台本概要

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タイトル Bloody Wedding
作者名 レイフロ  (@nana75927107)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 政略結婚を迫られたヴィンセンティア王国の王子と、その婚約者である隣国の姫君との初対面。
出逢ってはいけない狂気な二人の、出会いの物語。

↓レイフロ作の声劇台本はHPに全作品載っています。
https://reifuro12daihon.amebaownd.com

↓生声劇で使用時の貼り付け用にどうぞ
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Bloody Wedding
作者:レイフロ
王子♂:
姫♀:
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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
王子 28 ヴィンセンティア王国の王子。戦争が何よりも好き。
27 ヴィンセンティア王国の隣国の姫。赤が好き。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
王子:(N)小さな国々が領土を取り合い、争いが続いていた。昨今(さっこん)、各国のパワーバランスは拮抗(きっこう)しており、睨み合いが続いている。 王子:そんな状況からいち早く脱却するため、ヴィンセンティア王国の国王は、まことしやかに隣国との同盟の話を進めようとしていた。 王子:若き自国の王子と隣国の姫が結婚すれば、国力も、兵力も、領土も二倍。 姫:(N)この話は、政略結婚を迫られた王子と姫の出会いの物語。 0:  0:  王子:(N)ヴィンセンティア王国に密かに招かれた姫は、部屋に入るなり王子の側に立つ従者の腹を短刀で刺した。あまりにも自然な動き、にこやかな表情。 王子:刺された従者はただ目を見開いてその場に崩れ落ちた。流れ出したばかりの血が、ゆっくりと絨毯の繊維を染めていく。 王子:その様子をジッと見つめている姫のうつむいた顔には、長いまつげが影を作っていた。 0:  0:  0:  0:  王子:死体を見つめるあなたの長いまつげは、本当に美しい。 姫:それなら私のまつげと結婚すればいいわ。 王子:はは…姫様も冗談をおっしゃるのですね。 姫:それよりもっと言うことがあるのではなくて? 王子:あなたが私の従者を突然刺し殺したことですか?代わりならいくらでもいますので、どうぞお気になさらず。 姫:驚かないのですね。 王子:あなたの真っ赤なドレスからは、微かに血のニオイがしましたから。 姫:私ったら…恥ずかしいわ。ごめんなさい。ここに来る直前にも人を刺してしまいましたの…きっとその時の返り血ですね。 王子:よいのです。血のニオイはもはや私にとっては香水も同じですから。 0:  姫:あなたは本当にヴィンセンティア王国の王子なのですか? 王子:私の名は、ウィル・エイリアス・ブルームフィールド。 王子:ヴィンセンティア王国の第三王子ですが、「不幸なこと」に二人の兄は死んでしまいまして。 王子:今は私が第一王位継承権を持っています。 姫:不幸なことに…ねぇ? 王子:ええ。「不幸なこと」に。 姫:今、周辺各国の力は拮抗(きっこう)しています。私たちが結婚し、国が一つになれば、コトをすべて優位に進めることで出来るでしょう。 王子:そうなれば、もっと大きな戦争が出来ます。 姫:大国が相手ともなれば、交渉でも小さな国々は折れるところもありましょう。あなたはなぜ戦争をしたいのですか? 王子:交渉などという生易(なまやさ)しいことでは、機を見て裏切られるのがオチです。 王子:武力で持って圧倒的な力の差を示しておかなければ、後が恐い。一見平和になってから起こる反乱など、国民たちにも不安が広がるでしょう。 王子:ですから、今戦争を起こすのは『真の平和を築くため』…ですよ。 姫:プッ…ウフフ。あなたも冗談をおっしゃるのね。 王子:はは、面白かったでしょう? 姫:ええ。平和のため、国民のため、だなんて。ウフフ。あなたはただ、人を殺したいだけだわ。 王子:そうです。それも一人や二人じゃない。山ほどです。 姫:恐い人ね…。 王子:あなたが言いますか。私の従者を突然刺し殺しておいて。 姫:正直なところ、このお部屋の絨毯の色が好きではなくて…。私は赤が好きなのです。ですから、つい。 王子:つい、で人を殺すのは頂けませんよ、姫。 姫:お父様は従者ならいくらでも殺していいとおっしゃったわ? 王子:国王様は姫君に甘くていらっしゃる…。 姫:でも他国の従者を殺したことは反省していますの。本当にごめんなさい。許していただけるかしら。 王子:いいのですよ。私とあなたが結婚すれば、我が国の従者もあなたのものになります。 姫:…そうですね… 王子:私が夫ではご不満ですか? 姫:いいえ、あなたがどうこうというわけではありませんわ。ただ私は…生きている人間が大嫌いなの。 王子:そうですか…。それは…妬いてしまいますね。 姫:え…? 王子:あなたは先ほどからずっと、死んで床に転がっている私の従者から目を離さない。 姫:それは…っ。だって、ごらんになって?この男は死んだのに、血はどんどん絨毯を伝って広がっていく。 姫:もう動かないのに、死んでいるのに、まるで生きているみたいにじわじわと血液だけが広がって…美しいと思わない? 王子:血の流れる温かい死体がお好みなのですね。 姫:ええ、そうよ。 0:  王子:では今度の戦争はあなたのために起こしましょう。 姫:私のため…? 王子:乾いた荒野が何万という人の血で潤う様は圧巻(あっかん)ですよ。 姫:…っ(顔を上げる) 王子:ようやく私のほうを向いて下さいましたね。 姫:あなた…目が… 王子:なにか? 姫:ウフフ……まるで死体のようなその漆黒の瞳に一体何を宿(やど)しているの? 姫:ウィル・エイリアス・ブルームフィールド王子。 王子:どうか、ウィルとお呼びください。 姫:…ウィル… 王子:我が姫。むせ返るような血の海で、結婚式を挙げましょう。 王子:純白のウェディングドレスがじわじわと血を吸い取り、真っ赤に染まった時、あなたは死に包まれる…。 姫:ああ、ウィル…とても素敵だわ! 0:  0: 王子:共に、無意味で、無慈悲で、残酷な殺戮を。 0:  0:  姫:死が二人を分かつまで。 0:  0:  0:  0:  0:了

王子:(N)小さな国々が領土を取り合い、争いが続いていた。昨今(さっこん)、各国のパワーバランスは拮抗(きっこう)しており、睨み合いが続いている。 王子:そんな状況からいち早く脱却するため、ヴィンセンティア王国の国王は、まことしやかに隣国との同盟の話を進めようとしていた。 王子:若き自国の王子と隣国の姫が結婚すれば、国力も、兵力も、領土も二倍。 姫:(N)この話は、政略結婚を迫られた王子と姫の出会いの物語。 0:  0:  王子:(N)ヴィンセンティア王国に密かに招かれた姫は、部屋に入るなり王子の側に立つ従者の腹を短刀で刺した。あまりにも自然な動き、にこやかな表情。 王子:刺された従者はただ目を見開いてその場に崩れ落ちた。流れ出したばかりの血が、ゆっくりと絨毯の繊維を染めていく。 王子:その様子をジッと見つめている姫のうつむいた顔には、長いまつげが影を作っていた。 0:  0:  0:  0:  王子:死体を見つめるあなたの長いまつげは、本当に美しい。 姫:それなら私のまつげと結婚すればいいわ。 王子:はは…姫様も冗談をおっしゃるのですね。 姫:それよりもっと言うことがあるのではなくて? 王子:あなたが私の従者を突然刺し殺したことですか?代わりならいくらでもいますので、どうぞお気になさらず。 姫:驚かないのですね。 王子:あなたの真っ赤なドレスからは、微かに血のニオイがしましたから。 姫:私ったら…恥ずかしいわ。ごめんなさい。ここに来る直前にも人を刺してしまいましたの…きっとその時の返り血ですね。 王子:よいのです。血のニオイはもはや私にとっては香水も同じですから。 0:  姫:あなたは本当にヴィンセンティア王国の王子なのですか? 王子:私の名は、ウィル・エイリアス・ブルームフィールド。 王子:ヴィンセンティア王国の第三王子ですが、「不幸なこと」に二人の兄は死んでしまいまして。 王子:今は私が第一王位継承権を持っています。 姫:不幸なことに…ねぇ? 王子:ええ。「不幸なこと」に。 姫:今、周辺各国の力は拮抗(きっこう)しています。私たちが結婚し、国が一つになれば、コトをすべて優位に進めることで出来るでしょう。 王子:そうなれば、もっと大きな戦争が出来ます。 姫:大国が相手ともなれば、交渉でも小さな国々は折れるところもありましょう。あなたはなぜ戦争をしたいのですか? 王子:交渉などという生易(なまやさ)しいことでは、機を見て裏切られるのがオチです。 王子:武力で持って圧倒的な力の差を示しておかなければ、後が恐い。一見平和になってから起こる反乱など、国民たちにも不安が広がるでしょう。 王子:ですから、今戦争を起こすのは『真の平和を築くため』…ですよ。 姫:プッ…ウフフ。あなたも冗談をおっしゃるのね。 王子:はは、面白かったでしょう? 姫:ええ。平和のため、国民のため、だなんて。ウフフ。あなたはただ、人を殺したいだけだわ。 王子:そうです。それも一人や二人じゃない。山ほどです。 姫:恐い人ね…。 王子:あなたが言いますか。私の従者を突然刺し殺しておいて。 姫:正直なところ、このお部屋の絨毯の色が好きではなくて…。私は赤が好きなのです。ですから、つい。 王子:つい、で人を殺すのは頂けませんよ、姫。 姫:お父様は従者ならいくらでも殺していいとおっしゃったわ? 王子:国王様は姫君に甘くていらっしゃる…。 姫:でも他国の従者を殺したことは反省していますの。本当にごめんなさい。許していただけるかしら。 王子:いいのですよ。私とあなたが結婚すれば、我が国の従者もあなたのものになります。 姫:…そうですね… 王子:私が夫ではご不満ですか? 姫:いいえ、あなたがどうこうというわけではありませんわ。ただ私は…生きている人間が大嫌いなの。 王子:そうですか…。それは…妬いてしまいますね。 姫:え…? 王子:あなたは先ほどからずっと、死んで床に転がっている私の従者から目を離さない。 姫:それは…っ。だって、ごらんになって?この男は死んだのに、血はどんどん絨毯を伝って広がっていく。 姫:もう動かないのに、死んでいるのに、まるで生きているみたいにじわじわと血液だけが広がって…美しいと思わない? 王子:血の流れる温かい死体がお好みなのですね。 姫:ええ、そうよ。 0:  王子:では今度の戦争はあなたのために起こしましょう。 姫:私のため…? 王子:乾いた荒野が何万という人の血で潤う様は圧巻(あっかん)ですよ。 姫:…っ(顔を上げる) 王子:ようやく私のほうを向いて下さいましたね。 姫:あなた…目が… 王子:なにか? 姫:ウフフ……まるで死体のようなその漆黒の瞳に一体何を宿(やど)しているの? 姫:ウィル・エイリアス・ブルームフィールド王子。 王子:どうか、ウィルとお呼びください。 姫:…ウィル… 王子:我が姫。むせ返るような血の海で、結婚式を挙げましょう。 王子:純白のウェディングドレスがじわじわと血を吸い取り、真っ赤に染まった時、あなたは死に包まれる…。 姫:ああ、ウィル…とても素敵だわ! 0:  0: 王子:共に、無意味で、無慈悲で、残酷な殺戮を。 0:  0:  姫:死が二人を分かつまで。 0:  0:  0:  0:  0:了