台本概要

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タイトル 恋する乙女の理想の恋
作者名 瓶の人  (@binbintumeru)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 4人用台本(男2、女2)
時間 20 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 恋がしたい!
いつもと同じように部室に響き渡る声
だけど今日は少しいつもと違うようで…?

※注意事項
●過度なアドリブ、改変をしたい場合(キャラクターの性転換、セリフを丸々変える等)はご連絡下さい。
●男性が女性キャラを女性として、女性が男性キャラを男性として演じる際や語尾等の軽微な改変はご連絡不要です。
●配信等でご利用される場合は、可能であれば作者名、作品名、掲載サイトのURLを提示して頂けると幸いです。
●全力で楽しんで下さると幸いです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
畠山 82 畠山(はたけやま)高校3年生 校内でも美女認定される容姿をしているが、言動は残念と言われる残念系美女
土田 66 土田(つちだ)高校1年生 いつも眠そうにしている自堕落系男子 クールに見え怖そうに見えるがただ単に眠いだけ
品森 47 品森(しなもり)高校2年生 見た目は派手な陽キャギャル 勉強も運動もでき誰にでも分け隔てなく接する優しい子
野木 51 野木(のぎ)高校2年生 校内恋人にしたくないランキング1位を獲得した残念男子 低身長である事を気にしている
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:とある部室、大きく息を吸う 畠山:「恋がしたい!」 野木:「しーちゃんしーちゃん、これおいしいよ食べる?。」 品森:「あ、それ今日発売のトッキーのカンガルー味じゃん!食べる食べる!」 土田:「……。(寝てる)」 畠山:「……。」 野木:「どう?美味しくない?」 品森:「ちょっと癖あるけど美味しいね。」 土田:「……。(寝てる)」 0:再び大きく息を吸う 畠山:「恋がしたいっ!!!」 野木:「うっるさ…なんすか部長…」 品森:「いやぁ~いつにもまして、気合の入った恋したい宣言ですね~。」 畠山:「だって恋がしたいんだもん!!アタシは高3で今年卒業なんだよ!?なのに今まで彼氏いないってなんで!?」 野木:「なんでって言われてもねぇ…」 品森:「でも受験に専念できるからいいんじゃないですか?」 土田:「………。(寝てる)」 野木:「そうそう、それに大学で彼氏作ればよくないですか?」 畠山:「やだ!いま作りたいの!いま彼氏を作れば受験にも身が入るってものでしょ!」 野木:「いやむしろ恋愛に身が入りすぎて受験失敗するんじゃ…」 畠山:「アタシがそんな女に見えるの?」 品森:「毎日、恋がしたい!って叫んでる人の事がそう見えないわけが…」 畠山:「というわけで!今からアタシが、どうやれば彼氏ができるかアンタ達にも考えてもらうわよ!」 野木:「え、なんでそうなるんですか!?」 品森:「えぇ…面倒くさい…」 畠山:「今なんか言った?品森?」 品森:「いえなんでも。」 畠山:「ほら、土田も起きて手伝いなさい!!」 土田:「……うぇ…?」 0: 0: 0: 品森:「それで部長、どうすればいいんですか?」 畠山:「それを考えていくんじゃない。」 品森:「ええ~…」 野木:「えっと、じゃあまず部長が誰かと付き合うとしたら相手に何を求めます?」 畠山:「アタシが相手に求めるもの…そうね… 畠山:「身長が180以上で、目がパッチリ二重で、イケボで、自分の趣味よりもアタシを優先してくれて、アタシの欲しい物は買ってくれて、困ってたら絶対助けてくれて… 畠山:あ!でも他の女の子には優しくしすぎないでほしいわね!私の事だけを見てほしいから!