台本概要
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タイトル | あくしょんクラブ |
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作者名 | ふらん☆くりん (@Frank_lin01) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 4人用台本(男2、女1、不問1) ※兼役あり |
時間 | 50 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
【あらすじ】 子どもの頃に演じたあの世界は現実となった。 【著作権について】 本作品の著作権は全て作者である「ふらん☆くりん」に帰属します。 また、いかなる場合であっても当方は著作権の放棄はいたしません。 【禁止事項】 ●商業目的での利用 ●台本の無断使用、無断転載、自作発言等 ●過度なアドリブ、セリフの大幅な改変等 【ご利用に際してのお願い】 ●台本の利用に際しては作者X(旧ツイッター)DMに連絡をお願いいたします。 ●配信等で利用される場合は①作品名、②作者名、③台本掲載URLを掲示していただけると嬉しいです。 ●たくさんの方の演技を聴きに行きたいので、可能であれば告知文にメンションを付けていただけると嬉しいです。 620 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
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タケル | 男 | 49 | 荒木 タケル(あらき たける)。サキとは幼稚園からの幼なじみ。無類の特撮好き。ヘル・キラーと兼役 |
サキ | 女 | 113 | 水沢 サキ(みずさわ さき)。タケルの幼なじみ。タケルと同じく特撮好き。 |
Dr.MAD | 不問 | 44 | Dr.MAD(ドクター・マッド)。暗黒帝国デスクリムゾンの宰相(さいしょう)にしてヘル・キラーの右腕。 |
ヘル・キラー | 男 | 32 | 闇皇帝ヘル・キラー。暗黒帝国デスクリムゾンの首領。【タケル役の方が演じてください】 |
大東 | 男 | 30 | 大東 司(だいとう つかさ)。地球侵略防衛組織『ミラクルガーディアンズ』の総司令官。 敵キャラ(死霊兵、魔獣兵魔導騎士、暗黒幻龍兵)の唸り声と兼役。 |
敵キャラ | 男 | - | 死霊兵、魔獣兵、魔導騎士、暗黒幻龍兵の唸り声:大東役の方が兼役。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
タイトル:あくしょんクラブ
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登場人物:
タケル:*荒木 タケル《あらき たける》・・・サキとは幼稚園からの幼なじみ。無類の特撮好き。ヘル・キラーと兼役
サキ:*水沢 サキ《みずさわ さき》・・・・タケルの幼なじみ。タケルと同じく特撮好き
Dr.MAD:*Dr.MAD《ドクター・マッド》・・・・・暗黒帝国デスクリムゾンの*宰相《さいしょう》にしてヘル・キラーの右腕。
ヘル・キラー:闇皇帝ヘル・キラー・・・・暗黒帝国デスクリムゾンの首領。【タケル役の方が演じてください】
大東:*大東 司《だいとう つかさ》・・・*地球侵略防衛組織《ちきゅうしんりゃくぼうえいそしき》『ミラクルガーディアンズ』の総司令官。敵キャラ(*死霊兵《しりょうへい》、*魔獣兵《まじゅうへい》、*魔導騎士《まどうきし》、*暗黒幻龍兵《あんこくげんりゅうへい》)の唸り声と兼役。
:※敵キャラ唸り声・・・(死霊兵、魔獣兵、魔導騎士、暗黒幻龍兵)大東役の方が兼役。
:※(M)はモノローグ(独白)、〈〉はト書き、()は心の声になります。
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本編:
:【 回想シーン 】
サキ:ねぇ!タケル!今度はわたしにヒーロー役やらせてよー!:
タケル:だ〜め!サキにヒーローはまだ早い!:
サキ:え~、なんでよ!タケルばっかりズルい!わたしだって『あくしょんクラブ』のメンバーなんだよ!なのに、わたしずっと悪の組織の女幹部役ばっかじゃん!もう*蜂女《はちおんな》とか*蜘蛛女《くもおんな》とか飽きたよ…。
タケル:文句言うなよ。もう少しで新しい必殺技が思い付きそうなんだからガマンしろって。
サキ:やだやだ!わたしも可愛くてかっこいいヒーローやりたい!
タケル:はぁ…仕方ねえなぁ。じゃあ1回だけだぞ。
サキ:わ〜!ありがとう、タケル!やっぱり真のヒーローは*器《うつわ》が違うね!
タケル:へへっ!だろー?じゃあ今回俺は悪の組織のボス役な!名前は…そうだなぁ…『闇皇帝 ヘル・キラー』ってのはどうだ?
サキ:お!いいね、いいね!なんかめちゃめちゃ強くて悪役の親玉ー!って感じがするね!じゃあわたしは『愛と夢と希望のミラクル戦士ドリームセイバー・サキ』ってのはどう?
タケル:ちょっと盛り込みすぎじゃないか?夢とドリームかぶってるし。
サキ:いいの!わたしのお気に入りなんだから。
タケル:ほんと、サキは相変わらずだなぁ。
サキ:何が?
タケル:好きな事や、やりたい事に対しては『どれか』じゃなくて『全部』だもんな。
サキ:そりゃそうよ!『選ぶ』ってことはどっちかを『捨てる』ってことだからね。そんなのもったいないじゃん!
タケル:はははは!そういうとこだよ。じゃあ、仕切り直して戦いますか!
サキ:最初から全力で行くわよ!おりゃあぁぁ!!!
タケル:望むところだ!はぁぁぁぁ!!!
:
タケル:はぁ…はぁ…。ぐぉ…なかなかやるではないか、さすが*我《われ》が最強の宿敵と見込んだだけの事はあるわ!
サキ:はぁ…はぁ…。くっ…あなたこそ、わたし相手に正直ここまでやるとは思わなかったわ。
タケル:今日のところはお互い引き分けということにしといてやろう。感謝するんだな!ドリームセイバー・サキ!
サキ:何を偉そうに…あなたこそ、今日はこれくらいで勘弁してあげるんだからね!わたしの優しさに感謝しなさい!
タケル:さらばだ!次に会った時が貴様の最期だ!ふはははは!!
サキ:ちっ!逃げられたか…。次こそは必ず倒すわ!待っていなさい闇皇帝ヘル・キラー!
:
サキ:タケルおつかれー!めっちゃ楽しかった!
タケル:おつかれ。あまりにもサキがノリノリだったから俺もつい熱くなっちまった。さてはサキ、腕を上げたな?
サキ:そう?えへへ。タケルに褒められるとめっちゃ嬉しい。
タケル:いやマジで今のは良かったよ。
サキ:ねえ、タケル…。
タケル:ん?なに?
サキ:わたしたち、これからもずっと『あくしょんクラブ』やっていけるのかな?
タケル:いきなり何言い出すんだよ。そんなの当たり前じゃんか。俺たちは正規にして唯一の『あくしょんクラブ』永久会員なんだからな。だからこれからもずっとやっていこうぜ!
サキ:うん!タケルだーい好き!
タケル:俺もだよ、サキ。
サキ:あ、もうこんな時間。わたしそろそろ帰らないと。
タケル:そっか。俺はもう少し必殺技考えてから帰るわ。
サキ:分かった!素敵な必殺技思い付くと良いね!
タケル:おう!期待して待ってろよ!
サキ:うふふ…楽しみにしてるね!じゃあまた明日!
タケル:じゃあな!気ぃつけて帰れよ!
:
タケル:(M)これがサキと交した最後の会話だった。
:
Dr.MAD:……キラー様……ヘル・キラー様!
ヘル・キラー:…んん。なんだ…我はいつの間に眠ってしまっていたのだ…
Dr.MAD:おお!ようやくお目覚めですかな。いやはや、ヘル・キラー様におかれましては最近お疲れ気味のようでございますな。
ヘル・キラー:すまぬ。いらぬ心配をかけてしまった。Dr.MADよ、状況を説明せよ。
Dr.MAD:はは!現在、地球侵略達成率は70%を超えました。しかしながら残りの30%については地球側の必死の抵抗に*阻《はば》まれ、未だ思うように進んでおりません。
ヘル・キラー:なぜだ!虫けら程度の力しか持たぬ地球人になぜこうも苦戦しておるのだ!
Dr.MAD:それについては誠に申し上げにくいのですが…。
ヘル・キラー:なんだ、遠慮せず申してみよ。
Dr.MAD:実は、地球側に我々が探し求めていた奇跡の*宝玉《ほうぎょく》『ミラクルサファイア』が渡ってしまったようなのです。
ヘル・キラー:なんだと!だからあれほど早く見つけ出せと言っておいたではないか!…で、*適合者《てきごうしゃ》は現れたのか?
