台本概要

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タイトル 朗読屋シリーズ「眠り姫」
作者名 月儚(つくも)レイ  (@rose_moon44)
ジャンル ファンタジー
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 「おや?いらっしゃいませ。ふふ、私はしがない朗読屋。ここへ訪れたお客様にぴったりのお話をご用意して、お導きさせていただいております…あなた様には、こちらなどいかかでしょうか」

本を朗読するような、不思議な世界観の1人読み、朗読台本になります。

性別は不問なので、性別を気にせずどなたでもお手にとっていただけると嬉しいです。

朗読の際のお時間のほうは10分前後ほどかと思います。

こちらのシリーズは朗読屋シリーズとして書かせていただいているので、ぜひ他の作品も読んでいただければと思います。

ご利用の報告は強制ではありませんが、ご連絡いただけますと非常に嬉しいです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
朗読屋 不問 - 主人公 語り手。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
(語り口調): 0: 0: 0:おや、ようこそおいで下さいました。 0:ここへお越しになられたということは…何かお話をご所望で御座いますね? 0:ふふ…お任せください。 0:あなた様にぴったりの本をご用意してありますとも。 0:それでは…早速わたくしめがお導きさせていただきますね。 0:どうぞ、安らかなひとときを…。 0:  (朗読口調): 0: 0: 0:「眠り姫」 0:   0:   0:とある国に、それはそれは美しいお姫様がおられました。 0:そのお美しさに惹かれた各国の貴族や周辺の王族がお姫様を慕うも… 0:お気に召す男性は現れず、お姫様は熱く誰かに恋焦がれることを夢みていました。 0:   0:そんなある夜、お姫様は夢をご覧になりました。 0:花たちが咲き誇る、見たことのない美しい庭園。 0:しかし辺りには誰もいる様子はありません。 0:お姫様は戸惑い、ここはどこかと周囲を散策していました。 0:すると、そんなお姫様に声をかける者が現れたのです。 0:お姫様が声のしたほうを振り返ると…。 0:そこにはとても優しい声をした、美しい青年が立っておりました。 0:お姫様は、青年のそのあまりの美しさに言葉すら失ってしまいました。 0:青年は優しく微笑みかけ、そっとお姫様に手を差し出します。 0:お姫様は青年に引き込まれるよう、その手を取りました。 0: 0:青年の手のぬくもりを感じる瞬間、お姫様は目を覚ましてしまいました。 0:胸がドキドキして…手には夢の中の出来事なはずなのに優しい感触が残っています。 0:  0:男性にこのような想いを抱いたことのないお姫様は戸惑いました。 0:ましてや、相手は夢の中の存在。 0:ほんの僅かな瞬間だけの、どこの誰かもわからぬ相手。 0:  0:しかしあの青年の優しい声… 0:美しい姿…手の感触…。 0:お姫様の心は青年のことでいっぱいになりました。 0: 0:会いたい…もう一度、あのお方に…。 0:   0:それは一目惚れでもあり、お姫様の初恋でした。 0:気持ちがいっぱいで他の何事も手につかなくなったまま、夜を迎えます。 0:   0:お姫様はまた夢をご覧になりました。 0:目の前に広がるのはあの庭園。 0:お姫様は喜びで胸が跳ねました。 0:辺りを見渡すと、あの青年が椅子に腰かけ、優しい微笑みを向けてお姫様に手を振っていました。 0:そして自分の隣へと来るようお姫様を誘うのです。 0:胸を躍らせながら青年の隣へと腰掛けるお姫様。 0:  0:それから、お姫様は青年にたくさんのことをお話になりました。 0:自分が一国の姫であること。 0:自分の日常の話。 0:姫として抱える苦悩。 0:不思議なほどになんでも話せてしまい、そして青年もまた、ただ優しくお姫様のお話を親身に聞いています。 0:お姫様がお話しを終えた時、青年はそっとお姫様の髪を撫でました。 0: 0:しかし、髪に青年の温もりを感じる瞬間にまた、お姫様は目が覚めてしまいました。   0:目を覚ましたお姫様は涙を流していました。 0:  0:あんなにも自分の事を話せたのは初めて。 0:あんなにも楽しくて、あんなにも優しい時間を過ごしたのは初めて。 0: 0:ずっと、ずっと、あのお方と居たい…。 0:   お姫様は、もう青年のこと以外考えられませんでした。 ただただ、夜が待ち遠しい…夢を見られればきっとまた会える。 何も手につかないお姫様はまるで抜け殻のように一日をお過ごしになり、夜を迎えました。 お姫様はやはり、夢をご覧になりました。 目の前に広がるのは待ち焦がれたあの庭園。 咲き誇る花の中心には、優しい微笑みでお姫様に手を振る青年の姿があります。  お姫様は気持ちを抑えらえず、青年に駆け寄り涙を流しました。   もう、あなた様から少しも離れたくない。 ずっと…ずっとお傍に居たい…。 そう必死で訴えるお姫様に、青年はとても優しい瞳と声で答えます。   それならば、私と一緒にこの庭園の向こうにゆきましょう。  誰にも邪魔されない、二人だけの地へ…。 お姫様は歓喜のあまり再び涙を流し、差し出された青年の手を取りました。 今度は夢は覚めません。 温かい青年の手の感触をしっかりと感じます。 強く手を握り合った二人はそのまま、ゆっくりと庭園の外へと歩いてゆきました。     翌朝。 なかなか目をお覚ましになられないお姫様を心配した給仕が、寝室へとやってきました。 そこで給仕が目にしたのは… 眠ったまま、ベッドの上で冷たくなってしまっているお姫様でした。 本当に、眠っているようにしか見えないそのお顔は… とても幸せそうな、安らかな微笑みをたたえていました。 (語り口調) ご清聴、感謝致します。 お楽しみいただけましたでしょうか…?    お姫様がご覧になった夢はなんだったのか… 青年は何者だったのか… お二人はその後何処へ行ったのか…どうなったのか… 全ては夢の中…でございます。ふふふ。   ん…?もっとお話をお聞きになりたい…? それはおよしになったほうがいい。 何故ならばここは、あなた様の夢の中…。 そろそろお帰りになったほうがいい。 お姫様のようになってしまう前に…ね。ふふ…ふふふふふ。   (終) 

(語り口調): 0: 0: 0:おや、ようこそおいで下さいました。 0:ここへお越しになられたということは…何かお話をご所望で御座いますね? 0:ふふ…お任せください。 0:あなた様にぴったりの本をご用意してありますとも。 0:それでは…早速わたくしめがお導きさせていただきますね。 0:どうぞ、安らかなひとときを…。 0:  (朗読口調): 0: 0: 0:「眠り姫」 0:   0:   0:とある国に、それはそれは美しいお姫様がおられました。 0:そのお美しさに惹かれた各国の貴族や周辺の王族がお姫様を慕うも… 0:お気に召す男性は現れず、お姫様は熱く誰かに恋焦がれることを夢みていました。 0:   0:そんなある夜、お姫様は夢をご覧になりました。 0:花たちが咲き誇る、見たことのない美しい庭園。 0:しかし辺りには誰もいる様子はありません。 0:お姫様は戸惑い、ここはどこかと周囲を散策していました。 0:すると、そんなお姫様に声をかける者が現れたのです。 0:お姫様が声のしたほうを振り返ると…。 0:そこにはとても優しい声をした、美しい青年が立っておりました。 0:お姫様は、青年のそのあまりの美しさに言葉すら失ってしまいました。 0:青年は優しく微笑みかけ、そっとお姫様に手を差し出します。 0:お姫様は青年に引き込まれるよう、その手を取りました。 0: 0:青年の手のぬくもりを感じる瞬間、お姫様は目を覚ましてしまいました。 0:胸がドキドキして…手には夢の中の出来事なはずなのに優しい感触が残っています。 0:  0:男性にこのような想いを抱いたことのないお姫様は戸惑いました。 0:ましてや、相手は夢の中の存在。 0:ほんの僅かな瞬間だけの、どこの誰かもわからぬ相手。 0:  0:しかしあの青年の優しい声… 0:美しい姿…手の感触…。 0:お姫様の心は青年のことでいっぱいになりました。 0: 0:会いたい…もう一度、あのお方に…。 0:   0:それは一目惚れでもあり、お姫様の初恋でした。 0:気持ちがいっぱいで他の何事も手につかなくなったまま、夜を迎えます。 0:   0:お姫様はまた夢をご覧になりました。 0:目の前に広がるのはあの庭園。 0:お姫様は喜びで胸が跳ねました。 0:辺りを見渡すと、あの青年が椅子に腰かけ、優しい微笑みを向けてお姫様に手を振っていました。 0:そして自分の隣へと来るようお姫様を誘うのです。 0:胸を躍らせながら青年の隣へと腰掛けるお姫様。 0:  0:それから、お姫様は青年にたくさんのことをお話になりました。 0:自分が一国の姫であること。 0:自分の日常の話。 0:姫として抱える苦悩。 0:不思議なほどになんでも話せてしまい、そして青年もまた、ただ優しくお姫様のお話を親身に聞いています。 0:お姫様がお話しを終えた時、青年はそっとお姫様の髪を撫でました。 0: 0:しかし、髪に青年の温もりを感じる瞬間にまた、お姫様は目が覚めてしまいました。   0:目を覚ましたお姫様は涙を流していました。 0:  0:あんなにも自分の事を話せたのは初めて。 0:あんなにも楽しくて、あんなにも優しい時間を過ごしたのは初めて。 0: 0:ずっと、ずっと、あのお方と居たい…。 0:   お姫様は、もう青年のこと以外考えられませんでした。 ただただ、夜が待ち遠しい…夢を見られればきっとまた会える。 何も手につかないお姫様はまるで抜け殻のように一日をお過ごしになり、夜を迎えました。 お姫様はやはり、夢をご覧になりました。 目の前に広がるのは待ち焦がれたあの庭園。 咲き誇る花の中心には、優しい微笑みでお姫様に手を振る青年の姿があります。  お姫様は気持ちを抑えらえず、青年に駆け寄り涙を流しました。   もう、あなた様から少しも離れたくない。 ずっと…ずっとお傍に居たい…。 そう必死で訴えるお姫様に、青年はとても優しい瞳と声で答えます。   それならば、私と一緒にこの庭園の向こうにゆきましょう。  誰にも邪魔されない、二人だけの地へ…。 お姫様は歓喜のあまり再び涙を流し、差し出された青年の手を取りました。 今度は夢は覚めません。 温かい青年の手の感触をしっかりと感じます。 強く手を握り合った二人はそのまま、ゆっくりと庭園の外へと歩いてゆきました。     翌朝。 なかなか目をお覚ましになられないお姫様を心配した給仕が、寝室へとやってきました。 そこで給仕が目にしたのは… 眠ったまま、ベッドの上で冷たくなってしまっているお姫様でした。 本当に、眠っているようにしか見えないそのお顔は… とても幸せそうな、安らかな微笑みをたたえていました。 (語り口調) ご清聴、感謝致します。 お楽しみいただけましたでしょうか…?    お姫様がご覧になった夢はなんだったのか… 青年は何者だったのか… お二人はその後何処へ行ったのか…どうなったのか… 全ては夢の中…でございます。ふふふ。   ん…?もっとお話をお聞きになりたい…? それはおよしになったほうがいい。 何故ならばここは、あなた様の夢の中…。 そろそろお帰りになったほうがいい。 お姫様のようになってしまう前に…ね。ふふ…ふふふふふ。   (終)