台本概要
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タイトル | 白と黒(仮)第一部「幕裏の人形劇」 |
---|---|
作者名 | maturit (@inui_maturi) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 2人用台本(女1、不問1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
初めてシリーズ系書いてみる( ´・ω・`) お試しです 288 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
メルト | 女 | 44 | |
シンク | 不問 | 42 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
メルト:私はなんの為に生きているのだろうか?
メルト:見上げた空は私を見下(みくだ)す
メルト:光の熱が痛い、風の冷たさが痛い、そして…私の心は常に痛い
シンク:「いつまでそうしてるつもりだ?日が暮れるぞ」
メルト:「すみません、ちょっと昔を思い出していました」
シンク:「感傷(かんしょう)に浸(ひた)るのは構わないけど、今回は急ぎの仕事なんだ…たのむからヘマはしないでくれよ」
メルト:「大丈夫……大丈夫です」
シンク:「二度言うと物事の信憑性(しんぴょうせい)は半減するんだ、君は不安定すぎる」
メルト:「ごめんなさい」
シンク:「別にいいよ、今回僕は君のサポートだ…死ぬのは勝手だけど、僕を巻き込まないでよ」
メルト:「わかっています」
シンク:「はぁ(溜息)、そんな風になるなら辞めればいいのに」
メルト:「ごめんなさい」
シンク:「早く行かないと汽車(きしゃ)に乗り遅れる」
メルト:「そうね、急ぎましょう…あの人の為に」
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0:「幕裏の人形劇」
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メルト:汽車(きしゃ)に揺られて数時間、その都市の空気が私の喉(のど)を絞(し)める
シンク:「初めてのロンドンはどうだい?」
メルト:「空気が合わないです」
シンク:「そうだろうね、今回は時間が勝負だ…そう長く滞在(たいざい)する予定じゃないから我慢(がまん)してくれよ」
メルト:「はい、少し思い出してしまうだけですから」
シンク:「戦場に比べたら天国…とか思ってる?」
メルト:「……」
シンク:「生憎(あいにく)とそんな生易(なまやさ)しくもない、戦場が人の地獄だと言うのであれば…ここは怪物の地獄さ」
メルト:「怪物…ですか」
シンク:「君もどちらかと言えばそちら側だろう?」
メルト:「まだ人であるつもりです」
シンク:「なら、上手く立ち回るべきだ…今のロンドンは物語が入り乱れているからね」
メルト:「怪物の次は物語ですか?」
シンク:「物語と怪物、切っても切り離せないモノさ、物語があるから怪物が生まれるのか、怪物がいるから物語が生まれるのか、そういう話さ」
メルト:「どちらでも構いません、私はあの人の為に、あの人の代わりに動く人形ですから」
シンク:「君の場合はどっちだろうね」
メルト:「……もういいですか?」
シンク:「すまない、ちょっと長話が過ぎたようだ、移動しながら説明しよう」
メルト:「お願いいたします」
シンク:「じゃあとりあえず、現状についてだが、先程言った通りに今のロンドンは地獄だ」
メルト:「詳細をお願いします」
シンク:「まぁそのままの意味ではあるんだが、どういう訳か死んだ人間や空想上の怪物が目撃…どころか事件を起こしている」
メルト:「なんというか、不釣り合いですね」
シンク:「ああ、バランスが悪い」
シンク:「今は文明が進みオカルト関係は忌避(きひ)される世の中だ、化学の方が十二分に魔法と呼んでさわりない」
メルト:「ではこの状況もその類であると?」
シンク:「上はそう考えているんだろう」
メルト:「ではなぜ私が駆り出されたのでしょうか?」
シンク:「そこは疑問じゃない、化学が相手ならやりようは幾らでもあるが、もしも万が一にもその外側が絡んだ場合、君ほど対処に相応しい人材はいないだろう」
メルト:「私は捨て石ですか?」
シンク:「捨て石とは笑わせる、君は爆弾さ…最悪、全てを無かった事にするためのリセットボタンが君だ」
メルト:「そういう……事ですか」
シンク:「君の命は世界を戻す、僕は全てを記憶する、いいコンビじゃないか」
メルト:「そのようですね」
シンク:「まぁ君は紛(まが)い物だ、完全に戻す訳じゃないし、世界も副作用に耐えきれずエラーを起こす」
メルト:「歴史が変わるという事でしょうか?」
シンク:「そうなるね、まぁ君が死んだ後だから気にすることでも無い」
メルト:「あのお方は」
シンク:「既に了承(りょうしょう)は貰(もら)っている」
メルト:「そう……ですか」
シンク:「僕も無駄な争いは避けたいし、怪物と命のやり取りなんて…死んでもごめんさ」
メルト:「わかって…います」
シンク:「でも、君の命はあくまで最後の切り札だ、使わないに越した事はない」
メルト:「この命は既に無くなっているモノです…使うべきなら躊躇(ためら)いません」
シンク:「君さ、人として生きたいとか思わないの?」
メルト:「私の命はあの方のモノです」
シンク:「君は心まで人形のつもりかい?そんなんじゃ…怪物と変わらないよ?」
メルト:「そう…かもしれません」
シンク:「はぁ、嫌だ嫌だ」
メルト:「……」
シンク:「君はあの戦場の生き残りで、その体の殆(ほとん)どが機械で、おまけに心臓には時間を吹き飛ばすとかいう得体の知れない爆弾まで抱えてる」
メルト:「……」
シンク:「君がどう考えているかなんてどうでもいいけれど、君の言うあの人が本当にそんな事を望むと思っているのか?」
メルト:「…私にはわかりません」
シンク:「あの人の名前を思い出せるか?」
メルト:「はい、口には出来ませんが白と呼ばれるあの方の名前は刻まれております」
シンク:「絶対に忘れるな、そしてこれを渡しておく」
メルト:「これは?」
シンク:「あの人からの手紙だ」
メルト:「っ!?」
シンク:「今は読むな、どうしようも無くなった時に読め」
メルト:「…わかり…ました」
シンク:「じゃあ、続きだ…と言っても目的地に着いてしまったから詳細は依頼人から聞いてくれ」
メルト:「道案内ありがとうございます」
シンク:「これも渡しておくよ、僕との連絡手段、紙に書いておいたから覚えて燃やしてね」
メルト:「ありがとうございます」
シンク:「じゃあ最後に君に忠告だ」
メルト:「なんでしょう?」
シンク:「愛に偽りがあってはならない」
メルト:「聖書ですか?」
シンク:「そうだよ、君はこの言葉を深く刻(きざ)むべきだ…でないと君は怪物となるだろう」
メルト:「肝に銘(めい)じます」
シンク:「じゃあ何かあれば連絡してくれよ…取り返しがつかなくなる前に」
メルト:「感謝します」
メルト:視界は少し霞(かす)む、白と黒の煙が混(ま)ざり、空を染めていく
メルト:目の間には摩天楼(まてんろう)、見上げる首が少し痛い
メルト:物語の幕はまだ開かず、幕の後ろで人形は動き出した
メルト:私はなんの為に生きているのだろうか?
メルト:見上げた空は私を見下(みくだ)す
メルト:光の熱が痛い、風の冷たさが痛い、そして…私の心は常に痛い
シンク:「いつまでそうしてるつもりだ?日が暮れるぞ」
メルト:「すみません、ちょっと昔を思い出していました」
シンク:「感傷(かんしょう)に浸(ひた)るのは構わないけど、今回は急ぎの仕事なんだ…たのむからヘマはしないでくれよ」
メルト:「大丈夫……大丈夫です」
シンク:「二度言うと物事の信憑性(しんぴょうせい)は半減するんだ、君は不安定すぎる」
メルト:「ごめんなさい」
シンク:「別にいいよ、今回僕は君のサポートだ…死ぬのは勝手だけど、僕を巻き込まないでよ」
メルト:「わかっています」
シンク:「はぁ(溜息)、そんな風になるなら辞めればいいのに」
メルト:「ごめんなさい」
シンク:「早く行かないと汽車(きしゃ)に乗り遅れる」
メルト:「そうね、急ぎましょう…あの人の為に」
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0:「幕裏の人形劇」
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メルト:汽車(きしゃ)に揺られて数時間、その都市の空気が私の喉(のど)を絞(し)める
シンク:「初めてのロンドンはどうだい?」
メルト:「空気が合わないです」
シンク:「そうだろうね、今回は時間が勝負だ…そう長く滞在(たいざい)する予定じゃないから我慢(がまん)してくれよ」
メルト:「はい、少し思い出してしまうだけですから」
シンク:「戦場に比べたら天国…とか思ってる?」
メルト:「……」
シンク:「生憎(あいにく)とそんな生易(なまやさ)しくもない、戦場が人の地獄だと言うのであれば…ここは怪物の地獄さ」
メルト:「怪物…ですか」
シンク:「君もどちらかと言えばそちら側だろう?」
メルト:「まだ人であるつもりです」
シンク:「なら、上手く立ち回るべきだ…今のロンドンは物語が入り乱れているからね」
メルト:「怪物の次は物語ですか?」
シンク:「物語と怪物、切っても切り離せないモノさ、物語があるから怪物が生まれるのか、怪物がいるから物語が生まれるのか、そういう話さ」
メルト:「どちらでも構いません、私はあの人の為に、あの人の代わりに動く人形ですから」
シンク:「君の場合はどっちだろうね」
メルト:「……もういいですか?」
シンク:「すまない、ちょっと長話が過ぎたようだ、移動しながら説明しよう」
メルト:「お願いいたします」
シンク:「じゃあとりあえず、現状についてだが、先程言った通りに今のロンドンは地獄だ」
メルト:「詳細をお願いします」
シンク:「まぁそのままの意味ではあるんだが、どういう訳か死んだ人間や空想上の怪物が目撃…どころか事件を起こしている」
メルト:「なんというか、不釣り合いですね」
シンク:「ああ、バランスが悪い」
シンク:「今は文明が進みオカルト関係は忌避(きひ)される世の中だ、化学の方が十二分に魔法と呼んでさわりない」
メルト:「ではこの状況もその類であると?」
シンク:「上はそう考えているんだろう」
メルト:「ではなぜ私が駆り出されたのでしょうか?」
シンク:「そこは疑問じゃない、化学が相手ならやりようは幾らでもあるが、もしも万が一にもその外側が絡んだ場合、君ほど対処に相応しい人材はいないだろう」
メルト:「私は捨て石ですか?」
シンク:「捨て石とは笑わせる、君は爆弾さ…最悪、全てを無かった事にするためのリセットボタンが君だ」
メルト:「そういう……事ですか」
シンク:「君の命は世界を戻す、僕は全てを記憶する、いいコンビじゃないか」
メルト:「そのようですね」
シンク:「まぁ君は紛(まが)い物だ、完全に戻す訳じゃないし、世界も副作用に耐えきれずエラーを起こす」
メルト:「歴史が変わるという事でしょうか?」
シンク:「そうなるね、まぁ君が死んだ後だから気にすることでも無い」
メルト:「あのお方は」
シンク:「既に了承(りょうしょう)は貰(もら)っている」
メルト:「そう……ですか」
シンク:「僕も無駄な争いは避けたいし、怪物と命のやり取りなんて…死んでもごめんさ」
メルト:「わかって…います」
シンク:「でも、君の命はあくまで最後の切り札だ、使わないに越した事はない」
メルト:「この命は既に無くなっているモノです…使うべきなら躊躇(ためら)いません」
シンク:「君さ、人として生きたいとか思わないの?」
メルト:「私の命はあの方のモノです」
シンク:「君は心まで人形のつもりかい?そんなんじゃ…怪物と変わらないよ?」
メルト:「そう…かもしれません」
シンク:「はぁ、嫌だ嫌だ」
メルト:「……」
シンク:「君はあの戦場の生き残りで、その体の殆(ほとん)どが機械で、おまけに心臓には時間を吹き飛ばすとかいう得体の知れない爆弾まで抱えてる」
メルト:「……」
シンク:「君がどう考えているかなんてどうでもいいけれど、君の言うあの人が本当にそんな事を望むと思っているのか?」
メルト:「…私にはわかりません」
シンク:「あの人の名前を思い出せるか?」
メルト:「はい、口には出来ませんが白と呼ばれるあの方の名前は刻まれております」
シンク:「絶対に忘れるな、そしてこれを渡しておく」
メルト:「これは?」
シンク:「あの人からの手紙だ」
メルト:「っ!?」
シンク:「今は読むな、どうしようも無くなった時に読め」
メルト:「…わかり…ました」
シンク:「じゃあ、続きだ…と言っても目的地に着いてしまったから詳細は依頼人から聞いてくれ」
メルト:「道案内ありがとうございます」
シンク:「これも渡しておくよ、僕との連絡手段、紙に書いておいたから覚えて燃やしてね」
メルト:「ありがとうございます」
シンク:「じゃあ最後に君に忠告だ」
メルト:「なんでしょう?」
シンク:「愛に偽りがあってはならない」
メルト:「聖書ですか?」
シンク:「そうだよ、君はこの言葉を深く刻(きざ)むべきだ…でないと君は怪物となるだろう」
メルト:「肝に銘(めい)じます」
シンク:「じゃあ何かあれば連絡してくれよ…取り返しがつかなくなる前に」
メルト:「感謝します」
メルト:視界は少し霞(かす)む、白と黒の煙が混(ま)ざり、空を染めていく
メルト:目の間には摩天楼(まてんろう)、見上げる首が少し痛い
メルト:物語の幕はまだ開かず、幕の後ろで人形は動き出した