台本概要

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タイトル 波打ち際のウェディングリング
作者名 瓶の人  (@binbintumeru)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 愛するキミと食卓を囲み
愛するキミと記念日を祝う
とても幸せな、キミとの日常

※注意事項
●過度なアドリブ、改変をしたい場合(キャラクターの性転換、セリフを丸々変える等)はご連絡下さい。
●男性が女性キャラを女性として、女性が男性キャラを男性として演じる際や語尾等の軽微な改変はご連絡不要です。
●配信等でご利用される場合は、可能であれば作者名、作品名、掲載サイトのURLを提示して頂けると幸いです。
●全力で楽しんで下さると幸いです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
不問 - 男女不問、思ったままお読みください。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:雀と鳩の歌が暖かな陽気を告げる朝 0:  0:眠気まなこを擦りながら階段を降り、リビングへと向かう 0:  0:キッチンから優しい味噌の香りが鼻の奥を包み込んでくる 0:  0:部屋へと入ると「おはよう」と花が咲いたような笑顔でキミが出迎えてくれ、出来上がった料理をテーブルへと並べている 0:  0:味噌汁に目玉焼き、焼き魚など色とりどりの料理がテーブルの上を彩っていた 0:  0:向かい合うように私達は座り、「いただきます」と手を合わせ食事を取る 0:  0:これといった会話は無く、静かな空間に箸が食器に当たる軽い音が響き、奏でられている 0:  0:…この時間が私は好きだ。この空気感がとても心地がいい 0:  0:会話が無くとも決して苦ではない、長年一緒に過ごして来たけれど一度も苦だと思ったことはない 0:  0:私の視線に気づいたキミは、こちらに向かって目を細め微笑んでくれた 0:  0:この時間が本当に、愛おしいんだ… 0:  0:  0:  0:  0:今日はキミとの結婚記念日、せっかく仕事の休みを取ったので、どこか一緒に出掛けようと提案をした 0:  0:するとキミはしばらく悩んだのち「じゃあ…」と、ある所を希望した 0:  0:車を走らせ向かった場所は、何度も2人で行ったことのある動物園だった 0:  0:結婚記念日に動物園?と言ったがキミは頑なにここが良いと言った 0:  0:まあ、嫌ではないけど… 0:  0:しかし…ここの動物園に来るのはいつ以来だろうか 0:  0:記憶の最後に残っているのは5年ほど前かな? 0:  0:結婚して最初に来たデートの場所がここだった 0:  0:確かその当時、雨が急に降ってきて満足に見て周る事ができず、散々な目にあったんだったかな… 0:  0:ああ、だからここに来たかったのか…なんて考えていると 0:  0:それを感じたのか、キミは私の方を微笑みながら見つめてきて、そっと手を握ってきた 0:  0:小さく柔らかい、優しい熱を帯びたキミの手をそっと握り返す 0:  0:あの時見られなかった動物達を見に、そして過ごすことができなかった時間を過ごすために私達は手を繋ぎ、園内を歩き始めた 0:  0:  0:  0:  0:動物園から出るとすっかり日は暮れ、外は深紅に覆われて、また1つ表情を変えていた 0:  0:そろそろご飯でも食べに行こうか?と声をかけるとキミは静かに顔を横に振り「行きたいところがある」と言った 0:  0:この時間に?どこだろうと眉間にしわを寄せ考えていると、キミはふふっと「すぐに分かるよ」と微笑んだ 0:  0:再び車を少し走らせ着いた先は、日が沈み暗くなった海だった 0:  0:月明かりに照らされ、幻想的な顔を見せている静かな海 0:  0:ここも何度か2人で訪れたことある場所だ 0:  0:キミはゆっくり波打ち際まで歩いていき、くるりとこちらへと回り私を見つめる 0:  0:大きな満月に照らされたキミは、淡く輝く海よりもずっと神秘的で、言葉にならないほど綺麗だった 0:  0:…もう私には分かっていた、キミが何を言いたいのか何をしたいのかを 0:  0:けれど答え合わせなんかしたくなかった、この夢を終わらせたくなかったからだ 0:  0:ひどい顔をしているであろう私の顔を困ったように見ているキミは、1歩、また1歩と小さく私に歩み寄ってくる 0:   0:そしてそっと、私の頬へと触れ、撫でる 0:  0:その瞬間、留めていた泪が溢れ出た 0:  0:目からキミの手の甲へと伝い流れ落ち、地面を湿らせる 0:  0:なんて情けない姿だろう、こんなに情けない姿を見せるのはきっと初めてだったはずだ 0:  0:私も震える手を伸ばしキミの小さな顔へと触れ、頬を撫でる 0:  0:幾度となくこの頬に触れてきたはずなのに、愛おしさが溢れて来て止まらない 0:  0:子供のように泣きじゃくる私を見つめるキミは、目を細め柔らかく微笑んだ 0:  0:その笑顔を見た私は息をのんだ 0:  0:その優しすぎる笑顔は、今までのどんな笑顔よりも綺麗だったから… 0:  0:キミがあまりにも優しく笑うから、私はこれ以上泪を流すことができなかった 0:  0:言葉を失っている私の後ろにキミは回り、キュッと体を抱きしめてくる 0:  0:背中越しに伝わるキミの温もり 0:  0:もっとこの時間が続いてほしい、そう思ったのも束の間 0:  0:キミは私の背中から離れると同時に、絞り出すように小さく 0:  0:  0:「ありがとう」 0:  0:  0:と、耳元で囁いた 0:  0:その言葉にハッとした私はすぐさま振り返ったがそこにキミの姿はなく 0:  0:足元には、2人の結婚指輪が月明かりを反射し波打ち際で寂しそうに瞬いていた… 0:  0:  0:  

0:雀と鳩の歌が暖かな陽気を告げる朝 0:  0:眠気まなこを擦りながら階段を降り、リビングへと向かう 0:  0:キッチンから優しい味噌の香りが鼻の奥を包み込んでくる 0:  0:部屋へと入ると「おはよう」と花が咲いたような笑顔でキミが出迎えてくれ、出来上がった料理をテーブルへと並べている 0:  0:味噌汁に目玉焼き、焼き魚など色とりどりの料理がテーブルの上を彩っていた 0:  0:向かい合うように私達は座り、「いただきます」と手を合わせ食事を取る 0:  0:これといった会話は無く、静かな空間に箸が食器に当たる軽い音が響き、奏でられている 0:  0:…この時間が私は好きだ。この空気感がとても心地がいい 0:  0:会話が無くとも決して苦ではない、長年一緒に過ごして来たけれど一度も苦だと思ったことはない 0:  0:私の視線に気づいたキミは、こちらに向かって目を細め微笑んでくれた 0:  0:この時間が本当に、愛おしいんだ… 0:  0:  0:  0:  0:今日はキミとの結婚記念日、せっかく仕事の休みを取ったので、どこか一緒に出掛けようと提案をした 0:  0:するとキミはしばらく悩んだのち「じゃあ…」と、ある所を希望した 0:  0:車を走らせ向かった場所は、何度も2人で行ったことのある動物園だった 0:  0:結婚記念日に動物園?と言ったがキミは頑なにここが良いと言った 0:  0:まあ、嫌ではないけど… 0:  0:しかし…ここの動物園に来るのはいつ以来だろうか 0:  0:記憶の最後に残っているのは5年ほど前かな? 0:  0:結婚して最初に来たデートの場所がここだった 0:  0:確かその当時、雨が急に降ってきて満足に見て周る事ができず、散々な目にあったんだったかな… 0:  0:ああ、だからここに来たかったのか…なんて考えていると 0:  0:それを感じたのか、キミは私の方を微笑みながら見つめてきて、そっと手を握ってきた 0:  0:小さく柔らかい、優しい熱を帯びたキミの手をそっと握り返す 0:  0:あの時見られなかった動物達を見に、そして過ごすことができなかった時間を過ごすために私達は手を繋ぎ、園内を歩き始めた 0:  0:  0:  0:  0:動物園から出るとすっかり日は暮れ、外は深紅に覆われて、また1つ表情を変えていた 0:  0:そろそろご飯でも食べに行こうか?と声をかけるとキミは静かに顔を横に振り「行きたいところがある」と言った 0:  0:この時間に?どこだろうと眉間にしわを寄せ考えていると、キミはふふっと「すぐに分かるよ」と微笑んだ 0:  0:再び車を少し走らせ着いた先は、日が沈み暗くなった海だった 0:  0:月明かりに照らされ、幻想的な顔を見せている静かな海 0:  0:ここも何度か2人で訪れたことある場所だ 0:  0:キミはゆっくり波打ち際まで歩いていき、くるりとこちらへと回り私を見つめる 0:  0:大きな満月に照らされたキミは、淡く輝く海よりもずっと神秘的で、言葉にならないほど綺麗だった 0:  0:…もう私には分かっていた、キミが何を言いたいのか何をしたいのかを 0:  0:けれど答え合わせなんかしたくなかった、この夢を終わらせたくなかったからだ 0:  0:ひどい顔をしているであろう私の顔を困ったように見ているキミは、1歩、また1歩と小さく私に歩み寄ってくる 0:   0:そしてそっと、私の頬へと触れ、撫でる 0:  0:その瞬間、留めていた泪が溢れ出た 0:  0:目からキミの手の甲へと伝い流れ落ち、地面を湿らせる 0:  0:なんて情けない姿だろう、こんなに情けない姿を見せるのはきっと初めてだったはずだ 0:  0:私も震える手を伸ばしキミの小さな顔へと触れ、頬を撫でる 0:  0:幾度となくこの頬に触れてきたはずなのに、愛おしさが溢れて来て止まらない 0:  0:子供のように泣きじゃくる私を見つめるキミは、目を細め柔らかく微笑んだ 0:  0:その笑顔を見た私は息をのんだ 0:  0:その優しすぎる笑顔は、今までのどんな笑顔よりも綺麗だったから… 0:  0:キミがあまりにも優しく笑うから、私はこれ以上泪を流すことができなかった 0:  0:言葉を失っている私の後ろにキミは回り、キュッと体を抱きしめてくる 0:  0:背中越しに伝わるキミの温もり 0:  0:もっとこの時間が続いてほしい、そう思ったのも束の間 0:  0:キミは私の背中から離れると同時に、絞り出すように小さく 0:  0:  0:「ありがとう」 0:  0:  0:と、耳元で囁いた 0:  0:その言葉にハッとした私はすぐさま振り返ったがそこにキミの姿はなく 0:  0:足元には、2人の結婚指輪が月明かりを反射し波打ち際で寂しそうに瞬いていた… 0:  0:  0: