台本概要
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タイトル | ラップトップソリューターズ【B】 |
---|---|
作者名 | あまくケイ (@amak0331) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) ※兼役あり |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
クリーチャー退治屋「ラップトップソリューターズ」でのお話 悪夢で目覚めたコウガは、今月のやりくりを心配していたアイニスとともに 古びた廃墟へ向かう事になる コメディ&シリアスなダークファンタジー イラストはNovelAIで作成 いいやすいように語尾変更などは可 コメディ部分などのアドリブは可 作品の展開や雰囲気を壊すようなアドリブ台詞はご控えくださいませ 前作「ラップトップソリューターズ」の続編的内容ですが 知らなくても楽しめる内容になっています アイニス役は兼ね役あり 708 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
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コウガ | 男 | 107 | クリーチャー退治「ラップトップソリューターズ」の中で活動している少年 お調子者で熱血が混じっている 武器を使わない格闘タイプ 生で食べても腹は壊さない腹ペコマン あんぱんは苦手 |
アイニス | 女 | 87 | コウガと同時期にラップトップに入った少女 光魔法や回復魔法が得意な人 教会の生まれで、金欠の時に仕事を回してもらったりしている 料理が得意 金のことになると集中する守銭奴属性あり ラップトップのメンバーの中では、静かに気を配るポジション系女子 |
ミラ | 女 | 9 | 一話冒頭と、3話で出てくるコウガの妹 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
ミラ:……お兄……ちゃん
コウガ:知っている声がした。なじみのある声
コウガ:でもその声を聞くたびに、俺は、震えが止まらない
コウガ:俺の目の前には
コウガ:「鎧」のあいつがいた。
0:
コウガ:……ッ……は!
コウガ:…はぁ、はぁ
コウガ:……夢か
コウガ:……
コウガ:笑えるくらい震えてやがる
コウガ:汗もびっしょりじゃねえか……。
コウガ:(俺は目覚めると、びっしょり塗れた髪をタオルでふき、着替え終わる。自室の2階からおりて、いつものメンバーが集まるリビングへ来た)
コウガ:(しかし、今日は少し様子が違い、いつも見かける二人はおらず、いつも見かける金髪の彼女は、しかめっ面をしていた)
アイニス:……ううん……まずいわね
コウガ:なんつー顔してんだお前。んな顔してたら、飯も満足に食えねえぜ?
コウガ:ってそうだ、腹減った!
アイニス:……ご飯でハッピーになれるのは、羨ましいわね
コウガ:朝飯朝飯! えーっと確か~……あまりのものの野菜が冷蔵庫に……これだこれ!
コウガ:昨日アイニスが作った炒め物であまったやつ、これ、喰っていいか?
アイニス:……生で?
コウガ:いや、別に食えるだろ!
アイニス:……どうぞ
コウガ:いただきます! んぐ! おお! 冷えてるぅ!!
アイニス:感性が良くわからない
アイニス:コウガ。よく聞いて……
アイニス:今、ピンチなのよ。ピンチ
コウガ:腹がピンチなら、ほれ、にんじん喰うか?
アイニス:絶対に無理。生でも切ってからよ
コウガ:アイニスの作る料理、美味いからなぁ。今度また作ってくれよ!
アイニス:……その料理を食べるには、何が必要だと思う?
コウガ:そりゃ材料だろ。
コウガ:材料がなけりゃ、料理も出来ねえ
コウガ:まぁ喰っちまったけど
アイニス:……生で何でも食べれるコウガが羨ましい。
アイニス:そのうち食中毒になりそうね
コウガ:そうか? 生まれてこの方全然なったことねえけどな。
アイニス:生食いの神様に愛されてるわね。もう生食い戦士として名乗ったらどうかしら。
コウガ:お前がいうと妙に説得力があるな!
アイニス:褒めてはない
アイニス:……じゃあその、生食いをするために必要なものはなに?
コウガ:え? ……それは? 何がいるんだよ
アイニス:お金
コウガ:……あー
アイニス:今月は、とてつもなくピンチよ。ピンチすぎて、夜も眠れないわ……
コウガ:ま、何とかなるんじゃね?
アイニス:コウガはポジティブすぎる……現実をもっと見ましょう
アイニス:これじゃ……来月のお金が。ドウガンさんに追い出される
コウガ:確かにあの人こえー外見してるけど、何だかんだこの建物貸してくれるから良くね?
コウガ:それに、そんなにピンチなら、また教会から仕事もらえばいいし
コウガ:前はほら、草むしりとかしたろ
アイニス:……教会出てる私に言うそれ? 前も借りを作って、今回も作っちゃったら、戻ってこいなんていわれそうよ。
コウガ:ふーん。まぁ、お前がそういうならいいけど。
アイニス:今日の依頼、何か来てないの?
コウガ:ほいほい。ちょっと依頼ポストのぞいてくるわ!
0:
コウガ:……えーっとえーっと……お、あるじゃん
アイニス:どう? 何かあった?
コウガ:「名もなき廃墟で奇妙な声が聞こえる。その声の主を突き止めて、クリーチャーなら討伐してほしい」だって。報酬は……うお!?たっか!
アイニス:見せて!
コウガ:お、おい!
アイニス:……こ、この報酬額は! まだ神は見捨てていない!!
コウガ:おーい、アイニスー。目がキラキラしてんぞ?
アイニス:このクエストを受けましょう、コウガ!
コウガ:何となくテンションで分かるけど……要はこのクエストをクリアしたら、金に困らねえってことだな!
アイニス:そういうこと……!これはチャンスだわ
コウガ:おお、飯も食える!
アイニス:めしもくえる!
コウガ:飲み放題!
アイニス:のみほうだい!
コウガ:一か月生野菜、生ものも夢じゃねえ!
アイニス:それはない
コウガ:よっしゃ!そうとなりゃ決まりだ!
コウガ:あ……ていうか
アイニス:?
コウガ:レスターとセイジはどこ行ったんだ?
アイニス:レスターはドウガンさんのところ
コウガ:ドウガンのところ? まさかレスター……またあいつ、借りた武器壊したのか!?
アイニス:この前の大量のグレムリン戦で、試し撃ち用の銃を持っていったけど、ボロボロになったって
コウガ:それってドウガンの店のやつ?
アイニス:多分今頃、怒られてるんじゃないかしら。壊しすぎだって
コウガ:ひえー! 銃使いは大変だぜ……。格闘系の俺には無縁の世界だわ……あわれなり、レスター。
アイニス:セイジは自己訓練。
アイニス:朝からおにぎり持って出ていったわ。ストイックよね、彼
コウガ:それをきいたら、ますます燃えてきたぜ……
コウガ:行くぜ! アイニス!
アイニス:ええ
コウガ:(こうして、俺たちはその廃墟があるところまで来た)
コウガ:(まだ日は沈んでいないのにも関わらず、廃墟まで近づくとまるで夜のような雰囲気だった)
コウガ:なかなか雰囲気出てるじゃねえの
アイニス:レスターなら、すぐに怖がりそう
コウガ:確かに、想像できる
コウガ:「ひぃぃぃ!」とかいってアイニスに抱きつく姿とかな
アイニス:何でも私に抱きつけばいいと思ってるのかしら……レスターは
コウガ:よし、入ろうぜ
アイニス:コウガ
コウガ:ん?
アイニス:震えてる?
コウガ:お、分かるか? これこそ武者震いってやつだ!
アイニス:いや、そうじゃなくて
コウガ:ま、行こうぜ!
アイニス:……
アイニス:(少し、気になった)
アイニス:(コウガが怖いのが苦手じゃないのは知ってるけど)
アイニス:(そういうものとは違う、何かを)
アイニス:(もしかしたら……コウガは)
0:
コウガ:入り口は……何もないな。本当に廃墟だ
アイニス:これは……古びた聖書ね、殆ど読めないけど。見た限り、数十年前かしら
コウガ:だってこんな古い建物だぜ?人がロクに住める場所じゃねえ。
アイニス:昔に葬られた宗教もあったと聞いたけど
アイニス:そう考えると、死霊(しりょう)クリーチャーの可能性があるかもしれない
コウガ:……死霊。
アイニス:(私はふとコウガを見やる)
アイニス:(……やっぱり)
コウガ:……悪くねえ相手じゃねえか
コウガ:先に進もうぜ
アイニス:ええ……
0:
コウガ:(俺たちは、その廃墟の中を進んでいく)
コウガ:(次の扉を開けたら、祭壇のようなところにたどりついた)
コウガ:……行き止まりっぽいな
アイニス:クリーチャーの姿も、見当たらないわね
コウガ:ん……うぉ、足元!
コウガ:なんだこりゃ!? 床が、開いてる?
アイニス:これは、攻めてきたときの隠れ場所かしらね。教会にも同じものはあるわよ
アイニス:面積としてはこの祭壇くらいはあるはず
コウガ:へぇ……なるほどな
コウガ:とりあえず、奥まで来たけど、ここから行き止まりっぽいし、この中に入るか?
アイニス:そうね。おそらく、その先に
コウガ:ターゲットがいるってな。っしゃ、やるか
0:
アイニス:(私達はボロボロの床の隠し扉をどけ、穴の中へと入っていく)
アイニス:(中は洞窟のように広がっており、クリーチャーのいる気配はない)
コウガ:……
アイニス:……コウガ?
コウガ:ん? いや、なんでもねえ
アイニス:何も言ってないんだけど
アイニス:大丈夫?
コウガ:大丈夫っつってんだろ
0:コウガは静かにこぶしを握りしめる
コウガ:……俺は、クリーチャー退治をして、人を助けるって決めた
コウガ:ラップトップソリューターズに入った時から
コウガ:その気持ちは変わらねえ
アイニス:それは私も同じ
アイニス:私もそれをしたくて、ラップトップに入った
コウガ:……サポート、任せるぜ
アイニス:分かってる
0:
コウガ:なんだ……扉?
アイニス:……白い、扉ね
コウガ:ここだけやけに新しいな……
コウガ:……入るぜ
アイニス:ええ……
0:
0:
コウガ:ここは……なんだ?
アイニス:廃墟の地下に……こんなところが。
アイニス:避難場所にしては、広すぎる気がするけど……よくわからないわ
コウガ:……!
コウガ:(廃墟とは正反対の、明るく広い場所)
コウガ:(そこにいたのは、顔のない鎧がいた)
アイニス:……幽騎士(ゆうきし)。死霊系クリーチャーの中でも上位種よ
アイニス:行ける?
コウガ:……ああ
コウガ:もうあの頃の俺じゃねえ
コウガ:行くぜ、……「鎧」!
0:コウガは拳を振り絞る
コウガ:うお……ッらああ!
0:拳と足、両方を織り交ぜながら、鎧に反撃を受けないように当てていく
コウガ:攻撃が、おせえんだよッ!!
アイニス:仕掛けるわ!
コウガ:ああ!任せた!
0:コウガが少し下がり、アイニスは詠唱を始めた。
アイニス:天来(てんらい)の栄光よ。過ぎ去りし歴史の礎となり、その名を、雷(いかずち)の王に返還せん
アイニス:ライトニング・イレイザー!
0:アイニスの周りに魔方陣が展開され、その中から一直線に光の柱が飛び出す
0:柱は幽騎士の四肢を突いた
アイニス:今よ!
コウガ:っ!……叩き込んでやる!
アイニス:(コウガは幽騎士の体に、すかさず拳を、間髪なく叩き込んだ)
アイニス:(ただ、どこかコウガの声は、震えていて)
コウガ:地を砕け!! 燕獄飛来蹴(えんごく ひらいしゅう)!!
コウガ:受けろクソ野郎!
アイニス:(コウガの一撃を真っ向から受けた鎧は、少しずつ砕ける音がしたあと、一気に膨れ上がり、爆発する。……黒い粉が舞った)
アイニス:(その粉は、コウガの周りを取り囲むように動き始める)
コウガ:これ…は?
アイニス:まさか、黒魔術!?
コウガ:あ、……がぁ!
アイニス:……コウガっ!
コウガ:!!
コウガ:(少しずつ、記憶が蘇ってくる)
コウガ:(今から、2年前くらいこと)
コウガ:(最初に見えたのは、妹の姿だ)
ミラ:お兄ちゃーん!
コウガ:おう、今日もお花、とってきたのか?
ミラ:うん、すごく綺麗だった!
コウガ:ってこの花……おいおい、これ村から離れた滝にしか咲いてないやつじゃないか……お前どこまでいってんだよぉ!
ミラ:えー! だって行きたかったんだもん
コウガ:まぁ、いいけどよ。ちったあ心配するだろ
ミラ:でも、お兄ちゃんだって、色んなとこ行きたがるじゃん
コウガ:う、まぁ、確かに。
ミラ:だからあたしも、お兄ちゃんみたいになりたいと思って、遠くまで頑張っていってみた
コウガ:……そっか。ミラは立派だな。
コウガ:俺も、立派になる
コウガ:立派になって、村を守ってやっからよ!!
ミラ:うん!
コウガ:(それを言った、次の日)
コウガ:(鎧のきしむ音がした)
コウガ:……あ……あ
コウガ:(動けなかった。立ちすくんで)
コウガ:(こいつには勝てない)
コウガ:(俺は、戦う前から勝手に力量を図っていた)
コウガ:がっ……ぁ!
コウガ:……や、辞めろ……
ミラ:お、おにい……ちゃん
コウガ:鎧は、妹の首を絞めた
コウガ:(ゆっくり、ゆっくり、殺していく)
ミラ:あ……あ……あぁ……あ
コウガ:(生きていることから、死ぬことへ)
コウガ:(鎧は、穏やかに、首を絞めて)
コウガ:(妹を殺した)
0:
0:
コウガ:ああ……ああああああ!!!
0:
0:
コウガ:無力だった
0:
コウガ:でも、俺は力をつけて
0:
コウガ:幽騎士に負けないくらいの。「鎧」に負けないくらいの力をつけて
0:
コウガ:あいつを、殺せるくらいの力を……!
0:
0:
コウガ:だから、お前がやった時と同じように
0:
コウガ:ゆっくりと
0:
コウガ:殺してやるよ
0:
アイニス:……コ、ウガ……
コウガ:……コロス……コロシテやる!!!
アイニス:もど……って……!!
アイニス:(コウガは、幽騎士の呪いに操られていた)
アイニス:(幽騎士は消滅したが、最後に厄介なものをコウガにかけていたようだ)
アイニス:嫌な……置き土産を……残した……わね……!っ!!
アイニス:(私はすぐさま、コウガの両腕を掴む)
アイニス:(そのまま、呪いを打ち消す魔法を使いはじめる)
アイニス:(私の首を絞める力が、強くなる)
アイニス:(どちらが先か)
アイニス:(その軍配は幸運なことに、私にあがってくれた)
アイニス:……っは。
コウガ:……!!
アイニス:……はぁ……はぁ。
コウガ:……っ……アイニス……!!
アイニス:はぁ……はぁ……よか……った……。
コウガ:……あ………
コウガ:……俺……は。
アイニス:(コウガは、震えていた)
アイニス:(その震えている自分の手を見た後、頭を抱え、髪を引きちぎるくらい、手に力を入れた)
コウガ:……何やってんだ……俺。
コウガ:クソ……クソ……クソ野郎!!
アイニス:辞めて、コウガ
コウガ:うるせえッ!!
コウガ:俺は、お前を殺そうとした……
コウガ:馬鹿な事をするところだった……
コウガ:あろうことか、俺は、「鎧」と同じことをやろうとしていたんだ……!!
アイニス:あなたは、何も悪くないわ
コウガ:俺が、っ……妹を殺した……
コウガ:守れなかったのは……殺したことと同じなんだよ。
コウガ:ここに来るまで、ずっとビビってた
コウガ:もしかしたら「鎧」が出てくるんじゃないかって……
コウガ:でも、それを振りしぼって、あいつを倒さないといけない
コウガ:それが、このザマだよ。……はは、ははは。
コウガ:……何にも変わってねえよ、俺。
アイニス:それは、あなたが操られていただけ
アイニス:妹さんのことは、教会でよく聞いていた
アイニス:あなたはよく教会に来てて、話してくれたじゃない
アイニス:辛いことを全部吐き出して、死ぬような嗚咽も吐き捨てて。
アイニス:そして最後には、「前を向きたい」って。
コウガ:……
アイニス:……大丈夫よ。コウガ
アイニス:(私は、震えるコウガに腕を伸ばす)
アイニス:(ゆっくり、ゆっくり)
アイニス:(コウガの体を抱きしめる)
コウガ:……辞めろ。……辞めてくれ
コウガ:……俺なんか、震えるだけの、弱いやつで
コウガ:ただの……クソ野郎なんだよ
アイニス:……ラップトップソリューターズに入って
アイニス:コウガはたくさん、クリーチャーを倒して
アイニス:人を助けているわ
コウガ:でも、俺は……
アイニス:もう終わった
アイニス:過去はもう、終わったのよ。コウガ
コウガ:……っ……っ
コウガ:(泣く権利は、俺にない)
コウガ:(それなのに)
コウガ:(俺はまた、彼女の温かさに頼ってしまった)
アイニス:レスターも、セイジも、コウガが活躍してくれるおかげで助かってるって言ってた
コウガ:……
アイニス:コウガは何でも食べるし
アイニス:お調子者で突っ走る所があるけど
アイニス:そういうところ、悪くないし
アイニス:……こういうところも、悪くない
コウガ:……どういうところだよ
アイニス:震えているところ
コウガ:……ふざけんな
アイニス:それがあるから、コウガはきっと、強いのかもね
コウガ:……
アイニス:次に幽騎士と当たったら、あの攻撃には気を付ける
アイニス:対策を取れば、あとは大丈夫
アイニス:同じことにはならないよ
コウガ:(アイニスの温かい言い方が、俺の身体を通っていく)
コウガ:(彼女の体から伝わる温かさが)
コウガ:(少しずつ、俺の呼吸を楽にしてくれた)
コウガ:……そうだな
コウガ:これで、セイジの奴にも、一歩追いついたかな
アイニス:セイジとコウガは同じくらいだよ
コウガ:盛りすぎだろ
コウガ:あいつは、あの帝国軍にいたんだぜ? 妹を救えなかったあの時も、帝国軍の連中が、幽騎士を倒してくれた。
コウガ:だから、そこに入隊していたセイジはすげえよ
アイニス:たまに突っ走るところあるけどね
アイニス:そこは、コウガとおなじ。
アイニス:私だったり、レスターがサポートにはいってるじゃない
アイニス:男性二人、よく突っ込むから
コウガ:……変なところが似てるってか。余計だよ……ったく。
アイニス:ふふふ。
アイニス:……もう、大丈夫?
コウガ:ああ。
コウガ:セラピーの時間は終わりだ
コウガ:俺も、あいつに肩を並べられるくらい、強くならねえとな
アイニス:うん、その意気。
アイニス:……
コウガ:それにしても、ここ、なんだろうな
アイニス:避難所にしては、随分と作りがいいけど。
コウガ:(そこで、俺とアイニスのお腹が鳴る)
コウガ:……駄目だ、考えらんね。はら減っちまった。
アイニス:レスターのあんぱん、もらってこれば良かったかも
コウガ:えっ!? 冗談冗談! 辞めてくれって!
コウガ:俺ああいうあまーいやつ苦手なんだよ!
アイニス:それ、絶対レスターの前でいったら撃たれるやつ
コウガ:撃たれても嫌だ!!
アイニス:コウガはほんと甘いもの嫌いね
コウガ:俺はうまい飯がいい! たらふく喰える系の飯!
アイニス:じゃあ、帰って作りましょうか
アイニス:報酬もこれで、たんまり……たんまり
コウガ:……おい、アイニス? ……金の呪いにでもやられちまったか?
アイニス:決して違うわ。さ、帰りましょ
アイニス:レスターもセイジも戻ってるでしょう
コウガ:そうだな……。
コウガ:帰ったら……皆で、飯、喰うか!!
アイニス:生ごはんは無よ
コウガ:何だその言い方!? いや、全部生……ぜんなまに目覚めてもいいんだぜ?
アイニス:一人でやってください
コウガ:なんでも構わねえよ!
コウガ:とにかく飯だ、飯ー--!!!
アイニス:はぁ、めんどくさい……
0:END
ミラ:……お兄……ちゃん
コウガ:知っている声がした。なじみのある声
コウガ:でもその声を聞くたびに、俺は、震えが止まらない
コウガ:俺の目の前には
コウガ:「鎧」のあいつがいた。
0:
コウガ:……ッ……は!
コウガ:…はぁ、はぁ
コウガ:……夢か
コウガ:……
コウガ:笑えるくらい震えてやがる
コウガ:汗もびっしょりじゃねえか……。
コウガ:(俺は目覚めると、びっしょり塗れた髪をタオルでふき、着替え終わる。自室の2階からおりて、いつものメンバーが集まるリビングへ来た)
コウガ:(しかし、今日は少し様子が違い、いつも見かける二人はおらず、いつも見かける金髪の彼女は、しかめっ面をしていた)
アイニス:……ううん……まずいわね
コウガ:なんつー顔してんだお前。んな顔してたら、飯も満足に食えねえぜ?
コウガ:ってそうだ、腹減った!
アイニス:……ご飯でハッピーになれるのは、羨ましいわね
コウガ:朝飯朝飯! えーっと確か~……あまりのものの野菜が冷蔵庫に……これだこれ!
コウガ:昨日アイニスが作った炒め物であまったやつ、これ、喰っていいか?
アイニス:……生で?
コウガ:いや、別に食えるだろ!
アイニス:……どうぞ
コウガ:いただきます! んぐ! おお! 冷えてるぅ!!
アイニス:感性が良くわからない
アイニス:コウガ。よく聞いて……
アイニス:今、ピンチなのよ。ピンチ
コウガ:腹がピンチなら、ほれ、にんじん喰うか?
アイニス:絶対に無理。生でも切ってからよ
コウガ:アイニスの作る料理、美味いからなぁ。今度また作ってくれよ!
アイニス:……その料理を食べるには、何が必要だと思う?
コウガ:そりゃ材料だろ。
コウガ:材料がなけりゃ、料理も出来ねえ
コウガ:まぁ喰っちまったけど
アイニス:……生で何でも食べれるコウガが羨ましい。
アイニス:そのうち食中毒になりそうね
コウガ:そうか? 生まれてこの方全然なったことねえけどな。
アイニス:生食いの神様に愛されてるわね。もう生食い戦士として名乗ったらどうかしら。
コウガ:お前がいうと妙に説得力があるな!
アイニス:褒めてはない
アイニス:……じゃあその、生食いをするために必要なものはなに?
コウガ:え? ……それは? 何がいるんだよ
アイニス:お金
コウガ:……あー
アイニス:今月は、とてつもなくピンチよ。ピンチすぎて、夜も眠れないわ……
コウガ:ま、何とかなるんじゃね?
アイニス:コウガはポジティブすぎる……現実をもっと見ましょう
アイニス:これじゃ……来月のお金が。ドウガンさんに追い出される
コウガ:確かにあの人こえー外見してるけど、何だかんだこの建物貸してくれるから良くね?
コウガ:それに、そんなにピンチなら、また教会から仕事もらえばいいし
コウガ:前はほら、草むしりとかしたろ
アイニス:……教会出てる私に言うそれ? 前も借りを作って、今回も作っちゃったら、戻ってこいなんていわれそうよ。
コウガ:ふーん。まぁ、お前がそういうならいいけど。
アイニス:今日の依頼、何か来てないの?
コウガ:ほいほい。ちょっと依頼ポストのぞいてくるわ!
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コウガ:……えーっとえーっと……お、あるじゃん
アイニス:どう? 何かあった?
コウガ:「名もなき廃墟で奇妙な声が聞こえる。その声の主を突き止めて、クリーチャーなら討伐してほしい」だって。報酬は……うお!?たっか!
アイニス:見せて!
コウガ:お、おい!
アイニス:……こ、この報酬額は! まだ神は見捨てていない!!
コウガ:おーい、アイニスー。目がキラキラしてんぞ?
アイニス:このクエストを受けましょう、コウガ!
コウガ:何となくテンションで分かるけど……要はこのクエストをクリアしたら、金に困らねえってことだな!
アイニス:そういうこと……!これはチャンスだわ
コウガ:おお、飯も食える!
アイニス:めしもくえる!
コウガ:飲み放題!
アイニス:のみほうだい!
コウガ:一か月生野菜、生ものも夢じゃねえ!
アイニス:それはない
コウガ:よっしゃ!そうとなりゃ決まりだ!
コウガ:あ……ていうか
アイニス:?
コウガ:レスターとセイジはどこ行ったんだ?
アイニス:レスターはドウガンさんのところ
コウガ:ドウガンのところ? まさかレスター……またあいつ、借りた武器壊したのか!?
アイニス:この前の大量のグレムリン戦で、試し撃ち用の銃を持っていったけど、ボロボロになったって
コウガ:それってドウガンの店のやつ?
アイニス:多分今頃、怒られてるんじゃないかしら。壊しすぎだって
コウガ:ひえー! 銃使いは大変だぜ……。格闘系の俺には無縁の世界だわ……あわれなり、レスター。
アイニス:セイジは自己訓練。
アイニス:朝からおにぎり持って出ていったわ。ストイックよね、彼
コウガ:それをきいたら、ますます燃えてきたぜ……
コウガ:行くぜ! アイニス!
アイニス:ええ
コウガ:(こうして、俺たちはその廃墟があるところまで来た)
コウガ:(まだ日は沈んでいないのにも関わらず、廃墟まで近づくとまるで夜のような雰囲気だった)
コウガ:なかなか雰囲気出てるじゃねえの
アイニス:レスターなら、すぐに怖がりそう
コウガ:確かに、想像できる
コウガ:「ひぃぃぃ!」とかいってアイニスに抱きつく姿とかな
アイニス:何でも私に抱きつけばいいと思ってるのかしら……レスターは
コウガ:よし、入ろうぜ
アイニス:コウガ
コウガ:ん?
アイニス:震えてる?
コウガ:お、分かるか? これこそ武者震いってやつだ!
アイニス:いや、そうじゃなくて
コウガ:ま、行こうぜ!
アイニス:……
アイニス:(少し、気になった)
アイニス:(コウガが怖いのが苦手じゃないのは知ってるけど)
アイニス:(そういうものとは違う、何かを)
アイニス:(もしかしたら……コウガは)
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コウガ:入り口は……何もないな。本当に廃墟だ
アイニス:これは……古びた聖書ね、殆ど読めないけど。見た限り、数十年前かしら
コウガ:だってこんな古い建物だぜ?人がロクに住める場所じゃねえ。
アイニス:昔に葬られた宗教もあったと聞いたけど
アイニス:そう考えると、死霊(しりょう)クリーチャーの可能性があるかもしれない
コウガ:……死霊。
アイニス:(私はふとコウガを見やる)
アイニス:(……やっぱり)
コウガ:……悪くねえ相手じゃねえか
コウガ:先に進もうぜ
アイニス:ええ……
0:
コウガ:(俺たちは、その廃墟の中を進んでいく)
コウガ:(次の扉を開けたら、祭壇のようなところにたどりついた)
コウガ:……行き止まりっぽいな
アイニス:クリーチャーの姿も、見当たらないわね
コウガ:ん……うぉ、足元!
コウガ:なんだこりゃ!? 床が、開いてる?
アイニス:これは、攻めてきたときの隠れ場所かしらね。教会にも同じものはあるわよ
アイニス:面積としてはこの祭壇くらいはあるはず
コウガ:へぇ……なるほどな
コウガ:とりあえず、奥まで来たけど、ここから行き止まりっぽいし、この中に入るか?
アイニス:そうね。おそらく、その先に
コウガ:ターゲットがいるってな。っしゃ、やるか
0:
アイニス:(私達はボロボロの床の隠し扉をどけ、穴の中へと入っていく)
アイニス:(中は洞窟のように広がっており、クリーチャーのいる気配はない)
コウガ:……
アイニス:……コウガ?
コウガ:ん? いや、なんでもねえ
アイニス:何も言ってないんだけど
アイニス:大丈夫?
コウガ:大丈夫っつってんだろ
0:コウガは静かにこぶしを握りしめる
コウガ:……俺は、クリーチャー退治をして、人を助けるって決めた
コウガ:ラップトップソリューターズに入った時から
コウガ:その気持ちは変わらねえ
アイニス:それは私も同じ
アイニス:私もそれをしたくて、ラップトップに入った
コウガ:……サポート、任せるぜ
アイニス:分かってる
0:
コウガ:なんだ……扉?
アイニス:……白い、扉ね
コウガ:ここだけやけに新しいな……
コウガ:……入るぜ
アイニス:ええ……
0:
0:
コウガ:ここは……なんだ?
アイニス:廃墟の地下に……こんなところが。
アイニス:避難場所にしては、広すぎる気がするけど……よくわからないわ
コウガ:……!
コウガ:(廃墟とは正反対の、明るく広い場所)
コウガ:(そこにいたのは、顔のない鎧がいた)
アイニス:……幽騎士(ゆうきし)。死霊系クリーチャーの中でも上位種よ
アイニス:行ける?
コウガ:……ああ
コウガ:もうあの頃の俺じゃねえ
コウガ:行くぜ、……「鎧」!
0:コウガは拳を振り絞る
コウガ:うお……ッらああ!
0:拳と足、両方を織り交ぜながら、鎧に反撃を受けないように当てていく
コウガ:攻撃が、おせえんだよッ!!
アイニス:仕掛けるわ!
コウガ:ああ!任せた!
0:コウガが少し下がり、アイニスは詠唱を始めた。
アイニス:天来(てんらい)の栄光よ。過ぎ去りし歴史の礎となり、その名を、雷(いかずち)の王に返還せん
アイニス:ライトニング・イレイザー!
0:アイニスの周りに魔方陣が展開され、その中から一直線に光の柱が飛び出す
0:柱は幽騎士の四肢を突いた
アイニス:今よ!
コウガ:っ!……叩き込んでやる!
アイニス:(コウガは幽騎士の体に、すかさず拳を、間髪なく叩き込んだ)
アイニス:(ただ、どこかコウガの声は、震えていて)
コウガ:地を砕け!! 燕獄飛来蹴(えんごく ひらいしゅう)!!
コウガ:受けろクソ野郎!
アイニス:(コウガの一撃を真っ向から受けた鎧は、少しずつ砕ける音がしたあと、一気に膨れ上がり、爆発する。……黒い粉が舞った)
アイニス:(その粉は、コウガの周りを取り囲むように動き始める)
コウガ:これ…は?
アイニス:まさか、黒魔術!?
コウガ:あ、……がぁ!
アイニス:……コウガっ!
コウガ:!!
コウガ:(少しずつ、記憶が蘇ってくる)
コウガ:(今から、2年前くらいこと)
コウガ:(最初に見えたのは、妹の姿だ)
ミラ:お兄ちゃーん!
コウガ:おう、今日もお花、とってきたのか?
ミラ:うん、すごく綺麗だった!
コウガ:ってこの花……おいおい、これ村から離れた滝にしか咲いてないやつじゃないか……お前どこまでいってんだよぉ!
ミラ:えー! だって行きたかったんだもん
コウガ:まぁ、いいけどよ。ちったあ心配するだろ
ミラ:でも、お兄ちゃんだって、色んなとこ行きたがるじゃん
コウガ:う、まぁ、確かに。
ミラ:だからあたしも、お兄ちゃんみたいになりたいと思って、遠くまで頑張っていってみた
コウガ:……そっか。ミラは立派だな。
コウガ:俺も、立派になる
コウガ:立派になって、村を守ってやっからよ!!
ミラ:うん!
コウガ:(それを言った、次の日)
コウガ:(鎧のきしむ音がした)
コウガ:……あ……あ
コウガ:(動けなかった。立ちすくんで)
コウガ:(こいつには勝てない)
コウガ:(俺は、戦う前から勝手に力量を図っていた)
コウガ:がっ……ぁ!
コウガ:……や、辞めろ……
ミラ:お、おにい……ちゃん
コウガ:鎧は、妹の首を絞めた
コウガ:(ゆっくり、ゆっくり、殺していく)
ミラ:あ……あ……あぁ……あ
コウガ:(生きていることから、死ぬことへ)
コウガ:(鎧は、穏やかに、首を絞めて)
コウガ:(妹を殺した)
0:
0:
コウガ:ああ……ああああああ!!!
0:
0:
コウガ:無力だった
0:
コウガ:でも、俺は力をつけて
0:
コウガ:幽騎士に負けないくらいの。「鎧」に負けないくらいの力をつけて
0:
コウガ:あいつを、殺せるくらいの力を……!
0:
0:
コウガ:だから、お前がやった時と同じように
0:
コウガ:ゆっくりと
0:
コウガ:殺してやるよ
0:
アイニス:……コ、ウガ……
コウガ:……コロス……コロシテやる!!!
アイニス:もど……って……!!
アイニス:(コウガは、幽騎士の呪いに操られていた)
アイニス:(幽騎士は消滅したが、最後に厄介なものをコウガにかけていたようだ)
アイニス:嫌な……置き土産を……残した……わね……!っ!!
アイニス:(私はすぐさま、コウガの両腕を掴む)
アイニス:(そのまま、呪いを打ち消す魔法を使いはじめる)
アイニス:(私の首を絞める力が、強くなる)
アイニス:(どちらが先か)
アイニス:(その軍配は幸運なことに、私にあがってくれた)
アイニス:……っは。
コウガ:……!!
アイニス:……はぁ……はぁ。
コウガ:……っ……アイニス……!!
アイニス:はぁ……はぁ……よか……った……。
コウガ:……あ………
コウガ:……俺……は。
アイニス:(コウガは、震えていた)
アイニス:(その震えている自分の手を見た後、頭を抱え、髪を引きちぎるくらい、手に力を入れた)
コウガ:……何やってんだ……俺。
コウガ:クソ……クソ……クソ野郎!!
アイニス:辞めて、コウガ
コウガ:うるせえッ!!
コウガ:俺は、お前を殺そうとした……
コウガ:馬鹿な事をするところだった……
コウガ:あろうことか、俺は、「鎧」と同じことをやろうとしていたんだ……!!
アイニス:あなたは、何も悪くないわ
コウガ:俺が、っ……妹を殺した……
コウガ:守れなかったのは……殺したことと同じなんだよ。
コウガ:ここに来るまで、ずっとビビってた
コウガ:もしかしたら「鎧」が出てくるんじゃないかって……
コウガ:でも、それを振りしぼって、あいつを倒さないといけない
コウガ:それが、このザマだよ。……はは、ははは。
コウガ:……何にも変わってねえよ、俺。
アイニス:それは、あなたが操られていただけ
アイニス:妹さんのことは、教会でよく聞いていた
アイニス:あなたはよく教会に来てて、話してくれたじゃない
アイニス:辛いことを全部吐き出して、死ぬような嗚咽も吐き捨てて。
アイニス:そして最後には、「前を向きたい」って。
コウガ:……
アイニス:……大丈夫よ。コウガ
アイニス:(私は、震えるコウガに腕を伸ばす)
アイニス:(ゆっくり、ゆっくり)
アイニス:(コウガの体を抱きしめる)
コウガ:……辞めろ。……辞めてくれ
コウガ:……俺なんか、震えるだけの、弱いやつで
コウガ:ただの……クソ野郎なんだよ
アイニス:……ラップトップソリューターズに入って
アイニス:コウガはたくさん、クリーチャーを倒して
アイニス:人を助けているわ
コウガ:でも、俺は……
アイニス:もう終わった
アイニス:過去はもう、終わったのよ。コウガ
コウガ:……っ……っ
コウガ:(泣く権利は、俺にない)
コウガ:(それなのに)
コウガ:(俺はまた、彼女の温かさに頼ってしまった)
アイニス:レスターも、セイジも、コウガが活躍してくれるおかげで助かってるって言ってた
コウガ:……
アイニス:コウガは何でも食べるし
アイニス:お調子者で突っ走る所があるけど
アイニス:そういうところ、悪くないし
アイニス:……こういうところも、悪くない
コウガ:……どういうところだよ
アイニス:震えているところ
コウガ:……ふざけんな
アイニス:それがあるから、コウガはきっと、強いのかもね
コウガ:……
アイニス:次に幽騎士と当たったら、あの攻撃には気を付ける
アイニス:対策を取れば、あとは大丈夫
アイニス:同じことにはならないよ
コウガ:(アイニスの温かい言い方が、俺の身体を通っていく)
コウガ:(彼女の体から伝わる温かさが)
コウガ:(少しずつ、俺の呼吸を楽にしてくれた)
コウガ:……そうだな
コウガ:これで、セイジの奴にも、一歩追いついたかな
アイニス:セイジとコウガは同じくらいだよ
コウガ:盛りすぎだろ
コウガ:あいつは、あの帝国軍にいたんだぜ? 妹を救えなかったあの時も、帝国軍の連中が、幽騎士を倒してくれた。
コウガ:だから、そこに入隊していたセイジはすげえよ
アイニス:たまに突っ走るところあるけどね
アイニス:そこは、コウガとおなじ。
アイニス:私だったり、レスターがサポートにはいってるじゃない
アイニス:男性二人、よく突っ込むから
コウガ:……変なところが似てるってか。余計だよ……ったく。
アイニス:ふふふ。
アイニス:……もう、大丈夫?
コウガ:ああ。
コウガ:セラピーの時間は終わりだ
コウガ:俺も、あいつに肩を並べられるくらい、強くならねえとな
アイニス:うん、その意気。
アイニス:……
コウガ:それにしても、ここ、なんだろうな
アイニス:避難所にしては、随分と作りがいいけど。
コウガ:(そこで、俺とアイニスのお腹が鳴る)
コウガ:……駄目だ、考えらんね。はら減っちまった。
アイニス:レスターのあんぱん、もらってこれば良かったかも
コウガ:えっ!? 冗談冗談! 辞めてくれって!
コウガ:俺ああいうあまーいやつ苦手なんだよ!
アイニス:それ、絶対レスターの前でいったら撃たれるやつ
コウガ:撃たれても嫌だ!!
アイニス:コウガはほんと甘いもの嫌いね
コウガ:俺はうまい飯がいい! たらふく喰える系の飯!
アイニス:じゃあ、帰って作りましょうか
アイニス:報酬もこれで、たんまり……たんまり
コウガ:……おい、アイニス? ……金の呪いにでもやられちまったか?
アイニス:決して違うわ。さ、帰りましょ
アイニス:レスターもセイジも戻ってるでしょう
コウガ:そうだな……。
コウガ:帰ったら……皆で、飯、喰うか!!
アイニス:生ごはんは無よ
コウガ:何だその言い方!? いや、全部生……ぜんなまに目覚めてもいいんだぜ?
アイニス:一人でやってください
コウガ:なんでも構わねえよ!
コウガ:とにかく飯だ、飯ー--!!!
アイニス:はぁ、めんどくさい……
0:END