボクサーとか!?トランクスとかぁ!?」 0:3秒、間をあける しにがみ:「さて…渡りますか」 まさき:「あぁ…連れてけ、あいつが今後も幸せなら、俺に未練は無い」 0:3秒、間をあける まさと:(N)父が遺したもの…それは、アダルトなビデオではなく、またしてはビデオショップの延滞料金でもなく…まぁ、そうなんだけれども…まぁでも、父が本当に僕に遺したかった物…僕には分かるよ、父さん。

まさと:(N)父が亡くなった。死因は末期ガンだった。今僕の目の前には、青白く血の気が抜かれた父の顔に白い布が覆われている。でも、父は最後の力を振り絞り、たった一言だけ僕に伝えようとした。とてもかすれた声であまり聞き取れにくかったが… まさき:「何も…出来ずに…(少し息を吸って)ごめ…ごめん…な…」 まさと:(N)今さら…今さら謝ったって…何も出来やしねぇよ… 0:  まさき:『父が遺したもの』 0:  しにがみ:「あれから4日、一応私はあなたに「生き返る」か「三途の川を渡る」かの2択を選ばせる為に4日間の猶予を与えた。まぁ、まだ約束の時間まで2時間はあるけども」 まさき:「いや…どんだけ時間を与えても、俺の答えは1つ…渡らせてくれ」 しにがみ:「答えは変わらない、という事で良いんですね?」 まさき:「死ぬまで何もしてあげられなかった親父が、今さら生き返ったって…」 しにがみ:「また生き返って、何かしてあげれば良いのでは?死神がこう言うのも何だけれども…生きているうちは、やり直しなんて何度でも…」 まさき:「そんな綺麗事通りにはいかないものさ。それにやり直しは出来ても、まさとの中の俺の印象は…リセットされないものさ…」 しにがみ:「そうですか…」 まさき:「あぁ…」 しにがみ:「でも、残り許す時間まで息子さんの傍に居てあげましょう」 まさき:「ずっとこの部屋に居ても…俺にとっては息が詰まる思いでしかない…」 しにがみ:「息止まってる身だという自覚は持ってください」 まさき:「え、厳しい…」 しにがみ:「でもまぁ…息子さんもお父さんであるあなたを亡くしてから、数日あまり食事を摂っている姿を見かけないですね」 まさき:「まぁ…ショック、なのかな」 まさと:「よし…遺品はこれで全部かな?思ったよりお父さんの私物って、無かったんだな…」 しにがみ:「物欲が無かったのですか?」 まさき:「できる事なら…自分に遣うお金を、まさとの為に使いたかったからだ。幼くして母さんが失踪し、せめてもの思いでまさとに、お金の苦労はさせたくなかったからな」 しにがみ:「死神からしても、とても良い父親だと思いますが…ね?」 まさき:「……」 まさと:「あとは、ここの引き出し…か…あれ?固いな…何か引っ掛かっているのかな…?」 まさき:「え…引き出し?引き出しの中は…あっ!いや!待って!?そこには!」 しにがみ:「う…うん?」 まさと:「(力強く引っ張って開く)よいしょ…あれ?このビデオテープ、何だこれ…「ピンクの花ぞ(のに迷い込んだ童貞少年…)」」 まさき:「(勢いよく隠すように、遮るように)いやいや、これは違うんだ!違うのよ!?見てないから!俺見てないからね!?」 しにがみ:「いえ、私の顔を見て訴えられましても…あの、疑ってないですよ?男の性(さが)では…?」 まさき:「そんな慰めいらない!」 まさと:「え…しかもこれ…アブノーマ(ルジャンルの作品…)」 まさき:「(後ろめたさを意地でも隠すように、遮るように)俺絶対見てないからぁ!」 しにがみ:「そんなあなたの息子さんは、しっかりと見るんですね…」 まさき:「息子!?君の言ってる息子はどっちのむす(この事を言ってるんだ!このエロ死神!)」 しにがみ:「(遮るように)君の息子さんの方に決まってるやろがい!」 0:チャイムが鳴る まさと:「あれ、チャイムの音…?