台本概要

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タイトル スペリオルズ ~上回りし者たち~
作者名 ふらん☆くりん  (@Frank_lin01)
ジャンル ファンタジー
演者人数 4人用台本(男3、女1) ※兼役あり
時間 20 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 【あらすじ】
俺たちがいる限り、奴らの好きにはさせねぇよ!

【著作権について】
本作品の著作権は全て作者である「ふらん☆くりん」に帰属します。
また、いかなる場合であっても当方は著作権の放棄はいたしません。

【禁止事項】
●商業目的での利用
●台本の無断使用、無断転載、自作発言等
●過度なアドリブ、セリフの大幅な改変等

【ご利用に際してのお願い】
●台本の利用に際しては作者X(旧ツイッター)に連絡をお願いいたします。
●配信等で利用される場合は①作品名、②作者名、③台本掲載URLを掲示していただけると嬉しいです。
●たくさんの方の演技を聴きに行きたいので、可能であれば告知文にメンションを付けていただけると嬉しいです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
19 謎の女【暁 さゆり役の方が演じてください】
男A 21 謎の男【石動 海斗(いするぎ かいと)役の方が演じてください】
男B 5 謎の男【石動 龍斗(いするぎ りゅうと)役の方が演じてください】
海斗 19 石動 海斗(いするぎ かいと)。ある特殊な稼業を生業にしている男。
龍斗 13 石動 龍斗(いするぎ りゅうと)。石動 海斗の中にいるもう一人の人格。
さゆり 9 暁 さゆり(あかつき さゆり)。暁(あかつき)グループ総帥。数年前に先代から屋敷と財産を引き継いだ。
警官 27 この町の平和を守る町の警察官
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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タイトル:スペリオルズ ~上回りし者たち~ : 登場人物: 海斗:*石動 海斗《いするぎ かいと》・・・ある特殊な稼業を生業にしている男【男Aと兼役】 龍斗:*石動 龍斗《いするぎ りゅうと》・・・石動海斗の中にいるもう一人の人格【男Bと兼役】 さゆり:*暁 さゆり《あかつき さゆり》・・・*暁《あかつき》グループ総帥。数年前に先代から屋敷と財産を引き継いだ【女と兼役】 警官:この町の平和を守る町の警察官 :〈〉はト書きです。 : 本編: 女:私ね…あなたのことずっと前から気になってたの。 男A:ほう、それは奇遇だね。僕もだよ。 女:うふふ。嬉しい。 男A:僕も嬉しいよ。 女:ねぇ、あなた…私と一つにならない? 男A:いいね…君のその発言は実にそそられるね。 女:あは♡ 嬉しい…じゃあこっちに来て…。 男A:ああ。 女:さぁ!私と一緒になりましょう!あなたのこと優しく包み込んであげ…。 男A:でも、そこじゃないんだ。 女:え? 男A:僕が『そそられる』と言ったのは、君の発言そのものに対してであって、そこから先のことに興味はないんだよ。 女:ど、どういうこと?? 男A:僕は人の言動にちょっと敏感なんだ。さっき君は言ったね。『僕のことをずっと前から気になっていた』と。 女:え、ええ…それがどうしたのよ。 男A:『ずっと前』とは『いつとは言い表せないくらい前』という意味だ。 女:だから? 男A:今日初めてこの屋敷を訪れた客である僕に対して『いつとは言い表せないくらい前から気になっていた』という表現は不自然極まりない。 女:で、でもあなたのことは爺やからずっと聞かされていて…。 男A:ほう…それはおかしいな。僕が得た情報によると、君が先代からこの屋敷と財産を受け継いだのはもう何年も前のこと。