台本概要

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タイトル 怪人20面相
作者名 凛太郎  (@rin_voifro)
ジャンル ホラー
演者人数 1人用台本(不問1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 何もかもに嫉妬し続けた人間の成れの果て

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
- 何もかもに嫉妬し続けた人間。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:怪人二十面相 0: 0:逆立ちしたって他人にはなれない。 0: 0:一生自分と付き合っていかなければならない。 0: 0:そんな事解ってる。それでもやっぱり羨んで、妬んでしまう。 0: 0:自分にないモノを持っている者がただひたすらに羨ましく妬ましい。 0: 0:そんなつまらない事悩む暇があったら、 0:その時間で一歩でも前に進め、研鑽をつめと 0:理性が言う。心もそう戒めてくる。 0: 0:他人と比べても始まらない。 0: 0:それでも 嫉妬せずにはいられない 0:妬まずにはいられない 嫉まずにはいられない 0: 0:舞台の上で燦然と輝いている あの役者が羨ましい 0: 0:通りすがった 幸せそうな家族が羨ましい 0: 0:私の想い人の隣に立つ あの彼氏が羨ましい 0: 0:羨ましい 妬ましい 0: 0:最初の獲物は彼だった。 0:私の手の届かなかった舞台に立ち、誰よりもスポットライトが似合う彼。 0:その声と演技が欲しかった。私もその舞台に立ちたかった。 0: 0:だから彼を殺害した。 0:舞台の暗転中、背後から近づき、喉を切り取った。 0: 0:暗かった舞台に明かりが灯り、彼の出番となった。 0:彼は台本通り、天井から舞い降りた。 0:力なく 糸の切れた人形のようになった彼。 0:鈍い音が響き、赤い 赤い 華が咲いた。 0:その赤の色がとてもとても綺麗で 私はうっとりとそれを見つめていた。 0:そして彼の喉を丸呑みする。 0:あぁ、これで理想の声を手に入れた。 0: 0:次にすれ違った幸せそうな3人家族を殺害した。 0:一家団欒の時間を狙い家に侵入し、 0:少女の目の前で最愛の両親を解体した。 0:両親の娘を案じる声、娘が両親を案じる声 0:その時の表情と響き渡る嬌声は 0:空虚な私の心を満たしていった 0: 0:さぁ、次だ次。私の手は止まらない。嫉妬の心も止まらない。 0:私のこの世で一番大切な彼女。 0:でも彼女は私のことなど眼中にないだろう。 0:だからひとつづつ、丁寧に事を運ぶことにした。 0: 0:最初は彼女の友人だった。いつも彼女の話を聞き、元気づけていた。 0:私はそれになりたかった。 0:私はその友人を地中深く埋めた。もう二度と彼女と話ができないように、と。 0: 0:次は彼女の両親だ。きっと彼女の心の拠り所になっているだろう。 0:いつでも帰れる場所。いつでも自分を迎え入れてくれる場所。 0:私は彼女の家に燃料をまき、火をつける。 0:火は瞬く間に燃え広がえり、家屋も両親も焼き尽くす。 0: 0:最後は彼女の思い人だ。 0:私がどんなに恋焦がれても決してなる事のできなかった立場。 0:私はその彼氏を暗い路地で待ち伏せ襲った。 0:四肢を一本づつもぎ取っていく。1本抜くと苦痛に喘ぐ声が胸に響く。 0:この豚のように汚い声を彼女が聴いたらどう思うだろう。 0:そう思いながら1本、また一本と引き抜く。 0:3本目が終わる頃にはもう啼き声は聞こえなくなっていた。 0: 0:そしてその皮を剥ぎ、身にまとった。 0:ああ、これで彼女の大切な人になれた。 0: 0:憧れだった声を手に入れ 0:憧れだった暖かな心を手に入れ 0:憧れだった容姿を手に入れた 0: 0:それでも私の嫉妬は留まる事を知らない 0: 0:妬んでは手に入れ 0:嫉んでは手に入れ 0: 0:そして被害者が20名を超えた頃、私に呼び名がついていた。 0:怪人二十面相、と。 0: 0:さぁ、欠けているものは無いだろうか。 0:心は満たされただろうか。 0:まだ万全ではないが、 0:今宵あたり、彼女の元へと参じよう。 0: 0:今の私は間違いなく、理想の自分となっているのだから。

0:怪人二十面相 0: 0:逆立ちしたって他人にはなれない。 0: 0:一生自分と付き合っていかなければならない。 0: 0:そんな事解ってる。それでもやっぱり羨んで、妬んでしまう。 0: 0:自分にないモノを持っている者がただひたすらに羨ましく妬ましい。 0: 0:そんなつまらない事悩む暇があったら、 0:その時間で一歩でも前に進め、研鑽をつめと 0:理性が言う。心もそう戒めてくる。 0: 0:他人と比べても始まらない。 0: 0:それでも 嫉妬せずにはいられない 0:妬まずにはいられない 嫉まずにはいられない 0: 0:舞台の上で燦然と輝いている あの役者が羨ましい 0: 0:通りすがった 幸せそうな家族が羨ましい 0: 0:私の想い人の隣に立つ あの彼氏が羨ましい 0: 0:羨ましい 妬ましい 0: 0:最初の獲物は彼だった。 0:私の手の届かなかった舞台に立ち、誰よりもスポットライトが似合う彼。 0:その声と演技が欲しかった。私もその舞台に立ちたかった。 0: 0:だから彼を殺害した。 0:舞台の暗転中、背後から近づき、喉を切り取った。 0: 0:暗かった舞台に明かりが灯り、彼の出番となった。 0:彼は台本通り、天井から舞い降りた。 0:力なく 糸の切れた人形のようになった彼。 0:鈍い音が響き、赤い 赤い 華が咲いた。 0:その赤の色がとてもとても綺麗で 私はうっとりとそれを見つめていた。 0:そして彼の喉を丸呑みする。 0:あぁ、これで理想の声を手に入れた。 0: 0:次にすれ違った幸せそうな3人家族を殺害した。 0:一家団欒の時間を狙い家に侵入し、 0:少女の目の前で最愛の両親を解体した。 0:両親の娘を案じる声、娘が両親を案じる声 0:その時の表情と響き渡る嬌声は 0:空虚な私の心を満たしていった 0: 0:さぁ、次だ次。私の手は止まらない。嫉妬の心も止まらない。 0:私のこの世で一番大切な彼女。 0:でも彼女は私のことなど眼中にないだろう。 0:だからひとつづつ、丁寧に事を運ぶことにした。 0: 0:最初は彼女の友人だった。いつも彼女の話を聞き、元気づけていた。 0:私はそれになりたかった。 0:私はその友人を地中深く埋めた。もう二度と彼女と話ができないように、と。 0: 0:次は彼女の両親だ。きっと彼女の心の拠り所になっているだろう。 0:いつでも帰れる場所。いつでも自分を迎え入れてくれる場所。 0:私は彼女の家に燃料をまき、火をつける。 0:火は瞬く間に燃え広がえり、家屋も両親も焼き尽くす。 0: 0:最後は彼女の思い人だ。 0:私がどんなに恋焦がれても決してなる事のできなかった立場。 0:私はその彼氏を暗い路地で待ち伏せ襲った。 0:四肢を一本づつもぎ取っていく。1本抜くと苦痛に喘ぐ声が胸に響く。 0:この豚のように汚い声を彼女が聴いたらどう思うだろう。 0:そう思いながら1本、また一本と引き抜く。 0:3本目が終わる頃にはもう啼き声は聞こえなくなっていた。 0: 0:そしてその皮を剥ぎ、身にまとった。 0:ああ、これで彼女の大切な人になれた。 0: 0:憧れだった声を手に入れ 0:憧れだった暖かな心を手に入れ 0:憧れだった容姿を手に入れた 0: 0:それでも私の嫉妬は留まる事を知らない 0: 0:妬んでは手に入れ 0:嫉んでは手に入れ 0: 0:そして被害者が20名を超えた頃、私に呼び名がついていた。 0:怪人二十面相、と。 0: 0:さぁ、欠けているものは無いだろうか。 0:心は満たされただろうか。 0:まだ万全ではないが、 0:今宵あたり、彼女の元へと参じよう。 0: 0:今の私は間違いなく、理想の自分となっているのだから。