台本概要

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タイトル 魔女見習いのパジャマパーティー(兼役可)
作者名 大輝宇宙@ひろきうちゅう  (@hiro55308671)
ジャンル ファンタジー
演者人数 5人用台本(女4、不問1) ※兼役あり
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 魔法学校に通う魔女見習いの友達同士、使い魔の話。
今作が一作目なので各キャラクターのイントロダクションになっています。
この話だけでも一話完結になるよう作っているつもりです。
5人でなさる場合、クレペとシェリンを同じ方がされるとバランスが良いと思います。

自由に魔法学校の生活を楽しんで頂けましたら幸いです。


協力:しろめぇ

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
サナ 32 魔法学校に通う魔女見習い。使い魔の召喚を明日に控えて緊張している。
ルーシア 32 魔法学校に通う魔女見習い。魔法薬剤師になるのが夢。元気系、理系、物事をはっきり言うタイプ。
ユノ 28 魔法学校に通う魔女見習い。おっとり系、お菓子作りが得意。
レディ 21 本名:レディシュガーポット。ユノの使い魔。猫型。レディと呼んでいいのはユノだけ。
クレペ 不問 16 ルーシアの使い魔。コウモリ型。気が弱い。
シェリン 不問 5 魔法学校の教師
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0: 0: 0: 0:魔法学校の寮の一室。お菓子の包みを抱えたルーシアが入ってくる。 0: ルーシア:ごめん、ごめん。なかなか課題が終わらなくって。 ユノ:お疲れ様、ルーシア。 ルーシア:ユノは今回の課題、楽勝でしょ?私はどうも植物を育てる魔法は苦手だわ。 ユノ:そうねぇ。私は植物に特化した能力だから。でも、鉱物を生み出す魔法はルーシアに全然かなわないわ。 ルーシア:まぁね。誰にでも得手・不得手ってのがあるわよね ユノ:そうねぇ。ふふふ ルーシア:あら、ユノ!それはお手製のマドレーヌでしょうか?ひとつもーらいっっ ユノ:うん。今夜のお茶会のために焼いたのよ。とっても上手にできたからいっぱい食べてね ルーシア:で、部屋主はそんなすみっこで丸くなって、なにやってんの? サナ:ルーシア、いらっしゃい。 ルーシア:ああ、うん。もう!サーナ!せっかくのパジャマパーティーよ?そんな暗い顔してないで、わちゃわちゃ楽しもうよ?! サナ:心臓が口から出そう。絶対に今夜は眠れない。 ユノ:あらぁ。ハーブティー入れるわよ? ルーシア:ユノ、やめときなさい。あなたのハーブティーなんて効きすぎてサナ速攻で寝ちゃうから。 ユノ:あらあら、ふふふ。光栄だわ。 サナ:いっそのこと眠りこけて、明日を迎えたい。 0: 0: 0: レディ:そんなうじうじしている主のところに召喚される使い魔が可哀そうだわ。 ルーシア:あら!レディも来ていたのね!こんばんは! レディ:ルーシア、気軽に呼ばないでちょうだい。私をレディって呼んでいいのはユノだけなんだから。 ルーシア:これは失礼しました。レディシュガーポット。 レディ:わかればいいのよ。それよりもサナ、あなたがそんな風にうじうじしていてどうするのよ。明日はあなたの16歳の誕生日。魔女見習いの女子生徒は使い魔を召喚し、魔女としてより一層成長する日なのよ。 ユノ:レディ、あまり強く言わないであげて?サナは緊張しているだけで、それはよくわかっていると思うわ。 レディ:ユノ!ユノは本当に誰にでも優しくて素敵だわ。ユノは初めて私を召喚した時もにっこり微笑んで私を抱きしめてくれたのよね。(きゃっきゃしあうユノとレディ) ルーシア:(軽く咳払い、もしくは割って入る)レディシュガーポットの思い出話はおいておくとしても、私たち魔女見習いと、誕生日に召喚する使い魔は一生を共にするパートナーだからね、お互いを補い合って、支えあうみたいなさ。 サナ:だからこそ、どんな子が来るんだろうって不安なんだよぉ。 ルーシア:それもそうか。サナは、どんな子に来てほしいの?レディシュガーポットみたいな猫型や、小動物型、スライムとか、、妖精、人型… レディ:私の白いふわっふわの毛を見て、ユノはとっても感激してくれたのよね。 ユノ:うふふ。ええ!すっごくかわいいって嬉しくなっちゃったのよ。 レディ:ふふー サナ:見た目とかじゃなくてさ…私と性格が合うかなぁとか。魔法も平均点の私をどう思うかなとかって思うと、あああ…!! ルーシア:使い魔にも色んなタイプがいるからねぇ。レディシュガーポットは主(あるじ)にゾッコンタイプ、ココの使い魔メッシュは人型で執事タイプの有能使い魔。そして私のは… クレペ:ルーシアは僕に何か不満でもあるの? ルーシア:いやいや、不満はないよ?ただ、まぁしいていうならちょっと気が弱いかなぁ…。コウモリスタイルはかっこいいとおもうんだけど。 クレペ:だって…だって ユノ:ああ!クレペ元気をだして!!ルーシアはあなたのこと、大好きよ。 クレペ:うん…そうだよね。うん。 ルーシア:そんな声、出すんじゃないの、クレペ。もっと頼りになってほしいとは思ってるけど、相棒として私はあんたが気に入ってるわ。 クレペ:本当? ルーシア:そりゃそうよ。私のたった一人?一匹の使い魔なんだから。 クレペ:ルーシア!! サナ:ユノとレディシュガーポットも、ルーシアとクレペも、まだほんの数カ月の付き合いなのに、お互いを分かりあっていていいなぁって思う。 ユノ:レディがいてくれると、私でも色んな事ができるんじゃないかって思えるのよ。なんでも応援してくれるから。 ルーシア:そうね、絶対味方でいてくれる一番身近な存在ね。 レディ:そうでありたいと思ってるわ クレペ:僕だって! 0: 0: 0: ルーシア:このマドレーヌ、本当においしい。生地に練り込んでるのはハーブ? サナ:うん、おいしい。木の実みたいなものも入ってるよね? ユノ:ええ。ハーブは月の風船草(ふうせんそう)を。木の実は星の式部(しきぶ)を使っているの。 レディ:どっちもユノが魔法菜園で育てたものよ? クレペ:レディが自慢したくなるのも分かるよ。だってとってもおいしいもん! サナ:ユノは植物の育成魔法が得意だよねぇ。授業で育てたカエル草(そう)だって、ユノのだけグングンそだってさ、びっくりした。 ユノ:うちは代々植物魔法が得意な家系なのよ。おじいさんの代で作った魔法菜園を家族親せきで大切に経営して、大きくしてるし。父は魔法植物学者をしているわ。 ルーシア:植物は魔法薬とも関係が深い訳だけどさ、魔法薬剤師は周りにいなかったの? レディ:私が知る限りいないわ。 クレペ:レディに聞いてないと思うよ? レディ:気安くレディって… クレペ:ごめんよ。レディシュガーポット! ユノ:ルーシアにアドバイスできそうな人は、残念ながらいないわね。 サナ:うちの周りにも薬剤師さんはいないなぁ。 クレペ:そっかぁ。残念だな。 レディ:クレペには二人とも言ってないと思うわ。 ルーシア:ありがとうクレペ。…ちょっと参考に話を聞かせてもらえたらッて思っただけだから、気にしないでね。 ユノ:もし魔法薬の調合に植物が必要な時は言ってね。わたし、すごい速さで育てるわ! ルーシア:それは頼もしいわ!お願いすると思う。私は鉱物を生み出す魔法が得意だから、どちらかというと建築だったり宝石関係の方が向いてるんだろうけど… レディ:毒薬ってのは案外鉱物から作り出されたりするじゃない。あれも薬は薬でしょう? ルーシア:レディシュガーポット?私は人を助けるための薬を作りたいの。毒薬は範囲外なんです。 クレペ:ルーシアが目指してるのは悪い魔女じゃないよ サナ:悪い魔女か…。時々聞くよね。使い魔にそそのかされて悪の道に堕ちていっちゃった魔女の話。 クレペ:うん。すごく怖いよ。そんな魔女がいることも、僕たち使い魔の中にそんなことする人がいるってことも。 ユノ:使い魔がそそのかすっていうけれど。私は、その魔女にはもともと悪の道に堕ちていく素質というか隙があったんだと思うわ。 ルーシア:私もそう思うな。そこを突かれたって感じ。そうなる運命だったんだって レディ:使い魔は、自分の仕える主が正しく進めるように手助けする。ただ、その正しくっていうのは主の考える正しさだもの。私たちは主の背中を押すのが役目 サナ:悪の道に行くのが、その魔女の正しさで、使い魔はその背中を押す… クレペ:僕たちはいつだって主の味方だから。 サナ:…怖くなってきた。 ユノ:なぜ? サナ:どうしよう!私が悪の道に行くのを心のどっかで正しいって感じていて、明日出会う使い魔の子がそれを手助けしようとしたら…私、悪の魔女になっちゃう! ルーシア:あははっ!!ないないないないっ! レディ:絶対あり得ないわね ユノ:サナが悪の魔法使いなんて、想像できないわ ルーシア:悪の魔女になるのを怖がってる人が、悪の魔女になるなんてありえないでしょ? サナ:だったらいいんだけど。はぁぁ…どんな子がくるんだろう。ジャガーとおばぁちゃんみたいに最高のコンビになれたらいいんだけど… 0: 0: 0: ルーシア:おばぁさまって、パン屋を営んでらっしゃった? サナ:うん。おばぁちゃんのパンは、魔法の効力はそんなに強くはなかったけど、とってもふわふわもちもちでおいしくてね、幸せになるって大評判なんだ。 ユノ:今はもうご商売はされていないの? サナ:うん、私が魔法学校に入学するころに足を悪くしてね、調理台で作業するのが大変だからってお店をたたんだの。 ユノ:そうなの、残念だわ サナ:あ!でもでも、家族が食べる分くらいは作る元気があるから、今も家に帰った時は作ってくれるよ? ユノ:まぁ!だったら今度ぜひお土産にひとつ持ってきてほしいわ レディ:ユノは自分のパン作りの参考にしたいのね。今でも十分おいしいのに、さらに上を目指すところがえらいわ! ユノ:レディやみんなにおいしいものを食べてほしいもの。 サナ:そういうことなら、おばぁちゃんに言っておくね!私もみんなにおばぁちゃんのパン食べてもらえたら嬉しい!ユノに参考にしてもらえるのもすっごく嬉しい ルーシア:ジャガーっていうのは、おばぁさまの使い魔なのね?おばぁさまも魔女なんだ? サナ:うん。おばぁちゃんもこの学校に昔通っていたの。私と同じ水を生み出す魔法が得意で… レディ:サナ、「得意」だったのね サナ:ごめんなさい。。 ユノ:水を生み出す力を活かしてパン屋さんをされていたのね! サナ:うん!そうなの!使い魔のジャガーが風を生む能力に長けていて、洗い物とか力を合わせてやるとあっという間で、おばぁちゃんとジャガーが店の掃除をするのを見るのが、小さい頃大好きだったなぁ。 ルーシア:それは圧巻だろうなぁ クレペ:大丈夫だよ!ルーシア!僕は計算が大得意だからルーシアの薬の調合の役に立つし、「この薬を何人分」って言われてもちゃんと倍量で計算するからね! レディ:私だって!ユノがいつか夢を見つけた時に絶対に役に立つわ!私の「装飾」の能力は、色んな職業に使えるんだから! ルーシア:ありがとう。クレペ ユノ:楽しみにしてるわ、レディ サナ:ジャガーは口数は多くないけど、いつも冷静に世の中を見てるって感じの使い魔でさ、おばぁちゃんが次にどんな材料が欲しいかとかすぐに分かって取り出したり、おうちでも足が悪いおばぁちゃんに、すっと手を差し伸べたり…本当にスマートなの。すごくおばぁちゃんを気にしているし、おばぁちゃんはすごくジャガーをたよりにしてる。 ユノ:ジャガーは、人型タイプなの? サナ:うん、背が高くってスラっとした人型だよ。おばぁちゃんは最初猫型がよかったらしくて、実は落ち込んだって言ってた。 ルーシア:人型がなんやかんやで身動き取れるし、便利だったりするのよね。 レディ:そうね、猫型や、コウモリ型の私たちではままならないこともあるから。 クレペ:そうだね、人型が少し羨ましいよ ユノ:レディ、猫型のあなただから、一緒のベッドに寝られて、私は毎晩癒されているのよ? ルーシア:さっきも言ったでしょう?クレペ、私はあなたのコウモリ型の見た目をカッコいいって言ってるのよ? サナ:それぞれの良さがきっとあるんだよね ユノ:そういうことよ。人型でないと主を助けられないなんてことはないし、それぞれの長所を活かして主を助けてくれるのよ。ジャガーは人型だからこそ、高齢のおばぁ様を介助できるということはあると思うわ。 ルーシア:やっぱり使い魔と魔女見習いは、もちつもたれつ、一生の相棒なのよ。おばぁさまとジャガーの関係だって、一朝一夕でできた関係じゃないわよ? サナ:そうだよね、もう何十年も一緒にやっていってるんだもんね。 レディ:そうよサナ、あなたは、明日召喚するあなたの使い魔と、どんな風になりたいの?将来サナはどう生きていきたいの? ユノ:大きなテーマになったわね サナ:…私の夢は…魔法のキャンディー職人になること。できれば明日くる子には一緒にお店をやってほしい。 レディ:それは嬉しいわよ。 サナ:え? レディ:使い魔の一番の喜びは、主に頼りにされることだもの。 クレペ:そうだよ。サナがその気持ちを素直に伝えれば、使い魔はきっと喜んで助けてくれるはずだよ! ユノ:サナの、使い魔だもの。きっと仲良くできるわ。 ルーシア:喧嘩したっていいのよ。ふたりでこれからずっとやっていくんだから。 サナ:…うん!そうだよね。きっと仲良くやっていける。おばぁちゃんとジャガーみたいに。 0: 0: 0:翌日 0:魔法学校の大扉を開き、サナが召喚の間へ入室 0: 0: シェリン:今日召喚の儀を執り行うのは、サナだったか。 サナ:おはようございます。シェリン先生 シェリン:おはよう。ずいぶん緊張しているみたいだな。昨晩はあなたの部屋からルーシア・カミィユの大声が響いていたようだが、よく眠れたかな? サナ:はい、これから一生一緒にいる相棒ともうすぐ会うんですから。口から心臓が飛び出そうです。昨日の晩は、ルーシアとユノが激励に来てくれていまして…。 シェリン:まったく賑やかな娘だ。ユノ・ロメインまでいたのか、仲がいいのは結構だが、あまり夜更かしするのは感心しないぞ。召喚についてはそう気負わなくていい。サナに一番合う使い魔が、魔界より召喚されるのだ。うまくやっていけるさ。 サナ:はいっ!よろしくお願いします。 0: 0: 0:魔法陣の中央に立つサナ、シェリンは呪文を唱え始める 0: シェリン:緑柱石(りょくちゅうせき)と海水が出逢い10日目の今日、魔界よりこの未熟な魔女に知恵を授け、力を貸し、勇気を奮い立たせるもの現れん…!藍緑色(らんりょくしょく)の瞳を持つ使い魔よ…姿を現したまえ…!! 0: 0: シェリン:サナ、目を開けよ。召喚は成功した。 0: 0: サナ:あなたが…わたしの使い魔。……これから、よろしくねっ 0: 0: 0: 0:

0: 0: 0: 0:魔法学校の寮の一室。お菓子の包みを抱えたルーシアが入ってくる。 0: ルーシア:ごめん、ごめん。なかなか課題が終わらなくって。 ユノ:お疲れ様、ルーシア。 ルーシア:ユノは今回の課題、楽勝でしょ?私はどうも植物を育てる魔法は苦手だわ。 ユノ:そうねぇ。私は植物に特化した能力だから。でも、鉱物を生み出す魔法はルーシアに全然かなわないわ。 ルーシア:まぁね。誰にでも得手・不得手ってのがあるわよね ユノ:そうねぇ。ふふふ ルーシア:あら、ユノ!それはお手製のマドレーヌでしょうか?ひとつもーらいっっ ユノ:うん。今夜のお茶会のために焼いたのよ。とっても上手にできたからいっぱい食べてね ルーシア:で、部屋主はそんなすみっこで丸くなって、なにやってんの? サナ:ルーシア、いらっしゃい。 ルーシア:ああ、うん。もう!サーナ!せっかくのパジャマパーティーよ?そんな暗い顔してないで、わちゃわちゃ楽しもうよ?! サナ:心臓が口から出そう。絶対に今夜は眠れない。 ユノ:あらぁ。ハーブティー入れるわよ? ルーシア:ユノ、やめときなさい。あなたのハーブティーなんて効きすぎてサナ速攻で寝ちゃうから。 