台本概要

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タイトル 零の恐怖書庫 第5夜「金縛り」
作者名 月儚(つくも)レイ  (@rose_moon44)
ジャンル ホラー
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 「最近、私は毎夜のように金縛りに悩まされている…。あっ、今日もまた…」

1人読み朗読台本の怪談シリーズ「零の恐怖書庫」第1夜となります。

怪談語りのようなホラー作品となります。ホラーが苦手な方はご注意くださいませ。

朗読の際のお時間のほうは10分前後ほどかと思います。

ご利用の報告は強制ではありませんが、ご連絡いただけますと非常に嬉しいです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
不問 9 主人公、語り手。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0: 0: 0:最近、私は毎日のように金縛りにあう。 0:うとうと、と眠り始めると途端に身体が痺れるように動かなくなる。 0:はじめのうちこそ気味がわるく、嫌な気持ちになっていたが、あまりに続くうちに少し慣れてきた。 0:近頃は、そろそろ来そうだ、とわかってしまうくらいだ。 0:金縛りはよく心霊体験なんかで語られる事が多いが、その仕組みは解明されている。 0:タネがわかっていても気持ちのいいものではないが…私はあまり気にしないことにしていた。 0:   0:そんな私は今日もお風呂を済ませて、そろそろ眠ろうと布団へと潜り込む。 0:仕事で随分と疲れていたこともあり、布団に入りじっとしているとすぐに眠気がやってきた。 0:最近は安らかな眠りはこないけれど。  私:(あっ…来る…)  0: 0: 0:来た…。金縛りだ。 0:慣れてきたとはいえ、やはり気分のいいものではない。 0:身体は一切動かないが、視界だけは私の部屋を映している。 0:なんとも不思議で不気味な感覚だ。   私:(早く解けないかな…眠りたいのに…)  0: 0: 0:動けない身体でうんざりとしていると… 0:   0:暗い部屋の中で何かが動いた気がした。 0:視界の隅のほうに影のようなものが見えた気がしたのだ。 0:しかし身体はピクリとも動かないので首を動かすこともできず、確認ができない。   私:(あっ…また…!)  0: 0: 0:再び、なにかが動いたような気がした。 0:こんな事は初めてだった。 0:確認したくてもできず…そうこうしているうちにふっと金縛りが解けて瞼が落ちる。 0:すぐに確認をしたいはずが…私は抗いようのない睡魔に襲われてそのまま眠りに落ちた。 0:   0:翌朝、目が覚めて部屋の中を確認してみたが、とくに変わった様子はなかった。 0:見間違えたか、気のせいだったのだろうか…。 0:私はとくに気にもせず、仕事へと向かった。 0:   0:その夜…。いつものように寝支度を整えて布団へと潜り込むと、やはり金縛りがきた。 0:しかし、今日の金縛りはいつもと違った。 0:目が開かない。 0:意識はしっかりとあるのだが、目も閉じたまま開くことができない。 0:こんな金縛りは初めてだった。 0:視界を奪われると途端に不安で仕方がなくなる。 0:しかしどうすることもできず、早く解けることを願っていると… 0:   0:ずる、ずる、ずる… 0:どんっ…どんっ… 0:   0:何かを引きずるような音と、壁に何かがぶつかるような音が聞こえてきた。   私:(えっ…なに…?何の音…?)   0: 0: 0:視界も身体の自由も奪われているためどうすることもできない。 0:   0:ずる、ずる、ずる… 0:どんっ…どんっ… 0:   0:音は繰り返し聞こえてくる。 0:次第に恐怖でたまらなくなってくる。  私:(一体なんなの…!?嫌だ、気持ち悪い…!)  0: 0: 0:何も見えない状態で、謎の不気味な音を延々と聞かされる。 0:発狂してしまいそうなほど怖くてたまらなかったのだが、金縛りが解けた感覚と共に、また抗いようのない睡魔に襲われた私は、そのまま眠りへと落ちた。 0:   0:翌朝、目を覚ました私はびっしょりと汗をかいていた。 0:昨夜の事を思い出して慌てて部屋を確認するも、何も変わったところはない。 0:あの音は何だったのだろう…。 0:視界を奪われたことの恐怖から幻聴でも聞いたのか…あるいはただの夢だったのか。 0:薄気味悪くはあるものの、なにしろ眠りに落ちる寸前に起きる金縛りだ。夢なのかもしれない。 0:私は気にするのをやめて顔を洗い、仕事へと向かった。 0:   0:その夜も…やはり金縛りが私を襲った。 0:今夜は目が開く、いつもの金縛りのようだ。 0:視界に入る自分の部屋… 0:その視界に入った自分の部屋を見て、私は悲鳴をあげた。  0:いや…金縛りで口も動かないため、悲鳴が声になることはなかった…。 0:   0:私の視界の先…窓の前に、痩せこけたまるで骨のような老人が座っていたのだ。 0:ニッコリとした笑みを浮かべ、こちらを見つめている。  私:(えっ!?なに!??なんで人が…!!) 0: 0: 0:どんなに恐ろしくても声が出ない、身体も動かない、目も背けられない。 0:すると、そんな動けない私に向かって… 0:   0:ずるっ…ずるっ…ずるっ… 0:   0:老人が身体を引きずるようにしてこちらへ近づいてくる。 0:そしてこの音…昨日聞いた、あの何かを引きずる音と同じことに気が付く。 0:昨日もこの老人が居たのかと思うと更に恐怖に襲われる。 0:もしかしてその前の日の何かが動いたような影も…? 0:気付かなかっただけで、この金縛りに襲われ出した時から…? 0:思考すれば思考するほど怖くてたまらない。   私:(な、なんでこっちに…嫌!!お願い…!!こないで…嫌…嫌…!) 0: 0: 0:叫び出したいが、声がでない。 0:どうすることもできない私のほうへ老人はどんどん近づいてくる。 0:   0:ずるっ…ずるっ…ずるっ… 0:   0:ニッコリと笑みを浮かべた顔が近づいてくる。 0:もう、手を伸ばせば届きそうなところまで老人は来ている。   私:(いやっ…いやだ…来ないで…来ないで…!!助けて…!!)  0: 0: 0:どれほど願っても老人はこちらへとやってくる。 0:もう、老人の顔が視界いっぱいになりそうなくらいまで迫った時… 0:今までニッコリと笑っていたその顔から表情が一瞬にして消えた。 0:怒りも笑いもしない、けれど恐ろしいまでの無表情。 0:その瞬間、私の意識は途切れてしまった。 0:   0:翌朝…昨夜以上にびっしょりと汗をかき私は目を覚ました。 0:とても身体がだるい…。 0:夜の恐ろしさがまだ残っている。 0:あれはなんだったのか…夢であってほしい。 0:   0:しかし、その望みはすぐに否定された。  私:「あっ…あぁ…!!あぁぁっ!!!」   0: 0: 0:その光景を見て、私は思わず悲鳴を漏らした。 0:   0:そこには…… 0:床のそこらじゅうに、何かをひきずったような血の跡がのこっており… 0:その血の跡は、私の寝床の前で途切れていた…。 0: 0:   0:(終) 

