台本概要

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タイトル 一葉の詩が綾なす出会いは。-1-
作者名 なぎ@泣き虫保護者  (@fuyu_number10)
ジャンル その他
演者人数 5人用台本(男2、女3) ※兼役あり
時間 20 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 雫が丘学園。
中高一貫の学園、高等部に進級した「いいんちょうさん」こと深山 一葉(みやま ひとは)は、
転入生の面倒を見るように先生から依頼されて・・・。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
一葉 17 委員長
綾子 13 転校生
怜央 12 一葉の同級生、腐れ縁
藤澤先生 4 担任。怜央と兼役可。
ひなた 12 綾子の友達。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
一葉:(N)唐突ですが、皆さんは「奇跡」を信じますか? 一葉:  一葉:(N)私は、・・・そうですね、「半々」といったところでしょうか。 一葉:  一葉:(N)これからお話しするのは、私が出会った、とても小さな「奇跡」のお話です。 0:(間)始業式直後の職員室、一葉が担任に呼び出される。 一葉:失礼します・・・おはようございます。 一葉:  一葉:  一葉:(N)私は、深山 一葉(みやま ひとは)。雫が丘(しずくがおか)学園の1年生です。 一葉:(N)学園は中高一貫の共学校。 一葉:  一葉:(N)地元でも入学が難しい、と言われている学校です。 一葉:  一葉:(N)いえ、これは・・・自慢ではなく。 一葉:  一葉:(N)1学期の始業式が終わって早々、私は担任の藤澤先生に呼び出されました。 一葉:  一葉:(N)嫌な予感しかしないのですが・・・。 藤澤先生:ああ深山さん、おはようございます。 藤澤先生:  藤澤先生:早速なんだけど、深山さんにお願いがあって。 一葉:はぁ、なんでしょう・・・。 一葉:  一葉:(N)私は中等部での3年間、「委員長」という肩書が外れることがありませんでした。 一葉:  一葉:(N)おそらくはその関係ではないか、と、嫌な予感しかしません・・・。 藤澤先生:中等部からの持ち上がりの子ばかりで、 藤澤先生:  藤澤先生:基本的にはクラスには顔なじみばかりだと思うんだけど・・・。 一葉:また私が学級委員長、ですか・・・? 藤澤先生:あぁ・・・えっとね、それは別にまた深山さんにお願いしようと思ってた。 一葉:あああ・・・ですよねぇ・・・。 一葉:  一葉:  一葉:(N)私は内心で頭を抱えます。 一葉:  一葉:(N)藪蛇(やぶへび)だった・・・また「委員長」としか呼ばれない・・・。 一葉:  一葉:(N)え?「別にまた」? 藤澤先生:実は今年、高等部からこの学校に編入してくる生徒がいてね、 藤澤先生:  藤澤先生:その子に色々教えてあげて欲しいんだ。 一葉:あっはい・・・。 一葉:  一葉:  一葉:(N)珍しいなぁ、そもそも編入も難しい学校なのに。 一葉:  一葉:(N)頭のいい子、なのかなぁ・・・? 一葉:  一葉:(N)とりあえず会ってみれば、わかるかな。 一葉:  一葉:(N)教室に戻ると、声をかけられました。 一葉:  一葉:  一葉:おはよう~。 怜央:おっす、いいんちょうさん! 一葉:はぁ・・・ちょっと怜央(れお)、「いいんちょうさん」はやめてよ。 一葉:  一葉:私、高等部に上がってまで、もうやりたくないわよ、学級委員長なんて。 一葉:  一葉:  一葉:(N)「決まってる」とも言いたくないし、もう委員長は・・・本当にやりたくない。 一葉:  一葉:(N)ちなみに話しかけてきたコイツは、中等部からの腐れ縁の「坂口 怜央(さかぐち れお)。 