ユノ:あらあら、ふふふ。光栄だわ。 サナ:いっそのこと眠りこけて、明日を迎えたい。 0: 0: 0: レディ:そんなうじうじしている主のところに召喚される使い魔が可哀そうだわ。 ルーシア:あら!レディも来ていたのね!こんばんは! レディ:ルーシア、気軽に呼ばないでちょうだい。私をレディって呼んでいいのはユノだけなんだから。 ルーシア:これは失礼しました。レディシュガーポット。 レディ:わかればいいのよ。それよりもサナ、あなたがそんな風にうじうじしていてどうするのよ。明日はあなたの16歳の誕生日。魔女見習いの女子生徒は使い魔を召喚し、魔女としてより一層成長する日なのよ。 ユノ:レディ、あまり強く言わないであげて?サナは緊張しているだけで、それはよくわかっていると思うわ。 レディ:ユノ!ユノは本当に誰にでも優しくて素敵だわ。ユノは初めて私を召喚した時もにっこり微笑んで私を抱きしめてくれたのよね。(きゃっきゃしあうユノとレディ) ルーシア:(軽く咳払い、もしくは割って入る)レディシュガーポットの思い出話はおいておくとしても、私たち魔女見習いと、誕生日に召喚する使い魔は一生を共にするパートナーだからね、お互いを補い合って、支えあうみたいなさ。 サナ:だからこそ、どんな子が来るんだろうって不安なんだよぉ。 ルーシア:それもそうか。サナは、どんな子に来てほしいの?レディシュガーポットみたいな猫型や、小動物型、スライムとか、、妖精、人型… レディ:私の白いふわっふわの毛を見て、ユノはとっても感激してくれたのよね。 ユノ:うふふ。ええ!すっごくかわいいって嬉しくなっちゃったのよ。 レディ:ふふー サナ:見た目とかじゃなくてさ…私と性格が合うかなぁとか。魔法も平均点の私をどう思うかなとかって思うと、あああ…!! ルーシア:使い魔にも色んなタイプがいるからねぇ。レディシュガーポットは主(あるじ)にゾッコンタイプ、ココの使い魔メッシュは人型で執事タイプの有能使い魔。そして私のは… クレペ:ルーシアは僕に何か不満でもあるの? ルーシア:いやいや、不満はないよ?ただ、まぁしいていうならちょっと気が弱いかなぁ…。コウモリスタイルはかっこいいとおもうんだけど。 クレペ:だって…だって ユノ:ああ!クレペ元気をだして!!ルーシアはあなたのこと、大好きよ。 クレペ:うん…そうだよね。うん。 ルーシア:そんな声、出すんじゃないの、クレペ。もっと頼りになってほしいとは思ってるけど、相棒として私はあんたが気に入ってるわ。 クレペ:本当? ルーシア:そりゃそうよ。私のたった一人?一匹の使い魔なんだから。 クレペ:ルーシア!! サナ:ユノとレディシュガーポットも、ルーシアとクレペも、まだほんの数カ月の付き合いなのに、お互いを分かりあっていていいなぁって思う。 ユノ:レディがいてくれると、私でも色んな事ができるんじゃないかって思えるのよ。なんでも応援してくれるから。 ルーシア:そうね、絶対味方でいてくれる一番身近な存在ね。 レディ:そうでありたいと思ってるわ クレペ:僕だって! 0: 0: 0: ルーシア:このマドレーヌ、本当においしい。生地に練り込んでるのはハーブ? サナ:うん、おいしい。木の実みたいなものも入ってるよね? ユノ:ええ。ハーブは月の風船草(ふうせんそう)を。木の実は星の式部(しきぶ)を使っているの。 レディ:どっちもユノが魔法菜園で育てたものよ? クレペ:レディが自慢したくなるのも分かるよ。だってとってもおいしいもん! サナ:ユノは植物の育成魔法が得意だよねぇ。授業で育てたカエル草(そう)だって、ユノのだけグングンそだってさ、びっくりした。 ユノ:うちは代々植物魔法が得意な家系なのよ。おじいさんの代で作った魔法菜園を家族親せきで大切に経営して、大きくしてるし。父は魔法植物学者をしているわ。 ルーシア:植物は魔法薬とも関係が深い訳だけどさ、魔法薬剤師は周りにいなかったの? レディ:私が知る限りいないわ。 クレペ:レディに聞いてないと思うよ? レディ:気安くレディって… クレペ:ごめんよ。レディシュガーポット! ユノ:ルーシアにアドバイスできそうな人は、残念ながらいないわね。 サナ:うちの周りにも薬剤師さんはいないなぁ。 クレペ:そっかぁ。残念だな。 レディ:クレペには二人とも言ってないと思うわ。 ルーシア:ありがとうクレペ。…ちょっと参考に話を聞かせてもらえたらッて思っただけだから、気にしないでね。 ユノ:もし魔法薬の調合に植物が必要な時は言ってね。わたし、すごい速さで育てるわ! ルーシア:それは頼もしいわ!お願いすると思う。私は鉱物を生み出す魔法が得意だから、どちらかというと建築だったり宝石関係の方が向いてるんだろうけど… レディ:毒薬ってのは案外鉱物から作り出されたりするじゃない。あれも薬は薬でしょう? ルーシア:レディシュガーポット?私は人を助けるための薬を作りたいの。毒薬は範囲外なんです。 クレペ:ルーシアが目指してるのは悪い魔女じゃないよ サナ:悪い魔女か…。時々聞くよね。使い魔にそそのかされて悪の道に堕ちていっちゃった魔女の話。 クレペ:うん。すごく怖いよ。そんな魔女がいることも、僕たち使い魔の中にそんなことする人がいるってことも。 ユノ:使い魔がそそのかすっていうけれど。私は、その魔女にはもともと悪の道に堕ちていく素質というか隙があったんだと思うわ。 ルーシア:私もそう思うな。そこを突かれたって感じ。そうなる運命だったんだって レディ:使い魔は、自分の仕える主が正しく進めるように手助けする。ただ、その正しくっていうのは主の考える正しさだもの。私たちは主の背中を押すのが役目 サナ:悪の道に行くのが、その魔女の正しさで、使い魔はその背中を押す… クレペ:僕たちはいつだって主の味方だから。 サナ:…怖くなってきた。 ユノ:なぜ? サナ:どうしよう!私が悪の道に行くのを心のどっかで正しいって感じていて、明日出会う使い魔の子がそれを手助けしようとしたら…私、悪の魔女になっちゃう! ルーシア:あははっ!!ないないないないっ! レディ:絶対あり得ないわね ユノ:サナが悪の魔法使いなんて、想像できないわ ルーシア:悪の魔女になるのを怖がってる人が、悪の魔女になるなんてありえないでしょ? サナ:だったらいいんだけど。はぁぁ…どんな子がくるんだろう。ジャガーとおばぁちゃんみたいに最高のコンビになれたらいいんだけど… 0: 0: 0: ルーシア:おばぁさまって、パン屋を営んでらっしゃった? サナ:うん。おばぁちゃんのパンは、魔法の効力はそんなに強くはなかったけど、とってもふわふわもちもちでおいしくてね、幸せになるって大評判なんだ。 ユノ:今はもうご商売はされていないの? サナ:うん、私が魔法学校に入学するころに足を悪くしてね、調理台で作業するのが大変だからってお店をたたんだの。 ユノ:そうなの、残念だわ サナ:あ!でもでも、家族が食べる分くらいは作る元気があるから、今も家に帰った時は作ってくれるよ? ユノ:まぁ!だったら今度ぜひお土産にひとつ持ってきてほしいわ レディ:ユノは自分のパン作りの参考にしたいのね。今でも十分おいしいのに、さらに上を目指すところがえらいわ! ユノ:レディやみんなにおいしいものを食べてほしいもの。 サナ:そういうことなら、おばぁちゃんに言っておくね!私もみんなにおばぁちゃんのパン食べてもらえたら嬉しい!ユノに参考にしてもらえるのもすっごく嬉しい ルーシア:ジャガーっていうのは、おばぁさまの使い魔なのね?おばぁさまも魔女なんだ? サナ:うん。おばぁちゃんもこの学校に昔通っていたの。私と同じ水を生み出す魔法が得意で… レディ:サナ、「得意」だったのね サナ:ごめんなさい。。 ユノ:水を生み出す力を活かしてパン屋さんをされていたのね! サナ:うん!そうなの!使い魔のジャガーが風を生む能力に長けていて、洗い物とか力を合わせてやるとあっという間で、おばぁちゃんとジャガーが店の掃除をするのを見るのが、小さい頃大好きだったなぁ。 ルーシア:それは圧巻だろうなぁ クレペ:大丈夫だよ!ルーシア!僕は計算が大得意だからルーシアの薬の調合の役に立つし、「この薬を何人分」って言われてもちゃんと倍量で計算するからね! レディ:私だって!ユノがいつか夢を見つけた時に絶対に役に立つわ!私の「装飾」の能力は、色んな職業に使えるんだから! ルーシア:ありがとう。クレペ ユノ:楽しみにしてるわ、レディ サナ:ジャガーは口数は多くないけど、いつも冷静に世の中を見てるって感じの使い魔でさ、おばぁちゃんが次にどんな材料が欲しいかとかすぐに分かって取り出したり、おうちでも足が悪いおばぁちゃんに、すっと手を差し伸べたり…本当にスマートなの。すごくおばぁちゃんを気にしているし、おばぁちゃんはすごくジャガーをたよりにしてる。 ユノ:ジャガーは、人型タイプなの? サナ:うん、背が高くってスラっとした人型だよ。おばぁちゃんは最初猫型がよかったらしくて、実は落ち込んだって言ってた。 ルーシア:人型がなんやかんやで身動き取れるし、便利だったりするのよね。 レディ:そうね、猫型や、コウモリ型の私たちではままならないこともあるから。 クレペ:そうだね、人型が少し羨ましいよ ユノ:レディ、猫型のあなただから、一緒のベッドに寝られて、私は毎晩癒されているのよ? ルーシア:さっきも言ったでしょう?クレペ、私はあなたのコウモリ型の見た目をカッコいいって言ってるのよ? サナ:それぞれの良さがきっとあるんだよね ユノ:そういうことよ。人型でないと主を助けられないなんてことはないし、それぞれの長所を活かして主を助けてくれるのよ。ジャガーは人型だからこそ、高齢のおばぁ様を介助できるということはあると思うわ。 ルーシア:やっぱり使い魔と魔女見習いは、もちつもたれつ、一生の相棒なのよ。おばぁさまとジャガーの関係だって、一朝一夕でできた関係じゃないわよ? サナ:そうだよね、もう何十年も一緒にやっていってるんだもんね。 レディ:そうよサナ、あなたは、明日召喚するあなたの使い魔と、どんな風になりたいの?将来サナはどう生きていきたいの? ユノ:大きなテーマになったわね サナ:…私の夢は…魔法のキャンディー職人になること。できれば明日くる子には一緒にお店をやってほしい。 レディ:それは嬉しいわよ。 サナ:え? レディ:使い魔の一番の喜びは、主に頼りにされることだもの。 クレペ:そうだよ。サナがその気持ちを素直に伝えれば、使い魔はきっと喜んで助けてくれるはずだよ! ユノ:サナの、使い魔だもの。きっと仲良くできるわ。 ルーシア:喧嘩したっていいのよ。ふたりでこれからずっとやっていくんだから。 サナ:…うん!そうだよね。きっと仲良くやっていける。おばぁちゃんとジャガーみたいに。 0: 0: 0:翌日 0:魔法学校の大扉を開き、サナが召喚の間へ入室 0: 0: シェリン:今日召喚の儀を執り行うのは、サナだったか。 サナ:おはようございます。シェリン先生 シェリン:おはよう。ずいぶん緊張しているみたいだな。昨晩はあなたの部屋からルーシア・カミィユの大声が響いていたようだが、よく眠れたかな? サナ:はい、これから一生一緒にいる相棒ともうすぐ会うんですから。口から心臓が飛び出そうです。昨日の晩は、ルーシアとユノが激励に来てくれていまして…。 シェリン:まったく賑やかな娘だ。ユノ・ロメインまでいたのか、仲がいいのは結構だが、あまり夜更かしするのは感心しないぞ。召喚についてはそう気負わなくていい。サナに一番合う使い魔が、魔界より召喚されるのだ。うまくやっていけるさ。 サナ:はいっ!よろしくお願いします。 0: 0: 0:魔法陣の中央に立つサナ、シェリンは呪文を唱え始める 0: シェリン:緑柱石(りょくちゅうせき)と海水が出逢い10日目の今日、魔界よりこの未熟な魔女に知恵を授け、力を貸し、勇気を奮い立たせるもの現れん…!藍緑色(らんりょくしょく)の瞳を持つ使い魔よ…姿を現したまえ…!! 0: 0: シェリン:サナ、目を開けよ。召喚は成功した。 0: 0: サナ:あなたが…わたしの使い魔。……これから、よろしくねっ 0: 0: 0: 0: