台本概要
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タイトル | 金魚すくい |
---|---|
作者名 | ふぇねっく (@fenekonkon) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
あのとき、すくいたくてもすくえなかった君を。今度はすくいたい。 夏場にサクッと演じていただければ! 423 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
明日夢 | 女 | 50 | 明日夢(あすむ)。20代前半の女。叶の幼馴染。ピアノでプロを目指していたが、ある日を境に弾けなくなってしまう。 |
叶 | 男 | 49 | 叶(かなえ)。20代前半の男。明日夢の幼馴染。高校卒業と同時に上京し、5年後、突然明日夢の元に帰ってくる。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
:
:『金魚すくい』
:
明日夢:
明日夢:明日夢(あすむ)。20代前半の女。叶の幼馴染。ピアノでプロを目指していたが、ある日を境に弾けなくなってしまう。
明日夢:
叶:
叶:叶(かなえ)。20代前半の男。明日夢の幼馴染。高校卒業と同時に上京し、5年後、突然明日夢の元に帰ってくる。
叶:
:
:本編スタート
:
明日夢:(M)時折思い出す。小さい頃の記憶。
明日夢:あのとき見えていた景色と、今見えている景色は、違ってるのかな。
明日夢:そんなことを考えていた頃の出来事。
:
叶:久しぶり。元気だった?
明日夢:うん。そっちは?
叶:うん。元気だよ。
明日夢:そっか。…髪、そんな色だったっけ?
叶:都会っていうのは、人を狂わせるんだよ。
明日夢:あー、はいはい。いいから、お祭り行くよ!早く準備して!
叶:ひどっ!
:
:
明日夢:高校卒業後、突然やりたいことがあると言って叶が上京してから、5年の月日が経った。
明日夢:それまで、ほとんど連絡をよこさなかったのに、突然「お祭りに行こう」という連絡が来た。
明日夢:嬉しい気持ちと、戸惑いとが入り混じり、返事をためらったが、「行かない」という選択肢は無かったと思う。
:
:
叶:変わんないな…。相変わらず出店少ねぇ。
明日夢:都会に染まりすぎ。
叶:あ、でもチーズハットグあんじゃん。
明日夢:何?ハットグ…?
叶:んー。簡単にいうと、ホットドッグの中にチーズ入ってるやつだよ。
明日夢:へー、食べてみたいかも!
叶:いわゆる『映え(ばえ)』ってやつだよ。
明日夢:そういうの良く分かんないんだよね。承認欲求っていうやつ?
叶:人は誰しも持ってるものじゃない?
明日夢:んー…。どうなんだろうね。
叶:…
:
:
明日夢:あ、金魚すくい。懐かしい。
叶:ああ。昔よくやってたなあ
明日夢:ふふっ
叶:…なんだよ
明日夢:いや、思い出しちゃって。
明日夢:叶が『すくう』をレスキューの『救う』と勘違いして、『金魚をたすけてやるんだー!』って。
明日夢:お母さんに何度もお小遣いせびって頑張ってた姿思い出しちゃって。
叶:ん…そんな時代も、あったな…
明日夢:あの頃の可愛い叶はどこに行ったのかな~
叶:うっせ。
明日夢:ふふっ。
叶:…そういえば、何でやめたの?ピアノ。
明日夢:…この金魚がさ、すくわれた後のこと考えたことある?
叶:え?
明日夢:何となく欲しいなって思って、家に帰って鉢に入れたけど。その後はただの見世物。
明日夢:決まった時間にエサをあげて。最初はいいよ?
明日夢:でも、段々めんどくさくなって。気が付いたら、死んじゃってるの。
叶:みんながみんな、そうじゃないと思うけど…。
明日夢:少なくとも、私にはそういう未来が見えた。自分と重ねちゃったの。
明日夢:そしたらさ。指が動かなくなってた。
叶:…そっか。
明日夢:皆が期待してくれてるのは嬉しいし、期待に応えたい気持ちもある。
明日夢:でも、気づいちゃったんだ。
明日夢:私が見えている世界は、鉢の中から見える、ちっちゃい部屋の一室なんだって。
叶:…耐えきれなくなっちゃったわけだ。金魚なりに。
明日夢:…うん。
叶:いいんじゃない。出来る出来ないは置いといて。ただ受け入れてるだけの人生よりはさ。
明日夢:そうかなあ…。なんか、見えなくなっちゃって。色々と。
叶:…幸せってさ。何だと思う?
明日夢:え?
叶:明日夢にとっての、幸せ。
明日夢:私にとっての、幸せ…。
叶:普通に仕事して、普通に結婚して、普通に子供が出来て、普通に家を買って。
叶:それが幸せだって思う人もいれば、そうじゃない人もいる。
叶:金が大事な人がいれば、愛が大事だって人がいてもいい。
明日夢:いつからそんな悟り開いちゃったの?変な宗教にでもハマった?
叶:ちげぇよ!…俺もさ、やりたいことあるって、なーんも言わずに上京しちゃったけど。
叶:実は、決めてなかったんだよ。何したいーとか、どうなりたいーとか。
明日夢:え…?
叶:もちろん、ここでは見えないものもたくさん見えたし、辛いことも、楽しいことも色々経験できた。
叶:その結果、色々な人生とか、景色ーとか、価値観?があるんだーって。
叶:だからこそ、改めてもう一度ここの景色を…見たいと思ったんだよね。
明日夢:…
叶:だから。見つけてほしいって思う。明日夢なりの、幸せってやつ?
明日夢:…うん。
叶:うん。
明日夢:…もっと早く、すくってもらえてたらな…
叶:ん…?何か言った?
明日夢:んー、何でもない!…ありがとね。
:
:
叶:(M)聞こえていたけど、聞こえないフリをした。
叶:自分には背負える自信がなかったから。昔から、楽な方に考えちゃう癖は治ってないな…。
叶:そんなことを考えながら、遠くで光る花火を見つめていた。
叶:
叶:ふと明日夢の顔を覗くと、一筋の涙が流れているのが、見えた。気がした。
:
明日夢:(M)それから一年後。
:
:
叶:久しぶり。
明日夢:久しぶり。
叶:どう?
明日夢:どう…って?
叶:んー…体調とか?
明日夢:何それ笑。元気だよ。別に。今まで通り。
叶:そっか。…そういえば、見つかった?
明日夢:幸せ…?
叶:そう、幸せ。
明日夢:んー…どうだろ。でも、やりたいことは見つかった。
叶:やりたいこと?
明日夢:うん。ピアノの先生。皆に、楽しいを伝えられたらいいなって。
明日夢:…何だかんだ言って、やっぱり好きなんだ。ピアノ。
叶:良いじゃん。素敵な夢だと思う。
明日夢:叶のおかげで気付けたのかも。ありがとう。
叶:何もしてないよ。
明日夢:んーん…。ほんとに、ありがとね。
叶:おう。…実はさ、俺もこっちに戻ってこようと思って。
明日夢:そうなんだ。
叶:うん。やっぱり地元が落ち着くなーって。改めて思ってさ。
明日夢:それが、叶にとっての幸せ…?
叶:うん。きっと。
明日夢:なら良かった。
叶:…それで、ついで…って言ったら失礼なんだけど…
明日夢:どうしたの?
叶:明日夢にとっての幸せを叶えるための、選択肢の一つになれたら良いなって。思ったんだけど。
明日夢:え?
叶:…
明日夢:ぷっ。あはははは。
叶:わ、笑うなよ!こっちは真面目に話してんだから!
明日夢:ごめんごめん笑。……はい。よろしくお願いします。…ちゃんとすくってね?
叶:大丈夫。一度決めた獲物は逃がさないから!!
明日夢:え…もしかして、そういう遊びも覚えちゃったわけ?
叶:ばか!ちげぇよ!……ずっと、好きだったんだから。
明日夢:…もっと早く言ってよ。…ばか。
叶:…ん…。さっ、行くぞ!!
