台本概要

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タイトル ようこそ猫の手霊障事務所へ ~妬みの剣~
作者名 瓶の人  (@binbintumeru)
ジャンル その他
演者人数 5人用台本(男2、女1、不問2)
時間 50 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 妬み嫉んで憎み憎まれ
憎悪に満ちた邪悪な心
全てはこの手中に

※ようこそ ねこのて れいしょう じむしょへ ねたみのつるぎ

6/13

※注意事項
●過度なアドリブ、改変をしたい場合(キャラクターの性転換、セリフを丸々変える等)はご連絡下さい。
●男性が女性キャラを女性として、女性が男性キャラを男性として演じる際や語尾等の軽微な改変はご連絡不要です。
●配信等でご利用される場合は、可能であれば作者名、作品名、掲載サイトのURLを提示して頂けると幸いです。
●全力で楽しんで下さると幸いです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
136 木花臣(きのはな おみ)16~18歳 優しく穏やかな性格。リンクをしなくても少しだけ、猫又やサンズイの霊力が使えるようになってきたが威力は非常に弱い。リンクをすると飛躍的に威力が増し、ココの霊力が使えるようになる。
愛美 91 桜木愛美(さくらぎ めぐみ)16~18歳 オカルトが大好きな高校生。悪霊化した事がきっかけで霊力を持つようになった。 影を操り、槍や剣、鎌やレーザーなど多彩な攻撃をする。臣の事が好き
猫又 不問 64 尻尾が4本あり、左目に傷を負っている隻眼の黒猫の妖怪。 口が悪く素直じゃないが、良く人を見ていて優しい一面もある。 尻尾にエネルギーを纏わせ攻撃する。ツナマヨが大好物。
神門 97 王野神門(おうの みかど)16~18歳 臣や愛美と同級生。1年前にフランスから帰国したばかりの帰国子女。 フェンシングをしており、全国5位内にはいる実力者。愛美が好き。
崇徳 不問 72 崇徳(すとく) 臣、愛美、神門がとある神社を訪れた際に遭遇した。 異常なまでの霊力を持っており、一般の人であれば気絶してしまうほど。 腰には簪夜桜(かんざしよざくら)という細身の刀を帯刀している。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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臣:【N】燃え盛る炎が目の前に広がって、2人の焦げた遺体が転がっている 臣:胸が痛い、目から涙が溢れて止まらない…なんで?この遺体は…僕の…なんだ? 臣:瞬間、視界が歪んで場面が変わる、冷たい雨が震える僕の体に降り注ぐ 臣:寒い、寂しい…孤独と恐怖に心が支配されていくのを感じる……どうして僕は…ここでうずくまっているんだろう…僕は、なんだ…? 臣:再び視界が歪み場面が変わる、大きな家の縁側で暖かな陽気に包まれている 臣:顔はハッキリ見えないが、優しそうな男性が僕を撫でてくれる。それを受け入れ僕は再び眠りつく 臣:ここがどこなのかわからない、でもなぜかすごく落ち着くんだ…この空気が、この暖かな手が……とても…落ち着くんだ…… 0: 0: 0:ホテルロビーにて 臣:「はぁ…」 愛美:「臣、どうしたの?今日ずっと元気ないけど…何かあった?」 臣:「いや、何かあったとかじゃないんだけど…」 愛美:「けど?」 臣:「…いや、やっぱなんでもない。ごめんね。」 愛美:「そう?でも、せっかく修学旅行に来てるんだからさ、暗い顔なんてしてたらもったいないよ!」 臣:「そう…そうだよね。うん、楽しまなきゃだよね!」 愛美:「そうそう!それじゃあさっそく、明日の自由時間どこ行くか決めないとね!」 0:臣のバッグがもぞもぞと動き始める 愛美:「え、な、なに!?」 臣:「あ!そうだった!!今すぐあけるね!」 0:バッグを開ける臣 猫又:「ぷはっ!!おせえよガキ!」 愛美:「猫又さんっ!?なんで!?」 猫又:「なんでも何も、ココが着いていけってしつこくてな…なんだって俺がこんな事…にしても、もっとマシな方法があっただろ!」 臣:「ご、ごめんコレしか思いつかなくて…」 猫又:「たく…クソガキが……」 愛美:「なんでココさん猫又さんを着いていかせたんですか?」 猫又:「最近、悪霊共の動きが活発だからだ。女も最近襲われたばっかだろ。」 愛美:「…あ…うん、そうだね…」 猫又:「それにガキにはまだ恐怖の香りが残ってんだ、いつ悪霊に襲われてもおかしくはねえ。」 臣:「学校の皆が襲われないとも限らないもんね…ありがとね猫又さん。」 猫又:「…ふん。感謝しやがれ。」 愛美:「あ、でも、部屋って2人部屋でしょ?さすがに連れていけないよね?ここまで来ちゃったけど…どうするの?」 臣:「そうなんだよね……」 愛美:「ええ、もしかして何も考えてなかったの!?」 猫又:「別に構わねえ。お前らがホテルに居る間はこの近くで待機してっからよ。移動がある時は早めに起きて教えろ、不本意だがまたバッグの中に入る。」 臣:「わ、わかった。」 愛美:「あ、臣。そろそろ夜ご飯の時間だから集まらないと!」 臣:「そっか!ごめん猫又さん、少しだけ外でまってて。」 愛美:「また後でね!」 猫又:「おい、まて!」 臣:「な、なに?」 猫又:「飯、持って来いよな。」 臣:「あ…うん、分かった…」 0: 0: 0:次の日、自由行動時間 愛美:「臣!こっちこっち!」 臣:「愛美、お待たせ。どこ行くか決めた?」 愛美:「もうそりゃたっくさん!」 臣:「じゃあさっそく行かなきゃだね!」 神門:「待ちたマエ!」 臣:「え?」 愛美:「あ、えっとあなたは…」 神門:「忘れたのカイ?ボクは2組の王野神門(おうのみかど)ダヨ。」 愛美:「あ、ごめん…それで神門…くん?どうしたの?」 神門:「キミ達、2人で周るのカイ?」 愛美:「うん、そうだけど…」 神門:「そうか……ならば是非!ボクも同行させて欲シイ!」 臣:「えっ!?」 愛美:「え、えっと…」 神門:「pardon(パードン)。失礼、あまりにも急だったね。ボクはまだこの学校に来たばかりだロウ?悲しい事に…友人が居なくてね。良かったら一緒に周らせてもらえないかと思ったンダ。」 臣:「そっか、神門くんは1年前に日本に来たばかりだしね…」 神門:「ダメならそれでいい、どうカナ?」 愛美:「……ん、そういう事なら…いいよ。臣も良いかな?」 臣:「僕は大丈夫だよ。」 神門:「merci(メルシー)!よろしくね、オミくん、メグミちゃん。」 臣:「うん!よろしくね神門くん!」 愛美:「よろしく!」 神門:「………ああ、よろしく。」 0: 0: 猫又:「だああああ!!くっそあのガキ共…俺を置いていきやがって……! 猫又:どこに行ったか知らねえからどうしようもねえな…どうっすっか……まずは腹ごしらえ…だな。」 0: 0: 0:レストランで昼食を取る3人 愛美:「わあ!美味しそうー!!」 神門:「うん、食欲がそそルヨ。」 愛美:「いただきまーす!あむ……んん、美味しい!」 臣:「僕も……うん、美味しいね。」 愛美:「景色も良いし、食べ物も美味しいし、修学旅行最高だね!」 臣:「そうだね。あ、愛美。口元にオカズ付いて…」 0:神門が指を伸ばし口元を拭う 臣:「な…」 愛美:「あ…」 神門:「ペロ……うん、確かにこれは美味しイネ。」 愛美:「あ、ありがと…神門くん……」 神門:「ふふ、どういたしまシテ。」 臣:「……あーえっと次、どこ行こうか。」 愛美:「え?あー…確かここから近い所に神社があるんだよね。行ってみよっか?」 臣:「神社?どんな神社なんだろう。」 愛美:「確かね、悪縁を切って良縁を結ぶとかって言われてる所らしいよ。」 臣:「そうなんだ、いいご利益がありそうだね。」 神門:「そこでメグミちゃんとボクの良縁も結べたりするのカナ?」 臣:「っ!?」 愛美:「へ?あはは!何言ってるの神門くん、フランスジョークってやつ?」 神門:「ふふ、pardon(パードン)。失礼、もちろんジョークだトモ。」 臣:「……。」 神門:「ん?どうしたんだい?オミくん?怖い顔をシテ…」 臣:「え?あ、いや、なんでもないよ!」 愛美:「やっぱり昨日からおかしいよ?体調悪い?」 臣:「全然!大丈夫大丈夫!ごめんね心配かけて!さ、その神社に行こ!時間がもったいないよ!」 愛美:「え、お、臣待ってよー!」 臣:「………なんなんだこの感じ…胸がざわつく…」 神門:「……ふふ。」 0: 0: 猫又:「んな!んなななな!!なんだこりゃ!」 0:ホテルのキッチンに忍び込んだ猫又 猫又:「んまそうな食材が並んでんじゃねえか…!