誰だろ…はぁーい!」 まさき:「来客…?誰だろか…わざわざ線香あげに来る様な身寄りも友人もいないぞ…?」 しにがみ:「うわ、お前さみし」 まさと:「はい、お待たせしました!」 男の訪ね者:「【ビデオショップの店員】あっ、急にすみませんね。私こういう者でして…」 しにがみ:「少し太り気味の…ポロシャツのおっさん?」 まさき:「線香…あげに来たんですかね?」 しにがみ:「(即答で)違うと思います」 まさと:「え…あの?」 男の訪ね者:「【ビデオショップの店員】あのー今回ですね、ご承知かもしれませんが…延滞しているビデオ等がございましてね?」 まさと:「え、あの…人違いでは…?」 男の訪ね者:「【ビデオショップの店員】いえいえ、お借りしていてまだご返却が確認されていないのが…「ピンクの花ぞ(のに迷い込んだ童貞少年…)…」」 まさき:「(さらに隠したい勢いで、遮るように)あぁね!あのビデオ!?あのビデオの事でしたか!えぇえぇ、そうでしたそうでした!レンタルしてたやつでしたね!はいはいはいはいはいははぁい!」 しにがみ:「え?まさか、レンタルしてたビデオだったん?あれ」 男の訪ね者:「【ビデオショップの店員】〜と…はい、以上の5本と、あと紛失されてしまった1本をですね、この延滞料金と弁償金合わせて、明後日までに振り込みお願いしますぅ」 まさと:「(桁を数える)…え!?こ…こんなに!?え、あ、ちょちょちょっと待って!?」 男の訪ね者:「【ビデオショップの店員】(とても良い笑顔で)では、失礼致します」 まさと:「え、え、ガチで待って!?」 しにがみ:「…あの息子さんですら動揺を隠しきれてないほどの料金らしいけど…?どのくらい延滞してたの?」 まさき:「え、そりゃ…もう…ゴニョゴニョ…」 しにがみ:「え、なに?聞こえない?」 まさき:「あ、ほらぁ!また誰か来たぁ!」 しにがみ:「ほんっと隠したい気満々じゃないですか…って、あっ本当に来てますね」 0:チャイムが鳴る まさと:「?…またチャイム?今度は誰だろう?」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】あらぁ、こんにちは!まさとくん」 まさと:「(すごく爽やかに)あ、父と同僚のおばさん!こんにちは!」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】お…おば…おばさ…(咳払い)まさとくん、急にお父さんが亡くなってしまって…寂しくなるわね」 しにがみ:「うん…まぁ、お世辞でもお姉さんとは言えないよな…」 まさき:「そんな事言ってあげるなよ!あの彼女だってな、外見も若く見せようとマイナス5歳も若く見える化粧品ってCMで評判の物を塗りたくっていたり…まぁ、目のシワが余計に目立ってしまったが…それに、最近じゃあ若い子と話を合わせる為に、常に話題チェックして合わせようとしたり…まぁその、的外れだがな…」 しにがみ:「まぁ気づいてると思うが、君の方が酷い物言いだぞ?」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】まさか、まさきの線香をあげるとはね…思いもしなかったわ…」 まさき:「(少し涙ぐむ)…今だけ、お姉さんと呼んであげよう」 しにがみ:「お前ほんっっと最低だな」 まさと:「お姉さん、お茶ここに置いておきますね」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】あら…ありがとう」 しにがみ:「え、ちゃっかり息子さんもお姉さん呼びしてるだと!?」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】まさとくんはもう…小学4年生か…」 まさと:「(即答で)いえ、中学3年です」 しにがみ:「間違えるか!」