台本概要
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タイトル | 影響を受けやすい、二人~ゾンビ映画ver. |
---|---|
作者名 | 砂糖シロ (@siro0satou) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
とある影響を受けやすい男女の日常の一コマです。 今回は某ゾンビ映画に影響を受けた慎一と彩夏が二人で仲良く(?)晩御飯を作るシーンとなっています。 ご使用の際はTwitterでご一報くださると嬉しいです(強制ではありません)。 商用目的の場合は必ずTwitter(@siro0satou)のDMにて作者の了承を得てください。 Skype・discord環境であればぜひ拝聴させて頂けると、今後もさらに意欲が増します! 音声ファイルなども大歓迎です!! 465 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
慎一 | 男 | 95 | (しんいち) 彩夏の彼氏。 流されやすい。 |
彩夏 | 女 | 88 | (あやか) 慎一の彼女。 結構したたかで、慎一を上手に掌で転がしている。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:影響を受けやすい、二人~ゾンビ映画ver.
:
:
:
0:舞台は自宅の台所、アクアパッツァ(?)を作ろうとしている慎一と彩夏
:
:
0:ここからゾンビ映画風に
:
慎一:(何度もまな板の赤魚に包丁を突き立てながら)
慎一:……くそっ!くそっ!くそっ!
彩夏:……ボブ。
慎一:っ!っ!ああっ!ああっ!
彩夏:ねぇボブ、やめて………っ、ボブっ!
慎一:っぐああっ!っくそ!
彩夏:そのさかな…(咳払い)その人、もう……死んでるわ。
慎一:こいつっ、噛みやがった!!俺の指を噛みやがったんだ!
彩夏:噛まれてない。歯がかすっただけよ。
0:包丁でかすった人差し指の傷を見せる慎一
慎一:いいや!ほらっ!これを見ろ!ここだ!噛まれた跡があるだろうっ!
慎一:(舌打ち)……っくそが!
彩夏:………。
慎一:…ワクチンは何処だ。
彩夏:………。
慎一:おいっ!(彩夏の胸ぐらをつかみ)
彩夏:っ!!
慎一:ワクチンは何処だと聞いているっ!
彩夏:はな、してっ…。
慎一:今すぐ答えないとそこのアサリ…じゃなくて…む、向こうで、あ…アサリみたいに口を開けて俺らを待ち構えているゾンビどもの餌にしてやってもいいんだぞ!?あぁっ!?
彩夏:…っ、そこのっ、保冷、庫の…中よ…。
慎一:(彩夏から手を離し)
慎一:ふんっ!
彩夏:きゃっ!
0:冷蔵庫の中を探す慎一
慎一:もったいぶらずにさっさと言えってんだ、このくそビッチが!
慎一:(ニンニク、ショウガ、梅、柚子胡椒、辛子などの薬味チューブを手に取り)
慎一:っ!?なんだ、これは!
慎一:…赤い、チューブにピンクのチューブ、…それに黄色や緑だと!?こんなに種類があるなんて聞いてないぞ…
慎一:おいっ!どれがワクチンだ!?
彩夏:知らないわ。
慎一:…何だと…?
彩夏:あたしはここの研究員じゃないっ!!どれがワクチンかなんて、知るはずないでしょっ!?
慎一:…ちっ、だぁーーっ!!くそったれっっ!!!(床に薬味チューブを投げつける)
0:床に座り込み頭を抱える慎一
慎一:…うぅぅ…嫌だ、…死にたくない、…あいつらみたいな化け物になんて…なりたくない…っ。
彩夏:……!?
彩夏:(小声で)…誰かきた!ちょっと、静かにして。
慎一:(ぶつぶつと独り言を繰り返す)
0:隣の住人がカギを開けて部屋に入る音が聞こえる。
彩夏:………ふぅ、行ったようね。
慎一:………。
彩夏:ねぇ、ボブ。一旦落ち着きましょ?アナタも私も疲れていて気が立っているのよ。
慎一:………。
彩夏:……ボブ?
慎一:………。
彩夏:はっ、まさか…もう…?でもっ…こんなに早く変異するなんて…聞いたことがないわ。
0:慎一に向かって静かにナスを構える彩夏
彩夏:(怯えながら)………ボ、ボブ
慎一:(被せて)うるせぇ、聞こえてる!
彩夏:(安堵の溜息)ちょっと!驚かせないで頂戴…。
0:顔を上げて、自分にナスを構える彩夏に困惑するが、すぐにナスは銃のつもりだと察する慎一
慎一:(素で)…?そのナスビはなんのつもr…あっ、もしかして銃…?あ、いやっ。
慎一:さっさとその銃を下ろせ!俺はまだ正気だ。
彩夏:まったく…あと少し反応が遅かったら、額に風穴があいてたところよ……。
慎一:うるせぇよ。…だが。
0:ナスをゆっくりと下す彩夏
慎一:このままじゃ、それも時間の問題だろうな。
彩夏:え…?
慎一:右手の感覚が…鈍くなってやがる。
彩夏:っ!?なんですって…。
慎一:っ!くそっ!…どうにかしてでもこの中から正解のワクチンを見つけ出さないと…お前もここで俺に食われることになるぞ、キャサリン。
彩夏:(吹き出す)ぐっ!(笑)
彩夏:(笑いを堪える)キ、キャサリン…(笑)
慎一:なんだ。お前が自分で言ったんだろ、「あたしの名前はキャサリンよ」って。
彩夏:……そ、そうね。ごめんなさい、そうだったわ。
彩夏:コホン…仕方ないわね、今はそうするしか、…道はなさそう。
0:上の階の走る音が響く
慎一:!!!
彩夏:!!!
慎一:(小声)奴らだ…。上の階まで来てやがる…。
彩夏:(小声)…もしかしたら…あそこのエビ…
慎一:エビ?
彩夏:エビ…ーーーみたいにっ、転がってる奴等の死体の血の匂いにつられて…。
慎一:っ!!なら早くそいつらの死体を始末するぞ!
彩夏:で、でも、始末するって言ったってどうやって…はっ!!
彩夏:そうだわ、確かこっちに…。
慎一:なんだ!?どうしたキャサリン!?
彩夏:(笑いを堪えながら)こっちにきて、ボブ。
慎一:(舌打ち)怪我人に随分と優しいお嬢さんだよっ、ったく…うぐっ…いってててて。
0:小さなかすり傷のついた人差し指を押さえながら、よろよろと立ち上がる慎一
彩夏:…見て。
0:コンロの上に熱せられた油鍋がある
慎一:なっ!?これは…焼却炉?
彩夏:ええ、そうよ。ここに、そこで「エビみたいに転がってる奴等の死体」を投げ込めば…。
慎一:ナイスだキャサリン!
彩夏:(強めの咳払い)ありがとう、ボブ。
慎一:そうとなれば急ぐぞ!
彩夏:ええっ!あなたはそっちのをお願い。
0:二人は衣のついたエビを次々に鍋に放り込む
慎一:あぁ、わかった!………(素で)あっち………うおっ、あっぢぃい!!!
彩夏:ちょっと、気を付けて!
慎一:くっ…。こりゃあ思ったよりジ…デンジャーだぞ。
彩夏:ふっ(笑)……無駄口は良いから急いで!
慎一:…そらっ、これで最後だ…!
彩夏:……ふう。
慎一:よし、これでひとまずは…。
0:突然浴室のお湯張りタイマーが鳴る
彩夏:『(システム音声)ティロリン♪お風呂のお湯が沸きました。』
慎一:なっ!?なんだ、この音は!?
彩夏:…これはっ、……自動電源供給システムが、作動した音よ!
慎一:なんだって!?
彩夏:まずい事になったわ…このままじゃ全てのロックが解除され、ダムの水がここまで押し寄せてくる…。
慎一:なんてこった!!こんな場所で化け物と心中なんて俺はごめんだぞ!?
慎一:くっ…、一体どうすれば…。
彩夏:……私が行って、止めてくる。
慎一:なっ…自分が何を言っているのかわかっているのかっ!?
彩夏:わかってるわ…危険な賭けよ。でも、ここで二人してじっと隠れているよりはましだわ。
慎一:キャサリn
彩夏:(言わせないように被せて)あなたはここで見張ってて。
彩夏:…くれぐれも、敵にワクチンを奪われないように…。
慎一:…っ、わかった。
0:浴室に続くドアノブに手をかける彩夏
慎一:キャサリン!!!
