台本概要

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タイトル 空の彼方(前編)
作者名 はちゃろ  (@hacharo0707)
ジャンル ファンタジー
演者人数 4人用台本(男2、女2) ※兼役あり
時間 40 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 時空を超えた親子の物語、運命に抗う人々のお話です。(前編)
※(後編は「未来へ」になります)

※ 0:ト書は読まない、医師は圭一と兼役なので、4人劇となっております。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
奏空 50 奏空 (そなた) 女 17歳
好奇心旺盛で母親思い、
44 蘭 (らん) 女 現代(40代)過去(17歳 )兼役 ナレーション
生徒会長タイプ 優しく 真面目 少し短気
拓也 59 拓也 (たくや) 男 現代(40代)過去(17歳 )
ピアニスト志望 生意気 友達思い
圭一 45 圭一 (けいいち) 男 17歳 兼役 医師 
 弱気 負けん気が強い
医師 28 医師  兼役 圭一  現代 40代
どこか影のある人物 自信家
0 不問 26 ※0 ト書は情景描写セリフなので、言わなくても問題ありません。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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『空の彼方』 (前編) 作品紹介 時空を超えた親子の物語、運命に抗う人々のお話です。(前編)
※(後編は「未来へ」になります) 登場人物 奏空 (そなた) 女 17歳
好奇心旺盛で母親思い 拓哉 (たくや) 男 現代(40代)過去(17歳 )
ピアニスト志望 生意気 友達思い 蘭 (らん) 女 現代(40代)過去(17歳 )兼役 ナレーション
生徒会長タイプ 優しく 真面目 少し短気 圭一 (けいいち) 男 17歳 兼役 医師
弱気 負けん気が強い 医師 兼役 圭一  現代 40代
どこか影のある人物 自信家 ※0 ト書は、情景描写セリフなので、言わなくても問題ありません。

※BGM&SE 表記はボイスドラマ風 仕様です。 本編 0:病室 奏空:お母さん?…お母さん!!……どうして!? 医師:…私が駆けつけた時には…もう… 奏空:…うっ…えっ…お母さーん!…うぁぁぁーん!(泣き崩れる) 医師:車椅子の…ヴァイオリニスト… 奏空:…ぐずっ…ん……え?… 医師:そうか!…君は彼女の… 奏空:母を…ご存知なんですか? 医師:……古い知り合いでね…でも、もう彼女は、私の事は、とっくに忘れていただろうがね… 奏空:…そうだったんですね…母は昔の事をあまり、話したがらなかったから…いつもお父さんの事を…気にかけていたし… 医師:そう言えば…父親の姿が見えないが? 奏空:…先日…亡くなりました…自ら命を絶って…ぐずっ… 医師:先日?…まさか!…あの某会社員の? 奏空:はい…父は昔から頭に障がいがあったので…遺書に、これ以上…私達に迷惑をかけたくないと…迷惑なんて誰も思ってなかったのに!…勝手すぎるよ!…ママがどれだけショックだったか!…うぇ…えぐっ(また泣き始める) 医師:なるほど…それで…事情はわかったよ… 奏空:…え?…わかったって…何がですか? 医師:これは1つの賭けだが…方法がないわけでもない… 奏空:方法?…さっきから何を仰ってるんです?…母が今…亡くなった所なんですよ!(少し怒り口調で) 医師:やるか…やらないかは、キミに任せるよ!ちょっとこっちについて来たまえ! 奏空:痛いっ!…いきなりなんなんですか!離してくださいよ! 0:医師は奏空をつれて病院の地下室へと向かい、扉をゆっくりと開いた 奏空:ええ?!…こ…これって…まさか!?アレですか!? 医師:そう!まさにアレだよ!ほら!テレビとか映画で見た事あるでしょう? 奏空:見た事はありますけど…こんな現実に見たのは初めてです! 医師:どうだね!人類の化学力はついに、ここまで来たんだよ!凄いとは思わないかねっ! 奏空:凄いとは思いますが……これ…オモチャですよね? 医師:何を言うんだね!君は!これはオモチャなんかでは無い! 奏空:ええ~~~!…でも…現実味がないというか何というか…… 医師:無人での実験には成功したんだ!…あとは……… 奏空:ま…さか……私に行けとか言うんじゃない…ですよね? 医師:おっ!察しが良くて助かるよ!…で、操作方法なんだがね… 奏空:いやいやいやっ…ちょっと…待ってくださいっ…まだ行くとも言ってないのに、行く前提で話を進めないでくださいよっ! 医師:嫌かい?