台本概要

 84 views 

タイトル 零の恐怖書庫 第8夜「人形」
作者名 月儚(つくも)レイ  (@rose_moon44)
ジャンル ホラー
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 「同僚からのお土産でもらった双子のお人形。可愛いけれど…やっぱりどこか不気味。」

1人読み朗読台本の怪談シリーズ「零の恐怖書庫」第8夜となります。

怪談語りのようなホラー作品となります。ホラーが苦手な方はご注意くださいませ。

朗読の際のお時間のほうは10分前後ほどかと思います。

ご利用の報告は強制ではありませんが、ご連絡いただけますと非常に嬉しいです。

 84 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
不問 5 主人公、語り手。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0: 0:  0:ある日、同僚から海外出張のお土産で一対の双子の人形をもらった。 0:くりっとした目が印象的な、一見するとアンティーク風なお洒落でかわいらしい人形。 0:けれど、私の第一印象はなんだか不気味だなぁ…という印象だった。 0:出張のお土産が人形というのも、なんだか不思議なものだ。 0:少し戸惑いはあったものの、つっ返すわけにもいかず私はその人形をいただくことにした。 0:   0:仕事を終え、帰宅した私は一息つきながら腰をおろした。 0:ふと荷物が目に入り、同僚にもらった人形のことを思い出す。 0:ガサガサと人形を取り出し、眺める。 0:可愛いといえば可愛い…けれど、こういう人形にあまり馴染みがないせいか、やはり不気味にも思う。 0:くりっとした目と妙に目が合う気がした。 0:しかしせっかくもらった物だし、そのままにしておくのもなんだか忍びない。 0:私は空いていた棚へと双子の人形を並べて飾った。 0:こうして飾るとオシャレにも見える。 0:なんだか満足した私は食事やお風呂を済ませ、寝床へと入った。 0:  0:深夜…。 0:なんだか寝苦しくて目が覚めた。 0:妙に寝心地が悪い。 0:水でも飲もう、と一度起きる。 0:身体を起こそうとして、ハッとした。 0:   0:棚に置いた双子の人形と目が合ったのだ…。 0:あのくりっとした目が、じっとこちらを見つめている。 0:   0:私:「こんな置き方…してたかな…」 0: 0: 0:なんだかゾクっとして、私は急いで双子の人形を反対側に向けた。 0:寝苦しかったのはこの視線のせいだろうか…。 0:とにかくぐいっと水を飲んでもう一度眠ることにした。 0:   0:翌日… 0:目が覚めると、人形は反対側を向いたままだった。 0:なんだかほっとした私は急いで支度をすませ、会社へと向かった。 0:同僚に人形のことを詳しく聞こうと思ったが、同僚は体調不良とやらで欠勤していた。 0:   0:そしてその夜… 0:ガタン!と音がして目を覚ました。 0:見ると、双子の人形が棚から落ちていた。 0:それも、両方ともだ…。 0:   私:「ひっ…!!!」 0: 0: 0:棚のほうへ向かい、思わず悲鳴を漏らした。 0:人形が仰向けに倒れていて、目があったのだ…。 0:急に落ちたのもおかしな話だし、双子の人形両方が仰向けに倒れるなんてこと、あるだろうか…。 0:さすがに不気味で仕方なくなった私は、人形を適当な箱の中に入れた。 0:同僚には悪いとおもったが、飾っておく気にはなれなかった。 0:再び寝床へと戻ったものの、あのくりっとした目を思い出してしまって、その日はあまり眠れなかった。 0:   0:翌日…。 0:今日こそ話を聞こうと思ったが、同僚は欠勤していた。 0:今日は無断欠勤らしく、上司がいら立っている。 0:私のほうからも電話をしてみたが、コール音が続くだけで同僚が出ることは無かった。 0:なんだかモヤモヤした気分のまま、私は1日を過ごした。 0:   0:その夜…。 0:   0:ゴソ…ゴソ…ゴソ… 0: 0:聞き慣れない妙な物音がして私は目が覚めた。 0:電気をつけて辺りを見渡すも、何もない。 0:ベッドから降りようとして、何かが足にあたった。 0:   私:「えっ…!?あっ…あぁぁぁ!」 0: 0: 0:足元を見た私は声をあげてしまった。 0:   0:人形だ…。 0:箱に入れたはずの双子の人形が並んで座っていたのだ…。 0:それも、じっとこちらを見上げるかのように…。 0:くりっとした瞳と、目が合う…。 0:一体、どうして…? 0:恐ろしくて仕方がなくなった私は、触るのためらったが人形を掴んでゴミ袋へと押し込んだ。 0:そのまま外へ飛び出し、ゴミ捨て場へと持って行った。 0:呪いの人形というやつだろうか… 0:もう家に置いておく気にはなれなかったのだ…。 0:どっと疲れたものの、この日も眠れない夜を過ごした…。 0:   0:今日も同僚は無断欠勤していた。 0:電話にも当然出ない。 0:上司が外回りのついでに、家をのぞきにいくという。 0:同僚のことも気がかりだ… 0:あの人形を受け取った翌日から欠勤していることになる。 0:心身の疲れともやもやで、仕事もあまり手につかなかった…。 0:  0:そろそろ帰ろう、としていた頃だった。 0:外回りをしていた上司から電話がかかってきた。 0:かなり焦った様子で上司はこう言った…。 0:   0:同僚の家に行くと、やはり応答がなかった。 0:ドアノブを回すと空いていたので中へ入ってみた…。 0:すると、中には誰もいなかった…いなかったのだが…。 0:   0:部屋のそこら中に私の写真があって、顔の部分を全部ぐしゃぐしゃに塗りつぶしてあり、いくつかには釘が刺さっていたんだという…。 0:その異様な光景と、消息不明の同僚のこともあり、上司に事情をきかれたのだが…。 0:   0:どうして同僚は私にそんなことをしたのか…? 0:そして、あの渡された人形は、まさか私を呪うつもりで…? 0:   0:恨まれる心当たりもなく、心身の疲れと上司からの電話の内容にパニックを起こした私は、心当たりは一切ないとだけ言って電話を切り、とにかく帰路へついた。 0:どうして?という疑問と恐怖で、身体の震えが止まらない。 0:どうやって帰路についたのかもよく覚えていないが、気付けば家の前に立っていた。 0:鍵を開け、部屋の中へ入る。 0:もう何も考えたくない。 0:とにかくゆっくり眠って全部忘れたい。 0:   0:着替えもせず、ベッドへと飛び込もうとした私の背後から視線を感じた。 0:ゾッと背中に寒気が走る。 0:おそるおそる振り返ると… 0:   0:棚の上にあの人形がいた…。 0:捨てたはずの人形が…あのくりっとした目でじっと私を見つめるように、棚に座っているのだ。 0:けれど双子だったはずの人形の片方しかそこには居なかった。  私:「な、なんで…!?いやっ…いやぁ!」 0: 0: 0:悲鳴を上げて思わず尻もちをついてしまったのと同時に携帯が鳴った。 0:あわてて携帯を見ると、着信は同僚からだった。 0:恐怖でパニックになりながら、震える手で電話にでると…   同僚?:「ネェ…?ドウシテ…ステタノ…?フフ…フフフフフ…アソ…ボ…」 0: 0: 0:ノイズ音と共に、同僚の声ではない、機械のような声が聞こえてきた。 0:同時にどさっ、と音がして…あの人形が棚から床に降りている。   私:「いやっ…なんなの!!やめて!こないで!!!いやぁぁ!!!」 0: 0: 0:人形にむかって携帯を投げつける。 0:震える身体をひきずるように、ドアへと向かう。 0:クスクス…と、部屋中から笑い声のようなものが聞こえる。 0:異様なまでに震えてしまって、言うことを聞かない身体を引きずりながら玄関までなんとかたどりついた時… 0:   0:ピンポーン…ピンポーン… 0:  0:インターホンの音が響く。 0:背後には…さっきよりも近付いてきている気がする、あの人形…。 0:でも…外にいるのは…? 0:   0:こわい…こわい…こわい… 0:もう何も考えられない。 0:けれど、とにかく背後から迫る恐怖から逃げ出したかった。 0:外に居る人に助けを求められるかも…。 0:   0:そして、ドアを開けた先には…… 0:   0:そこにはボロボロの、ツギハギだらけの身体をした子供くらいの人… 0:いや…人ではない…。 0:ボロボロの顔や髪から目立つようにのぞく、あの目…。 0:背後から迫って来る、あの人形とおなじ…くりっとした目をした何かが立っていた…。 0:そうだ…。人形は…双子だった…   ??:「…ドウシテ…ステタノ…?ワタシモ…フフ、フフフ…アソビニ…キタヨ…」 0: 0:   0:最後に、目の前からそんな言葉が聞こえた。 0:   0: 0:(終)

0: 0:  0:ある日、同僚から海外出張のお土産で一対の双子の人形をもらった。 0:くりっとした目が印象的な、一見するとアンティーク風なお洒落でかわいらしい人形。 0:けれど、私の第一印象はなんだか不気味だなぁ…という印象だった。 0:出張のお土産が人形というのも、なんだか不思議なものだ。 0:少し戸惑いはあったものの、つっ返すわけにもいかず私はその人形をいただくことにした。 0:   0:仕事を終え、帰宅した私は一息つきながら腰をおろした。 0:ふと荷物が目に入り、同僚にもらった人形のことを思い出す。 0:ガサガサと人形を取り出し、眺める。 0:可愛いといえば可愛い…けれど、こういう人形にあまり馴染みがないせいか、やはり不気味にも思う。 0:くりっとした目と妙に目が合う気がした。 0:しかしせっかくもらった物だし、そのままにしておくのもなんだか忍びない。 0:私は空いていた棚へと双子の人形を並べて飾った。 0:こうして飾るとオシャレにも見える。 0:なんだか満足した私は食事やお風呂を済ませ、寝床へと入った。 0:  0:深夜…。 0:なんだか寝苦しくて目が覚めた。 0:妙に寝心地が悪い。 0:水でも飲もう、と一度起きる。 0:身体を起こそうとして、ハッとした。 0:   0:棚に置いた双子の人形と目が合ったのだ…。 0:あのくりっとした目が、じっとこちらを見つめている。 0:   0:私:「こんな置き方…してたかな…」 0: 0: 0:なんだかゾクっとして、私は急いで双子の人形を反対側に向けた。 0:寝苦しかったのはこの視線のせいだろうか…。 0:とにかくぐいっと水を飲んでもう一度眠ることにした。 0:   0:翌日… 0:目が覚めると、人形は反対側を向いたままだった。 0:なんだかほっとした私は急いで支度をすませ、会社へと向かった。 0:同僚に人形のことを詳しく聞こうと思ったが、同僚は体調不良とやらで欠勤していた。 0:   0:そしてその夜… 0:ガタン!と音がして目を覚ました。 0:見ると、双子の人形が棚から落ちていた。 0:それも、両方ともだ…。 0:   私:「ひっ…!!!」 0: 0: 0:棚のほうへ向かい、思わず悲鳴を漏らした。 0:人形が仰向けに倒れていて、目があったのだ…。 0:急に落ちたのもおかしな話だし、双子の人形両方が仰向けに倒れるなんてこと、あるだろうか…。 0:さすがに不気味で仕方なくなった私は、人形を適当な箱の中に入れた。 0:同僚には悪いとおもったが、飾っておく気にはなれなかった。 0:再び寝床へと戻ったものの、あのくりっとした目を思い出してしまって、その日はあまり眠れなかった。 0:   0:翌日…。 0:今日こそ話を聞こうと思ったが、同僚は欠勤していた。 0:今日は無断欠勤らしく、上司がいら立っている。 0:私のほうからも電話をしてみたが、コール音が続くだけで同僚が出ることは無かった。 0:なんだかモヤモヤした気分のまま、私は1日を過ごした。 0:   0:その夜…。 0:   0:ゴソ…ゴソ…ゴソ… 0: 0:聞き慣れない妙な物音がして私は目が覚めた。 0:電気をつけて辺りを見渡すも、何もない。 0:ベッドから降りようとして、何かが足にあたった。 0:   私:「えっ…!?あっ…あぁぁぁ!」 0: 0: 0:足元を見た私は声をあげてしまった。 0:   0:人形だ…。 0:箱に入れたはずの双子の人形が並んで座っていたのだ…。 0:それも、じっとこちらを見上げるかのように…。 0:くりっとした瞳と、目が合う…。 0:一体、どうして…? 0:恐ろしくて仕方がなくなった私は、触るのためらったが人形を掴んでゴミ袋へと押し込んだ。 0:そのまま外へ飛び出し、ゴミ捨て場へと持って行った。 0:呪いの人形というやつだろうか… 0:もう家に置いておく気にはなれなかったのだ…。 0:どっと疲れたものの、この日も眠れない夜を過ごした…。 0:   0:今日も同僚は無断欠勤していた。 0:電話にも当然出ない。 0:上司が外回りのついでに、家をのぞきにいくという。 0:同僚のことも気がかりだ… 0:あの人形を受け取った翌日から欠勤していることになる。 0:心身の疲れともやもやで、仕事もあまり手につかなかった…。 0:  0:そろそろ帰ろう、としていた頃だった。 0:外回りをしていた上司から電話がかかってきた。 0:かなり焦った様子で上司はこう言った…。 0:   0:同僚の家に行くと、やはり応答がなかった。 0:ドアノブを回すと空いていたので中へ入ってみた…。 0:すると、中には誰もいなかった…いなかったのだが…。 0:   0:部屋のそこら中に私の写真があって、顔の部分を全部ぐしゃぐしゃに塗りつぶしてあり、いくつかには釘が刺さっていたんだという…。 0:その異様な光景と、消息不明の同僚のこともあり、上司に事情をきかれたのだが…。 0:   0:どうして同僚は私にそんなことをしたのか…? 0:そして、あの渡された人形は、まさか私を呪うつもりで…? 0:   0:恨まれる心当たりもなく、心身の疲れと上司からの電話の内容にパニックを起こした私は、心当たりは一切ないとだけ言って電話を切り、とにかく帰路へついた。 0:どうして?という疑問と恐怖で、身体の震えが止まらない。 0:どうやって帰路についたのかもよく覚えていないが、気付けば家の前に立っていた。 0:鍵を開け、部屋の中へ入る。 0:もう何も考えたくない。 0:とにかくゆっくり眠って全部忘れたい。 0:   0:着替えもせず、ベッドへと飛び込もうとした私の背後から視線を感じた。 0:ゾッと背中に寒気が走る。 0:おそるおそる振り返ると… 0:   0:棚の上にあの人形がいた…。 0:捨てたはずの人形が…あのくりっとした目でじっと私を見つめるように、棚に座っているのだ。 0:けれど双子だったはずの人形の片方しかそこには居なかった。  私:「な、なんで…!?いやっ…いやぁ!」 0: 0: 0:悲鳴を上げて思わず尻もちをついてしまったのと同時に携帯が鳴った。 0:あわてて携帯を見ると、着信は同僚からだった。 0:恐怖でパニックになりながら、震える手で電話にでると…   同僚?:「ネェ…?ドウシテ…ステタノ…?フフ…フフフフフ…アソ…ボ…」 0: 0: 0:ノイズ音と共に、同僚の声ではない、機械のような声が聞こえてきた。 0:同時にどさっ、と音がして…あの人形が棚から床に降りている。   私:「いやっ…なんなの!!やめて!こないで!!!いやぁぁ!!!」 0: 0: 0:人形にむかって携帯を投げつける。 0:震える身体をひきずるように、ドアへと向かう。 0:クスクス…と、部屋中から笑い声のようなものが聞こえる。 0:異様なまでに震えてしまって、言うことを聞かない身体を引きずりながら玄関までなんとかたどりついた時… 0:   0:ピンポーン…ピンポーン… 0:  0:インターホンの音が響く。 0:背後には…さっきよりも近付いてきている気がする、あの人形…。 0:でも…外にいるのは…? 0:   0:こわい…こわい…こわい… 0:もう何も考えられない。 0:けれど、とにかく背後から迫る恐怖から逃げ出したかった。 0:外に居る人に助けを求められるかも…。 0:   0:そして、ドアを開けた先には…… 0:   0:そこにはボロボロの、ツギハギだらけの身体をした子供くらいの人… 0:いや…人ではない…。 0:ボロボロの顔や髪から目立つようにのぞく、あの目…。 0:背後から迫って来る、あの人形とおなじ…くりっとした目をした何かが立っていた…。 0:そうだ…。人形は…双子だった…   ??:「…ドウシテ…ステタノ…?ワタシモ…フフ、フフフ…アソビニ…キタヨ…」 0: 0:   0:最後に、目の前からそんな言葉が聞こえた。 0:   0: 0:(終)