怜央:悪ぃ悪ぃ、でもさ、一葉には似合うと思うぜ、委員長。 一葉:嫌よ。私だって面倒だって思ってるんだし。 一葉:  一葉:他の人が引き受けてくれたらどれだけ楽か。 怜央:まぁそう言うなって。どうせまた先生に指名されるのがオチ、だろ? 一葉:うぐ。 怜央:ってかさ、そんなに嫌なら誰かに押し付けりゃいいじゃん。 怜央:  怜央:別に誰かを推薦したって文句言われねぇよ。 一葉:押し付けるって・・・言い方! 一葉:  一葉:それに、推薦したらその人に恨まれるわ。 怜央:そうは言うけどさ、誰かが結局引き受けるんだぜ? 一葉:はいはい、私の負けよ。怜央、あんたのこと推薦するから。 怜央:うっげ。 一葉:文句言われない、んでしょ? 怜央:あーもう、そうしたきゃそうしろって。 怜央:  怜央:てか一葉、今日機嫌悪くね? 一葉:そう?普通よ普通。 怜央:せんせーに呼ばれてたことか? 一葉:ほんっと、あんたって勘がいいというか天才というか・・・。 怜央:図星か。んで?何言われたんだよ。 一葉:編入生が来るんだって。 怜央:は!?マジか!? 一葉:ちょっと、声大きい!・・・で、その子の面倒見ろって。 怜央:それで呼ばれてたのかよ・・・。で?その子には会ったのか? 一葉:まだよ。 怜央:そっか。どんなやつなのかねぇ・・・? 一葉(N):お気楽な怜央を横目に、私は筆記用具と提出する資料を取り出しながら、 一葉(N):  一葉(N):ホームルームが始まるのを、そわそわしながら待っていました。 0:(間)場面転換。東北地方のとある駅舎。時間は少し戻って、3月の終わり。 綾子:(N)まだ山の方には雪、頬に当たる風に刺すような痛みが残る、3月の終わり。 綾子:  綾子:(N)私は、駅のホームで、見送りに来てくれたお友達とお話をしていました。 綾子:  綾子:(N)お友達は、一人。 ひなた:ほんとに、急だったね・・・今も、まだ信じられないよ。 綾子:うん、私も最初、どうしていいかわからなかった・・・。だけど、・・・何にもできなくって。どうしようもなくて。 ひなた:あの時は大泣きするあーやをなだめるの、大変だったんだから。 綾子:(本当に泣きそうになる)ぅ・・・ほんとに、ごめん、ね・・・? ひなた:あー!泣かない泣かない!!もー、しょうがないなー。わかってるよ。 ひなた:  ひなた:あーやのお父さん、ホント忙しいんだよね。 ひなた:  ひなた:・・・今度は神奈川かぁ~・・・遠いなぁ・・・。 綾子:うん、そうだね・・・ひな、あのね? ひなた:ん? 綾子:またお手紙、書いてもいい? ひなた:なんだ、そんなこと?もちろん!ってかあーや、SNSもあるんだしさぁ・・・。 綾子:うん。・・・でも私、手紙のほうが好きなの。 ひなた:そーれーもー、知ってるって! 綾子:(N)ひなたにおでこを「つんっ」と指で押されました。今日はそんなことでさえ、私の胸を締め付けてきます。 綾子:  綾子:(N)そして。時計の針は、容赦なく、上り電車の到着時刻に近づきます。 綾子:  綾子:  綾子:ひな、ホントにありがとね?これからも、よろしくお願いします! ひなた:うん、こちらこそ、よろしくお願いします! 綾子:(ひなたと同時に笑う) ひなた:(綾子と同時に笑う) 綾子:(N)そして。がたごと、と音を立てながら、上り電車がホームに到着しました。 綾子:  綾子:(N)ああ、もう、時間なんだ・・・。 ひなた:もう、時間かぁ・・・ 綾子:そだね・・・ 綾子:  綾子:(N)二人とも、何も言えなくなってしまいます。 綾子:  綾子:(N)時計の針が、戻っていけばいいのに。 綾子:  綾子:(N)お父さんの転勤が、なくなればいいのに。 綾子:  綾子:(N)ひなたとまだ、一緒に居たいのに。 綾子:  綾子:(N)いろんな気持ちが、綯い交ぜ(ないまぜ)になります。 ひなた:(ふっと笑ってから)あーや。 綾子:なに?ひな? ひなた:あーやはどこにいても、きっと大丈夫だからね。 綾子:・・・うんっ!行ってくるね! ひなた:行ってらっしゃい! 綾子:(N)お互い、「さよなら」は言いませんでした。 綾子:  綾子:(N)きっと、ううん、絶対に、また会える。 綾子:  綾子:(N)そう信じて。二人ともがキライな「さよなら」は言いません。 綾子:  綾子:(N)新しい学校。私は「緊張しい」の「よわむし」なので、 綾子:  綾子:(N)不安ばっかりが浮かび上がるけど。ひなの言葉、信じてるよ。がんばるね。ひな・・・。 0:-続く-

一葉:(N)唐突ですが、皆さんは「奇跡」を信じますか? 一葉:  一葉:(N)私は、・・・そうですね、「半々」といったところでしょうか。 一葉:  一葉:(N)これからお話しするのは、私が出会った、とても小さな「奇跡」のお話です。 0:(間)始業式直後の職員室、一葉が担任に呼び出される。 一葉:失礼します・・・おはようございます。 一葉:  一葉:  一葉:(N)私は、深山 一葉(みやま ひとは)。雫が丘(しずくがおか)学園の1年生です。 一葉:(N)学園は中高一貫の共学校。 一葉:  一葉:(N)地元でも入学が難しい、と言われている学校です。 一葉:  一葉:(N)いえ、これは・・・自慢ではなく。 一葉:  一葉:(N)1学期の始業式が終わって早々、私は担任の藤澤先生に呼び出されました。 一葉:  一葉:(N)嫌な予感しかしないのですが・・・。 藤澤先生:ああ深山さん、おはようございます。 藤澤先生:  藤澤先生:早速なんだけど、深山さんにお願いがあって。 一葉:はぁ、なんでしょう・・・。 一葉:  一葉:(N)私は中等部での3年間、「委員長」という肩書が外れることがありませんでした。 一葉:  一葉:(N)おそらくはその関係ではないか、と、嫌な予感しかしません・・・。 藤澤先生:中等部からの持ち上がりの子ばかりで、 藤澤先生:  藤澤先生:基本的にはクラスには顔なじみばかりだと思うんだけど・・・。 一葉:また私が学級委員長、ですか・・・? 藤澤先生:あぁ・・・えっとね、それは別にまた深山さんにお願いしようと思ってた。 一葉:あああ・・・ですよねぇ・・・。 一葉:  一葉:  一葉:(N)私は内心で頭を抱えます。 一葉:  一葉:(N)藪蛇(やぶへび)だった・・・また「委員長」としか呼ばれない・・・。 一葉:  一葉:(N)え?「別にまた」? 藤澤先生:実は今年、高等部からこの学校に編入してくる生徒がいてね、 藤澤先生:  藤澤先生:その子に色々教えてあげて欲しいんだ。 一葉:あっはい・・・。 一葉:  一葉:  一葉:(N)珍しいなぁ、そもそも編入も難しい学校なのに。 一葉:  一葉:(N)頭のいい子、なのかなぁ・・・? 一葉:  一葉:(N)とりあえず会ってみれば、わかるかな。 一葉:  一葉:(N)教室に戻ると、声をかけられました。 一葉:  一葉:  一葉:おはよう~。 怜央:おっす、いいんちょうさん! 一葉:はぁ・・・ちょっと怜央(れお)、「いいんちょうさん」はやめてよ。 一葉:  一葉:私、高等部に上がってまで、もうやりたくないわよ、学級委員長なんて。 一葉:  一葉:  一葉:(N)「決まってる」とも言いたくないし、もう委員長は・・・本当にやりたくない。 一葉:  一葉:(N)ちなみに話しかけてきたコイツは、中等部からの腐れ縁の「坂口 怜央(さかぐち れお)。 怜央:悪ぃ悪ぃ、でもさ、一葉には似合うと思うぜ、委員長。 一葉:嫌よ。私だって面倒だって思ってるんだし。 一葉:  一葉:他の人が引き受けてくれたらどれだけ楽か。 怜央:まぁそう言うなって。どうせまた先生に指名されるのがオチ、だろ? 一葉:うぐ。 怜央:ってかさ、そんなに嫌なら誰かに押し付けりゃいいじゃん。 怜央:  怜央:別に誰かを推薦したって文句言われねぇよ。 一葉:押し付けるって・・・言い方! 一葉:  一葉:それに、推薦したらその人に恨まれるわ。 怜央:そうは言うけどさ、誰かが結局引き受けるんだぜ? 一葉:はいはい、私の負けよ。怜央、あんたのこと推薦するから。 怜央:うっげ。 一葉:文句言われない、んでしょ? 怜央:あーもう、そうしたきゃそうしろって。 怜央:  怜央:てか一葉、今日機嫌悪くね? 一葉:そう?普通よ普通。 怜央:せんせーに呼ばれてたことか? 一葉:ほんっと、あんたって勘がいいというか天才というか・・・。 怜央:図星か。んで?何言われたんだよ。 一葉:編入生が来るんだって。 怜央:は!?マジか!? 一葉:ちょっと、声大きい!・・・で、その子の面倒見ろって。 怜央:それで呼ばれてたのかよ・・・。で?その子には会ったのか? 一葉:まだよ。 怜央:そっか。どんなやつなのかねぇ・・・? 一葉(N):お気楽な怜央を横目に、私は筆記用具と提出する資料を取り出しながら、 一葉(N):  一葉(N):ホームルームが始まるのを、そわそわしながら待っていました。 0:(間)場面転換。東北地方のとある駅舎。時間は少し戻って、3月の終わり。 綾子:(N)まだ山の方には雪、頬に当たる風に刺すような痛みが残る、3月の終わり。 綾子:  綾子:(N)私は、駅のホームで、見送りに来てくれたお友達とお話をしていました。 綾子:  綾子:(N)お友達は、一人。 ひなた:ほんとに、急だったね・・・今も、まだ信じられないよ。 綾子:うん、私も最初、どうしていいかわからなかった・・・。だけど、・・・何にもできなくって。どうしようもなくて。 ひなた:あの時は大泣きするあーやをなだめるの、大変だったんだから。 綾子:(本当に泣きそうになる)ぅ・・・ほんとに、ごめん、ね・・・? ひなた:あー!泣かない泣かない!!もー、しょうがないなー。わかってるよ。 ひなた:  ひなた:あーやのお父さん、ホント忙しいんだよね。 ひなた:  ひなた:・・・今度は神奈川かぁ~・・・遠いなぁ・・・。 綾子:うん、そうだね・・・ひな、あのね? ひなた:ん? 綾子:またお手紙、書いてもいい? ひなた:なんだ、そんなこと?もちろん!ってかあーや、SNSもあるんだしさぁ・・・。 綾子:うん。・・・でも私、手紙のほうが好きなの。 ひなた:そーれーもー、知ってるって! 綾子:(N)ひなたにおでこを「つんっ」と指で押されました。今日はそんなことでさえ、私の胸を締め付けてきます。 綾子:  綾子:(N)そして。時計の針は、容赦なく、上り電車の到着時刻に近づきます。 綾子:  綾子:  綾子:ひな、ホントにありがとね?これからも、よろしくお願いします! ひなた:うん、こちらこそ、よろしくお願いします! 綾子:(ひなたと同時に笑う) ひなた:(綾子と同時に笑う) 綾子:(N)そして。がたごと、と音を立てながら、上り電車がホームに到着しました。 綾子:  綾子:(N)ああ、もう、時間なんだ・・・。 ひなた:もう、時間かぁ・・・ 綾子:そだね・・・ 綾子:  綾子:(N)二人とも、何も言えなくなってしまいます。 綾子:  綾子:(N)時計の針が、戻っていけばいいのに。 綾子:  綾子:(N)お父さんの転勤が、なくなればいいのに。 綾子:  綾子:(N)ひなたとまだ、一緒に居たいのに。 綾子:  綾子:(N)いろんな気持ちが、綯い交ぜ(ないまぜ)になります。 ひなた:(ふっと笑ってから)あーや。 綾子:なに?ひな? ひなた:あーやはどこにいても、きっと大丈夫だからね。 綾子:・・・うんっ!行ってくるね! ひなた:行ってらっしゃい! 綾子:(N)お互い、「さよなら」は言いませんでした。 綾子:  綾子:(N)きっと、ううん、絶対に、また会える。 綾子:  綾子:(N)そう信じて。二人ともがキライな「さよなら」は言いません。 綾子:  綾子:(N)新しい学校。私は「緊張しい」の「よわむし」なので、 綾子:  綾子:(N)不安ばっかりが浮かび上がるけど。ひなの言葉、信じてるよ。がんばるね。ひな・・・。 0:-続く-