台本概要
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タイトル | 白と黒(仮)第三部「喜劇の協奏曲」 |
---|---|
作者名 | maturit (@inui_maturi) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 3人用台本(男1、女2) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
お試しPart3
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キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
メルト | 女 | 58 | |
カルマ | 男 | 59 | |
オルカ | 女 | 63 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
メルト:エレベーターの扉が開くとカルマと名乗っていた元軍人が少女に迫っていた
オルカ:「け、結構です!!」
カルマ:「そう言わずにさ」
メルト:「何をしているのですか?」
オルカ:「た、助けてくださいっ!この男性が急に!!」
カルマ:「おいおいおい、俺はただ道を尋(たず)ねただけだぜ?」
メルト:「どう見てもそうは見えませんでした」
カルマ:「信用ねーなー」
オルカ:「この人おかしいですよ!急に私の家を聞いてきたんです!」
メルト:「……カルマさん、自首してください」
カルマ:「悪いな、俺は取り締まる側の人間だ」
メルト:「最低ですね」
オルカ:「私はもう…終わりです」
カルマ:「あーそんな目で俺を見るな」
メルト:「心底、軽蔑(けいべつ)します」
カルマ:「誤解だ誤解」
メルト:「何が誤解だと言うんですか?」
カルマ:「お前も人を見る目がないなぁー」
メルト:「この後に及んで!」
カルマ:「まった、ストップ、それは演技だ演技、悪ふざけもいい加減にしろよオルカ」
メルト:「……?」
オルカ:「えへっ、ごめんなさい」
メルト:「演技…だったのですか?」
オルカ:「カルマに対する日頃の仕返しに巻き込んでしまってごめんなさい」
メルト:「えーと」
カルマ:「この女はオルカ、オペラ座の看板女優だ」
0:
0:「喜劇の協奏曲」
0:
オルカ:「初めまして、オルカと申します、純粋な貴女を弄(もてあそ)んでしまった事、謝罪いたします」
メルト:「…そういうことであれば」
カルマ:「そう拗(す)ねるな」
メルト:「拗(す)ねていません!」
オルカ:「カルマぁ、この子可愛いわ!私に頂戴(ちょうだい)!!」
カルマ:「やらねぇよ、こんなんでも始末屋だ、ロンドンではアリスの客だ…この意味がわかるな?」
オルカ:「はーい、残念だけど勧誘(かんゆう)はロンドンを出た後にするわ」
カルマ:「諦めねぇのかよっ!?」
メルト:「私はメルトです、今は依頼遂行(いらいすいこう)につき、一切の私情(しじょう)を持ち合わせておりません」
オルカ:「それでもいいわ!ねぇカルマ!この後劇場に来るんでしょ?」
カルマ:「ああそうだよ、だから呼んだんだ」
オルカ:「この子も一緒に?」
カルマ:「そうなるな、当分はこいつが俺の相棒(あいぼう)だ」
オルカ:「そうなのね!じゃあ早速(さっそく)行きましょう!!」
カルマ:「ちょっと待て!その前に…メルトお前、腹空いてないか?」
メルト:「っ!?それは…少し空いています」
カルマ:「という訳で劇場に行く前に飯だ、いつものところに行くぞ」
オルカ:「もしかして奢(おご)ってくれるの?」
カルマ:「ばーか、奢(おご)るのはメルトだけだ」
オルカ:「けちー」
カルマ:「お前が今度俺とデートするってんなら彼女枠として奢(おご)ってもいいぞ」
オルカ:「残念でした、私、そんなに安い女じゃないの!」
カルマ:「つれないねぇ」
メルト:「仲が良いんですね」
オルカ:「そうね、私が見習い時代からの仲だもんねー」
カルマ:「こいつは見てくれこそ良いが、中身は恐ろしい怪物だ」
オルカ:「ひっどーい!」
メルト:「羨(うらや)ましいです」
カルマ:「ほら行くぞっ!急がないと席が埋(う)まる」
オルカ:「えー急がなくても私がいれば顔パスよ!!」
カルマ:「目立ちたく無いんだよ!察しろっ!!」
オルカ:「せっかくメルトちゃんにカッコイイ私を見せるプランがぁ」
カルマ:「もう出落ちしてるんだよ!大人しくしてろっ!!」
メルト:「ふふふっ」
カルマ:「…笑えんのかよ」
オルカ:「笑ったオルカちゃんかっわぃいいいいいい」
メルト:「あっ、ちょっ、抱きつかないでください、やめてください」
カルマ:「いいのよ、安心してお姉さんに頼りなさい」
メルト:「そういう訳には」
オルカ:「……」
メルト:「カルマさんも助けてください!」
カルマ:「おうおう、仲がいい事で」
メルト:「歩きずらいです!離れてください!」
カルマ:「じゃあ着いてこいよ、はぐれたら…オルカに食われるぞ(笑いながら)」
オルカ:「うふふふふっ」
メルト:「ひっ!?」
オルカ:「メルトちゃんなら…いいわよ?」
メルト:私は戦場で死にかけた時と同じ恐怖を感じた
メルト:カルマから離れないように死に物狂(ものぐる)いで着いていく、カルマの近くにしか、私の安全地帯(セーフゾーン)がないっ!?
0:(少しの間)
0:食堂にて
オルカ:「大丈夫か?」
メルト:「大丈夫です問題ありません」
オルカ:「残念、せっかくメルトちゃんを食べれるチャンスだったのにぃ」
メルト:「この人、本当に看板女優なんですか?」
カルマ:「残念な事に真実だ、俺はいつものを注文するが…お前らはどうする?」
オルカ:「私はこのミートスパゲティ」
カルマ:「相変わらずの子供舌(こどもじた)だなぁ」
オルカ:「いいのよ、食べ物なんて食べられればなんでも、どうせ着飾(きかざ)っても人なんてみんな同じよ」
カルマ:「はいはい、メルトはどうする?」
メルト:「私はパンとコーヒーを頂ければそれで」
カルマ:「中年かよ、いや、軍人ならそうもなるか?」
オルカ:「甘いものは嫌い?」
メルト:「…好きではありません」
カルマ:「へぇ、そういう感じね」
オルカ:「そっかぁ、せっかく美味しいデザートがあったんだけど…また今度にするわ」
メルト:「申し訳ありません」
オルカ:「いいのいいの!私のお節介だからっ!」
カルマ:「ちょっと席を外す、ついでに注文してくるから二人でごゆっくりぃ」
メルト:「カルマさんっ!?」
カルマ:「大丈夫だ、公共の場では大人しい……筈だ」
メルト:「……」
オルカ:「メルトちゃん……肌が綺麗(きれい)ね」
メルト:「何処が大人しいんでしょうかっ!?」
オルカ:「あははっ、ジョーダンジョーダン」
メルト:「本当に…ですか?」
オルカ:「そう警戒しないで、私も昔の事を思い出してしまって、はしゃぎすぎたわ」
メルト:「昔ですか?」
オルカ:「ええ、私には妹がいたの…仲のいい姉妹でいつも、どこへ行くのにも一緒にだった」
メルト:「今はいないのですか?」
オルカ:「そうね、数年前の戦争に巻き込まれて死んでしまったわ」
メルト:「……それは……」
オルカ:「別に軍人を恨(うら)んだり、目の敵(かたき)に思ったりしないわ……貴方がどこでどの形で戦争に加担(かたん)したかを聞くつもりは無いしね」
メルト:「……そうですか」
オルカ:「でもね、もしも私が心の内をぶつける相手がいるとしたら…カルマだけなの」
メルト:「カルマさん……ですか?」
オルカ:「仲が良いように見えるでしょ?でも心の中で彼に銃口(じゅうこう)を向けているの……この先、聞きたい?」
メルト:「……私には優先すべき事がありますので」
オルカ:「そうよね、今のは秘密よ?」
メルト:「はい」
カルマ:「おいおい、密談(みつだん)とは仲のいい事で」
メルト:「……」
カルマ:「オルカ」
オルカ:「何かしら?」
カルマ:「あまり踏み込むな、いや…引き込むな」
オルカ:「……そうね、ここまでにするわ」
メルト:「そういえば、劇場というのはどのような場所なのでしょうか?」
オルカ:「劇場に興味があるのっ!?」
メルト:「いままで、そういった施設(しせつ)に縁がありませんでしたので」
カルマ:「とにかく眠くなる所だ」
オルカ:「ちょっとカルマっ!!変な先入観吹き込まないで!」
カルマ:「俺個人の感想を言ったまでだ」
オルカ:「本当に芸術が分からない男ね!そんなんだから女性に振られるのよ!」
カルマ:「それは関係なだろっ!?」
オルカ:「大ありよ!本当に空気読めないんだから!!」
カルマ:「なっ!?それを言ったらお前だって!」
メルト:「静かにしてください!!」
カルマ:「お、おう…そんな大声出るんだな」
オルカ:「ごめんなさい」
メルト:「ここは食事の場です、他の方々にもご配慮(はいりょ)ください」
カルマ:「わるい、気をつける」
オルカ:「私も反省するわ……劇場だったわよね、劇は見た事あるかしら?」
メルト:「一度だけ」
オルカ:「それはどんな劇だった?」
メルト:「双子の少年と少女が居て、魔女を倒して家に帰る…という劇でした」
オルカ:「ヘンゼルとグレーテルかしら?童話ベースの劇も珍しくないけれど、劇場で行うのは壮大(そうだい)な物語よ!」
メルト:「イメージがつきません」
オルカ:「そうよねぇ」
カルマ:「まぁ東洋には百聞は一見にしかずという言葉がある、聞くより己の目で見て知ることだな」
メルト:「そうですね…気になっていたのですが…カルマさんは東洋が好きなのですか?」
カルマ:「べつにそういうわけじゃねーよ」
オルカ:「カルマの祖父が東洋人でそういう知識を教え込まれたらしいわ」
カルマ:「ほんとやりずれぇなぁ」
オルカ:「勿体(もったい)ぶるのは悪い癖よ?秘密がひきたてるのは女性だけなの!男性の秘密なんて女々しいだけじゃない」
カルマ:「うぐっ……くそっ、言っとけ」
メルト:「そうですか、私も東洋には一度行ってみたいのです」
オルカ:「何か思い入れでもあるの?」
メルト:「私のこの世で最も敬愛(けいあい)するお方が東洋人なのです」
オルカ:「ほほーう、恋する乙女ね」
メルト:「いやっ、ちがっ!?これは単に尊敬(そんけい)するお方の道程(ルーツ)を知りたいという好奇心(こうきしん)であって、それ以上でもそれ以下でも無くてですね、私はあの方の代理として今後動く以上は同じ評価を求められるのは当然でして!」
カルマ:「支離滅裂(しりめつれつ)になってるぞ、落ち着け」
メルト:「はっ!?…お見苦しい姿をお見せしました」
オルカ:「若いっていいわねぇ」
カルマ:「歳なんてそう変わらないだろう」
オルカ:「……そうね、私とメルトちゃんは変わらないわね」
カルマ:「俺だけ省(はぶ)くな」
オルカ:「見た目はもうオッサンよ?」
カルマ:「老け顔なんだよ!貫禄(かんろく)があるって言え!」
オルカ:「…んー」
カルマ:「なんだよ?」
メルト:「一回りは違うと思っていました」
カルマ:「なっ!?」
オルカ:「あはははっ!ひーひー!お腹痛いぃいい」
カルマ:「そう…か…そうだったのか……オッサン……オッサンだよなぁ」
メルト:「おかしな事を言ったでしょうか?」
オルカ:「んーん、間違ってない、間違ってないけど、あはははっ」
カルマ:「丁度飯が来た(意気消沈)、食ったら劇場行こうな(落ち込んで)」
メルト:「そうですね、すごく美味しそうです」
オルカ:「あはははっ」
カルマ:「笑いすぎだ、目の前の料理が見えないのか?」
オルカ:「だって、だってぇええ、あはははっ!!うぷっ(ミートスパゲッティに顔面から突っ込む)」
カルマ:「笑いすぎてミートスパゲッティに顔面から突っ込みやがった」
メルト:「このコーヒー美味しいですね」
カルマ:「大丈夫か?生きてるか?」
オルカ:「……今凄く死にたい」
カルマ:「だろうな」
メルト:少し賑(にぎ)やかな食事に、不本意ながら少しだけ、ほんの少しだけ、ロンドンが好きになってしまった
メルト:エレベーターの扉が開くとカルマと名乗っていた元軍人が少女に迫っていた
オルカ:「け、結構です!!」
カルマ:「そう言わずにさ」
メルト:「何をしているのですか?」
オルカ:「た、助けてくださいっ!この男性が急に!!」
カルマ:「おいおいおい、俺はただ道を尋(たず)ねただけだぜ?」
メルト:「どう見てもそうは見えませんでした」
カルマ:「信用ねーなー」
オルカ:「この人おかしいですよ!急に私の家を聞いてきたんです!」
メルト:「……カルマさん、自首してください」
カルマ:「悪いな、俺は取り締まる側の人間だ」
メルト:「最低ですね」
オルカ:「私はもう…終わりです」
カルマ:「あーそんな目で俺を見るな」
メルト:「心底、軽蔑(けいべつ)します」
カルマ:「誤解だ誤解」
メルト:「何が誤解だと言うんですか?」
カルマ:「お前も人を見る目がないなぁー」
メルト:「この後に及んで!」
カルマ:「まった、ストップ、それは演技だ演技、悪ふざけもいい加減にしろよオルカ」
メルト:「……?」
オルカ:「えへっ、ごめんなさい」
メルト:「演技…だったのですか?」
オルカ:「カルマに対する日頃の仕返しに巻き込んでしまってごめんなさい」
メルト:「えーと」
カルマ:「この女はオルカ、オペラ座の看板女優だ」
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0:「喜劇の協奏曲」
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オルカ:「初めまして、オルカと申します、純粋な貴女を弄(もてあそ)んでしまった事、謝罪いたします」
メルト:「…そういうことであれば」
カルマ:「そう拗(す)ねるな」
メルト:「拗(す)ねていません!」
オルカ:「カルマぁ、この子可愛いわ!私に頂戴(ちょうだい)!!」
カルマ:「やらねぇよ、こんなんでも始末屋だ、ロンドンではアリスの客だ…この意味がわかるな?」
オルカ:「はーい、残念だけど勧誘(かんゆう)はロンドンを出た後にするわ」
カルマ:「諦めねぇのかよっ!?」
メルト:「私はメルトです、今は依頼遂行(いらいすいこう)につき、一切の私情(しじょう)を持ち合わせておりません」
オルカ:「それでもいいわ!ねぇカルマ!この後劇場に来るんでしょ?」
カルマ:「ああそうだよ、だから呼んだんだ」
オルカ:「この子も一緒に?」
カルマ:「そうなるな、当分はこいつが俺の相棒(あいぼう)だ」
オルカ:「そうなのね!じゃあ早速(さっそく)行きましょう!!」
カルマ:「ちょっと待て!その前に…メルトお前、腹空いてないか?」
メルト:「っ!?それは…少し空いています」
カルマ:「という訳で劇場に行く前に飯だ、いつものところに行くぞ」
オルカ:「もしかして奢(おご)ってくれるの?」
カルマ:「ばーか、奢(おご)るのはメルトだけだ」
オルカ:「けちー」
カルマ:「お前が今度俺とデートするってんなら彼女枠として奢(おご)ってもいいぞ」
オルカ:「残念でした、私、そんなに安い女じゃないの!」
カルマ:「つれないねぇ」
メルト:「仲が良いんですね」
オルカ:「そうね、私が見習い時代からの仲だもんねー」
カルマ:「こいつは見てくれこそ良いが、中身は恐ろしい怪物だ」
オルカ:「ひっどーい!」
メルト:「羨(うらや)ましいです」
カルマ:「ほら行くぞっ!急がないと席が埋(う)まる」
オルカ:「えー急がなくても私がいれば顔パスよ!!」
カルマ:「目立ちたく無いんだよ!察しろっ!!」
オルカ:「せっかくメルトちゃんにカッコイイ私を見せるプランがぁ」
カルマ:「もう出落ちしてるんだよ!大人しくしてろっ!!」
メルト:「ふふふっ」
カルマ:「…笑えんのかよ」
オルカ:「笑ったオルカちゃんかっわぃいいいいいい」
メルト:「あっ、ちょっ、抱きつかないでください、やめてください」
カルマ:「いいのよ、安心してお姉さんに頼りなさい」
メルト:「そういう訳には」
オルカ:「……」
メルト:「カルマさんも助けてください!」
カルマ:「おうおう、仲がいい事で」
メルト:「歩きずらいです!離れてください!」
カルマ:「じゃあ着いてこいよ、はぐれたら…オルカに食われるぞ(笑いながら)」
オルカ:「うふふふふっ」
メルト:「ひっ!?」
オルカ:「メルトちゃんなら…いいわよ?」
メルト:私は戦場で死にかけた時と同じ恐怖を感じた
メルト:カルマから離れないように死に物狂(ものぐる)いで着いていく、カルマの近くにしか、私の安全地帯(セーフゾーン)がないっ!?
0:(少しの間)
0:食堂にて
オルカ:「大丈夫か?」
メルト:「大丈夫です問題ありません」
オルカ:「残念、せっかくメルトちゃんを食べれるチャンスだったのにぃ」
メルト:「この人、本当に看板女優なんですか?」
カルマ:「残念な事に真実だ、俺はいつものを注文するが…お前らはどうする?」
オルカ:「私はこのミートスパゲティ」
カルマ:「相変わらずの子供舌(こどもじた)だなぁ」
オルカ:「いいのよ、食べ物なんて食べられればなんでも、どうせ着飾(きかざ)っても人なんてみんな同じよ」
カルマ:「はいはい、メルトはどうする?」
メルト:「私はパンとコーヒーを頂ければそれで」
カルマ:「中年かよ、いや、軍人ならそうもなるか?」
オルカ:「甘いものは嫌い?」
メルト:「…好きではありません」
カルマ:「へぇ、そういう感じね」
オルカ:「そっかぁ、せっかく美味しいデザートがあったんだけど…また今度にするわ」
メルト:「申し訳ありません」
オルカ:「いいのいいの!私のお節介だからっ!」
カルマ:「ちょっと席を外す、ついでに注文してくるから二人でごゆっくりぃ」
メルト:「カルマさんっ!?」
カルマ:「大丈夫だ、公共の場では大人しい……筈だ」
メルト:「……」
オルカ:「メルトちゃん……肌が綺麗(きれい)ね」
メルト:「何処が大人しいんでしょうかっ!?」
オルカ:「あははっ、ジョーダンジョーダン」
メルト:「本当に…ですか?」
オルカ:「そう警戒しないで、私も昔の事を思い出してしまって、はしゃぎすぎたわ」
メルト:「昔ですか?」
オルカ:「ええ、私には妹がいたの…仲のいい姉妹でいつも、どこへ行くのにも一緒にだった」
メルト:「今はいないのですか?」
オルカ:「そうね、数年前の戦争に巻き込まれて死んでしまったわ」
メルト:「……それは……」
オルカ:「別に軍人を恨(うら)んだり、目の敵(かたき)に思ったりしないわ……貴方がどこでどの形で戦争に加担(かたん)したかを聞くつもりは無いしね」
メルト:「……そうですか」
オルカ:「でもね、もしも私が心の内をぶつける相手がいるとしたら…カルマだけなの」
メルト:「カルマさん……ですか?」
オルカ:「仲が良いように見えるでしょ?でも心の中で彼に銃口(じゅうこう)を向けているの……この先、聞きたい?」
メルト:「……私には優先すべき事がありますので」
オルカ:「そうよね、今のは秘密よ?」
メルト:「はい」
カルマ:「おいおい、密談(みつだん)とは仲のいい事で」
メルト:「……」
カルマ:「オルカ」
オルカ:「何かしら?」
カルマ:「あまり踏み込むな、いや…引き込むな」
オルカ:「……そうね、ここまでにするわ」
メルト:「そういえば、劇場というのはどのような場所なのでしょうか?」
オルカ:「劇場に興味があるのっ!?」
メルト:「いままで、そういった施設(しせつ)に縁がありませんでしたので」
カルマ:「とにかく眠くなる所だ」
オルカ:「ちょっとカルマっ!!変な先入観吹き込まないで!」
カルマ:「俺個人の感想を言ったまでだ」
オルカ:「本当に芸術が分からない男ね!そんなんだから女性に振られるのよ!」
カルマ:「それは関係なだろっ!?」
オルカ:「大ありよ!本当に空気読めないんだから!!」
カルマ:「なっ!?それを言ったらお前だって!」
メルト:「静かにしてください!!」
カルマ:「お、おう…そんな大声出るんだな」
オルカ:「ごめんなさい」
メルト:「ここは食事の場です、他の方々にもご配慮(はいりょ)ください」
カルマ:「わるい、気をつける」
オルカ:「私も反省するわ……劇場だったわよね、劇は見た事あるかしら?」
メルト:「一度だけ」
オルカ:「それはどんな劇だった?」
メルト:「双子の少年と少女が居て、魔女を倒して家に帰る…という劇でした」
オルカ:「ヘンゼルとグレーテルかしら?童話ベースの劇も珍しくないけれど、劇場で行うのは壮大(そうだい)な物語よ!」
メルト:「イメージがつきません」
オルカ:「そうよねぇ」
カルマ:「まぁ東洋には百聞は一見にしかずという言葉がある、聞くより己の目で見て知ることだな」
メルト:「そうですね…気になっていたのですが…カルマさんは東洋が好きなのですか?」
カルマ:「べつにそういうわけじゃねーよ」
オルカ:「カルマの祖父が東洋人でそういう知識を教え込まれたらしいわ」
カルマ:「ほんとやりずれぇなぁ」
オルカ:「勿体(もったい)ぶるのは悪い癖よ?秘密がひきたてるのは女性だけなの!男性の秘密なんて女々しいだけじゃない」
カルマ:「うぐっ……くそっ、言っとけ」
メルト:「そうですか、私も東洋には一度行ってみたいのです」
オルカ:「何か思い入れでもあるの?」
メルト:「私のこの世で最も敬愛(けいあい)するお方が東洋人なのです」
オルカ:「ほほーう、恋する乙女ね」
メルト:「いやっ、ちがっ!?これは単に尊敬(そんけい)するお方の道程(ルーツ)を知りたいという好奇心(こうきしん)であって、それ以上でもそれ以下でも無くてですね、私はあの方の代理として今後動く以上は同じ評価を求められるのは当然でして!」
カルマ:「支離滅裂(しりめつれつ)になってるぞ、落ち着け」
メルト:「はっ!?…お見苦しい姿をお見せしました」
オルカ:「若いっていいわねぇ」
カルマ:「歳なんてそう変わらないだろう」
オルカ:「……そうね、私とメルトちゃんは変わらないわね」
カルマ:「俺だけ省(はぶ)くな」
オルカ:「見た目はもうオッサンよ?」
カルマ:「老け顔なんだよ!貫禄(かんろく)があるって言え!」
オルカ:「…んー」
カルマ:「なんだよ?」
メルト:「一回りは違うと思っていました」
カルマ:「なっ!?」
オルカ:「あはははっ!ひーひー!お腹痛いぃいい」
カルマ:「そう…か…そうだったのか……オッサン……オッサンだよなぁ」
メルト:「おかしな事を言ったでしょうか?」
オルカ:「んーん、間違ってない、間違ってないけど、あはははっ」
カルマ:「丁度飯が来た(意気消沈)、食ったら劇場行こうな(落ち込んで)」
メルト:「そうですね、すごく美味しそうです」
オルカ:「あはははっ」
カルマ:「笑いすぎだ、目の前の料理が見えないのか?」
オルカ:「だって、だってぇええ、あはははっ!!うぷっ(ミートスパゲッティに顔面から突っ込む)」
カルマ:「笑いすぎてミートスパゲッティに顔面から突っ込みやがった」
メルト:「このコーヒー美味しいですね」
カルマ:「大丈夫か?生きてるか?」
オルカ:「……今凄く死にたい」
カルマ:「だろうな」
メルト:少し賑(にぎ)やかな食事に、不本意ながら少しだけ、ほんの少しだけ、ロンドンが好きになってしまった