台本概要
687 views
タイトル | Baroque-バロック- |
---|---|
作者名 | しーたけ (@shiitake8888888) |
ジャンル | ミステリー |
演者人数 | 3人用台本(男3) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
【上演許可】無料配信での利用(投げ銭は有料に含みません)に関しては連絡なしで使って頂いて構いません。 よければDMなどでお知らせ頂くと作者の励みになります。 【アドリブ】過度なアドリブ、改変はNGです。語尾などを少し変える等は各自の判断にお任せします。 【性別変更】作中のキャラの性別も変更〇(名前だけ読み替えして下されば)。演者様が異なる性別を演じて頂いてもかまいません。 【上演時間】約18分 【男女比】♂3(変更可) 687 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
ジョエル | 男 | 36 | ハウスで育った16歳の男の子 |
キース | 男 | 56 | ハウスで育った16歳の男の子 |
ニック | 男 | 49 | ハウスで育った16歳の男の子。キレやすい。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
:場面1モノローグ
:
ジョエル:生まれた場所も親も違うのに俺たちは家族として育った。
キース:俺達が育ったのはボロい『ハウス』と呼ばれる養育施設。掃除、洗濯、料理、下の年齢のチビ達の世話。全部俺達、子供でやった。
ニック:施設に大人は2人いた。『父さん』と『母さん』だ。奴らはろくに働きもせずに国から施設に給付されている金のほぼ全てを私腹を肥やすのに使っていた。
ジョエル:この世界には階級がある。目には見えず誰が上、誰が下と誰かが言った訳ではないが、存在している階級というものが。
:
キース:まともな教育も受けさせて貰えず、親も家もない俺たちが施設を出て他で生きていける筈もなく、俺達は施設に居続けた。
ニック:『16歳になったら国から金が出なくなる、だからお前らはもう用済みだ。』そう言って『父さん』と『母さん』はいきなり俺達3人を施設から追い出した。
ジョエル:腹が減った。吹き抜ける風は身を震わせ、雨は凍えるように冷たかった。
:
キース:それでもなんとか生きていられたのは、俺達3人が家族だったからだ。
ニック:食べる為に俺達は盗みを覚えた。3人で組めば難しくはなかった。
ジョエル:盗みさえすれば腹が減るのはしのげた。でも住む場所は俺たちの盗みではどうにもならない。
キース:金が要る。これ以上冬の寒さが厳しくなる前に住み処を借りられるだけの金が。
ニック:金か…。銀行……なんて襲って成功するとは思えない。金。金!
ニック:……あるじゃないか。あいつらの所には『俺達の生活を守る為の金』が!!
ジョエル:『父さん』と『母さん』は自分達の寝室の床下にお金を隠している。
キース:掃除の途中にたまたまそれをみつけた俺達はあいつらに何度も強く、強く叩かれた。
ニック:あいつらは二ヵ月に一度、国から施設への給付日に、必ず街に出かけていくのだ。帰るのは早くて真夜中。日が昇ってから帰る事だって珍しくはなかった。
ジョエル:次の給付日は三日後。
キース:あいつらが出掛けて、チビ達が寝静まったら。
ニック:あの金を奪って、他の街に逃げよう。そして温かい家を借りるんだ。
:
:場面2深夜の街中
― 3人が息を切らして駆け込んでくる。
ニック:…はぁ……はぁ、どうして、どうしてあいつらが『ハウス』にいるんだ?!
キース:……はぁはぁ、知らねえよそんなもの!!
ニック:あいつらが給付日に出掛けずに『ハウス』にいるなんて。こんな事今までなかっただろう?
ジョエル:俺…、俺…刺した……父さんと母さんを……。
キース:ジョエル!しっかりしろ!!
ジョエル:……だ、だって!!手に血が…血が…!
ニック:さっき川で流しただろう!血なんてもう付いてない!!
キース:そうだジョエル。それにあんな奴ら殺されて当然なんだ!お前は悪くない!!