Dr.MAD:はい。残念ながら地球側にミラクルサファイアの力に目覚めた者がいるようです。それにより我らの軍団はことごとく*惨敗《ざんぱい》。地球側はこれを機に戦力を*拡充《かくじゅう》し、大規模な侵略エリア奪還作戦を*敢行《かんこう》しようとしているとの情報を*掴《つか》んでおります。
ヘル・キラー:うぬぬ…おのれ、小癪な地球人共め。して、その力に目覚めた者の情報は掴んでおるのか?
Dr.MAD:いえ…それが進軍した部隊は一瞬で灰になっており、その素早さと絶大な力*故《ゆえ》に姿を*捉《とら》えることもできませぬ…。
ヘル・キラー:ええい、何ということだ!敵の情報すら掴めぬとは!
Dr.MAD:しかしながら一つだけ情報があります。
ヘル・キラー:なんだそれは?
Dr.MAD:それはその適合者は自らのことを『愛と夢と希望のミラクル戦士 ドリームセイバー・サキ 』」と名乗っているそうです。
ヘル・キラー:『ミラクル戦士 ドリームセイバー・サキ』…ふーむ、どこぞで聞いたことがあるような…。
Dr.MAD:ほう…それはまたどこでお聞きになられたのですかな?
ヘル・キラー:うーむ…それが*皆目《かいもく》思い出せぬのだ。
Dr.MAD:それは誠に残念ですな。
ヘル・キラー:なに、ただの気のせいであろう。それよりもどうしたものか…。Dr.MADよ、何か良い案はないのか。
Dr.MAD:それでしたら一つだけ*妙案《みょうあん》が。
ヘル・キラー:申してみよ。
Dr.MAD:申し訳ございません。これについてはまだ申し上げられる段階にありません。もう少し準備が整ってからご報告いたします。
ヘル・キラー:ふむ、そうか…分かった。
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:【 *地球侵略防衛組織《ちきゅうしんりゃくぼうえいそしき》『ミラクルガーディアンズ』作戦本部 】
大東:諸君!我々*地球侵略防衛組織《ちきゅうしんりゃくぼうえいそしき》『ミラクルガーディアンズ』はついに暗黒帝国に対抗しうる力を手に入れることに成功した!10年前、突如として現れた強大な力の前に為す術もなく散っていった同胞たちの無念、今こそ晴らす時が来たのだ!奪われし大地を我々の手で取り戻すのだ!!
サキ:みんな、大東司令官の言う通りよ!私達はこの10年間、ずっと苦痛と悲しみに耐えてきた!私もそう…目の前の*惨劇《さんげき》に何度心が*挫《くじ》けそうになったことか!でももう大丈夫よ!私がこの地球をアイツらの手から奪い返してやるわ!
:
サキ:(M)そう…10年前のあの日、タケルは私の目の前でアイツらに連れ去られた。目立ちたがり屋だけど、とっても優しくて大好きだったタケル。タケルと交した最後の会話が今でも私の脳裏に焼き付いて離れない。タケルと別れた直後、背後に気配を感じて振り返った先には、巨大な宇宙船に吸い込まれていくタケルの姿があった。あまりにも突然で、あまりにも非現実的な状況を前にして私は何もできなかった…ただ手を伸ばして泣き叫ぶこと以外は何も。なんであの時助けてあげられなかったのだろう…後悔と己の*非力《ひりき》さを責める日々。それ以来私はずっと、ずっと!タケルを取り返すために必死で戦ってきたんだ!そしてついに私は出会った。タケルを救い出し、私達を苦しめてきた*諸悪《しょあく》の*根源《こんげん》、暗黒帝国デスクリムゾンを壊滅させられる唯一の力、奇跡の宝玉『ミラクルサファイア』に!
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大東:サキくん、君がミラクルサファイアの適合者に選ばれたこと、我ら一同心から誇らしく思うよ。そして、生き残っている全ての人類を代表して君にお願いする。頼む!暗黒帝国デスクリムゾンの魔の手からこの地球を救ってくれ!
サキ:大東さん!もちろんですとも!私はタケルを連れ去り、私達の大切な地球をぐちゃぐちゃにしたアイツらが許せない!だからこの任務、ぜひ私にやらせてください!
大東:おお!なんという頼もしい言葉だ!ありがとう!本当にありがとう!我々も全力で君をバックアップするよ。だから是非ともよろしく頼む。
サキ:お任せください!共に私達の地球を取り戻しましょう!
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サキ:(M)その瞬間、場内から割れんばかりの拍手と歓声が鳴り響いた。今日を境に確実に何かが変わり始めることを私は確信していた。
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サキ:はぁぁぁぁ!!『ミラクルセイバーイリュージョン!!』
死霊兵:グオオオオオ!!
サキ:やったわ!みんな!今のうちに早く逃げて!
大東:サキくん!二時の方向に新たな敵が3体出現!この反応は…気を付けるんだ!*魔獣兵《まじゅうへい》だ!さっきの*死霊兵《しりょうへい》とは比べ物にならないぞ!
サキ:は、はい!分かってます!大東さん、ここは私が食い止めますから、その隙にみんなを安全な場所に誘導してください!
大東:ああ!了解した!くれぐれも無茶はするなよ。
サキ:はい!大東さんも!
大東:ありがとう!
サキ:さて、かかって来なさい!私がまとめて相手してあげるわ!
魔獣兵:オオオォォォ!!!
サキ:〈魔獣兵のパンチを体で受ける〉
サキ:ぐっ!!コイツらなんてパワーなの!1体1体が死霊兵とはケタ違いだわ!でも私は負けない!パワーで劣るならスピード勝負よ!『ミラクルライトニングアターック!!』
魔獣兵:グギャアアアア!!!
サキ:どう?いくら魔獣兵でも稲妻の速さで斬撃を叩き込まれたらひとたまりもないでしょ!思い知りなさい!
大東:おぉ…すごい!サキくんが敵を圧倒している。よし、みんな!退路が確保されたぞ!今のうちに私に続いて脱出するんだ!
サキ:(良かった!これで何とか逃げ切れそうね)じゃあ今度はこっちから行くわよ!『ミラクルセイバーフラーッシュ!!』
大東:…あんなにたくさんの死霊兵の軍団をたった一撃で!
サキ:はぁ…はぁ…。これでこのエリアもあと少しで奪還出来そうね。
大東:サキくん!息があがっている。今のうちに休むんだ!
サキ:了解!後方部隊の脱出を確認次第合流します。
大東:ああ!また後で会おう!
サキ:ええ!大東さんも気をつけて。
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ヘル・キラー:うぬぬ…なんという凄まじいパワーとスピード。それに加え、状況に合わせた多彩な攻撃方法を持ち合わせていて判断も迅速かつ的確だ。なるほど…これが噂に聞くミラクルサファイアに選ばれた戦士の力か…ふふふ、面白い!実に面白いぞ!
Dr.MAD:ヘル・キラー様、何を笑っておいでですか?
ヘル・キラー:これが笑わずにいられようか!ようやく我と互角、いやそれ以上の力を持つ者が現れたのだぞ!戦士としての血が騒ぐというものだ!ふははは!!早くヤツと一戦交えたいものよ!
Dr.MAD:それはそれは!ヘル・キラー様が活き活きしておられるのを間近で拝見できるとは。*宰相《さいしょう》としてこの上ない幸せにございます。
ヘル・キラー:必ずヤツはこの手で仕留めてみせるぞ!
Dr.MAD:は!それではこのDr.MADめがヘル・キラー様のために最高の舞台をご用意いたしましょうぞ!
ヘル・キラー:うむ。楽しみにしているぞ!
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大東:サキくん、先程は本当に助かった。君の働きがなければ我々は全滅していたかもしれない。心から感謝するよ。
サキ:いえ、力を持つ者として当然のことをしたまでです。それより、大東さん。
大東:なんだね?
サキ:先程の戦闘で、敵軍の全体像が把握できました。そこでこれを機に、一気にこのエリアを奪還しようと思うのですが、いかがでしょうか?
大東:ダメだ。それは余りにもリスクが大きい。とてもじゃないが容認できない。
サキ:なぜですか!今ならあとひと押しでこのエリアの敵を殲滅できます!お願いです!やらせてください!