しかもそこから今日に至るまで、君はずっと一人でこの屋敷に住んでいる。仮に財産を受け継ぐ前に先代に仕えていた者がいたとしてもあまりにも不自然だ。 女:な、なによ…。私のこと疑ってるの? 男A:さらに!君は『私と一つにならない?』とも言った! 女:なんなのよ…怖い…。 男A:『一つになる』には①ばらばらの物がひとかたまりになる、②男女が体の関係を持つこと、③夫婦になるなどの意味があるが、初めて会った客に対して②と③は考えにくい。 女:一目惚れってこともあるかもしれないじゃない。 男A:それは断じてない! 女:なっ!あなた…絶対女性から嫌われるタイプね。 男A:ふっ、何とでも言いなよ。そこで導き出されるのが①だ。ばらばらの物がひとかたまりになるとはどういうことか?お互い別々の個体である人間同士がひとかたまりになる方法はただ一つ!どちらか一方がもう一方を取り込む、つまり食べるということだ。 女:無茶苦茶だわ…。 男A:つまり!君は最近*巷《ちまた》を騒がしている捕食者…『ディバウアー』だ! 女:ひどい…!! 男A:ひどい?…ふふ、怪物風情がよく言うよ。 女:誰か!誰か助けて! 警官:お嬢様!どうかなさいましたか? 女:あ!警察の方ですか?良かった!もう来てくれたのですね。この人頭おかしいんです。捕まえてください。 男A:警察?いつの間に。 警官:分かりました。さぁ、一緒に来るんだ。 男A:嫌だね。僕は何もしていない! 警官:分かった分かった…詳しい話は署でゆっくり聞くから。 男A:は、離せ!僕は彼女…いや、『ディバウアー』と話をしているだけだ! 警官:はぁ…いるんだよなぁ。こういうイカれたヤツが…。 男A:僕がイカれてるだと?ふざけるな!お前は何も分かっていない!早くしないと次の犠牲者が! 警官:暴れるな!さっさとパトカーに乗れ!〈パトカーに乗せられる〉 男A:くっ!僕を解放しろぉぉ!! 女:うふふ…さようならイケメンのお兄さん♡ : :【 警察署内の取調室 】 警官:お前、名前は? 男B:ちっ…誰が言うかよ! 警官:お前、こんな所で無駄に黙秘権使うなよ!ったく…よりにもよって日本が誇る大財閥、*暁《あかつき》グループ総帥、暁さゆり様の屋敷に不法侵入したうえに、さゆり様を捕食者呼ばわりするとは!恥を知れ恥を!! 男B:はっ!お前ら警察はいいよなぁ呑気で!幾度となくヤツらとやり合った俺の意見はちっとも聞かずに、先入観だけでしょっ引くんだからよぉ。 警官:やかましい!この厨二病が! 男B:んだとコラ!ヤンのか!? 警官:はぁ…あのな、この現実世界にそんな怪物いるわけないだろ。特撮番組見すぎなんだよ! 男B:マジでいるんだっての!お前らもニュースで見ただろ!ここ最近、人間が急に失踪するって事件をよ! 警官:それはもちろん知っている。だから我々もこうして全力で捜査しているんだ。頼むから邪魔だけはするな!次やったらマジでムショにぶち込むぞ!…っていうかお前、最初に会った時とキャラ変わりすぎだろ。 男B:おぉ、ようやく気づいたか。屋敷の時のアイツは俺のもう一人の人格、*石動 海斗《いするぎ かいと》だ。主にターゲットに近づいて情報を引き出すのがアイツの仕事だ。そして俺は*石動 龍斗《いするぎ りゅうと》。海斗に代わり『ディバウアー』との戦闘を行うのが俺の仕事ってわけだ。まぁ海斗の*お守り《おもり》役も兼ねてるがな。 警官:厨二病もここまで設定が細かいと逆に*清々《すがすが》しいな。 龍斗:おい!まだ言いやがんのか! 警官:はぁ…まったく、めんどくさいヤツをしょっ引いて来ちまったもんだ。 龍斗:なあ、それより聞かないのか? 警官:何をだ? 龍斗:俺たちがなぜあの屋敷にいたのかを。 警官:お嬢様とお近づきになりたくて不法侵入したんじゃないのか? 龍斗:違うわ!俺たちはあの「さゆり」とかいうお嬢様に呼ばれたんだよ。 警官:デタラメを言うな!お前みたいな*下劣な輩《げれつなやから》をさゆりお嬢様が屋敷に招き入れるはずがないだろ!つくならもう少しマシな嘘をつけ! 龍斗:嘘でもデタラメでもない。ほれ、このとおり招待状まであるぜ。 警官:さゆり様直筆の手紙…本物だ。うそだろ…信じられん。 龍斗:な、言っただろ。 警官:この招待状はいつ送られてきたんだ? 海斗:ここからは僕が話すよ。ちょうど3週間前、僕たちが独自に今回の連続失踪事件を調査し始めた頃、この招待状がポストに投函されていたんだ。切手が貼られていない所を見るに、何者かが郵送などの手段を使わずに直接ポストに投函したと考えるのが妥当だろうね。 警官:何のためにそんなことを…。 海斗:そう。問題はそこなんだ。しかも投函されたのが調査を始めた矢先だったからね。仮にこれが本当に一人暮らしのさゆりお嬢様から送られた招待状だとすると、逆に怪しいと思ったんだ。僕が犯人なら自分の存在を脅かす不安材料は早目に消しておきたいからね。だから敢えて僕達は誘いに乗ることにしたんだ。 警官:…。 海斗:もともとあの屋敷の周りでは黒い噂が絶えなかったからね。ただ、どの情報も信ぴょう性に欠けていてね、いつかは調査しないとと思っていた矢先に向こうからご招待されたってわけ。でも今回お嬢様と直接話して確信したことがある。 警官:なんだ?それは。 海斗:さゆりお嬢様は間違いなく捕食者『ディバウアー』だ。 警官:なっ!なぜお前はそんな妄想じみた話を自信を持って言い切れるんだ? 海斗:理由はあなたが現れたからだよ。 警官:私が?どういうことだ? 海斗:普通の人間なら強盗に侵入されるなど直接的な被害がなければ警察に連絡なんかしない。それなのに自ら招待状を送り付けてまで招き入れた客、しかも何もしていない相手に対して警察を呼んで自分から遠ざけようとした。それはなぜか?考えられる理由は二つ。一つは話の流れから自分が『ディバウアー』だとバレる可能性があったから。そしてもう一つは僕達に倒される恐れがあったから。この二つを考えた結果、取れる選択肢としては警官に強制連行してもらうしかなかった…ってことなんだけど、どうかな? 警官:なるほど…さすがは偉そうな口を叩くだけのことは…うぐっ!!〈腹に刀が突き刺さる〉 龍斗:そしてさらにもう一つの可能性…もし俺たちの捕食に失敗した場合、確実に危険因子を取り除くためにあらかじめ*種《たね》を使って警察内部に紛れ込ませた自分の仲間を使って始末させる。まったく…用意周到なこった。だが甘ぇな!お前らの手は見え見えなんだよ! 警官:グッ…カタナ?…ソンナモノドコカラ…。 龍斗:俺は念じれば身体のどこからでも自在に武器が取り出せるのさ! 警官:バ、バカナ…ナゼオレガ『ディバウアー』ダトキヅイタンダ? 海斗:あの場で警察を呼んだにしては、あなたが現れるタイミングがあまりにも早過ぎて不自然だったからね。それにあの時、お嬢様は警察を呼ぶ素振りすら見せなかった。だからすぐにピンと来たんだ。あなたもグルだってね。ありがとう、あなたのおかげで全てがハッキリしたよ。龍斗、あとは頼んだよ。 龍斗:おう!*滅殺剣技!昇り龍!《めっさつけんぎ のぼりりゅう》うおりゃぁぁぁ!!!〈腹に刀を突き刺したまま、真上に切り裂く〉 警官:グァァァァ!!!!!〈青白い炎に焼かれながら絶命する〉 龍斗:さて、それじゃラスボスを倒しに行くとするか! 海斗:ふふ、そうだね。 : :【 さゆりの屋敷 】 海斗:さゆりお嬢様、僕は再びあなたの元に舞い戻って参りました。 さゆり:え…?あ、あら…あなた、警官に連行してもらったはずだけど? 海斗:そのことならご安心を。話せばちゃんと分かってくれて、すぐに解放してくれたよ。 さゆり:そ、そうなの。それは良かったわ。それで?あんなに酷いことをしたのに、どうしてあなたはまたこの屋敷に戻って来たの?もしかして…そんなに私と一つになりたかったの? 海斗:ああ、そうだね。 さゆり:まあ!嬉しい!それじゃあ、お望み通りいっぱい愛してあげるわ。さぁ、こっちに来て…。 海斗:うん。今行くよ。〈さゆりは海斗をそっと抱きしめる〉 さゆり:つかまえた♡ うふふ…さぁ、これであなたも私のものよ!…え?銃が胸に!? 海斗:残念だったね。大方さっき倒した警官から送られたテレパシーメッセージでも読み取って、こうして抱きついてしまえば武器は出せないはず…とか思ったんじゃないかな? さゆり:やばっ!! 海斗:ばーん♪〈突き付けた銃口から銃弾が放たれる〉 さゆり:ガァァァ!!バ、バカナ…オマエハタタカエナインジャナカッタノカ…! 海斗:ふむ…その解釈は間違ってるね。僕は戦えないんじゃない。めんどくさいからいつも龍斗に丸投げしてるだけなんだ。 さゆり:ウウ…オ、オネガイ、ミノガシテ…。 海斗:あはは!まさかの命乞い?可哀想だけど、それは聞けない相談だね。*滅殺銃技!五月雨の舞!《めっさつじゅうぎ さみだれのまい》〈銃口から無数の光る弾丸が発射される〉 さゆり:グギャァァァ!!!…オノレ、コシャクナニンゲンドモメェェ!!〈青白い炎に全身を焼かれながら絶命する〉 海斗:人間?ふふ…やはり君は面白いことを言うね。僕たちは人間じゃない。 龍斗:俺たちは捕食者『ディバウアー』を狩る存在。 海斗:『スペリオルズ』だ!〈同時に〉 龍斗:『スペリオルズ』だ!〈同時に〉 : :~完~

タイトル:スペリオルズ ~上回りし者たち~ : 登場人物: 海斗:*石動 海斗《いするぎ かいと》・・・ある特殊な稼業を生業にしている男【男Aと兼役】 龍斗:*石動 龍斗《いするぎ りゅうと》・・・石動海斗の中にいるもう一人の人格【男Bと兼役】 さゆり:*暁 さゆり《あかつき さゆり》・・・*暁《あかつき》グループ総帥。数年前に先代から屋敷と財産を引き継いだ【女と兼役】 警官:この町の平和を守る町の警察官 :〈〉はト書きです。 : 本編: 女:私ね…あなたのことずっと前から気になってたの。 男A:ほう、それは奇遇だね。僕もだよ。 女:うふふ。嬉しい。 男A:僕も嬉しいよ。 女:ねぇ、あなた…私と一つにならない? 男A:いいね…君のその発言は実にそそられるね。 女:あは♡ 嬉しい…じゃあこっちに来て…。 男A:ああ。 女:さぁ!私と一緒になりましょう!あなたのこと優しく包み込んであげ…。 男A:でも、そこじゃないんだ。 女:え? 男A:僕が『そそられる』と言ったのは、君の発言そのものに対してであって、そこから先のことに興味はないんだよ。 女:ど、どういうこと?? 男A:僕は人の言動にちょっと敏感なんだ。さっき君は言ったね。『僕のことをずっと前から気になっていた』と。 女:え、ええ…それがどうしたのよ。 男A:『ずっと前』とは『いつとは言い表せないくらい前』という意味だ。 女:だから? 男A:今日初めてこの屋敷を訪れた客である僕に対して『いつとは言い表せないくらい前から気になっていた』という表現は不自然極まりない。 女:で、でもあなたのことは爺やからずっと聞かされていて…。 男A:ほう…それはおかしいな。僕が得た情報によると、君が先代からこの屋敷と財産を受け継いだのはもう何年も前のこと。しかもそこから今日に至るまで、君はずっと一人でこの屋敷に住んでいる。仮に財産を受け継ぐ前に先代に仕えていた者がいたとしてもあまりにも不自然だ。 女:な、なによ…。私のこと疑ってるの? 男A:さらに!君は『私と一つにならない?』とも言った! 女:なんなのよ…怖い…。 男A:『一つになる』には①ばらばらの物がひとかたまりになる、②男女が体の関係を持つこと、③夫婦になるなどの意味があるが、初めて会った客に対して②と③は考えにくい。 女:一目惚れってこともあるかもしれないじゃない。 男A:それは断じてない! 女:なっ!あなた…絶対女性から嫌われるタイプね。 男A:ふっ、何とでも言いなよ。そこで導き出されるのが①だ。ばらばらの物がひとかたまりになるとはどういうことか?お互い別々の個体である人間同士がひとかたまりになる方法はただ一つ!どちらか一方がもう一方を取り込む、つまり食べるということだ。 女:無茶苦茶だわ…。 男A:つまり!君は最近*巷《ちまた》を騒がしている捕食者…『ディバウアー』だ! 女:ひどい…!! 男A:ひどい?…ふふ、怪物風情がよく言うよ。 女:誰か!誰か助けて! 警官:お嬢様!どうかなさいましたか? 女:あ!警察の方ですか?良かった!もう来てくれたのですね。この人頭おかしいんです。捕まえてください。 男A:警察?いつの間に。 警官:分かりました。さぁ、一緒に来るんだ。 男A:嫌だね。僕は何もしていない! 警官:分かった分かった…詳しい話は署でゆっくり聞くから。 男A:は、離せ!僕は彼女…いや、『ディバウアー』と話をしているだけだ! 警官:はぁ…いるんだよなぁ。こういうイカれたヤツが…。 男A:僕がイカれてるだと?ふざけるな!お前は何も分かっていない!早くしないと次の犠牲者が! 警官:暴れるな!さっさとパトカーに乗れ!〈パトカーに乗せられる〉 男A:くっ!僕を解放しろぉぉ!! 女:うふふ…さようならイケメンのお兄さん♡ : :【 警察署内の取調室 】 警官:お前、名前は? 男B:ちっ…誰が言うかよ! 警官:お前、こんな所で無駄に黙秘権使うなよ!ったく…よりにもよって日本が誇る大財閥、*暁《あかつき》グループ総帥、暁さゆり様の屋敷に不法侵入したうえに、さゆり様を捕食者呼ばわりするとは!恥を知れ恥を!! 男B:はっ!お前ら警察はいいよなぁ呑気で!幾度となくヤツらとやり合った俺の意見はちっとも聞かずに、先入観だけでしょっ引くんだからよぉ。 警官:やかましい!この厨二病が! 男B:んだとコラ!ヤンのか!? 警官:はぁ…あのな、この現実世界にそんな怪物いるわけないだろ。特撮番組見すぎなんだよ! 男B:マジでいるんだっての!お前らもニュースで見ただろ!ここ最近、人間が急に失踪するって事件をよ! 警官:それはもちろん知っている。だから我々もこうして全力で捜査しているんだ。頼むから邪魔だけはするな!次やったらマジでムショにぶち込むぞ!…っていうかお前、最初に会った時とキャラ変わりすぎだろ。 男B:おぉ、ようやく気づいたか。屋敷の時のアイツは俺のもう一人の人格、*石動 海斗《いするぎ かいと》だ。主にターゲットに近づいて情報を引き出すのがアイツの仕事だ。そして俺は*石動 龍斗《いするぎ りゅうと》。海斗に代わり『ディバウアー』との戦闘を行うのが俺の仕事ってわけだ。まぁ海斗の*お守り《おもり》役も兼ねてるがな。 警官:厨二病もここまで設定が細かいと逆に*清々《すがすが》しいな。 龍斗:おい!まだ言いやがんのか! 警官:はぁ…まったく、めんどくさいヤツをしょっ引いて来ちまったもんだ。 龍斗:なあ、それより聞かないのか? 警官:何をだ? 龍斗:俺たちがなぜあの屋敷にいたのかを。 警官:お嬢様とお近づきになりたくて不法侵入したんじゃないのか? 龍斗:違うわ!俺たちはあの「さゆり」とかいうお嬢様に呼ばれたんだよ。 警官:デタラメを言うな!お前みたいな*下劣な輩《げれつなやから》をさゆりお嬢様が屋敷に招き入れるはずがないだろ!つくならもう少しマシな嘘をつけ! 龍斗:嘘でもデタラメでもない。ほれ、このとおり招待状まであるぜ。 警官:さゆり様直筆の手紙…本物だ。うそだろ…信じられん。 龍斗:な、言っただろ。 警官:この招待状はいつ送られてきたんだ? 海斗:ここからは僕が話すよ。ちょうど3週間前、僕たちが独自に今回の連続失踪事件を調査し始めた頃、この招待状がポストに投函されていたんだ。切手が貼られていない所を見るに、何者かが郵送などの手段を使わずに直接ポストに投函したと考えるのが妥当だろうね。 警官:何のためにそんなことを…。 海斗:そう。問題はそこなんだ。しかも投函されたのが調査を始めた矢先だったからね。仮にこれが本当に一人暮らしのさゆりお嬢様から送られた招待状だとすると、逆に怪しいと思ったんだ。僕が犯人なら自分の存在を脅かす不安材料は早目に消しておきたいからね。だから敢えて僕達は誘いに乗ることにしたんだ。 警官:…。 海斗:もともとあの屋敷の周りでは黒い噂が絶えなかったからね。ただ、どの情報も信ぴょう性に欠けていてね、いつかは調査しないとと思っていた矢先に向こうからご招待されたってわけ。でも今回お嬢様と直接話して確信したことがある。 警官:なんだ?それは。 海斗:さゆりお嬢様は間違いなく捕食者『ディバウアー』だ。 警官:なっ!なぜお前はそんな妄想じみた話を自信を持って言い切れるんだ? 海斗:理由はあなたが現れたからだよ。 警官:私が?どういうことだ? 海斗:普通の人間なら強盗に侵入されるなど直接的な被害がなければ警察に連絡なんかしない。それなのに自ら招待状を送り付けてまで招き入れた客、しかも何もしていない相手に対して警察を呼んで自分から遠ざけようとした。それはなぜか?考えられる理由は二つ。一つは話の流れから自分が『ディバウアー』だとバレる可能性があったから。そしてもう一つは僕達に倒される恐れがあったから。この二つを考えた結果、取れる選択肢としては警官に強制連行してもらうしかなかった…ってことなんだけど、どうかな? 警官:なるほど…さすがは偉そうな口を叩くだけのことは…うぐっ!!〈腹に刀が突き刺さる〉 龍斗:そしてさらにもう一つの可能性…もし俺たちの捕食に失敗した場合、確実に危険因子を取り除くためにあらかじめ*種《たね》を使って警察内部に紛れ込ませた自分の仲間を使って始末させる。まったく…用意周到なこった。だが甘ぇな!お前らの手は見え見えなんだよ! 警官:グッ…カタナ?…ソンナモノドコカラ…。 龍斗:俺は念じれば身体のどこからでも自在に武器が取り出せるのさ! 警官:バ、バカナ…ナゼオレガ『ディバウアー』ダトキヅイタンダ? 海斗:あの場で警察を呼んだにしては、あなたが現れるタイミングがあまりにも早過ぎて不自然だったからね。それにあの時、お嬢様は警察を呼ぶ素振りすら見せなかった。だからすぐにピンと来たんだ。あなたもグルだってね。ありがとう、あなたのおかげで全てがハッキリしたよ。龍斗、あとは頼んだよ。 龍斗:おう!*滅殺剣技!昇り龍!《めっさつけんぎ のぼりりゅう》うおりゃぁぁぁ!!!〈腹に刀を突き刺したまま、真上に切り裂く〉 警官:グァァァァ!!!!!〈青白い炎に焼かれながら絶命する〉 龍斗:さて、それじゃラスボスを倒しに行くとするか! 海斗:ふふ、そうだね。 : :【 さゆりの屋敷 】 海斗:さゆりお嬢様、僕は再びあなたの元に舞い戻って参りました。 さゆり:え…?あ、あら…あなた、警官に連行してもらったはずだけど? 海斗:そのことならご安心を。話せばちゃんと分かってくれて、すぐに解放してくれたよ。 さゆり:そ、そうなの。それは良かったわ。それで?あんなに酷いことをしたのに、どうしてあなたはまたこの屋敷に戻って来たの?もしかして…そんなに私と一つになりたかったの? 海斗:ああ、そうだね。 さゆり:まあ!嬉しい!それじゃあ、お望み通りいっぱい愛してあげるわ。さぁ、こっちに来て…。 海斗:うん。今行くよ。〈さゆりは海斗をそっと抱きしめる〉 さゆり:つかまえた♡ うふふ…さぁ、これであなたも私のものよ!…え?銃が胸に!? 海斗:残念だったね。大方さっき倒した警官から送られたテレパシーメッセージでも読み取って、こうして抱きついてしまえば武器は出せないはず…とか思ったんじゃないかな? さゆり:やばっ!! 海斗:ばーん♪〈突き付けた銃口から銃弾が放たれる〉 さゆり:ガァァァ!!バ、バカナ…オマエハタタカエナインジャナカッタノカ…! 海斗:ふむ…その解釈は間違ってるね。僕は戦えないんじゃない。めんどくさいからいつも龍斗に丸投げしてるだけなんだ。 さゆり:ウウ…オ、オネガイ、ミノガシテ…。 海斗:あはは!まさかの命乞い?可哀想だけど、それは聞けない相談だね。*滅殺銃技!五月雨の舞!《めっさつじゅうぎ さみだれのまい》〈銃口から無数の光る弾丸が発射される〉 さゆり:グギャァァァ!!!…オノレ、コシャクナニンゲンドモメェェ!!〈青白い炎に全身を焼かれながら絶命する〉 海斗:人間?ふふ…やはり君は面白いことを言うね。僕たちは人間じゃない。 龍斗:俺たちは捕食者『ディバウアー』を狩る存在。 海斗:『スペリオルズ』だ!〈同時に〉 龍斗:『スペリオルズ』だ!〈同時に〉 : :~完~