んでも、そりゃ人は居るわな……んでも腹が減りすぎて背中と腹がくっつきそうだ…… 猫又:くっ……屈辱だが…こうなりゃ背に腹は代えられんねえ……秘技!物乞い!にゃーん……!」 0: 0: 0:神社についた3人 臣:「わぁ……凄いね…大きな三つの鳥居が1つになってるね…」 愛美:「立派な鳥居だね……あ、ほら奥まで行ってみようよ。」 臣:「あ、うん。ん?神門くん?どうかした?」 神門:「……いや、何でもないよ…にしてもすごいねここ……不思議な感じダヨ。」 臣:「うん、凄いよね。奥はもっとそれを感じれるかも。」 神門:「ああ…」 0:突然臣の頭に誰かの声が聞こえる 臣:「え?」 愛美:「ん?どうかした?」 臣:「今、誰かしゃべった?」 愛美:「ううん?何も?」 神門:「ボクも何も言ってなイヨ。」 臣:「気のせい…か……」 愛美:「見て、拝殿だよ。すごい力を感じる…」 臣:「オーラが凄い……」 0:再び声が聞こえる 臣:「っ!!」 神門:「オミくん?大丈夫?」 愛美:「臣、どうしたの?」 臣:「気のせいなんかじゃない、この声……誰?」 愛美:「声?声なんか聞こえないよ?」 臣:「この神社、霊力が流れてる…しかも、強力な…」 愛美:「え?」 神門:「レイリョク…?」 0: 0: 崇徳:「素晴らしい。霊力の流れを感じ取れたか。」 0:臣達の後ろに突然、全身白の衣装を着た男が立って現れる 臣:「っ!」 愛美:「誰!?」 神門:「っ!?」 崇徳:「そう身構えずとも良い。今は争うつもりはない。」 臣:「…いつの間に……全く気が付かなかった…」 愛美:「あ、あなたは誰ですか…少なくとも、人の気配じゃない…何者なんですか?」 0: 臣:【N】僕は…いやおそらく愛美もこの人のただならないプレッシャーを全身の肌で感じていた、こうして立っているだけでやっとなほどの圧が僕達を押さえつけてくる 0: 崇徳:「ほう、我を前にしても意識を失わず立っていられるか。」 臣:「くっ……神門くん、大丈夫…?」 神門:「大丈夫…ダヨ……でも、胸が締め付けられるような…この感覚はなんダイ…」 崇徳:「そうだ、まだ先ほどの問いに答えていなかったな。これはすまなかった。 崇徳:我の名は「崇徳(すとく)」この神社に祀られ、そして畏怖される存在。この世の裏を手中に収めんとする者だ。」 愛美:「すとく……すとく…?それって、日本の大怨霊(だいおんりょう)として名前が挙がるあの!?」 臣:「愛美、知ってるの?」 愛美:「少しだけ…ね…まさかこんな形で会えるなんて……でもなんでその崇徳が私たちの前に…」 崇徳:「いやなに、貴様らの事を一目見ておきたくてな。特に……そこに居る臣とやらの事はな。」 臣:「僕…?」 崇徳:「ふむ…まだ未熟だが確実に力を身に着けているようだな。いずれ我が悲願の弊害になりかねない、ここで芽を摘んでおくのもよさそうだ。」 臣:「芽を…摘む?それって…」 崇徳:「しかし……そうだな…」 0:神門に目を向ける崇徳 神門:「…?」 崇徳:「ふっ……いや、もうしばらく様子を見ても良いかもしれないな。今の貴様程度など、我が配下達で十分だ。」 愛美:「配下…?」 崇徳:「火車(かしゃ)、餓者髑髏(がしゃどくろ)、清姫(きよひめ)…配下達が世話になったな。」 愛美:「!?」 臣:「もしかして…あなたが…火車の言っていた「あの方」!」 崇徳:「ようやく会えたな。我も会いたかったぞ、木花臣。」 臣:「どうして…僕なんかに…」 崇徳:「ただの人間が、妖とリンクをし、そして悪霊と化した人間を元に戻した…通常では考えにくい事だ。しかし、貴様はそれが出来ている。実に興味深い、そして実に不愉快なのだ。」 臣:「そんな事言われても…僕が知りたいくらいだ…」 崇徳:「そうだな、すまない。我もお前の立場であれば同じ事を思っているだろう。引き留めて悪かったな貴様ら、今我は貴様らをどうにかするつもりはない、さあ帰るが良い。」 愛美:「…何を企んでいるのか分からないけど……私達じゃ、あなたに敵わない。それくらいは分かる。」 崇徳:「貴様の様な聡明な者は我は好みだぞ。」 愛美:「……臣、神門くん、早くここから逃げよ…!」 臣:「う、うん…神門くん動ける?」 神門:「…大丈夫…ダヨ……」 崇徳:「また会おう、木花臣。」 臣:「……。」 0: 0: 0:夕暮れ、ホテルのロビーに着いた3人 臣:「やっと、ホテルに戻って来れた……」 愛美:「なんか安心したら、足の力抜けちゃった…」 臣:「大丈夫?なにか飲み物買ってくるよ。」 神門:「ボクが買ってくるヨ、足を引っ張ってしまったかラネ。」 臣:「神門くんもまだ万全じゃないでしょ、僕が行くからいいよ。」 神門:「大丈夫大丈夫、心配してくれてありがとうネ。買ってくるから待っててクレ。」 0:自販機に向かう神門 臣:「あ…大丈夫かな…」 猫又:「おい!お前ら!やっと帰ってきやがったな!どこ行ってたんだ!」 臣:「え、猫又さん!?人がいるからこんな所で出てきちゃだめだよ!」 猫又:「知るか!こちとら大変だったんだからな!」 愛美:「そういえば…朝、猫又さんに何も言わないで出ちゃったもんね…」 猫又:「そのせいで散々な目にあったんだ…っくそ…」 臣:「うっ…ごめん…」 猫又:「…それにしてもお前ら……嫌な香りがするな。」 愛美:「え?」 神門:「お待たせ、買ってきたヨ。」 臣:「あっ、ありがとう神門くん!」 神門:「おや、猫かい?可愛いネ、このホテルの猫カナ?」 猫又:「っ…にゃー…」 愛美:「さ、さー?どうだろ?」 神門:「片目がケガしてるのカナ、見えないみたいだ。可哀そうに…大丈夫カイ?」 猫又:「にゃ、にゃー」 臣:「あー、神門くん。夕食までまだ時間あるし、一旦部屋に戻って休もうか?さすがに疲れたし、ね?」 神門:「それもそうだネ。それじゃあ、先に戻って休むとするヨ。」 臣:「この猫は僕の方でホテルの人に話しておくから、じゃあまた後でね。」 神門:「よろしく頼むネ。」 愛美:「なんとかなったね…ごめん、私も少し休むね…さすがに疲れた…」 臣:「うん、猫又さんには僕から何があったか説明するね。」 猫又:「とんでもねえ事があったのは匂いで分かるが、詳しく聞かせろ。」 0: 0:ホテル裏のベンチ 0: 猫又:「崇徳…ねぇ……聞いた事はねぇが、お前らが付けてきた香りからバケモノじみたのを感じる。対面したら俺でさえすくむレベルだろうな。」 臣:「立ってるのがやっとな程の圧を感じた…火車も凄かったけど、比べ物にならない程だった……」 猫又:「奴を従えてるのは伊達じゃねえって事か、なんだってお前らの前に姿を現したんだ。」 臣:「僕が悲願の弊害になりかねないって言ってた、通常では考えられない事を出来ているからだって。」 猫又:「リンクの事か…なるほどな。」 臣:「やっぱり…普通じゃありえない事なのかな…」 猫又:「ありえねえかどうかは分からねえが、前例を聞いた事はねえな。恐らくは、お前の中にある霊力の影響だとは思うが。」 臣:「やっぱりこの奥にある霊力の…」 0:猫又の全身の毛が逆立つ 猫又:「っ!!なんだ…この気配……異常なまでの霊力が…」 臣:「猫又さん!くあっ!!?この…感じ……まさか…」 猫又:「…おい、アホみてえに霊力ダダ漏らしてる奴…近くに居んだろ?出てきやがれ!」 崇徳:「愛くるしい見た目とは裏腹に口の悪い猫だ。」 0:目の前に突如現れる崇徳 猫又:「はんっ!見た目で判断してっと痛い目見るぜ。」 崇徳:「それもそうだな、すまない。木花臣、先ほどぶりだな。」 臣:「…少し、再会が早いんじゃないかな…」 崇徳:「すまない、早々に会いたくなってしまったのだ。これも貴様の魅力故なのだろう。」 猫又:「ゴチャゴチャうるせえ!てめぇが火車達の言う『あの方』ってのは聞いた、こんな所まで大将が来るってのはよっぽどな用件なんだろうな!」 崇徳:「癇癪(かんしゃく)持ちなのは猫特有か否か…まあいい、すまない。結論から伝えよう。我は、そこに居る木花臣を消しに来た。」 猫又:「んなっ!」 臣:「さっきは、今はどうするつもりはないって…」 崇徳:「ああ、その時は何もしなかっただろう?今はその時ではない。今は今だ。何も不思議がる事ではないだろう。」 臣:「くっ…」 猫又:「はいそうですかと、簡単にやらせるわけねえだろ!おい、ガキ!構えろ、ここでコイツを叩く!」 臣:「猫又さん…でも、勝てるかどうか…」 猫又:「勝てるかどうかじゃねえ!てめえは黙ってヤラれてえのか!足掻きもせずコイツに消されてえのか!そんな簡単に死を受け入れたとしたら、今までてめぇを守ってきた奴らの頑張りを否定する事になるんだぞ!」 臣:「…っ!」 崇徳:「熱いな…その熱意、実に良いな。しかし、その熱こそ打ち砕きたくなるという物…木花臣、貴様には特別な贈り物を用意している。」 