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】(ため息を吐く)…時の流れって怖いものね、小学4年生だと思っていたら中学3年生だったり…」 しにがみ:「だから間違えねぇって!」 まさき:「(真剣な顔で)…確かに」 しにがみ:「だよね…間違えないよな」 まさき:「時の流れはほんっっとに怖い…」 しにがみ:「だから間違える訳無いんだって!」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】でも…お父さんが亡くなったのは…うちの会社的にもでかいわね…」 まさき:「(また涙ぐむ)…そうか、会社のみんな…俺が居なくなって…ぐすん」 まさと:「え…お姉さん、なにしてるの?」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】え?…タンスを開けて、お父さんのパンツを確認しているだけよ…(深いため息を吐く)…会社の雰囲気的にも、しばらくは暗い日々が続きそうね…」 まさき:「どさくさに紛れてパンツを見るなよ」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】ムードメーカーだったもの…少し失礼…」 まさき:「そして俺のパンツで鼻を擤(か)むなぁぁぁあ!!」 しにがみ:「そして女性演者に鼻を擤ます演技をさせなかった著者は偉い」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】(まぁまぁ涙ぐむ)…不思議ね」 まさと:「?…泣いてるんですか?」 まさき:「いやいや…泣いてくれるなよ、こっちまで泣けて(くるじゃねえか)…」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】(遮るように)会社の雰囲気は暗くても、この人のパンツは明るい色だなって…」 まさき:「やかましやぁ!」 しにがみ:「え、まさか…今履いてるのは何色ですか!」 まさき:「履いてねぇよ!燃えました!はいはい、燃えましたよチクショウ!」 女の訪ね者:「【知り合いの女性】じゃ、帰るわね!まさとくん、ゆっくり休むのよ?」 まさと:「え、パンツ片手だけど…まぁ、はい」 しにがみ:「しっかり息子さん、最後まで引いていきましたね」 まさき:「そりゃでしょうよ!」 しにがみ:「?…おや、また誰か来ましたね?」 まさき:「よく来るなぁ…」 0:チャイムが鳴る まさと:「?…よく来るな…誰だろ?」 まさき:「今度こそ、まともは知り合いが来てくれ」 しにがみ:「ビデオショップの店員は知り合いとしてカウントされるんですね?」 男の訪ね者:「【会社の後輩】ちわーす!あっ、まさとくんじゃないっすか!」 まさと:「え、えーと…」 しにがみ:「しっかり引いてる辺り、高得点ですね」 まさき:「え、何の採点!?」 男の訪ね者:「【会社の後輩】え、まさか…俺っち、忘れられてるっすか?」 まさと:「あぁ…あの、すいません…」 男の訪ね者:「【会社の後輩】(深いため息)…知り合った人を忘れるだなんて、ご法度ですよ?まさとくん!」 まさと:「は…はぁ…」 まさき:「あれ?…そういやこいつ、まさとに会わせた事あったっけ?」 男の訪ね者:「【会社の後輩】僕はね!君が小学4年生だった時…」 まさき:「え、小学4年生の時…?」 まさと:「はい…」 男の訪ね者:「【会社の後輩】…の写真をお父さんに見せて貰った事があるんだ!」 まさき:「いや、息子のまさとが知ってる訳ないだろ!」 しにがみ:「悍ましくヤバい人ですね…」 まさと:「(咳払いして)ところで…用件は?」 しにがみ:「すごい迷惑がっている事を、あからさまに表に出してるぅ…」 男の訪ね者:「【会社の後輩】あ、そうそう!先輩の線香あげと、あとこないだ借りた物を返しに…」 まさと:「借りた物?」 男の訪ね者:「【会社の後輩】えぇ、じゃあ君に渡しておくね!」 まさと:「?…DVD?」 男の訪ね者:「【会社の後輩】はい!「いいなり女きょ(うしと温泉旅行4時間)…」」 まさき:「(必死に隠すように遮るように)あぁぁあぁ!息子に言うなぁぁあぁ!」 しにがみ:「それってどんなお話なんですか?」 まさき:「聞くな!お前わざとだろ!?ってかあれ、紛失してると思ってたビデオじゃん!弁償せずに済んで良かったね!」 まさと:「それってどんなお話なんですか?」 まさき:「お前も聞くな、まさと!」 男の訪ね者:「【会社の後輩】え、あらすじ?うーん困ったな、そうだな…台本の無い俳優と女優の演技のぶつかり合いのドラマ…かな?」 まさき:「おぉ…相変わらず口が上手いな…あいつは」 男の訪ね者:「【会社の後輩】まぁ、詳しい事はパッケージを見た方が早いよ、はいどうぞ」 まさき:「いや、見せるな!見るな、見させろ、見せろぉぉ!」 しにがみ:「あの、なんか混乱してないっすか?」 まさと:「うわ…」 まさき:「わぁぁぁ、もう存在自体居なくなりたいぃ…」 しにがみ:「安心してください、もう死んでます」 男の訪ね者:「【会社の後輩】じゃ、またね!まさとくん」 まさと:「あ…あぁ…あの、はい…」 まさき:「あいつとんでもねぇ物を落としていきやがったな!」 しにがみ:「うん…もう何か…生き返っても…ふふっ、何も残らなさそう…」 まさき:「何ほくそ笑んでるんだよ!…もうさっさと渡らせてくれよぉ」 しにがみ:「あれ?また誰か来ましたよ?知り合い多いですね?」 まさき:「ろくな奴居ないけどな」 0:チャイムが鳴る まさと:「え、また…?今度は誰…?」 しにがみ:「おや、今度は2人組ですか…」 まさき:「え、待って…あいつ…」 男の訪ね者:「【謎の男】こんにちは、君がまさとくんかな?」 まさと:「え、あ…あの…」 しにがみ:「?…知り合いなんですか?」 まさき:「いいや、男の方じゃねぇ…」 女の訪ね者:「【謎の女】…こんにちは、まさと」 まさと:「あぁ…あの、どちら様で?」 女の訪ね者:「【謎の女】覚えてる…わけ…ないか、私ね…」 まさき:「あいつは…」 女の訪ね者:「【謎の女】まさとの…」 まさき:「俺の…」 女の訪ね者:「【まさとの母】お母さん…なのよ?」 まさき:「妻だったんだ」 まさと:「え…」 しにがみ:「うそ…」 まさと:「でも…何で…」 まさき:「何であいつが…再婚相手なんか連れて…」 男の訪ね者:「【まさとの母の再婚相手】改めて、こんにちは。まことくん」 しにがみ:「どうでもいいが◯◯(男の訪ね者のキャスト名)の今の役名、ややこしくないか?まさとの母の再婚相手だなんて…」 まさき:「いいや俺等関係ないから、この際どうでもいい」 しにがみ:「…そうだね」 女の訪ね者:「【まさとの母】いきなり…お母さんだなんて言われて、まことは困惑するわよね…」 まさと:「……」 女の訪ね者:「【まさとの母】…お母さんね、あなたを…まさととお父さんを捨てた訳じゃないの…」 まさと:「うそだ…」 女の訪ね者:「【まさとの母】え…?」 まさき:「うそだ…」 しにがみ:「え…」 まさと:「僕の母さんは…」 まさき:「俺の嫁はな…」 まさと:「父さんの事を…」 まさき:「息子の事を…」 まさと:「そんな軽い考えで…」 まさき:「そんな軽はずみな考えでな…」 まさと:大きく息を吸う まさき:大きく息を吸う まさと:「捨てたりしないんだよ!」 まさき:「捨てたりしねぇんだよ!」 男の訪ね者:「【まさとの母の再婚相手】ま…まさとくん…お母さんはね?」 