台本概要

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タイトル 「私の天使。」パラレルバージョン「私の願い。」
作者名 なぎ@泣き虫保護者  (@fuyu_number10)
ジャンル その他
演者人数 3人用台本(男1、女2)
時間 30 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 かつて病気で喪った弟の蒼を、クローン技術でよみがえらせた姉の志津香だが、蒼は逃げ出してしまった。
呆れながらも蒼を探し出した志津香の想いは。

当台本は拙作「私の天使。」のパラレルワールドのお話となります。
よろしければ是非、「私の天使。」シリーズもお楽しみください。

※台本をご利用になる際は、Twitterにてぜひお報せくださいませ。
お伺いできる限り聴かせていただければと存じます。

なお、特に商用利用の場合において、著作権は放棄していません。無断での転載はお断りします。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
志津香 72 玖珂 志津香(くが しづか):姉弟の姉。弟の蒼をクローン技術でよみがえらせる。あふれ出る姉感。
106 玖珂 蒼(くが あおい):姉弟の弟。病気で一度亡くなったが、志津香によってよみがえる。頼りない感じ。見た目はさわやか系。
明梨 59 星谷 明梨(ほしや あかり):蒼と仲のいいクラスメイトだったが、蒼の死により蒼より年上になってしまった。よみがえった蒼とも仲良し。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:「私の天使。」パラレルバージョン「私の願い。」 志津香:(N)「さがさないでください。」病室に、置き手紙。 志津香:  志津香:(N)ここを出たところで、行く場所なんてないのに。 志津香:  志津香:(N)とはいえ困ったことになった。あの子を探し出さないと。 蒼:(N)「さがさないでください。」お手紙を置いて、病室を出た。 蒼:  蒼:(N)これから、どこに行けばいいだろう。僕は、いったいどうして、 蒼:  蒼:(N)こんなところにいるんだろう。自分がここに居ることが、怖い。 志津香:あーもー、どこ行ったんだっての・・・。 蒼:(うわ、もうあんなに近くに来てるの!?) 志津香:ってまぁ・・・ここが逃げ場のない屋上、ってことくらいはあの子でも分かるか。 蒼:(ううう・・・実はそこの近くの給水塔に居ます・・・) 志津香:逃げ場がない、ってことは、ここにはいない、ってことかな。さてと。 蒼:(ふぅ、良かった・・・今のうちに移動して・・・)って!!うわぁ!! 志津香:ふっふっふ、おバカだなー蒼は・・・こんなフェイントに引っかかるなんてね。 蒼:あ、あはは・・・。 0:(間) 志津香:(N)アタシの名前は玖珂 志津香(くが しずか)。医療の研究の仕事をしている。 志津香:  志津香:(N)そして、今アタシの目の前にチョコンと座っているこの子は、弟の玖珂 蒼(くが あおい)。 志津香:  志津香:(N)まぁこの子はずいぶん前に病気で亡くなってしまい、目の前にいるのは私が作り出したクローンなわけだが・・・。 志津香:  志津香:んで?(呆れながら)どうして逃げようとしたの・・・。 蒼:だ、だって・・・怖かったんだもん。僕、死んだはずなのに・・・ 蒼:  蒼:目が覚めたらお姉ちゃんがいて、でもここって家でもないし・・・。 志津香:それで? 蒼:・・・怖く、なっちゃって。 志津香:・・・そっか。そりゃそうだね。ふむ・・・えいっ。 蒼:ぅふわっ!? 志津香:んふふ、蒼って可愛いなぁ・・・よしよし、いい子だねぇ~。 蒼:お姉ちゃ、これ、くるし・・・ぎぶ、ギブ・・・。 志津香:なによー、ちょっと抱きしめてナデナデしてあげただけじゃない・・・。 蒼:は、恥ずかしいって!! 志津香:(一つ息を吐く)いい、蒼? 蒼:あ、うん。 志津香:アタシは蒼がいなくなったあの日のことを、まだ忘れてない。 蒼:・・・うん。 志津香:蒼の病気が進行していって、死んでしまうのを何もできずに、みてた。 蒼:・・・。 志津香:その時にね、アタシは決めたのよ。蒼のことを絶対によみがえらせる、ってね。 蒼:お姉ちゃん・・・。 志津香:だから、あの時からアタシが死ぬくらい勉強して、やっとこうやって蒼にまた会えたんだよ。 蒼:うん・・・。 志津香:それなのにアンタときたら・・・ちょっとはアタシを頼ってよ・・・。 蒼:ぅ、えっと・・・それは・・・。 志津香:恥ずかしい? 蒼:・・・うん。 志津香:言っておくけどね、アタシはアンタの身体の隅々まで知ってるのよ。今更じゃない? 蒼:えええ・・・。 志津香:えー、じゃない!何回も言うけど、アタシはアンタの「お姉ちゃん」なんだよ、実の! 蒼:でも・・・僕は1回死んでしまってるんでしょ・・・それに、それから何年も経ってるのに・・・。 志津香:だーかーら、アタシがアンタの面倒見るって、これも何回も言ったよ? 蒼:んー、でも・・・お姉ちゃんはその・・・好きな人とか、いないの?結婚とか、しないの? 志津香:・・・(表情はだんだんとジト目になる)。 蒼:お姉ちゃんが結婚しちゃったら、僕やっぱり一人になっちゃうし・・・。 志津香:・・・ていっ! 0:志津香が軽く蒼のおでこにチョップを食らわせる。 蒼:いたーっ!!?? 志津香:蒼はそんな心配しなくっていいの!アタシのことなんだと思ってるのさ。 志津香:  志津香:アンタの一人暮らしの世話くらいするわよ!ってか今は彼氏なんていないし、 志津香:  志津香:結婚なんてその時になったら考える! 蒼:あ、あぅ・・・。 志津香:蒼!分かった!? 蒼:はいぃ・・・。 志津香:よろしい(ふんす、と鼻を鳴らす)。 0:場面転換。数日後。 志津香:さてっと、今日の検査はこれで全部終わりね。 志津香:ところでさー? 志津香:蒼はさ、やりたい事とか、行きたいところとか、ないの? 蒼:うーん・・・急に言われても・・・ 0:こんこん、と部屋の扉がノックされる。 志津香:はーい、開いてるよー。 0:扉が開き、蒼より少し年上の女の子が部屋に入ってくる。 明梨:志津香せんせー、蒼君、こんにちは! 志津香:おー、きたかー。 蒼:明梨ちゃん!こんにちはー! 志津香:で、どうしたの明梨ちゃん?もう検査とか全部終わったから、 志津香:蒼の勉強の時間にしようと思ってたんだけど・・・? 志津香:  志津香:(N)部屋に入ってきたこの子は星谷 明梨(ほしや あかり)。 志津香:  志津香:(N)蒼がこの病院兼研究所で知り合った女の子だ。 志津香:  志津香:(N)最近は蒼と一緒にゲームしたり、本の貸し借りをしているようだ。 明梨:あのですね・・・えっと・・・ 蒼:明梨ちゃん? 明梨:志津香せんせー、蒼君をお借りできませんか? 志津香:蒼を貸す?どういうこと? 明梨:蒼君と、・・・その、デート!したいです! 蒼:ええええ?! 志津香:ほうほう!?(身を乗り出す) 明梨:だめ、・・・ですか?蒼君! 蒼:(あわあわしている) 志津香:あー、ダメだこいつ・・・。 明梨:あの、志津香せんせー、蒼君がいつも同じ服着てるので・・・その・・・ 志津香:まぁこの子「一応」入院中だしね・・・。 明梨:なので、その・・・蒼君の服を選んであげたくって・・・外出のお許しがいただければと思って・・・。 志津香:(しばし考えて)まぁ明梨ちゃんなら大丈夫か、いいよ。 明梨:ほんとですか? 蒼:ええー! 志津香:蒼、嫌なの? 蒼:いっ、いや、じゃない、けど・・・。 明梨:蒼君!蒼君の服、かっこいいの探しましょう!?ねっ? 蒼:えぅ、あの、明梨ちゃん・・・? 明梨:(圧を強めに)なぁに?蒼君! 志津香:蒼、諦めなって。服代くらいアタシが出すから。 蒼:ううう・・・。 0:(間)場面転換。駅前のショッピングモール 明梨:蒼君、お待たせしました! 蒼:あ、明梨ちゃん・・・。だだっ、大丈夫、僕も今来たところ、だから・・・。 蒼:  蒼:(N)今日の明梨ちゃん、おめかししてて・・・何だか、いつもと違って・・・可愛い・・・。 明梨:あの、蒼君、緊張してます? 蒼:あ、やー!(ごまかすように)うん、ちょっと・・・ね・・・ 蒼:  蒼:こういうところ、あんまり来たことないし・・・それに、デート、って・・・言ってたから・・・ 明梨:えっと、異性と遊びに行くので、デート、ですよねっ!? 蒼:ぁう・・・そうなの? 明梨:そうですよ!さ、蒼君の服、買いに行きましょう! 0:(間) 明梨:蒼君はさわやか系なので、ちょっと落ち着いた感じの色遣いがいいかも。 明梨:  明梨:これからあったかくなりますし、春夏のコーデでいきましょう。 蒼:あの、明梨ちゃん、僕ファッションは全然ダメなんだけど、大丈夫かな・・・? 明梨:大丈夫ですよ!私にお任せです!あ、でも着てみたい服があれば教えてくださいね! 蒼:あ、うん・・・。 明梨:んーと、こっちのボーダーか、それともこっちのシャツか・・・あ、ジャケットとかも面白いかも!? 蒼:え・・・面白い・・・? 明梨:蒼君!このセットで着てみてください! 蒼:あ、明梨ちゃん、「面白い」ってなに?! 明梨:え?「面白い」は面白い、ですよ?じゃあ、ドア閉めますね! 蒼:・・・。(服のかかったハンガーを両手で持って固まる) 明梨:蒼君!着替え終わったら、見せて下さいね! 蒼:あ、うん。 0:(間) 明梨:(N)蒼君、すごく緊張してるなー・・・この後どうしようかな。 明梨:  明梨:(N)お昼ご飯食べて、モールをぶらぶらしようかなー? 明梨:  明梨:(N)それともお昼はテイクアウトして、公園でのんびりピクニックとかのほうがいいかなー? 明梨:  明梨:(N)おいしいコーヒーか何かを持ちながら二人っきりで・・・キャ~! 蒼:あの、明梨ちゃん? 明梨:あっ、はい!今行きますね! 蒼:これ・・・どうかなぁ・・・? 明梨:うん!素敵ですよ!サイズは大丈夫ですか?? 蒼:うん、サイズはぴったりなんだ。でも、ヘンじゃない? 明梨:んーん!やっぱりとっても似合ってますよ!うん! 蒼:そうなんだ・・・。 明梨:じゃあこれ全部買ってしまいましょう! 蒼:明梨ちゃんが言うのなら大丈夫だよね。じゃあそうしよう! 明梨:はい! 0:(間) 蒼:結構すんなりと決まっちゃったね~。さすが明梨ちゃん。 明梨:え!そうですか?そんな、誉めても何も出ないですよ? 蒼:んーん、今度また色々教えてね? 明梨:もちろんです!蒼君にはこれからもかっこよくいて欲しいですし! 蒼:あはは、なんだかくすぐったいなー。 明梨:(小声で)蒼君がいてくれて嬉しいのは、志津香せんせーだけじゃないですからね・・・。 蒼:明梨ちゃん? 明梨:あっ、いえ、次はどうしましょう・・・そろそろお昼時ですけど・・・。 蒼:それだったらごはんにする? 明梨:そうですね!実は私、お腹ペコペコなんですよ。 蒼:え!それなら言ってくれたらよかったのに! 明梨:いえいえ、蒼君の服を選んでるときは楽しくって、お腹空いてるのに気づかなかったんですよ? 蒼:だめだよー!食べることはとっても大事なんだから! 明梨:蒼君・・・? 蒼:おなかがすいたら、ちゃんと教えてね! 明梨:うん、・・・あ、でもそういうこと言うのって、結構ハードルが・・・ 蒼:むー(とほほを膨らませる) 明梨:・・・はい・・・。 0:(間)場面転換、病院兼研究所、志津香の研究室 志津香:・・・あの子たちは今頃何してんのかなぁ・・・。 志津香:  志津香:まぁ明梨ちゃんなら、と思って送り出したはいいけど・・・ 志津香:  志津香:代わってくれないかなぁ・・・アタシも蒼の服選びたかったなぁ・・・。 0:(回想シーン) 志津香:蒼ー、次はこれ! 蒼:えー・・・お姉ちゃん、まだ着るのぉ~? 志津香:うんうん、蒼は何でも似合うんだよ! 蒼:んー、僕はどれでもいいんだけど・・・。 志津香:そんなこと言ってるとモテないぞ・・・? 蒼:うー・・・それは、やだ・・・。 志津香:あはは、だから今から服もちゃんと選んでいこー! 0:(回想終了) 志津香:はぁ・・・(苦笑して)蒼のこと、また着せ替え人形にしそうだな。んーっ(伸びをする)・・・コーヒー、淹れてくるか。 0:(間)場面転換。蒼と明梨。 明梨:(N)ミラノサンドとカフェオレを二人分注文して、蒼君と公園のベンチで一休みです。 明梨:  明梨:蒼君、疲れてませんか?大丈夫? 蒼:うん、平気。明梨ちゃんも大丈夫? 明梨:はい、えへへ、蒼君は優しいですね。 蒼:そうかなー?あ、明梨ちゃん、ちょっとじっとしてて! 明梨:え?何ですかあおいく・・・んっ・・・? 蒼:マヨネーズ、口についてたよー。 明梨:えっ・・・やだ、恥ずかしい・・・。 明梨:  明梨:(N)ううう、ちょっとでもチューされるのかと思った自分こそが恥ずかしい・・・。 蒼:・・・あ・・・ちゃん、明梨ちゃん? 明梨:はいっ!はい?なんですか? 蒼:顔、真っ赤だよ・・・ホントにだいじょぶ?熱はない? 明梨:あ、えっと、これはですね、そう!今日はちょっと暖かいので!えへへ! 蒼:んー?だったらいいんだけど・・・。 明梨:えへへ、でも今日は本当に暖かいですよねー。 蒼:うん、そうだね。もうすぐ桜の季節なのかなー? 明梨:そうかもしれませんね。蒼君は桜、好きなんですか? 蒼:うん、なんていうか、ちょっとの間しか咲いてないでしょ? 明梨:そうですね。 蒼:でも、咲いてから散るまでずっと綺麗だから、そういうのも好きだし・・・。 明梨:うんうん。 蒼:だけど・・・僕が死んじゃったとき、ぎりぎりで桜が見れなかったんだって。 明梨:蒼君・・・。 蒼:だから、んーっと・・・気持ちのどこかに憧れ?かな?そういうのがあるのかなって。 明梨:そっか・・・そうなんですね・・・。 蒼:えと・・・ごめんね、なんだか暗い話しちゃった。 明梨:いえいえ、蒼君のコトがまた知れて良かったです!桜・・・一緒に見ましょうね。 蒼:明梨ちゃん?お花見に行くの? 明梨:それも素敵ですけど・・・これから先、ずっと。毎年、春には二人で桜を見ませんか? 蒼:・・・それって。 明梨:蒼君・・・私、蒼君が好きです!私とお付き合いしてください! 蒼:ふぁ、え?! 明梨:お返事は、いつでもいいです!私、待ってますから。でも・・・これからも一緒に、色んなことしましょうね! 蒼:ん、うん・・・。 明梨:えへへ、・・・実は蒼君に告白するのは2回目、なんですよ? 蒼:え!? 明梨:蒼君のお返事を聞けないまま、蒼君が、・・・いなくなっちゃったので・・・。 蒼:んと・・・ごめんね、思い出せないや・・・。 明梨:いいんですよ!今目の前にいる蒼君も、ちゃんと私は好きなので! 蒼:明梨ちゃん・・・ありがとうね。 0:(間)場面転換。病院兼研究所、志津香の研究室 蒼:ただいまー。 明梨:ただいま戻りました!志津香せんせー、蒼君をお返しにきました! 志津香:うん、おかえり二人とも。案外早かったね。 蒼:暗くなる前に帰ろうね、って決めてたんだ。 志津香:いい服、見つかった? 明梨:はい! 志津香:(蒼に)明梨ちゃん、妙に機嫌良さそうだけど、何かあったの? 蒼:へ?!あー・・・。 志津香:(にやけながら)後で聞かせなさいね。 蒼:・・・はいぃ・・・。 志津香:明梨ちゃん、蒼が迷惑かけなかった?大丈夫? 明梨:はい!大丈夫ですよ!えへへ、とっても楽しかったです! 志津香:ならよかった。また誘ってやってね。 明梨:いいんですか? 志津香:そりゃあもちろん。 明梨:ありがとうございます!では、私はこれで。蒼君も、またね! 蒼:あ、うん。またね。 0:部屋のドアが閉まる。 志津香:・・・で? 蒼:え? 志津香:え?じゃないよ。明梨ちゃんと何してきたの? 蒼:えっと・・・服を選んでもらって、モールにあるカフェでお昼ご飯を買って、公園でそれを食べて・・・。 志津香:・・・あとは? 蒼:・・・それだけ! 志津香:ほんとに?蒼、まばたきが急に増えたねぇ? 蒼:え? 志津香:昔っからアンタは隠し事とかしてるときはまばたきが多くなるんだ。(ふざけ気味に)えっへっへ。蒼!白状しろー! 0:志津香、蒼の脇腹をくすぐる。 蒼:んぐ、ひゃ!くすぐったい!お姉ちゃん!やめてってば! 志津香:言わないとずっとこのままだよ?ほらほら! 蒼:ううっふ、言う、言います!言うから助けて・・・!! 志津香:・・・ふむ。聞きましょう? 蒼:えっと・・・その・・・明梨ちゃんに・・・好きって言われて・・・。 志津香:うん。だろうね。 蒼:え? 志津香:アタシを何だと思ってるのよー。明梨ちゃん、なんかすごい「いい顔」だったじゃない。で?蒼はどう答えたの? 蒼:・・・あのね。 志津香:んー? 蒼:僕が死んじゃう前に、明梨ちゃん、僕に一回告白してくれてたんだって。 蒼:  蒼:でも、そのこと全然覚えてなくって。だから・・・びっくりしたのと、 蒼:  蒼:覚えてなくてごめんなさいってしか言えなくて・・・。 志津香:そっか。 蒼:うん、それでも明梨ちゃんが、返事は待ってくれるって・・・。 志津香:蒼はどうしたいの? 蒼:・・・。 志津香:アタシはね、蒼がもし明梨ちゃんとお付き合いする、っていうなら、全力で応援するよ? 蒼:でも・・・。 志津香:アタシが蒼をよみがえらせたのはね、単純にアタシが蒼を好きで、 志津香:  志津香:一緒に居たかったからだけじゃないの。 蒼:? 志津香:病気で生きられなかった分を、ちゃんと取り戻してほしい。 志津香:  志津香:そのためならアタシは何だってする、そう決めてきたんだよ。 蒼:お姉ちゃん・・・。 志津香:明梨ちゃんなら、ちゃんと待ってくれるから、どっちにしても、よーく考えて、しっかり応えてあげなね。 蒼:・・・(しっかりうなずく)うん。 志津香:よろしい。(ふぅ、と一息ついてから)あーおい! 蒼:わっ!? 志津香:おーよしよし!今日はお疲れ様だったね!いい子いい子! 蒼:お姉ちゃ!?ちょ、くるし・・・。 志津香:んー?ぎゅーっ! 蒼:あぅ・・・! 志津香:(N)蒼の胸に耳をあてて、とく、とく、という鼓動を聴く。 志津香:  志津香:(N)今ここに蒼がいるのは、蒼と一緒に居たいのは、どこまで行っても私のわがままでしかない。 志津香:  志津香:(N)だけれど、それでも。 蒼:ちょっと、お姉ちゃんってば・・・? 志津香:(N)私は心の底から、蒼に幸せになってほしい。 志津香:  志津香:(N)明梨ちゃんが蒼に好意を寄せているのは、とっくの昔に知っていた。だから。 蒼:お姉ちゃん?聞いてる? 志津香:(N)もし二人がくっついて幸せになるのなら。 蒼:・・・お姉ちゃん・・・もう、抱き着いたまま寝ないでよ・・・。 志津香:(N)私の願いは・・・きっと、神様に届いたんだ、と思う。 蒼:お姉ちゃん・・・ありがとね・・・! 0:おしまい。

0:「私の天使。」パラレルバージョン「私の願い。」 志津香:(N)「さがさないでください。」病室に、置き手紙。 志津香:  志津香:(N)ここを出たところで、行く場所なんてないのに。 志津香:  志津香:(N)とはいえ困ったことになった。あの子を探し出さないと。 蒼:(N)「さがさないでください。」お手紙を置いて、病室を出た。 蒼:  蒼:(N)これから、どこに行けばいいだろう。僕は、いったいどうして、 蒼:  蒼:(N)こんなところにいるんだろう。自分がここに居ることが、怖い。 志津香:あーもー、どこ行ったんだっての・・・。 蒼:(うわ、もうあんなに近くに来てるの!?) 志津香:ってまぁ・・・ここが逃げ場のない屋上、ってことくらいはあの子でも分かるか。 蒼:(ううう・・・実はそこの近くの給水塔に居ます・・・) 志津香:逃げ場がない、ってことは、ここにはいない、ってことかな。さてと。 蒼:(ふぅ、良かった・・・今のうちに移動して・・・)って!!うわぁ!! 志津香:ふっふっふ、おバカだなー蒼は・・・こんなフェイントに引っかかるなんてね。 蒼:あ、あはは・・・。 0:(間) 志津香:(N)アタシの名前は玖珂 志津香(くが しずか)。医療の研究の仕事をしている。 志津香:  志津香:(N)そして、今アタシの目の前にチョコンと座っているこの子は、弟の玖珂 蒼(くが あおい)。 志津香:  志津香:(N)まぁこの子はずいぶん前に病気で亡くなってしまい、目の前にいるのは私が作り出したクローンなわけだが・・・。 志津香:  志津香:んで?(呆れながら)どうして逃げようとしたの・・・。 蒼:だ、だって・・・怖かったんだもん。僕、死んだはずなのに・・・ 蒼:  蒼:目が覚めたらお姉ちゃんがいて、でもここって家でもないし・・・。 志津香:それで? 蒼:・・・怖く、なっちゃって。 志津香:・・・そっか。そりゃそうだね。ふむ・・・えいっ。 蒼:ぅふわっ!? 志津香:んふふ、蒼って可愛いなぁ・・・よしよし、いい子だねぇ~。 蒼:お姉ちゃ、これ、くるし・・・ぎぶ、ギブ・・・。 志津香:なによー、ちょっと抱きしめてナデナデしてあげただけじゃない・・・。 蒼:は、恥ずかしいって!! 志津香:(一つ息を吐く)いい、蒼? 蒼:あ、うん。 志津香:アタシは蒼がいなくなったあの日のことを、まだ忘れてない。 蒼:・・・うん。 志津香:蒼の病気が進行していって、死んでしまうのを何もできずに、みてた。 蒼:・・・。 志津香:その時にね、アタシは決めたのよ。蒼のことを絶対によみがえらせる、ってね。 蒼:お姉ちゃん・・・。 志津香:だから、あの時からアタシが死ぬくらい勉強して、やっとこうやって蒼にまた会えたんだよ。 蒼:うん・・・。 志津香:それなのにアンタときたら・・・ちょっとはアタシを頼ってよ・・・。 蒼:ぅ、えっと・・・それは・・・。 志津香:恥ずかしい? 蒼:・・・うん。 志津香:言っておくけどね、アタシはアンタの身体の隅々まで知ってるのよ。今更じゃない? 蒼:えええ・・・。 志津香:えー、じゃない!何回も言うけど、アタシはアンタの「お姉ちゃん」なんだよ、実の! 蒼:でも・・・僕は1回死んでしまってるんでしょ・・・それに、それから何年も経ってるのに・・・。 志津香:だーかーら、アタシがアンタの面倒見るって、これも何回も言ったよ? 蒼:んー、でも・・・お姉ちゃんはその・・・好きな人とか、いないの?結婚とか、しないの? 志津香:・・・(表情はだんだんとジト目になる)。 蒼:お姉ちゃんが結婚しちゃったら、僕やっぱり一人になっちゃうし・・・。 志津香:・・・ていっ! 0:志津香が軽く蒼のおでこにチョップを食らわせる。 蒼:いたーっ!!?? 志津香:蒼はそんな心配しなくっていいの!アタシのことなんだと思ってるのさ。 志津香:  志津香:アンタの一人暮らしの世話くらいするわよ!ってか今は彼氏なんていないし、 志津香:  志津香:結婚なんてその時になったら考える! 蒼:あ、あぅ・・・。 志津香:蒼!分かった!? 蒼:はいぃ・・・。 志津香:よろしい(ふんす、と鼻を鳴らす)。 0:場面転換。数日後。 志津香:さてっと、今日の検査はこれで全部終わりね。 志津香:ところでさー? 志津香:蒼はさ、やりたい事とか、行きたいところとか、ないの? 蒼:うーん・・・急に言われても・・・ 0:こんこん、と部屋の扉がノックされる。 志津香:はーい、開いてるよー。 0:扉が開き、蒼より少し年上の女の子が部屋に入ってくる。 明梨:志津香せんせー、蒼君、こんにちは! 志津香:おー、きたかー。 蒼:明梨ちゃん!こんにちはー! 志津香:で、どうしたの明梨ちゃん?もう検査とか全部終わったから、 志津香:蒼の勉強の時間にしようと思ってたんだけど・・・? 志津香:  志津香:(N)部屋に入ってきたこの子は星谷 明梨(ほしや あかり)。 志津香:  志津香:(N)蒼がこの病院兼研究所で知り合った女の子だ。 志津香:  志津香:(N)最近は蒼と一緒にゲームしたり、本の貸し借りをしているようだ。 明梨:あのですね・・・えっと・・・ 蒼:明梨ちゃん? 明梨:志津香せんせー、蒼君をお借りできませんか? 志津香:蒼を貸す?どういうこと? 明梨:蒼君と、・・・その、デート!したいです! 蒼:ええええ?! 志津香:ほうほう!?(身を乗り出す) 明梨:だめ、・・・ですか?蒼君! 蒼:(あわあわしている) 志津香:あー、ダメだこいつ・・・。 明梨:あの、志津香せんせー、蒼君がいつも同じ服着てるので・・・その・・・ 志津香:まぁこの子「一応」入院中だしね・・・。 明梨:なので、その・・・蒼君の服を選んであげたくって・・・外出のお許しがいただければと思って・・・。 志津香:(しばし考えて)まぁ明梨ちゃんなら大丈夫か、いいよ。 明梨:ほんとですか? 蒼:ええー! 志津香:蒼、嫌なの? 蒼:いっ、いや、じゃない、けど・・・。 明梨:蒼君!蒼君の服、かっこいいの探しましょう!?ねっ? 蒼:えぅ、あの、明梨ちゃん・・・? 明梨:(圧を強めに)なぁに?蒼君! 志津香:蒼、諦めなって。服代くらいアタシが出すから。 蒼:ううう・・・。 0:(間)場面転換。駅前のショッピングモール 明梨:蒼君、お待たせしました! 蒼:あ、明梨ちゃん・・・。だだっ、大丈夫、僕も今来たところ、だから・・・。 蒼:  蒼:(N)今日の明梨ちゃん、おめかししてて・・・何だか、いつもと違って・・・可愛い・・・。 明梨:あの、蒼君、緊張してます? 蒼:あ、やー!(ごまかすように)うん、ちょっと・・・ね・・・ 蒼:  蒼:こういうところ、あんまり来たことないし・・・それに、デート、って・・・言ってたから・・・ 明梨:えっと、異性と遊びに行くので、デート、ですよねっ!? 蒼:ぁう・・・そうなの? 明梨:そうですよ!さ、蒼君の服、買いに行きましょう! 0:(間) 明梨:蒼君はさわやか系なので、ちょっと落ち着いた感じの色遣いがいいかも。 明梨:  明梨:これからあったかくなりますし、春夏のコーデでいきましょう。 蒼:あの、明梨ちゃん、僕ファッションは全然ダメなんだけど、大丈夫かな・・・? 明梨:大丈夫ですよ!私にお任せです!あ、でも着てみたい服があれば教えてくださいね! 蒼:あ、うん・・・。 明梨:んーと、こっちのボーダーか、それともこっちのシャツか・・・あ、ジャケットとかも面白いかも!? 蒼:え・・・面白い・・・? 明梨:蒼君!このセットで着てみてください! 蒼:あ、明梨ちゃん、「面白い」ってなに?! 明梨:え?「面白い」は面白い、ですよ?じゃあ、ドア閉めますね! 蒼:・・・。(服のかかったハンガーを両手で持って固まる) 明梨:蒼君!着替え終わったら、見せて下さいね! 蒼:あ、うん。 0:(間) 明梨:(N)蒼君、すごく緊張してるなー・・・この後どうしようかな。 明梨:  明梨:(N)お昼ご飯食べて、モールをぶらぶらしようかなー? 明梨:  明梨:(N)それともお昼はテイクアウトして、公園でのんびりピクニックとかのほうがいいかなー? 明梨:  明梨:(N)おいしいコーヒーか何かを持ちながら二人っきりで・・・キャ~! 蒼:あの、明梨ちゃん? 明梨:あっ、はい!今行きますね! 蒼:これ・・・どうかなぁ・・・? 明梨:うん!素敵ですよ!サイズは大丈夫ですか?? 蒼:うん、サイズはぴったりなんだ。でも、ヘンじゃない? 明梨:んーん!やっぱりとっても似合ってますよ!うん! 蒼:そうなんだ・・・。 明梨:じゃあこれ全部買ってしまいましょう! 蒼:明梨ちゃんが言うのなら大丈夫だよね。じゃあそうしよう! 明梨:はい! 0:(間) 蒼:結構すんなりと決まっちゃったね~。さすが明梨ちゃん。 明梨:え!そうですか?そんな、誉めても何も出ないですよ? 蒼:んーん、今度また色々教えてね? 明梨:もちろんです!蒼君にはこれからもかっこよくいて欲しいですし! 蒼:あはは、なんだかくすぐったいなー。 明梨:(小声で)蒼君がいてくれて嬉しいのは、志津香せんせーだけじゃないですからね・・・。 蒼:明梨ちゃん? 明梨:あっ、いえ、次はどうしましょう・・・そろそろお昼時ですけど・・・。 蒼:それだったらごはんにする? 明梨:そうですね!実は私、お腹ペコペコなんですよ。 蒼:え!それなら言ってくれたらよかったのに! 明梨:いえいえ、蒼君の服を選んでるときは楽しくって、お腹空いてるのに気づかなかったんですよ? 蒼:だめだよー!食べることはとっても大事なんだから! 明梨:蒼君・・・? 蒼:おなかがすいたら、ちゃんと教えてね! 明梨:うん、・・・あ、でもそういうこと言うのって、結構ハードルが・・・ 蒼:むー(とほほを膨らませる) 明梨:・・・はい・・・。 0:(間)場面転換、病院兼研究所、志津香の研究室 志津香:・・・あの子たちは今頃何してんのかなぁ・・・。 志津香:  志津香:まぁ明梨ちゃんなら、と思って送り出したはいいけど・・・ 志津香:  志津香:代わってくれないかなぁ・・・アタシも蒼の服選びたかったなぁ・・・。 0:(回想シーン) 志津香:蒼ー、次はこれ! 蒼:えー・・・お姉ちゃん、まだ着るのぉ~? 志津香:うんうん、蒼は何でも似合うんだよ! 蒼:んー、僕はどれでもいいんだけど・・・。 志津香:そんなこと言ってるとモテないぞ・・・? 蒼:うー・・・それは、やだ・・・。 志津香:あはは、だから今から服もちゃんと選んでいこー! 0:(回想終了) 志津香:はぁ・・・(苦笑して)蒼のこと、また着せ替え人形にしそうだな。んーっ(伸びをする)・・・コーヒー、淹れてくるか。 0:(間)場面転換。蒼と明梨。 明梨:(N)ミラノサンドとカフェオレを二人分注文して、蒼君と公園のベンチで一休みです。 明梨:  明梨:蒼君、疲れてませんか?大丈夫? 蒼:うん、平気。明梨ちゃんも大丈夫? 明梨:はい、えへへ、蒼君は優しいですね。 蒼:そうかなー?あ、明梨ちゃん、ちょっとじっとしてて! 明梨:え?何ですかあおいく・・・んっ・・・? 蒼:マヨネーズ、口についてたよー。 明梨:えっ・・・やだ、恥ずかしい・・・。 明梨:  明梨:(N)ううう、ちょっとでもチューされるのかと思った自分こそが恥ずかしい・・・。 蒼:・・・あ・・・ちゃん、明梨ちゃん? 明梨:はいっ!はい?なんですか? 蒼:顔、真っ赤だよ・・・ホントにだいじょぶ?熱はない? 明梨:あ、えっと、これはですね、そう!今日はちょっと暖かいので!えへへ! 蒼:んー?だったらいいんだけど・・・。 明梨:えへへ、でも今日は本当に暖かいですよねー。 蒼:うん、そうだね。もうすぐ桜の季節なのかなー? 明梨:そうかもしれませんね。蒼君は桜、好きなんですか? 蒼:うん、なんていうか、ちょっとの間しか咲いてないでしょ? 明梨:そうですね。 蒼:でも、咲いてから散るまでずっと綺麗だから、そういうのも好きだし・・・。 明梨:うんうん。 蒼:だけど・・・僕が死んじゃったとき、ぎりぎりで桜が見れなかったんだって。 明梨:蒼君・・・。 蒼:だから、んーっと・・・気持ちのどこかに憧れ?かな?そういうのがあるのかなって。 明梨:そっか・・・そうなんですね・・・。 蒼:えと・・・ごめんね、なんだか暗い話しちゃった。 明梨:いえいえ、蒼君のコトがまた知れて良かったです!桜・・・一緒に見ましょうね。 蒼:明梨ちゃん?お花見に行くの? 明梨:それも素敵ですけど・・・これから先、ずっと。毎年、春には二人で桜を見ませんか? 蒼:・・・それって。 明梨:蒼君・・・私、蒼君が好きです!私とお付き合いしてください! 蒼:ふぁ、え?! 明梨:お返事は、いつでもいいです!私、待ってますから。でも・・・これからも一緒に、色んなことしましょうね! 蒼:ん、うん・・・。 明梨:えへへ、・・・実は蒼君に告白するのは2回目、なんですよ? 蒼:え!? 明梨:蒼君のお返事を聞けないまま、蒼君が、・・・いなくなっちゃったので・・・。 蒼:んと・・・ごめんね、思い出せないや・・・。 明梨:いいんですよ!今目の前にいる蒼君も、ちゃんと私は好きなので! 蒼:明梨ちゃん・・・ありがとうね。 0:(間)場面転換。病院兼研究所、志津香の研究室 蒼:ただいまー。 明梨:ただいま戻りました!志津香せんせー、蒼君をお返しにきました! 志津香:うん、おかえり二人とも。案外早かったね。 蒼:暗くなる前に帰ろうね、って決めてたんだ。 志津香:いい服、見つかった? 明梨:はい! 志津香:(蒼に)明梨ちゃん、妙に機嫌良さそうだけど、何かあったの? 蒼:へ?!あー・・・。 志津香:(にやけながら)後で聞かせなさいね。 蒼:・・・はいぃ・・・。 志津香:明梨ちゃん、蒼が迷惑かけなかった?大丈夫? 明梨:はい!大丈夫ですよ!えへへ、とっても楽しかったです! 志津香:ならよかった。また誘ってやってね。 明梨:いいんですか? 志津香:そりゃあもちろん。 明梨:ありがとうございます!では、私はこれで。蒼君も、またね! 蒼:あ、うん。またね。 0:部屋のドアが閉まる。 志津香:・・・で? 蒼:え? 志津香:え?じゃないよ。明梨ちゃんと何してきたの? 蒼:えっと・・・服を選んでもらって、モールにあるカフェでお昼ご飯を買って、公園でそれを食べて・・・。 志津香:・・・あとは? 蒼:・・・それだけ! 志津香:ほんとに?蒼、まばたきが急に増えたねぇ? 蒼:え? 志津香:昔っからアンタは隠し事とかしてるときはまばたきが多くなるんだ。(ふざけ気味に)えっへっへ。蒼!白状しろー! 0:志津香、蒼の脇腹をくすぐる。 蒼:んぐ、ひゃ!くすぐったい!お姉ちゃん!やめてってば! 志津香:言わないとずっとこのままだよ?ほらほら! 蒼:ううっふ、言う、言います!言うから助けて・・・!! 志津香:・・・ふむ。聞きましょう? 蒼:えっと・・・その・・・明梨ちゃんに・・・好きって言われて・・・。 志津香:うん。だろうね。 蒼:え? 志津香:アタシを何だと思ってるのよー。明梨ちゃん、なんかすごい「いい顔」だったじゃない。で?蒼はどう答えたの? 蒼:・・・あのね。 志津香:んー? 蒼:僕が死んじゃう前に、明梨ちゃん、僕に一回告白してくれてたんだって。 蒼:  蒼:でも、そのこと全然覚えてなくって。だから・・・びっくりしたのと、 蒼:  蒼:覚えてなくてごめんなさいってしか言えなくて・・・。 志津香:そっか。 蒼:うん、それでも明梨ちゃんが、返事は待ってくれるって・・・。 志津香:蒼はどうしたいの? 蒼:・・・。 志津香:アタシはね、蒼がもし明梨ちゃんとお付き合いする、っていうなら、全力で応援するよ? 蒼:でも・・・。 志津香:アタシが蒼をよみがえらせたのはね、単純にアタシが蒼を好きで、 志津香:  志津香:一緒に居たかったからだけじゃないの。 蒼:? 志津香:病気で生きられなかった分を、ちゃんと取り戻してほしい。 志津香:  志津香:そのためならアタシは何だってする、そう決めてきたんだよ。 蒼:お姉ちゃん・・・。 志津香:明梨ちゃんなら、ちゃんと待ってくれるから、どっちにしても、よーく考えて、しっかり応えてあげなね。 蒼:・・・(しっかりうなずく)うん。 志津香:よろしい。(ふぅ、と一息ついてから)あーおい! 蒼:わっ!? 志津香:おーよしよし!今日はお疲れ様だったね!いい子いい子! 蒼:お姉ちゃ!?ちょ、くるし・・・。 志津香:んー?ぎゅーっ! 蒼:あぅ・・・! 志津香:(N)蒼の胸に耳をあてて、とく、とく、という鼓動を聴く。 志津香:  志津香:(N)今ここに蒼がいるのは、蒼と一緒に居たいのは、どこまで行っても私のわがままでしかない。 志津香:  志津香:(N)だけれど、それでも。 蒼:ちょっと、お姉ちゃんってば・・・? 志津香:(N)私は心の底から、蒼に幸せになってほしい。 志津香:  志津香:(N)明梨ちゃんが蒼に好意を寄せているのは、とっくの昔に知っていた。だから。 蒼:お姉ちゃん?聞いてる? 志津香:(N)もし二人がくっついて幸せになるのなら。 蒼:・・・お姉ちゃん・・・もう、抱き着いたまま寝ないでよ・・・。 志津香:(N)私の願いは・・・きっと、神様に届いたんだ、と思う。 蒼:お姉ちゃん・・・ありがとね・・・! 0:おしまい。