大東:だからダメだと言っている!
サキ:どうして分かってくれないんですか!あと少し…あと少しなのに…。
大東:サキくん。落ち着きたまえ。君の気持ちは痛いほどよく分かってるつもりだ。一刻も早くこの地球を暗黒帝国の手から取り戻したいのだろう?そして、君の大切なタケルくんも。
サキ:な、なぜそれを…?
大東:なに…ちょっと風の噂でね。
サキ:そう…私はこの地球を、大好きなタケルをアイツらの手から取り戻したい!そのために戦ってるの!
大東:だからこそ今は焦っちゃいけない。君に万一のことがあったらどうする?それに敵はこのエリアだけじゃない。もし他のエリアから増援が来たら?もし、我々の知らない強大な敵が潜んでいたら?私はね、サキくん。君のことを心から信頼しているのだよ。だからこそ無茶な真似だけはして欲しくないんだ。君がいなくなったら誰が地球を、タケルくんをヤツらの手から救えるというんだ?
サキ:そ、それは…。
大東:君は我々の唯一の希望なんだ。だからもっと自分を大切にしてやってくれたまえ。
サキ:大東さん…。分かりました。私、心のどこかで焦っていたのかも知れません。少し頭を冷やして来ます。
大東:ああ、そうするといい。
:
サキ:ねえ…タケル、あなたは今どこにいるの?会いたい…会いたいよぉ…。
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ヘル・キラー:Dr.MADよ、B地区は先程の戦闘でほぼ壊滅状態。今攻め込まれたら奪われ兼ねんぞ。
Dr.MAD:承知の上でございます。
ヘル・キラー:む?その口ぶり、何やら策がありそうだな。
Dr.MAD:ええ、もちろんですぞ。この私めにお任せくださいませ。
ヘル・キラー:よかろう。お前に全て預ける。
Dr.MAD:はは!ヘル・キラー様に最高の魚を献上してご覧に入れましょう!
ヘル・キラー:期待しているぞ。
:
大東:サキくん。少しは頭が冷えたかね?
サキ:はい。すみませんでした。
大東:なに、分かれば良いのだよ。で、次の作戦だが、今度はE地区を攻めようと思う。
サキ:なぜE地区なんですか?
大東:その理由は二つある。一つはE地区には巨大な電力施設および補給基地があり、ここを制圧することで今後の作戦を有利に進めることができるからだ。そしてもう一つは、先の戦闘でB地区は敵戦力の大部分を*削《そ》ぐことに成功した。従って、しばらくはこのエリアからの敵の侵攻はないものと考えられ、こちら側は戦力を*二分《にぶん》することなくE地区奪還に専念できるからだ。
サキ:でも、もし少数精鋭で攻め込まれたら?
大東:当然その可能性は考慮している。そこで、E地区奪還作戦には我々の主力である特殊部隊『ゴッドスピア』に担当してもらう。そして不測の事態に備え、B地区周辺の警戒と防衛任務にはサキくんに就いてもらおうと考えている。
サキ:え…?
大東:サキくん、今回は我々に任せて、君は力を温存したまえ。
サキ:ぐっ…分かりました…。
大東:よろしく頼むよ。
サキ:了解…。
:
Dr.MAD:ほほう…今回は敢えて主戦力のドリームセイバー・サキを防衛任務につかせたか。なるほど、こちら側が少数精鋭で攻め込むことを警戒しての行動と見たが…ぐふふ、これはまたとないチャンスじゃ!よし!B地区に*魔導騎士《まどうきし》を送り込んで待機させろ!ただしこちらからの攻撃はするな。初めは少しずつ…少しずつじゃぞ。
:
サキ:(大東さんの気持ちはすごく嬉しい…。今回だって私の身体を気遣って、敢えて最前線から外してくれたんだと思う。)
サキ:でも…私は…。はっ!一時の方向に敵の反応あり!やっぱり私の読みが当たったのね!はぁぁぁぁ!!
死霊兵:グオォォォ!!
サキ:よし!3体撃破!まだまだ行くわよ!うぉりゃあー!!
死霊兵:グギャアアアア!!
サキ:5体撃破!次はあっちね!
Dr.MAD:よしよし、いいぞ。そのままヤツを誘い出すのじゃ。
サキ:残存兵かしら…あまりにも手応えがなさすぎる。きゃあ!!
魔獣兵:グルルルル…。
サキ:ぐっ…不意を突かれた。でも!『ミラクルライトニングアターック』!!
魔獣兵:グギャアアアア!!!
サキ:はぁ…はぁ…やったわ。はっ!三時方向に別の反応?…なに…この強さ…。
魔導騎士:フン!
サキ:〈魔導騎士の斬撃をまともに受け、吹っ飛ぶ〉
サキ:きゃあああ!!
魔導騎士:フフフフ。
サキ:くっ…こんなのがまだ潜んでいたなんて…。ううう…。
魔導騎士:フン!
サキ:ぐはっ!だ、ダメ…一撃一撃が重すぎて、こんなのまともに受けてたら持たない…!
大東:〈通信〉サキくん!どうした!何があった!
サキ:大東さん、やはり敵は少数精鋭で攻めて来ました!それもとてつもない強敵…きゃあああ!!
大東:〈通信〉サキくん大丈夫か!
サキ:…うぅ…な、なんとか…。
大東:〈通信〉サキくん!今すぐそこを放棄して撤退するんだ!
サキ:いいえ!撤退なんてできません!仮にここで逃げてもヤツらはすぐに追いついて来ます!そうなったら、また罪もない人達がたくさん殺されて…もうあんな想いをするのはこりごりなんです!
大東:〈通信〉待て!無茶をするな!いったん引く…〈通信切れる〉
サキ:ごめんなさい、大東さん。私もう何かを選んで何かを捨てるなんてしたくないの。
魔導騎士:フフフフ…。
サキ:今こそこれを使う時だわ…奇跡の宝玉ミラクルサファイアよ!その*仮初《かりそめ》の*器《うつわ》を飛び出し、無限の力を*以《もっ》て我を新たな次元へと進化させん!『ミラクルエボリューション』!!
魔導騎士:オオオ?
サキ:これが…私の新たな力…!行くわよ!超必殺!『ディメンションエクスプロージョン』!!
魔導騎士:アアアアア!
魔導騎士:〈突如現れた立方体に吸い込まれる〉
サキ:さすがのあんたでも、ひとたび聖なる空間に吸い込まれたが最期、あらゆる方向から*照射《しょうしゃ》される無数のレーザーからは逃れられないわよ!『フィニッシュ』!!
魔導騎士:グギャアアアア!!!
魔導騎士:〈立方体の中で無数のレーザーが魔導騎士に向かって照射される〉
サキ:はぁ…はぁ…。や、やったわ!倒したぁ!!これが進化した私なの?…すごい、身体の芯からどんどん力が溢れてくる!…うふふふふ、さぁ、次の相手はどいつかしら!
:
Dr.MAD:ほうほう…なかなか良い感じじゃな。
ヘル・キラー:ここまで散々やられておいて何が良い感じなのだ?
Dr.MAD:こ、これはヘル・キラー様。確かにこのB地区において我らの軍勢は大半がやられてしまいました。しかし…あの小娘を見てくだされ。何か様子が変ではないですかな?
ヘル・キラー:ん?どこが変だと言うのだ?
Dr.MAD:ヤツは最初、防衛や避難民の退路を確保するために必要な戦闘、つまり『守りの戦闘』しかしておりませんでした。でも、徐々に強くなっていく敵を前に、無理矢理自分の限界を超えて進化し続けたために心が追いつかず、本人も気付かぬうちにその力に飲まれかけているのです。
サキ:あら、次はあなたね。消し飛びなさい!!はぁぁぁぁ!!
魔獣兵:グアアアアア!!
サキ:あは…あははは!爽快だわ!この力があれば私は誰にも負けない!
Dr.MAD:そして力に飲まれれば飲まれるほど、ヤツの剣を覆っていた光のオーラは徐々に漆黒に染まっていくのです。
ヘル・キラー:なんと…そんなことが…。
Dr.MAD:ヘル・キラー様、*暗黒幻龍兵《あんこくげんりゅうへい》をお借りしてもよろしいですかな?
ヘル・キラー:あ、*暗黒幻龍兵《あんこくげんりゅうへい》だと!?我々の軍勢の中でもトップクラスの戦力をこんな所で投入するのか?
Dr.MAD:まあ見ててくだされ。
ヘル・キラー:うぬぅ…良かろう…お前に任せる。
Dr.MAD:ありがたき幸せ。
暗黒幻龍兵:コォォ…。
サキ:あらぁ?ようやく歯応えのありそうなのが出てきたわね♡
暗黒幻龍兵:ガァ!!
サキ:〈強烈な拳がサキを襲う〉
サキ:きゃあああ!!…ぐっ、強い、やるじゃないの!いいわぁ♡この緊張感、たまんないわね…ペロっ〈舌なめずり〉。
サキ:じゃあこっちからも行くわよ!『ディメンションエクスプロージョン』!!
暗黒幻龍兵:フガァァァ!!
サキ:え!?力ずくで聖なる空間から抜け出して…がぁぁ!!
サキ:〈暗黒幻龍兵の一撃をまともに食らう〉
暗黒幻龍兵:フシュー…。
サキ:ぐっ…ぐはぁ…。まだよ、まだ足りないのよ!もっと力を!もっと私に力を寄越しなさい!はぁぁぁぁ!!!
Dr.MAD:おおお!!小娘の剣が漆黒のオーラに染まっていく!これじゃ!これを待っとったんじゃ!
サキ:死ねぇぇぇぇ!!!!『ミストラルブレークサンダー』!!
暗黒幻龍兵:グギャアアアア!!!!
サキ:はぁ…はぁ。…ふふふ…あはははは!!!なんて素敵なの!!私の身体を真っ黒な力が駆け巡っていくのぉ!あはぁ ♡ しあわせぇ…♡
Dr.MAD:さぁ、ヘル・キラー様!機は完全に熟しました!あれこそが貴方が待ち焦がれていた宿敵ドリームセイバー・サキですぞ!
ヘル・キラー:う、うむ…。では参ろうか。
ヘル・キラー:〈宇宙船から降りてサキの元へ〉
サキ:あらぁ?まだいたのぉ?うふふふふ…。
ヘル・キラー:我は暗黒帝国デスクリムゾン首領、闇皇帝ヘル・キラー。お前との一騎打ちを望んでいる。
サキ:私と一騎打ちだなんて…♡うふふ、良いわよぉ。あぁ!ついにラスボスと殺りあえるのね!
ヘル・キラー:そなたの名は?
サキ:うふふふ、私は『愛と夢と希望のミラクル戦士 ドリームセイバー・サキ』よ。
ヘル・キラー:さて、互いの自己紹介が済んだところで、いざ参るぞ!でやぁ!!
サキ:ぐっ!!や、やるじゃない!さすがはラスボスねぇ♡じゃあこういうのはどうかしら?はぁぁぁぁ!!
ヘル・キラー:ぐはっ!!ぐぬぬ…やはり一筋縄ではいかぬか!ならば、こちらも本気で参らせてもらうぞ!!『*暗黒秘剣 漆黒の舞《あんこくひけん しっこくのまい》』!!うおおおお!!!
Dr.MAD:(ぐふふふふ…そろそろヤツに掛けた洗脳を解く頃合か…)
サキ:あはは♡じゃあ私も本気で行くわよ!!『ミストラルブレークサンダー』!!はぁぁぁぁ!!
Dr.MAD:リリース・イリュージョン!
Dr.MAD:〈タケルの洗脳が解ける〉
タケル:え…?俺は一体何を…ってサキ?ぐああああああ!!!
サキ:あはははは!!やったわ!!直撃よ…って、タケ…ル?
タケル:うぅ…。
サキ:え…ちょっと待って…え?どういうこと?なんでここにタケルが?っていうか、なんでタケルがヘル・キラーなの!待って待って!!どういうことよ!!あああ!私…なんて事を!!
タケル:さ、サキ…会えて良かった…。
サキ:タケル…?ねぇ…タケル!うそだよね!!目を覚ましてよ!!タケルー!!!ああああああ!!!
Dr.MAD:そろそろ参るとするか。
Dr.MAD:〈宇宙船から降りて二人の元へ〉
サキ:うああああああ!!
Dr.MAD:ごきげんよう。愛と夢と希望のミラクル戦士ドリームセイバー・サキよ。
サキ:うううう…アンタ誰よ!
Dr.MAD:申し遅れました。私は暗黒帝国デスクリムゾンの宰相『Dr.MAD』と申します。いやはや…さすがこの星で最強の戦士だ。我が主、闇皇帝ヘル・キラーを倒すとは。いや、言い間違えましたな。今あなたが倒したのは10年前に私があなたの元から連れ去り洗脳した荒木タケルくんじゃったな。
サキ:わたしが…タケルを…。
Dr.MAD:そう…あなたが!その剣で!奪ったのですよ!あなたの大好きな『タケルくん』の命をね!
サキ:いや…いやぁ!いやあああぁぁぁ!!!
Dr.MAD:ふふふふ…絶望の底に落ちるがよい。そして最悪最強の暗黒戦士として生まれ変わるのじゃ!!
サキ:あああああああ!!…フフフ…ハハハハハ!!ワタシハアンコクセンシ…コノホシノスベテヲハカイスル!アハハハハハ!!
Dr.MAD:ぐはははは!やった!ついにやったぞ!これで全ては私のモノだ!!
タケル:サキ…。
サキ:アハハハハ……って、タケル?
Dr.MAD:な!なぜあなたがまだ生きているのです!
タケル:ぐっ…こいつのおかげで助かったんだ…。
サキ:それは…『あくしょんクラブ』認定証!
タケル:そうだ。お前もまだ持ってんだろ?
サキ:うん!もちろんだよ!無くすわけないじゃん!
Dr.MAD:一体何が起きとるんじゃ!そんな子供が作ったガラクタで最強の戦士の攻撃を防げるわけがないじゃろうが!
タケル:お前には分かんねえよ!Dr.MAD!こいつはな、俺とサキを結ぶ大切な*絆《きずな》なんだ!
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:【 回想シーン 】
タケル:なぁ、サキ。
サキ:なぁに?タケル。
タケル:これ半分やるよ。
サキ:わぁ!かっこいいメダル!何これ?
タケル:それはな、俺たち『あくしょんクラブ』の公式認定証だ!
サキ:公式認定証?
タケル:そうだ。俺たちは『あくしょんクラブ』の永久会員だろ?だからさ、これからも二人でずっとアクションやっていこうぜ!って意味を込めて作ったんだ!
サキ:ありがとうタケル!とっても嬉しい!
タケル:それでさ、これは俺からの提案なんだけど、毎回活動を始める時はこうやってお互いの認定証を合わせて『レッツアクション!』って掛け声を言い合わないか?
サキ:それめっちゃいいねー!!やろやろー!!
タケル:あとさ、俺たちいつもヒーロー役と悪役に分かれて戦ってるだろ?
サキ:いつもヒーロー役はタケルだけどね。
タケル:いいから聞けって。でさ…いつか二人でヒーローやれたら良いなって思ってるんだ。
サキ:それいいね!賛成~!でもそれじゃわたしたち、一体誰と戦うのよ?
タケル:あ…それもそうだな!はははは!〈同時に〉
サキ:うふふふ!〈同時に〉
:
:
タケル:サキ!あの時の夢、今こそ叶えようぜ!
サキ:うん!行くわよ!
タケル:『レッツアクション!』〈同時に〉
サキ:『レッツアクション!』〈同時に〉
Dr.MAD:な!なんじゃこの光は!合わせたメダルが光り輝いていく!
タケル:これが俺たちの新しい力!
サキ:永遠の宝玉『エターナルダイヤモンド』よ!
Dr.MAD:ば、バカな!新たな宝玉じゃと!なんと!二人の傷がみるみる治っていくではないか!
タケル:さあ、一気に行くぞ!
サキ:ええ!
タケル:*暗黒秘剣奥義《あんこくひけんおうぎ》!『*無限回刃殺《むげんかいじんさつ》』!!うおおおおぉ!!!
サキ:ミラクル*超絶奥義《ちょうぜつおうぎ》!『エターニティ・ディストラクション』!!はぁぁぁぁ!!!
Dr.MAD:ぬおぉぉぉ!!お、おのれぇぇ!あと少し、あと少しのところで!グギャアアアア!!!!
:
サキ:すごい…全ての敵が活動を停止してる…。
タケル:あいつら全員Dr.MADによって操られていたんだろ。
サキ:そうね。これでやっと終わったのね!おかえりなさい、タケル!
タケル:ああ、ただいま、サキ!いろいろと心配掛けて済まなかったな。
サキ:ううん、いいの。こうしてタケルが無事に帰って来てくれたんだから。それだけで充分よ。それにね、暗黒帝国デスクリムゾンは私達二人のヒーローによって壊滅。地球は無事にヤツらの手から取り戻せたわけだしね!
タケル:はぁ…やっぱりサキはすげぇよ。結局今回も『どれか』じゃなくて『全部』叶えちゃうんだもんな!
サキ:当然よ、もう何も捨てたくないから。
タケル:そうだな。でもこれからは『俺たち二人』の手で守って行こうぜ!
サキ:俺たち二人?うふふ…そうね。じゃあ改めてよろしくね、タケル!
タケル:おう!よろしくな!
サキ:さぁて、明日からまた始めるわよ。
タケル:ん?始めるって何を?
サキ:『あくしょんクラブ』に決まってんでしょ。
タケル:おう!望むところだ!
:
:~完~
タイトル:あくしょんクラブ
:
登場人物:
タケル:*荒木 タケル《あらき たける》・・・サキとは幼稚園からの幼なじみ。無類の特撮好き。ヘル・キラーと兼役
サキ:*水沢 サキ《みずさわ さき》・・・・タケルの幼なじみ。タケルと同じく特撮好き
Dr.MAD:*Dr.MAD《ドクター・マッド》・・・・・暗黒帝国デスクリムゾンの*宰相《さいしょう》にしてヘル・キラーの右腕。
ヘル・キラー:闇皇帝ヘル・キラー・・・・暗黒帝国デスクリムゾンの首領。【タケル役の方が演じてください】
大東:*大東 司《だいとう つかさ》・・・*地球侵略防衛組織《ちきゅうしんりゃくぼうえいそしき》『ミラクルガーディアンズ』の総司令官。敵キャラ(*死霊兵《しりょうへい》、*魔獣兵《まじゅうへい》、*魔導騎士《まどうきし》、*暗黒幻龍兵《あんこくげんりゅうへい》)の唸り声と兼役。
:※敵キャラ唸り声・・・(死霊兵、魔獣兵、魔導騎士、暗黒幻龍兵)大東役の方が兼役。
:※(M)はモノローグ(独白)、〈〉はト書き、()は心の声になります。
:
本編:
:【 回想シーン 】
サキ:ねぇ!タケル!今度はわたしにヒーロー役やらせてよー!:
タケル:だ〜め!サキにヒーローはまだ早い!:
サキ:え~、なんでよ!タケルばっかりズルい!わたしだって『あくしょんクラブ』のメンバーなんだよ!なのに、わたしずっと悪の組織の女幹部役ばっかじゃん!もう*蜂女《はちおんな》とか*蜘蛛女《くもおんな》とか飽きたよ…。
タケル:文句言うなよ。もう少しで新しい必殺技が思い付きそうなんだからガマンしろって。
サキ:やだやだ!わたしも可愛くてかっこいいヒーローやりたい!
タケル:はぁ…仕方ねえなぁ。じゃあ1回だけだぞ。
サキ:わ〜!ありがとう、タケル!やっぱり真のヒーローは*器《うつわ》が違うね!
タケル:へへっ!だろー?じゃあ今回俺は悪の組織のボス役な!名前は…そうだなぁ…『闇皇帝 ヘル・キラー』ってのはどうだ?
サキ:お!いいね、いいね!なんかめちゃめちゃ強くて悪役の親玉ー!って感じがするね!じゃあわたしは『愛と夢と希望のミラクル戦士ドリームセイバー・サキ』ってのはどう?
タケル:ちょっと盛り込みすぎじゃないか?夢とドリームかぶってるし。
サキ:いいの!わたしのお気に入りなんだから。
タケル:ほんと、サキは相変わらずだなぁ。
サキ:何が?
タケル:好きな事や、やりたい事に対しては『どれか』じゃなくて『全部』だもんな。
サキ:そりゃそうよ!『選ぶ』ってことはどっちかを『捨てる』ってことだからね。そんなのもったいないじゃん!
タケル:はははは!そういうとこだよ。じゃあ、仕切り直して戦いますか!
サキ:最初から全力で行くわよ!おりゃあぁぁ!!!
タケル:望むところだ!はぁぁぁぁ!!!
:
タケル:はぁ…はぁ…。ぐぉ…なかなかやるではないか、さすが*我《われ》が最強の宿敵と見込んだだけの事はあるわ!
サキ:はぁ…はぁ…。くっ…あなたこそ、わたし相手に正直ここまでやるとは思わなかったわ。
タケル:今日のところはお互い引き分けということにしといてやろう。感謝するんだな!ドリームセイバー・サキ!
サキ:何を偉そうに…あなたこそ、今日はこれくらいで勘弁してあげるんだからね!わたしの優しさに感謝しなさい!
タケル:さらばだ!次に会った時が貴様の最期だ!ふはははは!!
サキ:ちっ!逃げられたか…。次こそは必ず倒すわ!待っていなさい闇皇帝ヘル・キラー!
:
サキ:タケルおつかれー!めっちゃ楽しかった!
タケル:おつかれ。あまりにもサキがノリノリだったから俺もつい熱くなっちまった。さてはサキ、腕を上げたな?
サキ:そう?えへへ。タケルに褒められるとめっちゃ嬉しい。
タケル:いやマジで今のは良かったよ。
サキ:ねえ、タケル…。
タケル:ん?なに?
サキ:わたしたち、これからもずっと『あくしょんクラブ』やっていけるのかな?
タケル:いきなり何言い出すんだよ。そんなの当たり前じゃんか。俺たちは正規にして唯一の『あくしょんクラブ』永久会員なんだからな。だからこれからもずっとやっていこうぜ!
サキ:うん!タケルだーい好き!
タケル:俺もだよ、サキ。
サキ:あ、もうこんな時間。わたしそろそろ帰らないと。
タケル:そっか。俺はもう少し必殺技考えてから帰るわ。
サキ:分かった!素敵な必殺技思い付くと良いね!
タケル:おう!期待して待ってろよ!
サキ:うふふ…楽しみにしてるね!じゃあまた明日!
タケル:じゃあな!気ぃつけて帰れよ!
:
タケル:(M)これがサキと交した最後の会話だった。
:
Dr.MAD:……キラー様……ヘル・キラー様!
ヘル・キラー:…んん。なんだ…我はいつの間に眠ってしまっていたのだ…
Dr.MAD:おお!ようやくお目覚めですかな。いやはや、ヘル・キラー様におかれましては最近お疲れ気味のようでございますな。
ヘル・キラー:すまぬ。いらぬ心配をかけてしまった。Dr.MADよ、状況を説明せよ。
Dr.MAD:はは!現在、地球侵略達成率は70%を超えました。しかしながら残りの30%については地球側の必死の抵抗に*阻《はば》まれ、未だ思うように進んでおりません。
ヘル・キラー:なぜだ!虫けら程度の力しか持たぬ地球人になぜこうも苦戦しておるのだ!
Dr.MAD:それについては誠に申し上げにくいのですが…。
ヘル・キラー:なんだ、遠慮せず申してみよ。
Dr.MAD:実は、地球側に我々が探し求めていた奇跡の*宝玉《ほうぎょく》『ミラクルサファイア』が渡ってしまったようなのです。
ヘル・キラー:なんだと!だからあれほど早く見つけ出せと言っておいたではないか!…で、*適合者《てきごうしゃ》は現れたのか?
Dr.MAD:はい。残念ながら地球側にミラクルサファイアの力に目覚めた者がいるようです。それにより我らの軍団はことごとく*惨敗《ざんぱい》。地球側はこれを機に戦力を*拡充《かくじゅう》し、大規模な侵略エリア奪還作戦を*敢行《かんこう》しようとしているとの情報を*掴《つか》んでおります。
ヘル・キラー:うぬぬ…おのれ、小癪な地球人共め。して、その力に目覚めた者の情報は掴んでおるのか?
Dr.MAD:いえ…それが進軍した部隊は一瞬で灰になっており、その素早さと絶大な力*故《ゆえ》に姿を*捉《とら》えることもできませぬ…。
ヘル・キラー:ええい、何ということだ!敵の情報すら掴めぬとは!
Dr.MAD:しかしながら一つだけ情報があります。
ヘル・キラー:なんだそれは?