臣:「なんだ…?」 崇徳:「さあ、来たまえ。」 0:物陰からゆっくりと歩いてくる影 臣:「なっ!!?なんで…!?」 猫又:「コイツは…どういう事だ…」 崇徳:「木花臣、貴様にはこの者と殺しあって貰う。」 神門:「bonjuour(ボンジュール)、オミくん。」 臣:「な、なんで神門くんが…崇徳と…」 神門:「ボクはホテルに戻ってから部屋で横になっていたんだけどね、突然頭の中に彼の声が聞こえてネ。最初こそ恐怖を覚えていたけれど、とっても惹かれる提案をしてもらったんだ。」 崇徳:「初めにこの者を見た時、心の臓に纏(まと)わりつく邪気(じゃき)を感じた。こやつは化ける、そう確信したのだ。」 猫又:「提案ってのはなんだ。」 神門:「ボクの願いが叶うように力を与えてやる、だからオミくんを消せってね。」 臣:「なん…だって…それを吞んだの、神門くん!」 神門:「biensur(ビアンシュール)、当たり前じゃないか!だってボクの願いは、メグミちゃんを手に入れる事なんだカラ!」 臣:「っ!?」 神門:「メグミちゃんをボクの物にするには、オミくん…キミの存在が非常に邪魔なんだ!ずっと、ずっとずっとずっと!邪魔だったんだヨ!これは良い機会だと思わないカイ?ああ、最高に良い機会だと思ったサ!だから、この提案に乗ったんダヨ。」 崇徳:「見ろ、この者の内に渦巻く邪(よこしま)な感情を。実に美しいと思わないか?我はこれを非常に気に入ったのだ。」 猫又:「っざけやがって…人間はてめえのオモチャじゃねえんだぞ!」 崇徳:「当然、そんなものだとは思わないさ。ただ、我が悲願の為の糧にはなって貰うがね。」 0:崇徳は腰に抱えていた包帯に包まれた棒状のものを取り出した。 猫又:「なんだそりゃ…」 崇徳:「さあ、王野神門よ。これを手にするがいい。」 神門:「これは…?」 崇徳:「『妬みの剣』。自身の劣情を増幅させ、力を授ける魔剣だ。」 神門:「妬みの…剣…」 臣:「っ!愛美が餓者髑髏と清姫と戦った時に奪われたって言ってた剣…!」 崇徳:「さあ、魔剣に意識を集中させるのだ。貴様の願いを、想いを、悪意を!」 神門:「…っ!くっ…!」 0:妬みの剣に黒い靄が滲み出て、神門を包んでいく 神門:「ぐうぅ…があぁあああ!」 臣:「神門くん!!」 猫又:「んのやろおお!!仙狸(せんり)!!」 崇徳:「せっかくの儀式を邪魔するな、猫又よ。」 猫又:「んな!片手で受け止めやがった!?」 神門:「ぐうっああああ……!!」 臣:「神門くん!大丈夫!?神門くん!!」 神門:「はぁ…はぁ……大丈夫サ…ああ……大丈夫だとモ…オミくん…」 臣:「神門…くん?」 神門:「くっはははははは!!大丈夫に決まっているじゃなイカ!力が漲って来て実に最高な気分ダヨ!!」 猫又:「ちっ!完全に喰まれたか!」 崇徳:「やはり貴様は逸材だ。人間の身でありながらその魔剣の憎悪を受け入れられるとは。」 神門:「オミくぅ~ん?今ボクは最高に良い気分なんだ、大人しくぅ~…ヤラレテくれるヨネ?そしてボクのメグミちゃんから退いてクレ!!」 臣:「愛美とは友達だ、でも…その大切な友達を今の神門くんには任せられない!」 神門:「…ふうぅん……ソッカ……じゃあぁあ…消えてクレっ!!」 0:魔剣を握った神門が地面を蹴り、剣の切っ先で突いてくる 臣:「ぐっ!?」 猫又:「ガキ!!」 崇徳:「他人の心配より自身の心配をしたらどうだ?」 猫又:「んなっ!?」 崇徳:「圧執(あっしゅう)。」 0:圧縮された空気が地面を丸くえぐり取る 猫又:「っぶねぇ…!」 崇徳:「ふむ、簡単にやられてしまうとつまらないからな。せいぜい生き残れる選択をしてくれ?」 猫又:「ざけやがって…!!」 0: 0: 0: 神門:「既所(すんでのところ)で躱したカ…知っているカイ?オミくぅん…」 臣:「はぁ…はあ…何が…?」 神門:「ボクはねぇ、これでもフェンシングで全国トップ5内に入る程の実力なんだヨ…」 臣:「えっ…?」 神門:「剣を持ったボクに、キミが敵うと思わない事ダネ!!エヴァンタイユ・サーブル!」 0:目にもとまらぬ速さで切り付けてくる 臣:「くっ!!早い…!」 神門:「ジャグアール・フルーレ!」 臣:「がっ!?ぐっ!!」 神門:「それそれそれぇえええ!!どうしたのぉ!オミくぅううん!!さっきから躱してばっかじゃないかぁああ!」 臣:「く、くそっ…!!」 神門:「致命傷こそ外していても、その傷だらけの体じゃあどこまで持つカナ!!」 臣:「っ…はぁ…はあ…はあ……なんてつよさだ…」 神門:「こんな雑魚がメグミちゃんの傍にいるなんて、役不足ダヨ。さっさと死んでその座をボクに渡すんダネ。」 臣:「今のキミには…渡せないって…言っただろ…」 神門:「残念ダヨ、オミくん。アンガルド…痛み無く消してあげるヨ。アロンジェブラ……エクスピアシオン・ファンデヴ!!」 0:高速で全身で切りかかる神門 愛美:「お願い!守って!!」 0:影の塊が神門の攻撃を防ぐ 神門:「なっ…」 臣:「これって……」 愛美:「お待たせ、臣!ひどくコテンパンにやられちゃったみたいね。」 0: 0: 0: 崇徳:「ふむ、つまらんな。猫又の中でも貴様は相当な手練れのようだが…」 猫又:「こんの…くそがぁああ!仙狸(せんり)!」 崇徳:「バカの一つ覚えのように放っているが、それは我には効かんと知っているだろう。」 猫又:「ちっ…さっきより出力を上げてんのに変わらず片手で防ぎやがる…」 崇徳:「暇の潰しにもならんのか?であれば早々に貴様を浄化してやろうか?」 猫又:「はっ!!ほざいてられんのも今の内だっての!金華猫(きんかびょう)!!」 崇徳:「ふむ、悪くはない。」 猫又:「っ!!な…!?」 崇徳:「だが、この程度では我の足元にも及ばんな。」 猫又:「ちっ…嘘だろ…」 崇徳:「猫又よ。貴様はなぜそうまでして我の前に立つ?なぜあの人間の肩を持つ?」 猫又:「ああ?んなもん簡単な話だ。てめぇが気に食わねえからだ。」 崇徳:「ほう?そうか、気に食わないか。なんとも粗末な回答だ。」 猫又:「粗末で結構だ。人の命を粗末にしてるてめえよりはマシだ。」 崇徳:「人の命を…?ああ、なるほどそういう事か。我は命を粗末にはしていない、我が悲願の為の糧としただけだ。命は種となり肉となり、悲願の為の養分になるのだ。」 猫又:「養分…?糧?なに意味わかんねえ事言ってんだ…?てめえは王様にでもなった気でいんのか…?あっち側の奴らが全員お前の為に生きてるとでも思ってんのか?てめえみてえに身勝手に人殺したり悪霊化させるような、命を弄ぶクソ野郎を許せるほど俺はな…出来ちゃいねえんだ…」 崇徳:「では、どうすると?」 猫又:「変わらねえよ、てめえをここで一片残さず浄化する!!それだけだ!!」 0:猫又の霊力が膨れ上がり、体をオーラが纏う 猫又:「うおおおおおおお!!!」 崇徳:「先ほどとは比べ物にならぬほどに力が増している…これもあの木花臣の力か?」 猫又:「猫多羅天(びょうたらてん)!!」 0:猫又の体がビル2階相当まで大きくなり、その姿は猫とも狼ともとれる姿をしている 崇徳:「これは…面白い……出来るではないか。ようやく暇が潰せそうだ。」 0: 0: 0: 臣:「愛美…?どうしてここに…?」 愛美:「どうしてもなにも、崇徳の霊力がバンバン感じたから急いで外に出たんだよ。ホテルの人もみんな崇徳の霊力で気を失ってた…相当な力だよ…」 臣:「そっか…助けてくれてありがとう愛美。」 愛美:「どういたしまして。それより神門くん、その手に持ってるのは…妬みの剣…?なんであなたが持ってるの!」 神門:「メグミちゃあぁん…会いに来てくれたのカナ?ボクはね、キミを愛してるんだ。キミを手に入れる為にこの剣を手に取ったんだ!この剣でオミくんを殺せばメグミちゃんがボクの元に来てくれるんダロ!」 愛美:「臣を…?何を言ってるの?そんなわけないじゃない!」 神門:「いいや、キミは来てくれるサ…絶対にネ。」 愛美:「臣はやらせない!」 神門:「んん~…キミも邪魔するんなら、あまりしたくはないケド……少し痛い目に合って退いてもらうしかないカナ。アンガルド。」 0:剣を構える神門 臣:「愛美危ない!!」 神門:「エグゾセ・ボンナバン!」 臣:「水泡連弾(すいほうれんだん)!!」 神門:「ちっ!!」 臣:「本当はキミを傷つけたくない、でも愛美を傷つけるっていうなら…仕方がない、僕はキミを倒す。」 神門:「無駄だって言ってるだロ?キミじゃあボクに勝てない!!ジャグアール・フルーレ!」 愛美:「私も居るんだから!お願い、捕らえて!」 神門:「そんな触手、この剣の前では無意味ダヨ!それそれそれぇええ!!」 臣:「僕に接近戦も無意味だ!たぁああああ!!」 神門:「なっ!?」 臣:「おりゃあああ!!」 