台本概要

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タイトル 英雄の魔女に弱虫悪魔が乗り移った話
作者名 ゆる男  (@yuruyurumanno11)
ジャンル コメディ
演者人数 4人用台本(男1、女2、不問1)
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 かつて英雄と呼ばれていた魔女が居たが、魔王の手によって亡くなった。
魔女の息子は亡くなった母を生き返らせるためにあるマシーンを作る
そんな時、魔女の魂と悪魔が偶然、本体に乗り移ってしまい大変なことになる。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
サラ 163 英雄の魔女。 魔王との戦いで敗れて亡くなったが、科学者のグレンに蘇らせてもらう
悪魔 不問 138 弱虫悪魔 強くなりたい悪魔が英雄の魔女に乗り移ろうとして失敗する
グレン 95 サラの息子。 科学者。 ツッコミ役だがネーミングセンスが絶妙にダサい
アラン 72 サラの娘。 魔女 弱虫悪魔が可愛く見えて限界化してしまう
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
グレン:よし、完璧 アラン:長かったね、お兄ちゃん グレン:ああ、完成まで3年かかっちまったけど、これでようやく完成だ グレン:母さんを生き返らせることが出来る アラン:天才だよお兄ちゃん! グレン:まあな、母さんが英雄って言われてた頃に比べたら俺もまだまだだけど グレン:これで恩返しになるかな?母さん アラン:うん、お母さんも喜ぶよ!お兄ちゃんがこんな科学者になってるって知ったらね グレン:だといいな グレン:よし、じゃあ準備するぞ、このカプセルの中に母さんを入れよう アラン:うん、冷凍室行ってくるね グレン:頼んだ 0:アランは冷凍室に行く アラン:お母さん・・・ アラン:お兄ちゃんは夢を叶えたよ サラ:・・・アラン サラ:あなたの声は聞こえてるわ、おはよう サラ:と言っても私の声は届かないか サラ:あなたは毎日私の所に来てくれる、本当にありがとう サラ:私の自慢の娘よ アラン:お母さん、あともう少しだからね サラ:待ってるわよ、アラン 悪魔:あ〜〜なんか下界はパッとしないよなー 悪魔:うわ〜この部屋なんか寒気がするな〜 悪魔:悪魔が寒気なんかするもんか!誰だ!弱音吐いた悪魔は! 悪魔:あっ!ワシだぁ〜!弱音吐いちゃった〜! 悪魔:いやいや、今のは違うぞ!弱音のフリした泣き言だ! 悪魔:・・・あ〜!もっとダメだぁ〜! 悪魔:はぁ〜ワシはいつまで経っても強くなれないな〜 悪魔:ん?なんだかとてつもなく強い霊気を感じるぞ? 悪魔:な、なんだーあれは!?霊気が強すぎて青色に光ってるじゃないか! 悪魔:あの強くて青い霊気・・・あの中に入ればワシは強くなれるかもしれない!! アラン:お兄ちゃん!お母さんを運んできたよ グレン:ありがとうじゃあこのカプセルに入れてくれ アラン:あいあいさー! 悪魔:あー!あそこだー!青い霊気! サラ:グレン、アラン、やっと会えるわね グレン:この日の為にずっと勉強してきたんだ アラン:私は見てたよ、お兄ちゃん 悪魔:待てー!霊気ー! サラ:今会いに行くよ! :がっちゃんこ!! 悪魔:いてー! サラ:痛い! :プシュー!! アラン:お兄ちゃん!?煙出てるけど? グレン:大丈夫だ、これは熱で冷凍された母さんを解凍してるんだ 悪魔:あちー!あちーよ! 悪魔:悪魔が熱さに負けるもんか!誰だ!弱音吐いた悪魔は! 悪魔:あっ!ワシだぁ〜!また弱音吐いちゃった〜! サラ:熱い!あつっ! 悪魔:だ、誰!? サラ:え?あなたは? 悪魔:お前から名乗るのが悪魔の筋だろ! サラ:悪魔?私悪魔なんかじゃないわよ? 悪魔:え?悪魔じゃない?じゃあ誰なの? サラ:私は・・・ :ジャアアアアアー!!! アラン:お兄ちゃん!?水出てきたよ!? グレン:大丈夫だ!熱した後に水で冷ましてるだけだ 悪魔:つ、つめてー!やめてよ〜! サラ:な、何よもう!グレンったら、こんな手荒な蘇生方法(そせいほうほう)じゃ本体に負荷がかかるじゃない! サラ:相変わらず乱暴な子ね! 悪魔:言ってる場合か〜!ワシがこの強い霊気の中に入るんだ! サラ:何言ってんの!この体は私のよ! 悪魔:やめろ〜!角引っ張るなー!痛いよ〜! サラ:あなたこそ鼻の穴に肉球突っ込まないでよ! 悪魔:これは肉球じゃない!デビルハンドだ! サラ:めちゃくちゃダサい名前じゃない!かっこいいと思ったの!? 悪魔:うるさい!ばかにすんな!悪魔だぞ! サラ:知らないわよ!私はこの国の英雄の魔女、サラよ! グレン:さあ!生き返れ!母さん! アラン:あ!手が動いてるよ! グレン:そうだ、魂が本体の中に入ってる証拠だ アラン:すごい! サラ:どきなさい! 悪魔:お前がどけ! :ピューー!!!!ボンッ!! グレン:おぉー!! アラン:すごい音鳴ったよ?大丈夫かな? アラン:煙で何も見えない グレン:成功だ・・・ グレン:ほら、見えるだろ?人影が サラ:・・・ふふっ アラン:ほんとだ!お母さんだ! サラ:グレン、アラン グレン:・・・母さん アラン:うぅ〜〜!!お母さん!! サラ:二人とも 悪魔:恐怖のドン底に突き落としてやる!! グレン:・・・え? アラン:・・・今なんて? 悪魔:にょーきっきっきっきっ! グレン:こ、これは・・・ グレン:姿は母さんだけど・・・ グレン:母さんじゃない? アラン:姿はお母さんなのに・・・お母さんじゃない? グレン:すまない!アラン!これはもしかしたら失敗かもしれない! アラン:そ、そんな サラ:グレン、失敗なんかじゃないわ グレン:・・・え? サラ:私はちゃんとここにいる アラン:ほら!お母さんだよ! サラ:グレン!