台本概要
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タイトル | 零の恐怖書庫 第2夜「姿見」 |
---|---|
作者名 | 月儚(つくも)レイ (@rose_moon44) |
ジャンル | ホラー |
演者人数 | 1人用台本(女1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
「胸躍る新生活!そんな中、とても素敵な姿見を手に入れ、ますます胸を躍らせる私だったが…」 1人読み朗読台本の怪談シリーズ「零の恐怖書庫」第2夜となります。 怪談語りのようなホラー作品となります。ホラーが苦手な方はご注意くださいませ。 朗読の際のお時間のほうは10分前後ほどかと思います。 ご利用の報告は強制ではありませんが、ご連絡いただけますと非常に嬉しいです。 80 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
私 | 女 | 13 | 主人公、語り手 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:
0:
0:この春、大学へと進学した私は家を出て、一人暮らしをすることになった。
0:心機一転するため、家具なんかもほとんどの物を新しくした。
0:とくに気に入っているのが、この姿見。
0:リサイクルショップでたまたま見つけて一目惚れしてしまった。
0:アンティークっぽいオシャレな雰囲気。
0:高いんだろうな…なんて思ったら十分買えるお値段で即、買ってしまった。
0:この姿見1つで部屋が一気にお洒落になったような気がする。
0:嬉しい気持ちいっぱいで私の新生活は始まった。
0:
0:そんな胸躍る新生活に陰りが出始めたのは、1か月ほど経った頃。
0:最近、妙に視線を感じるようになった。
0:部屋にいても、いつも誰かに見られている気がする。
0:
友人:「もしかしてストーカー?最近物騒だし、警察に言ったほうがいいんじゃない?」
0:
0:
0:仲のいい友人に相談したら警察に通報することを提案された。
0:
私:「うーん…でも気のせいなのかもしれないし…。警察に言って、なにか大ごとになっても面倒だし…」
0:
0:
0:気味が悪いのはたしかだったが新生活で忙しい中、大ごとになるのも疲れてしまう。
0:それに視線を感じるだけで、他に変なことは特に何もなかった。
0:自意識過剰になっていたり、気のせいなのかも…と思う気持ちもあった。
0:
友人:「そう?まぁ、たしかにいつも一緒にいるけど、私はアンタの周りで何か気になったってことはないわね…」
0:
0:
0:友人もうーんと首をひねっている。
0:この友人とはよく一緒に行動をしているが、視線を感じるのはいつも私だけだった。
0:結局もう少し様子を見てみる、ということで解散となった。
0:
0:その日の夜…。
0:深い眠りに落ちていた私は唐突にびくっと目を覚ました。
0:視線だ…。今までよりも強烈な視線。
0:カーテンも閉めて、部屋は閉め切っているのにどこから…?
0:急に悪寒が走る。
0:電気をつけて、部屋の中を見て回った。
0:どこにもおかしなところはない。
0:視線も、もう感じなかった。
0:寝ぼけてしまったんだろうか…?
0:けれどあの強烈な視線…。
0:妙にリアルでまだ身体が寒い。
0:姿見に映る私は随分と疲れた顔をしていた。
0:しかしどうにも気になって、もう一度部屋の中を見てみるがやはり何もない。
0:
私:(やっぱり、気のせい…?もう寝よう…。疲れちゃった…。)
0:
0:
0:釈然としないまま、私は電気を消して布団へと頭まで潜り込んだ。
0:やがてそのまま、もう一度眠りに落ちて行った。
0:
私:「………っ!!な、何…!?」
0:
0:
0:眠りに落ちて少ししたくらいだろうか…また強烈な視線を感じ、思わず小さな悲鳴をあげて目を覚ました。
0:すぐに電気をつけて部屋を見渡すも、やはり何も変わったところはないし、当然誰もいない。
0:けれどさすがにもう、気のせいとは思えなかった。
0:
私:(まさか…幽霊…とか…?)
0:
0:
0:とにかく怖くて、私は電気をつけたままその日は眠れずに朝を迎えた。
0:
0:翌朝…。とてもではないが学校へいく気力もなかったため、友人に連絡をした。
0:
友人:「ちょっと…大丈夫?とにかく、学校が終わったら一度そっちに行くから!今夜はウチに泊まるといいよ!」
0:
0:
0:私の声色を聞いて、随分と心配をしてくれた。こういう時、人の優しさというのは心に染みる。
0:友人の気遣いに少し気が楽になった私は、遅めの朝食を取ってしばらくゆっくり過ごした。
0:
0:昼過ぎ頃…今夜は泊めてもらえるということで準備をする。
0:その時だった。またあの強烈な視線を感じた。
0:
私:(これ…背後からだ…!)
0:
0:私はすかさずに振り返った。
0:鏡だ…。そこにはあの、お気に入りの姿見があった。
0:けれど姿見には、ひきつった顔をした私が映っているだけ。
0:恐る恐る姿見に近付き、様子を見る。
0:やはりなんの変わりもない、いつもの姿見。
0:けれどたしかに視線はここから来ていた。
0:
私:(こうなったら徹底的に調べてやろう…)
0:
0:
0:私は姿見の前にテーブルを置くと、その上にムービーモードにしたスマホを設置した。
0:そして、鏡に背を向けたりして撮影をしてみた。
0:しばらくそうしたあと、私はスマホを手に取り確認する。
0:
私:「あっ…!!あぁ…!!」
0:
0:
0:あまりの恐怖で声にもならないような悲鳴をあげ、スマホを落としてしまった。
0:私が姿見に背を向けている時に、それは映っていた…。
0:
0:背中を映しているはずの姿見には、こちらを向いている私がいたのだ…。
0:それも、自分でも見たことのない無機質な顔。
0:恐ろしい、あり得ない光景をスマホは写していた。
0:震えながら姿見を見ると、未だ無表情な私がじっとこちらを見つめていた…。
0:
私:「いやっ…いやぁ!!」
0:
0:
0:絞りだすような声しかだせず、腰が抜けてしまった私は這うように玄関へ向かった。
0:
私:(逃げないと…!)
0:
0:
0:ガチャガチャガチャ…
0:
0:いくらドアノブを回してもドアが開かない。
0:
謎の声:「フフフフフフ…フフフ…」
0:
0:
0:不気味な笑い声が聞こえ始める。
0:まるで部屋全体から聞こえるかのような…私に似た声…。
0:
私:(なんなの!?なんで開かないのよ!)
0:
0:
0:もはや半狂乱でドアを開けようとするが、ドアノブがうるさく鳴るだけでビクともしない。
0:そんな私を制するかのように、背後から何かに抱きしめられた。
0:まるで氷のように冷たい感触…。
0:恐怖からか身体がうごかない。
0:
謎の声:「フフ…フフフフ…見つかっちゃった…♪」
0:
0:
0:耳元で、どこか楽しそうな恐ろしい囁き声が聞こえた…。
0:私はその声を聞いた途端、気を失ってしまった…。
0:
0:
0:次に気付いた時、私は病院のベッドの上にいた。
0:未だぼんやりしている私に、女性の泣き出しそうな声が聞こえた。
0:
友人:「あぁ!よかった、起きた!もう、アンタ一体どうしたのよ!」
0:
0:
0:友人が目に涙をいっぱいためて抱き着いてきた。
0:迎えに来たが応答がなく、鍵が開いていたので部屋へ入ると私が倒れていた、とのことだ。
0:それで救急車を呼んでずっと付き添ってくれていたらしい。
0:
0:私が謝りつつなだめていると、医者や看護師たちがやってきて状態などの説明をはじめた。
0:どうやら私は極度の疲労で倒れてしまったことになっているようだ。
0:様子見のため、このまま3日ほど入院をしなければいけないらしい。
0:
友人:「そしたら私、着替えとか持って来てあげるよ。」
0:
0:
0:しばらくして友人が立ち上がり、部屋を出て行こうとする。
0:
私:「あっ、ちょっと待って。1つお願いがあるんだけど…。」
0:
0:
0:ハッとしたように声をかけると友人が振り返って首を傾げた。
0:
私:「私の部屋に、姿見があったでしょ?あれ、退院するまでに処分しておいてくれないかな?」
0:
0:
0:突然のお願いに、友人がきょとんとした顔をしている。
0:
友人:「ええ?別にいいけど…でもアンタ、あれすごく気に入ってたじゃない。」
0:
0:
私:「なんだかあの姿見を見てると気持ち悪くなっちゃって…もう嫌なの。ね、お願い!」
0:
0:頼み込むと、未だ不思議そうながらも了承してくれた友人は、わかったと言って病室を出て行った。
0:
0:遠ざかっていく友人の足音。病室には私一人が残された。
0:
0:私?:「フフ…フフフフ…さようなら、私…。」
0:
0:
0:誰にともなく、「私」はそう呟いた。
0:
0:
0:(終)
0:
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0:この春、大学へと進学した私は家を出て、一人暮らしをすることになった。
0:心機一転するため、家具なんかもほとんどの物を新しくした。
0:とくに気に入っているのが、この姿見。
0:リサイクルショップでたまたま見つけて一目惚れしてしまった。
0:アンティークっぽいオシャレな雰囲気。
0:高いんだろうな…なんて思ったら十分買えるお値段で即、買ってしまった。
0:この姿見1つで部屋が一気にお洒落になったような気がする。
0:嬉しい気持ちいっぱいで私の新生活は始まった。
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0:そんな胸躍る新生活に陰りが出始めたのは、1か月ほど経った頃。
0:最近、妙に視線を感じるようになった。
0:部屋にいても、いつも誰かに見られている気がする。
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友人:「もしかしてストーカー?最近物騒だし、警察に言ったほうがいいんじゃない?」
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0:仲のいい友人に相談したら警察に通報することを提案された。
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私:「うーん…でも気のせいなのかもしれないし…。警察に言って、なにか大ごとになっても面倒だし…」
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0:気味が悪いのはたしかだったが新生活で忙しい中、大ごとになるのも疲れてしまう。
0:それに視線を感じるだけで、他に変なことは特に何もなかった。
0:自意識過剰になっていたり、気のせいなのかも…と思う気持ちもあった。
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友人:「そう?まぁ、たしかにいつも一緒にいるけど、私はアンタの周りで何か気になったってことはないわね…」
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0:友人もうーんと首をひねっている。
0:この友人とはよく一緒に行動をしているが、視線を感じるのはいつも私だけだった。
0:結局もう少し様子を見てみる、ということで解散となった。
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0:その日の夜…。
0:深い眠りに落ちていた私は唐突にびくっと目を覚ました。
0:視線だ…。今までよりも強烈な視線。
0:カーテンも閉めて、部屋は閉め切っているのにどこから…?
0:急に悪寒が走る。
0:電気をつけて、部屋の中を見て回った。
0:どこにもおかしなところはない。
0:視線も、もう感じなかった。
0:寝ぼけてしまったんだろうか…?
0:けれどあの強烈な視線…。
0:妙にリアルでまだ身体が寒い。
0:姿見に映る私は随分と疲れた顔をしていた。
0:しかしどうにも気になって、もう一度部屋の中を見てみるがやはり何もない。
0:
私:(やっぱり、気のせい…?もう寝よう…。疲れちゃった…。)
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0:釈然としないまま、私は電気を消して布団へと頭まで潜り込んだ。
0:やがてそのまま、もう一度眠りに落ちて行った。
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私:「………っ!!な、何…!?」
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0:眠りに落ちて少ししたくらいだろうか…また強烈な視線を感じ、思わず小さな悲鳴をあげて目を覚ました。
0:すぐに電気をつけて部屋を見渡すも、やはり何も変わったところはないし、当然誰もいない。
0:けれどさすがにもう、気のせいとは思えなかった。
0:
私:(まさか…幽霊…とか…?)
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0:とにかく怖くて、私は電気をつけたままその日は眠れずに朝を迎えた。
0:
0:翌朝…。とてもではないが学校へいく気力もなかったため、友人に連絡をした。
0:
友人:「ちょっと…大丈夫?とにかく、学校が終わったら一度そっちに行くから!今夜はウチに泊まるといいよ!」
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0:私の声色を聞いて、随分と心配をしてくれた。こういう時、人の優しさというのは心に染みる。
0:友人の気遣いに少し気が楽になった私は、遅めの朝食を取ってしばらくゆっくり過ごした。
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0:昼過ぎ頃…今夜は泊めてもらえるということで準備をする。
0:その時だった。またあの強烈な視線を感じた。
0:
私:(これ…背後からだ…!)
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0:私はすかさずに振り返った。
0:鏡だ…。そこにはあの、お気に入りの姿見があった。
0:けれど姿見には、ひきつった顔をした私が映っているだけ。
0:恐る恐る姿見に近付き、様子を見る。
0:やはりなんの変わりもない、いつもの姿見。
0:けれどたしかに視線はここから来ていた。
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私:(こうなったら徹底的に調べてやろう…)
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0:私は姿見の前にテーブルを置くと、その上にムービーモードにしたスマホを設置した。
0:そして、鏡に背を向けたりして撮影をしてみた。
0:しばらくそうしたあと、私はスマホを手に取り確認する。
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私:「あっ…!!あぁ…!!」
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0:あまりの恐怖で声にもならないような悲鳴をあげ、スマホを落としてしまった。
0:私が姿見に背を向けている時に、それは映っていた…。
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0:背中を映しているはずの姿見には、こちらを向いている私がいたのだ…。
0:それも、自分でも見たことのない無機質な顔。
0:恐ろしい、あり得ない光景をスマホは写していた。
0:震えながら姿見を見ると、未だ無表情な私がじっとこちらを見つめていた…。
0:
私:「いやっ…いやぁ!!」
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0:絞りだすような声しかだせず、腰が抜けてしまった私は這うように玄関へ向かった。
0:
私:(逃げないと…!)
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0:ガチャガチャガチャ…
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0:いくらドアノブを回してもドアが開かない。
0:
謎の声:「フフフフフフ…フフフ…」
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0:不気味な笑い声が聞こえ始める。
0:まるで部屋全体から聞こえるかのような…私に似た声…。
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私:(なんなの!?なんで開かないのよ!)
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0:もはや半狂乱でドアを開けようとするが、ドアノブがうるさく鳴るだけでビクともしない。
0:そんな私を制するかのように、背後から何かに抱きしめられた。
0:まるで氷のように冷たい感触…。
0:恐怖からか身体がうごかない。
0:
謎の声:「フフ…フフフフ…見つかっちゃった…♪」
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0:耳元で、どこか楽しそうな恐ろしい囁き声が聞こえた…。
0:私はその声を聞いた途端、気を失ってしまった…。
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0:
0:次に気付いた時、私は病院のベッドの上にいた。
0:未だぼんやりしている私に、女性の泣き出しそうな声が聞こえた。
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友人:「あぁ!よかった、起きた!もう、アンタ一体どうしたのよ!」
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0:友人が目に涙をいっぱいためて抱き着いてきた。
0:迎えに来たが応答がなく、鍵が開いていたので部屋へ入ると私が倒れていた、とのことだ。
0:それで救急車を呼んでずっと付き添ってくれていたらしい。
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0:私が謝りつつなだめていると、医者や看護師たちがやってきて状態などの説明をはじめた。
0:どうやら私は極度の疲労で倒れてしまったことになっているようだ。
0:様子見のため、このまま3日ほど入院をしなければいけないらしい。
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友人:「そしたら私、着替えとか持って来てあげるよ。」
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0:しばらくして友人が立ち上がり、部屋を出て行こうとする。
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私:「あっ、ちょっと待って。1つお願いがあるんだけど…。」
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0:ハッとしたように声をかけると友人が振り返って首を傾げた。
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私:「私の部屋に、姿見があったでしょ?あれ、退院するまでに処分しておいてくれないかな?」
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0:突然のお願いに、友人がきょとんとした顔をしている。
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友人:「ええ?別にいいけど…でもアンタ、あれすごく気に入ってたじゃない。」
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私:「なんだかあの姿見を見てると気持ち悪くなっちゃって…もう嫌なの。ね、お願い!」
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0:頼み込むと、未だ不思議そうながらも了承してくれた友人は、わかったと言って病室を出て行った。
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0:遠ざかっていく友人の足音。病室には私一人が残された。
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0:私?:「フフ…フフフフ…さようなら、私…。」
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0:誰にともなく、「私」はそう呟いた。
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0:(終)