台本概要

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タイトル 灰色の世界
作者名 月儚(つくも)レイ  (@rose_moon44)
ジャンル その他
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 「ここはなにもない、灰色の世界。私しかいない、誰も私を攻撃してこない、色のない世界。」

こちらは、悩める主人公による1人語りの1人読み、朗読台本になります。
やや女性寄りの視点となっております。

朗読の際のお時間のほうは5~10分ほどかと思います。

ご利用の報告は強制ではありませんが、ご連絡いただけますと非常に嬉しいです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
不問 - 主人公、語り手。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0: 0: 0:私は一人、さ迷い歩いている。 0: 0:望んでここに居るのか… 0:追いやられてここに来たのか… 0:それすらも忘れてしまった。 0:来たばかりなのか、もうずっとここにいるのかさえ覚えていない。 0: 0:孤独な灰色の世界。 0:ここにあるのは、灰色だけ。 0: 0:どれだけ歩いても… 0:何に触れても… 0:色も、温もりもない。 0:寂しいという感情は残っている。 0:暖かさも…きっと欲しい。 0:けれど、ここから出ることが出来たとして… 0: 0:私に居場所はあるのかな。 0:私に温もりをくれる人は居るのかな。 0: 0:怖い。 0: 0:本当はこの孤独な灰色の世界が優しいの…? 0:色のついた世界が残酷なの…? 0: 0:一体どちらなのか、わからない。 0: 0:そうして怖くなると私は歩みを止める。 0:色のついた世界はここ以上に冷たいかもしれないと思うと… 0:この世界を愛おしく思ってしまう。 0:歩いていた理由が…わからなくなる。  0:  0:何度立ち止まっても… 0:どんなに思考を巡らせても… 0: 0:答えてくれる人はいない。 0:教えてくれる人もいない。 0: 0:この世界には私しかいないのだから。 0: 0:そう…私しかいない。 0:明るい世界には私の居場所はないのかもしれない。 0:けれど、ここは私だけの世界。 0:灰色のこの世界には…私の居場所がある。 0:  0:誰も攻撃してこない。 0:誰も邪魔をしてこない。 0:誰も私から何かを奪わない…傷つけない。 0:   0:優しい、優しい灰色の世界。 0:ここは孤独だけれど、こんなにも私に優しい。 0: 0:なのに… 0:流れてくるこれは…涙…? 0:泣いている。 0:私は、どうして泣いているの…? 0: 0:残っていた寂しいという感情が溢れてくる。 0: 0:いつだったか…私にも温もりを感じた日があった。 0:名前を呼ばれ、胸躍った日があった。 0:優しい手に、導かれた日があった。 0:抱きしめられて…幸せに包まれた日があった。 0:もう忘れてしまった顔で…笑ったことも…あった。 0:   0:いつだったかもわからない遠い日のことをを思い出すと…胸が苦しい。 0: 0:寂しくて仕方がない。 0:恋しくて…仕方がない。  0:名前を呼んでほしい…。 0:髪を撫でてほしい…。 0:この涙を拭って…抱きしめてほしい…。 0: 0:気が付けば、私はもう一度歩いていた。 0: 0:そこに私の居場所や温もりがあるのかはわからないけれど…。 0:この寂しさが、色を求めてしまったから。 0:色のついた世界のほうへと歩いてゆく。 0:少し明るさが射してきているほうへと…。  0:今なら、この灰色の世界から出られる気がする。 0:いや…きっと、いつでも出られたのだろう。  0: 0:どうか…色のついた世界が、私のことを覚えてくれていますように。 0: 0: 0:(終)

0: 0: 0:私は一人、さ迷い歩いている。 0: 0:望んでここに居るのか… 0:追いやられてここに来たのか… 0:それすらも忘れてしまった。 0:来たばかりなのか、もうずっとここにいるのかさえ覚えていない。 0: 0:孤独な灰色の世界。 0:ここにあるのは、灰色だけ。 0: 0:どれだけ歩いても… 0:何に触れても… 0:色も、温もりもない。 0:寂しいという感情は残っている。 0:暖かさも…きっと欲しい。 0:けれど、ここから出ることが出来たとして… 0: 0:私に居場所はあるのかな。 0:私に温もりをくれる人は居るのかな。 0: 0:怖い。 0: 0:本当はこの孤独な灰色の世界が優しいの…? 0:色のついた世界が残酷なの…? 0: 0:一体どちらなのか、わからない。 0: 0:そうして怖くなると私は歩みを止める。 0:色のついた世界はここ以上に冷たいかもしれないと思うと… 0:この世界を愛おしく思ってしまう。 0:歩いていた理由が…わからなくなる。  0:  0:何度立ち止まっても… 0:どんなに思考を巡らせても… 0: 0:答えてくれる人はいない。 0:教えてくれる人もいない。 0: 0:この世界には私しかいないのだから。 0: 0:そう…私しかいない。 0:明るい世界には私の居場所はないのかもしれない。 0:けれど、ここは私だけの世界。 0:灰色のこの世界には…私の居場所がある。 0:  0:誰も攻撃してこない。 0:誰も邪魔をしてこない。 0:誰も私から何かを奪わない…傷つけない。 0:   0:優しい、優しい灰色の世界。 0:ここは孤独だけれど、こんなにも私に優しい。 0: 0:なのに… 0:流れてくるこれは…涙…? 0:泣いている。 0:私は、どうして泣いているの…? 0: 0:残っていた寂しいという感情が溢れてくる。 0: 0:いつだったか…私にも温もりを感じた日があった。 0:名前を呼ばれ、胸躍った日があった。 0:優しい手に、導かれた日があった。 0:抱きしめられて…幸せに包まれた日があった。 0:もう忘れてしまった顔で…笑ったことも…あった。 0:   0:いつだったかもわからない遠い日のことをを思い出すと…胸が苦しい。 0: 0:寂しくて仕方がない。 0:恋しくて…仕方がない。  0:名前を呼んでほしい…。 0:髪を撫でてほしい…。 0:この涙を拭って…抱きしめてほしい…。 0: 0:気が付けば、私はもう一度歩いていた。 0: 0:そこに私の居場所や温もりがあるのかはわからないけれど…。 0:この寂しさが、色を求めてしまったから。 0:色のついた世界のほうへと歩いてゆく。 0:少し明るさが射してきているほうへと…。  0:今なら、この灰色の世界から出られる気がする。 0:いや…きっと、いつでも出られたのだろう。  0: 0:どうか…色のついた世界が、私のことを覚えてくれていますように。 0: 0: 0:(終)