0:突いてきた神門の腕をいなして突き飛ばす 神門:「がぁあ!何が起きたンダ!?」 臣:「…とても素晴らしい先生から柔術を教わっていてね、このくらいなら出来るんだ。」 神門:「くっ…でもこの程度じゃボクを倒せない…」 0:神門の体を触手が絡みつく 愛美:「こうすれば何もできないでしょ?」 神門:「な、クソ…」 0:瞬間、巨大化した猫又の戦闘で地響きが起きる 臣:「な、なんだ!?」 愛美:「あれ…何……狼…?もしかして、猫又さん?」 臣:「猫又さん…大丈夫…だよね?」 神門:「ふふ…余所見は厳禁ダヨ。」 愛美:「え?きゃあ!!」 臣:「愛美!!」 神門:「もう少し集中しなきゃ、これは殺し合いなんダヨ?何が起きるか分からない。足が届く範囲で拘束するなんて爪が甘いネ。」 臣:「愛美、大丈夫か!」 愛美:「う、うん、大丈夫。」 神門:「…っ。オミくぅん…キミはボクがメグミちゃんを愛してると知ってなお、ボクのメグミちゃんに近づくのカイ?」 臣:「愛美は誰のでもない、ましてや物なんかじゃない!」 神門:「うるさぁい!!メグミちゃんはボクのダゾ!!早くキミを殺さないとメグミちゃんが汚されてしまう…ボクに殺されロオオオオオ!!!エヴァンタイユ・サーブル!!」 臣:「くっ、何度来ても僕には!」 神門:「ボンナリエール!」 0:即座に後退する神門 臣:「なっ!?」 神門:「エグゾセ・ボンナバン!」 臣:「ぐっあああああああああ!!!」 愛美:「臣ぃいいい!!!」 0: 0: 0: 崇徳:「ただ目の前の標的に対し暴れまわる獣…力こそ凄まじいが、実に惜しい。」 猫又:「があぁあああ!!」 崇徳:「知性無き獣には、我は興味はない。それは我が目指すものではないからだ。」 0:懐に帯刀している刀の鞘に手をかける 崇徳:「だが、ここまで楽しめたのは想定外ではあった。感謝しよう。貴様への手土産として、この一太刀を受け取るがいい。」 0: 崇徳:『ハラリと揺れるは髪か桜か 崇徳:舞う桜は血飛沫(ちしぶき)、突き刺す刃は簪(かんざし)の如く 崇徳:果ての果てまで舞い踊れ、夜を彩れ簪夜桜(かんざしよざくら)』 0: 0:細身の刀から地面を抉る程の霊力のこもった斬撃が放たれる 猫又:「ぐうおおおおおおお!!!」 崇徳:「ふむ、この刀を以てしても、その霊力のこもった毛皮に阻まれるか……っ…!これは、なるほど…」 猫又:「がぁああああっ!!」 崇徳:「今感じたぞ、そうか…貴様の内から感じる力。よもや、貴様のその力……ふふふはははは!!!貴様を根底から形作るその力…この我に隠し通せはせぬよ。 崇徳:その力が無ければここで直ぐにでも消していた所だ。だが、その力…まだここで狩るには熟していない。」 0:刀を構える崇徳 崇徳:「その時が来たら貴様を迎え入れよう。それまではここで眠っているがいい。猫又よ。 崇徳:この刀の真髄(しんずい)を見よ。夢閃葬(むせんそう)。」 猫又:「ぐがぁあああああああああ!!!!」 0:体に斬撃を受け、倒れる猫又 崇徳:「気を失い体が元に戻ったか。猫又よ、貴様は生き残り、その内に秘める力を更に増幅させよ。時が満ちる頃を楽しみにしているぞ。」 0: 0: 0: 愛美:「臣!臣!!大丈夫!?臣!!」 臣:「ぐっ…ううう……めぐ、み……大丈夫、わき腹を少し刺されただけだから…」 神門:「ふうん、とっさに軸をズラしたか…やるね、オミくぅん。でもぉ、もう逃げらんないよぉ?」 愛美:「神門くん…!いい加減にして!お願い、切り裂いて!」 0:鎌状になった影が神門を襲う 神門:「くっははは!ボクにそんなの意味ないヨオ!そおら!!」 愛美:「っ…お願い、捕らえて!」 神門:「ははははは!!無駄だって!そんな足掻きはやめて、ボクの元へおいでよ!オミくんの事なんか忘れるような、甘くて甘い甘美な毎日を送らせて、絶対に幸せにしてあげられるヨ!」 愛美:「誰があなたみたいな変態の所なんかに!」 神門:「なっ…!ぐぐ…メグミちゃんはオミくんに毒されてるんだ…そうだ、そうにちがいない…そうだヨナ!!そうに決まってル!!」 臣:「め、めぐみ…」 愛美:「っ、臣?どうしたの?」 臣:「…僕と……リンクをして。」 愛美:「え…?」 臣:「神門くんを抑えるには、それしかない…」 愛美:「で、でも私、人だよ?妖怪じゃない…」 臣:「大丈夫、リンクは霊力を繋げるもの……霊力のある愛美となら出来る…」 愛美:「でも…もうたくさんリンクしてる臣がこれ以上やったら…」 臣:「愛美を…2人助かるにはこれしかない!」 愛美:「…っ…分かったよ……うん、やるよ私。」 神門:「さっきからボクのメグミちゃんと何話してるンダ!!ボクがメグミちゃんとイチャイチャするンダ!アンガルド…アロンジェブラ……!」 臣:「愛美!!手を!」 愛美:「臣!!」 臣:「僕たちの共通の目的は、決まってる!!」 神門:「食らえええええ!!エクスピアシオン・ファンデヴ!!」 臣:「…っ!!!捕らえて!!」 神門:「っ!!?」 0:影の触手が1本伸び、足に絡みつこうとするが切られ消失する 神門:「なんだ…コレ…クソ!!なんでオミくんが!」 愛美:「お願い、貫いて!」 神門:「なっ、ぐうう!!」 臣:「よし、上手くいっ…」 0:ドクン 臣:「っ!?」 愛美:「臣、どうかしたの!?」 臣:「い、いや…」 0:ドクン 臣:「くっ…はぁはあ…」 愛美:「臣、やっぱりさっきの傷が…」 神門:「く、ははは…もうオミくんは戦えないようダネ。さあ、このボクの華麗なる剣技で消してあげるヨ!」 0:ドクン、ドクン 臣:「はぁ…はあ…はあ!はあ!!」 愛美:「臣、臣!!どうしたの!臣!!」 崇徳:「ほお、これは。面白い事になっているな。」 愛美:「崇徳…!?なんでここに!猫又さんは、猫又さんはどうしたの!?」 崇徳:「案ずるな。死んではいない。しかし、木花臣の心配は良いのか?」 臣:「ぐうううがああああ!!!」 0:ドクン、ドクン、ドクン 崇徳:「木花臣、よもや貴様の中にこの霊力があるとはな。どうりで、通常では考えられない事が起きる。」 愛美:「臣ぃいいいいい!!」 臣:「うあぁああああああああ!!!」 0:臣を真っ黒なオーラが包み込む 愛美:「お、臣…?」 崇徳:「『ソレ』はもう木花臣ではない。別の『ナニカ』だ。」 神門:「どういう事ダイ?」 崇徳:「木花臣だったソレは、内の霊力に支配され自我を失った。自我を取り込んだ複数の霊力に浸食されたのだ。」 臣:「グルルルルル…グアアアアアア!!」 愛美:「お…み…?」 神門:「自我を失ってもボクに襲い掛かるなんてネ!ジャグアール・フルーレ!!」 臣:「グルウアアア!!」 神門:「えっ!!なっ!!躱され…」 臣:「ガアアアア!!!」 神門:「ぐはっ…!!」 臣:「フー…フー…!」 崇徳:「侮るな、王野神門。奴は複数の妖怪の力を得ている。霊力とはすなわちその者の力の源。それを複数取り込んでいるという事は、その分強化されている。」 神門:「ちい………フザケルナぁあ!エヴァンタイユ・サーブル!」 臣:「ガアアルルルルルぁアア!!」 神門:「受け止められっ!?」 臣:「ンヌウアア!」 神門:「んがあああっ!」 崇徳:「侮るなと言っただろう。これは奴だからこその強さ、だが理性無き獣に真の強さは無い。」 臣:「グルウウウアアアア!!」 愛美:「臣、もうやめてえええ!!」 崇徳:「我にも手をかけるか、しかしその命…まだ狩るには惜しい。圧執(あっしゅう)。」 臣:「ガアアアア!??」 崇徳:「貴様の底に眠る大いなる霊力。それは我が悲願に必要なものだ。貴様の中に眠っているとは思わなんだ。」 臣:「グッ…ウウ……」 愛美:「臣から離れなさい!お願い、貫いて!」 崇徳:「弱き者の攻撃など、我には効かぬ。」 愛美:「くっ…」 猫又:「ならコイツはどうだ!仙狸(せんり)!!」 0:臣と崇徳の間にエネルギーが撃ち込まれる 崇徳:「ふむ、あれだけの傷を負いながらも目を覚ましたか。」 愛美:「猫又さん!!」 猫又:「舐めんなよ…うっ…!」 崇徳:「とはいえ、満身創痍ではあるようだな。」 神門:「この猫もオミくんも、ボクの剣でやっちゃおうカ?」 崇徳:「……いや、まだだ。」 神門:「え?ここでやっちゃった方がいいデショ!」 崇徳:「この者らにはまだ利用価値がある。」 神門:「でも…ボクは願いを叶える為にこの剣を手にしたんだ、メグミちゃんをボクの物にする為にオミくんを殺さないと…」 崇徳:「我に指図するか?」 神門:「う…分かったヨ。」 猫又:「おいまて、言ったろ…てめえらはここで始末する…」 崇徳:「その傷で強がるな。せっかく生かしてやるんだ、その命を大事にしろ。」 猫又:「く、待ちやがれ!」 愛美:「猫又さん、だめ!そんな傷で戦ったら死んじゃう!」 猫又:「うるせえ女…!」 崇徳:「いずれまた会おう、猫又そして…木花臣。