台本概要
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タイトル | 零の恐怖書庫 第11夜「海」 |
---|---|
作者名 | 月儚(つくも)レイ (@rose_moon44) |
ジャンル | ホラー |
演者人数 | 1人用台本(女1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
「恋人とのひと夏の楽しい休暇。貸し切り状態の田舎の海で、夏を満喫するはずが…」 1人読み朗読台本の怪談シリーズ「零の恐怖書庫」第11夜となります。 怪談語りのようなホラー作品となります。ホラーが苦手な方はご注意くださいませ。 朗読の際のお時間のほうは10分前後ほどかと思います。 ご利用の報告は強制ではありませんが、ご連絡いただけますと非常に嬉しいです。 127 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
私 | 女 | 6 | 主人公、語り手。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:
0:
0:夏休みを利用して、恋人と一緒に地元へ帰省した。
0:私の地元には海がある。
0:とても田舎なのもあり、シーズンでもまばらに人がいるくらいで海はガラガラ。
0:正直、帰省の目的はこっちだったりする。
0:かなり遠いのでここへ来るまでの距離や旅費はかさむのだが…
0:恋人と遠出をして、旅と、静かな海を満喫できる。
0:そう思えば、うちの地元は恋人との遠出にはもってこいの場所なのだ。
0:
0:都会からどんどん深まっていく田舎の景色にワクワクと懐かしさをおぼえながら地元に入る。
0:まずは実家に寄り、両親に挨拶をした。
0:うちの両親はとてもオープンで、手厚い歓迎に私と恋人はなんだか照れくさい思いをするのだった。
0:
0:挨拶をすませ、実家の車を借りていよいよ海へ向かう。
0:田舎の風景というのは、こうして走っているだけでも心地いい。
0:
0:長い道のりなのだが、あっという間な気持ちで海に到着した。
0:やはりポツポツと人がいるだけで、ほとんど他に人はいなかった。
0:こんなにも遠出をしたのは初めてなのもあり、二人で胸を躍らせながら着替えをすませる。
0:
0:着替え終わって浜辺に出る。
0:どうやら私のほうが先だったようで、恋人の姿はなかった。
0:
0:きょろきょろとしながら恋人を待つ。
0:こうして見ても、やはり人が少ない。
0:この時期にこんな状態で海で遊べるなんてことはなかなかない。
0:改めて地元に感謝しつつ、恋人を待つ。
0:
0:10分…15分…20分…
0:近くの時計に目をやると随分と時間が経つが、恋人はこない。
0:
0:いくらなんでも遅い…
0:電話をしようにも、携帯は服と一緒に置いてきてしまっている。
0:いくらあたりを見渡しても姿はない。
0:そうこうしているうちに更に時間は経ってゆく。
私:「具合でも悪くなったのかな…」
0:
0:
0:さすがに心配で、携帯を取りに行こうとしたときだった。
??:「おーい」
0:
0:
0:聞き覚えのある声…恋人の声が聞こえた。
0:再びあたりを見ると海のほうに人影がみえて手を振っている。
私:「えっ!いつの間に?もう、なんで先に行ってるの!」
0:
0:
0:その姿に驚きつつ、文句を言いながら人影のほうへ走る。
恋人:「おーい!」
0:
0:
0:そんな私に、恋人は声をかけながら手を振り続けている。
私:「もう、ちょっと待ってってば!」
0:
0:
0:砂浜に足を取られながら、急いで恋人のほうへ向かう。
恋人:「おー-い!」
0:
0:
0:ぶんぶんと手を振り、私を呼ぶ恋人。
私:「あれ…?」
0:
0:
0:違和感をおぼえる。
0:そんなに離れているはずがないのに、一向に恋人が近付かないのだ。
0:人影がずっと、手を振っている。
0:走っても、走っても、海面が近付かず、恋人のところへいけない。
0:それでもなお、真っ黒の人影がぶんぶんと手を振り…
恋人:「おー-い!!」
0:
0:
0:私を呼んでいる。
0:
0:こんなに砂浜が長いわけもなく…
0:そもそも、あの真っ黒の影は本当に恋人なの?
0:でも、私を呼ぶあの声は一体…?
0:
0:しばし茫然と立ち尽くし、影を見つめていると……
??:「おい!!!!何やってんだ!!!!」
0:
0:
0:背後からひと際大きな声がして、強い力に掴まれた。
0:はっ、と…まるで夢から覚めた感覚に襲われると…
0:背後から掴んでいたのは恋人で…
0:
0:私は、首あたりまで、海に浸かっていた…。
私:「えっ!?なんで…どういうこと!?」
0:
0:
0:わけがわからず混乱する私に、恋人は息を切らせ、怒ったような、慌てたような様子でこう言った。
0:
0:着替え終わって外に出てみると、私がふらふらと海に向かって歩いて行く姿を見て、ようやく追いついたのだと…。
0:
0:じゃあ、あの人影は…?
0:私を呼んだ声は…?
0:
0:未だ混乱する私に、とにかく浜へ上がろうと恋人に抱きしめられるように引っ張られる。
0:そして浜へ上がろうとしたとき…
私:「いたっ…!!!」
0:
0:
0:両足首に激痛が走る。
0:一体何かと足首を見てみると……
0:
0:両方の足首に、まるで縄のように真っ黒の髪の毛がきつく、びっしりと絡みついていた…。
0:
0:
0:(終)
0:
0:
0:夏休みを利用して、恋人と一緒に地元へ帰省した。
0:私の地元には海がある。
0:とても田舎なのもあり、シーズンでもまばらに人がいるくらいで海はガラガラ。
0:正直、帰省の目的はこっちだったりする。
0:かなり遠いのでここへ来るまでの距離や旅費はかさむのだが…
0:恋人と遠出をして、旅と、静かな海を満喫できる。
0:そう思えば、うちの地元は恋人との遠出にはもってこいの場所なのだ。
0:
0:都会からどんどん深まっていく田舎の景色にワクワクと懐かしさをおぼえながら地元に入る。
0:まずは実家に寄り、両親に挨拶をした。
0:うちの両親はとてもオープンで、手厚い歓迎に私と恋人はなんだか照れくさい思いをするのだった。
0:
0:挨拶をすませ、実家の車を借りていよいよ海へ向かう。
0:田舎の風景というのは、こうして走っているだけでも心地いい。
0:
0:長い道のりなのだが、あっという間な気持ちで海に到着した。
0:やはりポツポツと人がいるだけで、ほとんど他に人はいなかった。
0:こんなにも遠出をしたのは初めてなのもあり、二人で胸を躍らせながら着替えをすませる。
0:
0:着替え終わって浜辺に出る。
0:どうやら私のほうが先だったようで、恋人の姿はなかった。
0:
0:きょろきょろとしながら恋人を待つ。
0:こうして見ても、やはり人が少ない。
0:この時期にこんな状態で海で遊べるなんてことはなかなかない。
0:改めて地元に感謝しつつ、恋人を待つ。
0:
0:10分…15分…20分…
0:近くの時計に目をやると随分と時間が経つが、恋人はこない。
0:
0:いくらなんでも遅い…
0:電話をしようにも、携帯は服と一緒に置いてきてしまっている。
0:いくらあたりを見渡しても姿はない。
0:そうこうしているうちに更に時間は経ってゆく。
私:「具合でも悪くなったのかな…」
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0:
0:さすがに心配で、携帯を取りに行こうとしたときだった。
??:「おーい」
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0:聞き覚えのある声…恋人の声が聞こえた。
0:再びあたりを見ると海のほうに人影がみえて手を振っている。
私:「えっ!いつの間に?もう、なんで先に行ってるの!」
0:
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0:その姿に驚きつつ、文句を言いながら人影のほうへ走る。
恋人:「おーい!」
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0:
0:そんな私に、恋人は声をかけながら手を振り続けている。
私:「もう、ちょっと待ってってば!」
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0:砂浜に足を取られながら、急いで恋人のほうへ向かう。
恋人:「おー-い!」
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0:
0:ぶんぶんと手を振り、私を呼ぶ恋人。
私:「あれ…?」
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0:
0:違和感をおぼえる。
0:そんなに離れているはずがないのに、一向に恋人が近付かないのだ。
0:人影がずっと、手を振っている。
0:走っても、走っても、海面が近付かず、恋人のところへいけない。
0:それでもなお、真っ黒の人影がぶんぶんと手を振り…
恋人:「おー-い!!」
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0:私を呼んでいる。
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0:こんなに砂浜が長いわけもなく…
0:そもそも、あの真っ黒の影は本当に恋人なの?
0:でも、私を呼ぶあの声は一体…?
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0:しばし茫然と立ち尽くし、影を見つめていると……
??:「おい!!!!何やってんだ!!!!」
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0:背後からひと際大きな声がして、強い力に掴まれた。
0:はっ、と…まるで夢から覚めた感覚に襲われると…
0:背後から掴んでいたのは恋人で…
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0:私は、首あたりまで、海に浸かっていた…。
私:「えっ!?なんで…どういうこと!?」
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0:わけがわからず混乱する私に、恋人は息を切らせ、怒ったような、慌てたような様子でこう言った。
0:
0:着替え終わって外に出てみると、私がふらふらと海に向かって歩いて行く姿を見て、ようやく追いついたのだと…。
0:
0:じゃあ、あの人影は…?
0:私を呼んだ声は…?
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0:未だ混乱する私に、とにかく浜へ上がろうと恋人に抱きしめられるように引っ張られる。
0:そして浜へ上がろうとしたとき…
私:「いたっ…!!!」
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0:
0:両足首に激痛が走る。
0:一体何かと足首を見てみると……
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0:両方の足首に、まるで縄のように真っ黒の髪の毛がきつく、びっしりと絡みついていた…。
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0:(終)