アラン! グレン:母さん!! アラン:お母さん! 悪魔:にょーきっきっきっきっ!ワシはお母さんじゃないよ!悪魔だ! グレン:え!?また人格が変わったような・・・ 悪魔:ワシがお前らのお母さんの体を乗っ取ったのだ! アラン:・・・どういうこと? サラ:違うわよ!私はまだ乗っ取られてないわ! グレン:母さんだ! 悪魔:母さんではない! アラン:お母さんじゃない? サラ:お母さんよ! グレン:母さんだ グレン:待って待って!ちょっと状況が掴めないんだけど、母さんなの? サラ:母さんよ! 悪魔:母さんじゃない! アラン:説明してよー!お兄ちゃん!どうなったんの!? グレン:わ、わからない、本人に聞いてみる? サラ:私が本体に入ろうと思ったらこの悪魔が乗り移ってきたの! 悪魔:うるさい!お前が先に魂抜けるのが悪いんだ! グレン:な、なるほど、よくわかったよ グレン:つまり、母さんを生き返らそうとしたと同時に悪魔が乗り移って人格が二つになったってことか!? アラン:えー!じゃあ顔が半分悪どい顔になってるのってそういうこと!? グレン:多分? サラ:早く出ていきなさい! 悪魔:お前が出てけー! サラ:んもう!さもないと顔に火の玉投げるわよ!? 悪魔:やめてよ〜!熱いの苦手なんだから サラ:えいっ! :ボウっ! 悪魔:あちー! サラ:あちー! グレン:復活早々何してんだよ!! アラン:全然感動の再開って感じしないんだけど グレン:ごめんな・・・こんなつもりじゃなかったんだ アラン:お兄ちゃんは悪くない!この左半分のせいだよ! 悪魔:左半分って言うな!ワシは悪魔だぞ! グレン:まあまあ、事情はわかった、という事で悪魔祓い(あくまばらい)を始めよう 悪魔:あ、悪魔祓い!?なんだその悪魔の毛もよだつような名前は! サラ:そうよ!悪魔なんて除霊すればいいのよ! グレン:人の体に悪魔が乗り移るなんて珍しいことじゃないからな、だから悪魔祓いをスムーズに行える道具を作った グレン:その名も!デビル・ゲットアウェイ! サラ:名前ダサすぎない!? 悪魔:かっこいい名前だ・・・ サラ:あんたが反応すなー! グレン:この道具は悪魔祓いが出来るわけだが少々魔力が必要なんだ グレン:俺には魔力がない、という事でアラン! アラン:あいあいさー! グレン:デビル・ゲットアウェイで悪魔祓いをしてやれ! アラン:うん! サラ:アラン!あなた、魔力使えるのね!さすが私の子よ! アラン:任せてー!じゃあ 悪魔:やめてえええ!!追い払わないでぇぇ〜! グレン:そんな泣き言もここまでだ サラ:アラン!思い切りやって! アラン:う、うん! 悪魔:やだぁ〜〜!やめてええ〜! グレン:アラン? アラン:わ、わかってる 悪魔:ねえ、お願い アラン:・・・くっ!ダメだ!可愛すぎて出来ない! グレン:同情してんじゃねーよ! グレン:俺の3年間が無駄になるだろ! アラン:ワンチャン無駄になってもいいくらい可愛すぎる! グレン:ふざけんなー! グレン:よくよく考えてみろ!半分母さんだぞ? サラ:おいおい!母さんをなんだと思ってる? アラン:じゃあいけそう! サラ:いけるな!!素直に悲しいわ! 悪魔:お前たち、冷静になってよ 悪魔:ワシにその機械を使ったとしたらこの女も一緒に除霊されるってことだぞ? グレン:なんでだよ、母さんは悪魔じゃねーぞ! 悪魔:ワシが連れ去ってやるさ、にょーきっきっきっきっ! グレン:さっきからそれ笑い方なんか!?クセありすぎだろ! 悪魔:クセじゃない!悪魔だ! グレン:知るか!早く出てけ! 悪魔:いーやーだー!強い霊気と一緒に居ればワシも強くなれるんだ! サラ:強くなってどうすんのよ! 悪魔:悪魔が弱いなんてみっともないじゃないか〜! アラン:確かに、悪魔ってもっとこう、恐ろしいって感じだけど可愛いもんね 悪魔:そうだろ〜わかってくれる〜? アラン:うん、わかるよ! グレン:おい、同情すな サラ:でもねー悪魔さん、強い抜け殻に入ったとしても強くなれるわけじゃないのよ? サラ:私はこの国の英雄、ただで強くなれたわけじゃない 悪魔:え?そうなの? サラ:そうよ、私が生き返ったってことはどういうことか・・・ :ぐわああああぁぁぁ!!! 0:4人の目の前には巨大な魔物が現れる サラ:身をもって体験しないとね、悪魔さん 悪魔:ぎぃぃやああぁぁー!! グレン:うわあああ!!母さんがまだ生き返ってない時こんな魔物出たことなかったのに! :ぐわああああぁぁぁ!!! アラン:お母さんの霊気がよみがえったからだよね、みんな霊気が目当てなんだ サラ:さあ?悪魔さん?私の体を自由に使ってみなさい? 悪魔:無理だよ〜!怖いよ〜! 悪魔:悪魔が怖がったりするもんか!誰だ!弱音吐いた悪魔は! 悪魔:あっ!ワシだ〜!でもこの状況は助けてよ〜!! サラ:何言ってんの、早く戦いなさい。じゃないと グレン:これが科学の力!トルネードファイアー! サラ:名前ダサっ! アラン:アイスニードル! サラ:アランも魔法いい感じに使えてるじゃない! サラ:ほら、悪魔さん、早くしないと私の子供たちが魔物を倒しちゃうよ? 悪魔:なんでお前らこんなに強いんだよー! :ぐわああああぁぁぁ!!! 悪魔:なんか火、吐き出さなかった!? サラ:出すよ、魔物だもん 悪魔:ワシが思ってた魔物と違うよ〜!! サラ:そうね、私を狙う魔物はみんなとんでもなく強いの サラ:悪魔のあなたなんかよりよっぽど恐ろしいわ 悪魔:く、くそ〜! グレン:うぐっ! アラン:お兄ちゃん! アラン:よくもお兄ちゃんを・・・うわぁ! サラ:グレン!アラン! サラ:手を抜いてる場合じゃなかったか 悪魔:そうだよ〜!早く助けてってば〜! サラ:今やるからあなたは力抜いてて 悪魔:うん、脱力〜! サラ:ツナミ!! :ぐわああああぁぁぁ!!! サラ:あなたは火を吹くから水に弱いでしょ? サラ:今よ!アラン! アラン:なるほど、濡れてる状態なら凍りやすい アラン:アイスバウンド! アラン:よし!凍った! グレン:うおおおー!!イナズマハンマー!! :パリーーーン!!! 悪魔:な、なんだよこいつら グレン:さすが母さん、腕が鈍ってない! サラ:がむしゃらに戦ってても勝てないわよ アラン:やったー!倒したー! 悪魔:ちょーかっけーじゃーん! サラ:はあ、久しぶりに動いたからお腹すいたわ サラ:ご飯にしましょ、グレン、アラン アラン:やったー!お母さんの手作り料理だぁー! グレン:ひっさしぶりだー! 0:3人?は食卓を囲む グレン:うめーよー!母さんの飯ー! アラン:お兄ちゃん、ボロボロこぼしてるよ サラ:なんて幸せな時間なのかしら サラ:私も冷めないうちにご飯食べなきゃ、あー 悪魔:いやだー!ピーマン嫌い! サラ:食べさせなさい! 悪魔:やだぁぁ〜! アラン:えぇ・・・ピーマン嫌いなの可愛い グレン:なんでこいつ普通に馴染んでるんだよ サラ:なんで私が私に駄々こねられなきゃいけないのよ! 悪魔:うるさい!食べないったら食べない! サラ:もう、そんなこと言ったら電気ショック顔に当てるわよ!? 悪魔:や、やめろー! :ビリリリ!! 悪魔:あがががが!! サラ:あがががが!! グレン:だから何してんだよ!母さんもバカなのか!? アラン:なんか賑やかになった気分だね グレン:でも体は一つなんだぞ?母さんの顔から悪魔の片鱗が見え隠れしてるのどうなんだよ アラン:いつものお母さんより可愛いと思う グレン:おい サラ:好き嫌いするから弱虫なのよ! 悪魔:黙れ!ピーマン苦いじゃん! グレン:もうずっと喧嘩してるぞ アラン:可愛いじゃん 悪魔:もう怒ったぞー!ワシを誰だと思ってるー! サラ:弱虫悪魔でしょ? 悪魔:誰が弱虫だー!ワシの父上を知らないだろ! グレン:父上? 悪魔:ああ!そうだ!ワシの父上はその昔、世界を悪に変えた悪の大魔王だったんだぞ! アラン:世界を悪に変えたって・・・ 悪魔:ちょっと前に死んじゃったけど、ワシは恐ろしい悪魔の血を受け継いでるんだ! 悪魔:どうだ!ビビったか!? サラ:・・・悪魔さん?その大魔王の名前って 悪魔:大魔王!ベレトだ! グレン:っ! アラン:っ!! 悪魔:うわあ!!何すんだ!! アラン:お兄ちゃん・・・この子、冷やす? グレン:いや、いっそ殺すぞ 悪魔:えええ!!なんでそうなるの? グレン:お前よくノコノコと俺たちと一緒に居れたな グレン:確かにこの国も昔、悪に染められていた グレン:しかしな、3年前、ある一人の魔女と一人の科学者が大魔王ベレトに立ち向かった グレン:二人は大魔王ベレトの除霊に成功したがそれと同時に倒れたんだ グレン:その魔女と科学者の名前は グレン:サラとレイク グレン:俺たちの母さんと父さんだ!! 悪魔:・・・え? サラ:グレン、アラン、一旦落ち着きなさい サラ:悪魔さんは私に乗り移ってるけど本体は私よ? グレン:・・・くっ! 悪魔:そ、そうだよ〜!落ち着けって〜! グレン:なんであの魔王の子供がこんな所に居るんだよ! 悪魔:だって〜!ワシは強くならないといけないんだもん〜! アラン:魔王の子供だからお母さんを狙ったってわけ? 悪魔:たまたまだよ!全然そんなつもりじゃない! グレン:あの魔物を呼んだものお前か? 悪魔:違うってば!全部違うよ! サラ:・・・はぁ サラ:ねえ、悪魔さん? 悪魔:・・・何? サラ:ちょっと出掛けない? 悪魔:え? サラ:アラン、ほうき借りるわね アラン:ちょっと、お母さん!? 0:サラと悪魔はほうきでどこかに飛んで行った 悪魔:どこまで行くの? サラ:どこまで行こうかしら? 悪魔:決めてないのかよ! サラ:悪魔さん、弱虫なのに高いところは大丈夫なの? 悪魔:うん、ワシも空は飛べるからね サラ:さすが、魔王の子供ね 悪魔:・・・ワシ、父上がすごい人だって知ってたけど、父上のこと全然知らないんだ サラ:あら、それなのに脅しの言葉でお父さんの名前を使うのね 悪魔:う、うるさい! 悪魔:でも、お前を殺したのがワシの父上っていうのはちょっと申し訳ない気もする サラ:あら、優しいのね? 悪魔:優しくない、ワシは悪魔だぞ? サラ:優しいわよ、そうね、さすがは・・・ サラ:ベレトの子供ね 悪魔:お前、ワシの父上と戦ったんだろ? 悪魔:なんで優しいって思ったんだ? サラ:あなたのお父さんが世界を悪に染めたって言ったわよね? 悪魔:うん サラ:逆を考えてみて、元々世界はあなたのお父さんの物で、悪魔に渡したくないと反逆者が生まれた サラ:悪魔がどうとか、魔女がどうとかは私も考えたことはないわ サラ:でも、悪魔達が人間達に何をしたか、わかる? 悪魔:わかるわけないよ、ワシは何も知らない サラ:・・・私も知らない 悪魔:え? サラ:悪魔たちは何もしてないのよ、悪魔という名前が悪に聞こえるだけ サラ:種族の差別なんてもう無いと思ってたけど、悪魔は違うみたいね サラ:悪魔は、人の魂が見えるし、人の抜け殻に乗り移る事が出来る サラ:ただそれだけの種族でしょ? 悪魔:・・・そうだよ、ワシは悪さなんてしたことないもん サラ:優しいじゃない 悪魔:・・・女 サラ:私は夫のレイクとベレトに戦いを挑んだけどベレトにやられた サラ:でも、ベレトが最後に私に言った言葉を今でも覚えてる サラ:英雄の魔女でも、ワシを殺せないのかって 悪魔:・・・父上が? サラ:そうよ、これまでに何人もの人達がベレトに戦いを挑んではやられた サラ:ベレトが戦う理由は自分が作り上げた世界と、悪魔たちを守るため サラ:だからまた最後にベレトは言ったのよ サラ:もうこれ以上は誰も傷つけたくは無い、この世からワシを消してくれって サラ:何が悪の大魔王よ、あなたのお父さんは優しいじゃない 悪魔:・・・ サラ:さっきグレンが見せた悪魔祓いの道具あったでしょ? 