明日夢:うん。
:
:
叶:(M)あのとき、すくいたくてもすくえなかった君を。今度はすくいたい。
叶:今からでも、遅くはないかな?
叶:
明日夢:(M)鉢の中から見えるいつもの景色が、ほんの少しだけ、鮮やかになった気がした。
明日夢:
:
0:終
:
:『金魚すくい』
:
明日夢:
明日夢:明日夢(あすむ)。20代前半の女。叶の幼馴染。ピアノでプロを目指していたが、ある日を境に弾けなくなってしまう。
明日夢:
叶:
叶:叶(かなえ)。20代前半の男。明日夢の幼馴染。高校卒業と同時に上京し、5年後、突然明日夢の元に帰ってくる。
叶:
:
:本編スタート
:
明日夢:(M)時折思い出す。小さい頃の記憶。
明日夢:あのとき見えていた景色と、今見えている景色は、違ってるのかな。
明日夢:そんなことを考えていた頃の出来事。
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叶:久しぶり。元気だった?
明日夢:うん。そっちは?
叶:うん。元気だよ。
明日夢:そっか。…髪、そんな色だったっけ?
叶:都会っていうのは、人を狂わせるんだよ。
明日夢:あー、はいはい。いいから、お祭り行くよ!早く準備して!
叶:ひどっ!
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明日夢:高校卒業後、突然やりたいことがあると言って叶が上京してから、5年の月日が経った。
明日夢:それまで、ほとんど連絡をよこさなかったのに、突然「お祭りに行こう」という連絡が来た。
明日夢:嬉しい気持ちと、戸惑いとが入り混じり、返事をためらったが、「行かない」という選択肢は無かったと思う。
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叶:変わんないな…。相変わらず出店少ねぇ。
明日夢:都会に染まりすぎ。
叶:あ、でもチーズハットグあんじゃん。
明日夢:何?ハットグ…?
叶:んー。簡単にいうと、ホットドッグの中にチーズ入ってるやつだよ。
明日夢:へー、食べてみたいかも!
叶:いわゆる『映え(ばえ)』ってやつだよ。
明日夢:そういうの良く分かんないんだよね。承認欲求っていうやつ?
叶:人は誰しも持ってるものじゃない?
明日夢:んー…。どうなんだろうね。
叶:…
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明日夢:あ、金魚すくい。懐かしい。
叶:ああ。昔よくやってたなあ
明日夢:ふふっ
叶:…なんだよ
明日夢:いや、思い出しちゃって。
明日夢:叶が『すくう』をレスキューの『救う』と勘違いして、『金魚をたすけてやるんだー!』って。
明日夢:お母さんに何度もお小遣いせびって頑張ってた姿思い出しちゃって。
叶:ん…そんな時代も、あったな…
明日夢:あの頃の可愛い叶はどこに行ったのかな~
叶:うっせ。
明日夢:ふふっ。
叶:…そういえば、何でやめたの?ピアノ。
明日夢:…この金魚がさ、すくわれた後のこと考えたことある?
叶:え?
明日夢:何となく欲しいなって思って、家に帰って鉢に入れたけど。その後はただの見世物。
明日夢:決まった時間にエサをあげて。最初はいいよ?
明日夢:でも、段々めんどくさくなって。気が付いたら、死んじゃってるの。
叶:みんながみんな、そうじゃないと思うけど…。
明日夢:少なくとも、私にはそういう未来が見えた。自分と重ねちゃったの。
明日夢:そしたらさ。指が動かなくなってた。
叶:…そっか。
明日夢:皆が期待してくれてるのは嬉しいし、期待に応えたい気持ちもある。
明日夢:でも、気づいちゃったんだ。
明日夢:私が見えている世界は、鉢の中から見える、ちっちゃい部屋の一室なんだって。
叶:…耐えきれなくなっちゃったわけだ。金魚なりに。
明日夢:…うん。
叶:いいんじゃない。出来る出来ないは置いといて。ただ受け入れてるだけの人生よりはさ。
明日夢:そうかなあ…。なんか、見えなくなっちゃって。色々と。
叶:…幸せってさ。何だと思う?
明日夢:え?
叶:明日夢にとっての、幸せ。
明日夢:私にとっての、幸せ…。
叶:普通に仕事して、普通に結婚して、普通に子供が出来て、普通に家を買って。
叶:それが幸せだって思う人もいれば、そうじゃない人もいる。
叶:金が大事な人がいれば、愛が大事だって人がいてもいい。
明日夢:いつからそんな悟り開いちゃったの?変な宗教にでもハマった?
叶:ちげぇよ!…俺もさ、やりたいことあるって、なーんも言わずに上京しちゃったけど。
叶:実は、決めてなかったんだよ。何したいーとか、どうなりたいーとか。
明日夢:え…?
叶:もちろん、ここでは見えないものもたくさん見えたし、辛いことも、楽しいことも色々経験できた。
叶:その結果、色々な人生とか、景色ーとか、価値観?があるんだーって。
叶:だからこそ、改めてもう一度ここの景色を…見たいと思ったんだよね。
明日夢:…
叶:だから。見つけてほしいって思う。明日夢なりの、幸せってやつ?
明日夢:…うん。
叶:うん。
明日夢:…もっと早く、すくってもらえてたらな…
叶:ん…?何か言った?
明日夢:んー、何でもない!…ありがとね。
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叶:(M)聞こえていたけど、聞こえないフリをした。
叶:自分には背負える自信がなかったから。昔から、楽な方に考えちゃう癖は治ってないな…。
叶:そんなことを考えながら、遠くで光る花火を見つめていた。
叶:
叶:ふと明日夢の顔を覗くと、一筋の涙が流れているのが、見えた。気がした。
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明日夢:(M)それから一年後。
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叶:久しぶり。
明日夢:久しぶり。
叶:どう?
明日夢:どう…って?
叶:んー…体調とか?
明日夢:何それ笑。元気だよ。別に。今まで通り。
叶:そっか。…そういえば、見つかった?
明日夢:幸せ…?
叶:そう、幸せ。
明日夢:んー…どうだろ。でも、やりたいことは見つかった。
叶:やりたいこと?
明日夢:うん。ピアノの先生。皆に、楽しいを伝えられたらいいなって。
明日夢:…何だかんだ言って、やっぱり好きなんだ。ピアノ。
叶:良いじゃん。素敵な夢だと思う。
明日夢:叶のおかげで気付けたのかも。ありがとう。
叶:何もしてないよ。
明日夢:んーん…。ほんとに、ありがとね。
叶:おう。…実はさ、俺もこっちに戻ってこようと思って。
明日夢:そうなんだ。
叶:うん。やっぱり地元が落ち着くなーって。改めて思ってさ。
明日夢:それが、叶にとっての幸せ…?
叶:うん。きっと。
明日夢:なら良かった。
叶:…それで、ついで…って言ったら失礼なんだけど…
明日夢:どうしたの?
叶:明日夢にとっての幸せを叶えるための、選択肢の一つになれたら良いなって。思ったんだけど。
明日夢:え?
叶:…
明日夢:ぷっ。あはははは。
叶:わ、笑うなよ!こっちは真面目に話してんだから!
明日夢:ごめんごめん笑。……はい。よろしくお願いします。…ちゃんとすくってね?
叶:大丈夫。一度決めた獲物は逃がさないから!!
明日夢:え…もしかして、そういう遊びも覚えちゃったわけ?
叶:ばか!ちげぇよ!……ずっと、好きだったんだから。
明日夢:…もっと早く言ってよ。…ばか。
叶:…ん…。さっ、行くぞ!!
明日夢:うん。
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叶:(M)あのとき、すくいたくてもすくえなかった君を。今度はすくいたい。
叶:今からでも、遅くはないかな?
叶:
明日夢:(M)鉢の中から見えるいつもの景色が、ほんの少しだけ、鮮やかになった気がした。
明日夢:
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0:終