それにそれに運動ができて、勉強は最低でもアタシより出来ててくれないと困るわね!それでそれで…!」 野木:「ストップストッーーープ!!」 畠山:「うるさいわね、なによ野木。」 野木:「いくらなんでも要求するものが多すぎます部長!」 品森:「求めるものが多いと将来ぼっち確定しちゃいますよ。」 畠山:「ええ…でも~。」 野木:「でも~、じゃないです!ったく、ほら、つっちーもなにか言ってやってくれよ。」 土田:「…んー、まあ部長は美人だし頭もいいし…釣り合う相手ならそれくらい仕方ないんじゃ…」 畠山:「ほっらっね!」 野木:「あぁ……つっちーに聞いた俺がバカだった…」 土田:「…?」 野木:「とにかく!もう少し妥協してください、本当に恋がしたいなら妥協も大事です!」 畠山:「なによ、わかったわよもう…んー…そうねえ…やっぱり優しさって大事よね。あとは身長は譲れないわ!」 品森:「優しい男の子っていいですよねぇ。」 野木:「例えば俺とか?」 品森:「うるさい静かにして。」 野木:「ひどいっ!」 品森:「えっと、じゃあ相手に求めるものは決めましたし…他になに決めるんですか?」 畠山:「そうね、恋に落ちるきっかけが欲しいわね!」 品森:「きっかけ?」 野木:「きっかけとは?」 畠山:「ほらあれよ、少女漫画とかにあるじゃない!『いっけなーい!遅刻遅刻ぅ~!』的なやつよ!」 土田:「ああ…食パン咥えてるあれ…」 品森:「あれ…ですか…」 畠山:「やっぱりきっかけって大事じゃない?きっかけがないと素敵な恋は始まらないのよ!」 野木:「きっかけって考えるものなんですかね…」 品森:「多分違うと思う…」 畠山:「何か言った?」 品森:「いえ、なにも。」 畠山:「さあ、一緒に考えてもらうわよ!」 土田:「…考えるって…どうするんですか?」 畠山:「そうね、色んなシチュエーションを考えてひとつひとつ試していきましょう。」 野木:「んー、部長の理想のシチュエーションってあるんですか?」 畠山:「よく聞いてくれました!もっちろんあるわよー!」 品森:「まあ、毎日恋したいって叫んでる人ですもんね。これでなかったらびっくりです。」 野木:「じゃあまずは、部長のをやりましょうか。」 品森:「変なのじゃなきゃいいけど…」 畠山:「何かいった?」 品森:「いえ何も。」 野木:「えっとそれじゃあ、部長の理想のシチュエーションを教えてください。」 畠山:「そうねえ、私の理想のシチュエーションはねぇ… 畠山:下校中、たまたま想い人と一緒になってそのまま隣り合わせで歩く帰り道。最初こそは楽しく会話してたけど家が近くになるにつれてお互いの口数が減ってくるの… 畠山:そして私の家の前に着いたときに彼は硬く閉じていた口を開いてこういうの。『これからもよかったら…一緒に帰っていいかな?』って… 畠山:どう!?最高じゃない!?」 品森:「おお…意外といいかも。」 土田:「…部長…めっちゃ興奮してますね…」 野木:「これが部長の理想のシチュエーションなんですね…でもこれって告白というには曖昧なものですけど…」 畠山:「それがいいんじゃない!ここから2人の恋の物語が始まっていくのよ!分かってないわね野木、だからモテないのよ。」 野木:「そこまで言わなくても良くない!?」 畠山:「私は1回も男の子と2人きりで帰ったことなくてね、こういういい感じの雰囲気にもなったこともないからすっごく憧れるの。」 野木:「小学生の頃もないんですか?」 畠山:「ないわよ…悪い?」 野木:「あぁ、いえ。そうなんですね…」 品森:「それじゃ、こういう少女漫画的な展開に憧れるのもわかりますね。」 野木:「しーちゃんは?こういうのに憧れる?」 品森:「まあ、私も女の子だからね。」 土田:「へぇ…意外。」 品森:「意外ってなんだよー!」 野木:「えーっと、それで案を出してもらいましたけども…このあとどうしましょうか。」 土田:「シチュエーションを考えるって言っても、考えただけじゃ意味ないですよね。」 品森:「んー確かに…」 畠山:「そうだわ!予行練習しましょ!いざって時のために練習しておけばチャンスを無駄にしなくて済むわ!」 