…でも…君は…行かないとも言っていないじゃないか… 奏空:そ…れは…そうだけど…でも… 0:扉の外から医師を呼ぶ声が聞こえる 医師:おっと!…ぐずぐずしていたから、どうやら気づかれてしまったようだね…とにかく乗って!…やるべき指示と操作方法は中に入れておくから! 奏空:あなた…一体何者なんですか!?…キャッ!…ちょ…ちょっと!…そんな強引に…押し込まないでよ! 医師:私はただのしがない医者さ!…奏空君…君に再び会えるなんて…それが私の運命なのかもしれないな… 0: 医師が作動ボタンを押す 奏空:え?…ちょ…それってどう言う意味ですか!…え…なに?…ちょっと待ってよ!きゃああああ~!! 0: ワープ音 医師:ふぅ…無事に行ったか…拓也…奏空君を頼んだぞ 0:過去 25年前 拓也:おっせーぞ!、圭一!電車が出ちまうだろう!早く走れっ! 圭一:はあ…はあ…ちょっと…待ってよ!…少し…休ませて…よ……はあ…はあ… 蘭:こらー!拓也っ!ちょっとは圭一君の事も、考えてあげなさいよ! 拓也:いちいちうっせーな!蘭は黙ってろよ!…大体…圭一が塾に遅れたら、親に怒られるって言うから、急いでやってるのに… 圭一:はあ…はあ…ごめんねっ…拓也っ…でも…もう…ダメだ… 拓也:おいおい!ホームまであとちょっとなのに…頑張れよっ 蘭:拓也っ!もう!…大丈夫?圭一君…ゆっくり深呼吸して…そう…よしよし… 拓也:あ~あ!…電車が行っちまったじゃねえか…また親父さんに怒られても知らねえからな! 圭一:…はぁ…うん… 蘭:拓也っ!あなたもっと、優しく言えないの?圭一君は友達でしょ? 拓也:ふん!…蘭がそうやって圭一を甘やかすから、ダメなんだよ! 蘭:なんですって!…私がいつ、圭一君を甘やかしたのよ! 拓也:いつって…現に今、圭一の背中を…さすってやってるじゃねーか!…ふん! 蘭:それは…圭一君が…しんどそうだったから…心配で… 圭一:蘭ちゃん…ありがとう…はあ…もう大丈夫だから…2人とも…ケンカしないで 拓也:別にケンカなんかしてねーよ!…ただ蘭が… 蘭:私が?何よ、拓也!言いたい事があるなら聞くけど? 拓也:あー!もうっ!…なんでもねーよ!ばーか! 蘭:ちょっと拓也!バカとは何よ!バカとは! 拓也:へへ~んだっ!バカだからバカって言ったんだよ! 0: 間もなく特急電車が通過します、ホームにおられる方は白線の内側に電車にお下がりください(蘭役が言っても良き) 圭一:ちょっと2人とも!…ケンカしてないで…電車来ちゃうから気をつけてよ 蘭:待ちなさいよ! 拓也:誰が捕まるもんかっ!ここまでおいでー!おバカさーん!べ~だ! 蘭:いい加減にしなさいよ! 拓也:うわっ!バカっ!押すなっ!押すなって 蘭:またバカって言ったわね!今日と言う今日はもう…許さないんだからっ!えいっ! 拓也:うぁっ! 0:蘭に押されバランスを崩した拓也がホームから線路に身を乗り出した、あと数メートルの所まで電車が迫っていた 蘭:拓也っ!?手を掴んで! 拓也:うゎ!…うぁぁぁぁー! 0:ドスン!と音がして、拓也が何かにぶつかった… 奏空:キャッ!痛っ! 拓也:ぐあっ! 蘭:拓也っ! 圭一:拓也っ!大丈夫?…あれ?…その子は… 拓也:痛てててっ…な…んだ…何にぶつかったんだ?… 蘭:あなた…一体、誰?…急に現れた気がしたんだけど… 奏空:痛たたっ!…ちょっと!あなた…いきなりなんなんですか! 拓也:それはこっちのセリフだよ!…いきなり現れやがって 圭一:たしかに…拓也はホームのギリギリで目の前は線路だったのに… 奏空:え?…線路?…きゃああああ! 拓也:おぁっ!急に耳元で叫ぶんじゃねーよ!耳痛くなっただろ! 蘭:とにかく…2人とも無事で良かったわ…あなたお名前は?…見たところ…私達と同じ高校生だとおもうけど… 奏空:私は奏空(そなた)…あなた達は? 蘭:私は蘭よ!彼は圭一君…で…そっちの生意気で、元気だけが取り柄の人が、拓也 拓也:誰が生意気だ!元気だけが取り柄って…… 奏空:え?お母さん!?それにお父さんまでっ! 拓也:は?何言ってんだ?コイツ…どっかぶつけたか?… 蘭:こら!拓也っ!コイツじゃなくて奏空(そなた)ちゃんでしょ! 圭一:奏空(そなた)ちゃんか……なんだろう?…この気持ちは… 拓也:おい…圭一?何コイツの顔みてぼーーとしてるんだよ 圭一:え?…な…なんでもないよ… 蘭:こらっ!何度もコイツって言わないっ!全く!拓也は… 奏空:あはっ…あはははは!! 拓也:うわっ!今度はなんだよ!急に笑いだしやがって…ホント大丈夫か? 奏空:そっか…こんな感じだったんだね…おとうさ…いや…拓也って…あはは! 蘭:で…奏空(そなた)ちゃん…本当にどこも大丈夫なの? 奏空:はい!ありがとうございます!蘭さん 蘭:蘭でいいわ!同い年くらいでしょ? 圭一:奏空(そなた)ちゃん!…僕は圭一だよ!よろしくね!奏空ちゃん! 