台本概要
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タイトル | 別れ |
---|---|
作者名 | 月儚(つくも)レイ (@rose_moon44) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 1人用台本(女1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
「最愛のあなたとの別れは突然だった…昨日まで笑いあった、あなた…。信じたくない。きっと嘘に決まっている。」 こちらは最愛の人を亡くしてしまった主人公の1人語りの1人読み、朗読台本になります。 女性向け台本にはなりますが、男性の方でもお手にとっていただければ嬉しいです。 ご利用の報告は強制ではありませんが、ご連絡いただけますと非常に嬉しいです。 143 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
私 | 女 | - | 主人公、語り手。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:
0:
0:あなたとの別れは突然だった。
0:ついこの前、一日中デートをして…
0:私と同じシャンプーの香りをさせて…
0:次に会う約束までして…
0:そして昨日の夜、またねと電話越しに話していたあなたが…
0:突然、この世界のどこからもいなくなってしまった。
0:
0:あんなにも気を付けていたあなたは…
0:呆気なく、愛車と共に逝ってしまった。
0:無情にその事実を伝えられ…
0:駆けつけた先で、物言わぬあなたを見ても…
0:あれがあなただなんて、まだ信じられない。
0:信じたくない。
0:だから不思議と、涙も出なかった。
0:
0:こうしていると扉がふっと開いて、呑気なあなたが現れそうで…
0:あなたからの着信が、全部嘘だったと教えてくれそうで…
0:けれど…
0:もう何度、外を眺めても…
0:携帯電話を眺めて見ても…
0:やっぱり、あなたは来てくれない。
0:何度呼んでも、あなたは居ない…。
0:
0:来ないのならば…とあなたに電話をする。
0:無機質なコール音を、あなたの眠たそうな声がやぶってくれることを願って…
0:こうして待っている間は、まるであなたと繋がっているようで…
0:
0:しかしそんな願いも、わずかな時間ですぐに切られてしまう。
0:もう何度、同じことを繰り返しているのか…
0:どれくらい時間が経ったのか…
0:何もわからない…。
0:でも、そんなことはどうでもよかった。
0:
0:ただ…あなたに会いたくて…
0:全部嘘だと思いたくて…
0:あなたの声が聴きたくて…
0:
0:無心で、あなたを追いかけている。
0:
0:ふらりと、立ち上がる。
0:真っすぐに歩くこともできない。
0:けれど、あなたを探しにいかないと…。
0:さ迷うように真っ暗な部屋の中を歩く。
0:
0:ふと、足が止まる。
0:目に入ったのは…
0:あわてんぼうなあなたが忘れて行ったコート。
0:未だ主(あるじ)を待ち続けるそれが、寂しそうに壁に掛かっていた。
0:
0:私はすがるようにそのコートにしがみついた。
0:カタン、とハンガーの落ちる音がする。
0:そんなことも気にせず、強く抱きしめる。
0:まだあなたの煙たい匂いのするコートが、私の腕の中で小さくなってゆく。
0:いつも感じていたぬくもりはない…
0:けれど私は夢中で、くしゃくしゃになってゆくコートを抱きしめた。
0:
0:そんな手に、何かが触れる。
0:ポケットを探ってみると、それはタバコとライターだった。
0:私に遠慮しつつも、これをやめられなかったあなた…。
0:
0:とにかくあなたを感じたくて、私は初めてタバコに火をつけてみた。
0:あなたの姿を思い出しながら、真似をして吸い込む。
0:
0:熱い…
0:苦い…
0:すぐに激しくむせ返る。
0:
0:苦しい…
0:苦しい…
0:苦しい……
0:
0:部屋中にあなたの香りがただよってくる。
0:
0:バカね…こんな不味い物が好きだなんて…。
0:本当に…バカなんだから…。
0:
0:あぁ…あぁ…。
0:会いたい…会いたい…。
0:咳き込むたび、思い出したように涙があふれてくる。
0:あふれはじめた涙は、もう止まらない。
0:
0:いやだ…
0:あの電話が最後だなんて…
0:
0:いやだ…
0:あの笑顔でおしまいなんて…
0:
0:いやだ…
0:もう会えないなんて…
0:
0:いや…
0:
0:いや…
0:
0:いやだ…いやだ…いやだ…。
0:
0:初めてのタバコで大人になったはずの私は…
0:まるで小さな子供のように首を振って泣き崩れる。
0:
0:すっかりくしゃくしゃになりながら…
0:腕の中で、涙に濡れてゆくあなたのコートを抱きしめて…
0:全部嘘だと願いつつも、だんだんとその嘘を信じてしまっている私。
0:
0:そんな私は、いつかあなたと浴びた優しい月光に照らされながら…
0:もう帰らぬあなたの匂いにすがりついて、いつまでも泣き続けた。
0:
0:
0:(終)
0:
0:
0:あなたとの別れは突然だった。
0:ついこの前、一日中デートをして…
0:私と同じシャンプーの香りをさせて…
0:次に会う約束までして…
0:そして昨日の夜、またねと電話越しに話していたあなたが…
0:突然、この世界のどこからもいなくなってしまった。
0:
0:あんなにも気を付けていたあなたは…
0:呆気なく、愛車と共に逝ってしまった。
0:無情にその事実を伝えられ…
0:駆けつけた先で、物言わぬあなたを見ても…
0:あれがあなただなんて、まだ信じられない。
0:信じたくない。
0:だから不思議と、涙も出なかった。
0:
0:こうしていると扉がふっと開いて、呑気なあなたが現れそうで…
0:あなたからの着信が、全部嘘だったと教えてくれそうで…
0:けれど…
0:もう何度、外を眺めても…
0:携帯電話を眺めて見ても…
0:やっぱり、あなたは来てくれない。
0:何度呼んでも、あなたは居ない…。
0:
0:来ないのならば…とあなたに電話をする。
0:無機質なコール音を、あなたの眠たそうな声がやぶってくれることを願って…
0:こうして待っている間は、まるであなたと繋がっているようで…
0:
0:しかしそんな願いも、わずかな時間ですぐに切られてしまう。
0:もう何度、同じことを繰り返しているのか…
0:どれくらい時間が経ったのか…
0:何もわからない…。
0:でも、そんなことはどうでもよかった。
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0:ただ…あなたに会いたくて…
0:全部嘘だと思いたくて…
0:あなたの声が聴きたくて…
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0:無心で、あなたを追いかけている。
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0:ふらりと、立ち上がる。
0:真っすぐに歩くこともできない。
0:けれど、あなたを探しにいかないと…。
0:さ迷うように真っ暗な部屋の中を歩く。
0:
0:ふと、足が止まる。
0:目に入ったのは…
0:あわてんぼうなあなたが忘れて行ったコート。
0:未だ主(あるじ)を待ち続けるそれが、寂しそうに壁に掛かっていた。
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0:私はすがるようにそのコートにしがみついた。
0:カタン、とハンガーの落ちる音がする。
0:そんなことも気にせず、強く抱きしめる。
0:まだあなたの煙たい匂いのするコートが、私の腕の中で小さくなってゆく。
0:いつも感じていたぬくもりはない…
0:けれど私は夢中で、くしゃくしゃになってゆくコートを抱きしめた。
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0:そんな手に、何かが触れる。
0:ポケットを探ってみると、それはタバコとライターだった。
0:私に遠慮しつつも、これをやめられなかったあなた…。
0:
0:とにかくあなたを感じたくて、私は初めてタバコに火をつけてみた。
0:あなたの姿を思い出しながら、真似をして吸い込む。
0:
0:熱い…
0:苦い…
0:すぐに激しくむせ返る。
0:
0:苦しい…
0:苦しい…
0:苦しい……
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0:部屋中にあなたの香りがただよってくる。
0:
0:バカね…こんな不味い物が好きだなんて…。
0:本当に…バカなんだから…。
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0:あぁ…あぁ…。
0:会いたい…会いたい…。
0:咳き込むたび、思い出したように涙があふれてくる。
0:あふれはじめた涙は、もう止まらない。
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0:いやだ…
0:あの電話が最後だなんて…
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0:いやだ…
0:あの笑顔でおしまいなんて…
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0:いやだ…
0:もう会えないなんて…
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0:いや…
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0:いや…
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0:いやだ…いやだ…いやだ…。
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0:初めてのタバコで大人になったはずの私は…
0:まるで小さな子供のように首を振って泣き崩れる。
0:
0:すっかりくしゃくしゃになりながら…
0:腕の中で、涙に濡れてゆくあなたのコートを抱きしめて…
0:全部嘘だと願いつつも、だんだんとその嘘を信じてしまっている私。
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0:そんな私は、いつかあなたと浴びた優しい月光に照らされながら…
0:もう帰らぬあなたの匂いにすがりついて、いつまでも泣き続けた。
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0:(終)