品森:「えっ予行練習!?」 野木:「そんなのした所で意味ないんじゃ…」 畠山:「何か言った?」 野木:「いや…なにも…」 畠山:「これは部長命令よ!私の彼氏獲得の為に付き合いなさい!」 土田:「…2人共…諦めて従おう。」 畠山:「それじゃ……土田!アンタが私の想い人役ね!」 土田:「え、僕ですか…?」 畠山:「だってアンタ身長180あるでしょ?野木は小さいし理想の彼氏像とかけ離れてるからね。論外よ論外。」 野木:「ひどい!そんなに言わなくたっていいじゃないですかあ!!」 品森:「おーよしよし、泣かなくても大丈夫だよ野木くん。」 野木:「しーちゃん…」 品森:「男は身長じゃないからね!分かってるよぉー。」 野木:「しーちゃぁあん!」 品森:「ちなみに、野木くんは私の理想の彼氏像ともかけ離れてるから、アウトオブ眼中!」 野木:「……女なんて…」 畠山:「さ、野木の事は放っておいて進めるわよ。さっきの私のシチュエーションに当てはめていくと…想い人役の土田はたまたまアタシと下校時間が重なってそのまま隣り合わせで歩く。 畠山:そしてだんだん無言の時間が多くなって気づいたらアタシの家の前に着いてる…そこで土田が一言…って流れよ!わかった?」 土田:「…まあ、はいわかりました。」 畠山:「それじゃ、準備はいいかしら?」 土田:「はい、大丈夫です。」 品森:「土田くんファイト!」 畠山:「はじめるわよ!」 野木:「…女…なんて…」 0: 0: 0:畠山、土田演技中。畠山はコテコテの芋演技 畠山:『あら…もうこんな時間…遅くならないうちに早く帰らなきゃ。』 土田:『…あれ、畠山…さん?』 畠山:『え?つ、土田くん?』 土田:『…畠山さん今帰りなの?』 畠山:『う、うんそうなんだ部活で遅くなっちゃって…土田くんも今帰るところ?』 土田:『そうだよ、よかったら…一緒に帰ろうよ家まで送るよ。』 畠山:『あ、ありがとう…じゃあおねがいします…』 品森:「部長…すっごい棒演技…」 土田:『…そういえば畠山さんって進学だったよね?もう受けるところは決まったの?』 畠山:『え?うん、都内の大学に行こうかなって。』 土田:『そっか…畠山さんは頭いいからなあ…』 畠山:『土田くんは…確か就職だったよね?』 土田:『うん、そうだよ。』 畠山:『将来どうするか決まってるの?』 土田:『いや………僕は何もまだ決まってないよ。』 畠山:『そうなんだ…』 土田:『うん…』 畠山:『……。』 土田:『…。』 畠山:『…あ…家、着いたから…ありがとね土田くん。』 土田:『え……うん、それじゃあ…ね畠山さん。』 畠山:『うん、また学校で…』 土田:『…………畠山さん…!!』 畠山:『え、あ、土田くん?』 土田:『その、こ、これからも…さ、こうして一緒に帰ってもいいかな…?』 畠山:『っ!!うん、もちろん…!!』 0:素に戻る畠山 畠山:「ふふ、なかなかいい演技するじゃない土田!アンタ役者向いてるかも…」 0:まっすぐな目で畠山を見つめる土田 土田:「僕と付き合っていただけませんか?畠山さん。」 畠山:「え?あっははは、土田?もういいのよ?」 土田:「いえ、今は役のセリフではなく僕自身の気持ちです。」 畠山:「へ?…つ、土田?あ、ははは……あ、アンタも冗談言うのね…」 品森:「…どうしちゃったのかな土田くん…」 土田:「すみません、いきなりでしたよね…でも冗談なんかじゃないです。本当に部長の事がずっと好きだったんです。」 畠山:「へ?へ?い、いやいや…そんな…え?」 品森:「土田くんそうだったんだ…いつも眠そうにしてるしあんま話さないから気付かなかった…」 0:ぬっとあらわれる野木 野木:「俺は気づいていたぞ。」 品森:「うわ、生き返った。」 野木:「勝手に殺すなっ。」 土田:「僕は中学生の頃、物事に対して熱意を持てなくてそのまま高校に上がって来ました。 土田:高校では頑張ろうって、何か打ち込めるものを見つけようって思ったんです。でもやっぱり何に対しても熱意を持てなくて…でもそんな時に部長に出会ったんです。 土田:部長がこの部活の勧誘で僕に話しかけてくれたとき、部長の全てに惹かれてしまったんです。一目惚れでした。 土田:部長の力強くまっすぐに見つめてくる目、長くて綺麗な黒髪、元気で明るい声…何に対しても熱を持てなかった僕が部長に対してこんなにも熱く思える… 土田:部長が僕を変えてくれたんです。僕はこれからも部長の傍に居たい、貰った以上に僕も何かお返しをしたいんです!だから僕と付き(あって下さい)……」 畠山:「あーーーーーーー!!もういいもういい!!もう言わなくていいから!恥ずかしいからやめてえええ!!」 品森:「へー…土田くんってこんな情熱的に喋るんだ。」 野木:「人は見かけによらないもんだなあ。」 畠山:「つ、つまり土田はアタシにその…ほ、惚れて…し、し、しまったわけね…!そ、そそ、そういうわけね!」 土田:「はい、一目惚れしました。」 畠山:「~~~っ!!!」 品森:「あ、部長照れてる。」 野木:「まぁ、あんなまっすぐな目であんなこと言われたらなあ。」 品森:「部長可愛いなぁ。」 野木:「ねぇー?可愛いねぇー?」 畠山:「あ、あ、ああアナタ達うるさいわよ!」 土田:「あの、部長。」 畠山:「っ!?な、なによ!」 土田:「僕の告白の返事は今聞かせてもらえるんですか?」 畠山:「うっ…その…急すぎて…ちょっとまって…もらえるかしら…?」 土田:「今聞かせてください。」 畠山:「うう…あの…」 野木:「つっちー。さすがにまだ混乱してるだろうからさ、待ってあげよう。」 土田:「…そっか…そうですよね。ごめんなさい部長。」 畠山:「アタシこそ、すぐに答えられなくてごめんね…」 土田:「いえ、そんな。」 0:下校を促す放送が流れる 品森:「あ、もう下校の時間ですよ!」 畠山:「そ、そうね!きょ、今日はもう解散!さっさと帰るわよ皆!」 土田:「あ、部長。」 畠山:「な、なに?」 土田:「一緒に帰ってもいいですか?」 0: 0:一緒に下校する土田、畠山 0: 土田:「……。」 畠山:「…。」 畠山:「ね、ねえ土田…」 土田:「はい、なんですか?」 畠山:「どうしてあのタイミングで…その、告白したの?」 土田:「…そう、ですね……なんででしょう?」 畠山:「あのね…アタシが知りたいのよ…」 土田:「……まあ、好きが溢れたんだと思います。」 畠山:「なっ!またアンタはそういう…!」 土田:「もし部長が理想なシチュエーションを迎えて、理想な他の男の人と恋仲になってしまったらって考えたら勝手に口が動いてました…」 畠山:「……そんな事ありえないわよ…」 土田:「そうなんですけど…でも分からないじゃないですか。誰にも部長を渡したくないんです。」 畠山:「アナタ…分かっててやってるの…?」 土田:「何がです?」 畠山:「もう…アナタは…」 土田:「えっと…すみません。」 0:再び無言になる 畠山:「……。」 土田:「……。」 畠山:「…えっと、家に着いたから…その、ありがとね送ってくれて。」 土田:「あ、いえ。」 畠山:「それじゃ、また学校でね土田。気をつけて帰りなさいね。」 土田:「あの、部長。」 畠山:「…ん?」 土田:「時々でいいので…またこうして…」 畠山:「これからも一緒にアタシと帰ること。」 土田:「…え?」 畠山:「いい?勝手に1人で帰るとか許さないんだから、わかった?」 土田:「え、それって…」 畠山:「返事は?」 土田:「……はいっ!!」 0: 0: 0:次の日部室 野木:「んで?あの後どうなったわけ?」 土田:「…どうって?」 野木:「部長とのことだよー!無事お付き合いできたん?」 土田:「え?あー…」 品森:「どうだったの?」 土田:「…たぶんまだ付き合ってない…と思う。」 野木:「多分って何よ多分って。」 土田:「告白の返事はされませんでした。」 野木:「ありゃー、そっかー。」 品森:「まー、時間欲しいって部長言ってたしねー。」 土田:「あ、でも毎日一緒に帰るって約束はしました。」 品森:「おお!」 野木:「おっ?それはもうほぼ確定なのでは…?」 品森:「恋人まで秒読みなんじゃない?」 