悪魔:悪魔の毛もよだつあれか サラ:あれには魔力が必要なんだけど、普通の人間が使うと・・・ サラ:使った人間の魂が抜けるのよ 悪魔:・・・じゃあ、もしかして、お前の旦那は! サラ:そう、ベレトを除霊したのは私の夫、レイクよ 悪魔:・・・なんてこった、ワシの父上はお前の大事な旦那まで 悪魔:・・・それでいてお前はなんで父上に同情出来るんだよ 悪魔:お前も父上にやられた魔女だろ? サラ:私も、ベレトの気持ちがわかるからだよ 悪魔:・・・え? サラ:私が生きてることによって平和は失われていく サラ:私が生きてるだけで敵は生まれてしまうのよ サラ:ねえ、悪魔さん、あなたは自分が弱いと言ったわよね? 悪魔:うん サラ:弱さは人の痛みを理解出来る優しい心の持ち主だと思うわ サラ:逆に強さは、人の怒りや悲しみを生み出す事になる サラ:私が英雄と呼ばれてしまっては私にやられた魔物とその仲間たちの怒りを買うの サラ:だから、私はこの世から居なくなるべきだと思う 悪魔:おい、何言ってんだよ サラ:悪魔さん、あなたがベレトの子供だなんて私は本当に運がいいわ サラ:私を見つけてくれて、私に乗り移ってくれてありがとう サラ:ベレトの子供に、ベレトが悪では無いって伝えることが出来たんだもの サラ:それだけで私は後悔はないわ 悪魔:お前、何を考えてる? :ぐわああああぁぁぁ!!! 悪魔:うわあああ!!また魔物が現れた!! サラ:・・・そうよね、 サラ:グレン、アラン、私を生き返らせてくれてありがとう、でも サラ:私が生きていては、私とベレトが終わらせた戦いが無意味になる サラ:私はここでまた、死ぬとするわ 悪魔:おい!!女!!危ないよ!! 悪魔:くぅ! サラ:あら、悪魔さん、避けてくれたの? 悪魔:当たり前じゃん!ばかなことはよせ! サラ:私は本気よ? :ぐわああああぁぁぁ!!! 悪魔:あぶなっ :バーーン!! 悪魔:ぐはっ! サラ:・・・ 悪魔:おい、女、本当に死ぬのかよ サラ:うん、ここでやられて死ぬわ 悪魔:悪魔の前で弱音なんて許さんぞ! 悪魔:強いくせに弱音なんてみっともないじゃないか! サラ:・・・悪魔さん 悪魔:さあ!かかってこい!魔物!ワシが相手だ! :ボオオォォ!! 悪魔:あつー!くない! :バーーン!! 悪魔:いたっ!!くない!! 悪魔:痛くなんかないぞ・・・ 悪魔:この女の心の痛みに比べたらお前の攻撃なんか痛くも痒くもないぞ!! サラ:・・・ふふっ 悪魔:うぐぅ!! 悪魔:がはぁ!! 悪魔:うぎぃ!! 悪魔:はぁ・・・はぁ・・・どうやって魔法使うの? サラ:あなたには無理よ 悪魔:くそっ、戦いたいのに戦えない サラ:もういいのよ、戦いは終わりなんだから 悪魔:・・・もう、終わりか アラン:ツナミ! :バシャァァ!! サラ:・・・え? グレン:ロケットバスター! :ボーーーン!! 悪魔:こいつら・・・ アラン:アイスバウンド! :キーン!! グレン:イナズマハンマー! :パリーーーン!!! サラ:グレン!アラン! グレン:母さんのおかげで戦い方がわかったよ サラ:何をしてるの・・・ アラン:悪魔は別にいいけど、お母さんは見捨てれないよ 悪魔:ぐぬぬ サラ:ダメよ、私も死なないと平和にならない グレン:母さん、俺とアランが母さんを生き返らせたいと思った理由、わかる? サラ:・・・わかるわよ、家族だもの アラン:確かにそれもそうだけど違うよ サラ:何? グレン:人間の魂は死んでから1週間まで、魔女の魂は死んでから5年までこの世に居続ける グレン:だから俺は母さんを生き返らせたいって思って3年間頑張って研究を続けたんだよ グレン:父さんが最後に残した、手紙を読んで欲しくて サラ:・・・手紙? グレン:うん グレン:父さんが書いた手紙にはたった一言書かれてた、読み上げるよ? サラ:・・・うん グレン:君が居る世界が僕にとっての平和だって サラ:・・・何よそれ グレン:母さんは自分が死なないと平和にならないって言ったでしょ? アラン:私たち家族はお母さんが居るから笑えたんだよ グレン:母さんの手料理だって、いつも美味かった アラン:お母さんが居る世界が私たちにとっては平和な世界なんだよ サラ:グレン・・・アラン サラ:私はあなた達を愛してるわ サラ:でもね、やっぱりダメなの グレン:・・・どうして! アラン:私たちと暮らそうよ! サラ:あなた達と暮らすことは簡単よ サラ:でも、あなた達が今後、幸せな家族が出来た時、私のせいでそれを不幸にすることもある サラ:そんなことになったら私は今以上に死にたくなるわ グレン:・・・そんな事言うなよ、母さん! サラ:グレン、あなたは賢い科学者ね、レイクの姿を見て育って立派になったわ、嬉しい アラン:だめだよ!お母さん! サラ:アラン、あなたはしっかり者の魔女よ、魔法は誰かの助けになることに使いなさい サラ:私の魔力はあなたに預ける アラン:・・・お母さん サラ:さあ、グレン、あなたのデビル・ゲットアウェイで私と悪魔さんを除霊しなさい 悪魔:・・・女? グレン:な、何言ってんだよ!あれは悪魔にしか効果は無い サラ:私の魔力があれば魔女の魂も除霊出来るはず サラ:アラン、あなたが私と悪魔さんを除霊するのよ アラン:・・・嫌だよ!出来ない! サラ:アラン、お父さんが手紙で言ってたことわかるよね? サラ:私はお父さんの居る世界に行くだけよ 悪魔:小娘、ワシも覚悟は出来てるぞ アラン:あなたまで 悪魔:ワシの父上も除霊されたんだ 悪魔:お前たちの母親と父親を殺したワシの父上のところに、ワシも、この女と行きたい グレン:・・・わかったよ、アランやってくれ アラン:でも! グレン:父さんの願いは母さんが居る世界で平和に暮らすことだ グレン:その願いを叶えさせてやろう サラ:悪魔さん?除霊されるのは怖い? 悪魔:悪魔は弱音吐かないんだ サラ:ふふっ、そう? アラン:・・・うわああぁぁー!! :バーーン!! 0:アランは悪魔祓いの道具をサラに向けて撃った 0:その瞬間、サラは半透明になった サラ:短い時間だったけど、楽しかったわ グレン:・・・母さん! アラン:お母さん!! 0:サラと悪魔は二つに分かれて消えていった 悪魔:本当によかったのか?女 サラ:ええ、遠い世界から二人を見守ることにするわ サラ:それにしても悪魔さん、強くなったじゃない 悪魔:何がだ? サラ:私を守ってくれたことだよ 悪魔:あ、あれは強くは無い!やられっぱなしだったし サラ:守るもののために戦うことが本当の強さよ サラ:ベレトに負けないくらいあなたは強いわ 悪魔:・・・にょーきっきっきっきっ!あったりまえだ!ワシは悪魔だからな! サラ:ふふっ調子のいい悪魔ね 0:〜END〜

グレン:よし、完璧 アラン:長かったね、お兄ちゃん グレン:ああ、完成まで3年かかっちまったけど、これでようやく完成だ グレン:母さんを生き返らせることが出来る アラン:天才だよお兄ちゃん! グレン:まあな、母さんが英雄って言われてた頃に比べたら俺もまだまだだけど グレン:これで恩返しになるかな?母さん アラン:うん、お母さんも喜ぶよ!お兄ちゃんがこんな科学者になってるって知ったらね グレン:だといいな グレン:よし、じゃあ準備するぞ、このカプセルの中に母さんを入れよう アラン:うん、冷凍室行ってくるね グレン:頼んだ 0:アランは冷凍室に行く アラン:お母さん・・・ アラン:お兄ちゃんは夢を叶えたよ サラ:・・・アラン サラ:あなたの声は聞こえてるわ、おはよう サラ:と言っても私の声は届かないか サラ:あなたは毎日私の所に来てくれる、本当にありがとう サラ:私の自慢の娘よ アラン:お母さん、あともう少しだからね サラ:待ってるわよ、アラン 悪魔:あ〜〜なんか下界はパッとしないよなー 悪魔:うわ〜この部屋なんか寒気がするな〜 悪魔:悪魔が寒気なんかするもんか!誰だ!弱音吐いた悪魔は! 悪魔:あっ!ワシだぁ〜!弱音吐いちゃった〜! 悪魔:いやいや、今のは違うぞ!弱音のフリした泣き言だ! 悪魔:・・・あ〜!もっとダメだぁ〜! 悪魔:はぁ〜ワシはいつまで経っても強くなれないな〜 悪魔:ん?なんだかとてつもなく強い霊気を感じるぞ? 悪魔:な、なんだーあれは!?霊気が強すぎて青色に光ってるじゃないか! 悪魔:あの強くて青い霊気・・・あの中に入ればワシは強くなれるかもしれない!! アラン:お兄ちゃん!お母さんを運んできたよ グレン:ありがとうじゃあこのカプセルに入れてくれ アラン:あいあいさー! 悪魔:あー!あそこだー!青い霊気! サラ:グレン、アラン、やっと会えるわね グレン:この日の為にずっと勉強してきたんだ アラン:私は見てたよ、お兄ちゃん 悪魔:待てー!霊気ー! サラ:今会いに行くよ! :がっちゃんこ!! 悪魔:いてー! サラ:痛い! :プシュー!! アラン:お兄ちゃん!?煙出てるけど? グレン:大丈夫だ、これは熱で冷凍された母さんを解凍してるんだ 悪魔:あちー!あちーよ! 悪魔:悪魔が熱さに負けるもんか!誰だ!弱音吐いた悪魔は! 悪魔:あっ!ワシだぁ〜!また弱音吐いちゃった〜! サラ:熱い!あつっ! 悪魔:だ、誰!? サラ:え?あなたは? 悪魔:お前から名乗るのが悪魔の筋だろ! サラ:悪魔?私悪魔なんかじゃないわよ? 悪魔:え?悪魔じゃない?じゃあ誰なの? サラ:私は・・・ :ジャアアアアアー!!! アラン:お兄ちゃん!?水出てきたよ!? グレン:大丈夫だ!熱した後に水で冷ましてるだけだ 悪魔:つ、つめてー!やめてよ〜! サラ:な、何よもう!グレンったら、こんな手荒な蘇生方法(そせいほうほう)じゃ本体に負荷がかかるじゃない! サラ:相変わらず乱暴な子ね! 悪魔:言ってる場合か〜!ワシがこの強い霊気の中に入るんだ! サラ:何言ってんの!この体は私のよ! 悪魔:やめろ〜!角引っ張るなー!痛いよ〜! サラ:あなたこそ鼻の穴に肉球突っ込まないでよ! 悪魔:これは肉球じゃない!デビルハンドだ! サラ:めちゃくちゃダサい名前じゃない!かっこいいと思ったの!? 悪魔:うるさい!ばかにすんな!悪魔だぞ! サラ:知らないわよ!私はこの国の英雄の魔女、サラよ! グレン:さあ!生き返れ!母さん! アラン:あ!手が動いてるよ! グレン:そうだ、魂が本体の中に入ってる証拠だ アラン:すごい! サラ:どきなさい! 悪魔:お前がどけ! :ピューー!!!!ボンッ!! グレン:おぉー!! アラン:すごい音鳴ったよ?大丈夫かな? アラン:煙で何も見えない グレン:成功だ・・・ グレン:ほら、見えるだろ?人影が サラ:・・・ふふっ アラン:ほんとだ!お母さんだ! サラ:グレン、アラン グレン:・・・母さん アラン:うぅ〜〜!!お母さん!! サラ:二人とも 悪魔:恐怖のドン底に突き落としてやる!! グレン:・・・え? アラン:・・・今なんて? 悪魔:にょーきっきっきっきっ! グレン:こ、これは・・・ グレン:姿は母さんだけど・・・ グレン:母さんじゃない? アラン:姿はお母さんなのに・・・お母さんじゃない? グレン:すまない!アラン!これはもしかしたら失敗かもしれない! アラン:そ、そんな サラ:グレン、失敗なんかじゃないわ グレン:・・・え? サラ:私はちゃんとここにいる アラン:ほら!お母さんだよ! サラ:グレン!アラン! グレン:母さん!! アラン:お母さん! 悪魔:にょーきっきっきっきっ!ワシはお母さんじゃないよ!悪魔だ! グレン:え!?また人格が変わったような・・・ 悪魔:ワシがお前らのお母さんの体を乗っ取ったのだ! アラン:・・・どういうこと? サラ:違うわよ!私はまだ乗っ取られてないわ! グレン:母さんだ! 悪魔:母さんではない! アラン:お母さんじゃない? サラ:お母さんよ! グレン:母さんだ グレン:待って待って!ちょっと状況が掴めないんだけど、母さんなの? サラ:母さんよ! 悪魔:母さんじゃない! アラン:説明してよー!お兄ちゃん!どうなったんの!? グレン:わ、わからない、本人に聞いてみる? サラ:私が本体に入ろうと思ったらこの悪魔が乗り移ってきたの! 悪魔:うるさい!お前が先に魂抜けるのが悪いんだ! グレン:な、なるほど、よくわかったよ グレン:つまり、母さんを生き返らそうとしたと同時に悪魔が乗り移って人格が二つになったってことか!? アラン:えー!じゃあ顔が半分悪どい顔になってるのってそういうこと!? グレン:多分? サラ:早く出ていきなさい! 悪魔:お前が出てけー! サラ:んもう!さもないと顔に火の玉投げるわよ!? 悪魔:やめてよ〜!熱いの苦手なんだから サラ:えいっ! :ボウっ! 悪魔:あちー! サラ:あちー! グレン:復活早々何してんだよ!! アラン:全然感動の再開って感じしないんだけど グレン:ごめんな・・・こんなつもりじゃなかったんだ アラン:お兄ちゃんは悪くない!この左半分のせいだよ! 悪魔:左半分って言うな!ワシは悪魔だぞ! グレン:まあまあ、事情はわかった、という事で悪魔祓い(あくまばらい)を始めよう 悪魔:あ、悪魔祓い!?なんだその悪魔の毛もよだつような名前は! サラ:そうよ!悪魔なんて除霊すればいいのよ! グレン:人の体に悪魔が乗り移るなんて珍しいことじゃないからな、だから悪魔祓いをスムーズに行える道具を作った グレン:その名も!デビル・ゲットアウェイ! サラ:名前ダサすぎない!? 悪魔:かっこいい名前だ・・・ サラ:あんたが反応すなー! グレン:この道具は悪魔祓いが出来るわけだが少々魔力が必要なんだ グレン:俺には魔力がない、という事でアラン! アラン:あいあいさー! グレン:デビル・ゲットアウェイで悪魔祓いをしてやれ! アラン:うん! サラ:アラン!あなた、魔力使えるのね!さすが私の子よ! アラン:任せてー!じゃあ 悪魔:やめてえええ!!追い払わないでぇぇ〜! グレン:そんな泣き言もここまでだ サラ:アラン!思い切りやって! アラン:う、うん! 悪魔:やだぁ〜〜!やめてええ〜! グレン:アラン? アラン:わ、わかってる 悪魔:ねえ、お願い アラン:・・・くっ!ダメだ!可愛すぎて出来ない! グレン:同情してんじゃねーよ! グレン:俺の3年間が無駄になるだろ! アラン:ワンチャン無駄になってもいいくらい可愛すぎる! グレン:ふざけんなー! グレン:よくよく考えてみろ!半分母さんだぞ? サラ:おいおい!母さんをなんだと思ってる? アラン:じゃあいけそう! サラ:いけるな!!素直に悲しいわ! 悪魔:お前たち、冷静になってよ 悪魔:ワシにその機械を使ったとしたらこの女も一緒に除霊されるってことだぞ? グレン:なんでだよ、母さんは悪魔じゃねーぞ! 悪魔:ワシが連れ去ってやるさ、にょーきっきっきっきっ! グレン:さっきからそれ笑い方なんか!?クセありすぎだろ! 悪魔:クセじゃない!悪魔だ! グレン:知るか!早く出てけ! 悪魔:いーやーだー!強い霊気と一緒に居ればワシも強くなれるんだ! サラ:強くなってどうすんのよ! 悪魔:悪魔が弱いなんてみっともないじゃないか〜! アラン:確かに、悪魔ってもっとこう、恐ろしいって感じだけど可愛いもんね 悪魔:そうだろ〜わかってくれる〜? アラン:うん、わかるよ! グレン:おい、同情すな サラ:でもねー悪魔さん、強い抜け殻に入ったとしても強くなれるわけじゃないのよ? サラ:私はこの国の英雄、ただで強くなれたわけじゃない 悪魔:え?そうなの? サラ:そうよ、私が生き返ったってことはどういうことか・・・ :ぐわああああぁぁぁ!!! 0:4人の目の前には巨大な魔物が現れる サラ:身をもって体験しないとね、悪魔さん 悪魔:ぎぃぃやああぁぁー!! グレン:うわあああ!!母さんがまだ生き返ってない時こんな魔物出たことなかったのに! :ぐわああああぁぁぁ!!! アラン:お母さんの霊気がよみがえったからだよね、みんな霊気が目当てなんだ サラ:さあ?悪魔さん?私の体を自由に使ってみなさい? 悪魔:無理だよ〜!怖いよ〜! 悪魔:悪魔が怖がったりするもんか!誰だ!弱音吐いた悪魔は! 悪魔:あっ!ワシだ〜!でもこの状況は助けてよ〜!! サラ:何言ってんの、早く戦いなさい。じゃないと グレン:これが科学の力!トルネードファイアー! サラ:名前ダサっ! アラン:アイスニードル! サラ:アランも魔法いい感じに使えてるじゃない! サラ:ほら、悪魔さん、早くしないと私の子供たちが魔物を倒しちゃうよ? 悪魔:なんでお前らこんなに強いんだよー! :ぐわああああぁぁぁ!!! 悪魔:なんか火、吐き出さなかった!? サラ:出すよ、魔物だもん 悪魔:ワシが思ってた魔物と違うよ〜!! サラ:そうね、私を狙う魔物はみんなとんでもなく強いの サラ:悪魔のあなたなんかよりよっぽど恐ろしいわ 悪魔:く、くそ〜! グレン:うぐっ! アラン:お兄ちゃん! アラン:よくもお兄ちゃんを・・・うわぁ! サラ:グレン!アラン! サラ:手を抜いてる場合じゃなかったか 悪魔:そうだよ〜!早く助けてってば〜! サラ:今やるからあなたは力抜いてて 悪魔:うん、脱力〜! サラ:ツナミ!! :ぐわああああぁぁぁ!!! サラ:あなたは火を吹くから水に弱いでしょ? サラ:今よ!アラン! アラン:なるほど、濡れてる状態なら凍りやすい アラン:アイスバウンド! アラン:よし!凍った! グレン:うおおおー!!イナズマハンマー!! :パリーーーン!!! 悪魔:な、なんだよこいつら グレン:さすが母さん、腕が鈍ってない! サラ:がむしゃらに戦ってても勝てないわよ アラン:やったー!倒したー! 悪魔:ちょーかっけーじゃーん! サラ:はあ、久しぶりに動いたからお腹すいたわ サラ:ご飯にしましょ、グレン、アラン アラン:やったー!お母さんの手作り料理だぁー! グレン:ひっさしぶりだー! 0:3人?は食卓を囲む グレン:うめーよー!母さんの飯ー! アラン:お兄ちゃん、ボロボロこぼしてるよ サラ:なんて幸せな時間なのかしら サラ:私も冷めないうちにご飯食べなきゃ、あー 悪魔:いやだー!ピーマン嫌い! サラ:食べさせなさい! 悪魔:やだぁぁ〜! アラン:えぇ・・・ピーマン嫌いなの可愛い グレン:なんでこいつ普通に馴染んでるんだよ サラ:なんで私が私に駄々こねられなきゃいけないのよ! 悪魔:うるさい!食べないったら食べない! サラ:もう、そんなこと言ったら電気ショック顔に当てるわよ!? 悪魔:や、やめろー! :ビリリリ!! 悪魔:あがががが!! サラ:あがががが!! グレン:だから何してんだよ!母さんもバカなのか!? アラン:なんか賑やかになった気分だね グレン:でも体は一つなんだぞ?母さんの顔から悪魔の片鱗が見え隠れしてるのどうなんだよ アラン:いつものお母さんより可愛いと思う グレン:おい サラ:好き嫌いするから弱虫なのよ! 悪魔:黙れ!ピーマン苦いじゃん! グレン:もうずっと喧嘩してるぞ アラン:可愛いじゃん 悪魔:もう怒ったぞー!ワシを誰だと思ってるー! サラ:弱虫悪魔でしょ? 悪魔:誰が弱虫だー!ワシの父上を知らないだろ! グレン:父上? 悪魔:ああ!そうだ!ワシの父上はその昔、世界を悪に変えた悪の大魔王だったんだぞ! アラン:世界を悪に変えたって・・・ 悪魔:ちょっと前に死んじゃったけど、ワシは恐ろしい悪魔の血を受け継いでるんだ! 悪魔:どうだ!ビビったか!? サラ:・・・悪魔さん?その大魔王の名前って 悪魔:大魔王!ベレトだ! グレン:っ! アラン:っ!! 悪魔:うわあ!!何すんだ!! アラン:お兄ちゃん・・・この子、冷やす? グレン:いや、いっそ殺すぞ 悪魔:えええ!!なんでそうなるの? グレン:お前よくノコノコと俺たちと一緒に居れたな グレン:確かにこの国も昔、悪に染められていた グレン:しかしな、3年前、ある一人の魔女と一人の科学者が大魔王ベレトに立ち向かった グレン:二人は大魔王ベレトの除霊に成功したがそれと同時に倒れたんだ グレン:その魔女と科学者の名前は グレン:サラとレイク グレン:俺たちの母さんと父さんだ!! 悪魔:・・・え? サラ:グレン、アラン、一旦落ち着きなさい サラ:悪魔さんは私に乗り移ってるけど本体は私よ? グレン:・・・くっ! 悪魔:そ、そうだよ〜!落ち着けって〜! グレン:なんであの魔王の子供がこんな所に居るんだよ! 悪魔:だって〜!ワシは強くならないといけないんだもん〜! アラン:魔王の子供だからお母さんを狙ったってわけ? 悪魔:たまたまだよ!全然そんなつもりじゃない! グレン:あの魔物を呼んだものお前か? 悪魔:違うってば!全部違うよ! サラ:・・・はぁ サラ:ねえ、悪魔さん? 悪魔:・・・何? サラ:ちょっと出掛けない? 悪魔:え? サラ:アラン、ほうき借りるわね アラン:ちょっと、お母さん!? 0:サラと悪魔はほうきでどこかに飛んで行った 悪魔:どこまで行くの? サラ:どこまで行こうかしら? 悪魔:決めてないのかよ! サラ:悪魔さん、弱虫なのに高いところは大丈夫なの? 悪魔:うん、ワシも空は飛べるからね サラ:さすが、魔王の子供ね 悪魔:・・・ワシ、父上がすごい人だって知ってたけど、父上のこと全然知らないんだ サラ:あら、それなのに脅しの言葉でお父さんの名前を使うのね 悪魔:う、うるさい! 悪魔:でも、お前を殺したのがワシの父上っていうのはちょっと申し訳ない気もする サラ:あら、優しいのね? 悪魔:優しくない、ワシは悪魔だぞ? サラ:優しいわよ、そうね、さすがは・・・ サラ:ベレトの子供ね 悪魔:お前、ワシの父上と戦ったんだろ? 悪魔:なんで優しいって思ったんだ? サラ:あなたのお父さんが世界を悪に染めたって言ったわよね? 悪魔:うん サラ:逆を考えてみて、元々世界はあなたのお父さんの物で、悪魔に渡したくないと反逆者が生まれた サラ:悪魔がどうとか、魔女がどうとかは私も考えたことはないわ サラ:でも、悪魔達が人間達に何をしたか、わかる? 悪魔:わかるわけないよ、ワシは何も知らない サラ:・・・私も知らない 悪魔:え? サラ:悪魔たちは何もしてないのよ、悪魔という名前が悪に聞こえるだけ サラ:種族の差別なんてもう無いと思ってたけど、悪魔は違うみたいね サラ:悪魔は、人の魂が見えるし、人の抜け殻に乗り移る事が出来る サラ:ただそれだけの種族でしょ? 悪魔:・・・そうだよ、ワシは悪さなんてしたことないもん サラ:優しいじゃない 悪魔:・・・女 サラ:私は夫のレイクとベレトに戦いを挑んだけどベレトにやられた サラ:でも、ベレトが最後に私に言った言葉を今でも覚えてる サラ:英雄の魔女でも、ワシを殺せないのかって 悪魔:・・・父上が? サラ:そうよ、これまでに何人もの人達がベレトに戦いを挑んではやられた サラ:ベレトが戦う理由は自分が作り上げた世界と、悪魔たちを守るため サラ:だからまた最後にベレトは言ったのよ サラ:もうこれ以上は誰も傷つけたくは無い、この世からワシを消してくれって サラ:何が悪の大魔王よ、あなたのお父さんは優しいじゃない 悪魔:・・・ サラ:さっきグレンが見せた悪魔祓いの道具あったでしょ? 悪魔:悪魔の毛もよだつあれか サラ:あれには魔力が必要なんだけど、普通の人間が使うと・・・ サラ:使った人間の魂が抜けるのよ 悪魔:・・・じゃあ、もしかして、お前の旦那は! サラ:そう、ベレトを除霊したのは私の夫、レイクよ 悪魔:・・・なんてこった、ワシの父上はお前の大事な旦那まで 悪魔:・・・それでいてお前はなんで父上に同情出来るんだよ 悪魔:お前も父上にやられた魔女だろ? サラ:私も、ベレトの気持ちがわかるからだよ 悪魔:・・・え? サラ:私が生きてることによって平和は失われていく サラ:私が生きてるだけで敵は生まれてしまうのよ サラ:ねえ、悪魔さん、あなたは自分が弱いと言ったわよね? 悪魔:うん サラ:弱さは人の痛みを理解出来る優しい心の持ち主だと思うわ サラ:逆に強さは、人の怒りや悲しみを生み出す事になる サラ:私が英雄と呼ばれてしまっては私にやられた魔物とその仲間たちの怒りを買うの サラ:だから、私はこの世から居なくなるべきだと思う 悪魔:おい、何言ってんだよ サラ:悪魔さん、あなたがベレトの子供だなんて私は本当に運がいいわ サラ:私を見つけてくれて、私に乗り移ってくれてありがとう サラ:ベレトの子供に、ベレトが悪では無いって伝えることが出来たんだもの サラ:それだけで私は後悔はないわ 悪魔:お前、何を考えてる? :ぐわああああぁぁぁ!!! 悪魔:うわあああ!!また魔物が現れた!! サラ:・・・そうよね、 サラ:グレン、アラン、私を生き返らせてくれてありがとう、でも サラ:私が生きていては、私とベレトが終わらせた戦いが無意味になる サラ:私はここでまた、死ぬとするわ 悪魔:おい!!女!!危ないよ!! 悪魔:くぅ! サラ:あら、悪魔さん、避けてくれたの? 悪魔:当たり前じゃん!ばかなことはよせ! サラ:私は本気よ? :ぐわああああぁぁぁ!!! 悪魔:あぶなっ :バーーン!! 悪魔:ぐはっ! サラ:・・・ 悪魔:おい、女、本当に死ぬのかよ サラ:うん、ここでやられて死ぬわ 悪魔:悪魔の前で弱音なんて許さんぞ! 悪魔:強いくせに弱音なんてみっともないじゃないか! サラ:・・・悪魔さん 悪魔:さあ!かかってこい!魔物!ワシが相手だ! :ボオオォォ!! 悪魔:あつー!くない! :バーーン!! 悪魔:いたっ!!くない!! 悪魔:痛くなんかないぞ・・・ 悪魔:この女の心の痛みに比べたらお前の攻撃なんか痛くも痒くもないぞ!! サラ:・・・ふふっ 悪魔:うぐぅ!! 悪魔:がはぁ!! 悪魔:うぎぃ!! 悪魔:はぁ・・・はぁ・・・どうやって魔法使うの? サラ:あなたには無理よ 悪魔:くそっ、戦いたいのに戦えない サラ:もういいのよ、戦いは終わりなんだから 悪魔:・・・もう、終わりか アラン:ツナミ! :バシャァァ!! サラ:・・・え? グレン:ロケットバスター! :ボーーーン!! 悪魔:こいつら・・・ アラン:アイスバウンド! :キーン!! グレン:イナズマハンマー! :パリーーーン!!! サラ:グレン!アラン! グレン:母さんのおかげで戦い方がわかったよ サラ:何をしてるの・・・ アラン:悪魔は別にいいけど、お母さんは見捨てれないよ 悪魔:ぐぬぬ サラ:ダメよ、私も死なないと平和にならない グレン:母さん、俺とアランが母さんを生き返らせたいと思った理由、わかる? サラ:・・・わかるわよ、家族だもの アラン:確かにそれもそうだけど違うよ サラ:何? グレン:人間の魂は死んでから1週間まで、魔女の魂は死んでから5年までこの世に居続ける グレン:だから俺は母さんを生き返らせたいって思って3年間頑張って研究を続けたんだよ グレン:父さんが最後に残した、手紙を読んで欲しくて サラ:・・・手紙? グレン:うん グレン:父さんが書いた手紙にはたった一言書かれてた、読み上げるよ? サラ:・・・うん グレン:君が居る世界が僕にとっての平和だって サラ:・・・何よそれ グレン:母さんは自分が死なないと平和にならないって言ったでしょ? アラン:私たち家族はお母さんが居るから笑えたんだよ グレン:母さんの手料理だって、いつも美味かった アラン:お母さんが居る世界が私たちにとっては平和な世界なんだよ サラ:グレン・・・アラン サラ:私はあなた達を愛してるわ サラ:でもね、やっぱりダメなの グレン:・・・どうして! アラン:私たちと暮らそうよ! サラ:あなた達と暮らすことは簡単よ サラ:でも、あなた達が今後、幸せな家族が出来た時、私のせいでそれを不幸にすることもある サラ:そんなことになったら私は今以上に死にたくなるわ グレン:・・・そんな事言うなよ、母さん! サラ:グレン、あなたは賢い科学者ね、レイクの姿を見て育って立派になったわ、嬉しい アラン:だめだよ!お母さん! サラ:アラン、あなたはしっかり者の魔女よ、魔法は誰かの助けになることに使いなさい サラ:私の魔力はあなたに預ける アラン:・・・お母さん サラ:さあ、グレン、あなたのデビル・ゲットアウェイで私と悪魔さんを除霊しなさい 悪魔:・・・女? グレン:な、何言ってんだよ!あれは悪魔にしか効果は無い サラ:私の魔力があれば魔女の魂も除霊出来るはず サラ:アラン、あなたが私と悪魔さんを除霊するのよ アラン:・・・嫌だよ!出来ない! サラ:アラン、お父さんが手紙で言ってたことわかるよね? サラ:私はお父さんの居る世界に行くだけよ 悪魔:小娘、ワシも覚悟は出来てるぞ アラン:あなたまで 悪魔:ワシの父上も除霊されたんだ 悪魔:お前たちの母親と父親を殺したワシの父上のところに、ワシも、この女と行きたい グレン:・・・わかったよ、アランやってくれ アラン:でも! グレン:父さんの願いは母さんが居る世界で平和に暮らすことだ グレン:その願いを叶えさせてやろう サラ:悪魔さん?除霊されるのは怖い? 悪魔:悪魔は弱音吐かないんだ サラ:ふふっ、そう? アラン:・・・うわああぁぁー!! :バーーン!! 0:アランは悪魔祓いの道具をサラに向けて撃った 0:その瞬間、サラは半透明になった サラ:短い時間だったけど、楽しかったわ グレン:・・・母さん! アラン:お母さん!! 0:サラと悪魔は二つに分かれて消えていった 悪魔:本当によかったのか?女 サラ:ええ、遠い世界から二人を見守ることにするわ サラ:それにしても悪魔さん、強くなったじゃない 悪魔:何がだ? サラ:私を守ってくれたことだよ 悪魔:あ、あれは強くは無い!やられっぱなしだったし サラ:守るもののために戦うことが本当の強さよ サラ:ベレトに負けないくらいあなたは強いわ 悪魔:・・・にょーきっきっきっきっ!あったりまえだ!ワシは悪魔だからな! サラ:ふふっ調子のいい悪魔ね 0:〜END〜