台本概要

 226 views 

タイトル 赤い傘
作者名 月儚(つくも)レイ  (@rose_moon44)
ジャンル ミステリー
演者人数 1人用台本(女1)
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 「あぁ…うるさい、雨がうるさい。ねぇ…?あなたの隣にいる女は…私が居るはずの場所で笑っているその女は、一体誰なの…?」

こちらは、浮気現場を目撃してしまった彼女が悲しみに暮れ、そして…。
といった形の、暗くてやや激しい描写もある作品となります。後味が悪い話が苦手なお方はお気をつけくださいませ。

朗読の際のお時間のほうは5~10分ほどかと思います。

女性向け台本にはなりますが、男性の方でもお手にとっていただければ嬉しいです。

ご利用の報告は強制ではありませんが、ご連絡いただけますと非常に嬉しいです。

 226 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
- 主人公、語り手。浮気現場を目撃してしまう。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0: 0: 0:こんなにも震えるのは、冷たい雨の寒さのせい…? 0: 0:いいえ。あの後ろ姿のせい。 0: 0:大好きだった大きな背中。 0:けれど、いま目の前にあるのは私の知っている背中じゃなかった。 0: 0:ねぇ…隣に並ぶその女は誰? 0:二人でそんなにも楽しそうな顔をして…。 0:腕を絡めて…髪を撫でて…。 0:時折、口付けまでして…。 0: 0:あの背中も笑顔も、私だけのものだった。 0:あの大きな温かい手も、私だけのものだった。 0:あの優しい声だって…口唇だって…全部…全部…私だけ、私だけの…。 0: 0:私には、あなたが全てだった。 0:喜びも、悲しみも、愛情も、すべてをあなたに捧げていた。 0:あなただって、私にたくさんの愛を囁いてくれた。 0:その手で抱いてくれたじゃない。 0: 0:なのにどうして、私が遠い場所にいて… 0: 0:あの女があなたの隣にいるの? 0: 0:どうして、私だけが涙を流しているの? 0: 0:いい子にしてた。私はずっといい子にしていた。 0:私の何がいけなかったの? 0:優しい思い出が、涙と共に流れ落ちていく。 0:あなたの温もりが消えていく。 0:残ったのは憎悪と冷たさだけ。 0:私の心はもう、真っ黒…。 0: 0:憎い…。 0:あなたを奪ったあの女が憎い。 0:あの女を選んだあなたが憎い。 0:あなたを繋ぎ止められなかった自分が……憎い。 0: 0:遠くなっていく背中。 0:行ってしまう…二人だけで。 0:私から全てを奪ったくせに。 0:私だけを置いて行ってしまう。 0: 0:そんなの許さない… 0: 0: 0:許さない 0: 0: 0:許さない 0: 0: 0:許さない。 0: 0: 0:……逃がさない。 0: 0: 0:私の中の何かが弾けた。雨音がやけにうるさい。 0: 0:クルクル、クルクル… 0: 0:傘が舞い踊るように落ちていく。 0:視界に入る、あなたの驚いた顔。 0:耳に障る、あの女の汚い悲鳴。 0:もう何も見たくない。聞きたくない。 0: 0:雨がまた、激しくなった。 0: 0:見慣れない、真っ赤な傘が落ちている。 0:私の手を赤い雫が流れている…これは、雨…? 0:気付けば、静かな赤い夜に私だけが取り残されていた。 0:私だけ…?嫌…寂しいのは、もう嫌。 0:待っていて…。すぐにもう一度、あなたの隣に行くから…。 0: 0:でも、今度は私を裏切らないでね…?絶対に…。 0: 0: 0:(終)  

0: 0: 0:こんなにも震えるのは、冷たい雨の寒さのせい…? 0: 0:いいえ。あの後ろ姿のせい。 0: 0:大好きだった大きな背中。 0:けれど、いま目の前にあるのは私の知っている背中じゃなかった。 0: 0:ねぇ…隣に並ぶその女は誰? 0:二人でそんなにも楽しそうな顔をして…。 0:腕を絡めて…髪を撫でて…。 0:時折、口付けまでして…。 0: 0:あの背中も笑顔も、私だけのものだった。 0:あの大きな温かい手も、私だけのものだった。 0:あの優しい声だって…口唇だって…全部…全部…私だけ、私だけの…。 0: 0:私には、あなたが全てだった。 0:喜びも、悲しみも、愛情も、すべてをあなたに捧げていた。 0:あなただって、私にたくさんの愛を囁いてくれた。 0:その手で抱いてくれたじゃない。 0: 0:なのにどうして、私が遠い場所にいて… 0: 0:あの女があなたの隣にいるの? 0: 0:どうして、私だけが涙を流しているの? 0: 0:いい子にしてた。私はずっといい子にしていた。 0:私の何がいけなかったの? 0:優しい思い出が、涙と共に流れ落ちていく。 0:あなたの温もりが消えていく。 0:残ったのは憎悪と冷たさだけ。 0:私の心はもう、真っ黒…。 0: 0:憎い…。 0:あなたを奪ったあの女が憎い。 0:あの女を選んだあなたが憎い。 0:あなたを繋ぎ止められなかった自分が……憎い。 0: 0:遠くなっていく背中。 0:行ってしまう…二人だけで。 0:私から全てを奪ったくせに。 0:私だけを置いて行ってしまう。 0: 0:そんなの許さない… 0: 0: 0:許さない 0: 0: 0:許さない 0: 0: 0:許さない。 0: 0: 0:……逃がさない。 0: 0: 0:私の中の何かが弾けた。雨音がやけにうるさい。 0: 0:クルクル、クルクル… 0: 0:傘が舞い踊るように落ちていく。 0:視界に入る、あなたの驚いた顔。 0:耳に障る、あの女の汚い悲鳴。 0:もう何も見たくない。聞きたくない。 0: 0:雨がまた、激しくなった。 0: 0:見慣れない、真っ赤な傘が落ちている。 0:私の手を赤い雫が流れている…これは、雨…? 0:気付けば、静かな赤い夜に私だけが取り残されていた。 0:私だけ…?嫌…寂しいのは、もう嫌。 0:待っていて…。すぐにもう一度、あなたの隣に行くから…。 0: 0:でも、今度は私を裏切らないでね…?絶対に…。 0: 0: 0:(終)