台本概要

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タイトル 父と人形
作者名 月儚(つくも)レイ  (@rose_moon44)
ジャンル ファンタジー
演者人数 1人用台本(女1)
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 「お父様。お父様はわたくしに全てを与えてくださる。だから、私はお父様の最高傑作のお人形で居続けなければならない。

こちらは大事に大事に育てられ、それゆえ人形のように生きる貴族の少女の1人語りの1人読み、朗読台本となります。
朗読の際のお時間のほうは5~10分ほどかと思います。

女性向け台本にはなりますが、男性の方でもお手にとっていただければ嬉しいです。

ご利用の報告は強制ではありませんが、ご連絡いただけますと非常に嬉しいです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
わたくし - 人形のように育ったお嬢様。主人公、語り手。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:  0:  0:あぁ…お父様。 0:お父様は、いつでもわたくしに愛をくださった。 0:わたくしが生まれた瞬間から、今に至るまで… 0:何1つ、わたくしに不自由な思いをさせないでいてくださる。 0:優しい、優しい、お父様。 0:  0:お父様は、わたくしになんでもくださる。 0:誰よりも華やかなドレスも… 0:誰よりもきらびやかな宝石も… 0:お化粧も、髪の毛も、誰よりも美しく、誰よりも綺麗に…。 0:  0:そんなお父様は、わたくしに世界までをもくださった。 0:わたくししかいない、箱の世界。 0:わたくしを脅かすものなど、存在しない。 0:わたくしの為の、わたくしだけの世界。 0:  0:けれど… 0:ここには、わたくししか存在しない。 0:小さな、小さな、箱の世界。 0:外の世界は、見たことがない。 0:お父様が与えてくださったもの以外は欲してはならない。 0:お父様が教えてくださること以外は知らない、知ってはいけない。 0:わたくしには、この箱の中だけが、世界。 0:  0:わたくしには、何もわからない。 0:この美しいドレスも、宝石も、髪の毛も、お化粧も… 0:これはわたくしが望んだもの…? 0:お父様が望んだもの…? 0:わたくしは幸せなの…? 0:不幸なの…? 0:  0:いいえ…いいえ。 0:考えてはいけない、聞いてはいけない。 0:すべて、お父様がお決めになることだから。 0:わたくしは何も考えず… 0:何も知らず… 0:ただ…お父様の最高傑作のお人形でいれば、それでいい。 0:それがわたくしの全てだから…。 0:  0:あぁ…お父様。お父様。 0:けれど…わたくしは外の世界を見てしまった。 0:ある日、箱の外からこちらを見つめる少年がいた。 0:わたくしと目が合うと、その少年は笑顔を浮かべ、わたくしに手を振った。 0:  0:眩しい…。 0:ここにあるどの宝石よりも眩しかった。 0:こんなに暖かくて眩しいものを…今まで、見たことがなかった。 0:けれど、何も知らないわたくしは、ただ見つめることしかできなかった。 0:それでも少年は満足そうにしている。 0:  0:それからというもの… 0:少年は毎日、わたくしに笑顔を届けにきた。 0:暖かくて眩しい、そして…優しい笑顔。 0:外の世界は、こんなにも暖かいの…? 0:知りたい… 0:この少年がどこから来たのか… 0:なんという名前なのか… 0:どうして、わたくしに毎日笑顔を届けてくれるのか… 0:知りたい…知りたい…。 0:初めての、いけない気持ち。 0:そんなわたくしは… 0:少年の笑顔を見て、自然と頬が緩んだ。 0:少年が今まで以上に眩しい笑顔を浮かべる。 0: 0:あぁ…わたくしは… 0:きっと、あなたに笑顔を返すことができたのね…。 0:  0:けれど… 0:その日を最後に、少年は現れなくなった。 0:どれだけ待っても…笑顔は届かない。 0:どうして…? 0:知りたい… 0:もう一度あの笑顔が見たい…。 0:外の世界に、行きたい…。 0:この、胸に溢れてくる気持ちはなに…? 0:  0:そんなわたくしに、答えを与えてくださったのは、やはりお父様。 父:「安心しなさい、愚かな虫は駆除したよ。お前は何も心配しなくていい…もう二度と、怖い思いなんてさせないからね。」  0:優しく…冷たく…お父様はわたくしにそう言った。 0:  0:あぁ…お父様…お父様…。 0:この気持ちは… 0:抑えることのできない、この気持ち。 0:熱い…胸が焼け焦げるほど… 0:身体が、何かを忘れてしまったかのように震えだす。 0:  0:ねぇ…お父様…お父様…お父様…。 0: 0:世界はお前の為にある… 0:お前から何かを奪う者、害をなす者は消えるべきだ…。 0:いつだったか…お父様はそう、教えてくださったわよね…? 0: 0:だから…ねぇ… 0:お父様、お父様、お父様…お父様…! 0: 0:わたくしは震えるこの手で、お父様を消した。 0:  0:ねぇ…お父様…。 0:わたくしも、自分で出来るようになったの。 0:お父様…お父様…。 0:あなたの教えを守って、自分で出来るようになったの。 0:  0:わたくしはあなたの最高傑作でいられましたか…? 0:それとも、いけないわたくしは失敗作ですか…? 0:  0:お父様は何も言わない。 0:もう、何もくれない。 0: 0:お父様…お父様…お父様。 0:  0:どうして… 0:  0:お人形のわたくしの頬をつたうこれは…何? 0:止まらないの… 0: 0:ねぇ…教えて… 0:  0:お父様…。 0:  0: 0:(完)

0:  0:  0:あぁ…お父様。 0:お父様は、いつでもわたくしに愛をくださった。 0:わたくしが生まれた瞬間から、今に至るまで… 0:何1つ、わたくしに不自由な思いをさせないでいてくださる。 0:優しい、優しい、お父様。 0:  0:お父様は、わたくしになんでもくださる。 0:誰よりも華やかなドレスも… 0:誰よりもきらびやかな宝石も… 0:お化粧も、髪の毛も、誰よりも美しく、誰よりも綺麗に…。 0:  0:そんなお父様は、わたくしに世界までをもくださった。 0:わたくししかいない、箱の世界。 0:わたくしを脅かすものなど、存在しない。 0:わたくしの為の、わたくしだけの世界。 0:  0:けれど… 0:ここには、わたくししか存在しない。 0:小さな、小さな、箱の世界。 0:外の世界は、見たことがない。 0:お父様が与えてくださったもの以外は欲してはならない。 0:お父様が教えてくださること以外は知らない、知ってはいけない。 0:わたくしには、この箱の中だけが、世界。 0:  0:わたくしには、何もわからない。 0:この美しいドレスも、宝石も、髪の毛も、お化粧も… 0:これはわたくしが望んだもの…? 0:お父様が望んだもの…? 0:わたくしは幸せなの…? 0:不幸なの…? 0:  0:いいえ…いいえ。 0:考えてはいけない、聞いてはいけない。 0:すべて、お父様がお決めになることだから。 0:わたくしは何も考えず… 0:何も知らず… 0:ただ…お父様の最高傑作のお人形でいれば、それでいい。 0:それがわたくしの全てだから…。 0:  0:あぁ…お父様。お父様。 0:けれど…わたくしは外の世界を見てしまった。 0:ある日、箱の外からこちらを見つめる少年がいた。 0:わたくしと目が合うと、その少年は笑顔を浮かべ、わたくしに手を振った。 0:  0:眩しい…。 0:ここにあるどの宝石よりも眩しかった。 0:こんなに暖かくて眩しいものを…今まで、見たことがなかった。 0:けれど、何も知らないわたくしは、ただ見つめることしかできなかった。 0:それでも少年は満足そうにしている。 0:  0:それからというもの… 0:少年は毎日、わたくしに笑顔を届けにきた。 0:暖かくて眩しい、そして…優しい笑顔。 0:外の世界は、こんなにも暖かいの…? 0:知りたい… 0:この少年がどこから来たのか… 0:なんという名前なのか… 0:どうして、わたくしに毎日笑顔を届けてくれるのか… 0:知りたい…知りたい…。 0:初めての、いけない気持ち。 0:そんなわたくしは… 0:少年の笑顔を見て、自然と頬が緩んだ。 0:少年が今まで以上に眩しい笑顔を浮かべる。 0: 0:あぁ…わたくしは… 0:きっと、あなたに笑顔を返すことができたのね…。 0:  0:けれど… 0:その日を最後に、少年は現れなくなった。 0:どれだけ待っても…笑顔は届かない。 0:どうして…? 0:知りたい… 0:もう一度あの笑顔が見たい…。 0:外の世界に、行きたい…。 0:この、胸に溢れてくる気持ちはなに…? 0:  0:そんなわたくしに、答えを与えてくださったのは、やはりお父様。 父:「安心しなさい、愚かな虫は駆除したよ。お前は何も心配しなくていい…もう二度と、怖い思いなんてさせないからね。」  0:優しく…冷たく…お父様はわたくしにそう言った。 0:  0:あぁ…お父様…お父様…。 0:この気持ちは… 0:抑えることのできない、この気持ち。 0:熱い…胸が焼け焦げるほど… 0:身体が、何かを忘れてしまったかのように震えだす。 0:  0:ねぇ…お父様…お父様…お父様…。 0: 0:世界はお前の為にある… 0:お前から何かを奪う者、害をなす者は消えるべきだ…。 0:いつだったか…お父様はそう、教えてくださったわよね…? 0: 0:だから…ねぇ… 0:お父様、お父様、お父様…お父様…! 0: 0:わたくしは震えるこの手で、お父様を消した。 0:  0:ねぇ…お父様…。 0:わたくしも、自分で出来るようになったの。 0:お父様…お父様…。 0:あなたの教えを守って、自分で出来るようになったの。 0:  0:わたくしはあなたの最高傑作でいられましたか…? 0:それとも、いけないわたくしは失敗作ですか…? 0:  0:お父様は何も言わない。 0:もう、何もくれない。 0: 0:お父様…お父様…お父様。 0:  0:どうして… 0:  0:お人形のわたくしの頬をつたうこれは…何? 0:止まらないの… 0: 0:ねぇ…教えて… 0:  0:お父様…。 0:  0: 0:(完)