台本概要
127 views
タイトル | 移りにけりな悪戯に |
---|---|
作者名 | のんのん |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 1人用台本(不問1) ※兼役あり |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
百人一首からインスピレーションを得た オムニバスのアオハルショートストーリーをふんわり書いてみました 元の歌とは関係ないですがそこはご愛嬌ということで 実のところ、『BOYS BE…』的なものを書こうとして何故かこうなりました ※歌ごとに主人公の男女が違います 127 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
あなた | 不問 | 54 | 各キャラクターそれぞれです |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0: ■ ■ ■ ■ ■
0: 春過ぎて夏来きにけらし白妙の
0: 衣干すてふ天の香具山
0: 持統天皇
0: ■ ■ ■ ■ ■
0:
あなた: クラス替えからもう2ヶ月
あなた: 春らしい暖かさから
あなた: いつの間にか少し汗ばむ季節がやって来た
0:
あなた: いつも窓際で佇むあの娘に
あなた: 僕はまだ声をかけられずにいる
0:
あなた: 彼女の周りには
あなた: 休み時間に時々友達がやって来る
あなた: でも彼女は他の子たちとは違い
あなた: 大笑いすることはなく
あなた: 握った手を口元にやって
あなた: 目を細めてクスクスと笑うのだ
0:
あなた: その姿に少し大人っぽさを感じ
あなた: 僕はドキッとする
0:
あなた: 6月、半袖に変わった制服
あなた: 口元にやる彼女の手は
あなた: その白い袖からスラリと伸びる
0:
あなた: その袖口の白さに感じる神秘を
あなた: ひた隠しにして
あなた: そっと窓の外の緑に視線を移す
あなた: 山の緑
あなた: 彼女の白
0:
あなた: 何かが起こりそうな、夏
0:
0: ■ ■ ■ ■ ■
0: あしびきの山鳥の尾のしだり尾の
0: ながながし夜をひとりかも寝む
0: 柿本人麻呂
0: ■ ■ ■ ■ ■
0:
あなた: ネットに隔てられた世界
あなた: いつも配信で話をする彼女
あなた: 僕は彼女が好きだ
あなた: そして彼女もたぶん
0:
あなた: 朝が遅いから深夜の配信
0:
あなた: おやすみからおはようまでの
あなた: 無限のように感じる時間
0:
あなた: さっきまでほんの傍にあったあの声は
あなた: 今は遠い空の下
あなた: きっとかわいい寝息を立てている
0:
あなた: そんな想像をするものだから
あなた: 寝付くまでの長い長い時間は
あなた: また彼女を思い出すことで
あなた: さらに長くなる
0:
あなた: あの山の向こう
あなた: そのまた向こう
あなた: 遠い遠い空の下
あなた: 二人ぼっちの長い独り寝
0:
0:
0: ■ ■ ■ ■ ■
0: 奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の
0: 声聞くときぞ秋は悲しき
0: 猿丸太夫
0: ■ ■ ■ ■ ■
0:
あなた: 僕には
あなた: 僕を好きだと言ってくれる娘がいる
あなた: クラスで人気者の活発な女の子
0:
あなた: 部活や委員会で忙しい僕に
あなた: 何かとちょっかいを掛けてきては
あなた: 「好きなんだからいいでしょ!」
あなた: と無理難題を押し付けてくる
0:
あなた: そんな彼女はいつもみんなに囲まれている
あなた: 女子にも、男子にも囲まれている
あなた: そしていつも元気だ
0:
あなた: 方や、いつも何かに追われている僕
あなた: 面白いことは好きだけど
あなた: 陽キャとは全然違う生活をしているのに
あなた: 何がそんなに良いんだろう?
0:
あなた: アピールが凄いから
あなた: 時々申し訳なくなって構ってみると
あなた: とても喜んでくれる
0:
あなた: でも普段の様子を見ていると
あなた: 他の人たちと居るほうが
あなた: 賑やかで楽しそうだ
0:
あなた: そんな僕はといえば
あなた: 実は密かに想っている娘がいる
あなた: でもその子は他に好きな男子がいる
0:
あなた: 淑やかで物静かな彼女が
あなた: 好きな男子を探して
あなた: 目線をキョロキョロ
あなた: 少し不安そうにしているのを見ると
あなた: 物悲しくなる
0:
あなた: うまく行かないもんだよな、、、
0:
0: ■ ■ ■ ■ ■
0: わが庵は都の辰巳しかぞすむ
0: 世をうぢ山と人はいふなり
0: 喜撰法師
0: ■ ■ ■ ■ ■
0:
あなた: 不良っぽい彼女は
あなた: みんなから怖いと思われている
0:
あなた: 金色の頭に
あなた: たくさん空いたピアス
あなた: 短いスカートでも活動的で
あなた: スパッツだと分かっていても
あなた: 目のやり場に困る
0:
あなた: 男子を殴るのも当たり前だけど
あなた: 僕は知っている
あなた: 彼女が手をあげるときは
あなた: 決まって大人しい子を助けるときだ
0:
あなた: カバンを乱暴に扱うのも普通
あなた: でも偶然街で見かけた彼女は
あなた: お年寄りや子供に優しかった
あなた: その時、僕に気がついたみたいだけど
あなた: 知らん振りをして去っていった
0:
あなた: ところで、
あなた: 彼女とは時々目が合うんだけど
あなた: 僕が密かに見ていることが
あなた: わかってるんだろうか
あなた: 目が合うと一瞬じっと見て
あなた: すぐにプイッと目を逸らす
0:
あなた: これが他の男子なら
あなた: 「何見てんだよ!」
あなた: と怒られる場面だ
0:
あなた: それは僕が弱々しいから
あなた: 目こぼしをしてくれているのか
0:
あなた: それとも、、、
0:
あなた: ううん、期待しちゃいけない
あなた: 僕と彼女では釣り合わない
0:
あなた: 今はまだ僕だけが
あなた: 本当は彼女が優しいのを知っていることで
あなた: 満足することにしよう
0:
0:
0: ■ ■ ■ ■ ■
0: 花の色はうつりにけりないたづらに
0: 我が身世にふるながめせし間に
0: 小野小町
0: ■ ■ ■ ■ ■
0:
あなた: 後輩くんが卒業するまで
あなた: 付き合うのは待つという約束
あなた: そう言ったあの時からもう二年
0:
あなた: 私は大学に入った
あなた: 忘れたわけじゃないけれど
あなた: 卒業してからは
あなた: 日に日に連絡を取る間隔が長くなった
0:
あなた: そうして時の流れを眺めている内に
あなた: 仲の良くなったサークルの先輩と
あなた: 何となく付き合う感じになった
0:
あなた: 優しいし、良い人だし
あなた: 私を大切にしてくれるんだけど
あなた: 心の何処かでは「違う」と思っていた
0:
あなた: そして迎えた二十歳のバースデー
あなた: 突然の後輩くんからのLINE
0:
あなた: え?LINE?
0:
あなた: その中身は、、、
あなた: 「待たせてごめんなさい
あなた: 迎えに行っても良いですか?」
0:
あなた: って!
あなた: もう!バカっ!!遅いよ!
0:
あなた: 文句を言いながら
あなた: 今の彼氏にLINEを書く私
あなた:
あなた: 「ごめんなさい、
あなた: 好きな人が出来たから別れましょ」
0:
あなた: うわ、、私って酷い女
0:
あなた: でも好きな人と一緒に居たいんだもん
あなた: 自分には嘘はつけません
0:
0:
0:
0: ■ ■ ■ ■ ■
0: 難波潟 短き葦のふしの間まも
0: 逢はでこの世を過ぐしてよとや
0: 伊勢
0: ■ ■ ■ ■ ■
0:
あなた: あなたに会いたい
あなた: ほんの少しの間でいいから
0:
あなた: 触れたい
あなた: 触れてほしい
0:
あなた: そんな贅沢は言わない
あなた: せめて声が聞きたい
あなた: せめて顔が見たい
0:
あなた: 去年までは同じクラスで
あなた: 毎日顔を見ることが出来た
あなた: その時はそんな贅沢な時間を
あなた: 無駄に過ごしていた
0:
あなた: クラスが変わって離れ離れ
あなた: 当たり前にあなたが居た教室
あなた: 今は遠い記憶の向こう
0:
あなた: 部活も違うし
あなた: 帰る方向も逆方向
0:
あなた: 唯一会えるのは部活終わりの夕方
あなた: 反対側の2番ホーム
0:
あなた: 私は手を伸ばしても届かない
あなた: この3番ホームから
あなた: あなたの姿を探している
0:
あなた: あ!みつけた!
0:
あなた: ねえ?こっちに気づいて?
あなた: 私、あなたを見てるの!
0:
あなた: ねぇ、、、気づいてよ、、、
0: ■ ■ ■ ■ ■
0: 春過ぎて夏来きにけらし白妙の
0: 衣干すてふ天の香具山
0: 持統天皇
0: ■ ■ ■ ■ ■
0:
あなた: クラス替えからもう2ヶ月
あなた: 春らしい暖かさから
あなた: いつの間にか少し汗ばむ季節がやって来た
0:
あなた: いつも窓際で佇むあの娘に
あなた: 僕はまだ声をかけられずにいる
0:
あなた: 彼女の周りには
あなた: 休み時間に時々友達がやって来る
あなた: でも彼女は他の子たちとは違い
あなた: 大笑いすることはなく
あなた: 握った手を口元にやって
あなた: 目を細めてクスクスと笑うのだ
0:
あなた: その姿に少し大人っぽさを感じ
あなた: 僕はドキッとする
0:
あなた: 6月、半袖に変わった制服
あなた: 口元にやる彼女の手は
あなた: その白い袖からスラリと伸びる
0:
あなた: その袖口の白さに感じる神秘を
あなた: ひた隠しにして
あなた: そっと窓の外の緑に視線を移す
あなた: 山の緑
あなた: 彼女の白
0:
あなた: 何かが起こりそうな、夏
0:
0: ■ ■ ■ ■ ■
0: あしびきの山鳥の尾のしだり尾の
0: ながながし夜をひとりかも寝む
0: 柿本人麻呂
0: ■ ■ ■ ■ ■
0:
あなた: ネットに隔てられた世界
あなた: いつも配信で話をする彼女
あなた: 僕は彼女が好きだ
あなた: そして彼女もたぶん
0:
あなた: 朝が遅いから深夜の配信
0:
あなた: おやすみからおはようまでの
あなた: 無限のように感じる時間
0:
あなた: さっきまでほんの傍にあったあの声は
あなた: 今は遠い空の下
あなた: きっとかわいい寝息を立てている
0:
あなた: そんな想像をするものだから
あなた: 寝付くまでの長い長い時間は
あなた: また彼女を思い出すことで
あなた: さらに長くなる
0:
あなた: あの山の向こう
あなた: そのまた向こう
あなた: 遠い遠い空の下
あなた: 二人ぼっちの長い独り寝
0:
0:
0: ■ ■ ■ ■ ■
0: 奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の
0: 声聞くときぞ秋は悲しき
0: 猿丸太夫
0: ■ ■ ■ ■ ■
0:
あなた: 僕には
あなた: 僕を好きだと言ってくれる娘がいる
あなた: クラスで人気者の活発な女の子
0:
あなた: 部活や委員会で忙しい僕に
あなた: 何かとちょっかいを掛けてきては
あなた: 「好きなんだからいいでしょ!」
あなた: と無理難題を押し付けてくる
0:
あなた: そんな彼女はいつもみんなに囲まれている
あなた: 女子にも、男子にも囲まれている
あなた: そしていつも元気だ
0:
あなた: 方や、いつも何かに追われている僕
あなた: 面白いことは好きだけど
あなた: 陽キャとは全然違う生活をしているのに
あなた: 何がそんなに良いんだろう?
0:
あなた: アピールが凄いから
あなた: 時々申し訳なくなって構ってみると
あなた: とても喜んでくれる
0:
あなた: でも普段の様子を見ていると
あなた: 他の人たちと居るほうが
あなた: 賑やかで楽しそうだ
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あなた: そんな僕はといえば
あなた: 実は密かに想っている娘がいる
あなた: でもその子は他に好きな男子がいる
0:
あなた: 淑やかで物静かな彼女が
あなた: 好きな男子を探して
あなた: 目線をキョロキョロ
あなた: 少し不安そうにしているのを見ると
あなた: 物悲しくなる
0:
あなた: うまく行かないもんだよな、、、
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0: ■ ■ ■ ■ ■
0: わが庵は都の辰巳しかぞすむ
0: 世をうぢ山と人はいふなり
0: 喜撰法師
0: ■ ■ ■ ■ ■
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あなた: 不良っぽい彼女は
あなた: みんなから怖いと思われている
0:
あなた: 金色の頭に
あなた: たくさん空いたピアス
あなた: 短いスカートでも活動的で
あなた: スパッツだと分かっていても
あなた: 目のやり場に困る
0:
あなた: 男子を殴るのも当たり前だけど
あなた: 僕は知っている
あなた: 彼女が手をあげるときは
あなた: 決まって大人しい子を助けるときだ
0:
あなた: カバンを乱暴に扱うのも普通
あなた: でも偶然街で見かけた彼女は
あなた: お年寄りや子供に優しかった
あなた: その時、僕に気がついたみたいだけど
あなた: 知らん振りをして去っていった
0:
あなた: ところで、
あなた: 彼女とは時々目が合うんだけど
あなた: 僕が密かに見ていることが
あなた: わかってるんだろうか
あなた: 目が合うと一瞬じっと見て
あなた: すぐにプイッと目を逸らす
0:
あなた: これが他の男子なら
あなた: 「何見てんだよ!」
あなた: と怒られる場面だ
0:
あなた: それは僕が弱々しいから
あなた: 目こぼしをしてくれているのか
0:
あなた: それとも、、、
0:
あなた: ううん、期待しちゃいけない
あなた: 僕と彼女では釣り合わない
0:
あなた: 今はまだ僕だけが
あなた: 本当は彼女が優しいのを知っていることで
あなた: 満足することにしよう
0:
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0: ■ ■ ■ ■ ■
0: 花の色はうつりにけりないたづらに
0: 我が身世にふるながめせし間に
0: 小野小町
0: ■ ■ ■ ■ ■
0:
あなた: 後輩くんが卒業するまで
あなた: 付き合うのは待つという約束
あなた: そう言ったあの時からもう二年
0:
あなた: 私は大学に入った
あなた: 忘れたわけじゃないけれど
あなた: 卒業してからは
あなた: 日に日に連絡を取る間隔が長くなった
0:
あなた: そうして時の流れを眺めている内に
あなた: 仲の良くなったサークルの先輩と
あなた: 何となく付き合う感じになった
0:
あなた: 優しいし、良い人だし
あなた: 私を大切にしてくれるんだけど
あなた: 心の何処かでは「違う」と思っていた
0:
あなた: そして迎えた二十歳のバースデー
あなた: 突然の後輩くんからのLINE
0:
あなた: え?LINE?
0:
あなた: その中身は、、、
あなた: 「待たせてごめんなさい
あなた: 迎えに行っても良いですか?」
0:
あなた: って!
あなた: もう!バカっ!!遅いよ!
0:
あなた: 文句を言いながら
あなた: 今の彼氏にLINEを書く私
あなた:
あなた: 「ごめんなさい、
あなた: 好きな人が出来たから別れましょ」
0:
あなた: うわ、、私って酷い女
0:
あなた: でも好きな人と一緒に居たいんだもん
あなた: 自分には嘘はつけません
0:
0:
0:
0: ■ ■ ■ ■ ■
0: 難波潟 短き葦のふしの間まも
0: 逢はでこの世を過ぐしてよとや
0: 伊勢
0: ■ ■ ■ ■ ■
0:
あなた: あなたに会いたい
あなた: ほんの少しの間でいいから
0:
あなた: 触れたい
あなた: 触れてほしい
0:
あなた: そんな贅沢は言わない
あなた: せめて声が聞きたい
あなた: せめて顔が見たい
0:
あなた: 去年までは同じクラスで
あなた: 毎日顔を見ることが出来た
あなた: その時はそんな贅沢な時間を
あなた: 無駄に過ごしていた
0:
あなた: クラスが変わって離れ離れ
あなた: 当たり前にあなたが居た教室
あなた: 今は遠い記憶の向こう
0:
あなた: 部活も違うし
あなた: 帰る方向も逆方向
0:
あなた: 唯一会えるのは部活終わりの夕方
あなた: 反対側の2番ホーム
0:
あなた: 私は手を伸ばしても届かない
あなた: この3番ホームから
あなた: あなたの姿を探している
0:
あなた: あ!みつけた!
0:
あなた: ねえ?こっちに気づいて?
あなた: 私、あなたを見てるの!
0:
あなた: ねぇ、、、気づいてよ、、、