0: 0: 0:最近、私は毎日のように金縛りにあう。 0:うとうと、と眠り始めると途端に身体が痺れるように動かなくなる。 0:はじめのうちこそ気味がわるく、嫌な気持ちになっていたが、あまりに続くうちに少し慣れてきた。 0:近頃は、そろそろ来そうだ、とわかってしまうくらいだ。 0:金縛りはよく心霊体験なんかで語られる事が多いが、その仕組みは解明されている。 0:タネがわかっていても気持ちのいいものではないが…私はあまり気にしないことにしていた。 0:   0:そんな私は今日もお風呂を済ませて、そろそろ眠ろうと布団へと潜り込む。 0:仕事で随分と疲れていたこともあり、布団に入りじっとしているとすぐに眠気がやってきた。 0:最近は安らかな眠りはこないけれど。  私:(あっ…来る…)  0: 0: 0:来た…。金縛りだ。 0:慣れてきたとはいえ、やはり気分のいいものではない。 0:身体は一切動かないが、視界だけは私の部屋を映している。 0:なんとも不思議で不気味な感覚だ。   私:(早く解けないかな…眠りたいのに…)  0: 0: 0:動けない身体でうんざりとしていると… 0:   0:暗い部屋の中で何かが動いた気がした。 0:視界の隅のほうに影のようなものが見えた気がしたのだ。 0:しかし身体はピクリとも動かないので首を動かすこともできず、確認ができない。   私:(あっ…また…!)  0: 0: 0:再び、なにかが動いたような気がした。 0:こんな事は初めてだった。 0:確認したくてもできず…そうこうしているうちにふっと金縛りが解けて瞼が落ちる。 0:すぐに確認をしたいはずが…私は抗いようのない睡魔に襲われてそのまま眠りに落ちた。 0:   0:翌朝、目が覚めて部屋の中を確認してみたが、とくに変わった様子はなかった。 0:見間違えたか、気のせいだったのだろうか…。 0:私はとくに気にもせず、仕事へと向かった。 0:   0:その夜…。いつものように寝支度を整えて布団へと潜り込むと、やはり金縛りがきた。 0:しかし、今日の金縛りはいつもと違った。 0:目が開かない。 0:意識はしっかりとあるのだが、目も閉じたまま開くことができない。 0:こんな金縛りは初めてだった。 0:視界を奪われると途端に不安で仕方がなくなる。 0:しかしどうすることもできず、早く解けることを願っていると… 0:   0:ずる、ずる、ずる… 0:どんっ…どんっ… 0:   0:何かを引きずるような音と、壁に何かがぶつかるような音が聞こえてきた。   私:(えっ…なに…?何の音…?)   0: 0: 0:視界も身体の自由も奪われているためどうすることもできない。 0:   0:ずる、ずる、ずる… 0:どんっ…どんっ… 0:   0:音は繰り返し聞こえてくる。 0:次第に恐怖でたまらなくなってくる。  私:(一体なんなの…!?嫌だ、気持ち悪い…!)  0: 0: 0:何も見えない状態で、謎の不気味な音を延々と聞かされる。 0:発狂してしまいそうなほど怖くてたまらなかったのだが、金縛りが解けた感覚と共に、また抗いようのない睡魔に襲われた私は、そのまま眠りへと落ちた。 0:   0:翌朝、目を覚ました私はびっしょりと汗をかいていた。 0:昨夜の事を思い出して慌てて部屋を確認するも、何も変わったところはない。 0:あの音は何だったのだろう…。 0:視界を奪われたことの恐怖から幻聴でも聞いたのか…あるいはただの夢だったのか。 0:薄気味悪くはあるものの、なにしろ眠りに落ちる寸前に起きる金縛りだ。夢なのかもしれない。 0:私は気にするのをやめて顔を洗い、仕事へと向かった。 0:   0:その夜も…やはり金縛りが私を襲った。 0:今夜は目が開く、いつもの金縛りのようだ。 0:視界に入る自分の部屋… 0:その視界に入った自分の部屋を見て、私は悲鳴をあげた。  0:いや…金縛りで口も動かないため、悲鳴が声になることはなかった…。 0:   0:私の視界の先…窓の前に、痩せこけたまるで骨のような老人が座っていたのだ。 0:ニッコリとした笑みを浮かべ、こちらを見つめている。  私:(えっ!?なに!??なんで人が…!!) 0: 0: 0:どんなに恐ろしくても声が出ない、身体も動かない、目も背けられない。 0:すると、そんな動けない私に向かって… 0:   0:ずるっ…ずるっ…ずるっ… 0:   0:老人が身体を引きずるようにしてこちらへ近づいてくる。 0:そしてこの音…昨日聞いた、あの何かを引きずる音と同じことに気が付く。 0:昨日もこの老人が居たのかと思うと更に恐怖に襲われる。 0:もしかしてその前の日の何かが動いたような影も…? 0:気付かなかっただけで、この金縛りに襲われ出した時から…? 0:思考すれば思考するほど怖くてたまらない。   私:(な、なんでこっちに…嫌!!お願い…!!こないで…嫌…嫌…!) 0: 0: 0:叫び出したいが、声がでない。 0:どうすることもできない私のほうへ老人はどんどん近づいてくる。 0:   0:ずるっ…ずるっ…ずるっ… 0:   0:ニッコリと笑みを浮かべた顔が近づいてくる。 0:もう、手を伸ばせば届きそうなところまで老人は来ている。   私:(いやっ…いやだ…来ないで…来ないで…!!助けて…!!)  0: 0: 0:どれほど願っても老人はこちらへとやってくる。 0:もう、老人の顔が視界いっぱいになりそうなくらいまで迫った時… 0:今までニッコリと笑っていたその顔から表情が一瞬にして消えた。 0:怒りも笑いもしない、けれど恐ろしいまでの無表情。 0:その瞬間、私の意識は途切れてしまった。 0:   0:翌朝…昨夜以上にびっしょりと汗をかき私は目を覚ました。 0:とても身体がだるい…。 0:夜の恐ろしさがまだ残っている。 0:あれはなんだったのか…夢であってほしい。 0:   0:しかし、その望みはすぐに否定された。  私:「あっ…あぁ…!!あぁぁっ!!!」   0: 0: 0:その光景を見て、私は思わず悲鳴を漏らした。 0:   0:そこには…… 0:床のそこらじゅうに、何かをひきずったような血の跡がのこっており… 0:その血の跡は、私の寝床の前で途切れていた…。 0: 0:   0:(終)