では行くぞ、王野神門。」 神門:「メグミちゃん、必ずキミを迎えに来るカラ。なんていったって、ボクはキミの王子様なんだからネ!」 愛美:「……。」 神門:「じゃあね、メグミちゃん!」 0:崇徳と神門の足元から靄が現れ2人が消える 愛美:「っ…はあ…はあ……やっと終わった…」 猫又:「おい…ガキ、目ぇ覚ませ…おい…」 愛美:「っ、臣…!臣!起きて、臣!」 臣:「う…」 愛美:「臣っ!?」 臣:「う、うあああああああああ!!」 猫又:「おい!どうした!ガキ!!」 臣:「あ、ああ……っ…」 0:再び意識を失う臣 愛美:「臣……!!」 猫又:「ちっ…クソ……なんだってんだよ…なんなんだよ、クソが!!」 愛美:「臣、起きてよ、臣…臣いいいいいい!!」 0: 0: 0: 0: 0: 神門:「本当にこのまま帰ってきちゃって良かったのカナ?」 崇徳:「ああ、これで良い。時が満ちたらその時に奴らが必要になる。」 神門:「トキが満ちたら…ネ。」 崇徳:「それまでしばし待て。なに、そう遠く無いさ。」 神門:「ソッカ。あーあ、早くメグミちゃんに会いたいナぁ…ボクが迎えに行くまで待っててくれるカナ。」 崇徳:「木花臣、猫又…貴様らの内に眠る力……我が手にするまで、存分に育てておくが良い…ふ、ふふははははは…!」 0: 0:

臣:【N】燃え盛る炎が目の前に広がって、2人の焦げた遺体が転がっている 臣:胸が痛い、目から涙が溢れて止まらない…なんで?この遺体は…僕の…なんだ? 臣:瞬間、視界が歪んで場面が変わる、冷たい雨が震える僕の体に降り注ぐ 臣:寒い、寂しい…孤独と恐怖に心が支配されていくのを感じる……どうして僕は…ここでうずくまっているんだろう…僕は、なんだ…? 臣:再び視界が歪み場面が変わる、大きな家の縁側で暖かな陽気に包まれている 臣:顔はハッキリ見えないが、優しそうな男性が僕を撫でてくれる。それを受け入れ僕は再び眠りつく 臣:ここがどこなのかわからない、でもなぜかすごく落ち着くんだ…この空気が、この暖かな手が……とても…落ち着くんだ…… 0: 0: 0:ホテルロビーにて 臣:「はぁ…」 愛美:「臣、どうしたの?今日ずっと元気ないけど…何かあった?」 臣:「いや、何かあったとかじゃないんだけど…」 愛美:「けど?」 臣:「…いや、やっぱなんでもない。ごめんね。」 愛美:「そう?でも、せっかく修学旅行に来てるんだからさ、暗い顔なんてしてたらもったいないよ!」 臣:「そう…そうだよね。うん、楽しまなきゃだよね!」 愛美:「そうそう!それじゃあさっそく、明日の自由時間どこ行くか決めないとね!」 0:臣のバッグがもぞもぞと動き始める 愛美:「え、な、なに!?」 臣:「あ!そうだった!!今すぐあけるね!」 0:バッグを開ける臣 猫又:「ぷはっ!!おせえよガキ!」 愛美:「猫又さんっ!?なんで!?」 猫又:「なんでも何も、ココが着いていけってしつこくてな…なんだって俺がこんな事…にしても、もっとマシな方法があっただろ!」 臣:「ご、ごめんコレしか思いつかなくて…」 猫又:「たく…クソガキが……」 愛美:「なんでココさん猫又さんを着いていかせたんですか?」 猫又:「最近、悪霊共の動きが活発だからだ。女も最近襲われたばっかだろ。」 愛美:「…あ…うん、そうだね…」 猫又:「それにガキにはまだ恐怖の香りが残ってんだ、いつ悪霊に襲われてもおかしくはねえ。」 臣:「学校の皆が襲われないとも限らないもんね…ありがとね猫又さん。」 猫又:「…ふん。感謝しやがれ。」 愛美:「あ、でも、部屋って2人部屋でしょ?さすがに連れていけないよね?ここまで来ちゃったけど…どうするの?」 臣:「そうなんだよね……」 愛美:「ええ、もしかして何も考えてなかったの!?」 猫又:「別に構わねえ。お前らがホテルに居る間はこの近くで待機してっからよ。移動がある時は早めに起きて教えろ、不本意だがまたバッグの中に入る。」 臣:「わ、わかった。」 愛美:「あ、臣。そろそろ夜ご飯の時間だから集まらないと!」 臣:「そっか!ごめん猫又さん、少しだけ外でまってて。」 愛美:「また後でね!」 猫又:「おい、まて!」 臣:「な、なに?」 猫又:「飯、持って来いよな。」 臣:「あ…うん、分かった…」 0: 0: 0:次の日、自由行動時間 愛美:「臣!こっちこっち!」 臣:「愛美、お待たせ。どこ行くか決めた?」 愛美:「もうそりゃたっくさん!」 臣:「じゃあさっそく行かなきゃだね!」 神門:「待ちたマエ!」 臣:「え?」 愛美:「あ、えっとあなたは…」 神門:「忘れたのカイ?ボクは2組の王野神門(おうのみかど)ダヨ。」 愛美:「あ、ごめん…それで神門…くん?どうしたの?」 神門:「キミ達、2人で周るのカイ?」 愛美:「うん、そうだけど…」 神門:「そうか……ならば是非!ボクも同行させて欲シイ!」 臣:「えっ!?」 愛美:「え、えっと…」 神門:「pardon(パードン)。失礼、あまりにも急だったね。ボクはまだこの学校に来たばかりだロウ?悲しい事に…友人が居なくてね。良かったら一緒に周らせてもらえないかと思ったンダ。」 臣:「そっか、神門くんは1年前に日本に来たばかりだしね…」 神門:「ダメならそれでいい、どうカナ?」 愛美:「……ん、そういう事なら…いいよ。臣も良いかな?」 臣:「僕は大丈夫だよ。」 神門:「merci(メルシー)!よろしくね、オミくん、メグミちゃん。」 臣:「うん!よろしくね神門くん!」 愛美:「よろしく!」 神門:「………ああ、よろしく。」 0: 0: 猫又:「だああああ!!くっそあのガキ共…俺を置いていきやがって……! 猫又:どこに行ったか知らねえからどうしようもねえな…どうっすっか……まずは腹ごしらえ…だな。」 0: 0: 0:レストランで昼食を取る3人 愛美:「わあ!美味しそうー!!」 神門:「うん、食欲がそそルヨ。」 愛美:「いただきまーす!あむ……んん、美味しい!」 臣:「僕も……うん、美味しいね。」 愛美:「景色も良いし、食べ物も美味しいし、修学旅行最高だね!」 臣:「そうだね。あ、愛美。口元にオカズ付いて…」 0:神門が指を伸ばし口元を拭う 臣:「な…」 愛美:「あ…」 神門:「ペロ……うん、確かにこれは美味しイネ。」 愛美:「あ、ありがと…神門くん……」 神門:「ふふ、どういたしまシテ。」 臣:「……あーえっと次、どこ行こうか。」 愛美:「え?あー…確かここから近い所に神社があるんだよね。行ってみよっか?」 臣:「神社?どんな神社なんだろう。」 愛美:「確かね、悪縁を切って良縁を結ぶとかって言われてる所らしいよ。」 臣:「そうなんだ、いいご利益がありそうだね。」 神門:「そこでメグミちゃんとボクの良縁も結べたりするのカナ?」 臣:「っ!?」 愛美:「へ?あはは!何言ってるの神門くん、フランスジョークってやつ?」 神門:「ふふ、pardon(パードン)。失礼、もちろんジョークだトモ。」 臣:「……。」 神門:「ん?どうしたんだい?オミくん?怖い顔をシテ…」 臣:「え?あ、いや、なんでもないよ!」 愛美:「やっぱり昨日からおかしいよ?体調悪い?」 臣:「全然!大丈夫大丈夫!ごめんね心配かけて!さ、その神社に行こ!時間がもったいないよ!」 愛美:「え、お、臣待ってよー!」 臣:「………なんなんだこの感じ…胸がざわつく…」 神門:「……ふふ。」 0: 0: 猫又:「んな!んなななな!!なんだこりゃ!」 0:ホテルのキッチンに忍び込んだ猫又 猫又:「んまそうな食材が並んでんじゃねえか…!んでも、そりゃ人は居るわな……んでも腹が減りすぎて背中と腹がくっつきそうだ…… 猫又:くっ……屈辱だが…こうなりゃ背に腹は代えられんねえ……秘技!物乞い!にゃーん……!」 0: 0: 0:神社についた3人 臣:「わぁ……凄いね…大きな三つの鳥居が1つになってるね…」 愛美:「立派な鳥居だね……あ、ほら奥まで行ってみようよ。」 臣:「あ、うん。ん?神門くん?どうかした?」 神門:「……いや、何でもないよ…にしてもすごいねここ……不思議な感じダヨ。」 臣:「うん、凄いよね。奥はもっとそれを感じれるかも。」 神門:「ああ…」 0:突然臣の頭に誰かの声が聞こえる 臣:「え?」 愛美:「ん?どうかした?」 臣:「今、誰かしゃべった?」 愛美:「ううん?何も?」 神門:「ボクも何も言ってなイヨ。」 臣:「気のせい…か……」 愛美:「見て、拝殿だよ。すごい力を感じる…」 臣:「オーラが凄い……」 0:再び声が聞こえる 臣:「っ!!」 神門:「オミくん?大丈夫?」 愛美:「臣、どうしたの?」 臣:「気のせいなんかじゃない、この声……誰?」 愛美:「声?声なんか聞こえないよ?」 臣:「この神社、霊力が流れてる…しかも、強力な…」 愛美:「え?」 神門:「レイリョク…?」 0: 0: 崇徳:「素晴らしい。霊力の流れを感じ取れたか。」 0:臣達の後ろに突然、全身白の衣装を着た男が立って現れる 臣:「っ!」 愛美:「誰!?」 神門:「っ!?」 崇徳:「そう身構えずとも良い。今は争うつもりはない。」 臣:「…いつの間に……全く気が付かなかった…」 愛美:「あ、あなたは誰ですか…少なくとも、人の気配じゃない…何者なんですか?」 0: 臣:【N】僕は…いやおそらく愛美もこの人のただならないプレッシャーを全身の肌で感じていた、こうして立っているだけでやっとなほどの圧が僕達を押さえつけてくる 0: 崇徳:「ほう、我を前にしても意識を失わず立っていられるか。」 臣:「くっ……神門くん、大丈夫…?」 神門:「大丈夫…ダヨ……でも、胸が締め付けられるような…この感覚はなんダイ…」 崇徳:「そうだ、まだ先ほどの問いに答えていなかったな。これはすまなかった。 崇徳:我の名は「崇徳(すとく)」この神社に祀られ、そして畏怖される存在。この世の裏を手中に収めんとする者だ。」 愛美:「すとく……すとく…?それって、日本の大怨霊(だいおんりょう)として名前が挙がるあの!?」 臣:「愛美、知ってるの?」 愛美:「少しだけ…ね…まさかこんな形で会えるなんて……でもなんでその崇徳が私たちの前に…」 崇徳:「いやなに、貴様らの事を一目見ておきたくてな。特に……そこに居る臣とやらの事はな。」 臣:「僕…?」 崇徳:「ふむ…まだ未熟だが確実に力を身に着けているようだな。いずれ我が悲願の弊害になりかねない、ここで芽を摘んでおくのもよさそうだ。」 臣:「芽を…摘む?それって…」 崇徳:「しかし……そうだな…」 0:神門に目を向ける崇徳 神門:「…?」 崇徳:「ふっ……いや、もうしばらく様子を見ても良いかもしれないな。今の貴様程度など、我が配下達で十分だ。」 愛美:「配下…?」 崇徳:「火車(かしゃ)、餓者髑髏(がしゃどくろ)、清姫(きよひめ)…配下達が世話になったな。」 愛美:「!?」 臣:「もしかして…あなたが…火車の言っていた「あの方」!」 崇徳:「ようやく会えたな。我も会いたかったぞ、木花臣。」 臣:「どうして…僕なんかに…」 崇徳:「ただの人間が、妖とリンクをし、そして悪霊と化した人間を元に戻した…通常では考えにくい事だ。しかし、貴様はそれが出来ている。実に興味深い、そして実に不愉快なのだ。」 臣:「そんな事言われても…僕が知りたいくらいだ…」 崇徳:「そうだな、すまない。我もお前の立場であれば同じ事を思っているだろう。引き留めて悪かったな貴様ら、今我は貴様らをどうにかするつもりはない、さあ帰るが良い。」 愛美:「…何を企んでいるのか分からないけど……私達じゃ、あなたに敵わない。それくらいは分かる。」 崇徳:「貴様の様な聡明な者は我は好みだぞ。」 愛美:「……臣、神門くん、早くここから逃げよ…!」 臣:「う、うん…神門くん動ける?」 神門:「…大丈夫…ダヨ……」 崇徳:「また会おう、木花臣。」 臣:「……。」 0: 0: 0:夕暮れ、ホテルのロビーに着いた3人 臣:「やっと、ホテルに戻って来れた……」 愛美:「なんか安心したら、足の力抜けちゃった…」 臣:「大丈夫?なにか飲み物買ってくるよ。」 神門:「ボクが買ってくるヨ、足を引っ張ってしまったかラネ。」 臣:「神門くんもまだ万全じゃないでしょ、僕が行くからいいよ。」 神門:「大丈夫大丈夫、心配してくれてありがとうネ。買ってくるから待っててクレ。」 0:自販機に向かう神門 臣:「あ…大丈夫かな…」 猫又:「おい!お前ら!やっと帰ってきやがったな!どこ行ってたんだ!」 臣:「え、猫又さん!?人がいるからこんな所で出てきちゃだめだよ!」 猫又:「知るか!こちとら大変だったんだからな!」 愛美:「そういえば…朝、猫又さんに何も言わないで出ちゃったもんね…」 猫又:「そのせいで散々な目にあったんだ…っくそ…」 臣:「うっ…ごめん…」 猫又:「…それにしてもお前ら……嫌な香りがするな。」 愛美:「え?」 神門:「お待たせ、買ってきたヨ。」 臣:「あっ、ありがとう神門くん!」 神門:「おや、猫かい?可愛いネ、このホテルの猫カナ?」 猫又:「っ…にゃー…」 愛美:「さ、さー?どうだろ?」 神門:「片目がケガしてるのカナ、見えないみたいだ。可哀そうに…大丈夫カイ?」 猫又:「にゃ、にゃー」 臣:「あー、神門くん。夕食までまだ時間あるし、一旦部屋に戻って休もうか?さすがに疲れたし、ね?」 神門:「それもそうだネ。それじゃあ、先に戻って休むとするヨ。」 臣:「この猫は僕の方でホテルの人に話しておくから、じゃあまた後でね。」 神門:「よろしく頼むネ。」 愛美:「なんとかなったね…ごめん、私も少し休むね…さすがに疲れた…」 臣:「うん、猫又さんには僕から何があったか説明するね。」 猫又:「とんでもねえ事があったのは匂いで分かるが、詳しく聞かせろ。」 0: 0:ホテル裏のベンチ 0: 猫又:「崇徳…ねぇ……聞いた事はねぇが、お前らが付けてきた香りからバケモノじみたのを感じる。対面したら俺でさえすくむレベルだろうな。」 臣:「立ってるのがやっとな程の圧を感じた…火車も凄かったけど、比べ物にならない程だった……」 猫又:「奴を従えてるのは伊達じゃねえって事か、なんだってお前らの前に姿を現したんだ。」 臣:「僕が悲願の弊害になりかねないって言ってた、通常では考えられない事を出来ているからだって。」 猫又:「リンクの事か…なるほどな。」 臣:「やっぱり…普通じゃありえない事なのかな…」 猫又:「ありえねえかどうかは分からねえが、前例を聞いた事はねえな。恐らくは、お前の中にある霊力の影響だとは思うが。」 臣:「やっぱりこの奥にある霊力の…」 0:猫又の全身の毛が逆立つ 猫又:「っ!!なんだ…この気配……異常なまでの霊力が…」 臣:「猫又さん!くあっ!!?この…感じ……まさか…」 猫又:「…おい、アホみてえに霊力ダダ漏らしてる奴…近くに居んだろ?出てきやがれ!」 崇徳:「愛くるしい見た目とは裏腹に口の悪い猫だ。」 0:目の前に突如現れる崇徳 猫又:「はんっ!見た目で判断してっと痛い目見るぜ。」 崇徳:「それもそうだな、すまない。木花臣、先ほどぶりだな。」 臣:「…少し、再会が早いんじゃないかな…」 崇徳:「すまない、早々に会いたくなってしまったのだ。これも貴様の魅力故なのだろう。」 猫又:「ゴチャゴチャうるせえ!てめぇが火車達の言う『あの方』ってのは聞いた、こんな所まで大将が来るってのはよっぽどな用件なんだろうな!」 崇徳:「癇癪(かんしゃく)持ちなのは猫特有か否か…まあいい、すまない。結論から伝えよう。我は、そこに居る木花臣を消しに来た。」 猫又:「んなっ!」 臣:「さっきは、今はどうするつもりはないって…」 崇徳:「ああ、その時は何もしなかっただろう?今はその時ではない。今は今だ。何も不思議がる事ではないだろう。」 臣:「くっ…」 猫又:「はいそうですかと、簡単にやらせるわけねえだろ!おい、ガキ!構えろ、ここでコイツを叩く!」 臣:「猫又さん…でも、勝てるかどうか…」 猫又:「勝てるかどうかじゃねえ!てめえは黙ってヤラれてえのか!足掻きもせずコイツに消されてえのか!そんな簡単に死を受け入れたとしたら、今までてめぇを守ってきた奴らの頑張りを否定する事になるんだぞ!」 臣:「…っ!」 崇徳:「熱いな…その熱意、実に良いな。しかし、その熱こそ打ち砕きたくなるという物…木花臣、貴様には特別な贈り物を用意している。」 臣:「なんだ…?」 崇徳:「さあ、来たまえ。」 0:物陰からゆっくりと歩いてくる影 臣:「なっ!!?なんで…!?」 猫又:「コイツは…どういう事だ…」 崇徳:「木花臣、貴様にはこの者と殺しあって貰う。」 神門:「bonjuour(ボンジュール)、オミくん。」 臣:「な、なんで神門くんが…崇徳と…」 神門:「ボクはホテルに戻ってから部屋で横になっていたんだけどね、突然頭の中に彼の声が聞こえてネ。最初こそ恐怖を覚えていたけれど、とっても惹かれる提案をしてもらったんだ。」 崇徳:「初めにこの者を見た時、心の臓に纏(まと)わりつく邪気(じゃき)を感じた。こやつは化ける、そう確信したのだ。」 猫又:「提案ってのはなんだ。」 神門:「ボクの願いが叶うように力を与えてやる、だからオミくんを消せってね。」 臣:「なん…だって…それを吞んだの、神門くん!」 神門:「biensur(ビアンシュール)、当たり前じゃないか!だってボクの願いは、メグミちゃんを手に入れる事なんだカラ!」 臣:「っ!?」 神門:「メグミちゃんをボクの物にするには、オミくん…キミの存在が非常に邪魔なんだ!ずっと、ずっとずっとずっと!邪魔だったんだヨ!これは良い機会だと思わないカイ?ああ、最高に良い機会だと思ったサ!だから、この提案に乗ったんダヨ。」 崇徳:「見ろ、この者の内に渦巻く邪(よこしま)な感情を。実に美しいと思わないか?我はこれを非常に気に入ったのだ。」 猫又:「っざけやがって…人間はてめえのオモチャじゃねえんだぞ!」 崇徳:「当然、そんなものだとは思わないさ。ただ、我が悲願の為の糧にはなって貰うがね。」 0:崇徳は腰に抱えていた包帯に包まれた棒状のものを取り出した。 猫又:「なんだそりゃ…」 崇徳:「さあ、王野神門よ。これを手にするがいい。」 神門:「これは…?」 崇徳:「『妬みの剣』。自身の劣情を増幅させ、力を授ける魔剣だ。」 神門:「妬みの…剣…」 臣:「っ!愛美が餓者髑髏と清姫と戦った時に奪われたって言ってた剣…!」 崇徳:「さあ、魔剣に意識を集中させるのだ。貴様の願いを、想いを、悪意を!」 神門:「…っ!くっ…!」 0:妬みの剣に黒い靄が滲み出て、神門を包んでいく 神門:「ぐうぅ…があぁあああ!」 臣:「神門くん!!」 猫又:「んのやろおお!!仙狸(せんり)!!」 崇徳:「せっかくの儀式を邪魔するな、猫又よ。」 猫又:「んな!片手で受け止めやがった!?」 神門:「ぐうっああああ……!!」 臣:「神門くん!大丈夫!?神門くん!!」 神門:「はぁ…はぁ……大丈夫サ…ああ……大丈夫だとモ…オミくん…」 臣:「神門…くん?」 神門:「くっはははははは!!大丈夫に決まっているじゃなイカ!力が漲って来て実に最高な気分ダヨ!!」 猫又:「ちっ!完全に喰まれたか!」 崇徳:「やはり貴様は逸材だ。人間の身でありながらその魔剣の憎悪を受け入れられるとは。」 神門:「オミくぅ~ん?今ボクは最高に良い気分なんだ、大人しくぅ~…ヤラレテくれるヨネ?そしてボクのメグミちゃんから退いてクレ!!」 臣:「愛美とは友達だ、でも…その大切な友達を今の神門くんには任せられない!」 神門:「…ふうぅん……ソッカ……じゃあぁあ…消えてクレっ!!」 0:魔剣を握った神門が地面を蹴り、剣の切っ先で突いてくる 臣:「ぐっ!?」 猫又:「ガキ!!」 崇徳:「他人の心配より自身の心配をしたらどうだ?」 猫又:「んなっ!?」 崇徳:「圧執(あっしゅう)。」 0:圧縮された空気が地面を丸くえぐり取る 猫又:「っぶねぇ…!」 崇徳:「ふむ、簡単にやられてしまうとつまらないからな。せいぜい生き残れる選択をしてくれ?」 猫又:「ざけやがって…!!」 0: 0: 0: 神門:「既所(すんでのところ)で躱したカ…知っているカイ?オミくぅん…」 臣:「はぁ…はあ…何が…?」 神門:「ボクはねぇ、これでもフェンシングで全国トップ5内に入る程の実力なんだヨ…」 臣:「えっ…?」 神門:「剣を持ったボクに、キミが敵うと思わない事ダネ!!エヴァンタイユ・サーブル!」 0:目にもとまらぬ速さで切り付けてくる 臣:「くっ!!早い…!」 神門:「ジャグアール・フルーレ!」 臣:「がっ!?ぐっ!!」 神門:「それそれそれぇえええ!!どうしたのぉ!オミくぅううん!!さっきから躱してばっかじゃないかぁああ!」 臣:「く、くそっ…!!」 神門:「致命傷こそ外していても、その傷だらけの体じゃあどこまで持つカナ!!」 臣:「っ…はぁ…はあ…はあ……なんてつよさだ…」 神門:「こんな雑魚がメグミちゃんの傍にいるなんて、役不足ダヨ。さっさと死んでその座をボクに渡すんダネ。」 臣:「今のキミには…渡せないって…言っただろ…」 神門:「残念ダヨ、オミくん。アンガルド…痛み無く消してあげるヨ。アロンジェブラ……エクスピアシオン・ファンデヴ!!」 0:高速で全身で切りかかる神門 愛美:「お願い!守って!!」 0:影の塊が神門の攻撃を防ぐ 神門:「なっ…」 臣:「これって……」 愛美:「お待たせ、臣!ひどくコテンパンにやられちゃったみたいね。」 0: 0: 0: 崇徳:「ふむ、つまらんな。猫又の中でも貴様は相当な手練れのようだが…」 猫又:「こんの…くそがぁああ!仙狸(せんり)!」 崇徳:「バカの一つ覚えのように放っているが、それは我には効かんと知っているだろう。」 猫又:「ちっ…さっきより出力を上げてんのに変わらず片手で防ぎやがる…」 崇徳:「暇の潰しにもならんのか?であれば早々に貴様を浄化してやろうか?」 猫又:「はっ!!ほざいてられんのも今の内だっての!金華猫(きんかびょう)!!」 崇徳:「ふむ、悪くはない。」 猫又:「っ!!な…!?」 崇徳:「だが、この程度では我の足元にも及ばんな。」 猫又:「ちっ…嘘だろ…」 崇徳:「猫又よ。貴様はなぜそうまでして我の前に立つ?なぜあの人間の肩を持つ?」 猫又:「ああ?んなもん簡単な話だ。てめぇが気に食わねえからだ。」 崇徳:「ほう?そうか、気に食わないか。なんとも粗末な回答だ。」 猫又:「粗末で結構だ。人の命を粗末にしてるてめえよりはマシだ。」 崇徳:「人の命を…?ああ、なるほどそういう事か。我は命を粗末にはしていない、我が悲願の為の糧としただけだ。命は種となり肉となり、悲願の為の養分になるのだ。」 猫又:「養分…?糧?なに意味わかんねえ事言ってんだ…?てめえは王様にでもなった気でいんのか…?あっち側の奴らが全員お前の為に生きてるとでも思ってんのか?てめえみてえに身勝手に人殺したり悪霊化させるような、命を弄ぶクソ野郎を許せるほど俺はな…出来ちゃいねえんだ…」 崇徳:「では、どうすると?」 猫又:「変わらねえよ、てめえをここで一片残さず浄化する!!それだけだ!!」 0:猫又の霊力が膨れ上がり、体をオーラが纏う 猫又:「うおおおおおおお!!!」 崇徳:「先ほどとは比べ物にならぬほどに力が増している…これもあの木花臣の力か?」 猫又:「猫多羅天(びょうたらてん)!!」 0:猫又の体がビル2階相当まで大きくなり、その姿は猫とも狼ともとれる姿をしている 崇徳:「これは…面白い……出来るではないか。ようやく暇が潰せそうだ。」 0: 0: 0: 臣:「愛美…?どうしてここに…?」 愛美:「どうしてもなにも、崇徳の霊力がバンバン感じたから急いで外に出たんだよ。ホテルの人もみんな崇徳の霊力で気を失ってた…相当な力だよ…」 臣:「そっか…助けてくれてありがとう愛美。」 愛美:「どういたしまして。それより神門くん、その手に持ってるのは…妬みの剣…?なんであなたが持ってるの!」 神門:「メグミちゃあぁん…会いに来てくれたのカナ?ボクはね、キミを愛してるんだ。キミを手に入れる為にこの剣を手に取ったんだ!この剣でオミくんを殺せばメグミちゃんがボクの元に来てくれるんダロ!」 愛美:「臣を…?何を言ってるの?そんなわけないじゃない!」 神門:「いいや、キミは来てくれるサ…絶対にネ。」 愛美:「臣はやらせない!」 神門:「んん~…キミも邪魔するんなら、あまりしたくはないケド……少し痛い目に合って退いてもらうしかないカナ。アンガルド。」 0:剣を構える神門 臣:「愛美危ない!!」 神門:「エグゾセ・ボンナバン!」 臣:「水泡連弾(すいほうれんだん)!!」 神門:「ちっ!!」 臣:「本当はキミを傷つけたくない、でも愛美を傷つけるっていうなら…仕方がない、僕はキミを倒す。」 神門:「無駄だって言ってるだロ?キミじゃあボクに勝てない!!ジャグアール・フルーレ!」 愛美:「私も居るんだから!お願い、捕らえて!」 神門:「そんな触手、この剣の前では無意味ダヨ!それそれそれぇええ!!」 臣:「僕に接近戦も無意味だ!たぁああああ!!」 神門:「なっ!?」 臣:「おりゃあああ!!」 0:突いてきた神門の腕をいなして突き飛ばす 神門:「がぁあ!何が起きたンダ!?」 臣:「…とても素晴らしい先生から柔術を教わっていてね、このくらいなら出来るんだ。」 神門:「くっ…でもこの程度じゃボクを倒せない…」 0:神門の体を触手が絡みつく 愛美:「こうすれば何もできないでしょ?」 神門:「な、クソ…」 0:瞬間、巨大化した猫又の戦闘で地響きが起きる 臣:「な、なんだ!?」 愛美:「あれ…何……狼…?もしかして、猫又さん?」 臣:「猫又さん…大丈夫…だよね?」 神門:「ふふ…余所見は厳禁ダヨ。」 愛美:「え?きゃあ!!」 臣:「愛美!!」 神門:「もう少し集中しなきゃ、これは殺し合いなんダヨ?何が起きるか分からない。足が届く範囲で拘束するなんて爪が甘いネ。」 臣:「愛美、大丈夫か!」 愛美:「う、うん、大丈夫。」 神門:「…っ。オミくぅん…キミはボクがメグミちゃんを愛してると知ってなお、ボクのメグミちゃんに近づくのカイ?」 臣:「愛美は誰のでもない、ましてや物なんかじゃない!」 神門:「うるさぁい!!メグミちゃんはボクのダゾ!!早くキミを殺さないとメグミちゃんが汚されてしまう…ボクに殺されロオオオオオ!!!エヴァンタイユ・サーブル!!」 臣:「くっ、何度来ても僕には!」 神門:「ボンナリエール!」 0:即座に後退する神門 臣:「なっ!?」 神門:「エグゾセ・ボンナバン!」 臣:「ぐっあああああああああ!!!」 愛美:「臣ぃいいい!!!」 0: 0: 0: 崇徳:「ただ目の前の標的に対し暴れまわる獣…力こそ凄まじいが、実に惜しい。」 猫又:「があぁあああ!!」 崇徳:「知性無き獣には、我は興味はない。それは我が目指すものではないからだ。」 0:懐に帯刀している刀の鞘に手をかける 崇徳:「だが、ここまで楽しめたのは想定外ではあった。感謝しよう。貴様への手土産として、この一太刀を受け取るがいい。」 0: 崇徳:『ハラリと揺れるは髪か桜か 崇徳:舞う桜は血飛沫(ちしぶき)、突き刺す刃は簪(かんざし)の如く 崇徳:果ての果てまで舞い踊れ、夜を彩れ簪夜桜(かんざしよざくら)』 0: 0:細身の刀から地面を抉る程の霊力のこもった斬撃が放たれる 猫又:「ぐうおおおおおおお!!!」 崇徳:「ふむ、この刀を以てしても、その霊力のこもった毛皮に阻まれるか……っ…!これは、なるほど…」 猫又:「がぁああああっ!!」 崇徳:「今感じたぞ、そうか…貴様の内から感じる力。よもや、貴様のその力……ふふふはははは!!!貴様を根底から形作るその力…この我に隠し通せはせぬよ。 崇徳:その力が無ければここで直ぐにでも消していた所だ。だが、その力…まだここで狩るには熟していない。」 0:刀を構える崇徳 崇徳:「その時が来たら貴様を迎え入れよう。それまではここで眠っているがいい。猫又よ。 崇徳:この刀の真髄(しんずい)を見よ。夢閃葬(むせんそう)。」 猫又:「ぐがぁあああああああああ!!!!」 0:体に斬撃を受け、倒れる猫又 崇徳:「気を失い体が元に戻ったか。猫又よ、貴様は生き残り、その内に秘める力を更に増幅させよ。時が満ちる頃を楽しみにしているぞ。」 0: 0: 0: 愛美:「臣!臣!!大丈夫!?臣!!」 臣:「ぐっ…ううう……めぐ、み……大丈夫、わき腹を少し刺されただけだから…」 神門:「ふうん、とっさに軸をズラしたか…やるね、オミくぅん。でもぉ、もう逃げらんないよぉ?」 愛美:「神門くん…!いい加減にして!お願い、切り裂いて!」 0:鎌状になった影が神門を襲う 神門:「くっははは!ボクにそんなの意味ないヨオ!そおら!!」 愛美:「っ…お願い、捕らえて!」 神門:「ははははは!!無駄だって!そんな足掻きはやめて、ボクの元へおいでよ!オミくんの事なんか忘れるような、甘くて甘い甘美な毎日を送らせて、絶対に幸せにしてあげられるヨ!」 愛美:「誰があなたみたいな変態の所なんかに!」 神門:「なっ…!ぐぐ…メグミちゃんはオミくんに毒されてるんだ…そうだ、そうにちがいない…そうだヨナ!!そうに決まってル!!」 臣:「め、めぐみ…」 愛美:「っ、臣?どうしたの?」 臣:「…僕と……リンクをして。」 愛美:「え…?」 臣:「神門くんを抑えるには、それしかない…」 愛美:「で、でも私、人だよ?妖怪じゃない…」 臣:「大丈夫、リンクは霊力を繋げるもの……霊力のある愛美となら出来る…」 愛美:「でも…もうたくさんリンクしてる臣がこれ以上やったら…」 臣:「愛美を…2人助かるにはこれしかない!」 愛美:「…っ…分かったよ……うん、やるよ私。」 神門:「さっきからボクのメグミちゃんと何話してるンダ!!ボクがメグミちゃんとイチャイチャするンダ!アンガルド…アロンジェブラ……!」 臣:「愛美!!手を!」 愛美:「臣!!」 臣:「僕たちの共通の目的は、決まってる!!」 神門:「食らえええええ!!エクスピアシオン・ファンデヴ!!」 臣:「…っ!!!捕らえて!!」 神門:「っ!!?」 0:影の触手が1本伸び、足に絡みつこうとするが切られ消失する 神門:「なんだ…コレ…クソ!!なんでオミくんが!」 愛美:「お願い、貫いて!」 神門:「なっ、ぐうう!!」 臣:「よし、上手くいっ…」 0:ドクン 臣:「っ!?」 愛美:「臣、どうかしたの!?」 臣:「い、いや…」 0:ドクン 臣:「くっ…はぁはあ…」 愛美:「臣、やっぱりさっきの傷が…」 神門:「く、ははは…もうオミくんは戦えないようダネ。さあ、このボクの華麗なる剣技で消してあげるヨ!」 0:ドクン、ドクン 臣:「はぁ…はあ…はあ!はあ!!」 愛美:「臣、臣!!どうしたの!臣!!」 崇徳:「ほお、これは。面白い事になっているな。」 愛美:「崇徳…!?なんでここに!猫又さんは、猫又さんはどうしたの!?」 崇徳:「案ずるな。死んではいない。しかし、木花臣の心配は良いのか?」 臣:「ぐうううがああああ!!!」 0:ドクン、ドクン、ドクン 崇徳:「木花臣、よもや貴様の中にこの霊力があるとはな。どうりで、通常では考えられない事が起きる。」 愛美:「臣ぃいいいいい!!」 臣:「うあぁああああああああ!!!」 0:臣を真っ黒なオーラが包み込む 愛美:「お、臣…?」 崇徳:「『ソレ』はもう木花臣ではない。別の『ナニカ』だ。」 神門:「どういう事ダイ?」 崇徳:「木花臣だったソレは、内の霊力に支配され自我を失った。自我を取り込んだ複数の霊力に浸食されたのだ。」 臣:「グルルルルル…グアアアアアア!!」 愛美:「お…み…?」 神門:「自我を失ってもボクに襲い掛かるなんてネ!ジャグアール・フルーレ!!」 臣:「グルウアアア!!」 神門:「えっ!!なっ!!躱され…」 臣:「ガアアアア!!!」 神門:「ぐはっ…!!」 臣:「フー…フー…!」 崇徳:「侮るな、王野神門。奴は複数の妖怪の力を得ている。霊力とはすなわちその者の力の源。それを複数取り込んでいるという事は、その分強化されている。」 神門:「ちい………フザケルナぁあ!エヴァンタイユ・サーブル!」 臣:「ガアアルルルルルぁアア!!」 神門:「受け止められっ!?」 臣:「ンヌウアア!」 神門:「んがあああっ!」 崇徳:「侮るなと言っただろう。これは奴だからこその強さ、だが理性無き獣に真の強さは無い。」 臣:「グルウウウアアアア!!」 愛美:「臣、もうやめてえええ!!」 崇徳:「我にも手をかけるか、しかしその命…まだ狩るには惜しい。圧執(あっしゅう)。」 臣:「ガアアアア!??」 崇徳:「貴様の底に眠る大いなる霊力。それは我が悲願に必要なものだ。貴様の中に眠っているとは思わなんだ。」 臣:「グッ…ウウ……」 愛美:「臣から離れなさい!お願い、貫いて!」 崇徳:「弱き者の攻撃など、我には効かぬ。」 愛美:「くっ…」 猫又:「ならコイツはどうだ!仙狸(せんり)!!」 0:臣と崇徳の間にエネルギーが撃ち込まれる 崇徳:「ふむ、あれだけの傷を負いながらも目を覚ましたか。」 愛美:「猫又さん!!」 猫又:「舐めんなよ…うっ…!」 崇徳:「とはいえ、満身創痍ではあるようだな。」 神門:「この猫もオミくんも、ボクの剣でやっちゃおうカ?」 崇徳:「……いや、まだだ。」 神門:「え?ここでやっちゃった方がいいデショ!」 崇徳:「この者らにはまだ利用価値がある。」 神門:「でも…ボクは願いを叶える為にこの剣を手にしたんだ、メグミちゃんをボクの物にする為にオミくんを殺さないと…」 崇徳:「我に指図するか?」 神門:「う…分かったヨ。」 猫又:「おいまて、言ったろ…てめえらはここで始末する…」 崇徳:「その傷で強がるな。せっかく生かしてやるんだ、その命を大事にしろ。」 猫又:「く、待ちやがれ!」 愛美:「猫又さん、だめ!そんな傷で戦ったら死んじゃう!」 猫又:「うるせえ女…!」 崇徳:「いずれまた会おう、猫又そして…木花臣。では行くぞ、王野神門。」 神門:「メグミちゃん、必ずキミを迎えに来るカラ。なんていったって、ボクはキミの王子様なんだからネ!」 愛美:「……。」 神門:「じゃあね、メグミちゃん!」 0:崇徳と神門の足元から靄が現れ2人が消える 愛美:「っ…はあ…はあ……やっと終わった…」 猫又:「おい…ガキ、目ぇ覚ませ…おい…」 愛美:「っ、臣…!臣!起きて、臣!」 臣:「う…」 愛美:「臣っ!?」 臣:「う、うあああああああああ!!」 猫又:「おい!どうした!ガキ!!」 臣:「あ、ああ……っ…」 0:再び意識を失う臣 愛美:「臣……!!」 猫又:「ちっ…クソ……なんだってんだよ…なんなんだよ、クソが!!」 愛美:「臣、起きてよ、臣…臣いいいいいい!!」 0: 0: 0: 0: 0: 神門:「本当にこのまま帰ってきちゃって良かったのカナ?」 崇徳:「ああ、これで良い。時が満ちたらその時に奴らが必要になる。」 神門:「トキが満ちたら…ネ。」 崇徳:「それまでしばし待て。なに、そう遠く無いさ。」 神門:「ソッカ。あーあ、早くメグミちゃんに会いたいナぁ…ボクが迎えに行くまで待っててくれるカナ。」 崇徳:「木花臣、猫又…貴様らの内に眠る力……我が手にするまで、存分に育てておくが良い…ふ、ふふははははは…!」 0: 0: