台本概要
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タイトル | あやかしあやしアラカルト~オカルト研究部の夏祭り~ |
---|---|
作者名 | しゃけちゅ (@shaketyu_chu) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 5人用台本(男2、女3) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず作者へ連絡要 |
説明 |
この世界は科学や理屈で説明がつかない不思議なことで満ちている。 御伽ヶ原高校(おとぎがはらこうこう)オカルト研究部は、そんな不思議をその身に宿した少年少女が 世界の不思議を解き明かすために立ち上げた部活動である。 今回はそんな彼らの夏休み、日常の一幕。ただありふれた絆と感謝のお話。 台本作りと投稿練習のために作ってみた作品です。 気楽な内容になっていると思うので楽しんでいただけたら幸いです。 使用規定は完全に下心で設定しました。使ってもらえるのがわかると自分がうれしいのでご使用の際は 作者情報からTwitterにDMください。 841 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
百日紅 | 女 | 39 | 百日紅 (さるすべり) 廃神社に住まう化け狐。のじゃ口調。 過去に神を名乗り、神の怒りに触れ罰を下された。今は監視を受けながらの謹慎処分中。 異能は【調整不死】(デビルズ・ディール)ざっくり言って治癒能力者。 |
姫 | 女 | 36 | 灰ヶ降姫 (はいがふり ひめ) 部員1号。高校1年生、穏やかな少女。火の聖剣を宿す少女。 竜宮のことが好き。 |
透 | 男 | 38 | 織旗 透 (おりはた とおる) 部員2号。高校2年生、明るい性格の少年。 異能は【絶縁】(アンシェア)ざっくり言って透明人間。 世界と自分とを絶縁し、周囲から認識されず、また何の影響もうけなくなるガード効果付き透明化。 結構便利。 |
誠 | 男 | 47 | 竜宮 誠 (たつみや まこと) オカルト部副部長。高校二年生、物静かな少年。灰ヶ降のことが気になっている。 |
仙華 | 女 | 43 | 鬼ヶ島仙華(おにがしま せんか) オカルト部の部長。高校二年生、快活な少女。 異能【生態模写】(アニマルシフト)ざっくり言って変身能力者。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
「声劇台本:あやかしあやしアラカルト~オカルト研究部の夏祭り~」
比率 男2:女3
時間:約20分
【登場人物】
♂竜宮 誠 (たつみや まこと)
オカルト部副部長。高校二年生、物静かな少年。灰ヶ降のことが気になっている。
♀鬼ヶ島仙華(おにがしま せんか)
オカルト部の部長。高校二年生、快活な少女。
異能【生態模写】(アニマルシフト)ざっくり言って変身能力者。
♀灰ヶ降姫 (はいがふり ひめ)
部員1号。高校1年生、穏やかな少女。火の聖剣を宿す少女。
竜宮のことが好き。
♂織旗 透 (おりはた とおる)
部員2号。高校2年生、明るい性格の少年。
異能は【絶縁】(アンシェア)ざっくり言って透明人間。
世界と自分とを絶縁し、周囲から認識されず、また何の影響もうけなくなるガード効果付き透明化。
結構便利。
♀百日紅 (さるすべり)
廃神社に住まう化け狐。のじゃ口調。
過去に神を名乗り、神の怒りに触れ罰を下された。今は監視を受けながらの謹慎処分中。
異能は【調整不死】(デビルズ・ディール)ざっくり言って治癒能力者。
0:竜宮家、誠の部屋。鬼ヶ島仙華は机に夏休みの課題を広げ、竜宮誠はそれを横目に読書をしている。
仙華:竜宮君、問題があります!
誠:いきなりどうした?
仙華:今は何月でしょうか!
誠:八月だけど
仙華:学生の八月といえば!?
誠:…夏休み?
仙華:そう、夏休みです!学生生活で最もホットな季節!青春の代名詞!
仙華:しかも高2の夏といえば実質高校生活最後のチャンス!だというのに…
仙華:どうして山のような課題に追われないといけないんでしょうか!!これは大問題ではないでしょうか!!!!
誠:何の問題もないだろうが。早めに終わらせなかったお前が悪い。
誠:だいたい、夏休みと言ったってもう中盤じゃないか。どうして課題が一つも終わってないんだよ。
仙華:いや~竜宮君にお願いしたら何とかなるかな~と思って。
仙華:それに七月中はおじさんのお手伝いとかで忙しかったし…
誠:なんで俺に手伝ってもらう前提なんだよ。
仙華:別にいいでしょ、幼馴染のよしみじゃん。
誠:俺からしてみたらお前のその態度のほうがよっぽど問題だと思うけどな。
誠:帰ってもらっていい?
仙華:えー!薄情!!副部長のくせに!
誠:副部長の業務に部長の尻拭いは含まれていません。
仙華:部長の補佐が仕事でしょうが!!!
誠:朝っぱらから勉強部屋貸した上、お茶とお茶請けまで提供してるだろ。
誠:副部長サービスは売り切れだよ。
仙華:ついでに課題も手伝ってよぅ!
誠:うるさいなぁ黙って集中しろよ。
0:二人が言い合っていると、部屋の入り口に音もなく
0:【絶縁】を解除した透が現れる。
透:おっす先輩方、今日も仲いいね。
誠:うおっ!いつの間に入ってきたんだお前。
透:ついさっきママさんに上げてもらった。
姫:姫ちゃんもいますよー。
誠:なんでお前らは毎日当然のようにうちに集まってくるんだ…
透:だって部屋広いし
仙華:エアコン効いてて快適だし
姫:先輩がいるので。
誠:お前らな…まあ来たもんはしょうがない。全員、麦茶でいいな。
透:お菓子もよろしく~
誠:はいはい…
0:間
仙華:うーーーーーーん!今日の分はこんなところかな!
姫:鬼ヶ島先輩すごい、もう三分の二は消化したんじゃないですか?
仙華:ふふん!私にかかればこんな課題なんてちょちょいのちょいよ!
透:センちゃんって、ちゃんと集中すれば物凄く手際いいのに、なんでいつもやらないのかなぁ。
誠:単純なやつだからな。目の前に餌をぶら下げられて走る馬なんかと変わらん。
透:アハハ、愛すべき馬鹿ってやつだね。
仙華:片付け終わりっ!よし!それでは本日の部活動を始めましょう!
仙華:ほらほら、二人も駄弁ってないで資料広げるの手伝って!今日のネタはでかいわよ!!
透:はーい。
竜(ナレ):御伽ヶ原高等学校(おとぎがはらこうとうがっこう) オカルト研究部は、
竜(ナレ):部員数たった四人の小さな部活動である。
竜(ナレ):普段は身近に起こる怪現象を追って奔走しているわけだが、
竜(ナレ):今回の話は、なんてことのない夏休みの一幕。異常である俺たちが、
竜(ナレ):人並みに過ごすことができた、輝かしい、宝石のような思い出の一粒。
竜(ナレ):【あやかしあやしアラカルト】
竜(ナレ):化け物だって、人間だ。
0:場面二、廃神社にて。
0:誠と透の二人は、手入れの施されていない雑草に侵された石段を
0:60Lはある大きなクーラーボックスを抱えながら登っていた。
透:ぜぇぜぇ…やっと着いた…センちゃんも人使いが荒いよね。」
誠:はぁはぁ…言うな。今に始まったことじゃないだろ。それにこんな大荷物、
女子二人に持たせるわけにもいかんだろうが。
0:膝をついて息を整えていると、崩れかけの社の中から
0:キツネ耳の小さな人影が現れる。
0:この神社に住まう少女、百日紅(さるすべり)である。
百日紅:誰かと思えば、竜宮の小僧と透明のガキじゃないか、
百日紅:珍しい組み合わせじゃな…というかなんじゃその荷物の山、
百日紅:今度はなにやらかすつもりじゃいお前ら。
誠:またアイツの無茶ぶりだよ。お前には秘密にしとけとさ。
百日紅:なんじゃそりゃ。廃れた社にわざわざ…仙華ちゃんも物好きじゃなぁ毎回。
透:ちなみにこの荷物、中身は食材らしいからキツネちゃんもあんまりいじらないようにね。
誠:さて、もうひと踏ん張りだ。行くぞ透。
透:はいはい…イテテ。筋肉痛になりそうだよ。
透:キツネちゃん、くれぐれもこのクーラーボックスは開けないようにねー。
百日紅:おーう…ていうかまだあんのかい、このクーラーボックスと段ボールの山。
百日紅:てか、あんなに釘刺されると逆にいたずら心が働くのう…ちょっとくらい見てもばれんじゃろ。
0:そういって百日紅がクーラーボックスに手をかける。開いた蓋から、ヌメヌメとした触手が出てくる。
0:入っていたのは、生きたタコだった。
百日紅:げぇ!!タコ!?!?あいつらなんてもん持ち込んでるんじゃ!うわ!絡みついてくんな!
百日紅:ち、力つよ!?だ、だれかぁーー!助けてぇ!!!!!
誠:百日紅!ああもう、何やってんだ…透、手伝え。引きはがすぞ!
透:あーあ、だから開けるなって言ったのに。
0:二人で何とかタコを引きはがす
百日紅:うう~ひどい目にあった…なんじゃタコって…しかも生きたタコって…
透:よりにもよってタコ入りの箱開けちゃうなんて、やっぱ”持ってる”よねぇ、キツネちゃんは
百日紅:うるさいわ、自分で誘導しておいて。まったく、いけ好かないガキじゃ。
透:さて、何のことかな~
仙華:みんな!お待たせ~!!
誠:ん、鬼ヶ島、遅かっ、た、な…
透:おお!
