台本概要

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タイトル 移りにけりな悪戯に
作者名 のんのん
ジャンル ラブストーリー
演者人数 1人用台本(不問1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 百人一首からインスピレーションを得た
オムニバスのアオハルショートストーリーをふんわり書いてみました
元の歌とは関係ないですがそこはご愛嬌ということで
実のところ、『BOYS BE…』的なものを書こうとして何故かこうなりました

※歌ごとに主人公の男女が違います

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
あなた 不問 54 各キャラクターそれぞれです
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0: ■ ■ ■ ■ ■  0: 春過ぎて夏来きにけらし白妙の 0: 衣干すてふ天の香具山 0: 持統天皇 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: あなた: クラス替えからもう2ヶ月 あなた: 春らしい暖かさから あなた: いつの間にか少し汗ばむ季節がやって来た 0: あなた: いつも窓際で佇むあの娘に あなた: 僕はまだ声をかけられずにいる 0: あなた: 彼女の周りには あなた: 休み時間に時々友達がやって来る あなた: でも彼女は他の子たちとは違い あなた: 大笑いすることはなく あなた: 握った手を口元にやって あなた: 目を細めてクスクスと笑うのだ 0: あなた: その姿に少し大人っぽさを感じ あなた: 僕はドキッとする 0: あなた: 6月、半袖に変わった制服 あなた: 口元にやる彼女の手は あなた: その白い袖からスラリと伸びる 0: あなた: その袖口の白さに感じる神秘を あなた: ひた隠しにして あなた: そっと窓の外の緑に視線を移す あなた: 山の緑 あなた: 彼女の白 0: あなた: 何かが起こりそうな、夏 0: 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: あしびきの山鳥の尾のしだり尾の 0: ながながし夜をひとりかも寝む 0: 柿本人麻呂 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: あなた: ネットに隔てられた世界 あなた: いつも配信で話をする彼女 あなた: 僕は彼女が好きだ あなた: そして彼女もたぶん 0: あなた: 朝が遅いから深夜の配信 0: あなた: おやすみからおはようまでの あなた: 無限のように感じる時間 0: あなた: さっきまでほんの傍にあったあの声は あなた: 今は遠い空の下 あなた: きっとかわいい寝息を立てている 0: あなた: そんな想像をするものだから あなた: 寝付くまでの長い長い時間は あなた: また彼女を思い出すことで あなた: さらに長くなる 0: あなた: あの山の向こう あなた: そのまた向こう あなた: 遠い遠い空の下 あなた: 二人ぼっちの長い独り寝 0: 0: 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: 奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の 0: 声聞くときぞ秋は悲しき 0: 猿丸太夫 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: あなた: 僕には あなた: 僕を好きだと言ってくれる娘がいる あなた: クラスで人気者の活発な女の子 0: あなた: 部活や委員会で忙しい僕に あなた: 何かとちょっかいを掛けてきては あなた: 「好きなんだからいいでしょ!」 あなた: と無理難題を押し付けてくる 0: あなた: そんな彼女はいつもみんなに囲まれている あなた: 女子にも、男子にも囲まれている あなた: そしていつも元気だ 0: あなた: 方や、いつも何かに追われている僕 あなた: 面白いことは好きだけど あなた: 陽キャとは全然違う生活をしているのに あなた: 何がそんなに良いんだろう? 0: あなた: アピールが凄いから あなた: 時々申し訳なくなって構ってみると あなた: とても喜んでくれる 0: あなた: でも普段の様子を見ていると あなた: 他の人たちと居るほうが あなた: 賑やかで楽しそうだ 0: あなた: そんな僕はといえば あなた: 実は密かに想っている娘がいる あなた: でもその子は他に好きな男子がいる 0: あなた: 淑やかで物静かな彼女が あなた: 好きな男子を探して あなた: 目線をキョロキョロ あなた: 少し不安そうにしているのを見ると あなた: 物悲しくなる 0: あなた: うまく行かないもんだよな、、、 0: 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: わが庵は都の辰巳しかぞすむ 0: 世をうぢ山と人はいふなり 0: 喜撰法師 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: あなた: 不良っぽい彼女は あなた: みんなから怖いと思われている 0: あなた: 金色の頭に あなた: たくさん空いたピアス あなた: 短いスカートでも活動的で あなた: スパッツだと分かっていても あなた: 目のやり場に困る 0: あなた: 男子を殴るのも当たり前だけど あなた: 僕は知っている あなた: 彼女が手をあげるときは あなた: 決まって大人しい子を助けるときだ 0: あなた: カバンを乱暴に扱うのも普通 あなた: でも偶然街で見かけた彼女は あなた: お年寄りや子供に優しかった あなた: その時、僕に気がついたみたいだけど あなた: 知らん振りをして去っていった 0: あなた: ところで、 あなた: 彼女とは時々目が合うんだけど あなた: 僕が密かに見ていることが あなた: わかってるんだろうか あなた: 目が合うと一瞬じっと見て あなた: すぐにプイッと目を逸らす 0: あなた: これが他の男子なら あなた: 「何見てんだよ!」 あなた: と怒られる場面だ 0: あなた: それは僕が弱々しいから あなた: 目こぼしをしてくれているのか 0: あなた: それとも、、、 0: あなた: ううん、期待しちゃいけない あなた: 僕と彼女では釣り合わない 0: あなた: 今はまだ僕だけが あなた: 本当は彼女が優しいのを知っていることで あなた: 満足することにしよう 0: 0: 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: 花の色はうつりにけりないたづらに 0: 我が身世にふるながめせし間に 0: 小野小町 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: あなた: 後輩くんが卒業するまで あなた: 付き合うのは待つという約束 あなた: そう言ったあの時からもう二年 0: あなた: 私は大学に入った あなた: 忘れたわけじゃないけれど あなた: 卒業してからは あなた: 日に日に連絡を取る間隔が長くなった 0: あなた: そうして時の流れを眺めている内に あなた: 仲の良くなったサークルの先輩と あなた: 何となく付き合う感じになった 0: あなた: 優しいし、良い人だし あなた: 私を大切にしてくれるんだけど あなた: 心の何処かでは「違う」と思っていた 0: あなた: そして迎えた二十歳のバースデー あなた: 突然の後輩くんからのLINE 0: あなた: え?LINE? 0: あなた: その中身は、、、 あなた: 「待たせてごめんなさい あなた: 迎えに行っても良いですか?」 0: あなた: って! あなた: もう!バカっ!!遅いよ! 0: あなた: 文句を言いながら あなた: 今の彼氏にLINEを書く私 あなた: あなた: 「ごめんなさい、 あなた: 好きな人が出来たから別れましょ」 0: あなた: うわ、、私って酷い女 0: あなた: でも好きな人と一緒に居たいんだもん あなた: 自分には嘘はつけません 0: 0: 0: 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: 難波潟 短き葦のふしの間まも 0: 逢はでこの世を過ぐしてよとや 0: 伊勢 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: あなた: あなたに会いたい あなた: ほんの少しの間でいいから 0: あなた: 触れたい あなた: 触れてほしい 0: あなた: そんな贅沢は言わない あなた: せめて声が聞きたい あなた: せめて顔が見たい 0: あなた: 去年までは同じクラスで あなた: 毎日顔を見ることが出来た あなた: その時はそんな贅沢な時間を あなた: 無駄に過ごしていた 0: あなた: クラスが変わって離れ離れ あなた: 当たり前にあなたが居た教室 あなた: 今は遠い記憶の向こう 0: あなた: 部活も違うし あなた: 帰る方向も逆方向 0: あなた: 唯一会えるのは部活終わりの夕方 あなた: 反対側の2番ホーム 0: あなた: 私は手を伸ばしても届かない あなた: この3番ホームから あなた: あなたの姿を探している 0: あなた: あ!みつけた! 0: あなた: ねえ?こっちに気づいて? あなた: 私、あなたを見てるの! 0: あなた: ねぇ、、、気づいてよ、、、

0: ■ ■ ■ ■ ■  0: 春過ぎて夏来きにけらし白妙の 0: 衣干すてふ天の香具山 0: 持統天皇 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: あなた: クラス替えからもう2ヶ月 あなた: 春らしい暖かさから あなた: いつの間にか少し汗ばむ季節がやって来た 0: あなた: いつも窓際で佇むあの娘に あなた: 僕はまだ声をかけられずにいる 0: あなた: 彼女の周りには あなた: 休み時間に時々友達がやって来る あなた: でも彼女は他の子たちとは違い あなた: 大笑いすることはなく あなた: 握った手を口元にやって あなた: 目を細めてクスクスと笑うのだ 0: あなた: その姿に少し大人っぽさを感じ あなた: 僕はドキッとする 0: あなた: 6月、半袖に変わった制服 あなた: 口元にやる彼女の手は あなた: その白い袖からスラリと伸びる 0: あなた: その袖口の白さに感じる神秘を あなた: ひた隠しにして あなた: そっと窓の外の緑に視線を移す あなた: 山の緑 あなた: 彼女の白 0: あなた: 何かが起こりそうな、夏 0: 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: あしびきの山鳥の尾のしだり尾の 0: ながながし夜をひとりかも寝む 0: 柿本人麻呂 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: あなた: ネットに隔てられた世界 あなた: いつも配信で話をする彼女 あなた: 僕は彼女が好きだ あなた: そして彼女もたぶん 0: あなた: 朝が遅いから深夜の配信 0: あなた: おやすみからおはようまでの あなた: 無限のように感じる時間 0: あなた: さっきまでほんの傍にあったあの声は あなた: 今は遠い空の下 あなた: きっとかわいい寝息を立てている 0: あなた: そんな想像をするものだから あなた: 寝付くまでの長い長い時間は あなた: また彼女を思い出すことで あなた: さらに長くなる 0: あなた: あの山の向こう あなた: そのまた向こう あなた: 遠い遠い空の下 あなた: 二人ぼっちの長い独り寝 0: 0: 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: 奥山に紅葉踏み分け鳴く鹿の 0: 声聞くときぞ秋は悲しき 0: 猿丸太夫 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: あなた: 僕には あなた: 僕を好きだと言ってくれる娘がいる あなた: クラスで人気者の活発な女の子 0: あなた: 部活や委員会で忙しい僕に あなた: 何かとちょっかいを掛けてきては あなた: 「好きなんだからいいでしょ!」 あなた: と無理難題を押し付けてくる 0: あなた: そんな彼女はいつもみんなに囲まれている あなた: 女子にも、男子にも囲まれている あなた: そしていつも元気だ 0: あなた: 方や、いつも何かに追われている僕 あなた: 面白いことは好きだけど あなた: 陽キャとは全然違う生活をしているのに あなた: 何がそんなに良いんだろう? 0: あなた: アピールが凄いから あなた: 時々申し訳なくなって構ってみると あなた: とても喜んでくれる 0: あなた: でも普段の様子を見ていると あなた: 他の人たちと居るほうが あなた: 賑やかで楽しそうだ 0: あなた: そんな僕はといえば あなた: 実は密かに想っている娘がいる あなた: でもその子は他に好きな男子がいる 0: あなた: 淑やかで物静かな彼女が あなた: 好きな男子を探して あなた: 目線をキョロキョロ あなた: 少し不安そうにしているのを見ると あなた: 物悲しくなる 0: あなた: うまく行かないもんだよな、、、 0: 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: わが庵は都の辰巳しかぞすむ 0: 世をうぢ山と人はいふなり 0: 喜撰法師 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: あなた: 不良っぽい彼女は あなた: みんなから怖いと思われている 0: あなた: 金色の頭に あなた: たくさん空いたピアス あなた: 短いスカートでも活動的で あなた: スパッツだと分かっていても あなた: 目のやり場に困る 0: あなた: 男子を殴るのも当たり前だけど あなた: 僕は知っている あなた: 彼女が手をあげるときは あなた: 決まって大人しい子を助けるときだ 0: あなた: カバンを乱暴に扱うのも普通 あなた: でも偶然街で見かけた彼女は あなた: お年寄りや子供に優しかった あなた: その時、僕に気がついたみたいだけど あなた: 知らん振りをして去っていった 0: あなた: ところで、 あなた: 彼女とは時々目が合うんだけど あなた: 僕が密かに見ていることが あなた: わかってるんだろうか あなた: 目が合うと一瞬じっと見て あなた: すぐにプイッと目を逸らす 0: あなた: これが他の男子なら あなた: 「何見てんだよ!」 あなた: と怒られる場面だ 0: あなた: それは僕が弱々しいから あなた: 目こぼしをしてくれているのか 0: あなた: それとも、、、 0: あなた: ううん、期待しちゃいけない あなた: 僕と彼女では釣り合わない 0: あなた: 今はまだ僕だけが あなた: 本当は彼女が優しいのを知っていることで あなた: 満足することにしよう 0: 0: 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: 花の色はうつりにけりないたづらに 0: 我が身世にふるながめせし間に 0: 小野小町 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: あなた: 後輩くんが卒業するまで あなた: 付き合うのは待つという約束 あなた: そう言ったあの時からもう二年 0: あなた: 私は大学に入った あなた: 忘れたわけじゃないけれど あなた: 卒業してからは あなた: 日に日に連絡を取る間隔が長くなった 0: あなた: そうして時の流れを眺めている内に あなた: 仲の良くなったサークルの先輩と あなた: 何となく付き合う感じになった 0: あなた: 優しいし、良い人だし あなた: 私を大切にしてくれるんだけど あなた: 心の何処かでは「違う」と思っていた 0: あなた: そして迎えた二十歳のバースデー あなた: 突然の後輩くんからのLINE 0: あなた: え?LINE? 0: あなた: その中身は、、、 あなた: 「待たせてごめんなさい あなた: 迎えに行っても良いですか?」 0: あなた: って! あなた: もう!バカっ!!遅いよ! 0: あなた: 文句を言いながら あなた: 今の彼氏にLINEを書く私 あなた: あなた: 「ごめんなさい、 あなた: 好きな人が出来たから別れましょ」 0: あなた: うわ、、私って酷い女 0: あなた: でも好きな人と一緒に居たいんだもん あなた: 自分には嘘はつけません 0: 0: 0: 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: 難波潟 短き葦のふしの間まも 0: 逢はでこの世を過ぐしてよとや 0: 伊勢 0: ■ ■ ■ ■ ■  0: あなた: あなたに会いたい あなた: ほんの少しの間でいいから 0: あなた: 触れたい あなた: 触れてほしい 0: あなた: そんな贅沢は言わない あなた: せめて声が聞きたい あなた: せめて顔が見たい 0: あなた: 去年までは同じクラスで あなた: 毎日顔を見ることが出来た あなた: その時はそんな贅沢な時間を あなた: 無駄に過ごしていた 0: あなた: クラスが変わって離れ離れ あなた: 当たり前にあなたが居た教室 あなた: 今は遠い記憶の向こう 0: あなた: 部活も違うし あなた: 帰る方向も逆方向 0: あなた: 唯一会えるのは部活終わりの夕方 あなた: 反対側の2番ホーム 0: あなた: 私は手を伸ばしても届かない あなた: この3番ホームから あなた: あなたの姿を探している 0: あなた: あ!みつけた! 0: あなた: ねえ?こっちに気づいて? あなた: 私、あなたを見てるの! 0: あなた: ねぇ、、、気づいてよ、、、