台本概要

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タイトル 別れ
作者名 月儚(つくも)レイ  (@rose_moon44)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 1人用台本(女1)
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 「最愛のあなたとの別れは突然だった…昨日まで笑いあった、あなた…。信じたくない。きっと嘘に決まっている。」

こちらは最愛の人を亡くしてしまった主人公の1人語りの1人読み、朗読台本になります。

女性向け台本にはなりますが、男性の方でもお手にとっていただければ嬉しいです。

ご利用の報告は強制ではありませんが、ご連絡いただけますと非常に嬉しいです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
- 主人公、語り手。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0: 0:   0:あなたとの別れは突然だった。 0:ついこの前、一日中デートをして… 0:私と同じシャンプーの香りをさせて… 0:次に会う約束までして… 0:そして昨日の夜、またねと電話越しに話していたあなたが… 0:突然、この世界のどこからもいなくなってしまった。 0:  0:あんなにも気を付けていたあなたは… 0:呆気なく、愛車と共に逝ってしまった。 0:無情にその事実を伝えられ… 0:駆けつけた先で、物言わぬあなたを見ても… 0:あれがあなただなんて、まだ信じられない。 0:信じたくない。 0:だから不思議と、涙も出なかった。 0: 0:こうしていると扉がふっと開いて、呑気なあなたが現れそうで… 0:あなたからの着信が、全部嘘だったと教えてくれそうで… 0:けれど… 0:もう何度、外を眺めても… 0:携帯電話を眺めて見ても… 0:やっぱり、あなたは来てくれない。 0:何度呼んでも、あなたは居ない…。 0:  0:来ないのならば…とあなたに電話をする。 0:無機質なコール音を、あなたの眠たそうな声がやぶってくれることを願って… 0:こうして待っている間は、まるであなたと繋がっているようで… 0:   0:しかしそんな願いも、わずかな時間ですぐに切られてしまう。 0:もう何度、同じことを繰り返しているのか… 0:どれくらい時間が経ったのか… 0:何もわからない…。 0:でも、そんなことはどうでもよかった。 0:  0:ただ…あなたに会いたくて… 0:全部嘘だと思いたくて… 0:あなたの声が聴きたくて… 0:  0:無心で、あなたを追いかけている。 0:  0:ふらりと、立ち上がる。 0:真っすぐに歩くこともできない。 0:けれど、あなたを探しにいかないと…。 0:さ迷うように真っ暗な部屋の中を歩く。 0:   0:ふと、足が止まる。 0:目に入ったのは… 0:あわてんぼうなあなたが忘れて行ったコート。 0:未だ主(あるじ)を待ち続けるそれが、寂しそうに壁に掛かっていた。 0:  0:私はすがるようにそのコートにしがみついた。 0:カタン、とハンガーの落ちる音がする。 0:そんなことも気にせず、強く抱きしめる。 0:まだあなたの煙たい匂いのするコートが、私の腕の中で小さくなってゆく。 0:いつも感じていたぬくもりはない… 0:けれど私は夢中で、くしゃくしゃになってゆくコートを抱きしめた。 0:  0:そんな手に、何かが触れる。 0:ポケットを探ってみると、それはタバコとライターだった。 0:私に遠慮しつつも、これをやめられなかったあなた…。 0:  0:とにかくあなたを感じたくて、私は初めてタバコに火をつけてみた。 0:あなたの姿を思い出しながら、真似をして吸い込む。 0:  0:熱い… 0:苦い… 0:すぐに激しくむせ返る。 0:  0:苦しい… 0:苦しい… 0:苦しい…… 0:  0:部屋中にあなたの香りがただよってくる。 0:  0:バカね…こんな不味い物が好きだなんて…。 0:本当に…バカなんだから…。 0:  0:あぁ…あぁ…。 0:会いたい…会いたい…。 0:咳き込むたび、思い出したように涙があふれてくる。 0:あふれはじめた涙は、もう止まらない。 0:  0:いやだ… 0:あの電話が最後だなんて… 0: 0:いやだ… 0:あの笑顔でおしまいなんて… 0:   0:いやだ… 0:もう会えないなんて… 0:  0:いや… 0: 0:いや… 0: 0:いやだ…いやだ…いやだ…。 0:  0:初めてのタバコで大人になったはずの私は… 0:まるで小さな子供のように首を振って泣き崩れる。 0:   0:すっかりくしゃくしゃになりながら… 0:腕の中で、涙に濡れてゆくあなたのコートを抱きしめて… 0:全部嘘だと願いつつも、だんだんとその嘘を信じてしまっている私。 0:  0:そんな私は、いつかあなたと浴びた優しい月光に照らされながら… 0:もう帰らぬあなたの匂いにすがりついて、いつまでも泣き続けた。 0:  0: 0:(終)

0: 0:   0:あなたとの別れは突然だった。 0:ついこの前、一日中デートをして… 0:私と同じシャンプーの香りをさせて… 0:次に会う約束までして… 0:そして昨日の夜、またねと電話越しに話していたあなたが… 0:突然、この世界のどこからもいなくなってしまった。 0:  0:あんなにも気を付けていたあなたは… 0:呆気なく、愛車と共に逝ってしまった。 0:無情にその事実を伝えられ… 0:駆けつけた先で、物言わぬあなたを見ても… 0:あれがあなただなんて、まだ信じられない。 0:信じたくない。 0:だから不思議と、涙も出なかった。 0: 0:こうしていると扉がふっと開いて、呑気なあなたが現れそうで… 0:あなたからの着信が、全部嘘だったと教えてくれそうで… 0:けれど… 0:もう何度、外を眺めても… 0:携帯電話を眺めて見ても… 0:やっぱり、あなたは来てくれない。 0:何度呼んでも、あなたは居ない…。 0:  0:来ないのならば…とあなたに電話をする。 0:無機質なコール音を、あなたの眠たそうな声がやぶってくれることを願って… 0:こうして待っている間は、まるであなたと繋がっているようで… 0:   0:しかしそんな願いも、わずかな時間ですぐに切られてしまう。 0:もう何度、同じことを繰り返しているのか… 0:どれくらい時間が経ったのか… 0:何もわからない…。 0:でも、そんなことはどうでもよかった。 0:  0:ただ…あなたに会いたくて… 0:全部嘘だと思いたくて… 0:あなたの声が聴きたくて… 0:  0:無心で、あなたを追いかけている。 0:  0:ふらりと、立ち上がる。 0:真っすぐに歩くこともできない。 0:けれど、あなたを探しにいかないと…。 0:さ迷うように真っ暗な部屋の中を歩く。 0:   0:ふと、足が止まる。 0:目に入ったのは… 0:あわてんぼうなあなたが忘れて行ったコート。 0:未だ主(あるじ)を待ち続けるそれが、寂しそうに壁に掛かっていた。 0:  0:私はすがるようにそのコートにしがみついた。 0:カタン、とハンガーの落ちる音がする。 0:そんなことも気にせず、強く抱きしめる。 0:まだあなたの煙たい匂いのするコートが、私の腕の中で小さくなってゆく。 0:いつも感じていたぬくもりはない… 0:けれど私は夢中で、くしゃくしゃになってゆくコートを抱きしめた。 0:  0:そんな手に、何かが触れる。 0:ポケットを探ってみると、それはタバコとライターだった。 0:私に遠慮しつつも、これをやめられなかったあなた…。 0:  0:とにかくあなたを感じたくて、私は初めてタバコに火をつけてみた。 0:あなたの姿を思い出しながら、真似をして吸い込む。 0:  0:熱い… 0:苦い… 0:すぐに激しくむせ返る。 0:  0:苦しい… 0:苦しい… 0:苦しい…… 0:  0:部屋中にあなたの香りがただよってくる。 0:  0:バカね…こんな不味い物が好きだなんて…。 0:本当に…バカなんだから…。 0:  0:あぁ…あぁ…。 0:会いたい…会いたい…。 0:咳き込むたび、思い出したように涙があふれてくる。 0:あふれはじめた涙は、もう止まらない。 0:  0:いやだ… 0:あの電話が最後だなんて… 0: 0:いやだ… 0:あの笑顔でおしまいなんて… 0:   0:いやだ… 0:もう会えないなんて… 0:  0:いや… 0: 0:いや… 0: 0:いやだ…いやだ…いやだ…。 0:  0:初めてのタバコで大人になったはずの私は… 0:まるで小さな子供のように首を振って泣き崩れる。 0:   0:すっかりくしゃくしゃになりながら… 0:腕の中で、涙に濡れてゆくあなたのコートを抱きしめて… 0:全部嘘だと願いつつも、だんだんとその嘘を信じてしまっている私。 0:  0:そんな私は、いつかあなたと浴びた優しい月光に照らされながら… 0:もう帰らぬあなたの匂いにすがりついて、いつまでも泣き続けた。 0:  0: 0:(終)