台本概要

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タイトル ※朗読風[ひとりごっこ]
作者名 瀬川こゆ  (@hiina_segawa)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 1人用台本(不問1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 「私はただ、たったの一人を目の前にした時に、どう仕様もなく無力になる事柄があります。」

※朗読風台本です。一応絵師乙桐の一部ですが、別にこれ単体でも支障はない筈。

非商用時は連絡不要ですが、投げ銭機能のある配信媒体等で記録が残る場合はご一報と、概要欄等にクレジット表記をお願いします。

過度なアドリブ、改変、無許可での男女表記のあるキャラの性別変更は御遠慮ください。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
-
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
 :  0:幕間  :   :   :私はただ、  :たったの一人を目の前にした時に、  :どう仕様もなく無力になる事柄があります。  :それは総じて世間一般的には、  :恐らく、ええ恐らく。  :"愛"だと例えられてしまうのでしょう。  :   :恋をしているにしてはあまりに歪み、好きと言うにはどう仕様もなく無様。  :故に、  :やはり世間の皆々様は、  :私があなたに抱える感情を、  :"愛"だのと言った軽率な物にしか例えられないのです。  :  :けれども私は人の目が口々に囁く事象として、  :あなたをただの一度も愛した事などありません。  :   :愛している。  :愛している。  :愛している。  :私は私を単純な者では無いと自負しているので、  :よってそんな言葉を、  :手札の一環としてならば幾らでも言えるのです。  :耳を酔わせ、心を砕かせる。  :あまりに呆気のない方法としてならば、幾らだって吐けるのでしょう。  :   :結局、  :私がその類の言葉を口から流す時があるとすれば、  :きっと私はその対象を、  :私の中の意味で愛してなんかいやしないからです。  :   :あなたに対する感情は、  :いっそ執着にも似たような覚えさえありました。  :俗に言うでしょう。  :手に入らない物ほど欲しくなると。  :   :胸の高鳴りと言うよりも、  :いっそ幾許(いくばく)か私の中に残っているほんの些細な生存本能ですら。  :そのたった一人、あなたの前だけでは、  :私は無に帰せてしまえる程度なのです。  :   :異常でしょう?分かっています。  :分かった上で異常なままで居る。  :常人にはきっと理解などされないのでしょう。  :されないからこそ狂っているのです。  :私は頭がおかしいのです。  :そしてそんな自分を好ましく思っているのです。  :   :あなたは私の目を見ませんでした。  :本当の意味で、  :あなたが私を知る事はありませんでした。  :   :私がきちんと知って貰おうとしたのならば、あなたは知ろうとしてくれたのでしょう。  :その程度には優しいあなたを、  :誰かは"お人好し"だと指をさすのです。  :   :けれど他ならぬ私が、  :あなたに暴かれる事を許しませんでした。  :   :あなたの為ならば幾らでも嘘をつけます。  :自分自身を知らぬものとして、  :ぞんざいに扱う事でさえ苦では無かった。  :   :私は言わば、あなたの為だけに生きていたいのです。  :例えそれがあなたを、どう仕様もなく傷付けてしまうとしても。  :   :"約束"、なんて煩わしい響きで、  :私は私に囚われています。  :託された物を律儀に足の首につけて鳴らして。  :   :あなたが愛したあなたに、私はなりたくて仕様が無かったですし。  :事実、なれるとさえ思っていました。  :   :愉快です。  :滑稽です。  :阿呆です。  :畜生です。  :   :あなたは私が到底計り知れないくらいには、  :あなたを愛していた事に、  :気付いてしまいたくなんて無かったのです。  :   :「代わりに愛してください」なんて体のいい呪いの手段を、  :迷いもせずに受け入れてしまった。  :私はやはり無知なだけの阿呆でしかありませんでした。  :   :同時にあなたを舐め腐っている自分自身が居た事に、  :これにもまた、  :憎悪にも近い思いを浮かばせるしか無かったのです。  :   :嗚呼、つまらない。  :つまらない。  :つまらない。  :つまらない。  :   :私は何の為に生まれたのでしょうか。  :唯一その訳を知っているであろうあなたが、  :私の手網を手放してしまったのだから、世話がないったらありゃあしません。  :   :恨みも憎みも嘲(あざけ)てもいません。  :ただ、そうですね。  :敢えて言いましょうか。  :   :"私はあなたを愛しています"  :   :この一言だけは、決してあなたに伝える気が起きない程度には。  :   :愛しているからこそあなたへの言葉が、何も出てきやしないのですから仕様がない。  :   :いっそあなたを愛してさえいなければ、  :もっと簡単に、  :短絡に、  :耳障りの良い愛を、  :囁けたと悔いても後の祭りなのです。  :   :私を私自身が見ちゃあいないのに、  :あなたに見て欲しいと望むのはお門違いでしょう。  :   :けれども、  :想うばかりは赦してください。  :   :愛して欲しかったです。  :そんな居なくなったただの体たらくばかりに一生懸命縋らないで。  :私の存在がそもそも、あなたの苦痛の一環になってしまう。  :その原因を探し求めてないで。  :   :此処に居るのはただの私でしか無いのに、  :あなたは何処にも居ないあなたの為に手を広げます。  :私の中にほんの少しもあなたを見やしない。  :   :他ならぬあなたが私をあなたとして見たがっているくせに。  :   :知らんぷりをして、  :分かっていると駄々を捏ねて、  :そして重ねては、泣く。  :   :なんて阿呆だろうか。  :大変仕様の無い阿呆。  :   :けれどもあなたの為に生きようとするがあまり、  :あなたから離れる事を選択した、  :私の方がむしろ畜生にも劣っているのですから、  :お相子様と宣(のたま)らせて頂きたいものです。  :   :嗚呼、難儀だ難儀だ難儀だよぅ。  :   :どうかどうか教えてください。  :まったく仕様の無い私へ、  :愛する事とは何たるかを教えてください。  :   :それが分かるまできっと私は、  :目を細める事を止めやしないのでしょうから。  :   : 

 :  0:幕間  :   :   :私はただ、  :たったの一人を目の前にした時に、  :どう仕様もなく無力になる事柄があります。  :それは総じて世間一般的には、  :恐らく、ええ恐らく。  :"愛"だと例えられてしまうのでしょう。  :   :恋をしているにしてはあまりに歪み、好きと言うにはどう仕様もなく無様。  :故に、  :やはり世間の皆々様は、  :私があなたに抱える感情を、  :"愛"だのと言った軽率な物にしか例えられないのです。  :  :けれども私は人の目が口々に囁く事象として、  :あなたをただの一度も愛した事などありません。  :   :愛している。  :愛している。  :愛している。  :私は私を単純な者では無いと自負しているので、  :よってそんな言葉を、  :手札の一環としてならば幾らでも言えるのです。  :耳を酔わせ、心を砕かせる。  :あまりに呆気のない方法としてならば、幾らだって吐けるのでしょう。  :   :結局、  :私がその類の言葉を口から流す時があるとすれば、  :きっと私はその対象を、  :私の中の意味で愛してなんかいやしないからです。  :   :あなたに対する感情は、  :いっそ執着にも似たような覚えさえありました。  :俗に言うでしょう。  :手に入らない物ほど欲しくなると。  :   :胸の高鳴りと言うよりも、  :いっそ幾許(いくばく)か私の中に残っているほんの些細な生存本能ですら。  :そのたった一人、あなたの前だけでは、  :私は無に帰せてしまえる程度なのです。  :   :異常でしょう?分かっています。  :分かった上で異常なままで居る。  :常人にはきっと理解などされないのでしょう。  :されないからこそ狂っているのです。  :私は頭がおかしいのです。  :そしてそんな自分を好ましく思っているのです。  :   :あなたは私の目を見ませんでした。  :本当の意味で、  :あなたが私を知る事はありませんでした。  :   :私がきちんと知って貰おうとしたのならば、あなたは知ろうとしてくれたのでしょう。  :その程度には優しいあなたを、  :誰かは"お人好し"だと指をさすのです。  :   :けれど他ならぬ私が、  :あなたに暴かれる事を許しませんでした。  :   :あなたの為ならば幾らでも嘘をつけます。  :自分自身を知らぬものとして、  :ぞんざいに扱う事でさえ苦では無かった。  :   :私は言わば、あなたの為だけに生きていたいのです。  :例えそれがあなたを、どう仕様もなく傷付けてしまうとしても。  :   :"約束"、なんて煩わしい響きで、  :私は私に囚われています。  :託された物を律儀に足の首につけて鳴らして。  :   :あなたが愛したあなたに、私はなりたくて仕様が無かったですし。  :事実、なれるとさえ思っていました。  :   :愉快です。  :滑稽です。  :阿呆です。  :畜生です。  :   :あなたは私が到底計り知れないくらいには、  :あなたを愛していた事に、  :気付いてしまいたくなんて無かったのです。  :   :「代わりに愛してください」なんて体のいい呪いの手段を、  :迷いもせずに受け入れてしまった。  :私はやはり無知なだけの阿呆でしかありませんでした。  :   :同時にあなたを舐め腐っている自分自身が居た事に、  :これにもまた、  :憎悪にも近い思いを浮かばせるしか無かったのです。  :   :嗚呼、つまらない。  :つまらない。  :つまらない。  :つまらない。  :   :私は何の為に生まれたのでしょうか。  :唯一その訳を知っているであろうあなたが、  :私の手網を手放してしまったのだから、世話がないったらありゃあしません。  :   :恨みも憎みも嘲(あざけ)てもいません。  :ただ、そうですね。  :敢えて言いましょうか。  :   :"私はあなたを愛しています"  :   :この一言だけは、決してあなたに伝える気が起きない程度には。  :   :愛しているからこそあなたへの言葉が、何も出てきやしないのですから仕様がない。  :   :いっそあなたを愛してさえいなければ、  :もっと簡単に、  :短絡に、  :耳障りの良い愛を、  :囁けたと悔いても後の祭りなのです。  :   :私を私自身が見ちゃあいないのに、  :あなたに見て欲しいと望むのはお門違いでしょう。  :   :けれども、  :想うばかりは赦してください。  :   :愛して欲しかったです。  :そんな居なくなったただの体たらくばかりに一生懸命縋らないで。  :私の存在がそもそも、あなたの苦痛の一環になってしまう。  :その原因を探し求めてないで。  :   :此処に居るのはただの私でしか無いのに、  :あなたは何処にも居ないあなたの為に手を広げます。  :私の中にほんの少しもあなたを見やしない。  :   :他ならぬあなたが私をあなたとして見たがっているくせに。  :   :知らんぷりをして、  :分かっていると駄々を捏ねて、  :そして重ねては、泣く。  :   :なんて阿呆だろうか。  :大変仕様の無い阿呆。  :   :けれどもあなたの為に生きようとするがあまり、  :あなたから離れる事を選択した、  :私の方がむしろ畜生にも劣っているのですから、  :お相子様と宣(のたま)らせて頂きたいものです。  :   :嗚呼、難儀だ難儀だ難儀だよぅ。  :   :どうかどうか教えてください。  :まったく仕様の無い私へ、  :愛する事とは何たるかを教えてください。  :   :それが分かるまできっと私は、  :目を細める事を止めやしないのでしょうから。  :   :