台本概要
278 views
タイトル | CHANGE MAID PARADISE |
---|---|
作者名 | Oroるん (@Oro90644720) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
ラブコメ・・・を目指しました ※アドリブ全面的に可 278 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
トオル | 男 | 139 | 大学生。 |
キョウカ | 女 | 137 | トオルの同級生。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:カフェにて
トオル:良いじゃん良いじゃん、俺と付き合ってくれよぉ。
キョウカ:嫌!ぜぇったい嫌!
トオル:ええー、別にいま彼氏居ないんだろ?
キョウカ:居ないけど・・・
トオル:好きなやつは?
キョウカ:居ないけど・・・
トオル:じゃあ、俺で良いじゃん。俺にしとけよぉ!
キョウカ:嫌。
トオル:何でさあ。
キョウカ:アンタが嫌いだから。
トオル:しどい!
キョウカ:大体さあ、私のことを好きになった理由が、もう嫌なのよね。
トオル:理由?キョウカが「ご奉仕学園メイドパラダイス!ウィンターアゲイン」に出てくるメイド長・鶴ヶ崎(つるがさき)シオンたんに似てたから?
キョウカ:それよそれ。「エロゲのヒロインに似てたから好きになった」って言うの、どうなのよ?
トオル:えー、良いじゃん。シオンたん、すごい人気なんだよ?
キョウカ:嫌だよ。だってエロゲだよ?そのシオンってキャラも、ゲーム内でエロいことするわけでしょ?
トオル:そりゃそうだよ。
キョウカ:何か、私のこともそう言う目で見られてるような気がして・・・
トオル:うん、そう言う目で見てるよ。
キョウカ:死ね。
トオル:しどい!
キョウカ:ひどいのはアンタでしょーが!
トオル:あのさあキョウカ、ちょっとお願いがあるんだけど。
キョウカ:お願い?
トオル:一回さ、「ご、ご主人様、靴下だけ履いたら宜しいでしょうか?」って言ってみてくれない?
キョウカ:キモい、死ね。
トオル:しどい!
キョウカ:どんな場面の台詞よ。想像したくも無いわ。
トオル:あ、このシーンはね・・・
キョウカ:説明すな!
キョウカ:アンタも良い歳して二次元の女の子ばっか追いかけてないで、リアルの彼女作りなさいよ。
トオル:だからキョウカを・・・
キョウカ:あ、アタシ以外でね。
トオル:そんなあ。
キョウカ:(スマホを見て)あ、もうこんな時間。バイト遅れちゃう。
トオル:ここは俺が払っとくから、行って来なよ。
キョウカ:ゴメン、今度返す。
トオル:返さなくて良いから、代わりに「ご主人様、このまましゃがんだら宜しいでしょうか?」って(言ってくれない?)
キョウカ:(被せて)死ね。
トオル:しどい!
キョウカ:バイバーイ。
0:店を出るキョウカ
トオル:くそう、キョウカの奴。シオンたんみたいに、もっと従順になれば良いのに。
トオル:・・・あれ?
0:店の外
キョウカ:やっば、マジ遅れる!
キョウカ:この階段降りて、右に行けば駅だよね。よし!
トオル:おーい、キョウカ!
キョウカ:えっ?
トオル:(キョウカのカバンを掲げながら)カバン忘れてるって!
キョウカ:あっ、ありがと、って、あれ?
トオル:『突如、キョウカの体が傾く。俺はキョウカが階段を踏み外してしまったことに気づいた』
トオル:キョウカ!
キョウカ:キャアッ!
トオル:くっ!(キョウカを抱き抱える)
キョウカ:『駆け寄ってきたトオルが、私の体を抱きとめる。しかし、落下を止めることは出来なかった』
トオル:うわあああ!
キョウカ:キャァアア!
トオル:『全身を襲う衝撃と痛み。激しく回転する視界』
キョウカ:『二人の体は、階段の下まで転げ落ち、そのまま投げ出されてしまった』
0:間
トオル:イテテテテ・・・
トオル:っ!おいキョウカ、大丈夫か!?
キョウカ:う、うーん・・・
トオル:怪我してないか?
キョウカ:・・・
トオル:キョウカ?
キョウカ:・・・ご主人様。
トオル:・・・へ?
キョウカ:ご主人様!お怪我はございませんか?
トオル:えっ?ご主人様?
キョウカ:(トオルの体に怪我が無いか確認し)どうやら、大丈夫のようですね。安堵(あんど)致しました。
トオル:キョウカ、どうしちゃったの?
キョウカ:キョウカ?それは誰でございますか?
トオル:な、何言ってんの?
キョウカ:ご主人様、ワタクシです!お分かりになりませんか?
トオル:・・・ま、まさか?
キョウカ:シオンです。貴方専用メイドの、鶴ヶ崎シオンですわ。
トオル:・・・
キョウカ:ご主人様?
トオル:いやいやいや、嘘でしょ?
キョウカ:嘘ではございません!
トオル:だって君は、大学の同級生のキョウカじゃん。シオンたんは、ゲームのキャラクターでしょ?
キョウカ:何故このような事になったのかは分かりません。しかしワタクシは、確かに鶴ヶ崎シオンなのです!
トオル:そう言われてもな・・・
キョウカ:信じて頂けませんか?
トオル:ちょっと、無理があるよね。
キョウカ:ならば、証拠をお見せ致しましょう!
トオル:証拠?
キョウカ:ご主人様。どうぞお命じください。
トオル:何を?
キョウカ:いつものように、私にお命じください。
トオル:それって・・・
キョウカ:いつものように、私にエッチな命令をして下さい!
トオル:えええええ!!
トオル:ちょ、ちょっと、マジで?
キョウカ:マジでございます!
キョウカ:いつものように、このワタクシに、周りがドン引きするような、マトモな神経ではとても出来ないような、ド変態な命令を私にして下さい!
トオル:・・・俺、軽くディスられてない?
キョウカ:さあご主人様、お早く!
トオル:う、うん。
トオル:(これは、あれだよな・・・実験?そう!実験だ!)
トオル:(本当にキョウカがシオンたんになっちゃったのか、それを確かめるための実験だ!)
トオル:(俺は実験のために、泣く泣くエロい命令をするのだ!)
トオル:で、ではシオンたん?
キョウカ:はい!
トオル:(咳払い)
キョウカ:・・・
トオル:(エエ声で)とりあえず全裸になれ!
キョウカ:死ね!
トオル:へっ?
0:トオル、ビンタされる。
トオル:痛えっ!!
キョウカ:アンタ、何考えてんのよ!この変態!最低!一億回死ね!
トオル:しどい!
トオル:お、お前、やっぱりシオンたんのフリしてただけじゃねえか!汚いぞ!
キョウカ:は?アンタ何言ってんの?
トオル:くそう、騙された!そうだよな、そんなわけないよな。
キョウカ:だから何の話か・・・(頭が痛くなり)うっ!
トオル:シオンたんはゲームのキャラなんだ、現実に存在するわけが・・・
キョウカ:ご主人様!
トオル:うわっ!
キョウカ:申し訳ございません!メイドでありながら、ご主人様に手をあげるなど、あるまじき行為!
トオル:何だキョウカ、まだ続けるのか?もう騙されないぞ!
キョウカ:ご主人様、ワタクシです!鶴ヶ崎シオンです!
トオル:だからもう良いって。
キョウカ:貴方専用メイドの、鶴ヶ崎シオンです!
トオル:しつこいなあ、いつまで続けんの?全然面白く無いんだけど?
キョウカ:では改めて、全裸にならせて頂きます!
トオル:へ?
キョウカ:ご主人様、失礼致します!(服を脱ごうとする)
トオル:ちょいちょいちょい!ちょっと待ってえい!(脱ぐのを止める)
キョウカ:ご主人様、何故お止めになるのですか!?
トオル:何本当に脱ごうとしてんだよ!?あれ?キョウカってネタの為にそこまで体張るタイプだっけ?
キョウカ:(頭が痛くなり)うっ!
トオル:キョウカ、どうした?
0:少し間
キョウカ:・・・アンタ、何抱きついてんのよ!
トオル:は?いやこれは、キョウカが服を脱ごうとするから・・・
キョウカ:はあ!?私の服を脱がせようとした!?
トオル:ち、違う!お前から脱ごうとしたんだろ!
キョウカ:そんなわけあるか!(ビンタする)
トオル:痛え!
キョウカ:見損なったわ!そこまで最低だとは思わなかった!
トオル:『何だこれ?どうなってるんだ?』
トオル:『俺のこと、からかってるだけかと思ったけど』
トオル:『まるで、キョウカとシオンたんの人格が、時々入れ替わってるみたいな』
トオル:『さっき、階段から落ちたのが原因で?けど、そんな馬鹿な』
キョウカ:うっ・・・くっ・・・
トオル:キョウカ?もしかして、また?
0:少し間
キョウカ:ご主人様。
トオル:本当にシオンたん、なの?
キョウカ:はい。ただ、どうやらこの肉体には、ワタクシ以外のもう一人の魂が宿っているようです。
トオル:マジかよ。
キョウカ:さあ、ご主人様。もう一人の意識が戻ってこない内に、いつものようにハレンチな御命令を!
キョウカ:いつものように、人としての最低限の尊厳すら捨て去った、最低でクズな御命令を!
トオル:うん、やっぱりディスってるよね。
トオル:あと、「いつものように」って言うの辞めてくれない?俺いつもそんな事してないし。
キョウカ:くっ・・・うっ・・・
0:少し間
キョウカ:トオル・・・
トオル:キョウカ?キョウカなんだな?
キョウカ:(苦しそうに)ようやく状況が飲み込めてきたわ。まさか私に、エロゲのキャラが乗り移るなんてね。
トオル:信じられないけど、そうみたいだな。
キョウカ:・・・良かったじゃない。
トオル:はっ?何がだよ?
キョウカ:アンタの大好きな「シオンたん」が現実世界に現れたんだから、嬉しいでしょ?
トオル:いやそれは・・・
キョウカ:どうやらこの体も、もうすぐあの女に乗っ取られそうだしね。
トオル:何だって!?
キョウカ:何となく分かるのよ、あの女の意識の方が、段々強くなってきてるのが。
トオル:・・・
キョウカ:これでアンタの、望み通り、ね。
キョウカ:うっ!
トオル:キョウカ!
0:少し間
キョウカ:ご主人様!お喜び下さい!
トオル:シオンたん・・・
キョウカ:この体は、もう間も無く、ワタクシのものになるようですわ!
トオル:・・・
キョウカ:これで私たち、ずっと一緒にいられるのですね!ああ、夢のようです!
トオル:それは・・・
キョウカ:それにご主人様、あの女は、ご主人様から好意を向けられながら、ずっと拒んできたではありませんか!
トオル:確かに、そうなんだけど・・・
キョウカ:そればかりか、ご主人様に対し、「変態」「キモい」「死ね」などと言う暴言を毎日吐き続けているではありませんか!
トオル:・・・
キョウカ:ワタクシ、到底許すことなどできません!
トオル:そうだよね、本当ひどいよね。
キョウカ:しかし、これからは二度とそのような事はございません!
キョウカ:ワタクシはご主人様に従順なメイドとして、生涯お側にいさせて頂きます!
キョウカ:二人で、幸せな日々を過ごしましょう!
トオル:シオンたん。
キョウカ:はい!
トオル:悪いんだけどさ。
キョウカ:遠慮することはございません、何なりとお命じください!どんな卑猥(ひわい)な(命令であっても・・・)
トオル:(被せて)その体、キョウカに返してくれないかな?
キョウカ:・・・えっ?
トオル:・・・
キョウカ:な、何故でございますか?どうしてあの女を選ばれるのです?
トオル:ゴメンね。
キョウカ:そんな、どうして・・・
0:少し間
キョウカ:・・・何でよ?
トオル:キョウカ。
キョウカ:どうして?
キョウカ:アンタの「シオンたん」なら、何でも思い通りなのよ?
キョウカ:アンタの命令なら何でも聞くのよ?どんなエロい事だってできるのよ?それなのに、どうして私を選ぶの?
トオル:そりゃ、裸は見たいしエロい事だってしたいよ?
トオル:でもそれ以上に・・・
トオル:キョウカに、して欲しいことがあるから。
キョウカ:して欲しいこと?
トオル:俺のこと、好きになって欲しい。
キョウカ:・・・
トオル:確かに最初は、キョウカがシオンたんに似てたからだったよ。
トオル:でもそんなのは、ただのきっかけじゃんか。
トオル:俺はね、キョウカが思っているよりも・・・
トオル:ちゃんと「キョウカ」のことが好きなんだよ。
キョウカ:・・・
0:少し間
キョウカ:・・・完敗、のようでございますね。
トオル:シオンたん?
キョウカ:ご心配には及びません。このお体は、「キョウカ様」にお返し致します。
トオル:・・・
キョウカ:「キョウカ様」、聞こえていらっしゃいますか?貴方はとても幸運な方です。
キョウカ:こんな素敵な殿方に好かれて・・・
トオル:シオンたん・・・
キョウカ:確かにご主人様は、ちょっと・・・いえかなりスケベですけど、
キョウカ:それに根暗で、運動音痴で、貧乏で・・・
トオル:ちょっと、シオンたん?
キョウカ:いっつも鼻毛出てるし、足は臭いし、イボ痔(じ)はあるし・・・
トオル:ねえ、やっぱり怒ってるんでしょ?選ばれなかったから、怒ってるんだよねえ!?
キョウカ:それに、実はハゲてて、常にカツラを装着(そうちゃく)しているご主人様ですけど、
トオル:嘘!嘘だからね!ハゲてないからね!
トオル:これ全部地毛(じげ)だから!一本一本、頭皮から直(じか)に生えてるから!
キョウカ:・・・キョウカ様の事を、世界一大切に思う、最高の紳士なのです。
トオル:シオンたん・・・
キョウカ:どうか、ご主人様のお気持ちに、ほんの少しでも、向き合って下さいませんか?
トオル:・・・
キョウカ:ご主人様。キョウカ様のこと、絶対に諦めてはなりませんよ!
キョウカ:きっと大丈夫、だって貴方は、
キョウカ:ワタクシの愛する、ご主人様なのですから!
トオル:・・・ありがとう。
0:少し間
キョウカ:・・・トオル。
トオル:キョウカ。
キョウカ:ねえ、トオル、起きてよ!
トオル:えっ?
0:間
0:階段の下、血を流して倒れているトオルと、泣きながら呼びかけるキョウカ
キョウカ:ねえトオル!トオルってば!
キョウカ:やだやだ!死んじゃやだよ!お願い、目を開けてよ!
トオル:う、うーん(目を覚ます)
キョウカ:トオル!
トオル:・・・キョウカ?
キョウカ:・・・
トオル:ここは・・・
キョウカ:(トオルの胸を叩きながら)馬鹿馬鹿馬鹿!!本当に死んだかと思ったじゃん!!
トオル:痛い痛い痛い!ちょっと辞めて!
キョウカ:私をかばって、階段から落ちて、
キョウカ:全然目を覚まさないし、頭から血いっぱい出てるし、私、どうしたら良いか分からなくて
トオル:・・・そうか、あの時階段から落ちて、そのまま気を失ってたのか。
トオル:(じゃあ、あれは全部、夢だったのか?)
キョウカ:本当に心配したんだから!
トオル:ゴ、ゴメン・・・
0:少し間
キョウカ:・・・ねえ、トオル。
トオル:なに?
キョウカ:あ、ありがとう、助けてくれて。
トオル:あ、ああ、キョウカが無事で良かった。
キョウカ:今日だけじゃないよ?いっつもさ、私が困ってたら、何やかんや助けてくれるよね?
トオル:そ、そうかなあ?
キョウカ:そうだよ。私、ちゃんと分かってたんだから。
キョウカ:・・・分かってたのに、いつも素直になれなくてゴメン。
トオル:キョウカ・・・
キョウカ:さっきさ、本当にトオルが死んじゃうかと思って、そしたら、トオルに言いたかったこと、言わなきゃいけなかったこと、
キョウカ:伝えられないままになっちゃうのかなって思って、怖かったの。
トオル:うん。
キョウカ:だから私、これからは、出来るだけ素直になる。
キョウカ:ちゃんと、トオルに、気持ちを伝えられるようになるから。
トオル:・・・わかった。
キョウカ:(嬉しそうに笑う)
トオル:なあキョウカ。
トオル:俺も、お前に伝えたいことがあるんだ。
キョウカ:なに?
トオル:今度さ。
キョウカ:うん。
トオル:俺のために極めて露出度の高いメイドのコスプレを(してくれないか)
キョウカ:(被せて)死ね、クズ!
トオル:しどい!!!
0:おわり
0:カフェにて
トオル:良いじゃん良いじゃん、俺と付き合ってくれよぉ。
キョウカ:嫌!ぜぇったい嫌!
トオル:ええー、別にいま彼氏居ないんだろ?
キョウカ:居ないけど・・・
トオル:好きなやつは?
キョウカ:居ないけど・・・
トオル:じゃあ、俺で良いじゃん。俺にしとけよぉ!
キョウカ:嫌。
トオル:何でさあ。
キョウカ:アンタが嫌いだから。
トオル:しどい!
キョウカ:大体さあ、私のことを好きになった理由が、もう嫌なのよね。
トオル:理由?キョウカが「ご奉仕学園メイドパラダイス!ウィンターアゲイン」に出てくるメイド長・鶴ヶ崎(つるがさき)シオンたんに似てたから?
キョウカ:それよそれ。「エロゲのヒロインに似てたから好きになった」って言うの、どうなのよ?
トオル:えー、良いじゃん。シオンたん、すごい人気なんだよ?
キョウカ:嫌だよ。だってエロゲだよ?そのシオンってキャラも、ゲーム内でエロいことするわけでしょ?
トオル:そりゃそうだよ。
キョウカ:何か、私のこともそう言う目で見られてるような気がして・・・
トオル:うん、そう言う目で見てるよ。
キョウカ:死ね。
トオル:しどい!
キョウカ:ひどいのはアンタでしょーが!
トオル:あのさあキョウカ、ちょっとお願いがあるんだけど。
キョウカ:お願い?
トオル:一回さ、「ご、ご主人様、靴下だけ履いたら宜しいでしょうか?」って言ってみてくれない?
キョウカ:キモい、死ね。
トオル:しどい!
キョウカ:どんな場面の台詞よ。想像したくも無いわ。
トオル:あ、このシーンはね・・・
キョウカ:説明すな!
キョウカ:アンタも良い歳して二次元の女の子ばっか追いかけてないで、リアルの彼女作りなさいよ。
トオル:だからキョウカを・・・
キョウカ:あ、アタシ以外でね。
トオル:そんなあ。
キョウカ:(スマホを見て)あ、もうこんな時間。バイト遅れちゃう。
トオル:ここは俺が払っとくから、行って来なよ。
キョウカ:ゴメン、今度返す。
トオル:返さなくて良いから、代わりに「ご主人様、このまましゃがんだら宜しいでしょうか?」って(言ってくれない?)
キョウカ:(被せて)死ね。
トオル:しどい!
キョウカ:バイバーイ。
0:店を出るキョウカ
トオル:くそう、キョウカの奴。シオンたんみたいに、もっと従順になれば良いのに。
トオル:・・・あれ?
0:店の外
キョウカ:やっば、マジ遅れる!
キョウカ:この階段降りて、右に行けば駅だよね。よし!
トオル:おーい、キョウカ!
キョウカ:えっ?
トオル:(キョウカのカバンを掲げながら)カバン忘れてるって!
キョウカ:あっ、ありがと、って、あれ?
トオル:『突如、キョウカの体が傾く。俺はキョウカが階段を踏み外してしまったことに気づいた』
トオル:キョウカ!
キョウカ:キャアッ!
トオル:くっ!(キョウカを抱き抱える)
キョウカ:『駆け寄ってきたトオルが、私の体を抱きとめる。しかし、落下を止めることは出来なかった』
トオル:うわあああ!
キョウカ:キャァアア!
トオル:『全身を襲う衝撃と痛み。激しく回転する視界』
キョウカ:『二人の体は、階段の下まで転げ落ち、そのまま投げ出されてしまった』
0:間
トオル:イテテテテ・・・
トオル:っ!おいキョウカ、大丈夫か!?
キョウカ:う、うーん・・・
トオル:怪我してないか?
キョウカ:・・・
トオル:キョウカ?
キョウカ:・・・ご主人様。
トオル:・・・へ?
キョウカ:ご主人様!お怪我はございませんか?
トオル:えっ?ご主人様?
キョウカ:(トオルの体に怪我が無いか確認し)どうやら、大丈夫のようですね。安堵(あんど)致しました。
トオル:キョウカ、どうしちゃったの?
キョウカ:キョウカ?それは誰でございますか?
トオル:な、何言ってんの?
キョウカ:ご主人様、ワタクシです!お分かりになりませんか?
トオル:・・・ま、まさか?
キョウカ:シオンです。貴方専用メイドの、鶴ヶ崎シオンですわ。
トオル:・・・
キョウカ:ご主人様?
トオル:いやいやいや、嘘でしょ?
キョウカ:嘘ではございません!
トオル:だって君は、大学の同級生のキョウカじゃん。シオンたんは、ゲームのキャラクターでしょ?
キョウカ:何故このような事になったのかは分かりません。しかしワタクシは、確かに鶴ヶ崎シオンなのです!
トオル:そう言われてもな・・・
キョウカ:信じて頂けませんか?
トオル:ちょっと、無理があるよね。
キョウカ:ならば、証拠をお見せ致しましょう!
トオル:証拠?
キョウカ:ご主人様。どうぞお命じください。
トオル:何を?
キョウカ:いつものように、私にお命じください。
トオル:それって・・・
キョウカ:いつものように、私にエッチな命令をして下さい!
トオル:えええええ!!
トオル:ちょ、ちょっと、マジで?
キョウカ:マジでございます!
キョウカ:いつものように、このワタクシに、周りがドン引きするような、マトモな神経ではとても出来ないような、ド変態な命令を私にして下さい!
トオル:・・・俺、軽くディスられてない?
キョウカ:さあご主人様、お早く!
トオル:う、うん。
トオル:(これは、あれだよな・・・実験?そう!実験だ!)
トオル:(本当にキョウカがシオンたんになっちゃったのか、それを確かめるための実験だ!)
トオル:(俺は実験のために、泣く泣くエロい命令をするのだ!)
トオル:で、ではシオンたん?
キョウカ:はい!
トオル:(咳払い)
キョウカ:・・・
トオル:(エエ声で)とりあえず全裸になれ!
キョウカ:死ね!
トオル:へっ?
0:トオル、ビンタされる。
トオル:痛えっ!!
キョウカ:アンタ、何考えてんのよ!この変態!最低!一億回死ね!
トオル:しどい!
トオル:お、お前、やっぱりシオンたんのフリしてただけじゃねえか!汚いぞ!
キョウカ:は?アンタ何言ってんの?
トオル:くそう、騙された!そうだよな、そんなわけないよな。
キョウカ:だから何の話か・・・(頭が痛くなり)うっ!
トオル:シオンたんはゲームのキャラなんだ、現実に存在するわけが・・・
キョウカ:ご主人様!
トオル:うわっ!
キョウカ:申し訳ございません!メイドでありながら、ご主人様に手をあげるなど、あるまじき行為!
トオル:何だキョウカ、まだ続けるのか?もう騙されないぞ!
キョウカ:ご主人様、ワタクシです!鶴ヶ崎シオンです!
トオル:だからもう良いって。
キョウカ:貴方専用メイドの、鶴ヶ崎シオンです!
トオル:しつこいなあ、いつまで続けんの?全然面白く無いんだけど?
キョウカ:では改めて、全裸にならせて頂きます!
トオル:へ?
キョウカ:ご主人様、失礼致します!(服を脱ごうとする)
トオル:ちょいちょいちょい!ちょっと待ってえい!(脱ぐのを止める)
キョウカ:ご主人様、何故お止めになるのですか!?
トオル:何本当に脱ごうとしてんだよ!?あれ?キョウカってネタの為にそこまで体張るタイプだっけ?
キョウカ:(頭が痛くなり)うっ!
トオル:キョウカ、どうした?
0:少し間
キョウカ:・・・アンタ、何抱きついてんのよ!
トオル:は?いやこれは、キョウカが服を脱ごうとするから・・・
キョウカ:はあ!?私の服を脱がせようとした!?
トオル:ち、違う!お前から脱ごうとしたんだろ!
キョウカ:そんなわけあるか!(ビンタする)
トオル:痛え!
キョウカ:見損なったわ!そこまで最低だとは思わなかった!
トオル:『何だこれ?どうなってるんだ?』
トオル:『俺のこと、からかってるだけかと思ったけど』
トオル:『まるで、キョウカとシオンたんの人格が、時々入れ替わってるみたいな』
トオル:『さっき、階段から落ちたのが原因で?けど、そんな馬鹿な』
キョウカ:うっ・・・くっ・・・
トオル:キョウカ?もしかして、また?
0:少し間
キョウカ:ご主人様。
トオル:本当にシオンたん、なの?
キョウカ:はい。ただ、どうやらこの肉体には、ワタクシ以外のもう一人の魂が宿っているようです。
トオル:マジかよ。
キョウカ:さあ、ご主人様。もう一人の意識が戻ってこない内に、いつものようにハレンチな御命令を!
キョウカ:いつものように、人としての最低限の尊厳すら捨て去った、最低でクズな御命令を!
トオル:うん、やっぱりディスってるよね。
トオル:あと、「いつものように」って言うの辞めてくれない?俺いつもそんな事してないし。
キョウカ:くっ・・・うっ・・・
0:少し間
キョウカ:トオル・・・
トオル:キョウカ?キョウカなんだな?
キョウカ:(苦しそうに)ようやく状況が飲み込めてきたわ。まさか私に、エロゲのキャラが乗り移るなんてね。
トオル:信じられないけど、そうみたいだな。
キョウカ:・・・良かったじゃない。
トオル:はっ?何がだよ?
キョウカ:アンタの大好きな「シオンたん」が現実世界に現れたんだから、嬉しいでしょ?
トオル:いやそれは・・・
キョウカ:どうやらこの体も、もうすぐあの女に乗っ取られそうだしね。
トオル:何だって!?
キョウカ:何となく分かるのよ、あの女の意識の方が、段々強くなってきてるのが。
トオル:・・・
キョウカ:これでアンタの、望み通り、ね。
キョウカ:うっ!
トオル:キョウカ!
0:少し間
キョウカ:ご主人様!お喜び下さい!
トオル:シオンたん・・・
キョウカ:この体は、もう間も無く、ワタクシのものになるようですわ!
トオル:・・・
キョウカ:これで私たち、ずっと一緒にいられるのですね!ああ、夢のようです!
トオル:それは・・・
キョウカ:それにご主人様、あの女は、ご主人様から好意を向けられながら、ずっと拒んできたではありませんか!
トオル:確かに、そうなんだけど・・・
キョウカ:そればかりか、ご主人様に対し、「変態」「キモい」「死ね」などと言う暴言を毎日吐き続けているではありませんか!
トオル:・・・
キョウカ:ワタクシ、到底許すことなどできません!
トオル:そうだよね、本当ひどいよね。
キョウカ:しかし、これからは二度とそのような事はございません!
キョウカ:ワタクシはご主人様に従順なメイドとして、生涯お側にいさせて頂きます!
キョウカ:二人で、幸せな日々を過ごしましょう!
トオル:シオンたん。
キョウカ:はい!
トオル:悪いんだけどさ。
キョウカ:遠慮することはございません、何なりとお命じください!どんな卑猥(ひわい)な(命令であっても・・・)
トオル:(被せて)その体、キョウカに返してくれないかな?
キョウカ:・・・えっ?
トオル:・・・
キョウカ:な、何故でございますか?どうしてあの女を選ばれるのです?
トオル:ゴメンね。
キョウカ:そんな、どうして・・・
0:少し間
キョウカ:・・・何でよ?
トオル:キョウカ。
キョウカ:どうして?
キョウカ:アンタの「シオンたん」なら、何でも思い通りなのよ?
キョウカ:アンタの命令なら何でも聞くのよ?どんなエロい事だってできるのよ?それなのに、どうして私を選ぶの?
トオル:そりゃ、裸は見たいしエロい事だってしたいよ?
トオル:でもそれ以上に・・・
トオル:キョウカに、して欲しいことがあるから。
キョウカ:して欲しいこと?
トオル:俺のこと、好きになって欲しい。
キョウカ:・・・
トオル:確かに最初は、キョウカがシオンたんに似てたからだったよ。
トオル:でもそんなのは、ただのきっかけじゃんか。
トオル:俺はね、キョウカが思っているよりも・・・
トオル:ちゃんと「キョウカ」のことが好きなんだよ。
キョウカ:・・・
0:少し間
キョウカ:・・・完敗、のようでございますね。
トオル:シオンたん?
キョウカ:ご心配には及びません。このお体は、「キョウカ様」にお返し致します。
トオル:・・・
キョウカ:「キョウカ様」、聞こえていらっしゃいますか?貴方はとても幸運な方です。
キョウカ:こんな素敵な殿方に好かれて・・・
トオル:シオンたん・・・
キョウカ:確かにご主人様は、ちょっと・・・いえかなりスケベですけど、
キョウカ:それに根暗で、運動音痴で、貧乏で・・・
トオル:ちょっと、シオンたん?
キョウカ:いっつも鼻毛出てるし、足は臭いし、イボ痔(じ)はあるし・・・
トオル:ねえ、やっぱり怒ってるんでしょ?選ばれなかったから、怒ってるんだよねえ!?
キョウカ:それに、実はハゲてて、常にカツラを装着(そうちゃく)しているご主人様ですけど、
トオル:嘘!嘘だからね!ハゲてないからね!
トオル:これ全部地毛(じげ)だから!一本一本、頭皮から直(じか)に生えてるから!
キョウカ:・・・キョウカ様の事を、世界一大切に思う、最高の紳士なのです。
トオル:シオンたん・・・
キョウカ:どうか、ご主人様のお気持ちに、ほんの少しでも、向き合って下さいませんか?
トオル:・・・
キョウカ:ご主人様。キョウカ様のこと、絶対に諦めてはなりませんよ!
キョウカ:きっと大丈夫、だって貴方は、
キョウカ:ワタクシの愛する、ご主人様なのですから!
トオル:・・・ありがとう。
0:少し間
キョウカ:・・・トオル。
トオル:キョウカ。
キョウカ:ねえ、トオル、起きてよ!
トオル:えっ?
0:間
0:階段の下、血を流して倒れているトオルと、泣きながら呼びかけるキョウカ
キョウカ:ねえトオル!トオルってば!
キョウカ:やだやだ!死んじゃやだよ!お願い、目を開けてよ!
トオル:う、うーん(目を覚ます)
キョウカ:トオル!
トオル:・・・キョウカ?
キョウカ:・・・
トオル:ここは・・・
キョウカ:(トオルの胸を叩きながら)馬鹿馬鹿馬鹿!!本当に死んだかと思ったじゃん!!
トオル:痛い痛い痛い!ちょっと辞めて!
キョウカ:私をかばって、階段から落ちて、
キョウカ:全然目を覚まさないし、頭から血いっぱい出てるし、私、どうしたら良いか分からなくて
トオル:・・・そうか、あの時階段から落ちて、そのまま気を失ってたのか。
トオル:(じゃあ、あれは全部、夢だったのか?)
キョウカ:本当に心配したんだから!
トオル:ゴ、ゴメン・・・
0:少し間
キョウカ:・・・ねえ、トオル。
トオル:なに?
キョウカ:あ、ありがとう、助けてくれて。
トオル:あ、ああ、キョウカが無事で良かった。
キョウカ:今日だけじゃないよ?いっつもさ、私が困ってたら、何やかんや助けてくれるよね?
トオル:そ、そうかなあ?
キョウカ:そうだよ。私、ちゃんと分かってたんだから。
キョウカ:・・・分かってたのに、いつも素直になれなくてゴメン。
トオル:キョウカ・・・
キョウカ:さっきさ、本当にトオルが死んじゃうかと思って、そしたら、トオルに言いたかったこと、言わなきゃいけなかったこと、
キョウカ:伝えられないままになっちゃうのかなって思って、怖かったの。
トオル:うん。
キョウカ:だから私、これからは、出来るだけ素直になる。
キョウカ:ちゃんと、トオルに、気持ちを伝えられるようになるから。
トオル:・・・わかった。
キョウカ:(嬉しそうに笑う)
トオル:なあキョウカ。
トオル:俺も、お前に伝えたいことがあるんだ。
キョウカ:なに?
トオル:今度さ。
キョウカ:うん。
トオル:俺のために極めて露出度の高いメイドのコスプレを(してくれないか)
キョウカ:(被せて)死ね、クズ!
トオル:しどい!!!
0:おわり