女の訪ね者:「【まさとの母】…あなた、良いのよ」 男の訪ね者:「【まさとの母の再婚相手】いや…でも…」 女の訪ね者:「【まさとの母】お母さんね、まさとやお父さんに悪い事しちゃったみたい。高校在学時にまさとが出来て、産まれて双方の実家に孫の顔を見せに行ったの。事情はどうであれ双方とも初孫だから、きっと喜ぶと思ったの。でもねお父さんと共に双方の親御さんに追い返されちゃったのよ。「未成年で子供の出来た夫婦の面なんぞ見たくない」ってね」 まさき:「あぁ…そうだったな」 まさと:「……」 女の訪ね者:「【まさとの母】あの人も家族にご飯を食べさせようと、高校中退して朝から晩まで働いてたの。でも私はね、まさとの子育てと家事で手いっぱいで、自分の中であの人と比べた時に、「果たして私は、この家族に貢献出来てるのかしら?」と思い込んでしまって…そして、その自分が嫌で…嫌で嫌で…気が付いたら私は、まさとを置いて逃げてしまっていて…」 しにがみ:「子持ちの若い母親に多いノイローゼ…か…」 まさき:「あいつ…相当追い込まれてたんだな…(深いため息を吐く)気付いてやれなかったな…」 しにがみ:「……」 まさと:「じゃあ…」 女の訪ね者:「【まさとの母】…?」 まさと:「じゃあ…母さんにとって、僕は邪魔だったって言いたかったの?」 女の訪ね者:「【まさとの母】え…!?」 男の訪ね者:「【まさとの母の再婚相手】まさとくん…いい加減にしなさい…まことくんのお母(さんはね)…」 女の訪ね者:「【まさとの母】(遮るように)良いのよあなた、もういいの…線香あげて帰りましょう」 0:3秒、間をあける まさき:「おい…しにがみ」 しにがみ:「はいはーい」 まさき:「約束の時間まで、あと何分だ?」 しにがみ:「えーと…あと3分で約束の時間ですね」 まさき:「もう一度…生き返るなんて事はしない」 しにがみ:「おや…では渡りますか?」 まさき:「その前に…まさとと…話が…したい」 しにがみ:「それは無理です」 まさき:「……」 しにがみ:「で・す・が!一時的に物体に触れる事は出来ますが…?」 まさき:「…そうか」 0:3秒、間をあける 女の訪ね者:「【まさとの母】それじゃあ、私達…帰るね」 まさと:「……」 男の訪ね者:「【まさとの母の再婚相手】う…うん?あれ、上から何か降って…って、何だこれ?」 女の訪ね者:「【まさとの母】あら、これは…え、ブリーフ?」 まさと:「え!?あっ、それ僕の!?わぁ、名前書いてるし!か、返して!…って、あれ、なんか…書いてある?」 女の訪ね者:「【まさとの母】…書いてあるわね?」 まさと:「でもこの字…どっかで見た覚えが…まさか」 男の訪ね者:【まさとの母の再婚相手】その真っ白いブリーフに書いてある文字を2人は読み、そして読み終えた頃には親子2人して玄関で抱き合い、しばらくの間だけ、2人に雨が降っていた。大粒の、激しい雨が。 0:3秒、間をあける しにがみ:「いや、良いエピローグ持ってきてもさ、周りからしてみれば…ブリーフを2人して握りしめて泣いてるだけでしょ?」 まさき:「仕方ないじゃんか、時間のない時に書く物探してたらさ、そこに息子のブリーフがあったんだもの!」 しにがみ:「ふふ…中3でブリーフとか…ふふふ…」 まさき:「笑ってあげるなよぉ…いや、ってかちゃんと!ブリーフ以外買ってあげてますからぁ!ボクサーとか!?トランクスとかぁ!?」 0:3秒、間をあける しにがみ:「さて…渡りますか」 まさき:「あぁ…連れてけ、あいつが今後も幸せなら、俺に未練は無い」 0:3秒、間をあける まさと:(N)父が遺したもの…それは、アダルトなビデオではなく、またしてはビデオショップの延滞料金でもなく…まぁ、そうなんだけれども…まぁでも、父が本当に僕に遺したかった物…僕には分かるよ、父さん。