ニック:そうだ。それにナイフでやれたのは良かった。
ジョエル:えっ?
ニック:もし鉢合わせたのが俺だったらこの銃であいつらを撃っちまってたからな、そしたら銃声で通報されてとっくに捕まっていたかもしれない。
キース:あぁ、確かに。
ジョエル:……。
キース:明日の朝にはきっとあいつらの死体が発見される。そしたら逃げられなくなる!
ニック:あぁ、早くこの金を持って街を出るぞ!!
ジョエル:……。
キース:ジョエル!いつまでそんな所で呆けているんだ!逃げるんだよ!!
ジョエル:……。
ニック:ジョエル!時間がねぇんだ!早く立て!!
ジョエル:うるさいな!!……お前らはいいよ!お前らは人を刺したナイフの感触も知らないし、人を殺した事の重みだって分からないだろ!!
ニック:なんだと!
キース:ニックやめろよ!!
ニック:ちっ!(舌打ちする。)
:
ニック:俺はむしろ俺の手であいつらを仕留めてやりたかったよ。
ジョエル:……?!
キース:ニック!やめろって!
ニック:は?なんで止めなきゃいけねぇんだよ?お前らだってあいつらの事憎んでただろ?
キース:それは……。
ニック:なんだよ!自分はいい子ちゃん気取って、そんな事して褒めてくれる父さんも母さんも俺らにはいねぇんだよ。
キース:誰もいい子ちゃんなんか気取ってない!
ニック:は、いっちょ前に怒ったのか?よい子のキース君!
キース:てめぇ!!
ジョエル:いい加減にしてよ!!
キース:……!?
ニック:!?ジョ、ジョエル…おい!ナイフなんてこっち向けるなよ……。
ジョエル:は、はぁ、はぁぁ、はぁ。(徐々に息遣いが荒くなる。)
キース:ジョエル、ナイフから手を放して。
ジョエル:……指が!!はぁ、はぁ。(息遣いがますます荒くなる。)
ニック:ジョエル。動くなよ!ほら、そっと一本ずつこうやってナイフから指を外すんだ。な?
ジョエル:……はぁ、、、はぁ。(息遣いが少し和らぐ。)
ニック:落ち着いたか?
ジョエル:う、うん。ありがとう。
:
ニック:このナイフは、キースお前が持っとけ。
キース:えっ!?
ニック:お前武器何も持ってないだろ?
キース:……。
ニック:なんだ?ビビっちまってんのか?
キース:そんなんじゃない!
ニック:まさか、自分は手を汚さず俺らにだけ手を汚させようと思ってたとかじゃないんだろ?
キース:そんな事思ってない!!
ニック:そういえばお前、最初から武器を持とうとしなかったもんな。
キース:それは……。
ニック:良い子ちゃんは武器なんて持てませーん。てか?
キース:ふざけるな!!
ニック:……。
キース:なんだよ!俺の事じっと睨みつけやがって!
ニック:??もしかしてお前か?
キース:は?何がだよ?
ニック:ずっと考えてたんだあいつらが『ハウス』にいたのは事前に俺らの計画を知ってたんじゃないかって。
ジョエル:計画を?
ニック:そうだ誰かがこの計画をあいつらに知らせてた、だからあいつらが給付日にも関わらず『ハウス』にいた。
ジョエル:馬鹿言うなよ!この計画を知ってるのは俺たち3人だけ……。
ニック:そーだよ。だからこの3人の中に裏切り者がいるんだろ?だから、あいつらがこの計画を知って金を守ろうと。
キース:そんな訳ないだろ?!この3人の中に裏切り者なんている訳ない!!
ニック:なら、なんで武器を用意しなかった?あいつらを傷つけ無いように、わざと用意できないふりをしたんだろう!
キース:そうじゃない!そうじゃないんだ!!
ニック:なんだよ?なら理由を言ってみろ。
キース:こ、怖かったんだよ!
ニック:怖かっただぁ?
キース:そりゃあ怖いよ!俺はお前みたいに暴力でなんでも解決しようっていう野蛮な奴じゃないんだ!!
ニック:なんだと?!
キース:ほら、またカッとなって、お前みたいなのは何も考えず武器だって用意できるだろうけどな、俺にはそんな事出来ねぇんだよ!
ニック:は?だから、自分可愛さにあいつらに媚び売って自分だけあいつらに養って貰おうってそういう算段か?
キース:ニック!!よくそんな事が思いつくな。むしろお前が裏切者だったりしてな!
ニック:俺が裏切者?!そんなわけねぇだろ!!
キース:どーだか、俺を裏切者だと思わせて自分が裏切者だとバレないようにしてるんだろ?!
ニック:お前こそ俺を裏切者に仕立てるつもりだろうが!!
キース:おい、裏切者のニック君。ご褒美にあいつらから何を貰うんですかー?
ニック:キース!!お前ぇ、撃ち殺してやる!!(キースに向けて銃を構える)
キース:ニック?!ま、待て!!
ジョエル:ニック!!やめてよ!(ニックを止めようと縋り付く。)
ニック:ジョエル!放せ!!こいつが、裏切りやがったんだ!だからあいつらが!!
キース:俺は裏切ってない!!
ニック:くそがぁぁぁ!!
:
:― ニックが発砲し、弾がキースの太腿に当たる。
キース:うあああぁぁぁ!!痛てぇ!!
ジョエル:キース!!
キース:来るな!!ジョエル、お前までニックに撃たれる!!
ニック:あっ!あぁぁぁ!!
キース:ニック落ち着け!……落ち着いて、銃を置けよ。
ニック:キ、キース……。
キース:相変わらず、…頭に血がのぼると何しでかすか分かんねぇんだから。
ニック:……お、俺。
キース:いいから銃置けよ。な?
ニック:あ、……あぁ。
キース:……よし。そしたらこの脚の付け根のところ、ベルトか何かで縛ってくれ。
ニック:……。
キース:早くしてくれよ。このままじゃ出血多量であいつらの後を追っちまうわ。
ニック:わ、わかっt
:
:― 銃声が響く。
キース:?!ニック…??
:
:― 頭を撃ち抜かれたニックがその場に倒れる。
ジョエル:キース、何その間抜け面。
キース:ジョエル?ニックが、え?なんで?は?今なにが……
ジョエル:自分が撃たれた時には冷静だったのに、今回は随分と取り乱すじゃないか。
キース:ニックが……。ジョエル、今ニックが撃たれたんだ。
ジョエル:あぁ、知ってるよ。僕がこの銃でニックの頭をぶち抜いたんだから。
キース:ジョエルが?
ジョエル:うん。当たるかどうか不安だったけど、見て見て、見事命中!
キース:……ジョエル、どうして?
ジョエル:まだ分かってないのかな?裏切り者は俺だよ。
キース:えっ??
ジョエル:俺がお前らを裏切って父さんと母さんにこの計画をバラしたの。
キース:な、なんでそんな事。
ジョエル:だって、父さんと母さんはきっとそれを望むから。
キース:だから俺らを裏切ったってのか?
ジョエル:うん。
キース:俺らは家族だってお前は言ってたじゃないかよ。
ジョエル:家族だと思ってたよ。でも父さんと母さんを困らせようとするなら、もう違う。
キース:あの二人ならお前が殺したよな?
ジョエル:やっぱりそう見えた?
キース:えっ…?だって血が辺り一面に広がって……
ジョエル:あれね、豚の血なんだ。ニックがどこかから銃なんてパクって来やがったから。こいつ短気だろ?
ジョエル:もしこいつが父さんと母さんに会っちゃったらいきなりバーン!なんてやりかねない。それじゃあ父さんと母さんが殺されちゃうからね。
ジョエル:だから、皮の袋に豚の血を入れてその部分を俺が刺したんだ。死んだと思わせときゃあ、わざわざ撃ったりしないだろう?
キース:ジョエル!!
ジョエル:このまま放っておいても出血多量で死ぬだろうけど、元家族のよしみだ。今楽にしてあげるね。
:
:― 銃声が響く。
ジョエル:バイバイ!2人であの世でも仲良くしなきゃ駄目だよ。このお金はちゃんと父さんと母さんに返しておくからね。
ジョエル:さぁ、父さんと母さんの部屋を掃除しなくっちゃ!綺麗にできたら褒めてくれるかな?
:
:― ジョエルの笑い声が響きそして遠ざかる。
:―
:― 完
:場面1モノローグ
:
ジョエル:生まれた場所も親も違うのに俺たちは家族として育った。
キース:俺達が育ったのはボロい『ハウス』と呼ばれる養育施設。掃除、洗濯、料理、下の年齢のチビ達の世話。全部俺達、子供でやった。
ニック:施設に大人は2人いた。『父さん』と『母さん』だ。奴らはろくに働きもせずに国から施設に給付されている金のほぼ全てを私腹を肥やすのに使っていた。
ジョエル:この世界には階級がある。目には見えず誰が上、誰が下と誰かが言った訳ではないが、存在している階級というものが。
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キース:まともな教育も受けさせて貰えず、親も家もない俺たちが施設を出て他で生きていける筈もなく、俺達は施設に居続けた。
ニック:『16歳になったら国から金が出なくなる、だからお前らはもう用済みだ。』そう言って『父さん』と『母さん』はいきなり俺達3人を施設から追い出した。
ジョエル:腹が減った。吹き抜ける風は身を震わせ、雨は凍えるように冷たかった。
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キース:それでもなんとか生きていられたのは、俺達3人が家族だったからだ。
ニック:食べる為に俺達は盗みを覚えた。3人で組めば難しくはなかった。
ジョエル:盗みさえすれば腹が減るのはしのげた。でも住む場所は俺たちの盗みではどうにもならない。
キース:金が要る。これ以上冬の寒さが厳しくなる前に住み処を借りられるだけの金が。
ニック:金か…。銀行……なんて襲って成功するとは思えない。金。金!
ニック:……あるじゃないか。あいつらの所には『俺達の生活を守る為の金』が!!
ジョエル:『父さん』と『母さん』は自分達の寝室の床下にお金を隠している。
キース:掃除の途中にたまたまそれをみつけた俺達はあいつらに何度も強く、強く叩かれた。
ニック:あいつらは二ヵ月に一度、国から施設への給付日に、必ず街に出かけていくのだ。帰るのは早くて真夜中。日が昇ってから帰る事だって珍しくはなかった。
ジョエル:次の給付日は三日後。
キース:あいつらが出掛けて、チビ達が寝静まったら。
ニック:あの金を奪って、他の街に逃げよう。そして温かい家を借りるんだ。
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:場面2深夜の街中
― 3人が息を切らして駆け込んでくる。
ニック:…はぁ……はぁ、どうして、どうしてあいつらが『ハウス』にいるんだ?!
キース:……はぁはぁ、知らねえよそんなもの!!
ニック:あいつらが給付日に出掛けずに『ハウス』にいるなんて。こんな事今までなかっただろう?
ジョエル:俺…、俺…刺した……父さんと母さんを……。
キース:ジョエル!しっかりしろ!!
ジョエル:……だ、だって!!手に血が…血が…!
ニック:さっき川で流しただろう!血なんてもう付いてない!!
キース:そうだジョエル。それにあんな奴ら殺されて当然なんだ!お前は悪くない!!
ニック:そうだ。それにナイフでやれたのは良かった。
ジョエル:えっ?
ニック:もし鉢合わせたのが俺だったらこの銃であいつらを撃っちまってたからな、そしたら銃声で通報されてとっくに捕まっていたかもしれない。
キース:あぁ、確かに。
ジョエル:……。
キース:明日の朝にはきっとあいつらの死体が発見される。そしたら逃げられなくなる!
ニック:あぁ、早くこの金を持って街を出るぞ!!
ジョエル:……。
キース:ジョエル!いつまでそんな所で呆けているんだ!逃げるんだよ!!
ジョエル:……。
ニック:ジョエル!時間がねぇんだ!早く立て!!
ジョエル:うるさいな!!……お前らはいいよ!お前らは人を刺したナイフの感触も知らないし、人を殺した事の重みだって分からないだろ!!
ニック:なんだと!
キース:ニックやめろよ!!
ニック:ちっ!(舌打ちする。)
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ニック:俺はむしろ俺の手であいつらを仕留めてやりたかったよ。
ジョエル:……?!
キース:ニック!やめろって!
ニック:は?なんで止めなきゃいけねぇんだよ?お前らだってあいつらの事憎んでただろ?
キース:それは……。
ニック:なんだよ!自分はいい子ちゃん気取って、そんな事して褒めてくれる父さんも母さんも俺らにはいねぇんだよ。
キース:誰もいい子ちゃんなんか気取ってない!
ニック:は、いっちょ前に怒ったのか?よい子のキース君!
キース:てめぇ!!
ジョエル:いい加減にしてよ!!
キース:……!?
ニック:!?ジョ、ジョエル…おい!ナイフなんてこっち向けるなよ……。
ジョエル:は、はぁ、はぁぁ、はぁ。(徐々に息遣いが荒くなる。)
キース:ジョエル、ナイフから手を放して。
ジョエル:……指が!!はぁ、はぁ。(息遣いがますます荒くなる。)
ニック:ジョエル。動くなよ!ほら、そっと一本ずつこうやってナイフから指を外すんだ。な?
ジョエル:……はぁ、、、はぁ。(息遣いが少し和らぐ。)
ニック:落ち着いたか?
ジョエル:う、うん。ありがとう。
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ニック:このナイフは、キースお前が持っとけ。
キース:えっ!?
ニック:お前武器何も持ってないだろ?
キース:……。
ニック:なんだ?ビビっちまってんのか?
キース:そんなんじゃない!
ニック:まさか、自分は手を汚さず俺らにだけ手を汚させようと思ってたとかじゃないんだろ?
キース:そんな事思ってない!!
ニック:そういえばお前、最初から武器を持とうとしなかったもんな。
キース:それは……。
ニック:良い子ちゃんは武器なんて持てませーん。てか?
キース:ふざけるな!!
ニック:……。
キース:なんだよ!俺の事じっと睨みつけやがって!
ニック:??もしかしてお前か?
キース:は?何がだよ?
ニック:ずっと考えてたんだあいつらが『ハウス』にいたのは事前に俺らの計画を知ってたんじゃないかって。
ジョエル:計画を?
ニック:そうだ誰かがこの計画をあいつらに知らせてた、だからあいつらが給付日にも関わらず『ハウス』にいた。
ジョエル:馬鹿言うなよ!この計画を知ってるのは俺たち3人だけ……。
ニック:そーだよ。だからこの3人の中に裏切り者がいるんだろ?だから、あいつらがこの計画を知って金を守ろうと。
キース:そんな訳ないだろ?!この3人の中に裏切り者なんている訳ない!!
ニック:なら、なんで武器を用意しなかった?あいつらを傷つけ無いように、わざと用意できないふりをしたんだろう!
キース:そうじゃない!そうじゃないんだ!!
ニック:なんだよ?なら理由を言ってみろ。
キース:こ、怖かったんだよ!
ニック:怖かっただぁ?
キース:そりゃあ怖いよ!俺はお前みたいに暴力でなんでも解決しようっていう野蛮な奴じゃないんだ!!
ニック:なんだと?!
キース:ほら、またカッとなって、お前みたいなのは何も考えず武器だって用意できるだろうけどな、俺にはそんな事出来ねぇんだよ!
ニック:は?だから、自分可愛さにあいつらに媚び売って自分だけあいつらに養って貰おうってそういう算段か?
キース:ニック!!よくそんな事が思いつくな。むしろお前が裏切者だったりしてな!
ニック:俺が裏切者?!そんなわけねぇだろ!!
キース:どーだか、俺を裏切者だと思わせて自分が裏切者だとバレないようにしてるんだろ?!
ニック:お前こそ俺を裏切者に仕立てるつもりだろうが!!
キース:おい、裏切者のニック君。ご褒美にあいつらから何を貰うんですかー?
ニック:キース!!お前ぇ、撃ち殺してやる!!(キースに向けて銃を構える)
キース:ニック?!ま、待て!!
ジョエル:ニック!!やめてよ!(ニックを止めようと縋り付く。)
ニック:ジョエル!放せ!!こいつが、裏切りやがったんだ!だからあいつらが!!
キース:俺は裏切ってない!!
ニック:くそがぁぁぁ!!
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:― ニックが発砲し、弾がキースの太腿に当たる。
キース:うあああぁぁぁ!!痛てぇ!!
ジョエル:キース!!
キース:来るな!!ジョエル、お前までニックに撃たれる!!
ニック:あっ!あぁぁぁ!!
キース:ニック落ち着け!……落ち着いて、銃を置けよ。
ニック:キ、キース……。
キース:相変わらず、…頭に血がのぼると何しでかすか分かんねぇんだから。
ニック:……お、俺。
キース:いいから銃置けよ。な?
ニック:あ、……あぁ。
キース:……よし。そしたらこの脚の付け根のところ、ベルトか何かで縛ってくれ。
ニック:……。
キース:早くしてくれよ。このままじゃ出血多量であいつらの後を追っちまうわ。
ニック:わ、わかっt
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:― 銃声が響く。
キース:?!ニック…??
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:― 頭を撃ち抜かれたニックがその場に倒れる。
ジョエル:キース、何その間抜け面。
キース:ジョエル?ニックが、え?なんで?は?今なにが……
ジョエル:自分が撃たれた時には冷静だったのに、今回は随分と取り乱すじゃないか。
キース:ニックが……。ジョエル、今ニックが撃たれたんだ。
ジョエル:あぁ、知ってるよ。僕がこの銃でニックの頭をぶち抜いたんだから。
キース:ジョエルが?
ジョエル:うん。当たるかどうか不安だったけど、見て見て、見事命中!
キース:……ジョエル、どうして?
ジョエル:まだ分かってないのかな?裏切り者は俺だよ。
キース:えっ??
ジョエル:俺がお前らを裏切って父さんと母さんにこの計画をバラしたの。
キース:な、なんでそんな事。
ジョエル:だって、父さんと母さんはきっとそれを望むから。
キース:だから俺らを裏切ったってのか?
ジョエル:うん。
キース:俺らは家族だってお前は言ってたじゃないかよ。
ジョエル:家族だと思ってたよ。でも父さんと母さんを困らせようとするなら、もう違う。
キース:あの二人ならお前が殺したよな?
ジョエル:やっぱりそう見えた?
キース:えっ…?だって血が辺り一面に広がって……
ジョエル:あれね、豚の血なんだ。ニックがどこかから銃なんてパクって来やがったから。こいつ短気だろ?
ジョエル:もしこいつが父さんと母さんに会っちゃったらいきなりバーン!なんてやりかねない。それじゃあ父さんと母さんが殺されちゃうからね。
ジョエル:だから、皮の袋に豚の血を入れてその部分を俺が刺したんだ。死んだと思わせときゃあ、わざわざ撃ったりしないだろう?
キース:ジョエル!!
ジョエル:このまま放っておいても出血多量で死ぬだろうけど、元家族のよしみだ。今楽にしてあげるね。
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:― 銃声が響く。
ジョエル:バイバイ!2人であの世でも仲良くしなきゃ駄目だよ。このお金はちゃんと父さんと母さんに返しておくからね。
ジョエル:さぁ、父さんと母さんの部屋を掃除しなくっちゃ!綺麗にできたら褒めてくれるかな?
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:― ジョエルの笑い声が響きそして遠ざかる。
:―
:― 完