0:中途半端に振り返るキャ、…彩夏
慎一:…幸運を、祈ってる。
彩夏:ええ、無事に戻って来れたら、そのワインで乾杯しましょ。
0:扉の向こうに姿を消すキャサ…彩夏
慎一:(溜息)くそっ、…どうすりゃいいっ…。
慎一:とりあえず…ワクチンを探すか…。
0:床にばらまいた色とりどりの薬味チューブを拾い集める
慎一:緑…ピンク…赤……っく、くそぉぉぉっ、一体どれが本物なんだ!!
慎一:ラベルにニホンゴで何か書いてあるが…「わ…び」?……「に…にく」?ちくしょうっ!読めねぇ…っ!
慎一:……何かっ、何か手掛かりはないのか…。
0:キャサリンの料理本やメモを漁る。
慎一:…なんだ、このメモ。走り書きのようだが……これは、キャサリンの筆跡?
0:『買い物リスト、赤魚、アサリ、エビ、しょうがチューブ』と走り書きされたメモが冷蔵庫に貼ってあるのを見つける
慎一:「レッドフィッシュ」「あさり」…「えび」…これはさっきのゾンビのコードネーム…か。しかしなんでこんなものが…ん?エス、ワイ、オー、ジー、エー……しょーが?
慎一:まてよ…この黄色のラベル…「し…よう…ぐぁ」…っ、まさか、これか!?この黄色のこいつが…ワクチンなのか。
慎一:…だけどあいつ、研究員じゃないから知らないと…。
慎一:………いや?待てよ。
慎一:だったらなぜさっきのアラームがシステムの作動音だと知ってたんだ…。
慎一:はっ!?まさか!
彩夏:んふふ、そのまさか、よ。
0:精一杯のセクシーポーズで浴室の入り口にしな垂れ掛かるキャサリン
慎一:ぶはっ!!!(笑)
慎一:(小声)おいおいおい…このタイミングでセクシーポーズはズルいってぇ(笑)
彩夏:うふ。
慎一:(必死に笑いを堪える)…キャ、キャサリン。
彩夏:良く気づいたじゃない、坊や。褒めてあ・げ・る。
慎一:…こんのくそビッチが、よくも俺を騙しやがったな!!
彩夏:おーっほほほほほ!騙すだなんて!人聞きの悪いこと言わないでちょうだぁい。
慎一:くっ。
彩夏:だいたい、騙されるほうが悪いんじゃない。それに、イイ女っていうのは秘密が多いものよ?
慎一:はっ!何とでも言え。ワクチンはこっちの手にあるんだ。
彩夏:そうねぇ、うふふ。それじゃあ、いい子だからそれをこっちに渡してくれないかしら?ボブ。
慎一:うるせぇっ!それ以上一歩でも近づいてみろ!
彩夏:…近づいたら?どうするつもり?
慎一:このワクチンを俺に投与して…残りはダムに、ドボンだ。
彩夏:………。
慎一:………。
彩夏:ふんっ、やれるものならやってみなさい。
彩夏:そんなことをすれば、あなた以外皆絶滅するわよ。
慎一:…それがなんだって言うんだ!!俺さえ生きてりゃ、あとは俺の血から血清でもワクチンでもつくりゃあいいっ!
0:指にしょうがチューブを塗り付けるボ…慎一
彩夏:なっ!!傷口に直接…!?
彩夏:…まさか本当にやるなんて…。(いろんな意味で)後悔することになるわよ。
慎一:ふんっ、今更命乞いしたって遅い、お前は俺を騙したんだ。
0:赤魚とネギの入った鍋に残ったしょうがを全てひねり出すボb…慎一
彩夏:………。
慎一:………。
彩夏:………。
0:突如痛み出すボブの人差し指
慎一:っ!?ゆ、指がっ…ぐっ、ぐあぁあああ!!!
彩夏:っくっくっく…あーーはっはっはっは!!
慎一:な、なぜだぁあ!?コレが、本物のワクチンじゃなかったのかぁあ!?
彩夏:馬鹿な男。
彩夏:あんたが傷口に塗ったそれは、ウイルスへの抵抗力を一時的に無くして感染力を高める劇薬よ!!!
慎一:なっ!?ま、まさか…。
彩夏:本物は、こっちのピンクのチューブ♪
0:キャサリンの手にはにんにくチューブが握られている。
慎一:くっ…くそがぁああ…。
彩夏:ざーんねーん、恨むなら他人を信じた馬鹿な自分をあの世で恨むことね。あははははは!
:
:
:
0:ここから通常会話で
:
慎一:いっててててて…。
彩夏:もー、何で傷口に直接塗るのよー。
慎一:いやぁ、つい勢いで…。だってワクチンって言ったら体内に取り込むイメージだったからさー。(笑)
彩夏:ばかねぇ。傷口に直接しょうがなんて塗ったら痛いに決まってるじゃん。
慎一:(臭い嗅いで)…うっ、しょうがくせぇ。
彩夏:その内消えるよ。
慎一:んー…。
彩夏:はい、グラス。
慎一:あーあ、俺アクアパッツァが食べたかったのになぁー。
彩夏:慎一が鍋にしょうが入れるからじゃん(笑)。
慎一:いやだってさー、あんなにいっぱい薬味チューブあったらどれが正解かなんてわかるわけないだろー。
彩夏:えー?そうかなー?
慎一:…第一さ、あれ初めっから俺にしょうが入れるように仕向けてたろ。
彩夏:えー?何のことー?
慎一:あれだよ!あの冷蔵庫のメモ!「赤魚、アサリ、エビ、しょうがチューブ」って!あんなの見たらしょうが入れるんかって思うだろぉ!?
彩夏:……バレた?
慎一:(睨む)
彩夏:もー、ごめんってー。
彩夏:でもさ、今日はどうしても赤魚の煮つけが食べたかったの。
慎一:…はぁーあ、せっかく良い白ワイン買ってきたからイタリアンでおしゃれに飲みたかったのに…。
彩夏:女子か!(笑)
慎一:どうせ俺は女子ですよぉー。
彩夏:あーもー、拗ねないでよぉ。だからほらっ、代わりにエビのフリッターとアサリの白ワイン蒸し作ってあげたじゃーん。
慎一:………むぅ。
彩夏:美味しくない?
慎一:…うまいよ。
彩夏:ならいいじゃんっ!ねっ?アクアパッツァはまた今度作ってあげるから。
慎一:…ほんとにー?
彩夏:うん!約束する。
慎一:信用できない。
彩夏:はっ!?えっ、な、なんで!
慎一:だって騙されたし。
彩夏:いやっ、あれはゲームじゃん。
慎一:ふーん。
彩夏:慎一、あたしの事キャサリンって呼んでたでしょ?
慎一:呼んだら何だよー。
彩夏:あれは、あたしじゃなくてキャサリンがやったことだから!
慎一:なんだよその無茶苦茶な理屈はっ。
彩夏:大体、慎一が急にキャサリンなんて呼ぶから、あたし笑い堪えるの必死だったんだからー。
慎一:いや堪えられてなかったろ。っていうかそれは先に彩夏が俺の事ボブって呼ぶからじゃん。
慎一:っつーかそんなことより、人が真面目にやってる時に不意打ちで変なポーズとってくんのやめろよなー!
彩夏:ぶはっ!!(笑)
慎一:あれマジで反則!!
彩夏:ご、ごめんて…。
慎一:いきなりナス構えてんのもさー、俺だからアレが銃のつもりなんだってすぐ察っしたけど、他の奴だったらゼッテーわかんないからな!?
彩夏:ごめんごめん。
慎一:彩夏いちいちアドリブがズルいんだよなぁ…。
彩夏:えー、でもさぁ、それ言ったら慎一だって!
慎一:はぁ?俺なんかしたー?
彩夏:エビ、油に入れてるとき、最初デンジャーじゃなくてジンジャーって言おうとしたでしょ。
慎一:いや、あれは…まぁ、しょうがだけに?(笑)
彩夏:やかましいわ(笑)
慎一:へへへ(笑)
彩夏:ほらー、とにかく。ねっ?あれはゲームだからっ。
慎一:なーんか都合よく丸め込まれてる気がする…?
彩夏:そんなことないない!ほらっ、乾杯しよっ♪ねっ?
彩夏:かんぱーいっ!
慎一:…乾杯。
彩夏:もー、いつまでもそんな不貞腐れてないでさー、折角一緒に作ったんだから美味しいごはんとお酒、楽しもーよーっ。
慎一:んー、わかった。
彩夏:んふふー、じゃあご飯食べ終わったら、今夜もゾンビ映画見よっか!
慎一:だなっ♪
0:影響を受けやすい、二人~ゾンビ映画ver.
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0:舞台は自宅の台所、アクアパッツァ(?)を作ろうとしている慎一と彩夏
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0:ここからゾンビ映画風に
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慎一:(何度もまな板の赤魚に包丁を突き立てながら)
慎一:……くそっ!くそっ!くそっ!
彩夏:……ボブ。
慎一:っ!っ!ああっ!ああっ!
彩夏:ねぇボブ、やめて………っ、ボブっ!
慎一:っぐああっ!っくそ!
彩夏:そのさかな…(咳払い)その人、もう……死んでるわ。
慎一:こいつっ、噛みやがった!!俺の指を噛みやがったんだ!
彩夏:噛まれてない。歯がかすっただけよ。
0:包丁でかすった人差し指の傷を見せる慎一
慎一:いいや!ほらっ!これを見ろ!ここだ!噛まれた跡があるだろうっ!
慎一:(舌打ち)……っくそが!
彩夏:………。
慎一:…ワクチンは何処だ。
彩夏:………。
慎一:おいっ!(彩夏の胸ぐらをつかみ)
彩夏:っ!!
慎一:ワクチンは何処だと聞いているっ!
彩夏:はな、してっ…。
慎一:今すぐ答えないとそこのアサリ…じゃなくて…む、向こうで、あ…アサリみたいに口を開けて俺らを待ち構えているゾンビどもの餌にしてやってもいいんだぞ!?あぁっ!?
彩夏:…っ、そこのっ、保冷、庫の…中よ…。
慎一:(彩夏から手を離し)
慎一:ふんっ!
彩夏:きゃっ!
0:冷蔵庫の中を探す慎一
慎一:もったいぶらずにさっさと言えってんだ、このくそビッチが!
慎一:(ニンニク、ショウガ、梅、柚子胡椒、辛子などの薬味チューブを手に取り)
慎一:っ!?なんだ、これは!
慎一:…赤い、チューブにピンクのチューブ、…それに黄色や緑だと!?こんなに種類があるなんて聞いてないぞ…
慎一:おいっ!どれがワクチンだ!?
彩夏:知らないわ。
慎一:…何だと…?
彩夏:あたしはここの研究員じゃないっ!!どれがワクチンかなんて、知るはずないでしょっ!?
慎一:…ちっ、だぁーーっ!!くそったれっっ!!!(床に薬味チューブを投げつける)
0:床に座り込み頭を抱える慎一
慎一:…うぅぅ…嫌だ、…死にたくない、…あいつらみたいな化け物になんて…なりたくない…っ。
彩夏:……!?
彩夏:(小声で)…誰かきた!ちょっと、静かにして。
慎一:(ぶつぶつと独り言を繰り返す)
0:隣の住人がカギを開けて部屋に入る音が聞こえる。
彩夏:………ふぅ、行ったようね。
慎一:………。
彩夏:ねぇ、ボブ。一旦落ち着きましょ?アナタも私も疲れていて気が立っているのよ。
慎一:………。
彩夏:……ボブ?
慎一:………。
彩夏:はっ、まさか…もう…?でもっ…こんなに早く変異するなんて…聞いたことがないわ。
0:慎一に向かって静かにナスを構える彩夏
彩夏:(怯えながら)………ボ、ボブ
慎一:(被せて)うるせぇ、聞こえてる!
彩夏:(安堵の溜息)ちょっと!驚かせないで頂戴…。
0:顔を上げて、自分にナスを構える彩夏に困惑するが、すぐにナスは銃のつもりだと察する慎一
慎一:(素で)…?そのナスビはなんのつもr…あっ、もしかして銃…?あ、いやっ。
慎一:さっさとその銃を下ろせ!俺はまだ正気だ。
彩夏:まったく…あと少し反応が遅かったら、額に風穴があいてたところよ……。
慎一:うるせぇよ。…だが。
0:ナスをゆっくりと下す彩夏
慎一:このままじゃ、それも時間の問題だろうな。
彩夏:え…?
慎一:右手の感覚が…鈍くなってやがる。
彩夏:っ!?なんですって…。
慎一:っ!くそっ!…どうにかしてでもこの中から正解のワクチンを見つけ出さないと…お前もここで俺に食われることになるぞ、キャサリン。
彩夏:(吹き出す)ぐっ!(笑)
彩夏:(笑いを堪える)キ、キャサリン…(笑)
慎一:なんだ。お前が自分で言ったんだろ、「あたしの名前はキャサリンよ」って。
彩夏:……そ、そうね。ごめんなさい、そうだったわ。
彩夏:コホン…仕方ないわね、今はそうするしか、…道はなさそう。
0:上の階の走る音が響く
慎一:!!!
彩夏:!!!
慎一:(小声)奴らだ…。上の階まで来てやがる…。
彩夏:(小声)…もしかしたら…あそこのエビ…
慎一:エビ?
彩夏:エビ…ーーーみたいにっ、転がってる奴等の死体の血の匂いにつられて…。
慎一:っ!!なら早くそいつらの死体を始末するぞ!
彩夏:で、でも、始末するって言ったってどうやって…はっ!!
彩夏:そうだわ、確かこっちに…。
慎一:なんだ!?どうしたキャサリン!?
彩夏:(笑いを堪えながら)こっちにきて、ボブ。
慎一:(舌打ち)怪我人に随分と優しいお嬢さんだよっ、ったく…うぐっ…いってててて。
0:小さなかすり傷のついた人差し指を押さえながら、よろよろと立ち上がる慎一
彩夏:…見て。
0:コンロの上に熱せられた油鍋がある
慎一:なっ!?これは…焼却炉?
彩夏:ええ、そうよ。ここに、そこで「エビみたいに転がってる奴等の死体」を投げ込めば…。
慎一:ナイスだキャサリン!
彩夏:(強めの咳払い)ありがとう、ボブ。
慎一:そうとなれば急ぐぞ!
彩夏:ええっ!あなたはそっちのをお願い。
0:二人は衣のついたエビを次々に鍋に放り込む
慎一:あぁ、わかった!………(素で)あっち………うおっ、あっぢぃい!!!
彩夏:ちょっと、気を付けて!
慎一:くっ…。こりゃあ思ったよりジ…デンジャーだぞ。
彩夏:ふっ(笑)……無駄口は良いから急いで!
慎一:…そらっ、これで最後だ…!
彩夏:……ふう。
慎一:よし、これでひとまずは…。
0:突然浴室のお湯張りタイマーが鳴る
彩夏:『(システム音声)ティロリン♪お風呂のお湯が沸きました。』
慎一:なっ!?なんだ、この音は!?
彩夏:…これはっ、……自動電源供給システムが、作動した音よ!
慎一:なんだって!?
彩夏:まずい事になったわ…このままじゃ全てのロックが解除され、ダムの水がここまで押し寄せてくる…。
慎一:なんてこった!!こんな場所で化け物と心中なんて俺はごめんだぞ!?
慎一:くっ…、一体どうすれば…。
彩夏:……私が行って、止めてくる。
慎一:なっ…自分が何を言っているのかわかっているのかっ!?
彩夏:わかってるわ…危険な賭けよ。でも、ここで二人してじっと隠れているよりはましだわ。
慎一:キャサリn
彩夏:(言わせないように被せて)あなたはここで見張ってて。
彩夏:…くれぐれも、敵にワクチンを奪われないように…。
慎一:…っ、わかった。
0:浴室に続くドアノブに手をかける彩夏
慎一:キャサリン!!!
0:中途半端に振り返るキャ、…彩夏
慎一:…幸運を、祈ってる。
彩夏:ええ、無事に戻って来れたら、そのワインで乾杯しましょ。
0:扉の向こうに姿を消すキャサ…彩夏
慎一:(溜息)くそっ、…どうすりゃいいっ…。
慎一:とりあえず…ワクチンを探すか…。
0:床にばらまいた色とりどりの薬味チューブを拾い集める
慎一:緑…ピンク…赤……っく、くそぉぉぉっ、一体どれが本物なんだ!!
慎一:ラベルにニホンゴで何か書いてあるが…「わ…び」?……「に…にく」?ちくしょうっ!読めねぇ…っ!
慎一:……何かっ、何か手掛かりはないのか…。
0:キャサリンの料理本やメモを漁る。
慎一:…なんだ、このメモ。走り書きのようだが……これは、キャサリンの筆跡?
0:『買い物リスト、赤魚、アサリ、エビ、しょうがチューブ』と走り書きされたメモが冷蔵庫に貼ってあるのを見つける
慎一:「レッドフィッシュ」「あさり」…「えび」…これはさっきのゾンビのコードネーム…か。しかしなんでこんなものが…ん?エス、ワイ、オー、ジー、エー……しょーが?
慎一:まてよ…この黄色のラベル…「し…よう…ぐぁ」…っ、まさか、これか!?この黄色のこいつが…ワクチンなのか。
慎一:…だけどあいつ、研究員じゃないから知らないと…。
慎一:………いや?待てよ。
慎一:だったらなぜさっきのアラームがシステムの作動音だと知ってたんだ…。
慎一:はっ!?まさか!
彩夏:んふふ、そのまさか、よ。
0:精一杯のセクシーポーズで浴室の入り口にしな垂れ掛かるキャサリン
慎一:ぶはっ!!!(笑)
慎一:(小声)おいおいおい…このタイミングでセクシーポーズはズルいってぇ(笑)
彩夏:うふ。
慎一:(必死に笑いを堪える)…キャ、キャサリン。
彩夏:良く気づいたじゃない、坊や。褒めてあ・げ・る。
慎一:…こんのくそビッチが、よくも俺を騙しやがったな!!
彩夏:おーっほほほほほ!騙すだなんて!人聞きの悪いこと言わないでちょうだぁい。
慎一:くっ。
彩夏:だいたい、騙されるほうが悪いんじゃない。それに、イイ女っていうのは秘密が多いものよ?
慎一:はっ!何とでも言え。ワクチンはこっちの手にあるんだ。
彩夏:そうねぇ、うふふ。それじゃあ、いい子だからそれをこっちに渡してくれないかしら?ボブ。
慎一:うるせぇっ!それ以上一歩でも近づいてみろ!
彩夏:…近づいたら?どうするつもり?
慎一:このワクチンを俺に投与して…残りはダムに、ドボンだ。
彩夏:………。
慎一:………。
彩夏:ふんっ、やれるものならやってみなさい。
彩夏:そんなことをすれば、あなた以外皆絶滅するわよ。
慎一:…それがなんだって言うんだ!!俺さえ生きてりゃ、あとは俺の血から血清でもワクチンでもつくりゃあいいっ!
0:指にしょうがチューブを塗り付けるボ…慎一
彩夏:なっ!!傷口に直接…!?
彩夏:…まさか本当にやるなんて…。(いろんな意味で)後悔することになるわよ。
慎一:ふんっ、今更命乞いしたって遅い、お前は俺を騙したんだ。
0:赤魚とネギの入った鍋に残ったしょうがを全てひねり出すボb…慎一
彩夏:………。
慎一:………。
彩夏:………。
0:突如痛み出すボブの人差し指
慎一:っ!?ゆ、指がっ…ぐっ、ぐあぁあああ!!!
彩夏:っくっくっく…あーーはっはっはっは!!
慎一:な、なぜだぁあ!?コレが、本物のワクチンじゃなかったのかぁあ!?
彩夏:馬鹿な男。
彩夏:あんたが傷口に塗ったそれは、ウイルスへの抵抗力を一時的に無くして感染力を高める劇薬よ!!!
慎一:なっ!?ま、まさか…。
彩夏:本物は、こっちのピンクのチューブ♪
0:キャサリンの手にはにんにくチューブが握られている。
慎一:くっ…くそがぁああ…。
彩夏:ざーんねーん、恨むなら他人を信じた馬鹿な自分をあの世で恨むことね。あははははは!
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0:ここから通常会話で
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慎一:いっててててて…。
彩夏:もー、何で傷口に直接塗るのよー。
慎一:いやぁ、つい勢いで…。だってワクチンって言ったら体内に取り込むイメージだったからさー。(笑)
彩夏:ばかねぇ。傷口に直接しょうがなんて塗ったら痛いに決まってるじゃん。
慎一:(臭い嗅いで)…うっ、しょうがくせぇ。
彩夏:その内消えるよ。
慎一:んー…。
彩夏:はい、グラス。
慎一:あーあ、俺アクアパッツァが食べたかったのになぁー。
彩夏:慎一が鍋にしょうが入れるからじゃん(笑)。
慎一:いやだってさー、あんなにいっぱい薬味チューブあったらどれが正解かなんてわかるわけないだろー。
彩夏:えー?そうかなー?
慎一:…第一さ、あれ初めっから俺にしょうが入れるように仕向けてたろ。
彩夏:えー?何のことー?
慎一:あれだよ!あの冷蔵庫のメモ!「赤魚、アサリ、エビ、しょうがチューブ」って!あんなの見たらしょうが入れるんかって思うだろぉ!?
彩夏:……バレた?
慎一:(睨む)
彩夏:もー、ごめんってー。
彩夏:でもさ、今日はどうしても赤魚の煮つけが食べたかったの。
慎一:…はぁーあ、せっかく良い白ワイン買ってきたからイタリアンでおしゃれに飲みたかったのに…。
彩夏:女子か!(笑)
慎一:どうせ俺は女子ですよぉー。
彩夏:あーもー、拗ねないでよぉ。だからほらっ、代わりにエビのフリッターとアサリの白ワイン蒸し作ってあげたじゃーん。
慎一:………むぅ。
彩夏:美味しくない?
慎一:…うまいよ。
彩夏:ならいいじゃんっ!ねっ?アクアパッツァはまた今度作ってあげるから。
慎一:…ほんとにー?
彩夏:うん!約束する。
慎一:信用できない。
彩夏:はっ!?えっ、な、なんで!
慎一:だって騙されたし。
彩夏:いやっ、あれはゲームじゃん。
慎一:ふーん。
彩夏:慎一、あたしの事キャサリンって呼んでたでしょ?
慎一:呼んだら何だよー。
彩夏:あれは、あたしじゃなくてキャサリンがやったことだから!
慎一:なんだよその無茶苦茶な理屈はっ。
彩夏:大体、慎一が急にキャサリンなんて呼ぶから、あたし笑い堪えるの必死だったんだからー。
慎一:いや堪えられてなかったろ。っていうかそれは先に彩夏が俺の事ボブって呼ぶからじゃん。
慎一:っつーかそんなことより、人が真面目にやってる時に不意打ちで変なポーズとってくんのやめろよなー!
彩夏:ぶはっ!!(笑)
慎一:あれマジで反則!!
彩夏:ご、ごめんて…。
慎一:いきなりナス構えてんのもさー、俺だからアレが銃のつもりなんだってすぐ察っしたけど、他の奴だったらゼッテーわかんないからな!?
彩夏:ごめんごめん。
慎一:彩夏いちいちアドリブがズルいんだよなぁ…。
彩夏:えー、でもさぁ、それ言ったら慎一だって!
慎一:はぁ?俺なんかしたー?
彩夏:エビ、油に入れてるとき、最初デンジャーじゃなくてジンジャーって言おうとしたでしょ。
慎一:いや、あれは…まぁ、しょうがだけに?(笑)
彩夏:やかましいわ(笑)
慎一:へへへ(笑)
彩夏:ほらー、とにかく。ねっ?あれはゲームだからっ。
慎一:なーんか都合よく丸め込まれてる気がする…?
彩夏:そんなことないない!ほらっ、乾杯しよっ♪ねっ?
彩夏:かんぱーいっ!
慎一:…乾杯。
彩夏:もー、いつまでもそんな不貞腐れてないでさー、折角一緒に作ったんだから美味しいごはんとお酒、楽しもーよーっ。
慎一:んー、わかった。
彩夏:んふふー、じゃあご飯食べ終わったら、今夜もゾンビ映画見よっか!
慎一:だなっ♪