台本概要

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タイトル 月と恋と戯言と
作者名 塩結ノ介  (@siodemusude)
ジャンル コメディ
演者人数 2人用台本(不問2)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 15~20分くらいのラブコメ台本です。
とにかくアホの子天然人たらしな忍と真面目強めな実はチョロい見張りが恋をめぐってわちゃこらするお話です。

改変アドリブ、尺調等お任せします。商用・非商用等の利用範囲特に問いません!

クレジット表記はお任せします!

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
飛鳥 不問 55 見張りのことが好きすぎて特になんにも考えずに城に忍び込んだ馬鹿。屋敷の主人をどうこうする気はない。顔にも口にも思ったことが全て出るので逆に疑われることもしばしば。顔はめちゃくちゃいい。自覚はない。
珠紀 不問 59 城の見張り。いつもちょっかいをかけてくる忍を鬱陶しく思っている。綺麗な顔をしているため変な虫がつきやすい。意外とちょろい。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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珠紀:恋。それは不確かなものでありながら、人の心を簡単に支配してしまう呪いのようなもの。時には世界をひっくり返してしまうほどの力さえあるという。 飛鳥:そんな人の想いが渦巻く、とある時代のとある土地。一人の忍が、愚かにも恋をした。これは、そんな2人の恋の駆け引きの物語。 珠紀:月と恋と、戯言と。 0:午前零時前、東の中門。見張りの交代のため、珠紀が持ち場に歩いてくる 珠紀:おーい。ご苦労、交代だ。 珠紀:さて…っと。おお、今宵は満月か。美しいな。 珠紀:いつもこれくらい穏やかな夜なら、この仕事も楽なのだがなぁ…。 0:少し息をつき目を閉じる。さあっと風が吹き、何かの気配にふと目を開ける。 珠紀:……きたか。 飛鳥:好きだあああああああああああ!!!! 珠紀:ッ!! 0:大声とともに人影が珠紀に襲いかかる。間一髪でそれを避けると、一人の忍?がそこにいた。 珠紀:現れたなくせ者め…!! 飛鳥:チッ、外したか。 珠紀:毎度毎度なんなんだ貴様は!いつもそんな大声で奇襲をかけてきて…それでも忍びか? 飛鳥:む、一応心得ているつもりだぞ。証拠にここにたどり着くまで貴様以外にはバレていないだろう?ニンニン。 珠紀:その後にその大声で見つかっているのだから本末転倒だろう阿呆が!! 飛鳥:とにかく!今日こそ俺は、貴様を落とぉぉす!!! 珠紀:はぁ…飽きないな貴様は。毎回言っていることだが、私にそんな気はさらさらない。だいたい私達は警備と侵入者、仇同士だぞ?何がどうなって愛だの恋だのと言う話になるのだ。 飛鳥:そんなもの関係ない!!2人の想いがあれば、立場などなんてことは無いだろう! 珠紀:その想いが1人分しかないから言っておるのだが? 飛鳥:はぁ!?何を言っている!俺はこんなにも愛していると言っているではないか!!まだ足りぬというのか!? 珠紀:逆だ逆!誰が貴様を想うか! 飛鳥:む?なんだそういうことか……。それなら問題ない、俺が2人分出してやろう。 珠紀:意味がわからないぞ!? 飛鳥:そう照れるな、愛いだけだぞ。 珠紀:呆れているのだたわけが…。しかし今宵は随分と余裕そうではないか。 飛鳥:そうか?俺は貴様を前にしただけで胸がスキップしているのだが。 珠紀:抜かせ。そうか、そんなにかまって欲しいのか?いいだろう、遊んでやる。 飛鳥:くくく…嬉しいねぇ。だが、いつまでその余裕を貫けるかな? 珠紀:何…? 飛鳥:今日の俺には、これがあるからなぁ!! 珠紀:なっ…!そ、それは…!! 飛鳥:ふはははは!さすがの貴様も知っていたか!!恋刀…こいつで胸を貫かれた者は、刀の持ち主のことが気になって気になって仕方がなくなる! 飛鳥:さらに持ち主が意中の相手を刺した場合、その効果は何百倍にもなり、ついには恋に落とすことすら出来る!! 珠紀:恋刀、だと…なぜ貴様がそんなものを…。最近は取り締まられて、表舞台から姿を消したと聞いていたが…。 飛鳥:貴様を落とすためならば手段は選ばないさ! 珠紀:くそっ…!ゲスめ……!そんなことまでして旦那様の首を取りたいのか……!! 飛鳥:…ん?何を言っているのだ貴様は。 珠紀:…は? 飛鳥:旦那の首?いつ俺がそんなことを言った。 珠紀:え……は?旦那様の首を取るために、私を手篭めにして裏切らせようとしていたのではないのか…? 飛鳥:本当に何を言っているのだ。俺はいつも言っていただろう、貴様を好いていると。俺が欲しいのは旦那の首なんかではない、貴様自身だ。 珠紀:………は、はぁ!?そ、そそそそんなこと、信じるわけがないだろう!! 飛鳥:なぜだ!?!?こんなにも真っ直ぐに愛を伝えていると言うのに!!!  珠紀:それがおかしいと言っているのだ!!!どこにす、すす、好きな女…を手に入れるためだけに、わざわざこんな時間に厳重な警備がされている屋敷に忍び込む馬鹿がいる!! 飛鳥:……………………ここにいるが? 珠紀:ああそうだなこの大馬鹿者め!! 0:二人の大声に気づいたのか、屋敷の方が騒がしくなってきた。それに気付いた飛鳥が改めて刀を構え直す。 飛鳥:さて…そろそろ時間が惜しくなってきたな。ゆくぞ、覚悟……!! 珠紀:くっ…速い……!!また腕を上げたか…! 飛鳥:脚では…? 珠紀:いちいち煩いなお前は!!お前がボケの大渋滞を起こすせいで私の役の消費カロリーえげつないことになってるだろうが!!! 珠紀:………はっ!いかんいかん、またペースに呑まれるところだった。そう思い通りには、させない!! 飛鳥:がッ……!!薙刀、だと…!?どっから出した! 珠紀:ずっと私の片手にあったが…もう突っ込まんぞ…。 飛鳥:そうか!貴様があまりにも眩しくて見落としていた! 珠紀:ああそうかありがとうそして黙れ!とにかくだ!貴様の恋刀は短剣、この薙刀の前ではもはや無力!いつも逃げられてばかりでは旦那様に顔向けできないからな。今日こそ大人しく捕まってもらうぞ。 飛鳥:可愛らしい上に、逞しい……。なんて…なんて美しいんだ!!!愛している、嫁に来い!! 珠紀:真面目な顔して何を口走ってるのだ貴様は!! 飛鳥:何!?口付けしたい!? 珠紀:口走っているだ阿呆が!! 飛鳥:そうかそうか貴様の望みなら大歓迎だ!さあしよう今すぐにしようついでに結婚しよう!! 珠紀:なっ…!?なるほど、それだけ余裕だと言いたいんだな…?ではこれは、どうだっ!! 0:両腕を広げて無防備に近づいてくる飛鳥に引きつつ、珠紀が突きを繰り出す。しかし飛鳥はそれを軽い身のこなしでかわしてみせる。 飛鳥:うおっ!?っと……ふぅ、危ない危ない。 珠紀:チッ、避けたか。流石にただの阿呆というわけではないようだな。 飛鳥:これでも忍の端くれ、見くびってもらっては困る。だが…これは手を抜いている場合ではないな。 珠紀:当たり前だろう。本気を出さずに私を倒せると思うなよ?私はそんなに安くない。 飛鳥:……っははは!!それでこそ俺が愛した、マイハニーだッ!! 珠紀:ッ!!……やっと本気か。いい顔だ、待っていたぞ…! 0:飛鳥の雰囲気が変わったことに気づき、珠紀も薙刀を構える手に一層力を込める。激しくぶつかり合う刀が派手に音を立てる。 飛鳥:立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花!まさに貴様のための言葉だな!!きっと倒れた姿は蓮の花のように美しいのだろう!! 珠紀:よく口が回る奴だ、ならば貴様は蝶といったところか?できればそのまま、飛び去ってほしいものだが…! 飛鳥:ははっ!美しい例えをしてくれるではないか!!実は貴様も、満更でもないのではないか…!? 珠紀:戯言を!貴様の真似をしたまでだッ! 0:ガキンッと音を立てて、飛鳥の剣を珠紀が受け止める。二人の顔が鼻がふれてしまうほどまで近づき、飛鳥が一瞬息を呑んだ。 飛鳥:ぐっ… 珠紀:どうした、攻め込んでおいて受け身か?いいだろう、ならば私から… 飛鳥:ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!! 0:珠紀が脚に力を込めさらに顔が近づきそうになった瞬間、突然飛鳥が大声を上げながら後ろに吹っ飛ぶ。無論珠紀は何もしていない。 珠紀:は? 飛鳥:がはっ……ふ、不意打ちとは……やるな………。 珠紀:え?…いや、私はまだ何も 飛鳥:そんな可愛らしい顔を至近距離で見たら心臓が止まるだろうふざけるな!!!! 珠紀:ほんッとに何がしたいんだ貴様は!!!!! 飛鳥:ハァッ……ハァッ………。まだバクバクいってるぞ……なんて破壊力だ…。さすが美しすぎる見張り役、家で出迎えてほしい美人ランキング第一位…。 珠紀:ちょっと待てなんだそのランキングは!どこで集計したんだ!! 飛鳥:全俺から取ったに決まっているだろうふざけるな好きだ!! 珠紀:えぇ…吐血しながら言われても…。 0:よろよろと立ち上がる飛鳥をちょっと引いた目で見る珠紀。まあ最初から引いてるけど。そして飛鳥が無駄にいい顔をあげると、そのいつになく真剣な顔に珠紀はほんの少しだけどきっとする。 珠紀:っ 飛鳥:……ひとつ、聞かせてくれないか。 珠紀:ん…なんだ。 飛鳥:もし俺も貴様もただの平民で、普通に出会っていたとして……愛していると伝えていたら、貴様はどうしていた? 珠紀:……な、何を言っているんだ。そんな例え話 飛鳥:俺は本気だ。 珠紀:え… 飛鳥:俺は貴様を愛している。真剣な顔も、呆れた顔も、愛してると言った時に慌てて少し目をそらすその仕草も、全てを愛している。……本気で、嫁にしたいと思っている。 珠紀:わ、わかった……わかったから、近寄るな…… 飛鳥:本当はこんなカラクリなんかに頼らなくても惚れてほしいと思っている。愛してほしいと思っているのだ。……なぁ、貴様は俺の事、どう思っている? 珠紀:何を言って…私は貴様など… 飛鳥:俺は貴様を心の底から慕っている!貴様がもし他の男と一緒になったと思うと…俺は……。頼む、俺に貴様の気持ちを聞かせてはくれないか…? 珠紀:ち、近いって……そんなの、わ、わかんないし……… 0:真剣な顔でまっすぐ熱い視線を向ける飛鳥と、真っ赤な顔を手で隠しながら恐る恐る様子を窺う珠紀。お互いの心臓の音が煩く響く。 0:間 飛鳥:隙ありぃぃぃぃぃぃぃいいいい!!!!! 珠紀:あっっっっっっっぶねぇえナイスキャッチぃぃぃいいいいいいいい!!!!! 飛鳥:ちぇっ 珠紀:ちぇっじゃねぇよちぇっじゃあ!!!汚いぞやり口が!!! 飛鳥:何!?正攻法だろう!! 珠紀:あれだけ戯言を抜かしておいて何が正攻法だ!! 飛鳥:嘘ではない本気だ!!全て嘘偽りない、貴様を想う誠の気持ちだ! 珠紀:うるさいうるさい黙れ!!貴様の言葉など信じるものか!! 飛鳥:なっ…!俺は本気で貴様だけを愛している!俺では駄目なのか!? 珠紀:黙れと言ってるだろこの馬鹿アホ変態ハゲオヤジ…!! 飛鳥:は、ハゲオヤジはやめろよ!見ろふっさふさだろうが!! 0:勢いに任せて言い合った二人がゼエゼエと息を荒げていると、騒ぎを聞き付けた見張り達が駆けつけてくる。睨み合っていた2人だったが忍が捨て台詞を吐いて逃げようとする 飛鳥:くそ…もう集まってきやがったか。今日はこれくらいにしておいてやる!明日こそ貴様を惚れさせてやるからなぁ!! 珠紀:あっ、待て! 飛鳥:はははは!申し訳ないが、いくら貴様の頼みといえどそれは聞けないなぁ! 珠紀:くそっ逃がすか! 0:珠紀がぶんっとふるった薙刀を間一髪でかわす飛鳥。 飛鳥:くっ…!さすがは俺が見染めた人、俺じゃなければ命中していただろう! 珠紀:なーんて、なっ…! 飛鳥:がぁっ………!? 0:逃がしたと見えた飛鳥の背中に、珠紀が隠し持っていた短剣が刺さる。しかし血は一滴も出ていない。 珠紀:捕まってもらう、と言っただろう? 飛鳥:き、貴様…まさか……!! 珠紀:貴様が恋刀を出してきた時は焦ったぞ…まさか同じことを考えていたとはな。 飛鳥:なぜ、貴様がそれを……一体どこで…… 珠紀:結局似たもの同士ということだ。…この私を惚れさせたんだ、一生かけて愛してもらうぞ?ダーリン♡

珠紀:恋。それは不確かなものでありながら、人の心を簡単に支配してしまう呪いのようなもの。時には世界をひっくり返してしまうほどの力さえあるという。 飛鳥:そんな人の想いが渦巻く、とある時代のとある土地。一人の忍が、愚かにも恋をした。これは、そんな2人の恋の駆け引きの物語。 珠紀:月と恋と、戯言と。 0:午前零時前、東の中門。見張りの交代のため、珠紀が持ち場に歩いてくる 珠紀:おーい。ご苦労、交代だ。 珠紀:さて…っと。おお、今宵は満月か。美しいな。 珠紀:いつもこれくらい穏やかな夜なら、この仕事も楽なのだがなぁ…。 0:少し息をつき目を閉じる。さあっと風が吹き、何かの気配にふと目を開ける。 珠紀:……きたか。 飛鳥:好きだあああああああああああ!!!! 珠紀:ッ!! 0:大声とともに人影が珠紀に襲いかかる。間一髪でそれを避けると、一人の忍?がそこにいた。 珠紀:現れたなくせ者め…!! 飛鳥:チッ、外したか。 珠紀:毎度毎度なんなんだ貴様は!いつもそんな大声で奇襲をかけてきて…それでも忍びか? 飛鳥:む、一応心得ているつもりだぞ。証拠にここにたどり着くまで貴様以外にはバレていないだろう?ニンニン。 珠紀:その後にその大声で見つかっているのだから本末転倒だろう阿呆が!! 飛鳥:とにかく!今日こそ俺は、貴様を落とぉぉす!!! 珠紀:はぁ…飽きないな貴様は。毎回言っていることだが、私にそんな気はさらさらない。だいたい私達は警備と侵入者、仇同士だぞ?何がどうなって愛だの恋だのと言う話になるのだ。 飛鳥:そんなもの関係ない!!2人の想いがあれば、立場などなんてことは無いだろう! 珠紀:その想いが1人分しかないから言っておるのだが? 飛鳥:はぁ!?何を言っている!俺はこんなにも愛していると言っているではないか!!まだ足りぬというのか!? 珠紀:逆だ逆!誰が貴様を想うか! 飛鳥:む?なんだそういうことか……。それなら問題ない、俺が2人分出してやろう。 珠紀:意味がわからないぞ!? 飛鳥:そう照れるな、愛いだけだぞ。 珠紀:呆れているのだたわけが…。しかし今宵は随分と余裕そうではないか。 飛鳥:そうか?俺は貴様を前にしただけで胸がスキップしているのだが。 珠紀:抜かせ。そうか、そんなにかまって欲しいのか?いいだろう、遊んでやる。 飛鳥:くくく…嬉しいねぇ。だが、いつまでその余裕を貫けるかな? 珠紀:何…? 飛鳥:今日の俺には、これがあるからなぁ!! 珠紀:なっ…!そ、それは…!! 飛鳥:ふはははは!さすがの貴様も知っていたか!!恋刀…こいつで胸を貫かれた者は、刀の持ち主のことが気になって気になって仕方がなくなる! 飛鳥:さらに持ち主が意中の相手を刺した場合、その効果は何百倍にもなり、ついには恋に落とすことすら出来る!! 珠紀:恋刀、だと…なぜ貴様がそんなものを…。最近は取り締まられて、表舞台から姿を消したと聞いていたが…。 飛鳥:貴様を落とすためならば手段は選ばないさ! 珠紀:くそっ…!ゲスめ……!そんなことまでして旦那様の首を取りたいのか……!! 飛鳥:…ん?何を言っているのだ貴様は。 珠紀:…は? 飛鳥:旦那の首?いつ俺がそんなことを言った。 珠紀:え……は?旦那様の首を取るために、私を手篭めにして裏切らせようとしていたのではないのか…? 飛鳥:本当に何を言っているのだ。俺はいつも言っていただろう、貴様を好いていると。俺が欲しいのは旦那の首なんかではない、貴様自身だ。 珠紀:………は、はぁ!?そ、そそそそんなこと、信じるわけがないだろう!! 飛鳥:なぜだ!?!?こんなにも真っ直ぐに愛を伝えていると言うのに!!!  珠紀:それがおかしいと言っているのだ!!!どこにす、すす、好きな女…を手に入れるためだけに、わざわざこんな時間に厳重な警備がされている屋敷に忍び込む馬鹿がいる!! 飛鳥:……………………ここにいるが? 珠紀:ああそうだなこの大馬鹿者め!! 0:二人の大声に気づいたのか、屋敷の方が騒がしくなってきた。それに気付いた飛鳥が改めて刀を構え直す。 飛鳥:さて…そろそろ時間が惜しくなってきたな。ゆくぞ、覚悟……!! 珠紀:くっ…速い……!!また腕を上げたか…! 飛鳥:脚では…? 珠紀:いちいち煩いなお前は!!お前がボケの大渋滞を起こすせいで私の役の消費カロリーえげつないことになってるだろうが!!! 珠紀:………はっ!いかんいかん、またペースに呑まれるところだった。そう思い通りには、させない!! 飛鳥:がッ……!!薙刀、だと…!?どっから出した! 珠紀:ずっと私の片手にあったが…もう突っ込まんぞ…。 飛鳥:そうか!貴様があまりにも眩しくて見落としていた! 珠紀:ああそうかありがとうそして黙れ!とにかくだ!貴様の恋刀は短剣、この薙刀の前ではもはや無力!いつも逃げられてばかりでは旦那様に顔向けできないからな。今日こそ大人しく捕まってもらうぞ。 飛鳥:可愛らしい上に、逞しい……。なんて…なんて美しいんだ!!!愛している、嫁に来い!! 珠紀:真面目な顔して何を口走ってるのだ貴様は!! 飛鳥:何!?口付けしたい!? 珠紀:口走っているだ阿呆が!! 飛鳥:そうかそうか貴様の望みなら大歓迎だ!さあしよう今すぐにしようついでに結婚しよう!! 珠紀:なっ…!?なるほど、それだけ余裕だと言いたいんだな…?ではこれは、どうだっ!! 0:両腕を広げて無防備に近づいてくる飛鳥に引きつつ、珠紀が突きを繰り出す。しかし飛鳥はそれを軽い身のこなしでかわしてみせる。 飛鳥:うおっ!?っと……ふぅ、危ない危ない。 珠紀:チッ、避けたか。流石にただの阿呆というわけではないようだな。 飛鳥:これでも忍の端くれ、見くびってもらっては困る。だが…これは手を抜いている場合ではないな。 珠紀:当たり前だろう。本気を出さずに私を倒せると思うなよ?私はそんなに安くない。 飛鳥:……っははは!!それでこそ俺が愛した、マイハニーだッ!! 珠紀:ッ!!……やっと本気か。いい顔だ、待っていたぞ…! 0:飛鳥の雰囲気が変わったことに気づき、珠紀も薙刀を構える手に一層力を込める。激しくぶつかり合う刀が派手に音を立てる。 飛鳥:立てば芍薬座れば牡丹、歩く姿は百合の花!まさに貴様のための言葉だな!!きっと倒れた姿は蓮の花のように美しいのだろう!! 珠紀:よく口が回る奴だ、ならば貴様は蝶といったところか?できればそのまま、飛び去ってほしいものだが…! 飛鳥:ははっ!美しい例えをしてくれるではないか!!実は貴様も、満更でもないのではないか…!? 珠紀:戯言を!貴様の真似をしたまでだッ! 0:ガキンッと音を立てて、飛鳥の剣を珠紀が受け止める。二人の顔が鼻がふれてしまうほどまで近づき、飛鳥が一瞬息を呑んだ。 飛鳥:ぐっ… 珠紀:どうした、攻め込んでおいて受け身か?いいだろう、ならば私から… 飛鳥:ぐわぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!! 0:珠紀が脚に力を込めさらに顔が近づきそうになった瞬間、突然飛鳥が大声を上げながら後ろに吹っ飛ぶ。無論珠紀は何もしていない。 珠紀:は? 飛鳥:がはっ……ふ、不意打ちとは……やるな………。 珠紀:え?…いや、私はまだ何も 飛鳥:そんな可愛らしい顔を至近距離で見たら心臓が止まるだろうふざけるな!!!! 珠紀:ほんッとに何がしたいんだ貴様は!!!!! 飛鳥:ハァッ……ハァッ………。まだバクバクいってるぞ……なんて破壊力だ…。さすが美しすぎる見張り役、家で出迎えてほしい美人ランキング第一位…。 珠紀:ちょっと待てなんだそのランキングは!どこで集計したんだ!! 飛鳥:全俺から取ったに決まっているだろうふざけるな好きだ!! 珠紀:えぇ…吐血しながら言われても…。 0:よろよろと立ち上がる飛鳥をちょっと引いた目で見る珠紀。まあ最初から引いてるけど。そして飛鳥が無駄にいい顔をあげると、そのいつになく真剣な顔に珠紀はほんの少しだけどきっとする。 珠紀:っ 飛鳥:……ひとつ、聞かせてくれないか。 珠紀:ん…なんだ。 飛鳥:もし俺も貴様もただの平民で、普通に出会っていたとして……愛していると伝えていたら、貴様はどうしていた? 珠紀:……な、何を言っているんだ。そんな例え話 飛鳥:俺は本気だ。 珠紀:え… 飛鳥:俺は貴様を愛している。真剣な顔も、呆れた顔も、愛してると言った時に慌てて少し目をそらすその仕草も、全てを愛している。……本気で、嫁にしたいと思っている。 珠紀:わ、わかった……わかったから、近寄るな…… 飛鳥:本当はこんなカラクリなんかに頼らなくても惚れてほしいと思っている。愛してほしいと思っているのだ。……なぁ、貴様は俺の事、どう思っている? 珠紀:何を言って…私は貴様など… 飛鳥:俺は貴様を心の底から慕っている!貴様がもし他の男と一緒になったと思うと…俺は……。頼む、俺に貴様の気持ちを聞かせてはくれないか…? 珠紀:ち、近いって……そんなの、わ、わかんないし……… 0:真剣な顔でまっすぐ熱い視線を向ける飛鳥と、真っ赤な顔を手で隠しながら恐る恐る様子を窺う珠紀。お互いの心臓の音が煩く響く。 0:間 飛鳥:隙ありぃぃぃぃぃぃぃいいいい!!!!! 珠紀:あっっっっっっっぶねぇえナイスキャッチぃぃぃいいいいいいいい!!!!! 飛鳥:ちぇっ 珠紀:ちぇっじゃねぇよちぇっじゃあ!!!汚いぞやり口が!!! 飛鳥:何!?正攻法だろう!! 珠紀:あれだけ戯言を抜かしておいて何が正攻法だ!! 飛鳥:嘘ではない本気だ!!全て嘘偽りない、貴様を想う誠の気持ちだ! 珠紀:うるさいうるさい黙れ!!貴様の言葉など信じるものか!! 飛鳥:なっ…!俺は本気で貴様だけを愛している!俺では駄目なのか!? 珠紀:黙れと言ってるだろこの馬鹿アホ変態ハゲオヤジ…!! 飛鳥:は、ハゲオヤジはやめろよ!見ろふっさふさだろうが!! 0:勢いに任せて言い合った二人がゼエゼエと息を荒げていると、騒ぎを聞き付けた見張り達が駆けつけてくる。睨み合っていた2人だったが忍が捨て台詞を吐いて逃げようとする 飛鳥:くそ…もう集まってきやがったか。今日はこれくらいにしておいてやる!明日こそ貴様を惚れさせてやるからなぁ!! 珠紀:あっ、待て! 飛鳥:はははは!申し訳ないが、いくら貴様の頼みといえどそれは聞けないなぁ! 珠紀:くそっ逃がすか! 0:珠紀がぶんっとふるった薙刀を間一髪でかわす飛鳥。 飛鳥:くっ…!さすがは俺が見染めた人、俺じゃなければ命中していただろう! 珠紀:なーんて、なっ…! 飛鳥:がぁっ………!? 0:逃がしたと見えた飛鳥の背中に、珠紀が隠し持っていた短剣が刺さる。しかし血は一滴も出ていない。 珠紀:捕まってもらう、と言っただろう? 飛鳥:き、貴様…まさか……!! 珠紀:貴様が恋刀を出してきた時は焦ったぞ…まさか同じことを考えていたとはな。 飛鳥:なぜ、貴様がそれを……一体どこで…… 珠紀:結局似たもの同士ということだ。…この私を惚れさせたんだ、一生かけて愛してもらうぞ?ダーリン♡