0:遅れてやってきた声。振り返れば、浴衣に身を包んだ鬼ヶ島と灰ヶ降が、境内の入り口、壊れた鳥居の下に立っていた。
透:なるほど。センちゃんとヒメちゃんの準備って、その浴衣だったわけだ。
透:似合ってるね、二人とも。
仙華:ふふん。そうでしょうそうでしょう!おじさんの手伝いで稼いだバイト代をつぎ込んだだけはあるってもんよ!
誠:……
姫:その、先輩。
誠:な、なんだよ。
姫:どう、ですか?これ…鬼ヶ島先輩に選んでもらったんですよ。
誠:あ、ああ…なんというか、その…似合ってるよ。すごく。
仙華:え、それだけ!?もうちょっとなんかあるでしょう!
仙華:浴衣の柄とか、髪型とか!メイクだって頑張ったのに!
百日紅:まあそう責めてやるな。一言でも褒められたら上出来じゃって。それにほれ。
姫:えへ、えへへへへへへ…
百日紅:本人が喜んでるなら十分合格じゃろ。
仙華:まぁ、確かに?でも竜宮君は次までにもうちょっと女の子のほめ方、勉強しときなさいよね!
誠:いってぇ!叩くことないだろ!
百日紅:それくらいは甘んじて受けとけよ朴念仁。というかお前ら、やりたいことがあるんじゃろ?
百日紅:仙華ちゃんと姫ちゃんの格好で、なんとなくわかったが。
仙華:じゃあ、今回の活動内容を発表するわ!今日のオカルト研究部は!夏祭りをやります!
透:いーえ――い!!
姫:ぱちぱちぱち
仙華:じゃ、さっそく準備しましょ!最初は何をしようかな~。
誠:何か食べ物作らないか?荷物の運搬してたら腹が減っちまったよ。
姫:あ、じゃあ姫はタコ焼き食べたいです!
仙華:うんうん、お祭りと言ったらタコ焼きよね!姫ちゃん、期待していいわよ!今日のタコは最高に活きがいいから!
百日紅:あのタコはタコ焼き用の食材じゃったんか…
仙華:そうと決まればタコ焼き器を準備しましょ!透くんと竜宮君は火と機材の準備よろしく!その間に私は生地を練るわ!
姫:火なら姫が用意できますけど…
仙華:姫ちゃんは座ってて!せっかくおしゃれしたのが崩れちゃうじゃん!
姫:そんなこと言ったら鬼ヶ島先輩だって…
仙華:私はいいの!とにかく姫ちゃんはおとなしく待ってて!
姫:はぁ…
誠:お前生きたタコとかシメたことあんの?
透:あるとも。長年のサバイバル生活、舐めないでほしいね。
誠:どんな生活してたらタコをシメる機会があるんだよ…
0:何とかタコ焼きが出来上がった。
誠:出来た。とりあえず形にはなったな。
仙華:わぁ、おいしそう!いつも家事やってるだけあるわね。
百日紅:このタコめ、わしが食べつくしてやるわ!あぐ!はふ!はふっ!
透:熱いから気を付けてね~
姫:食べたら何かして遊びましょうよ。
0:間
仙華:次は…祭りと言ったら射的よね!
姫:コルク銃とかよく揃えられましたね。
透:あのー
誠:どうした?
透:なんで僕は木に縛り付けられた上、頭に景品を乗せられてるんですかね?
仙華:なんでって、景品置く台がないから…
透:だからってこれはひどくない?1ミリも動けないんだけど。
百日紅:日頃の行いじゃろ。
誠:日頃の行いだな。
仙華:日頃の行いでしょ。
姫:あはは…
透:ウソじゃん。そんな流れだったっけ?今。
百日紅:うるさいわ!黙って的になっとれ!!
透:ちょ、ちょっとなんでみんな一斉に構えてんのさ。ていうかセンちゃんとキツネちゃんに限っては
透:僕の顔に照準があってるように見えるのは気のせいかなぁ!?
仙華:(撃)てーーーい!!
透:うわわっ!!【絶縁】(アンシェア)!!!
百日紅:っちぃ、いつ見ても厄介な力じゃな。
透:厄介な力じゃな…じゃないよ!今、目!目に来てた!生きた心地しなかったんだけど!
仙華:はい、この景品は姫ちゃんのね~
姫:やったぁ!
誠:次の景品置いたぞー
透:え、まだあんの!?
誠:景品がみんなに行き渡らないと不公平だろ。
透:虐待だぁ!早く次行って!
0:間
誠:もぐもぐ。よく考えたら綿あめって、祭り以外で食べる機会全然ないよな。
透:もぐもぐ。確かに。
仙華:黙って食べて。もぐもぐ。食べてるうちに日が暮れるわよ。
百日紅:思ったより膨らむもんじゃのう。恐るべし綿あめ。
姫:ザラメ、入れすぎちゃいましたね…
透:口ん中べとべとする…
仙華:さっさと食べきって次行くわよ次!
0:間
仙華:いやー、いっぱい食べたし死ぬほど遊んで満足!
姫:朝から準備してたのに、すっかり暗くなっちゃいましたね。
百日紅:まさかこんな本格的にお祭りのイベントを再現するとはのう。
透:こういうことに関しては異常な行動力を発揮するのが、うちの部活のいいところだからね。
誠:いいところというか、おかしなところというか…まあでも、楽しかったかな。
仙華:姫ちゃんの浴衣姿も拝めたしね?
誠:うるさいな。余計なことを言うな。
仙華:照れちゃってこのこの~
誠:やめろよ。突っつくな
仙華:うりうり~。ていうか、みんなひと段落みたいな雰囲気出してるけど、お祭りのイベントはまだ残ってるんだから!じゃじゃ~~ん!花火セット!
透:おお!やっぱり夏と言えばこれだよねー!
姫:すごい!花火とかするの初めてです!
仙華:まずはシュワ―ッとする奴からやりましょ!ほら、百日紅ちゃんも!
姫:それでは、着火しますよ!えい!
誠:うお、結構勢いあるなぁ。
透:あはは、手持ち花火が出てきたときはさすがにしょぼいと思ったけど、結構きれいだねぇ。
仙華:一言余計。
透:あちっ!ちょっ、花火向けないで!
姫:まだまだありますから、どんどんやりましょう!
百日紅:これなんじゃ、蛇花火?
誠:黒い花火か。初めて見るな。やってみるか。
姫:それじゃぁ、着火!
透:おお?……………なにこれ。
百日紅:地味じゃな…
誠:地味だな…
仙華:ああ…じ、じゃあ最後にこれやりましょ!線香花火!
誠:やっぱ最後にはこれだよな。
姫:競争しましょうよ!最後まで残ってた人の優勝で!
透:優勝賞品は?
仙華:じゃあ、綿あめ一年分?
誠:残飯処理じゃねーか…
透:結局食べきれなかったもんね…
姫:そんなこといいから早くやりましょうよ!せーの!着火―!
0:線香花火は小さな火花を上げ始める。
姫:落とさないように…
透:【絶縁】(アンシェ…おわっと!!!あぶな!
0:能力を使いズルをしようとした透の手を仙華が叩く
仙華:ずるしない!
百日紅:…なぁ
誠:うん?
百日紅:お前たちどうして、うちの神社で夏祭りなんかやろうと思った?
仙華:ああ、それはこの夏休みにおじさんの手伝いで臨時収入が入ってね…
百日紅:そうじゃない。単に夏祭りをするだけなら、この街には今はちゃんとした神社があって、ちゃんとした催しもある。
百日紅:それなのに、どうしてわざわざこの廃神社で、道具を用意してまで”祭り”をしたかということじゃ。
仙華:?うーん、祭りは神社でやるものだし、それに百日紅ちゃん、元々、この神社の神様だったんでしょ?じゃぁ、ここでだっていいじゃない。
百日紅:…ッ!
透:あ、落ちた。
百日紅:…あぁ、わしの負けじゃな。しかし花火のやりすぎでけむたくてかなわん。ちょっと風に当たってくるわ。
仙華:えぇ、ちょっと。行っちゃった…
姫:あ…えへへ、私も花火落としちゃいました。バケツの水、変えてきますね。
誠:………
0:場面三 廃神社裏にて
百日紅:………
姫:急にすねちゃって、どうしたんですか?
百日紅:……べつに、拗ねてなどおらんよ。……罰当たりな奴らめ。社を壊され、失墜した神に祭りだなどと。
姫:嫌でした?
百日紅:…嫌じゃない。
姫:じゃあ、どうしてですか?
百日紅:しつこいぞ。…お前ら、何やってるのかわかってるのか。堕ちた神を祀るなど背信行為もいいところじゃ。
百日紅:こんなことをしてるとまた厄介ごとに巻き込まれるぞ。
姫:…やっぱり優しいですね。神様。
百日紅:神様と呼ぶな!わしは…神なんかじゃ…。
姫:神様ですよ。
百日紅:ッ!!!
姫:神様は…百日紅ちゃんは、ちゃんと姫たちの神様ですよ。異能(ちから)に悩んでた姫たちに知識をくれて導いてくれたじゃないですか。悩める人を導くのは立派に神様の仕事でしょう?
百日紅:そんな、そんなことで。
姫:そんなこと?謙遜しすぎですよ。でもそうですね、確かに信者が四人で神様ってのはちょっと大げさかもしれません。それでも。
百日紅:…それでも?
姫:百日紅ちゃんは、私たちの仲間ですよ。たとえ、神様じゃなかったとしても。
百日紅:…仲間…仲間か。
姫:そうです、だからそんなに気にすることないんですよ。
百日紅:……ふん、まったくおせっかいなやつめ。しかしな、それと今日のこととは…
誠:問題ないぞ。
百日紅:どわ!いつのまに来たんじゃお前。
誠:拗ねてなどおらんのとこから
百日紅:だいぶ最初からいたじゃねーか!!
誠:いや、出ていくタイミングを計りかねてな。話を戻すが、今回の”祭り”については、鬼ヶ島がここの土地神に直接許可をとってたんだ。
百日紅:…まじで?
誠:マジだ。言っただろ?うちの部長はこういう時の行動力は異常なんだよ。
誠:俺たちが乗り込んでった時の、土地神のやつの面食らった顔は傑作だった。
百日紅:ぷ…あはは!あきれた…とんだ馬鹿どもじゃ。なーんか、いろいろ馬鹿らしくなったわ。
誠:そりゃぁ、よかったな。っと。それじゃ、俺は片づけしてくるから、お前らも落ち着いたら来いよ。
姫:はーい。
百日紅:はーあ、つくづくあきれたもんじゃ。こんなところで遊ぶために、神に向かって直談判とは。
姫:百日紅ちゃんは気にしすぎなんですよ。
百日紅:そうかもしれんな。今日は、久しぶりに楽しかった。
竜(ナレ):御伽ヶ原高等学校(おとぎがはらこうとうがっこう) オカルト研究部は、
竜(ナレ):部員数たった四人と、一匹の小さな部活動である。
竜(ナレ):高校生活最後の夏は、存外楽しくなりそうなのだった。
「声劇台本:あやかしあやしアラカルト~オカルト研究部の夏祭り~」
比率 男2:女3
時間:約20分
【登場人物】
♂竜宮 誠 (たつみや まこと)
オカルト部副部長。高校二年生、物静かな少年。灰ヶ降のことが気になっている。
♀鬼ヶ島仙華(おにがしま せんか)
オカルト部の部長。高校二年生、快活な少女。
異能【生態模写】(アニマルシフト)ざっくり言って変身能力者。
♀灰ヶ降姫 (はいがふり ひめ)
部員1号。高校1年生、穏やかな少女。火の聖剣を宿す少女。
竜宮のことが好き。
♂織旗 透 (おりはた とおる)
部員2号。高校2年生、明るい性格の少年。
異能は【絶縁】(アンシェア)ざっくり言って透明人間。
世界と自分とを絶縁し、周囲から認識されず、また何の影響もうけなくなるガード効果付き透明化。
結構便利。
♀百日紅 (さるすべり)
廃神社に住まう化け狐。のじゃ口調。
過去に神を名乗り、神の怒りに触れ罰を下された。今は監視を受けながらの謹慎処分中。
異能は【調整不死】(デビルズ・ディール)ざっくり言って治癒能力者。
0:竜宮家、誠の部屋。鬼ヶ島仙華は机に夏休みの課題を広げ、竜宮誠はそれを横目に読書をしている。
仙華:竜宮君、問題があります!
誠:いきなりどうした?
仙華:今は何月でしょうか!
誠:八月だけど
仙華:学生の八月といえば!?
誠:…夏休み?
仙華:そう、夏休みです!学生生活で最もホットな季節!青春の代名詞!
仙華:しかも高2の夏といえば実質高校生活最後のチャンス!だというのに…
仙華:どうして山のような課題に追われないといけないんでしょうか!!これは大問題ではないでしょうか!!!!
誠:何の問題もないだろうが。早めに終わらせなかったお前が悪い。
誠:だいたい、夏休みと言ったってもう中盤じゃないか。どうして課題が一つも終わってないんだよ。
仙華:いや~竜宮君にお願いしたら何とかなるかな~と思って。
仙華:それに七月中はおじさんのお手伝いとかで忙しかったし…
誠:なんで俺に手伝ってもらう前提なんだよ。
仙華:別にいいでしょ、幼馴染のよしみじゃん。
誠:俺からしてみたらお前のその態度のほうがよっぽど問題だと思うけどな。
誠:帰ってもらっていい?
仙華:えー!薄情!!副部長のくせに!
誠:副部長の業務に部長の尻拭いは含まれていません。
仙華:部長の補佐が仕事でしょうが!!!
誠:朝っぱらから勉強部屋貸した上、お茶とお茶請けまで提供してるだろ。
誠:副部長サービスは売り切れだよ。
仙華:ついでに課題も手伝ってよぅ!
誠:うるさいなぁ黙って集中しろよ。
0:二人が言い合っていると、部屋の入り口に音もなく
0:【絶縁】を解除した透が現れる。
透:おっす先輩方、今日も仲いいね。
誠:うおっ!いつの間に入ってきたんだお前。
透:ついさっきママさんに上げてもらった。
姫:姫ちゃんもいますよー。
誠:なんでお前らは毎日当然のようにうちに集まってくるんだ…
透:だって部屋広いし
仙華:エアコン効いてて快適だし
姫:先輩がいるので。
誠:お前らな…まあ来たもんはしょうがない。全員、麦茶でいいな。
透:お菓子もよろしく~
誠:はいはい…
0:間
仙華:うーーーーーーん!今日の分はこんなところかな!
姫:鬼ヶ島先輩すごい、もう三分の二は消化したんじゃないですか?
仙華:ふふん!私にかかればこんな課題なんてちょちょいのちょいよ!
透:センちゃんって、ちゃんと集中すれば物凄く手際いいのに、なんでいつもやらないのかなぁ。
誠:単純なやつだからな。目の前に餌をぶら下げられて走る馬なんかと変わらん。
透:アハハ、愛すべき馬鹿ってやつだね。
仙華:片付け終わりっ!よし!それでは本日の部活動を始めましょう!
仙華:ほらほら、二人も駄弁ってないで資料広げるの手伝って!今日のネタはでかいわよ!!
透:はーい。
竜(ナレ):御伽ヶ原高等学校(おとぎがはらこうとうがっこう) オカルト研究部は、
竜(ナレ):部員数たった四人の小さな部活動である。
竜(ナレ):普段は身近に起こる怪現象を追って奔走しているわけだが、
竜(ナレ):今回の話は、なんてことのない夏休みの一幕。異常である俺たちが、
竜(ナレ):人並みに過ごすことができた、輝かしい、宝石のような思い出の一粒。
竜(ナレ):【あやかしあやしアラカルト】
竜(ナレ):化け物だって、人間だ。
0:場面二、廃神社にて。
0:誠と透の二人は、手入れの施されていない雑草に侵された石段を
0:60Lはある大きなクーラーボックスを抱えながら登っていた。
透:ぜぇぜぇ…やっと着いた…センちゃんも人使いが荒いよね。」
誠:はぁはぁ…言うな。今に始まったことじゃないだろ。それにこんな大荷物、
女子二人に持たせるわけにもいかんだろうが。
0:膝をついて息を整えていると、崩れかけの社の中から
0:キツネ耳の小さな人影が現れる。
0:この神社に住まう少女、百日紅(さるすべり)である。
百日紅:誰かと思えば、竜宮の小僧と透明のガキじゃないか、
百日紅:珍しい組み合わせじゃな…というかなんじゃその荷物の山、
百日紅:今度はなにやらかすつもりじゃいお前ら。
誠:またアイツの無茶ぶりだよ。お前には秘密にしとけとさ。
百日紅:なんじゃそりゃ。廃れた社にわざわざ…仙華ちゃんも物好きじゃなぁ毎回。
透:ちなみにこの荷物、中身は食材らしいからキツネちゃんもあんまりいじらないようにね。
誠:さて、もうひと踏ん張りだ。行くぞ透。
透:はいはい…イテテ。筋肉痛になりそうだよ。
透:キツネちゃん、くれぐれもこのクーラーボックスは開けないようにねー。
百日紅:おーう…ていうかまだあんのかい、このクーラーボックスと段ボールの山。
百日紅:てか、あんなに釘刺されると逆にいたずら心が働くのう…ちょっとくらい見てもばれんじゃろ。
0:そういって百日紅がクーラーボックスに手をかける。開いた蓋から、ヌメヌメとした触手が出てくる。
0:入っていたのは、生きたタコだった。
百日紅:げぇ!!タコ!?!?あいつらなんてもん持ち込んでるんじゃ!うわ!絡みついてくんな!
百日紅:ち、力つよ!?だ、だれかぁーー!助けてぇ!!!!!
誠:百日紅!ああもう、何やってんだ…透、手伝え。引きはがすぞ!
透:あーあ、だから開けるなって言ったのに。
0:二人で何とかタコを引きはがす
百日紅:うう~ひどい目にあった…なんじゃタコって…しかも生きたタコって…
透:よりにもよってタコ入りの箱開けちゃうなんて、やっぱ”持ってる”よねぇ、キツネちゃんは
百日紅:うるさいわ、自分で誘導しておいて。まったく、いけ好かないガキじゃ。
透:さて、何のことかな~
仙華:みんな!お待たせ~!!
誠:ん、鬼ヶ島、遅かっ、た、な…
透:おお!
0:遅れてやってきた声。振り返れば、浴衣に身を包んだ鬼ヶ島と灰ヶ降が、境内の入り口、壊れた鳥居の下に立っていた。
透:なるほど。センちゃんとヒメちゃんの準備って、その浴衣だったわけだ。
透:似合ってるね、二人とも。
仙華:ふふん。そうでしょうそうでしょう!おじさんの手伝いで稼いだバイト代をつぎ込んだだけはあるってもんよ!
誠:……
姫:その、先輩。
誠:な、なんだよ。
姫:どう、ですか?これ…鬼ヶ島先輩に選んでもらったんですよ。
誠:あ、ああ…なんというか、その…似合ってるよ。すごく。
仙華:え、それだけ!?もうちょっとなんかあるでしょう!
仙華:浴衣の柄とか、髪型とか!メイクだって頑張ったのに!
百日紅:まあそう責めてやるな。一言でも褒められたら上出来じゃって。それにほれ。
姫:えへ、えへへへへへへ…
百日紅:本人が喜んでるなら十分合格じゃろ。
仙華:まぁ、確かに?でも竜宮君は次までにもうちょっと女の子のほめ方、勉強しときなさいよね!
誠:いってぇ!叩くことないだろ!
百日紅:それくらいは甘んじて受けとけよ朴念仁。というかお前ら、やりたいことがあるんじゃろ?
百日紅:仙華ちゃんと姫ちゃんの格好で、なんとなくわかったが。
仙華:じゃあ、今回の活動内容を発表するわ!今日のオカルト研究部は!夏祭りをやります!
透:いーえ――い!!
姫:ぱちぱちぱち
仙華:じゃ、さっそく準備しましょ!最初は何をしようかな~。
誠:何か食べ物作らないか?荷物の運搬してたら腹が減っちまったよ。
姫:あ、じゃあ姫はタコ焼き食べたいです!
仙華:うんうん、お祭りと言ったらタコ焼きよね!姫ちゃん、期待していいわよ!今日のタコは最高に活きがいいから!
百日紅:あのタコはタコ焼き用の食材じゃったんか…
仙華:そうと決まればタコ焼き器を準備しましょ!透くんと竜宮君は火と機材の準備よろしく!その間に私は生地を練るわ!
姫:火なら姫が用意できますけど…
仙華:姫ちゃんは座ってて!せっかくおしゃれしたのが崩れちゃうじゃん!
姫:そんなこと言ったら鬼ヶ島先輩だって…
仙華:私はいいの!とにかく姫ちゃんはおとなしく待ってて!
姫:はぁ…
誠:お前生きたタコとかシメたことあんの?
透:あるとも。長年のサバイバル生活、舐めないでほしいね。
誠:どんな生活してたらタコをシメる機会があるんだよ…
0:何とかタコ焼きが出来上がった。
誠:出来た。とりあえず形にはなったな。
仙華:わぁ、おいしそう!いつも家事やってるだけあるわね。
百日紅:このタコめ、わしが食べつくしてやるわ!あぐ!はふ!はふっ!
透:熱いから気を付けてね~
姫:食べたら何かして遊びましょうよ。
0:間
仙華:次は…祭りと言ったら射的よね!
姫:コルク銃とかよく揃えられましたね。
透:あのー
誠:どうした?
透:なんで僕は木に縛り付けられた上、頭に景品を乗せられてるんですかね?
仙華:なんでって、景品置く台がないから…
透:だからってこれはひどくない?1ミリも動けないんだけど。
百日紅:日頃の行いじゃろ。
誠:日頃の行いだな。
仙華:日頃の行いでしょ。
姫:あはは…
透:ウソじゃん。そんな流れだったっけ?今。
百日紅:うるさいわ!黙って的になっとれ!!
透:ちょ、ちょっとなんでみんな一斉に構えてんのさ。ていうかセンちゃんとキツネちゃんに限っては
透:僕の顔に照準があってるように見えるのは気のせいかなぁ!?
仙華:(撃)てーーーい!!
透:うわわっ!!【絶縁】(アンシェア)!!!
百日紅:っちぃ、いつ見ても厄介な力じゃな。
透:厄介な力じゃな…じゃないよ!今、目!目に来てた!生きた心地しなかったんだけど!
仙華:はい、この景品は姫ちゃんのね~
姫:やったぁ!
誠:次の景品置いたぞー
透:え、まだあんの!?
誠:景品がみんなに行き渡らないと不公平だろ。
透:虐待だぁ!早く次行って!
0:間
誠:もぐもぐ。よく考えたら綿あめって、祭り以外で食べる機会全然ないよな。
透:もぐもぐ。確かに。
仙華:黙って食べて。もぐもぐ。食べてるうちに日が暮れるわよ。
百日紅:思ったより膨らむもんじゃのう。恐るべし綿あめ。
姫:ザラメ、入れすぎちゃいましたね…
透:口ん中べとべとする…
仙華:さっさと食べきって次行くわよ次!
0:間
仙華:いやー、いっぱい食べたし死ぬほど遊んで満足!
姫:朝から準備してたのに、すっかり暗くなっちゃいましたね。
百日紅:まさかこんな本格的にお祭りのイベントを再現するとはのう。
透:こういうことに関しては異常な行動力を発揮するのが、うちの部活のいいところだからね。
誠:いいところというか、おかしなところというか…まあでも、楽しかったかな。
仙華:姫ちゃんの浴衣姿も拝めたしね?
誠:うるさいな。余計なことを言うな。
仙華:照れちゃってこのこの~
誠:やめろよ。突っつくな
仙華:うりうり~。ていうか、みんなひと段落みたいな雰囲気出してるけど、お祭りのイベントはまだ残ってるんだから!じゃじゃ~~ん!花火セット!
透:おお!やっぱり夏と言えばこれだよねー!
姫:すごい!花火とかするの初めてです!
仙華:まずはシュワ―ッとする奴からやりましょ!ほら、百日紅ちゃんも!
姫:それでは、着火しますよ!えい!
誠:うお、結構勢いあるなぁ。
透:あはは、手持ち花火が出てきたときはさすがにしょぼいと思ったけど、結構きれいだねぇ。
仙華:一言余計。
透:あちっ!ちょっ、花火向けないで!
姫:まだまだありますから、どんどんやりましょう!
百日紅:これなんじゃ、蛇花火?
誠:黒い花火か。初めて見るな。やってみるか。
姫:それじゃぁ、着火!
透:おお?……………なにこれ。
百日紅:地味じゃな…
誠:地味だな…
仙華:ああ…じ、じゃあ最後にこれやりましょ!線香花火!
誠:やっぱ最後にはこれだよな。
姫:競争しましょうよ!最後まで残ってた人の優勝で!
透:優勝賞品は?
仙華:じゃあ、綿あめ一年分?
誠:残飯処理じゃねーか…
透:結局食べきれなかったもんね…
姫:そんなこといいから早くやりましょうよ!せーの!着火―!
0:線香花火は小さな火花を上げ始める。
姫:落とさないように…
透:【絶縁】(アンシェ…おわっと!!!あぶな!
0:能力を使いズルをしようとした透の手を仙華が叩く
仙華:ずるしない!
百日紅:…なぁ
誠:うん?
百日紅:お前たちどうして、うちの神社で夏祭りなんかやろうと思った?
仙華:ああ、それはこの夏休みにおじさんの手伝いで臨時収入が入ってね…
百日紅:そうじゃない。単に夏祭りをするだけなら、この街には今はちゃんとした神社があって、ちゃんとした催しもある。
百日紅:それなのに、どうしてわざわざこの廃神社で、道具を用意してまで”祭り”をしたかということじゃ。
仙華:?うーん、祭りは神社でやるものだし、それに百日紅ちゃん、元々、この神社の神様だったんでしょ?じゃぁ、ここでだっていいじゃない。
百日紅:…ッ!
透:あ、落ちた。
百日紅:…あぁ、わしの負けじゃな。しかし花火のやりすぎでけむたくてかなわん。ちょっと風に当たってくるわ。
仙華:えぇ、ちょっと。行っちゃった…
姫:あ…えへへ、私も花火落としちゃいました。バケツの水、変えてきますね。
誠:………
0:場面三 廃神社裏にて
百日紅:………
姫:急にすねちゃって、どうしたんですか?
百日紅:……べつに、拗ねてなどおらんよ。……罰当たりな奴らめ。社を壊され、失墜した神に祭りだなどと。
姫:嫌でした?
百日紅:…嫌じゃない。
姫:じゃあ、どうしてですか?
百日紅:しつこいぞ。…お前ら、何やってるのかわかってるのか。堕ちた神を祀るなど背信行為もいいところじゃ。
百日紅:こんなことをしてるとまた厄介ごとに巻き込まれるぞ。
姫:…やっぱり優しいですね。神様。
百日紅:神様と呼ぶな!わしは…神なんかじゃ…。
姫:神様ですよ。
百日紅:ッ!!!
姫:神様は…百日紅ちゃんは、ちゃんと姫たちの神様ですよ。異能(ちから)に悩んでた姫たちに知識をくれて導いてくれたじゃないですか。悩める人を導くのは立派に神様の仕事でしょう?
百日紅:そんな、そんなことで。
姫:そんなこと?謙遜しすぎですよ。でもそうですね、確かに信者が四人で神様ってのはちょっと大げさかもしれません。それでも。
百日紅:…それでも?
姫:百日紅ちゃんは、私たちの仲間ですよ。たとえ、神様じゃなかったとしても。
百日紅:…仲間…仲間か。
姫:そうです、だからそんなに気にすることないんですよ。
百日紅:……ふん、まったくおせっかいなやつめ。しかしな、それと今日のこととは…
誠:問題ないぞ。
百日紅:どわ!いつのまに来たんじゃお前。
誠:拗ねてなどおらんのとこから
百日紅:だいぶ最初からいたじゃねーか!!
誠:いや、出ていくタイミングを計りかねてな。話を戻すが、今回の”祭り”については、鬼ヶ島がここの土地神に直接許可をとってたんだ。
百日紅:…まじで?
誠:マジだ。言っただろ?うちの部長はこういう時の行動力は異常なんだよ。
誠:俺たちが乗り込んでった時の、土地神のやつの面食らった顔は傑作だった。
百日紅:ぷ…あはは!あきれた…とんだ馬鹿どもじゃ。なーんか、いろいろ馬鹿らしくなったわ。
誠:そりゃぁ、よかったな。っと。それじゃ、俺は片づけしてくるから、お前らも落ち着いたら来いよ。
姫:はーい。
百日紅:はーあ、つくづくあきれたもんじゃ。こんなところで遊ぶために、神に向かって直談判とは。
姫:百日紅ちゃんは気にしすぎなんですよ。
百日紅:そうかもしれんな。今日は、久しぶりに楽しかった。
竜(ナレ):御伽ヶ原高等学校(おとぎがはらこうとうがっこう) オカルト研究部は、
竜(ナレ):部員数たった四人と、一匹の小さな部活動である。
竜(ナレ):高校生活最後の夏は、存外楽しくなりそうなのだった。