台本概要
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タイトル | ※朗読風[ひとりごっこ] |
---|---|
作者名 | 瀬川こゆ (@hiina_segawa) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 1人用台本(不問1) ※兼役あり |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
「私はただ、たったの一人を目の前にした時に、どう仕様もなく無力になる事柄があります。」 ※朗読風台本です。一応絵師乙桐の一部ですが、別にこれ単体でも支障はない筈。 非商用時は連絡不要ですが、投げ銭機能のある配信媒体等で記録が残る場合はご一報と、概要欄等にクレジット表記をお願いします。 過度なアドリブ、改変、無許可での男女表記のあるキャラの性別変更は御遠慮ください。 374 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
私 | 男 | - |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
:
0:幕間
:
:
:私はただ、
:たったの一人を目の前にした時に、
:どう仕様もなく無力になる事柄があります。
:それは総じて世間一般的には、
:恐らく、ええ恐らく。
:"愛"だと例えられてしまうのでしょう。
:
:恋をしているにしてはあまりに歪み、好きと言うにはどう仕様もなく無様。
:故に、
:やはり世間の皆々様は、
:私があなたに抱える感情を、
:"愛"だのと言った軽率な物にしか例えられないのです。
:
:けれども私は人の目が口々に囁く事象として、
:あなたをただの一度も愛した事などありません。
:
:愛している。
:愛している。
:愛している。
:私は私を単純な者では無いと自負しているので、
:よってそんな言葉を、
:手札の一環としてならば幾らでも言えるのです。
:耳を酔わせ、心を砕かせる。
:あまりに呆気のない方法としてならば、幾らだって吐けるのでしょう。
:
:結局、
:私がその類の言葉を口から流す時があるとすれば、
:きっと私はその対象を、
:私の中の意味で愛してなんかいやしないからです。
:
:あなたに対する感情は、
:いっそ執着にも似たような覚えさえありました。
:俗に言うでしょう。
:手に入らない物ほど欲しくなると。
:
:胸の高鳴りと言うよりも、
:いっそ幾許(いくばく)か私の中に残っているほんの些細な生存本能ですら。
:そのたった一人、あなたの前だけでは、
:私は無に帰せてしまえる程度なのです。
:
:異常でしょう?分かっています。
:分かった上で異常なままで居る。
:常人にはきっと理解などされないのでしょう。
:されないからこそ狂っているのです。
:私は頭がおかしいのです。
:そしてそんな自分を好ましく思っているのです。
:
:あなたは私の目を見ませんでした。
:本当の意味で、
:あなたが私を知る事はありませんでした。
:
:私がきちんと知って貰おうとしたのならば、あなたは知ろうとしてくれたのでしょう。
:その程度には優しいあなたを、
:誰かは"お人好し"だと指をさすのです。
:
:けれど他ならぬ私が、
:あなたに暴かれる事を許しませんでした。
:
:あなたの為ならば幾らでも嘘をつけます。
:自分自身を知らぬものとして、
:ぞんざいに扱う事でさえ苦では無かった。
:
:私は言わば、あなたの為だけに生きていたいのです。
:例えそれがあなたを、どう仕様もなく傷付けてしまうとしても。
:
:"約束"、なんて煩わしい響きで、
:私は私に囚われています。
:託された物を律儀に足の首につけて鳴らして。
:
:あなたが愛したあなたに、私はなりたくて仕様が無かったですし。
:事実、なれるとさえ思っていました。
:
:愉快です。
:滑稽です。
:阿呆です。
:畜生です。
:
:あなたは私が到底計り知れないくらいには、
:あなたを愛していた事に、
:気付いてしまいたくなんて無かったのです。
:
:「代わりに愛してください」なんて体のいい呪いの手段を、
:迷いもせずに受け入れてしまった。
:私はやはり無知なだけの阿呆でしかありませんでした。
:
:同時にあなたを舐め腐っている自分自身が居た事に、
:これにもまた、
:憎悪にも近い思いを浮かばせるしか無かったのです。
:
:嗚呼、つまらない。
:つまらない。
:つまらない。
:つまらない。
:
:私は何の為に生まれたのでしょうか。
:唯一その訳を知っているであろうあなたが、
:私の手網を手放してしまったのだから、世話がないったらありゃあしません。
:
:恨みも憎みも嘲(あざけ)てもいません。
:ただ、そうですね。
:敢えて言いましょうか。
:
:"私はあなたを愛しています"
:
:この一言だけは、決してあなたに伝える気が起きない程度には。
:
:愛しているからこそあなたへの言葉が、何も出てきやしないのですから仕様がない。
:
:いっそあなたを愛してさえいなければ、
:もっと簡単に、
:短絡に、
:耳障りの良い愛を、
:囁けたと悔いても後の祭りなのです。
:
:私を私自身が見ちゃあいないのに、
:あなたに見て欲しいと望むのはお門違いでしょう。
:
:けれども、
:想うばかりは赦してください。
:
:愛して欲しかったです。
:そんな居なくなったただの体たらくばかりに一生懸命縋らないで。
:私の存在がそもそも、あなたの苦痛の一環になってしまう。
:その原因を探し求めてないで。
:
:此処に居るのはただの私でしか無いのに、
:あなたは何処にも居ないあなたの為に手を広げます。
:私の中にほんの少しもあなたを見やしない。
:
:他ならぬあなたが私をあなたとして見たがっているくせに。
:
:知らんぷりをして、
:分かっていると駄々を捏ねて、
:そして重ねては、泣く。
:
:なんて阿呆だろうか。
:大変仕様の無い阿呆。
:
:けれどもあなたの為に生きようとするがあまり、
:あなたから離れる事を選択した、
:私の方がむしろ畜生にも劣っているのですから、
:お相子様と宣(のたま)らせて頂きたいものです。
:
:嗚呼、難儀だ難儀だ難儀だよぅ。
:
:どうかどうか教えてください。
:まったく仕様の無い私へ、
:愛する事とは何たるかを教えてください。
:
:それが分かるまできっと私は、
:目を細める事を止めやしないのでしょうから。
:
:
:
0:幕間
:
:
:私はただ、
:たったの一人を目の前にした時に、
:どう仕様もなく無力になる事柄があります。
:それは総じて世間一般的には、
:恐らく、ええ恐らく。
:"愛"だと例えられてしまうのでしょう。
:
:恋をしているにしてはあまりに歪み、好きと言うにはどう仕様もなく無様。
:故に、
:やはり世間の皆々様は、
:私があなたに抱える感情を、
:"愛"だのと言った軽率な物にしか例えられないのです。
:
:けれども私は人の目が口々に囁く事象として、
:あなたをただの一度も愛した事などありません。
:
:愛している。
:愛している。
:愛している。
:私は私を単純な者では無いと自負しているので、
:よってそんな言葉を、
:手札の一環としてならば幾らでも言えるのです。
:耳を酔わせ、心を砕かせる。
:あまりに呆気のない方法としてならば、幾らだって吐けるのでしょう。
:
:結局、
:私がその類の言葉を口から流す時があるとすれば、
:きっと私はその対象を、
:私の中の意味で愛してなんかいやしないからです。
:
:あなたに対する感情は、
:いっそ執着にも似たような覚えさえありました。
:俗に言うでしょう。
:手に入らない物ほど欲しくなると。
:
:胸の高鳴りと言うよりも、
:いっそ幾許(いくばく)か私の中に残っているほんの些細な生存本能ですら。
:そのたった一人、あなたの前だけでは、
:私は無に帰せてしまえる程度なのです。
:
:異常でしょう?分かっています。
:分かった上で異常なままで居る。
:常人にはきっと理解などされないのでしょう。
:されないからこそ狂っているのです。
:私は頭がおかしいのです。
:そしてそんな自分を好ましく思っているのです。
:
:あなたは私の目を見ませんでした。
:本当の意味で、
:あなたが私を知る事はありませんでした。
:
:私がきちんと知って貰おうとしたのならば、あなたは知ろうとしてくれたのでしょう。
:その程度には優しいあなたを、
:誰かは"お人好し"だと指をさすのです。
:
:けれど他ならぬ私が、
:あなたに暴かれる事を許しませんでした。
:
:あなたの為ならば幾らでも嘘をつけます。
:自分自身を知らぬものとして、
:ぞんざいに扱う事でさえ苦では無かった。
:
:私は言わば、あなたの為だけに生きていたいのです。
:例えそれがあなたを、どう仕様もなく傷付けてしまうとしても。
:
:"約束"、なんて煩わしい響きで、
:私は私に囚われています。
:託された物を律儀に足の首につけて鳴らして。
:
:あなたが愛したあなたに、私はなりたくて仕様が無かったですし。
:事実、なれるとさえ思っていました。
:
:愉快です。
:滑稽です。
:阿呆です。
:畜生です。
:
:あなたは私が到底計り知れないくらいには、
:あなたを愛していた事に、
:気付いてしまいたくなんて無かったのです。
:
:「代わりに愛してください」なんて体のいい呪いの手段を、
:迷いもせずに受け入れてしまった。
:私はやはり無知なだけの阿呆でしかありませんでした。
:
:同時にあなたを舐め腐っている自分自身が居た事に、
:これにもまた、
:憎悪にも近い思いを浮かばせるしか無かったのです。
:
:嗚呼、つまらない。
:つまらない。
:つまらない。
:つまらない。
:
:私は何の為に生まれたのでしょうか。
:唯一その訳を知っているであろうあなたが、
:私の手網を手放してしまったのだから、世話がないったらありゃあしません。
:
:恨みも憎みも嘲(あざけ)てもいません。
:ただ、そうですね。
:敢えて言いましょうか。
:
:"私はあなたを愛しています"
:
:この一言だけは、決してあなたに伝える気が起きない程度には。
:
:愛しているからこそあなたへの言葉が、何も出てきやしないのですから仕様がない。
:
:いっそあなたを愛してさえいなければ、
:もっと簡単に、
:短絡に、
:耳障りの良い愛を、
:囁けたと悔いても後の祭りなのです。
:
:私を私自身が見ちゃあいないのに、
:あなたに見て欲しいと望むのはお門違いでしょう。
:
:けれども、
:想うばかりは赦してください。
:
:愛して欲しかったです。
:そんな居なくなったただの体たらくばかりに一生懸命縋らないで。
:私の存在がそもそも、あなたの苦痛の一環になってしまう。
:その原因を探し求めてないで。
:
:此処に居るのはただの私でしか無いのに、
:あなたは何処にも居ないあなたの為に手を広げます。
:私の中にほんの少しもあなたを見やしない。
:
:他ならぬあなたが私をあなたとして見たがっているくせに。
:
:知らんぷりをして、
:分かっていると駄々を捏ねて、
:そして重ねては、泣く。
:
:なんて阿呆だろうか。
:大変仕様の無い阿呆。
:
:けれどもあなたの為に生きようとするがあまり、
:あなたから離れる事を選択した、
:私の方がむしろ畜生にも劣っているのですから、
:お相子様と宣(のたま)らせて頂きたいものです。
:
:嗚呼、難儀だ難儀だ難儀だよぅ。
:
:どうかどうか教えてください。
:まったく仕様の無い私へ、
:愛する事とは何たるかを教えてください。
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:それが分かるまできっと私は、
:目を細める事を止めやしないのでしょうから。
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