台本概要
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タイトル | 影響を受けやすい、二人~修羅場ver. |
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作者名 | 砂糖シロ (@siro0satou) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
とある影響を受けやすい男女の日常の一コマです。今回は昼ドラに影響を受けた彩夏が仕事帰りの慎一になりきりゲームをしかけるシーンとなっています。 ご使用の際はTwitterでご一報くださると嬉しいです(強制ではありません)。 商用目的の場合は必ずTwitter(@siro0satou)のDMにて作者の了承を得てください。 Skype・discord環境であればぜひ拝聴させて頂けると、今後もさらに意欲が増します! 音声ファイルなども大歓迎です!! 298 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
慎一 | 男 | 99 | (しんいち) 彩夏の夫。 流されやすい。 |
彩夏 | 女 | 91 | (あやか) 慎一の妻。 結構したたかで、慎一を上手に掌で転がしている。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:影響を受けやすい、二人~修羅場ver.
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:
0:舞台は自宅前、疲れた様子で帰宅する慎一
:
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0:ここから慎一は素で、彩夏は役になりきりで
:
慎一:(M)はぁぁぁ…つっかれたぁ…。
慎一:(M)今日はマジで散々だったなー。
慎一:(M)スマホと財布忘れたせいで走って出社する羽目になるわ、田中が急にぶつかってきたから弁当落として昼メシ抜きになるわで…。
慎一:(M)帰りも歩きだったもんだからこんな時間になっちまうし…折角の結婚記念日に何してんだか俺マジで。
慎一:(M)はぁあぁー…彩夏、怒ってないといいけど…。
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0:鞄に手を入れて鍵を探す
:
慎一:(M)……んっ!?あれっ!?鍵が、無い…。
慎一:(M)いっや、嘘だろぉおお…どっかに落とした!?
慎一:(M)えーーーもーーーまぁああじかぁあああ…、くっそぉお、マジでついてねぇぇぇ!!
慎一:(M)あーーー…、仕方ない。チャイム鳴らして開けてもらお。
:
0:チャイムを鳴らす
:
慎一:……。
慎一:(M)あれ?出てこないな。気づいてないのか?
慎一:(M)はぁ…、もう一回鳴らすか。
:
0:チャイムを鳴らす
:
慎一:…………。
慎一:(M)えっ?待って、何で出てこないの?もしかして風呂入ってる!?
:
0:ドアの横にある浴室の窓を見る
:
慎一:(M)…いや、風呂場の電気ついてないからそれは無いか…。
慎一:(M)えっ!?まさか…帰りが遅すぎて先に寝ちゃったとか無いよな!?
慎一:(M)えーーーっ、ちょっとぉ、彩夏さぁあああん!?
:
0:連打でチャイムを鳴らす
:
慎一:(M)お願いお願いお願い!
慎一:(M)頼むっ、気づいてぇぇぇえ!!
:
0:やっと開くドア
:
彩夏:………(溜息)。
慎一:っ!彩夏!良かったぁあー!
慎一:もー、焦っただろぉ!?全っ然出てこないからもしかして寝てんのかとおもっ…。
慎一:………ん?ねぇ、まって、何でこれチェーンかかってんの?
彩夏:まさみって誰よ。
慎一:はい?
彩夏:まさみって誰よ。
慎一:へ…?いきなり何?…っていうか、誰、まさみって。
彩夏:こっちが聞いてるの、まさみって誰。随分と前からちょこちょこメール、来てたみたいだけど?
慎一:め、メール?え、何の話?
彩夏:…今日、スマホ忘れてったでしょ、家に。
慎一:あ、うん…え?俺のスマホに来てたメール?
彩夏:うん。
慎一:(M)えぇ、えぇーーーー?「まさみ」?メール??何それ!!全く身に覚えが無いんだけどぉ!?
慎一:(M)大体メールつったって仕事でしか使わねぇし…。
慎一:(M)第一、仕事関係のメールは全部社用のスマホかパソコンに届くし、個人的なやり取りはラインでやるくらいだよな??
慎一:(M)ラインならまだしも、メールって…。
慎一:(M)いや、そもそも誰だよ!「まさみ」ってぇ!!!
彩夏:黙ってないで、何とか言ったら?
慎一:あ、ねぇ彩夏、ちょっと俺、何の事か…。
彩夏:とぼけないで。あたし、見たんだから。
慎一:んんんっ?ごめん、見たって、何?どのメール??
彩夏:(大声)まさみからのメールよ!
慎一:だから「まさみ」って誰だよっ!!
彩夏:知らないわよ!
慎一:(咳払い)あのさ、ちょっと、中で話さない?ここ結構声響くしさ…。
彩夏:(溜息)そうやって、また誤魔化すのね。
慎一:え?
彩夏:あなたっていっつもそう。都合が悪くなるとすぐに話すり変えて上手く誤魔化すのよね。
慎一:んっ?えっ?
彩夏:前にご飯、一緒に作った時も、しょうがとニンニク間違えて。
慎一:いや、あれは彩夏がそう仕向けて…。
彩夏:(被せて)そう、あの時もそうやって全部あたしのせいにした。
慎一:い、いや、そーゆーわけじゃ…。
彩夏:あーあ、男ってみんなそう。自分に非があっても絶対に認めないのよ。
慎一:えぇー、そんな場末のスナックのママみたいな事言われても…。
彩夏:(少し笑いそうになる)………(咳払い)
慎一:…彩夏?
彩夏:(誤魔化すように大声で)だいたい花火大会の時だって!!
慎一:ちょっと!!シーーー!彩夏、シーーー!!声おっきいって!
彩夏:…知り合いに見られないようにって、わざわざ遠くの会場を探して…。
慎一:いやいやいやっ、そりゃ良い歳こいた夫婦がラブコメごっこしてる所なんて、わざわざ知り合いには見られたくないだろ!
慎一:ってか、それは事前に二人で話し合って決めたことじゃ…。
彩夏:(被せて)会場で!!同僚の田中さんとばったり会った時、すごく慌ててたよね!?異常なくらい。
慎一:いや、まぁ…。
彩夏:…そんなにあたしの事、見られたくなかった?
慎一:はぁっ!?
彩夏:それとも、そのまさみにあたしの存在がバレるのが怖かったの?
慎一:はいぃぃぃぃっ!?
慎一:(M)ばかーーーーー!!はい、もうばかーーー!んなわけないだろぉ…。
慎一:(M)だからほんとそのちょいちょい出てくる「まさみ」って人誰なんだよぉ…。
彩夏:ねぇ。
慎一:(M)なに?何なのこれぇ。
慎一:(M)俺なんでこんな極限に腹減った状態で自分ちの玄関先で謎の尋問受けてんのぉ??
彩夏:ねぇってば!
慎一:(M)あーーーもーーー、マジでどうしたのよ、彩夏ぁ…。
彩夏:(大声で)さっきから黙ってないで何とか言ってよ!!!!
慎一:(小声で)ぎゃーーー!声でかいって!!
彩夏:っ、なんで怒鳴るの…(泣きまね)
慎一:わーーーごめんっ!怒鳴ってない怒鳴ってないっ。全然怒鳴ってないから!
彩夏:(泣いているふり)
慎一:いやマジで今日どうしたの?情緒が不安定すぎない??
彩夏:(笑いをこらえている)…っ、……!
慎一:あ、あのさ、ちょっと俺、本気で状況呑み込めてないけど、取りあえず大声はやめよ!?ねっ!?
慎一:ほ、ほらっ!そんな大声で話してたら近所の人がびっくりしちゃうから!
彩夏:(悲しそうに笑う)結局あなたは、あたしより他人を取るのね。
慎一:いや、そんなことないって!俺は彩夏の事が誰よりも好k。
彩夏:(被せて)いいの!……初めから、わかっていたことよ!
慎一:……ん?え?え、突然どうした?(笑)
彩夏:あなたには、昔結婚の約束を交わした許嫁(いいなずけ)がいた。
慎一:………はい?
彩夏:それを横からポッと出のあたしが突然掻っ攫ったのよね。
慎一:……ん?ん?今度こそ何の話?
彩夏:……所詮あたしは、何処まで行ってもただの泥棒猫なんだわっ!(泣き崩れる)
慎一:あーどうしよー、全然話が見えない。
彩夏:結局こうなることは…逆らえない運命だったのよ。
慎一:んんー?(笑)
慎一:まって、色々と追いつけてないんだけど……俺、許嫁がいたの?
彩夏:もう忘れたの?幼いころから親同士の決めたフィアンセが居たじゃない。
慎一:………マジかーーー。っつかリアルで初めて聞いたわ、「フィアンセ」って言葉。
彩夏:(笑いを堪える)
慎一:え?それじゃあ、俺ってー、もしかして良いとこのお坊ちゃんだったりした…感じ?
彩夏:そうね。あなたのご立派なご両親の敷いたレール通りにいけば、長男のあなたがあの家の財産を全て相続するはずだった。
慎一:・・・・・・。
彩夏:・・・・・・。
慎一:ナルホド。
慎一:(M)………おっけ。察した。
慎一:(M)さっきから言い回しにやたら既視感感じると思ったら。これあれだわ(笑)
慎一:(M)彩夏が最近ドハマリして観てた昼ドラの。
慎一:(M)だってそもそも俺、長男じゃねぇし。しがない会社員の三男坊だし。
慎一:(M)ッスゥーーー…はいはいはい、わかりました。これもう既にいつものなりきりモードに入ってるパターンね(笑)
:
0:役に入る慎一(出来る限り熱く演じてください)
:
彩夏:それなのに…、こんな何の取柄もないあたしみたいな庶民があなたを好きになったばっかりに…っ。
慎一:違うっ!
彩夏:えっ…。
慎一:それは違うよ、彩夏サン!
彩夏:っ!
慎一:…確かに、僕には将来を決められた女性が居た!……っぽい…のかも、しれ、ない…多分?
彩夏:(笑いを堪えている)………はっきりしろよ(笑)
慎一:だけれど僕は!僕は…君を一目見たその瞬間から、心を奪われてしまったんだ!彩夏という、最高の花にっ!
彩夏:(吹き出す)……は、花!!
慎一:全てはっ、……僕が自ら望んだ道なんだ。親の敷いたレールではなく、君と一緒に歩んでいく道。
彩夏:(激しく咳払い)…だけどっ、実際あなたのスマホにはこうやってまさみって女性から何度も何度もしつこくメールが届いているのよ!?
彩夏:ほらっ!(慎一に向けてスマホをかざす)
慎一:……んんー?
:
0:彩夏に向けられた画面をまじまじと見つめる慎一、メールの内容を読み上げる
:
慎一:『こんにちわ!お久しぶりです。最近連絡くれないから私からメールしちゃいました。もしかして私の事、もう忘れちゃったのかなぁ?私は今でもあなたの事を忘れられずに居ます…。あなたが良ければ、また会いたいです。約束していた一億円もまだお渡しできていないので…。最近マネージャーや事務所の社長にあなたと連絡を取っている事、怪しまれているので、もしかしたら近々アドレスを変えるかも。このサイトに私の新しい連絡先を載せておくので、そこから連絡を貰えると嬉しいです!それじゃあ、待ってるね!長澤まさみ』
慎一:(M)って、迷惑メールかよ!!!
彩夏:…口ではそんなこと言ってても、やっぱり今でも、長澤家のお嬢様と連絡とってたんだね…。
慎一:(M)長澤家って…(笑)
慎一:(M)「まさみ」って、この「まさみ」かよ!…いやまぁ、確かに知ってはいるけど(笑)
彩夏:すごいね、一億だって…。
彩夏:一億円もあったら、毎日働かなくても遊んで暮らせるし、アクアパッツアだって何だって好きなもの食べられる。それに…。
慎一:…それに?
彩夏:………金魚すくいが下手でも、金魚どころか立派な錦鯉だって買えるよ?
慎一:(M)あーね!それ夏祭りの時のね!俺が金魚一匹もすくえなかったことへのディスリですよね!
慎一:彩夏サン、それ、そんなに溜めて言うことかな?
彩夏:(笑)………ヤッタネ。
慎一:う、うん。でもね、俺、別に錦鯉、飼いたくない。
彩夏:じゃあアロワナ。
慎一:いや、そう言うことじゃなくて…。
彩夏:………。
慎一:(咳払い)彩夏サン、君は…何か勘違いをしているようだ。
彩夏:…かん…ちが、い?
慎一:あぁ、勘違いだ。それも、おぉーーきな、ね☆
彩夏:………。
慎一:初めに、これだけは言っておきたい。僕は金魚すくいが下手なんじゃない、君が上手すぎるんだ。
彩夏:え……。
慎一:あれはね、正にハンターだった。君の腕は、プロの金魚ハンターと名乗っても差し支えないレベルだったよ、彩夏サン。
彩夏:(笑いを堪える)…き、金魚、ハンター…っ。
彩夏:(小声で)めちゃくちゃ不名誉!
慎一:そもそも、わざわざ地方の夏祭りを選んで行ったのは、確かに君を見られたくなかったから。それは事実だ。
彩夏:あ…やっぱりあたしを見られたくなくて…
慎一:(被せて)だけどそれは、浴衣を着て少女のようにはしゃぐ眩しい君の可憐な姿を、他の男どもに見られたくなかったからに他ならない!
彩夏:か、可憐……。
慎一:一緒に夕飯を作った時も、実はあの場で鍋に入れるべきなのは生姜じゃないって事、薄々途中から気づいていたんだ。
彩夏:えっ…それなら、なぜ?
慎一:(ウィンクをして)何よりも大切な君が、赤魚の煮つけを食べたがっていたから、さ☆
彩夏:っ!?…あたしの為に…?
慎一:ああ、そうだよ。
彩夏:それじゃあ、包丁で切った傷口にわざわざしょうがを塗り付けて「いだぁーーーいっ(涙目)」って絶叫していたのも?
慎一:ぶっ!!(笑)
慎一:……あ、あぁ。そうだとも。僕の渾身のギャグさ。き、君にはいつでも笑顔で居てもらいたいからね。
彩夏:(素で)そっか…ありがとう(笑)
:
0:役に入り込む慎一
:
慎一:僕はね彩夏サン、好きなものを食べる事よりも、君と一緒に食べる事の方が大事だ。
慎一:毎日必死に仕事をして、疲れて帰ってきたときに見る、君の笑顔が大好きなんだ。
彩夏:しんいち…サン。
慎一:他人なんか、どうでもいい。君さえ傍に居てくれるなら。
:
0:エレベーターを降りた隣の山田さんに気付く彩夏
:
彩夏:(M)っ、誰か…来る。……げっ!あれはっ、山田さんちの奥さん!!
慎一:君と過ごす日々や君と見るゾンビ映画やアニメ、それに君の温もり。
彩夏:(小声で)し、慎一!
慎一:優しい声に可愛い笑顔。
彩夏:(小声で)わかった!わかったから!慎一っ、シーーーー!!
慎一:なりきり中に見せる色っぽい悪女や恥ずかしがりやな少女姿。
彩夏:(小声で)慎一っ!!慎一、やめてっ!山田さん来てる!もうそこまで来てるって!!
慎一:風呂上がりにタオルを首にかけて豪快にビールを飲み干したり、金魚すくいで見せたあの男らしさ!
彩夏:(小声で)ぎゃーーーーっ!やめて、まじでほんとにやめてぇぇええ!
慎一:僕はっ、君の全てを愛してる!!
彩夏:(小声)しんいちぃいいいいいいい!!!
慎一:君は!僕のっ……ヴィーナスだよっ!!!(エコー)ヴィーナスだよ…ヴィーナスだよ…ヴィーナスだよ…。
彩夏:……………あ”ーーー、マジで終わった。
:
0:顔面蒼白で顔を押さえる彩夏と、山田さんが自分の部屋の鍵を開ける音に我に返る慎一
:
慎一:あっ……………コン…バン…ワ…。
慎一:…えっと、あっ、こ、この間は祭りのお裾分けありがとうございました。
慎一:え、あ…、今の、ですか?
慎一:あぁ、あはは、これあれなんです、結婚記念日には玄関で愛を叫ぶっていうウチのルールで、ははは。
慎一:いやいや、山田さんちもめちゃくちゃ仲良いじゃないですかー。
慎一:ウチの嫁とね、いつも「山田さんちみたいなおしどり夫婦になりたいねー」なぁんて話してるんですよー。
慎一:あ、そうですねー、じゃあ今度機会があったら。あははは。
慎一:それじゃあ…、あ、はい、はい、失礼しまーす。
:
0:中に入って静かにドアを閉める慎一と、床にしゃがみ込む彩夏
:
慎一:………。
彩夏:ごめん、ほんっと、ごめん。
慎一:うん…まぁ、……そうだね、うん。
慎一:いやでも、俺も途中、役に入り込みすぎて外だっての忘れてたし、さ。まぁ、あのー、お互い様って事で。
彩夏:……死にたい。
慎一:え、奇遇だね、俺も今そう思ってた。
彩夏:はぁあああ…。
慎一:はぁあああ…。
彩夏:……ねーねー。
慎一:んぁ?
彩夏:山田さんちってさ、なんかいっつもタイミング悪いよねー。
慎一:ほんとそれな。寧ろタイミング見計らってんじゃね?ってレベルでやってる最中に毎回エンカウントするよな(笑)
彩夏:ねーー。
慎一:まーでもそれで言ったら完全に俺らにもブーメランだけど(笑)
彩夏:それもそっかぁ。山田さんちからしたら、たまたま居合わせるタイミングで変なことしてるのこっちだもんね(笑)
慎一:ははっ。相性がいいんだかわるいんだか。
彩夏:ってか、こう言っちゃ悪いけどさ、山田さんちの奥さんってー、経験値もドロップもゴミなのにやたら防御力高くてー、毒とか麻痺とかの状態異常仕掛けてくる中盤の雑魚モンスター感ない?(笑)
慎一:ぶっ、言いすぎだろ。でもわかるわかる(笑)
彩夏:あははっ!まぁ、悪い人じゃないんだろうけどね。
慎一:まぁな…。
彩夏:……。
慎一:……。
彩夏:(一緒に)噂好きじゃなきゃねー(笑)
慎一:(一緒に)噂好きじゃなけりゃなー(笑)
:
0:大きく鳴る慎一のお腹
:
慎一:あ…やべ。
彩夏:めっちゃお腹鳴ったね(笑)
慎一:いやぁ…、俺今日さ、財布忘れてった上に田中のせいで弁当も食べらんなくてさー。
彩夏:えっ!うっそ、スマホだけじゃなかったの?
慎一:そぉーなんだよぉおお、しかも何か鍵もなくしたみたいでさぁ…。
彩夏:え?鍵なら、そこにあるけど?
慎一:え……、あ、マジだ。朝出るとき置きっぱだったのかぁ。よかったぁーーー。
彩夏:良かったね(笑)
慎一:だぁあああ、安心したらめっちゃ腹減っってきたぁあああ!!
彩夏:もー、そーゆうことは早く言いなよ!知ってたらあんな抜き打ちなんてしなかったのに!
慎一:いや無かったろ?そんなタイミング!
彩夏:う、まぁ…確かに。
慎一:ぐあぁ、さっきからめっちゃ旨そうな匂いしてんだよなぁあ!え、今日の飯、何?
彩夏:ふふふっ、慎一念願の、アクアパッツァだよ!
慎一:えっ!?マジでっ!?やったぁああ!!
慎一:あ、この間の白ワイン、まだ残ってたっけ?
彩夏:もちろんっ、結婚記念日だしね。ちゃあんともう一本買ってあるよ♪
慎一:マジか!さすが彩夏!俺の嫁!!
彩夏:あははは!さ、早く着替えといで。ごはんあっためとくからさ。
慎一:りょーっかい!
彩夏:ふんふんふーん♪
慎一:あ、そうだ、彩夏。
彩夏:え?なにー?
慎一:結婚記念日おめでと。いつもありがとな、愛してるよ。
彩夏:へっ!?ちょっ、い、いきなりなによー!!
慎一:はははっ、じゃあ、着替えてくる♪
彩夏:あっ、もーー!!
彩夏:………記念日おめでと。あたしも愛してるよ。
0:影響を受けやすい、二人~修羅場ver.
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0:舞台は自宅前、疲れた様子で帰宅する慎一
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0:ここから慎一は素で、彩夏は役になりきりで
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慎一:(M)はぁぁぁ…つっかれたぁ…。
慎一:(M)今日はマジで散々だったなー。
慎一:(M)スマホと財布忘れたせいで走って出社する羽目になるわ、田中が急にぶつかってきたから弁当落として昼メシ抜きになるわで…。
慎一:(M)帰りも歩きだったもんだからこんな時間になっちまうし…折角の結婚記念日に何してんだか俺マジで。
慎一:(M)はぁあぁー…彩夏、怒ってないといいけど…。
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0:鞄に手を入れて鍵を探す
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慎一:(M)……んっ!?あれっ!?鍵が、無い…。
慎一:(M)いっや、嘘だろぉおお…どっかに落とした!?
慎一:(M)えーーーもーーーまぁああじかぁあああ…、くっそぉお、マジでついてねぇぇぇ!!
慎一:(M)あーーー…、仕方ない。チャイム鳴らして開けてもらお。
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0:チャイムを鳴らす
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慎一:……。
慎一:(M)あれ?出てこないな。気づいてないのか?
慎一:(M)はぁ…、もう一回鳴らすか。
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0:チャイムを鳴らす
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慎一:…………。
慎一:(M)えっ?待って、何で出てこないの?もしかして風呂入ってる!?
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0:ドアの横にある浴室の窓を見る
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慎一:(M)…いや、風呂場の電気ついてないからそれは無いか…。
慎一:(M)えっ!?まさか…帰りが遅すぎて先に寝ちゃったとか無いよな!?
慎一:(M)えーーーっ、ちょっとぉ、彩夏さぁあああん!?
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0:連打でチャイムを鳴らす
:
慎一:(M)お願いお願いお願い!
慎一:(M)頼むっ、気づいてぇぇぇえ!!
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0:やっと開くドア
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彩夏:………(溜息)。
慎一:っ!彩夏!良かったぁあー!
慎一:もー、焦っただろぉ!?全っ然出てこないからもしかして寝てんのかとおもっ…。
慎一:………ん?ねぇ、まって、何でこれチェーンかかってんの?
彩夏:まさみって誰よ。
慎一:はい?
彩夏:まさみって誰よ。
慎一:へ…?いきなり何?…っていうか、誰、まさみって。
彩夏:こっちが聞いてるの、まさみって誰。随分と前からちょこちょこメール、来てたみたいだけど?
慎一:め、メール?え、何の話?
彩夏:…今日、スマホ忘れてったでしょ、家に。
慎一:あ、うん…え?俺のスマホに来てたメール?
彩夏:うん。
慎一:(M)えぇ、えぇーーーー?「まさみ」?メール??何それ!!全く身に覚えが無いんだけどぉ!?
慎一:(M)大体メールつったって仕事でしか使わねぇし…。
慎一:(M)第一、仕事関係のメールは全部社用のスマホかパソコンに届くし、個人的なやり取りはラインでやるくらいだよな??
慎一:(M)ラインならまだしも、メールって…。
慎一:(M)いや、そもそも誰だよ!「まさみ」ってぇ!!!
彩夏:黙ってないで、何とか言ったら?
慎一:あ、ねぇ彩夏、ちょっと俺、何の事か…。
彩夏:とぼけないで。あたし、見たんだから。
慎一:んんんっ?ごめん、見たって、何?どのメール??
彩夏:(大声)まさみからのメールよ!
慎一:だから「まさみ」って誰だよっ!!
彩夏:知らないわよ!
慎一:(咳払い)あのさ、ちょっと、中で話さない?ここ結構声響くしさ…。
彩夏:(溜息)そうやって、また誤魔化すのね。
慎一:え?
彩夏:あなたっていっつもそう。都合が悪くなるとすぐに話すり変えて上手く誤魔化すのよね。
慎一:んっ?えっ?
彩夏:前にご飯、一緒に作った時も、しょうがとニンニク間違えて。
慎一:いや、あれは彩夏がそう仕向けて…。
彩夏:(被せて)そう、あの時もそうやって全部あたしのせいにした。
慎一:い、いや、そーゆーわけじゃ…。
彩夏:あーあ、男ってみんなそう。自分に非があっても絶対に認めないのよ。
慎一:えぇー、そんな場末のスナックのママみたいな事言われても…。
彩夏:(少し笑いそうになる)………(咳払い)
慎一:…彩夏?
彩夏:(誤魔化すように大声で)だいたい花火大会の時だって!!
慎一:ちょっと!!シーーー!彩夏、シーーー!!声おっきいって!
彩夏:…知り合いに見られないようにって、わざわざ遠くの会場を探して…。
慎一:いやいやいやっ、そりゃ良い歳こいた夫婦がラブコメごっこしてる所なんて、わざわざ知り合いには見られたくないだろ!
慎一:ってか、それは事前に二人で話し合って決めたことじゃ…。
彩夏:(被せて)会場で!!同僚の田中さんとばったり会った時、すごく慌ててたよね!?異常なくらい。
慎一:いや、まぁ…。
彩夏:…そんなにあたしの事、見られたくなかった?
慎一:はぁっ!?
彩夏:それとも、そのまさみにあたしの存在がバレるのが怖かったの?
慎一:はいぃぃぃぃっ!?
慎一:(M)ばかーーーーー!!はい、もうばかーーー!んなわけないだろぉ…。
慎一:(M)だからほんとそのちょいちょい出てくる「まさみ」って人誰なんだよぉ…。
彩夏:ねぇ。
慎一:(M)なに?何なのこれぇ。
慎一:(M)俺なんでこんな極限に腹減った状態で自分ちの玄関先で謎の尋問受けてんのぉ??
彩夏:ねぇってば!
慎一:(M)あーーーもーーー、マジでどうしたのよ、彩夏ぁ…。
彩夏:(大声で)さっきから黙ってないで何とか言ってよ!!!!
慎一:(小声で)ぎゃーーー!声でかいって!!
彩夏:っ、なんで怒鳴るの…(泣きまね)
慎一:わーーーごめんっ!怒鳴ってない怒鳴ってないっ。全然怒鳴ってないから!
彩夏:(泣いているふり)
慎一:いやマジで今日どうしたの?情緒が不安定すぎない??
彩夏:(笑いをこらえている)…っ、……!
慎一:あ、あのさ、ちょっと俺、本気で状況呑み込めてないけど、取りあえず大声はやめよ!?ねっ!?
慎一:ほ、ほらっ!そんな大声で話してたら近所の人がびっくりしちゃうから!
彩夏:(悲しそうに笑う)結局あなたは、あたしより他人を取るのね。
慎一:いや、そんなことないって!俺は彩夏の事が誰よりも好k。
彩夏:(被せて)いいの!……初めから、わかっていたことよ!
慎一:……ん?え?え、突然どうした?(笑)
彩夏:あなたには、昔結婚の約束を交わした許嫁(いいなずけ)がいた。
慎一:………はい?
彩夏:それを横からポッと出のあたしが突然掻っ攫ったのよね。
慎一:……ん?ん?今度こそ何の話?
彩夏:……所詮あたしは、何処まで行ってもただの泥棒猫なんだわっ!(泣き崩れる)
慎一:あーどうしよー、全然話が見えない。
彩夏:結局こうなることは…逆らえない運命だったのよ。
慎一:んんー?(笑)
慎一:まって、色々と追いつけてないんだけど……俺、許嫁がいたの?
彩夏:もう忘れたの?幼いころから親同士の決めたフィアンセが居たじゃない。
慎一:………マジかーーー。っつかリアルで初めて聞いたわ、「フィアンセ」って言葉。
彩夏:(笑いを堪える)
慎一:え?それじゃあ、俺ってー、もしかして良いとこのお坊ちゃんだったりした…感じ?
彩夏:そうね。あなたのご立派なご両親の敷いたレール通りにいけば、長男のあなたがあの家の財産を全て相続するはずだった。
慎一:・・・・・・。
彩夏:・・・・・・。
慎一:ナルホド。
慎一:(M)………おっけ。察した。
慎一:(M)さっきから言い回しにやたら既視感感じると思ったら。これあれだわ(笑)
慎一:(M)彩夏が最近ドハマリして観てた昼ドラの。
慎一:(M)だってそもそも俺、長男じゃねぇし。しがない会社員の三男坊だし。
慎一:(M)ッスゥーーー…はいはいはい、わかりました。これもう既にいつものなりきりモードに入ってるパターンね(笑)
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0:役に入る慎一(出来る限り熱く演じてください)
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彩夏:それなのに…、こんな何の取柄もないあたしみたいな庶民があなたを好きになったばっかりに…っ。
慎一:違うっ!
彩夏:えっ…。
慎一:それは違うよ、彩夏サン!
彩夏:っ!
慎一:…確かに、僕には将来を決められた女性が居た!……っぽい…のかも、しれ、ない…多分?
彩夏:(笑いを堪えている)………はっきりしろよ(笑)
慎一:だけれど僕は!僕は…君を一目見たその瞬間から、心を奪われてしまったんだ!彩夏という、最高の花にっ!
彩夏:(吹き出す)……は、花!!
慎一:全てはっ、……僕が自ら望んだ道なんだ。親の敷いたレールではなく、君と一緒に歩んでいく道。
彩夏:(激しく咳払い)…だけどっ、実際あなたのスマホにはこうやってまさみって女性から何度も何度もしつこくメールが届いているのよ!?
彩夏:ほらっ!(慎一に向けてスマホをかざす)
慎一:……んんー?
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0:彩夏に向けられた画面をまじまじと見つめる慎一、メールの内容を読み上げる
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慎一:『こんにちわ!お久しぶりです。最近連絡くれないから私からメールしちゃいました。もしかして私の事、もう忘れちゃったのかなぁ?私は今でもあなたの事を忘れられずに居ます…。あなたが良ければ、また会いたいです。約束していた一億円もまだお渡しできていないので…。最近マネージャーや事務所の社長にあなたと連絡を取っている事、怪しまれているので、もしかしたら近々アドレスを変えるかも。このサイトに私の新しい連絡先を載せておくので、そこから連絡を貰えると嬉しいです!それじゃあ、待ってるね!長澤まさみ』
慎一:(M)って、迷惑メールかよ!!!
彩夏:…口ではそんなこと言ってても、やっぱり今でも、長澤家のお嬢様と連絡とってたんだね…。
慎一:(M)長澤家って…(笑)
慎一:(M)「まさみ」って、この「まさみ」かよ!…いやまぁ、確かに知ってはいるけど(笑)
彩夏:すごいね、一億だって…。
彩夏:一億円もあったら、毎日働かなくても遊んで暮らせるし、アクアパッツアだって何だって好きなもの食べられる。それに…。
慎一:…それに?
彩夏:………金魚すくいが下手でも、金魚どころか立派な錦鯉だって買えるよ?
慎一:(M)あーね!それ夏祭りの時のね!俺が金魚一匹もすくえなかったことへのディスリですよね!
慎一:彩夏サン、それ、そんなに溜めて言うことかな?
彩夏:(笑)………ヤッタネ。
慎一:う、うん。でもね、俺、別に錦鯉、飼いたくない。
彩夏:じゃあアロワナ。
慎一:いや、そう言うことじゃなくて…。
彩夏:………。
慎一:(咳払い)彩夏サン、君は…何か勘違いをしているようだ。
彩夏:…かん…ちが、い?
慎一:あぁ、勘違いだ。それも、おぉーーきな、ね☆
彩夏:………。
慎一:初めに、これだけは言っておきたい。僕は金魚すくいが下手なんじゃない、君が上手すぎるんだ。
彩夏:え……。
慎一:あれはね、正にハンターだった。君の腕は、プロの金魚ハンターと名乗っても差し支えないレベルだったよ、彩夏サン。
彩夏:(笑いを堪える)…き、金魚、ハンター…っ。
彩夏:(小声で)めちゃくちゃ不名誉!
慎一:そもそも、わざわざ地方の夏祭りを選んで行ったのは、確かに君を見られたくなかったから。それは事実だ。
彩夏:あ…やっぱりあたしを見られたくなくて…
慎一:(被せて)だけどそれは、浴衣を着て少女のようにはしゃぐ眩しい君の可憐な姿を、他の男どもに見られたくなかったからに他ならない!
彩夏:か、可憐……。
慎一:一緒に夕飯を作った時も、実はあの場で鍋に入れるべきなのは生姜じゃないって事、薄々途中から気づいていたんだ。
彩夏:えっ…それなら、なぜ?
慎一:(ウィンクをして)何よりも大切な君が、赤魚の煮つけを食べたがっていたから、さ☆
彩夏:っ!?…あたしの為に…?
慎一:ああ、そうだよ。
彩夏:それじゃあ、包丁で切った傷口にわざわざしょうがを塗り付けて「いだぁーーーいっ(涙目)」って絶叫していたのも?
慎一:ぶっ!!(笑)
慎一:……あ、あぁ。そうだとも。僕の渾身のギャグさ。き、君にはいつでも笑顔で居てもらいたいからね。
彩夏:(素で)そっか…ありがとう(笑)
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0:役に入り込む慎一
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慎一:僕はね彩夏サン、好きなものを食べる事よりも、君と一緒に食べる事の方が大事だ。
慎一:毎日必死に仕事をして、疲れて帰ってきたときに見る、君の笑顔が大好きなんだ。
彩夏:しんいち…サン。
慎一:他人なんか、どうでもいい。君さえ傍に居てくれるなら。
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0:エレベーターを降りた隣の山田さんに気付く彩夏
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彩夏:(M)っ、誰か…来る。……げっ!あれはっ、山田さんちの奥さん!!
慎一:君と過ごす日々や君と見るゾンビ映画やアニメ、それに君の温もり。
彩夏:(小声で)し、慎一!
慎一:優しい声に可愛い笑顔。
彩夏:(小声で)わかった!わかったから!慎一っ、シーーーー!!
慎一:なりきり中に見せる色っぽい悪女や恥ずかしがりやな少女姿。
彩夏:(小声で)慎一っ!!慎一、やめてっ!山田さん来てる!もうそこまで来てるって!!
慎一:風呂上がりにタオルを首にかけて豪快にビールを飲み干したり、金魚すくいで見せたあの男らしさ!
彩夏:(小声で)ぎゃーーーーっ!やめて、まじでほんとにやめてぇぇええ!
慎一:僕はっ、君の全てを愛してる!!
彩夏:(小声)しんいちぃいいいいいいい!!!
慎一:君は!僕のっ……ヴィーナスだよっ!!!(エコー)ヴィーナスだよ…ヴィーナスだよ…ヴィーナスだよ…。
彩夏:……………あ”ーーー、マジで終わった。
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0:顔面蒼白で顔を押さえる彩夏と、山田さんが自分の部屋の鍵を開ける音に我に返る慎一
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慎一:あっ……………コン…バン…ワ…。
慎一:…えっと、あっ、こ、この間は祭りのお裾分けありがとうございました。
慎一:え、あ…、今の、ですか?
慎一:あぁ、あはは、これあれなんです、結婚記念日には玄関で愛を叫ぶっていうウチのルールで、ははは。
慎一:いやいや、山田さんちもめちゃくちゃ仲良いじゃないですかー。
慎一:ウチの嫁とね、いつも「山田さんちみたいなおしどり夫婦になりたいねー」なぁんて話してるんですよー。
慎一:あ、そうですねー、じゃあ今度機会があったら。あははは。
慎一:それじゃあ…、あ、はい、はい、失礼しまーす。
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0:中に入って静かにドアを閉める慎一と、床にしゃがみ込む彩夏
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慎一:………。
彩夏:ごめん、ほんっと、ごめん。
慎一:うん…まぁ、……そうだね、うん。
慎一:いやでも、俺も途中、役に入り込みすぎて外だっての忘れてたし、さ。まぁ、あのー、お互い様って事で。
彩夏:……死にたい。
慎一:え、奇遇だね、俺も今そう思ってた。
彩夏:はぁあああ…。
慎一:はぁあああ…。
彩夏:……ねーねー。
慎一:んぁ?
彩夏:山田さんちってさ、なんかいっつもタイミング悪いよねー。
慎一:ほんとそれな。寧ろタイミング見計らってんじゃね?ってレベルでやってる最中に毎回エンカウントするよな(笑)
彩夏:ねーー。
慎一:まーでもそれで言ったら完全に俺らにもブーメランだけど(笑)
彩夏:それもそっかぁ。山田さんちからしたら、たまたま居合わせるタイミングで変なことしてるのこっちだもんね(笑)
慎一:ははっ。相性がいいんだかわるいんだか。
彩夏:ってか、こう言っちゃ悪いけどさ、山田さんちの奥さんってー、経験値もドロップもゴミなのにやたら防御力高くてー、毒とか麻痺とかの状態異常仕掛けてくる中盤の雑魚モンスター感ない?(笑)
慎一:ぶっ、言いすぎだろ。でもわかるわかる(笑)
彩夏:あははっ!まぁ、悪い人じゃないんだろうけどね。
慎一:まぁな…。
彩夏:……。
慎一:……。
彩夏:(一緒に)噂好きじゃなきゃねー(笑)
慎一:(一緒に)噂好きじゃなけりゃなー(笑)
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0:大きく鳴る慎一のお腹
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慎一:あ…やべ。
彩夏:めっちゃお腹鳴ったね(笑)
慎一:いやぁ…、俺今日さ、財布忘れてった上に田中のせいで弁当も食べらんなくてさー。
彩夏:えっ!うっそ、スマホだけじゃなかったの?
慎一:そぉーなんだよぉおお、しかも何か鍵もなくしたみたいでさぁ…。
彩夏:え?鍵なら、そこにあるけど?
慎一:え……、あ、マジだ。朝出るとき置きっぱだったのかぁ。よかったぁーーー。
彩夏:良かったね(笑)
慎一:だぁあああ、安心したらめっちゃ腹減っってきたぁあああ!!
彩夏:もー、そーゆうことは早く言いなよ!知ってたらあんな抜き打ちなんてしなかったのに!
慎一:いや無かったろ?そんなタイミング!
彩夏:う、まぁ…確かに。
慎一:ぐあぁ、さっきからめっちゃ旨そうな匂いしてんだよなぁあ!え、今日の飯、何?
彩夏:ふふふっ、慎一念願の、アクアパッツァだよ!
慎一:えっ!?マジでっ!?やったぁああ!!
慎一:あ、この間の白ワイン、まだ残ってたっけ?
彩夏:もちろんっ、結婚記念日だしね。ちゃあんともう一本買ってあるよ♪
慎一:マジか!さすが彩夏!俺の嫁!!
彩夏:あははは!さ、早く着替えといで。ごはんあっためとくからさ。
慎一:りょーっかい!
彩夏:ふんふんふーん♪
慎一:あ、そうだ、彩夏。
彩夏:え?なにー?
慎一:結婚記念日おめでと。いつもありがとな、愛してるよ。
彩夏:へっ!?ちょっ、い、いきなりなによー!!
慎一:はははっ、じゃあ、着替えてくる♪
彩夏:あっ、もーー!!
彩夏:………記念日おめでと。あたしも愛してるよ。