Dr.MAD:それはその適合者は自らのことを『愛と夢と希望のミラクル戦士 ドリームセイバー・サキ 』」と名乗っているそうです。
ヘル・キラー:『ミラクル戦士 ドリームセイバー・サキ』…ふーむ、どこぞで聞いたことがあるような…。
Dr.MAD:ほう…それはまたどこでお聞きになられたのですかな?
ヘル・キラー:うーむ…それが*皆目《かいもく》思い出せぬのだ。
Dr.MAD:それは誠に残念ですな。
ヘル・キラー:なに、ただの気のせいであろう。それよりもどうしたものか…。Dr.MADよ、何か良い案はないのか。
Dr.MAD:それでしたら一つだけ*妙案《みょうあん》が。
ヘル・キラー:申してみよ。
Dr.MAD:申し訳ございません。これについてはまだ申し上げられる段階にありません。もう少し準備が整ってからご報告いたします。
ヘル・キラー:ふむ、そうか…分かった。
:
:【 *地球侵略防衛組織《ちきゅうしんりゃくぼうえいそしき》『ミラクルガーディアンズ』作戦本部 】
大東:諸君!我々*地球侵略防衛組織《ちきゅうしんりゃくぼうえいそしき》『ミラクルガーディアンズ』はついに暗黒帝国に対抗しうる力を手に入れることに成功した!10年前、突如として現れた強大な力の前に為す術もなく散っていった同胞たちの無念、今こそ晴らす時が来たのだ!奪われし大地を我々の手で取り戻すのだ!!
サキ:みんな、大東司令官の言う通りよ!私達はこの10年間、ずっと苦痛と悲しみに耐えてきた!私もそう…目の前の*惨劇《さんげき》に何度心が*挫《くじ》けそうになったことか!でももう大丈夫よ!私がこの地球をアイツらの手から奪い返してやるわ!
:
サキ:(M)そう…10年前のあの日、タケルは私の目の前でアイツらに連れ去られた。目立ちたがり屋だけど、とっても優しくて大好きだったタケル。タケルと交した最後の会話が今でも私の脳裏に焼き付いて離れない。タケルと別れた直後、背後に気配を感じて振り返った先には、巨大な宇宙船に吸い込まれていくタケルの姿があった。あまりにも突然で、あまりにも非現実的な状況を前にして私は何もできなかった…ただ手を伸ばして泣き叫ぶこと以外は何も。なんであの時助けてあげられなかったのだろう…後悔と己の*非力《ひりき》さを責める日々。それ以来私はずっと、ずっと!タケルを取り返すために必死で戦ってきたんだ!そしてついに私は出会った。タケルを救い出し、私達を苦しめてきた*諸悪《しょあく》の*根源《こんげん》、暗黒帝国デスクリムゾンを壊滅させられる唯一の力、奇跡の宝玉『ミラクルサファイア』に!
:
大東:サキくん、君がミラクルサファイアの適合者に選ばれたこと、我ら一同心から誇らしく思うよ。そして、生き残っている全ての人類を代表して君にお願いする。頼む!暗黒帝国デスクリムゾンの魔の手からこの地球を救ってくれ!
サキ:大東さん!もちろんですとも!私はタケルを連れ去り、私達の大切な地球をぐちゃぐちゃにしたアイツらが許せない!だからこの任務、ぜひ私にやらせてください!
大東:おお!なんという頼もしい言葉だ!ありがとう!本当にありがとう!我々も全力で君をバックアップするよ。だから是非ともよろしく頼む。
サキ:お任せください!共に私達の地球を取り戻しましょう!
:
サキ:(M)その瞬間、場内から割れんばかりの拍手と歓声が鳴り響いた。今日を境に確実に何かが変わり始めることを私は確信していた。
:
サキ:はぁぁぁぁ!!『ミラクルセイバーイリュージョン!!』
死霊兵:グオオオオオ!!
サキ:やったわ!みんな!今のうちに早く逃げて!
大東:サキくん!二時の方向に新たな敵が3体出現!この反応は…気を付けるんだ!*魔獣兵《まじゅうへい》だ!さっきの*死霊兵《しりょうへい》とは比べ物にならないぞ!
サキ:は、はい!分かってます!大東さん、ここは私が食い止めますから、その隙にみんなを安全な場所に誘導してください!
大東:ああ!了解した!くれぐれも無茶はするなよ。
サキ:はい!大東さんも!
大東:ありがとう!
サキ:さて、かかって来なさい!私がまとめて相手してあげるわ!
魔獣兵:オオオォォォ!!!
サキ:〈魔獣兵のパンチを体で受ける〉
サキ:ぐっ!!コイツらなんてパワーなの!1体1体が死霊兵とはケタ違いだわ!でも私は負けない!パワーで劣るならスピード勝負よ!『ミラクルライトニングアターック!!』
魔獣兵:グギャアアアア!!!
サキ:どう?いくら魔獣兵でも稲妻の速さで斬撃を叩き込まれたらひとたまりもないでしょ!思い知りなさい!
大東:おぉ…すごい!サキくんが敵を圧倒している。よし、みんな!退路が確保されたぞ!今のうちに私に続いて脱出するんだ!
サキ:(良かった!これで何とか逃げ切れそうね)じゃあ今度はこっちから行くわよ!『ミラクルセイバーフラーッシュ!!』
大東:…あんなにたくさんの死霊兵の軍団をたった一撃で!
サキ:はぁ…はぁ…。これでこのエリアもあと少しで奪還出来そうね。
大東:サキくん!息があがっている。今のうちに休むんだ!
サキ:了解!後方部隊の脱出を確認次第合流します。
大東:ああ!また後で会おう!
サキ:ええ!大東さんも気をつけて。
:
ヘル・キラー:うぬぬ…なんという凄まじいパワーとスピード。それに加え、状況に合わせた多彩な攻撃方法を持ち合わせていて判断も迅速かつ的確だ。なるほど…これが噂に聞くミラクルサファイアに選ばれた戦士の力か…ふふふ、面白い!実に面白いぞ!
Dr.MAD:ヘル・キラー様、何を笑っておいでですか?
ヘル・キラー:これが笑わずにいられようか!ようやく我と互角、いやそれ以上の力を持つ者が現れたのだぞ!戦士としての血が騒ぐというものだ!ふははは!!早くヤツと一戦交えたいものよ!
Dr.MAD:それはそれは!ヘル・キラー様が活き活きしておられるのを間近で拝見できるとは。*宰相《さいしょう》としてこの上ない幸せにございます。
ヘル・キラー:必ずヤツはこの手で仕留めてみせるぞ!
Dr.MAD:は!それではこのDr.MADめがヘル・キラー様のために最高の舞台をご用意いたしましょうぞ!
ヘル・キラー:うむ。楽しみにしているぞ!
:
大東:サキくん、先程は本当に助かった。君の働きがなければ我々は全滅していたかもしれない。心から感謝するよ。
サキ:いえ、力を持つ者として当然のことをしたまでです。それより、大東さん。
大東:なんだね?
サキ:先程の戦闘で、敵軍の全体像が把握できました。そこでこれを機に、一気にこのエリアを奪還しようと思うのですが、いかがでしょうか?
大東:ダメだ。それは余りにもリスクが大きい。とてもじゃないが容認できない。
サキ:なぜですか!今ならあとひと押しでこのエリアの敵を殲滅できます!お願いです!やらせてください!
大東:だからダメだと言っている!
サキ:どうして分かってくれないんですか!あと少し…あと少しなのに…。
大東:サキくん。落ち着きたまえ。君の気持ちは痛いほどよく分かってるつもりだ。一刻も早くこの地球を暗黒帝国の手から取り戻したいのだろう?そして、君の大切なタケルくんも。
サキ:な、なぜそれを…?
大東:なに…ちょっと風の噂でね。
サキ:そう…私はこの地球を、大好きなタケルをアイツらの手から取り戻したい!そのために戦ってるの!
大東:だからこそ今は焦っちゃいけない。君に万一のことがあったらどうする?それに敵はこのエリアだけじゃない。もし他のエリアから増援が来たら?もし、我々の知らない強大な敵が潜んでいたら?私はね、サキくん。君のことを心から信頼しているのだよ。だからこそ無茶な真似だけはして欲しくないんだ。君がいなくなったら誰が地球を、タケルくんをヤツらの手から救えるというんだ?
サキ:そ、それは…。
大東:君は我々の唯一の希望なんだ。だからもっと自分を大切にしてやってくれたまえ。
サキ:大東さん…。分かりました。私、心のどこかで焦っていたのかも知れません。少し頭を冷やして来ます。
大東:ああ、そうするといい。
:
サキ:ねえ…タケル、あなたは今どこにいるの?会いたい…会いたいよぉ…。
:
ヘル・キラー:Dr.MADよ、B地区は先程の戦闘でほぼ壊滅状態。今攻め込まれたら奪われ兼ねんぞ。
Dr.MAD:承知の上でございます。
ヘル・キラー:む?その口ぶり、何やら策がありそうだな。
Dr.MAD:ええ、もちろんですぞ。この私めにお任せくださいませ。
ヘル・キラー:よかろう。お前に全て預ける。
Dr.MAD:はは!ヘル・キラー様に最高の魚を献上してご覧に入れましょう!
ヘル・キラー:期待しているぞ。
:
大東:サキくん。少しは頭が冷えたかね?
サキ:はい。すみませんでした。
大東:なに、分かれば良いのだよ。で、次の作戦だが、今度はE地区を攻めようと思う。
サキ:なぜE地区なんですか?
大東:その理由は二つある。一つはE地区には巨大な電力施設および補給基地があり、ここを制圧することで今後の作戦を有利に進めることができるからだ。そしてもう一つは、先の戦闘でB地区は敵戦力の大部分を*削《そ》ぐことに成功した。従って、しばらくはこのエリアからの敵の侵攻はないものと考えられ、こちら側は戦力を*二分《にぶん》することなくE地区奪還に専念できるからだ。
サキ:でも、もし少数精鋭で攻め込まれたら?
大東:当然その可能性は考慮している。そこで、E地区奪還作戦には我々の主力である特殊部隊『ゴッドスピア』に担当してもらう。そして不測の事態に備え、B地区周辺の警戒と防衛任務にはサキくんに就いてもらおうと考えている。
サキ:え…?
大東:サキくん、今回は我々に任せて、君は力を温存したまえ。
サキ:ぐっ…分かりました…。
大東:よろしく頼むよ。
サキ:了解…。
:
Dr.MAD:ほほう…今回は敢えて主戦力のドリームセイバー・サキを防衛任務につかせたか。なるほど、こちら側が少数精鋭で攻め込むことを警戒しての行動と見たが…ぐふふ、これはまたとないチャンスじゃ!よし!B地区に*魔導騎士《まどうきし》を送り込んで待機させろ!ただしこちらからの攻撃はするな。初めは少しずつ…少しずつじゃぞ。
:
サキ:(大東さんの気持ちはすごく嬉しい…。今回だって私の身体を気遣って、敢えて最前線から外してくれたんだと思う。)
サキ:でも…私は…。はっ!一時の方向に敵の反応あり!やっぱり私の読みが当たったのね!はぁぁぁぁ!!
死霊兵:グオォォォ!!
サキ:よし!3体撃破!まだまだ行くわよ!うぉりゃあー!!
死霊兵:グギャアアアア!!
サキ:5体撃破!次はあっちね!
Dr.MAD:よしよし、いいぞ。そのままヤツを誘い出すのじゃ。
サキ:残存兵かしら…あまりにも手応えがなさすぎる。きゃあ!!
魔獣兵:グルルルル…。
サキ:ぐっ…不意を突かれた。でも!『ミラクルライトニングアターック』!!
魔獣兵:グギャアアアア!!!
サキ:はぁ…はぁ…やったわ。はっ!三時方向に別の反応?…なに…この強さ…。
魔導騎士:フン!
サキ:〈魔導騎士の斬撃をまともに受け、吹っ飛ぶ〉
サキ:きゃあああ!!
魔導騎士:フフフフ。
サキ:くっ…こんなのがまだ潜んでいたなんて…。ううう…。
魔導騎士:フン!
サキ:ぐはっ!だ、ダメ…一撃一撃が重すぎて、こんなのまともに受けてたら持たない…!
大東:〈通信〉サキくん!どうした!何があった!
サキ:大東さん、やはり敵は少数精鋭で攻めて来ました!それもとてつもない強敵…きゃあああ!!
大東:〈通信〉サキくん大丈夫か!
サキ:…うぅ…な、なんとか…。
大東:〈通信〉サキくん!今すぐそこを放棄して撤退するんだ!
サキ:いいえ!撤退なんてできません!仮にここで逃げてもヤツらはすぐに追いついて来ます!そうなったら、また罪もない人達がたくさん殺されて…もうあんな想いをするのはこりごりなんです!
大東:〈通信〉待て!無茶をするな!いったん引く…〈通信切れる〉
サキ:ごめんなさい、大東さん。私もう何かを選んで何かを捨てるなんてしたくないの。
魔導騎士:フフフフ…。
サキ:今こそこれを使う時だわ…奇跡の宝玉ミラクルサファイアよ!その*仮初《かりそめ》の*器《うつわ》を飛び出し、無限の力を*以《もっ》て我を新たな次元へと進化させん!『ミラクルエボリューション』!!
魔導騎士:オオオ?
サキ:これが…私の新たな力…!行くわよ!超必殺!『ディメンションエクスプロージョン』!!
魔導騎士:アアアアア!
魔導騎士:〈突如現れた立方体に吸い込まれる〉
サキ:さすがのあんたでも、ひとたび聖なる空間に吸い込まれたが最期、あらゆる方向から*照射《しょうしゃ》される無数のレーザーからは逃れられないわよ!『フィニッシュ』!!
魔導騎士:グギャアアアア!!!
魔導騎士:〈立方体の中で無数のレーザーが魔導騎士に向かって照射される〉
サキ:はぁ…はぁ…。や、やったわ!倒したぁ!!これが進化した私なの?…すごい、身体の芯からどんどん力が溢れてくる!…うふふふふ、さぁ、次の相手はどいつかしら!
:
Dr.MAD:ほうほう…なかなか良い感じじゃな。
ヘル・キラー:ここまで散々やられておいて何が良い感じなのだ?
Dr.MAD:こ、これはヘル・キラー様。確かにこのB地区において我らの軍勢は大半がやられてしまいました。しかし…あの小娘を見てくだされ。何か様子が変ではないですかな?
ヘル・キラー:ん?どこが変だと言うのだ?
Dr.MAD:ヤツは最初、防衛や避難民の退路を確保するために必要な戦闘、つまり『守りの戦闘』しかしておりませんでした。でも、徐々に強くなっていく敵を前に、無理矢理自分の限界を超えて進化し続けたために心が追いつかず、本人も気付かぬうちにその力に飲まれかけているのです。
サキ:あら、次はあなたね。消し飛びなさい!!はぁぁぁぁ!!
魔獣兵:グアアアアア!!
サキ:あは…あははは!爽快だわ!この力があれば私は誰にも負けない!
Dr.MAD:そして力に飲まれれば飲まれるほど、ヤツの剣を覆っていた光のオーラは徐々に漆黒に染まっていくのです。
ヘル・キラー:なんと…そんなことが…。
Dr.MAD:ヘル・キラー様、*暗黒幻龍兵《あんこくげんりゅうへい》をお借りしてもよろしいですかな?
ヘル・キラー:あ、*暗黒幻龍兵《あんこくげんりゅうへい》だと!?我々の軍勢の中でもトップクラスの戦力をこんな所で投入するのか?
Dr.MAD:まあ見ててくだされ。
ヘル・キラー:うぬぅ…良かろう…お前に任せる。
Dr.MAD:ありがたき幸せ。
暗黒幻龍兵:コォォ…。
サキ:あらぁ?ようやく歯応えのありそうなのが出てきたわね♡
暗黒幻龍兵:ガァ!!
サキ:〈強烈な拳がサキを襲う〉
サキ:きゃあああ!!…ぐっ、強い、やるじゃないの!いいわぁ♡この緊張感、たまんないわね…ペロっ〈舌なめずり〉。
サキ:じゃあこっちからも行くわよ!『ディメンションエクスプロージョン』!!
暗黒幻龍兵:フガァァァ!!
サキ:え!?力ずくで聖なる空間から抜け出して…がぁぁ!!
サキ:〈暗黒幻龍兵の一撃をまともに食らう〉
暗黒幻龍兵:フシュー…。
サキ:ぐっ…ぐはぁ…。まだよ、まだ足りないのよ!もっと力を!もっと私に力を寄越しなさい!はぁぁぁぁ!!!
Dr.MAD:おおお!!小娘の剣が漆黒のオーラに染まっていく!これじゃ!これを待っとったんじゃ!
サキ:死ねぇぇぇぇ!!!!『ミストラルブレークサンダー』!!
暗黒幻龍兵:グギャアアアア!!!!
サキ:はぁ…はぁ。…ふふふ…あはははは!!!なんて素敵なの!!私の身体を真っ黒な力が駆け巡っていくのぉ!あはぁ ♡ しあわせぇ…♡
Dr.MAD:さぁ、ヘル・キラー様!機は完全に熟しました!あれこそが貴方が待ち焦がれていた宿敵ドリームセイバー・サキですぞ!
ヘル・キラー:う、うむ…。では参ろうか。
ヘル・キラー:〈宇宙船から降りてサキの元へ〉
サキ:あらぁ?まだいたのぉ?うふふふふ…。
ヘル・キラー:我は暗黒帝国デスクリムゾン首領、闇皇帝ヘル・キラー。お前との一騎打ちを望んでいる。
サキ:私と一騎打ちだなんて…♡うふふ、良いわよぉ。あぁ!ついにラスボスと殺りあえるのね!
ヘル・キラー:そなたの名は?
サキ:うふふふ、私は『愛と夢と希望のミラクル戦士 ドリームセイバー・サキ』よ。
ヘル・キラー:さて、互いの自己紹介が済んだところで、いざ参るぞ!でやぁ!!
サキ:ぐっ!!や、やるじゃない!さすがはラスボスねぇ♡じゃあこういうのはどうかしら?はぁぁぁぁ!!
ヘル・キラー:ぐはっ!!ぐぬぬ…やはり一筋縄ではいかぬか!ならば、こちらも本気で参らせてもらうぞ!!『*暗黒秘剣 漆黒の舞《あんこくひけん しっこくのまい》』!!うおおおお!!!
Dr.MAD:(ぐふふふふ…そろそろヤツに掛けた洗脳を解く頃合か…)
サキ:あはは♡じゃあ私も本気で行くわよ!!『ミストラルブレークサンダー』!!はぁぁぁぁ!!
Dr.MAD:リリース・イリュージョン!
Dr.MAD:〈タケルの洗脳が解ける〉
タケル:え…?俺は一体何を…ってサキ?ぐああああああ!!!
サキ:あはははは!!やったわ!!直撃よ…って、タケ…ル?
タケル:うぅ…。
サキ:え…ちょっと待って…え?どういうこと?なんでここにタケルが?っていうか、なんでタケルがヘル・キラーなの!待って待って!!どういうことよ!!あああ!私…なんて事を!!
タケル:さ、サキ…会えて良かった…。
サキ:タケル…?ねぇ…タケル!うそだよね!!目を覚ましてよ!!タケルー!!!ああああああ!!!
Dr.MAD:そろそろ参るとするか。
Dr.MAD:〈宇宙船から降りて二人の元へ〉
サキ:うああああああ!!
Dr.MAD:ごきげんよう。愛と夢と希望のミラクル戦士ドリームセイバー・サキよ。
サキ:うううう…アンタ誰よ!
Dr.MAD:申し遅れました。私は暗黒帝国デスクリムゾンの宰相『Dr.MAD』と申します。いやはや…さすがこの星で最強の戦士だ。我が主、闇皇帝ヘル・キラーを倒すとは。いや、言い間違えましたな。今あなたが倒したのは10年前に私があなたの元から連れ去り洗脳した荒木タケルくんじゃったな。
サキ:わたしが…タケルを…。
Dr.MAD:そう…あなたが!その剣で!奪ったのですよ!あなたの大好きな『タケルくん』の命をね!
サキ:いや…いやぁ!いやあああぁぁぁ!!!
Dr.MAD:ふふふふ…絶望の底に落ちるがよい。そして最悪最強の暗黒戦士として生まれ変わるのじゃ!!
サキ:あああああああ!!…フフフ…ハハハハハ!!ワタシハアンコクセンシ…コノホシノスベテヲハカイスル!アハハハハハ!!
Dr.MAD:ぐはははは!やった!ついにやったぞ!これで全ては私のモノだ!!
タケル:サキ…。
サキ:アハハハハ……って、タケル?
Dr.MAD:な!なぜあなたがまだ生きているのです!
タケル:ぐっ…こいつのおかげで助かったんだ…。
サキ:それは…『あくしょんクラブ』認定証!
タケル:そうだ。お前もまだ持ってんだろ?
サキ:うん!もちろんだよ!無くすわけないじゃん!
Dr.MAD:一体何が起きとるんじゃ!そんな子供が作ったガラクタで最強の戦士の攻撃を防げるわけがないじゃろうが!
タケル:お前には分かんねえよ!Dr.MAD!こいつはな、俺とサキを結ぶ大切な*絆《きずな》なんだ!
:
:【 回想シーン 】
タケル:なぁ、サキ。
サキ:なぁに?タケル。
タケル:これ半分やるよ。
サキ:わぁ!かっこいいメダル!何これ?
タケル:それはな、俺たち『あくしょんクラブ』の公式認定証だ!
サキ:公式認定証?
タケル:そうだ。俺たちは『あくしょんクラブ』の永久会員だろ?だからさ、これからも二人でずっとアクションやっていこうぜ!って意味を込めて作ったんだ!
サキ:ありがとうタケル!とっても嬉しい!
タケル:それでさ、これは俺からの提案なんだけど、毎回活動を始める時はこうやってお互いの認定証を合わせて『レッツアクション!』って掛け声を言い合わないか?
サキ:それめっちゃいいねー!!やろやろー!!
タケル:あとさ、俺たちいつもヒーロー役と悪役に分かれて戦ってるだろ?
サキ:いつもヒーロー役はタケルだけどね。
タケル:いいから聞けって。でさ…いつか二人でヒーローやれたら良いなって思ってるんだ。
サキ:それいいね!賛成~!でもそれじゃわたしたち、一体誰と戦うのよ?
タケル:あ…それもそうだな!はははは!〈同時に〉
サキ:うふふふ!〈同時に〉
:
:
タケル:サキ!あの時の夢、今こそ叶えようぜ!
サキ:うん!行くわよ!
タケル:『レッツアクション!』〈同時に〉
サキ:『レッツアクション!』〈同時に〉
Dr.MAD:な!なんじゃこの光は!合わせたメダルが光り輝いていく!
タケル:これが俺たちの新しい力!
サキ:永遠の宝玉『エターナルダイヤモンド』よ!
Dr.MAD:ば、バカな!新たな宝玉じゃと!なんと!二人の傷がみるみる治っていくではないか!
タケル:さあ、一気に行くぞ!
サキ:ええ!
タケル:*暗黒秘剣奥義《あんこくひけんおうぎ》!『*無限回刃殺《むげんかいじんさつ》』!!うおおおおぉ!!!
サキ:ミラクル*超絶奥義《ちょうぜつおうぎ》!『エターニティ・ディストラクション』!!はぁぁぁぁ!!!
Dr.MAD:ぬおぉぉぉ!!お、おのれぇぇ!あと少し、あと少しのところで!グギャアアアア!!!!
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サキ:すごい…全ての敵が活動を停止してる…。
タケル:あいつら全員Dr.MADによって操られていたんだろ。
サキ:そうね。これでやっと終わったのね!おかえりなさい、タケル!
タケル:ああ、ただいま、サキ!いろいろと心配掛けて済まなかったな。
サキ:ううん、いいの。こうしてタケルが無事に帰って来てくれたんだから。それだけで充分よ。それにね、暗黒帝国デスクリムゾンは私達二人のヒーローによって壊滅。地球は無事にヤツらの手から取り戻せたわけだしね!
タケル:はぁ…やっぱりサキはすげぇよ。結局今回も『どれか』じゃなくて『全部』叶えちゃうんだもんな!
サキ:当然よ、もう何も捨てたくないから。
タケル:そうだな。でもこれからは『俺たち二人』の手で守って行こうぜ!
サキ:俺たち二人?うふふ…そうね。じゃあ改めてよろしくね、タケル!
タケル:おう!よろしくな!
サキ:さぁて、明日からまた始めるわよ。
タケル:ん?始めるって何を?
サキ:『あくしょんクラブ』に決まってんでしょ。
タケル:おう!望むところだ!
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:~完~