台本概要

 95 views 

タイトル 駅のホームで考える
作者名 読川詩朗
ジャンル その他
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 これを書いてた時、恐らく読川さんは病んでたんだろうなって思います。
まぁ今でもたまーに思うけどねこういうことは。

 95 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
自分 不問 40 これって男女関係なく考える事…だよね?違う?
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
自分:普段何気なく使う交通手段に電車があると思う。我々の身近に感じる一番効率の良い交通だ 自分:私は今日も電車に乗る為、駅のホームでいつも乗る通勤快速を待っている。 自分:いつも色んな人が乗っている。スカートの短い女子高生、談笑して時間を待つ男子高校生、時計を気にして急いでる社会人、スマホを見て前を見ない若者 自分:私はいつもの光景から少しおかしな人が居るのに気づいた。反対のホームには青白く血の気を引いた男性が腹部を抑えている 自分:ストレスを感じているのか?それともただの腹痛か?どっちにせよ周囲の人は声もかけず見て見ぬふりをしている。私も同じだ。 自分:そんな現代社会の縮図の様なものが一気に収まったこの時間帯、彼に声をかけてみようかと考えてはみたが、この国は遠慮というのに凝り固まった国だ 自分:きっと声をかけても「大丈夫です。少し体調を崩しただけです。」でふらふらとどこかに行くだろう。彼の一日は恐らくだがこうだろうな・・・ 自分:会社で誰に対しても作った笑顔で接し、媚びへつらう一日。食事はもっぱらコンビニのご飯。家に帰っても暗い部屋の中俯いたまま何も言葉を発さず食べるだけ 自分:布団の中に入っていても毎日感じる不安が彼を襲い、眠れない夜が続き寝不足なのだろう。頼れる相手が居たらいいがきっとそんな人もいないんだろうなぁ 自分:きっと彼は深い眠りにつくことは出来ないだろう。眠りの中で感じる不信不安、死にたくなるような恐怖を感じ大汗を流して飛び起き、水を飲む 自分:何度同じ夢を繰り返しているんだろう。明日はどうしてくるんだろう。生きることが鬱だ。死にたい死にたいと思っている 自分:やめろ。やめてくれ。まただ。またアイツが俺の首元に手を添えてくる・・・離せ・・・やめろ・・・やめてくれ 自分:そして不眠のままこうして駅のホームに居るんだろう。可哀想な男だ。 自分:深く物事を考えなくてもいいのに。と彼の青ざめた顔を見て思う。 自分:そんな彼を数日見ていると今日の彼は何かが違うと感じた。 自分:見た感じはいつもと変わらない青ざめた顔、腰が曲がり猫背のまま目は虚ろ・・・いつものように電車を待っている 自分:・・・ような感じではないな。彼は今日という日を終わらせたいのか?それとも・・・ 自分:そう考えていると彼はのそりのそりとゆっくり歩みを進めている 自分:まさかな?とは思ったが、私の眼に狂いはなかった。いつもの通勤快速の前に通る特急通過の列車がガタリガタリとけたたましい音を上げ近寄ってくる 自分:周りの人間は下を向き文明の利器をただ一心不乱に見ている。誰も気づいてないのだろうか 自分:やめるんだ!という私の声もむなしく青ざめた表情の彼は駅のホームへ飛び降りた 自分:ギシャンと鈍い音が鳴りいつも凛々と輝く太陽を反射する赤い液体が周囲に飛び散り、青ざめた彼の四肢は周囲に四散していた。 自分:私は酷く憔悴(しょうすい)した。なぜ止めれなかった、なぜあの日私は彼に救いの手を出さなかったのか 自分:彼の死を見て感じた。そうだ彼は私なんだと。 自分:抱え込んだストレスや不安や不信を宝物のように一生懸命に抱きかかえ胸の中に秘めて生きている。 自分:なぜ自分の心を人に打ち明けなかったのか、なぜ私は彼の心の悩みを聞いてあげれたはずだ。と膝から崩れ涙を流した 自分:私も愛する人を失い全てを無くして虚ろ気な私は彼に共感を感じていたのかもしれない。彼の死は私に生きる意味を教えてくれた 自分:そうか。これが失った感覚。さようならと言えなかったものの末路。死は幸せなのかも知れない。 自分:生きる意味を教えてもらった後に失った感覚を知った。そうか。彼と同じ道を辿ればきっと幸せになるんだろう 自分:反対のホームは緊急停止になっている。こっちはどうだ。あと数分で特急通過が来る。周りがざわざわとしているなか、私は一歩前に踏み出した 自分:大きな鉄の箱が何キロという速さで迫っている。さようなら今の世界そう思い一歩足を前に出した 0: 0: 0: 自分:・・あれ?どうして私は生きているのだろうか?私はどうして駅で横たわっているのだろう?頭が理解をする前に一人の駅員が私に声をかけた「やめなさい」 自分:たったその一言、やめなさいの一言だけなのに涙が自然と零れ落ちた。今まで思い積もっていた辛さの涙が頬を濡らしていった 自分:それから数日が経ったある日、駅員の方と飲みに行くことができた。彼はジョッキに入ったビールを優しく飲み、重たい口をゆっくりと開けこうつぶやいた 自分:「私は今まで何度も目の前で儚い命の蝋燭が消えていくのを見ていた。毎日生きるのが辛いと思う方が沢山居る。だけどだからと言って死ぬのは違うと思っているんだ」 自分:私は彼にこう聞いてみた。貴方はどうして私を助けたのですか?と。すると彼は優しい笑みを浮かべこう私に話してくれた 自分:「私は目の前の消えそうな蝋燭に油を足しただけです。貴方の命は救えても心は救えてない。だが、母から授かったこの命を辛さで投げ出してはいけないと思っている」 自分:たった少しだけの言葉だが私にはとても深い山の様な重みを感じる言葉だった。気付けばあの日流していた涙と同じ大粒の涙を流していた。彼は優しく私の背中をさすってくれた 自分:店を出て帰る時、彼は「明るく元気に生きるにはまだ無理があると思う。ゆっくりでいい今を強く生きてくれ。失った愛する人の分までな」と告げた 自分:私は一言、ありがとうと感謝を述べ、ふらり夜の駅へ歩みを進めていった。

自分:普段何気なく使う交通手段に電車があると思う。我々の身近に感じる一番効率の良い交通だ 自分:私は今日も電車に乗る為、駅のホームでいつも乗る通勤快速を待っている。 自分:いつも色んな人が乗っている。スカートの短い女子高生、談笑して時間を待つ男子高校生、時計を気にして急いでる社会人、スマホを見て前を見ない若者 自分:私はいつもの光景から少しおかしな人が居るのに気づいた。反対のホームには青白く血の気を引いた男性が腹部を抑えている 自分:ストレスを感じているのか?それともただの腹痛か?どっちにせよ周囲の人は声もかけず見て見ぬふりをしている。私も同じだ。 自分:そんな現代社会の縮図の様なものが一気に収まったこの時間帯、彼に声をかけてみようかと考えてはみたが、この国は遠慮というのに凝り固まった国だ 自分:きっと声をかけても「大丈夫です。少し体調を崩しただけです。」でふらふらとどこかに行くだろう。彼の一日は恐らくだがこうだろうな・・・ 自分:会社で誰に対しても作った笑顔で接し、媚びへつらう一日。食事はもっぱらコンビニのご飯。家に帰っても暗い部屋の中俯いたまま何も言葉を発さず食べるだけ 自分:布団の中に入っていても毎日感じる不安が彼を襲い、眠れない夜が続き寝不足なのだろう。頼れる相手が居たらいいがきっとそんな人もいないんだろうなぁ 自分:きっと彼は深い眠りにつくことは出来ないだろう。眠りの中で感じる不信不安、死にたくなるような恐怖を感じ大汗を流して飛び起き、水を飲む 自分:何度同じ夢を繰り返しているんだろう。明日はどうしてくるんだろう。生きることが鬱だ。死にたい死にたいと思っている 自分:やめろ。やめてくれ。まただ。またアイツが俺の首元に手を添えてくる・・・離せ・・・やめろ・・・やめてくれ 自分:そして不眠のままこうして駅のホームに居るんだろう。可哀想な男だ。 自分:深く物事を考えなくてもいいのに。と彼の青ざめた顔を見て思う。 自分:そんな彼を数日見ていると今日の彼は何かが違うと感じた。 自分:見た感じはいつもと変わらない青ざめた顔、腰が曲がり猫背のまま目は虚ろ・・・いつものように電車を待っている 自分:・・・ような感じではないな。彼は今日という日を終わらせたいのか?それとも・・・ 自分:そう考えていると彼はのそりのそりとゆっくり歩みを進めている 自分:まさかな?とは思ったが、私の眼に狂いはなかった。いつもの通勤快速の前に通る特急通過の列車がガタリガタリとけたたましい音を上げ近寄ってくる 自分:周りの人間は下を向き文明の利器をただ一心不乱に見ている。誰も気づいてないのだろうか 自分:やめるんだ!という私の声もむなしく青ざめた表情の彼は駅のホームへ飛び降りた 自分:ギシャンと鈍い音が鳴りいつも凛々と輝く太陽を反射する赤い液体が周囲に飛び散り、青ざめた彼の四肢は周囲に四散していた。 自分:私は酷く憔悴(しょうすい)した。なぜ止めれなかった、なぜあの日私は彼に救いの手を出さなかったのか 自分:彼の死を見て感じた。そうだ彼は私なんだと。 自分:抱え込んだストレスや不安や不信を宝物のように一生懸命に抱きかかえ胸の中に秘めて生きている。 自分:なぜ自分の心を人に打ち明けなかったのか、なぜ私は彼の心の悩みを聞いてあげれたはずだ。と膝から崩れ涙を流した 自分:私も愛する人を失い全てを無くして虚ろ気な私は彼に共感を感じていたのかもしれない。彼の死は私に生きる意味を教えてくれた 自分:そうか。これが失った感覚。さようならと言えなかったものの末路。死は幸せなのかも知れない。 自分:生きる意味を教えてもらった後に失った感覚を知った。そうか。彼と同じ道を辿ればきっと幸せになるんだろう 自分:反対のホームは緊急停止になっている。こっちはどうだ。あと数分で特急通過が来る。周りがざわざわとしているなか、私は一歩前に踏み出した 自分:大きな鉄の箱が何キロという速さで迫っている。さようなら今の世界そう思い一歩足を前に出した 0: 0: 0: 自分:・・あれ?どうして私は生きているのだろうか?私はどうして駅で横たわっているのだろう?頭が理解をする前に一人の駅員が私に声をかけた「やめなさい」 自分:たったその一言、やめなさいの一言だけなのに涙が自然と零れ落ちた。今まで思い積もっていた辛さの涙が頬を濡らしていった 自分:それから数日が経ったある日、駅員の方と飲みに行くことができた。彼はジョッキに入ったビールを優しく飲み、重たい口をゆっくりと開けこうつぶやいた 自分:「私は今まで何度も目の前で儚い命の蝋燭が消えていくのを見ていた。毎日生きるのが辛いと思う方が沢山居る。だけどだからと言って死ぬのは違うと思っているんだ」 自分:私は彼にこう聞いてみた。貴方はどうして私を助けたのですか?と。すると彼は優しい笑みを浮かべこう私に話してくれた 自分:「私は目の前の消えそうな蝋燭に油を足しただけです。貴方の命は救えても心は救えてない。だが、母から授かったこの命を辛さで投げ出してはいけないと思っている」 自分:たった少しだけの言葉だが私にはとても深い山の様な重みを感じる言葉だった。気付けばあの日流していた涙と同じ大粒の涙を流していた。彼は優しく私の背中をさすってくれた 自分:店を出て帰る時、彼は「明るく元気に生きるにはまだ無理があると思う。ゆっくりでいい今を強く生きてくれ。失った愛する人の分までな」と告げた 自分:私は一言、ありがとうと感謝を述べ、ふらり夜の駅へ歩みを進めていった。