拓也:どうした?圭一?さっき蘭が代わりに言ってくれてたろ?てか…圭一…お前塾大丈夫なのかよ? 圭一:あ!そうだった!ちょうど電車来たから、僕、先に帰るね! 蘭:あっ!また明日ね!圭一君 拓也:ったく!騒がしいやつだな! 蘭:あんたもね! 奏空:あはははは!、あ、蘭さんのそのバック…もしかしてヴァイオリンですか? 蘭:ええ…よくわかったわね!奏空(そなた)ちゃんも音楽してるの? 奏空:はい!お母さんに…教えてもらいました…(語尾を悲しそうな声で) 蘭:そうなのね!…ねえ…もし…良かったら…明日の放課後、うちの学校の部室に来ない? 拓也:おいおい!他校の生徒を学校に入れちゃあ、まずくないか? 蘭:いいじゃない!放課後だし、それに一緒にヴァイオリン弾く仲間としてなら、顧問の先生も許してくれるわよ 奏空:いいんですか!是非!行きたいです! 蘭:じゃあ!決まりね 拓也:ったく!勝手に決めやがって!部長の俺の意見も聞かずに… 蘭:副部長である、私が決めたんだから、文句ないでしょ?部長さんっ 拓也:へいへい…じゃあまた明日なっ!奏空(そなた) 奏空:うん!ありがとう!拓也! 拓也:…なんで蘭はさん付けで、オレだけ呼び捨てなんだよっ!…仮にも部長だぜっ!? 蘭:いいじゃないの!部長も奏空(そなた)ちゃんに呼び捨てだったんだし

奏空:あはははは! 0:次の日 学校 拓也:よっ!圭一!おはよ!昨日はあの後どうだった? 圭一:うん!お父さんに怒られたよ! 拓也:お前…怒られた割には全然懲りてねえのな… 圭一:あはははは!(拓也のセリフを被せる) 拓也:あはははは!…じゃねーよ!お前のおかげで昨日は散々だったんだぞ! 圭一:昨日?そうだっ!あの後、奏空(そなた)ちゃんはどうだったの!?(食い気味で) 拓也:なんか今日、蘭が部室で奏空(そなた)とヴァイオリンの演奏するらしいぜ! 圭一:えっ?本当にっ!いくいく!僕も聴きにいくよ! 拓也:行くって!お前塾だろ?サボって良いのかよ?また親父さんに怒られるぞ 圭一:構わないよ!それに僕はもう、他にやりたい事があるしね! 拓也:やりたい事?あ…あれか…化学がどうのこうのって… 圭一:うんうん!拓也は運命とか信じる? 拓也:はあ?運命?なんだよ突然…んなもん勝手に決められんのは、俺はごめんだね! 圭一:でも、逆らえない運命だとしたら…拓也ならどうする? 拓也:どうするも…何も…そんなもん、なるようにしか、ならないだろ? 圭一:僕はね、絶対にダメだと言われても最後まで足掻(あが)こうと思うんだ! 拓也:圭一…お前なんか…昨日から人が変わってないか? 圭一:拓也もそう思う?…運命なんだよ! 拓也:はぁ~、コイツ、親父さんに怒られて過ぎて、どっかイカレちまったのかよ…(小声で) 蘭:おはよっ!拓也っ圭一君、2人して朝から何の話? 拓也:さあ?何がなんだか… 圭一:蘭ちゃん!今日、奏空(そなた)ちゃんが来るんだよね!? 蘭:え…ええ!そうだけど…どうしたの?圭一君…(小声で拓哉に言うように) 拓也:朝からこの調子なんだよ… 蘭:まあ、奏空ちゃんにカッコ悪い所を見せられないし、今日は授業終わったら早めに、部室で練習するわよ!わかった?拓也部長! 拓也:ええ!?なんで俺まで付き合わされなきゃなんね~んだよ! 圭一:凄い!拓也のピアノと蘭ちゃんのヴァイオリンの二重奏か!楽しみだな! 0:放課後 部室にて 奏空:…ここで…よかったのか…な?… 0:部室から拓也のピアノと蘭のヴァイオリンの音が聴こえてくる 奏空:お父さん…ピアノあんなに上手かったんだ…お母さんのヴァイオリンと息ピッタリ… 0:遅れてきた圭一が部室の前で奏空をみつける 圭一:あれ?奏空ちゃん?…どうしたの?中に入らないの?」 奏空:…圭一君…私…私…ぐずっ(泣く) 圭一:どうしたの!?奏空(そなた)ちゃん!) 0:圭一が奏空の背中を擦する  圭一:少し…落ち着いた?… 奏空:ありがとう…圭一君…なんかお母さんみたいだね…えへへっ 圭一:あははっ!…いつも僕がね…悲しい事があると、拓也が代わりに元気づけてくれてさ…蘭ちゃんが優しく背中をさすってくれたんだ…だから… 奏空:えへへ…良い友達だね!…私もよく…小さい頃に…お母さんに背中をさすってもらったんだ…よしよし…大丈夫…大丈夫よ…て 圭一:へえ~、そうだったんだね: 奏空:うちはさ、お父さんが学生の時に、事故で頭に障害が残っちゃってね、それ以来、記憶が出来なくなっちゃって、今日の出来事は、明日になると忘れてしまうの、お母さんも、そんなお父さんに寄り添ってお見舞いに通っていた矢先に、交通事故にあっちゃって車椅子に… 圭一:それは…大変だったね…よしよし… 奏空:うん…だから…なんとしてでも…助けたいの! 圭一:僕で奏空ちゃんの力になれるなら…なんでも言ってね! 奏空:うん!ありがとう!私…そろそろいくね… 圭一:えっ!蘭ちゃん達と、一緒に演奏するんじゃないの? 奏空:…うん…なんか2人の演奏聞いてたら満足しちゃったし…本当のお父さんとお母さんが待ってるから… 圭一:…そっか…また明日会えるよね? 奏空:しばらくは会えないかも…ちょっと遠い所に行かないといけないから…ごめんね…圭一君… 圭一:わかった…でも!僕はずっと待ってるから! 奏空:うん…ありがとう…じゃあ…またね 0:数日後 学校の帰り道 交差点 拓也:なんだよ!奏空(そなた)のやつ!俺たちに一言も無しに勝手に行きやがって!ずっと待ってたのによ!けっ! 蘭:こらっ!拓也!奏空(そなた)ちゃんを責めないの!…そりゃ…悲しかったけど…何か事情があるのよ…きっと 圭一:そうだよ!拓也!…奏空(そなた)ちゃんは大事な用があるんだよ!奏空(そなた)ちゃんを悪く言うと …僕が許さないぞ! 拓也:なっ…なんだよ!…圭一!…奏空(そなた)の話になると…何でお前は突っかかってくるんだよっ! 蘭:もうっ!…2人とも落ち着いて…こんな事しても奏空ちゃんは戻ってこないでしょ! 0:信号の音 拓也:おいっ!信号が変わるぜ!早く渡りきらないと… 圭一:あ…本当だ…急ごうよ!…蘭ちゃん? 0: 変わりかけた信号に、おばあさんの姿を見つけた蘭がかけよる 蘭:お婆ちゃん、危ないから一緒に渡りましょう 0:大型トラックが変わりかけた信号に痺れを切らして突進してくる 拓也:危ない!!蘭ー!! 0:間に合わない様子に飛び出した拓也 圭一:蘭ちゃん急いでー!! 0:拓也の後を追うように圭一も走った 蘭:…はっ!…きゃああああー! 0:ブレーキ音 ドンっ!と何かに押され、おばあさんを抱え込んだ、蘭が横に飛んだ 蘭:きゃあっ!(同時に) 奏空:きゃあっ!(同時に) 拓也:蘭!大丈夫か!? 圭一:蘭ちゃん!…と…えぇ!?…奏空(そなた)ちゃん!? 奏空:痛たたたっ!…ごほっ!…うっ… 蘭:おばあちゃん!大丈夫ですか!?拓也!直ぐに救急車呼んで!お願い!! 拓也:わ、わかった!…おい!圭一!…蘭と奏空(そなた)の事、頼んだぞっ! 奏空:お…かあ…さん…無事? 蘭:…え?…奏空(そなた)ちゃんの方こそ大丈夫なの?…あなた…頭から血が出てるじゃない! 奏空:…あはははは!…平気…平気!…これでも体は頑丈な方だから!…かすり傷だし… 圭一:奏空(そなた)ちゃん!動かない方がいい!…僕はこう見えても代々医者の家系だから…安静にして!すぐに救急車がくるからっ! 奏空:本当にかすり傷だから、大丈夫だから!…それに…私…お父さんと…お母さん…待たせてるから…行かないと! 蘭:ダメよ!動いちゃ!圭一君の言う事を信じて! 0: 蘭も脚をくじいていて、立ち上がれない… 奏空:ごめんね…圭一君…約束守れなくて… 圭一:奏空ちゃん…君は一体…こないだも拓也を助けたし…今日も…どうして… 奏空:みんな無事で良かった…また…いつか…会えたら…その時は… 圭一:待って!奏空(そなた)ちゃん! 0:走り去る奏空 圭一:奏空ちゃん………ん?…なんだ…この紙は…タイムリープ計画? 0:それから25年後… 拓也:で?どうなんだ!娘の容態は? 医師:良くないな…頭にかなりの衝撃を受けている…このままでは意識までは戻らないかもしれないな… 蘭:そんな!…帰りが遅いから心配したら、玄関先で倒れていて…まさか…こんな事になるなんて! 拓也:なあ!お前は医者だろっ!何とか直せないのかよっ! 医師:久しぶりにあったと思ったら相変わらずだな!拓也!…その人の話を聞かずに、突っ走る性格…全く!父娘(おやこ)揃って… 拓也:今、そんな性格の話をしてる場合じゃないだろう! 医師:まあ…待て!これは1つの賭けだが、方法がない訳では無い… 拓也方:方法?…何の話だ? 医師:実際に目で見た方が早いだろう!ついてこい 0:病院の地下室 拓也:え!? これって!…まさか…アレだよな!? 医師:そう!まさにアレだよ!ほらっ!テレビとか映画で見た事あるだろ!? 拓也:見た事はあるけど…こんな現実に見たのは初めてだよ! 医師:どうだっ!凄いだろっ! 拓也:いや、凄いとは思うが…これ…オモチャだろ? 医師:何を言うんだ!これはオモチャなんかではない! 拓也:ええー!…でも現実味がないというか…なんというか… 医師:無人での実験には成功したんだ!あとは… 拓也:まさか…俺に行けとか言うんじゃあ…ないだろうな? 医師:おっ!察しが良くて助かるよ!…ん?…この流れ…以前どこかでしたような気が…… 蘭:とにかく…行くしかないわね! 拓也:おいっ!蘭っ!まさかお前も行く気なのか!! 蘭:当たり前でしょ!私の娘でもあるんだから!それに、何故か昔、あの子に会ったような気がするのよね…なぜかしら… 拓也:お前もか…実は俺もなんだよ…たしか…あの時…あ〜ダメだ!…思い出せないな… 医師:まあ…行けばわかるさ!準備はいいか? 拓也:ああ!頼む! 蘭:本当に…何から何までありがとうね!…圭一君 圭一:久しぶりに…その呼び名で呼んでくれたな…蘭ちゃん…」 蘭:本当に…懐かしいわね…ふふふっ 拓也:おいっ!昔話は無事に帰ってからでいいだろ? 圭一:そうだ!拓也!もし、この手紙が落ちていたら、昔のオレが拾う前に破棄してくれ!…絶対に内容をみるんじゃないぞ! 拓也:…なんだかわからないが…わかった…お前の言う通りにするよ 圭一:すまないな… 蘭:じゃあ!お願いします! 圭一:了解! 0:ワープ音、拓也と蘭は光に包まれて姿を消した… 圭一:ふぅ…しかし…あの時…この手紙を拾って無ければ…今頃どうなっていたか…もし、この世界線とは違う世界が平行してあるとすれば、それは運命か?それとも…奏空…またいつか… 〜完〜

『空の彼方』 (前編) 作品紹介 時空を超えた親子の物語、運命に抗う人々のお話です。(前編)
※(後編は「未来へ」になります) 登場人物 奏空 (そなた) 女 17歳
好奇心旺盛で母親思い 拓哉 (たくや) 男 現代(40代)過去(17歳 )
ピアニスト志望 生意気 友達思い 蘭 (らん) 女 現代(40代)過去(17歳 )兼役 ナレーション
生徒会長タイプ 優しく 真面目 少し短気 圭一 (けいいち) 男 17歳 兼役 医師
弱気 負けん気が強い 医師 兼役 圭一  現代 40代
どこか影のある人物 自信家 ※0 ト書は、情景描写セリフなので、言わなくても問題ありません。

※BGM&SE 表記はボイスドラマ風 仕様です。 本編 0:病室 奏空:お母さん?…お母さん!!……どうして!? 医師:…私が駆けつけた時には…もう… 奏空:…うっ…えっ…お母さーん!…うぁぁぁーん!(泣き崩れる) 医師:車椅子の…ヴァイオリニスト… 奏空:…ぐずっ…ん……え?… 医師:そうか!…君は彼女の… 奏空:母を…ご存知なんですか? 医師:……古い知り合いでね…でも、もう彼女は、私の事は、とっくに忘れていただろうがね… 奏空:…そうだったんですね…母は昔の事をあまり、話したがらなかったから…いつもお父さんの事を…気にかけていたし… 医師:そう言えば…父親の姿が見えないが? 奏空:…先日…亡くなりました…自ら命を絶って…ぐずっ… 医師:先日?…まさか!…あの某会社員の? 奏空:はい…父は昔から頭に障がいがあったので…遺書に、これ以上…私達に迷惑をかけたくないと…迷惑なんて誰も思ってなかったのに!…勝手すぎるよ!…ママがどれだけショックだったか!…うぇ…えぐっ(また泣き始める) 医師:なるほど…それで…事情はわかったよ… 奏空:…え?…わかったって…何がですか? 医師:これは1つの賭けだが…方法がないわけでもない… 奏空:方法?…さっきから何を仰ってるんです?…母が今…亡くなった所なんですよ!(少し怒り口調で) 医師:やるか…やらないかは、キミに任せるよ!ちょっとこっちについて来たまえ! 奏空:痛いっ!…いきなりなんなんですか!離してくださいよ! 0:医師は奏空をつれて病院の地下室へと向かい、扉をゆっくりと開いた 奏空:ええ?!…こ…これって…まさか!?アレですか!? 医師:そう!まさにアレだよ!ほら!テレビとか映画で見た事あるでしょう? 奏空:見た事はありますけど…こんな現実に見たのは初めてです! 医師:どうだね!人類の化学力はついに、ここまで来たんだよ!凄いとは思わないかねっ! 奏空:凄いとは思いますが……これ…オモチャですよね? 医師:何を言うんだね!君は!これはオモチャなんかでは無い! 奏空:ええ~~~!…でも…現実味がないというか何というか…… 医師:無人での実験には成功したんだ!…あとは……… 奏空:ま…さか……私に行けとか言うんじゃない…ですよね? 医師:おっ!察しが良くて助かるよ!…で、操作方法なんだがね… 奏空:いやいやいやっ…ちょっと…待ってくださいっ…まだ行くとも言ってないのに、行く前提で話を進めないでくださいよっ! 医師:嫌かい?…でも…君は…行かないとも言っていないじゃないか… 奏空:そ…れは…そうだけど…でも… 0:扉の外から医師を呼ぶ声が聞こえる 医師:おっと!…ぐずぐずしていたから、どうやら気づかれてしまったようだね…とにかく乗って!…やるべき指示と操作方法は中に入れておくから! 奏空:あなた…一体何者なんですか!?…キャッ!…ちょ…ちょっと!…そんな強引に…押し込まないでよ! 医師:私はただのしがない医者さ!…奏空君…君に再び会えるなんて…それが私の運命なのかもしれないな… 0: 医師が作動ボタンを押す 奏空:え?…ちょ…それってどう言う意味ですか!…え…なに?…ちょっと待ってよ!きゃああああ~!! 0: ワープ音 医師:ふぅ…無事に行ったか…拓也…奏空君を頼んだぞ 0:過去 25年前 拓也:おっせーぞ!、圭一!電車が出ちまうだろう!早く走れっ! 圭一:はあ…はあ…ちょっと…待ってよ!…少し…休ませて…よ……はあ…はあ… 蘭:こらー!拓也っ!ちょっとは圭一君の事も、考えてあげなさいよ! 拓也:いちいちうっせーな!蘭は黙ってろよ!…大体…圭一が塾に遅れたら、親に怒られるって言うから、急いでやってるのに… 圭一:はあ…はあ…ごめんねっ…拓也っ…でも…もう…ダメだ… 拓也:おいおい!ホームまであとちょっとなのに…頑張れよっ 蘭:拓也っ!もう!…大丈夫?圭一君…ゆっくり深呼吸して…そう…よしよし… 拓也:あ~あ!…電車が行っちまったじゃねえか…また親父さんに怒られても知らねえからな! 圭一:…はぁ…うん… 蘭:拓也っ!あなたもっと、優しく言えないの?圭一君は友達でしょ? 拓也:ふん!…蘭がそうやって圭一を甘やかすから、ダメなんだよ! 蘭:なんですって!…私がいつ、圭一君を甘やかしたのよ! 拓也:いつって…現に今、圭一の背中を…さすってやってるじゃねーか!…ふん! 蘭:それは…圭一君が…しんどそうだったから…心配で… 圭一:蘭ちゃん…ありがとう…はあ…もう大丈夫だから…2人とも…ケンカしないで 拓也:別にケンカなんかしてねーよ!…ただ蘭が… 蘭:私が?何よ、拓也!言いたい事があるなら聞くけど? 拓也:あー!もうっ!…なんでもねーよ!ばーか! 蘭:ちょっと拓也!バカとは何よ!バカとは! 拓也:へへ~んだっ!バカだからバカって言ったんだよ! 0: 間もなく特急電車が通過します、ホームにおられる方は白線の内側に電車にお下がりください(蘭役が言っても良き) 圭一:ちょっと2人とも!…ケンカしてないで…電車来ちゃうから気をつけてよ 蘭:待ちなさいよ! 拓也:誰が捕まるもんかっ!ここまでおいでー!おバカさーん!べ~だ! 蘭:いい加減にしなさいよ! 拓也:うわっ!バカっ!押すなっ!押すなって 蘭:またバカって言ったわね!今日と言う今日はもう…許さないんだからっ!えいっ! 拓也:うぁっ! 0:蘭に押されバランスを崩した拓也がホームから線路に身を乗り出した、あと数メートルの所まで電車が迫っていた 蘭:拓也っ!?手を掴んで! 拓也:うゎ!…うぁぁぁぁー! 0:ドスン!と音がして、拓也が何かにぶつかった… 奏空:キャッ!痛っ! 拓也:ぐあっ! 蘭:拓也っ! 圭一:拓也っ!大丈夫?…あれ?…その子は… 拓也:痛てててっ…な…んだ…何にぶつかったんだ?… 蘭:あなた…一体、誰?…急に現れた気がしたんだけど… 奏空:痛たたっ!…ちょっと!あなた…いきなりなんなんですか! 拓也:それはこっちのセリフだよ!…いきなり現れやがって 圭一:たしかに…拓也はホームのギリギリで目の前は線路だったのに… 奏空:え?…線路?…きゃああああ! 拓也:おぁっ!急に耳元で叫ぶんじゃねーよ!耳痛くなっただろ! 蘭:とにかく…2人とも無事で良かったわ…あなたお名前は?…見たところ…私達と同じ高校生だとおもうけど… 奏空:私は奏空(そなた)…あなた達は? 蘭:私は蘭よ!彼は圭一君…で…そっちの生意気で、元気だけが取り柄の人が、拓也 拓也:誰が生意気だ!元気だけが取り柄って…… 奏空:え?お母さん!?それにお父さんまでっ! 拓也:は?何言ってんだ?コイツ…どっかぶつけたか?… 蘭:こら!拓也っ!コイツじゃなくて奏空(そなた)ちゃんでしょ! 圭一:奏空(そなた)ちゃんか……なんだろう?…この気持ちは… 拓也:おい…圭一?何コイツの顔みてぼーーとしてるんだよ 圭一:え?…な…なんでもないよ… 蘭:こらっ!何度もコイツって言わないっ!全く!拓也は… 奏空:あはっ…あはははは!! 拓也:うわっ!今度はなんだよ!急に笑いだしやがって…ホント大丈夫か? 奏空:そっか…こんな感じだったんだね…おとうさ…いや…拓也って…あはは! 蘭:で…奏空(そなた)ちゃん…本当にどこも大丈夫なの? 奏空:はい!ありがとうございます!蘭さん 蘭:蘭でいいわ!同い年くらいでしょ? 圭一:奏空(そなた)ちゃん!…僕は圭一だよ!よろしくね!奏空ちゃん! 拓也:どうした?圭一?さっき蘭が代わりに言ってくれてたろ?てか…圭一…お前塾大丈夫なのかよ? 圭一:あ!そうだった!ちょうど電車来たから、僕、先に帰るね! 蘭:あっ!また明日ね!圭一君 拓也:ったく!騒がしいやつだな! 蘭:あんたもね! 奏空:あはははは!、あ、蘭さんのそのバック…もしかしてヴァイオリンですか? 蘭:ええ…よくわかったわね!奏空(そなた)ちゃんも音楽してるの? 奏空:はい!お母さんに…教えてもらいました…(語尾を悲しそうな声で) 蘭:そうなのね!…ねえ…もし…良かったら…明日の放課後、うちの学校の部室に来ない? 拓也:おいおい!他校の生徒を学校に入れちゃあ、まずくないか? 蘭:いいじゃない!放課後だし、それに一緒にヴァイオリン弾く仲間としてなら、顧問の先生も許してくれるわよ 奏空:いいんですか!是非!行きたいです! 蘭:じゃあ!決まりね 拓也:ったく!勝手に決めやがって!部長の俺の意見も聞かずに… 蘭:副部長である、私が決めたんだから、文句ないでしょ?部長さんっ 拓也:へいへい…じゃあまた明日なっ!奏空(そなた) 奏空:うん!ありがとう!拓也! 拓也:…なんで蘭はさん付けで、オレだけ呼び捨てなんだよっ!…仮にも部長だぜっ!? 蘭:いいじゃないの!部長も奏空(そなた)ちゃんに呼び捨てだったんだし

奏空:あはははは! 0:次の日 学校 拓也:よっ!圭一!おはよ!昨日はあの後どうだった? 圭一:うん!お父さんに怒られたよ! 拓也:お前…怒られた割には全然懲りてねえのな… 圭一:あはははは!(拓也のセリフを被せる) 拓也:あはははは!…じゃねーよ!お前のおかげで昨日は散々だったんだぞ! 圭一:昨日?そうだっ!あの後、奏空(そなた)ちゃんはどうだったの!?(食い気味で) 拓也:なんか今日、蘭が部室で奏空(そなた)とヴァイオリンの演奏するらしいぜ! 圭一:えっ?本当にっ!いくいく!僕も聴きにいくよ! 拓也:行くって!お前塾だろ?サボって良いのかよ?また親父さんに怒られるぞ 圭一:構わないよ!それに僕はもう、他にやりたい事があるしね! 拓也:やりたい事?あ…あれか…化学がどうのこうのって… 圭一:うんうん!拓也は運命とか信じる? 拓也:はあ?運命?なんだよ突然…んなもん勝手に決められんのは、俺はごめんだね! 圭一:でも、逆らえない運命だとしたら…拓也ならどうする? 拓也:どうするも…何も…そんなもん、なるようにしか、ならないだろ? 圭一:僕はね、絶対にダメだと言われても最後まで足掻(あが)こうと思うんだ! 拓也:圭一…お前なんか…昨日から人が変わってないか? 圭一:拓也もそう思う?…運命なんだよ! 拓也:はぁ~、コイツ、親父さんに怒られて過ぎて、どっかイカレちまったのかよ…(小声で) 蘭:おはよっ!拓也っ圭一君、2人して朝から何の話? 拓也:さあ?何がなんだか… 圭一:蘭ちゃん!今日、奏空(そなた)ちゃんが来るんだよね!? 蘭:え…ええ!そうだけど…どうしたの?圭一君…(小声で拓哉に言うように) 拓也:朝からこの調子なんだよ… 蘭:まあ、奏空ちゃんにカッコ悪い所を見せられないし、今日は授業終わったら早めに、部室で練習するわよ!わかった?拓也部長! 拓也:ええ!?なんで俺まで付き合わされなきゃなんね~んだよ! 圭一:凄い!拓也のピアノと蘭ちゃんのヴァイオリンの二重奏か!楽しみだな! 0:放課後 部室にて 奏空:…ここで…よかったのか…な?… 0:部室から拓也のピアノと蘭のヴァイオリンの音が聴こえてくる 奏空:お父さん…ピアノあんなに上手かったんだ…お母さんのヴァイオリンと息ピッタリ… 0:遅れてきた圭一が部室の前で奏空をみつける 圭一:あれ?奏空ちゃん?…どうしたの?中に入らないの?」 奏空:…圭一君…私…私…ぐずっ(泣く) 圭一:どうしたの!?奏空(そなた)ちゃん!) 0:圭一が奏空の背中を擦する  圭一:少し…落ち着いた?… 奏空:ありがとう…圭一君…なんかお母さんみたいだね…えへへっ 圭一:あははっ!…いつも僕がね…悲しい事があると、拓也が代わりに元気づけてくれてさ…蘭ちゃんが優しく背中をさすってくれたんだ…だから… 奏空:えへへ…良い友達だね!…私もよく…小さい頃に…お母さんに背中をさすってもらったんだ…よしよし…大丈夫…大丈夫よ…て 圭一:へえ~、そうだったんだね: 奏空:うちはさ、お父さんが学生の時に、事故で頭に障害が残っちゃってね、それ以来、記憶が出来なくなっちゃって、今日の出来事は、明日になると忘れてしまうの、お母さんも、そんなお父さんに寄り添ってお見舞いに通っていた矢先に、交通事故にあっちゃって車椅子に… 圭一:それは…大変だったね…よしよし… 奏空:うん…だから…なんとしてでも…助けたいの! 圭一:僕で奏空ちゃんの力になれるなら…なんでも言ってね! 奏空:うん!ありがとう!私…そろそろいくね… 圭一:えっ!蘭ちゃん達と、一緒に演奏するんじゃないの? 奏空:…うん…なんか2人の演奏聞いてたら満足しちゃったし…本当のお父さんとお母さんが待ってるから… 圭一:…そっか…また明日会えるよね? 奏空:しばらくは会えないかも…ちょっと遠い所に行かないといけないから…ごめんね…圭一君… 圭一:わかった…でも!僕はずっと待ってるから! 奏空:うん…ありがとう…じゃあ…またね 0:数日後 学校の帰り道 交差点 拓也:なんだよ!奏空(そなた)のやつ!俺たちに一言も無しに勝手に行きやがって!ずっと待ってたのによ!けっ! 蘭:こらっ!拓也!奏空(そなた)ちゃんを責めないの!…そりゃ…悲しかったけど…何か事情があるのよ…きっと 圭一:そうだよ!拓也!…奏空(そなた)ちゃんは大事な用があるんだよ!奏空(そなた)ちゃんを悪く言うと …僕が許さないぞ! 拓也:なっ…なんだよ!…圭一!…奏空(そなた)の話になると…何でお前は突っかかってくるんだよっ! 蘭:もうっ!…2人とも落ち着いて…こんな事しても奏空ちゃんは戻ってこないでしょ! 0:信号の音 拓也:おいっ!信号が変わるぜ!早く渡りきらないと… 圭一:あ…本当だ…急ごうよ!…蘭ちゃん? 0: 変わりかけた信号に、おばあさんの姿を見つけた蘭がかけよる 蘭:お婆ちゃん、危ないから一緒に渡りましょう 0:大型トラックが変わりかけた信号に痺れを切らして突進してくる 拓也:危ない!!蘭ー!! 0:間に合わない様子に飛び出した拓也 圭一:蘭ちゃん急いでー!! 0:拓也の後を追うように圭一も走った 蘭:…はっ!…きゃああああー! 0:ブレーキ音 ドンっ!と何かに押され、おばあさんを抱え込んだ、蘭が横に飛んだ 蘭:きゃあっ!(同時に) 奏空:きゃあっ!(同時に) 拓也:蘭!大丈夫か!? 圭一:蘭ちゃん!…と…えぇ!?…奏空(そなた)ちゃん!? 奏空:痛たたたっ!…ごほっ!…うっ… 蘭:おばあちゃん!大丈夫ですか!?拓也!直ぐに救急車呼んで!お願い!! 拓也:わ、わかった!…おい!圭一!…蘭と奏空(そなた)の事、頼んだぞっ! 奏空:お…かあ…さん…無事? 蘭:…え?…奏空(そなた)ちゃんの方こそ大丈夫なの?…あなた…頭から血が出てるじゃない! 奏空:…あはははは!…平気…平気!…これでも体は頑丈な方だから!…かすり傷だし… 圭一:奏空(そなた)ちゃん!動かない方がいい!…僕はこう見えても代々医者の家系だから…安静にして!すぐに救急車がくるからっ! 奏空:本当にかすり傷だから、大丈夫だから!…それに…私…お父さんと…お母さん…待たせてるから…行かないと! 蘭:ダメよ!動いちゃ!圭一君の言う事を信じて! 0: 蘭も脚をくじいていて、立ち上がれない… 奏空:ごめんね…圭一君…約束守れなくて… 圭一:奏空ちゃん…君は一体…こないだも拓也を助けたし…今日も…どうして… 奏空:みんな無事で良かった…また…いつか…会えたら…その時は… 圭一:待って!奏空(そなた)ちゃん! 0:走り去る奏空 圭一:奏空ちゃん………ん?…なんだ…この紙は…タイムリープ計画? 0:それから25年後… 拓也:で?どうなんだ!娘の容態は? 医師:良くないな…頭にかなりの衝撃を受けている…このままでは意識までは戻らないかもしれないな… 蘭:そんな!…帰りが遅いから心配したら、玄関先で倒れていて…まさか…こんな事になるなんて! 拓也:なあ!お前は医者だろっ!何とか直せないのかよっ! 医師:久しぶりにあったと思ったら相変わらずだな!拓也!…その人の話を聞かずに、突っ走る性格…全く!父娘(おやこ)揃って… 拓也:今、そんな性格の話をしてる場合じゃないだろう! 医師:まあ…待て!これは1つの賭けだが、方法がない訳では無い… 拓也方:方法?…何の話だ? 医師:実際に目で見た方が早いだろう!ついてこい 0:病院の地下室 拓也:え!? これって!…まさか…アレだよな!? 医師:そう!まさにアレだよ!ほらっ!テレビとか映画で見た事あるだろ!? 拓也:見た事はあるけど…こんな現実に見たのは初めてだよ! 医師:どうだっ!凄いだろっ! 拓也:いや、凄いとは思うが…これ…オモチャだろ? 医師:何を言うんだ!これはオモチャなんかではない! 拓也:ええー!…でも現実味がないというか…なんというか… 医師:無人での実験には成功したんだ!あとは… 拓也:まさか…俺に行けとか言うんじゃあ…ないだろうな? 医師:おっ!察しが良くて助かるよ!…ん?…この流れ…以前どこかでしたような気が…… 蘭:とにかく…行くしかないわね! 拓也:おいっ!蘭っ!まさかお前も行く気なのか!! 蘭:当たり前でしょ!私の娘でもあるんだから!それに、何故か昔、あの子に会ったような気がするのよね…なぜかしら… 拓也:お前もか…実は俺もなんだよ…たしか…あの時…あ〜ダメだ!…思い出せないな… 医師:まあ…行けばわかるさ!準備はいいか? 拓也:ああ!頼む! 蘭:本当に…何から何までありがとうね!…圭一君 圭一:久しぶりに…その呼び名で呼んでくれたな…蘭ちゃん…」 蘭:本当に…懐かしいわね…ふふふっ 拓也:おいっ!昔話は無事に帰ってからでいいだろ? 圭一:そうだ!拓也!もし、この手紙が落ちていたら、昔のオレが拾う前に破棄してくれ!…絶対に内容をみるんじゃないぞ! 拓也:…なんだかわからないが…わかった…お前の言う通りにするよ 圭一:すまないな… 蘭:じゃあ!お願いします! 圭一:了解! 0:ワープ音、拓也と蘭は光に包まれて姿を消した… 圭一:ふぅ…しかし…あの時…この手紙を拾って無ければ…今頃どうなっていたか…もし、この世界線とは違う世界が平行してあるとすれば、それは運命か?それとも…奏空…またいつか… 〜完〜