台本概要

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タイトル シンディーのおともだち
作者名 りぃ  (@RI_ring_ring)
ジャンル 童話
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 10 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 10分かからないくらい

マッチを売る少女のたいせつな友達は馬のディーンです。

台本使用時にはTwitterにご連絡頂けると嬉しいです。(事後報告でも大丈夫です)

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
不問 5 シンディー、母、婦人、ディーン(馬)
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
私: 私:赤く色づいた葉が散り出したころ、シンディーという名の少女は、マッチを売りに街を歩くことになりました。 私:少女の家には働き手がいなくなってしまったからです。 私: 私:「シンディー、ごめんなさいね。本当ならあなたにはもっと遊んで欲しいと思っているのに」 私: 私:「いいのよ、母さん。どうせ学校に行ったってお友達なんて出来やしないわ。」 私: 私:シンディーは10歳の女の子でした。近所の子は皆学校に通っていますがシンディーの家は貧しく、シンディーはいつもマッチ売りの手伝いをしていました。 私: 私:少し前までは父と母と祖母と暮らしておりましたが、シンディーが学校に通い始めたすぐ後に、父が家に帰らなくなりました。 私: 私:もともと数日くらいは帰らない父でしたが、数日たっても、十日たっても帰らない様子から、父はもう帰ってはこないかもしれないと、シンディーは思ったのでした。 私: 私:それからまもなく、実の息子がいなくなった祖母は気を落とし、だんだんと歩けなくなっていきました。 私: 私:母は祖母と少女の面倒をみながら、マッチ売りを続けておりましたが、いよいよ体を悪くしてしまい、働きに出ることが出来なくなってしまいました。 私: 私:少女が幼い頃から一緒に過ごしてきた、馬のディーンは大切な家族でしたが暮らしが貧しくなるにつれ、街の裕福な家に譲ることになりました。 私: 私:ディーンはとても賢い馬でしたので裕福な家からお礼にと、数カ月分の食べ物と薪を貰いましたが、シンディーは悲しくて悲しくて仕方ありませんでした。 私: 私:それからシンディーはひとり街を歩き続けました。籠いっぱいにマッチを詰め込んで朝から晩まで歩きますが、マッチを買ってくれる人はなかなかおりません。 私: 私:時々冷やかしに来る人もいるくらいでシンディーはとても辛い気持ちになりました。 私: 私: 私: 私:数カ月が経ち、枯葉も無くなり辺りは真っ白な雪に覆われた日。 私: 私:シンディーは変わらずマッチを売り歩いていました。 私: 私:「あぁ、寒いわ。暗くなってきたしそろそろお家に帰りたいけれど… まだ、駄目ね。せめてあと20束は売らないと。」 私: 私:少女は家に蒔がもうないことを思い出しました。 私: 私:毎日マッチを売り歩いても翌日のパンとスープになるだけしか、稼ぐことが出来ないのです。 私: 私:ディーンがいればもっと遠くまで売り歩けたのにな、とシンディーは悲しい気持ちになりました。 私: 私:外套に手袋、襟巻きで身を包んだ人々が足早に歩いていく中、マッチ売りのシンディーはかじかむ手を擦りながら1束のマッチを売るために声を上げ続けます。 私: 私:「そこのご婦人。暖炉に灯すマッチを買い忘れてはいませんか。」 「紳士のお方。どうかこの1束のマッチを買っては頂けませんか」 私: 私:シンディーに目をくれることなく、人々は通り過ぎてしまいます。 私: 私:寒空の下、シンディーは赤く腫れ上がった手をカゴへと伸ばしそおっと優しくマッチを1束抜き取りました。 私: 私:そうしてまたマッチが雪で濡れてしまわないように、厚い布を被せます。 私: 私:「まだお家には帰れないけれど、あまりにも寒いわ。せめて1束だけでも、私を暖めるのに使っては駄目かしら。 マッチを暖める布はあるのに、私の手を暖める手袋はないのだもの。せめて少しだけ…」 私: 私:少女は束のうちから1つマッチを取り出すと火を灯しました。 私: 私:暗闇の中で揺れる小さな炎をみつめていると何故自分はこんな寒空の下、ひとりぼっちなのだろうと思いました。 私: 私:「暖かいお家と沢山のご馳走と元気な家族、たったそれだけのことが叶わないなんて私はとっても不幸だわ。」 私: 私:マッチの灯りが消えそうになるとまたもうひとつのマッチを灯します。 私: 私:「こんな暖かな光に包まれて笑い合いながらご飯を食べたいだけなのに。 ディーンにも会いたいわ。 私の1番のおともだちだったディーン。 あなたはとても頭がいいから私のお別れのキスも受け入れてくれたわね。 あなたの暖かくて少し硬い毛が体に当たるのはくすぐったかったけれど、とても心地良かったわ。」 私: 私:1本、また1本とマッチを灯してシンディーは揺れる炎を見つめます。 私: 私:彼女が思えば思うほど炎の中には鮮明にディーンやご馳走や笑顔の母と祖母が見えるのです。 私: 私:炎が消えてしまう前にと、シンディーは籠の中からもう一度マッチの束を取り出しました。 私: 私:柔らかな光が可哀想な少女の願いを叶えてくれます。 私: 私:シンディーはそのうち、見るだけではなく、自分も同じようにその明るい世界に連れて行って欲しくなりました。 私: 私:炎の中の家族や馬のディーンに語りかけます。 私: 私:「私も一緒に暖まりたいわ。お願い、連れて行って。」 私: 私:声をかけると家族も、ご馳走も少女から遠のいてしまいます。 私: 私:「待って!私を置いていかないで!」 私: 私:シンディーは一生懸命呼び止めますがどんなに手を伸ばそうとも家族にもご馳走にも手は届きません。 私: 私: 私: 私:ひひーん!! 私: 私: 私: 私:その時、遠くの方から馬の鳴く声が聞こえました。ディーンの声です。 私: 私:地面を蹴る蹄の音が遠くから段々と近づいて聞こえます。 私: 私:ひひーん!!ブルブル!! 私: 私:「まぁ!あなたはシンディーちゃんじゃないの!」 私: 私:馬車から婦人が降りてくると、道の端に丸くなっている少女を見つけました。 私: 私:「こんなに冷え込んでしまって!ディーンがここまで私を連れてきてしまったのよ」 私: 私:従者がシンディーを抱えあげ馬車に乗せると、ディーンはそっと馬車を走らせました。 私: 私:先程までの暴走が嘘のようでした。 私: 私:賢くて勇敢なディーンは、彼のたった1人の主を心配して助け出したのです。 私: 私:それから目を覚ましたシンディーは裕福な家の暖かいベッドで休み、婦人と、ディーンと共に家へ帰りました。 私: 私:シンディーの帰りが遅いのを心配して待っていた母と祖母は、裕福な婦人から事情を聞いて、少女の無事を喜び、また申し訳ない気持ちになりました。 私: 私:そこで婦人がこれ程までに仲良しのディーンとシンディーを引き離すのは可哀想だと、シンディー達家族が屋敷の離で暮らすのはどうかと提案しました。 私: 私:ディーンはぶるるぶるると鳴くとシンディーの頬に優しくキスをしました。 私: 私:シンディーはこれまで通り、ディーンの背を櫛で梳かし、藁を準備し、母と祖母はマッチではなく、絹のハンカチに刺繍を縫い付けます。 私: 私:暖かい暖炉のそばで家族みんなで笑って過ごしました。

私: 私:赤く色づいた葉が散り出したころ、シンディーという名の少女は、マッチを売りに街を歩くことになりました。 私:少女の家には働き手がいなくなってしまったからです。 私: 私:「シンディー、ごめんなさいね。本当ならあなたにはもっと遊んで欲しいと思っているのに」 私: 私:「いいのよ、母さん。どうせ学校に行ったってお友達なんて出来やしないわ。」 私: 私:シンディーは10歳の女の子でした。近所の子は皆学校に通っていますがシンディーの家は貧しく、シンディーはいつもマッチ売りの手伝いをしていました。 私: 私:少し前までは父と母と祖母と暮らしておりましたが、シンディーが学校に通い始めたすぐ後に、父が家に帰らなくなりました。 私: 私:もともと数日くらいは帰らない父でしたが、数日たっても、十日たっても帰らない様子から、父はもう帰ってはこないかもしれないと、シンディーは思ったのでした。 私: 私:それからまもなく、実の息子がいなくなった祖母は気を落とし、だんだんと歩けなくなっていきました。 私: 私:母は祖母と少女の面倒をみながら、マッチ売りを続けておりましたが、いよいよ体を悪くしてしまい、働きに出ることが出来なくなってしまいました。 私: 私:少女が幼い頃から一緒に過ごしてきた、馬のディーンは大切な家族でしたが暮らしが貧しくなるにつれ、街の裕福な家に譲ることになりました。 私: 私:ディーンはとても賢い馬でしたので裕福な家からお礼にと、数カ月分の食べ物と薪を貰いましたが、シンディーは悲しくて悲しくて仕方ありませんでした。 私: 私:それからシンディーはひとり街を歩き続けました。籠いっぱいにマッチを詰め込んで朝から晩まで歩きますが、マッチを買ってくれる人はなかなかおりません。 私: 私:時々冷やかしに来る人もいるくらいでシンディーはとても辛い気持ちになりました。 私: 私: 私: 私:数カ月が経ち、枯葉も無くなり辺りは真っ白な雪に覆われた日。 私: 私:シンディーは変わらずマッチを売り歩いていました。 私: 私:「あぁ、寒いわ。暗くなってきたしそろそろお家に帰りたいけれど… まだ、駄目ね。せめてあと20束は売らないと。」 私: 私:少女は家に蒔がもうないことを思い出しました。 私: 私:毎日マッチを売り歩いても翌日のパンとスープになるだけしか、稼ぐことが出来ないのです。 私: 私:ディーンがいればもっと遠くまで売り歩けたのにな、とシンディーは悲しい気持ちになりました。 私: 私:外套に手袋、襟巻きで身を包んだ人々が足早に歩いていく中、マッチ売りのシンディーはかじかむ手を擦りながら1束のマッチを売るために声を上げ続けます。 私: 私:「そこのご婦人。暖炉に灯すマッチを買い忘れてはいませんか。」 「紳士のお方。どうかこの1束のマッチを買っては頂けませんか」 私: 私:シンディーに目をくれることなく、人々は通り過ぎてしまいます。 私: 私:寒空の下、シンディーは赤く腫れ上がった手をカゴへと伸ばしそおっと優しくマッチを1束抜き取りました。 私: 私:そうしてまたマッチが雪で濡れてしまわないように、厚い布を被せます。 私: 私:「まだお家には帰れないけれど、あまりにも寒いわ。せめて1束だけでも、私を暖めるのに使っては駄目かしら。 マッチを暖める布はあるのに、私の手を暖める手袋はないのだもの。せめて少しだけ…」 私: 私:少女は束のうちから1つマッチを取り出すと火を灯しました。 私: 私:暗闇の中で揺れる小さな炎をみつめていると何故自分はこんな寒空の下、ひとりぼっちなのだろうと思いました。 私: 私:「暖かいお家と沢山のご馳走と元気な家族、たったそれだけのことが叶わないなんて私はとっても不幸だわ。」 私: 私:マッチの灯りが消えそうになるとまたもうひとつのマッチを灯します。 私: 私:「こんな暖かな光に包まれて笑い合いながらご飯を食べたいだけなのに。 ディーンにも会いたいわ。 私の1番のおともだちだったディーン。 あなたはとても頭がいいから私のお別れのキスも受け入れてくれたわね。 あなたの暖かくて少し硬い毛が体に当たるのはくすぐったかったけれど、とても心地良かったわ。」 私: 私:1本、また1本とマッチを灯してシンディーは揺れる炎を見つめます。 私: 私:彼女が思えば思うほど炎の中には鮮明にディーンやご馳走や笑顔の母と祖母が見えるのです。 私: 私:炎が消えてしまう前にと、シンディーは籠の中からもう一度マッチの束を取り出しました。 私: 私:柔らかな光が可哀想な少女の願いを叶えてくれます。 私: 私:シンディーはそのうち、見るだけではなく、自分も同じようにその明るい世界に連れて行って欲しくなりました。 私: 私:炎の中の家族や馬のディーンに語りかけます。 私: 私:「私も一緒に暖まりたいわ。お願い、連れて行って。」 私: 私:声をかけると家族も、ご馳走も少女から遠のいてしまいます。 私: 私:「待って!私を置いていかないで!」 私: 私:シンディーは一生懸命呼び止めますがどんなに手を伸ばそうとも家族にもご馳走にも手は届きません。 私: 私: 私: 私:ひひーん!! 私: 私: 私: 私:その時、遠くの方から馬の鳴く声が聞こえました。ディーンの声です。 私: 私:地面を蹴る蹄の音が遠くから段々と近づいて聞こえます。 私: 私:ひひーん!!ブルブル!! 私: 私:「まぁ!あなたはシンディーちゃんじゃないの!」 私: 私:馬車から婦人が降りてくると、道の端に丸くなっている少女を見つけました。 私: 私:「こんなに冷え込んでしまって!ディーンがここまで私を連れてきてしまったのよ」 私: 私:従者がシンディーを抱えあげ馬車に乗せると、ディーンはそっと馬車を走らせました。 私: 私:先程までの暴走が嘘のようでした。 私: 私:賢くて勇敢なディーンは、彼のたった1人の主を心配して助け出したのです。 私: 私:それから目を覚ましたシンディーは裕福な家の暖かいベッドで休み、婦人と、ディーンと共に家へ帰りました。 私: 私:シンディーの帰りが遅いのを心配して待っていた母と祖母は、裕福な婦人から事情を聞いて、少女の無事を喜び、また申し訳ない気持ちになりました。 私: 私:そこで婦人がこれ程までに仲良しのディーンとシンディーを引き離すのは可哀想だと、シンディー達家族が屋敷の離で暮らすのはどうかと提案しました。 私: 私:ディーンはぶるるぶるると鳴くとシンディーの頬に優しくキスをしました。 私: 私:シンディーはこれまで通り、ディーンの背を櫛で梳かし、藁を準備し、母と祖母はマッチではなく、絹のハンカチに刺繍を縫い付けます。 私: 私:暖かい暖炉のそばで家族みんなで笑って過ごしました。