土田:「そう…なんですかね?」 野木:「いやぁ、2人を見守ってきて良かったわい。」 品森:「恋を求める乙女がようやく恋する乙女になったわけだね。」 野木:「なんだろう、娘を嫁に出した親の気持ちみたいだよ。父親ってこんな感じなのかな…」 品森:「私も、姉がお嫁に行ったような気持ちだよ…」 土田:「何を言ってるんだ…この人達は…」 畠山:「誰がなんですって?」 野木:「ぶ、部長!」 品森:「あ、お疲れ様です部長~。」 土田:「…お疲れ様です。」 野木:「お、お疲れ様ですぅ部長ぅ~~。」 畠山:「…何をニヤついてるのよ野木…気持ち悪いわね。」 野木:「いんやあ~?やっと部長も乙女になったんだなって。」 畠山:「どういう意味よ?てかめちゃくちゃ気持ち悪いわよその顔…」 品森:「気持ち悪いよ野木くん…」 土田:「気持ち悪いですよ、先輩。」 野木:「…はうっ…」 畠山:「さて、野木は放っておいて…今日も元気よく、部活をはじめていくわよ!皆、準備はいい?」 品森:「はーい!」 野木:「…ひゃい。」 土田:「…はいっ。」 畠山:「土田。」 土田:「…なんですか?」 畠山:「今日の帰りも…その、よろしくね…。」 土田:「っ!もちろん、喜んで…!」  :   :   : 

0:とある部室、大きく息を吸う 畠山:「恋がしたい!」 野木:「しーちゃんしーちゃん、これおいしいよ食べる?。」 品森:「あ、それ今日発売のトッキーのカンガルー味じゃん!食べる食べる!」 土田:「……。(寝てる)」 畠山:「……。」 野木:「どう?美味しくない?」 品森:「ちょっと癖あるけど美味しいね。」 土田:「……。(寝てる)」 0:再び大きく息を吸う 畠山:「恋がしたいっ!!!」 野木:「うっるさ…なんすか部長…」 品森:「いやぁ~いつにもまして、気合の入った恋したい宣言ですね~。」 畠山:「だって恋がしたいんだもん!!アタシは高3で今年卒業なんだよ!?なのに今まで彼氏いないってなんで!?」 野木:「なんでって言われてもねぇ…」 品森:「でも受験に専念できるからいいんじゃないですか?」 土田:「………。(寝てる)」 野木:「そうそう、それに大学で彼氏作ればよくないですか?」 畠山:「やだ!いま作りたいの!いま彼氏を作れば受験にも身が入るってものでしょ!」 野木:「いやむしろ恋愛に身が入りすぎて受験失敗するんじゃ…」 畠山:「アタシがそんな女に見えるの?」 品森:「毎日、恋がしたい!って叫んでる人の事がそう見えないわけが…」 畠山:「というわけで!今からアタシが、どうやれば彼氏ができるかアンタ達にも考えてもらうわよ!」 野木:「え、なんでそうなるんですか!?」 品森:「えぇ…面倒くさい…」 畠山:「今なんか言った?品森?」 品森:「いえなんでも。」 畠山:「ほら、土田も起きて手伝いなさい!!」 土田:「……うぇ…?」 0: 0: 0: 品森:「それで部長、どうすればいいんですか?」 畠山:「それを考えていくんじゃない。」 品森:「ええ~…」 野木:「えっと、じゃあまず部長が誰かと付き合うとしたら相手に何を求めます?」 畠山:「アタシが相手に求めるもの…そうね… 畠山:「身長が180以上で、目がパッチリ二重で、イケボで、自分の趣味よりもアタシを優先してくれて、アタシの欲しい物は買ってくれて、困ってたら絶対助けてくれて… 畠山:あ!でも他の女の子には優しくしすぎないでほしいわね!私の事だけを見てほしいから!それにそれに運動ができて、勉強は最低でもアタシより出来ててくれないと困るわね!それでそれで…!」 野木:「ストップストッーーープ!!」 畠山:「うるさいわね、なによ野木。」 野木:「いくらなんでも要求するものが多すぎます部長!」 品森:「求めるものが多いと将来ぼっち確定しちゃいますよ。」 畠山:「ええ…でも~。」 野木:「でも~、じゃないです!ったく、ほら、つっちーもなにか言ってやってくれよ。」 土田:「…んー、まあ部長は美人だし頭もいいし…釣り合う相手ならそれくらい仕方ないんじゃ…」 畠山:「ほっらっね!」 野木:「あぁ……つっちーに聞いた俺がバカだった…」 土田:「…?」 野木:「とにかく!もう少し妥協してください、本当に恋がしたいなら妥協も大事です!」 畠山:「なによ、わかったわよもう…んー…そうねえ…やっぱり優しさって大事よね。あとは身長は譲れないわ!」 品森:「優しい男の子っていいですよねぇ。」 野木:「例えば俺とか?」 品森:「うるさい静かにして。」 野木:「ひどいっ!」 品森:「えっと、じゃあ相手に求めるものは決めましたし…他になに決めるんですか?」 畠山:「そうね、恋に落ちるきっかけが欲しいわね!」 品森:「きっかけ?」 野木:「きっかけとは?」 畠山:「ほらあれよ、少女漫画とかにあるじゃない!『いっけなーい!遅刻遅刻ぅ~!』的なやつよ!」 土田:「ああ…食パン咥えてるあれ…」 品森:「あれ…ですか…」 畠山:「やっぱりきっかけって大事じゃない?きっかけがないと素敵な恋は始まらないのよ!」 野木:「きっかけって考えるものなんですかね…」 品森:「多分違うと思う…」 畠山:「何か言った?」 品森:「いえ、なにも。」 畠山:「さあ、一緒に考えてもらうわよ!」 土田:「…考えるって…どうするんですか?」 畠山:「そうね、色んなシチュエーションを考えてひとつひとつ試していきましょう。」 野木:「んー、部長の理想のシチュエーションってあるんですか?」 畠山:「よく聞いてくれました!もっちろんあるわよー!」 品森:「まあ、毎日恋したいって叫んでる人ですもんね。これでなかったらびっくりです。」 野木:「じゃあまずは、部長のをやりましょうか。」 品森:「変なのじゃなきゃいいけど…」 畠山:「何かいった?」 品森:「いえ何も。」 野木:「えっとそれじゃあ、部長の理想のシチュエーションを教えてください。」 畠山:「そうねえ、私の理想のシチュエーションはねぇ… 畠山:下校中、たまたま想い人と一緒になってそのまま隣り合わせで歩く帰り道。最初こそは楽しく会話してたけど家が近くになるにつれてお互いの口数が減ってくるの… 畠山:そして私の家の前に着いたときに彼は硬く閉じていた口を開いてこういうの。『これからもよかったら…一緒に帰っていいかな?』って… 畠山:どう!?最高じゃない!?」 品森:「おお…意外といいかも。」 土田:「…部長…めっちゃ興奮してますね…」 野木:「これが部長の理想のシチュエーションなんですね…でもこれって告白というには曖昧なものですけど…」 畠山:「それがいいんじゃない!ここから2人の恋の物語が始まっていくのよ!分かってないわね野木、だからモテないのよ。」 野木:「そこまで言わなくても良くない!?」 畠山:「私は1回も男の子と2人きりで帰ったことなくてね、こういういい感じの雰囲気にもなったこともないからすっごく憧れるの。」 野木:「小学生の頃もないんですか?」 畠山:「ないわよ…悪い?」 野木:「あぁ、いえ。そうなんですね…」 品森:「それじゃ、こういう少女漫画的な展開に憧れるのもわかりますね。」 野木:「しーちゃんは?こういうのに憧れる?」 品森:「まあ、私も女の子だからね。」 土田:「へぇ…意外。」 品森:「意外ってなんだよー!」 野木:「えーっと、それで案を出してもらいましたけども…このあとどうしましょうか。」 土田:「シチュエーションを考えるって言っても、考えただけじゃ意味ないですよね。」 品森:「んー確かに…」 畠山:「そうだわ!予行練習しましょ!いざって時のために練習しておけばチャンスを無駄にしなくて済むわ!」 品森:「えっ予行練習!?」 野木:「そんなのした所で意味ないんじゃ…」 畠山:「何か言った?」 野木:「いや…なにも…」 畠山:「これは部長命令よ!私の彼氏獲得の為に付き合いなさい!」 土田:「…2人共…諦めて従おう。」 畠山:「それじゃ……土田!アンタが私の想い人役ね!」 土田:「え、僕ですか…?」 畠山:「だってアンタ身長180あるでしょ?野木は小さいし理想の彼氏像とかけ離れてるからね。論外よ論外。」 野木:「ひどい!そんなに言わなくたっていいじゃないですかあ!!」 品森:「おーよしよし、泣かなくても大丈夫だよ野木くん。」 野木:「しーちゃん…」 品森:「男は身長じゃないからね!分かってるよぉー。」 野木:「しーちゃぁあん!」 品森:「ちなみに、野木くんは私の理想の彼氏像ともかけ離れてるから、アウトオブ眼中!」 野木:「……女なんて…」 畠山:「さ、野木の事は放っておいて進めるわよ。さっきの私のシチュエーションに当てはめていくと…想い人役の土田はたまたまアタシと下校時間が重なってそのまま隣り合わせで歩く。 畠山:そしてだんだん無言の時間が多くなって気づいたらアタシの家の前に着いてる…そこで土田が一言…って流れよ!わかった?」 土田:「…まあ、はいわかりました。」 畠山:「それじゃ、準備はいいかしら?」 土田:「はい、大丈夫です。」 品森:「土田くんファイト!」 畠山:「はじめるわよ!」 野木:「…女…なんて…」 0: 0: 0:畠山、土田演技中。畠山はコテコテの芋演技 畠山:『あら…もうこんな時間…遅くならないうちに早く帰らなきゃ。』 土田:『…あれ、畠山…さん?』 畠山:『え?つ、土田くん?』 土田:『…畠山さん今帰りなの?』 畠山:『う、うんそうなんだ部活で遅くなっちゃって…土田くんも今帰るところ?』 土田:『そうだよ、よかったら…一緒に帰ろうよ家まで送るよ。』 畠山:『あ、ありがとう…じゃあおねがいします…』 品森:「部長…すっごい棒演技…」 土田:『…そういえば畠山さんって進学だったよね?もう受けるところは決まったの?』 畠山:『え?うん、都内の大学に行こうかなって。』 土田:『そっか…畠山さんは頭いいからなあ…』 畠山:『土田くんは…確か就職だったよね?』 土田:『うん、そうだよ。』 畠山:『将来どうするか決まってるの?』 土田:『いや………僕は何もまだ決まってないよ。』 畠山:『そうなんだ…』 土田:『うん…』 畠山:『……。』 土田:『…。』 畠山:『…あ…家、着いたから…ありがとね土田くん。』 土田:『え……うん、それじゃあ…ね畠山さん。』 畠山:『うん、また学校で…』 土田:『…………畠山さん…!!』 畠山:『え、あ、土田くん?』 土田:『その、こ、これからも…さ、こうして一緒に帰ってもいいかな…?』 畠山:『っ!!うん、もちろん…!!』 0:素に戻る畠山 畠山:「ふふ、なかなかいい演技するじゃない土田!アンタ役者向いてるかも…」 0:まっすぐな目で畠山を見つめる土田 土田:「僕と付き合っていただけませんか?畠山さん。」 畠山:「え?あっははは、土田?もういいのよ?」 土田:「いえ、今は役のセリフではなく僕自身の気持ちです。」 畠山:「へ?…つ、土田?あ、ははは……あ、アンタも冗談言うのね…」 品森:「…どうしちゃったのかな土田くん…」 土田:「すみません、いきなりでしたよね…でも冗談なんかじゃないです。本当に部長の事がずっと好きだったんです。」 畠山:「へ?へ?い、いやいや…そんな…え?」 品森:「土田くんそうだったんだ…いつも眠そうにしてるしあんま話さないから気付かなかった…」 0:ぬっとあらわれる野木 野木:「俺は気づいていたぞ。」 品森:「うわ、生き返った。」 野木:「勝手に殺すなっ。」 土田:「僕は中学生の頃、物事に対して熱意を持てなくてそのまま高校に上がって来ました。 土田:高校では頑張ろうって、何か打ち込めるものを見つけようって思ったんです。でもやっぱり何に対しても熱意を持てなくて…でもそんな時に部長に出会ったんです。 土田:部長がこの部活の勧誘で僕に話しかけてくれたとき、部長の全てに惹かれてしまったんです。一目惚れでした。 土田:部長の力強くまっすぐに見つめてくる目、長くて綺麗な黒髪、元気で明るい声…何に対しても熱を持てなかった僕が部長に対してこんなにも熱く思える… 土田:部長が僕を変えてくれたんです。僕はこれからも部長の傍に居たい、貰った以上に僕も何かお返しをしたいんです!だから僕と付き(あって下さい)……」 畠山:「あーーーーーーー!!もういいもういい!!もう言わなくていいから!恥ずかしいからやめてえええ!!」 品森:「へー…土田くんってこんな情熱的に喋るんだ。」 野木:「人は見かけによらないもんだなあ。」 畠山:「つ、つまり土田はアタシにその…ほ、惚れて…し、し、しまったわけね…!そ、そそ、そういうわけね!」 土田:「はい、一目惚れしました。」 畠山:「~~~っ!!!」 品森:「あ、部長照れてる。」 野木:「まぁ、あんなまっすぐな目であんなこと言われたらなあ。」 品森:「部長可愛いなぁ。」 野木:「ねぇー?可愛いねぇー?」 畠山:「あ、あ、ああアナタ達うるさいわよ!」 土田:「あの、部長。」 畠山:「っ!?な、なによ!」 土田:「僕の告白の返事は今聞かせてもらえるんですか?」 畠山:「うっ…その…急すぎて…ちょっとまって…もらえるかしら…?」 土田:「今聞かせてください。」 畠山:「うう…あの…」 野木:「つっちー。さすがにまだ混乱してるだろうからさ、待ってあげよう。」 土田:「…そっか…そうですよね。ごめんなさい部長。」 畠山:「アタシこそ、すぐに答えられなくてごめんね…」 土田:「いえ、そんな。」 0:下校を促す放送が流れる 品森:「あ、もう下校の時間ですよ!」 畠山:「そ、そうね!きょ、今日はもう解散!さっさと帰るわよ皆!」 土田:「あ、部長。」 畠山:「な、なに?」 土田:「一緒に帰ってもいいですか?」 0: 0:一緒に下校する土田、畠山 0: 土田:「……。」 畠山:「…。」 畠山:「ね、ねえ土田…」 土田:「はい、なんですか?」 畠山:「どうしてあのタイミングで…その、告白したの?」 土田:「…そう、ですね……なんででしょう?」 畠山:「あのね…アタシが知りたいのよ…」 土田:「……まあ、好きが溢れたんだと思います。」 畠山:「なっ!またアンタはそういう…!」 土田:「もし部長が理想なシチュエーションを迎えて、理想な他の男の人と恋仲になってしまったらって考えたら勝手に口が動いてました…」 畠山:「……そんな事ありえないわよ…」 土田:「そうなんですけど…でも分からないじゃないですか。誰にも部長を渡したくないんです。」 畠山:「アナタ…分かっててやってるの…?」 土田:「何がです?」 畠山:「もう…アナタは…」 土田:「えっと…すみません。」 0:再び無言になる 畠山:「……。」 土田:「……。」 畠山:「…えっと、家に着いたから…その、ありがとね送ってくれて。」 土田:「あ、いえ。」 畠山:「それじゃ、また学校でね土田。気をつけて帰りなさいね。」 土田:「あの、部長。」 畠山:「…ん?」 土田:「時々でいいので…またこうして…」 畠山:「これからも一緒にアタシと帰ること。」 土田:「…え?」 畠山:「いい?勝手に1人で帰るとか許さないんだから、わかった?」 土田:「え、それって…」 畠山:「返事は?」 土田:「……はいっ!!」 0: 0: 0:次の日部室 野木:「んで?あの後どうなったわけ?」 土田:「…どうって?」 野木:「部長とのことだよー!無事お付き合いできたん?」 土田:「え?あー…」 品森:「どうだったの?」 土田:「…たぶんまだ付き合ってない…と思う。」 野木:「多分って何よ多分って。」 土田:「告白の返事はされませんでした。」 野木:「ありゃー、そっかー。」 品森:「まー、時間欲しいって部長言ってたしねー。」 土田:「あ、でも毎日一緒に帰るって約束はしました。」 品森:「おお!」 野木:「おっ?それはもうほぼ確定なのでは…?」 品森:「恋人まで秒読みなんじゃない?」 土田:「そう…なんですかね?」 野木:「いやぁ、2人を見守ってきて良かったわい。」 品森:「恋を求める乙女がようやく恋する乙女になったわけだね。」 野木:「なんだろう、娘を嫁に出した親の気持ちみたいだよ。父親ってこんな感じなのかな…」 品森:「私も、姉がお嫁に行ったような気持ちだよ…」 土田:「何を言ってるんだ…この人達は…」 畠山:「誰がなんですって?」 野木:「ぶ、部長!」 品森:「あ、お疲れ様です部長~。」 土田:「…お疲れ様です。」 野木:「お、お疲れ様ですぅ部長ぅ~~。」 畠山:「…何をニヤついてるのよ野木…気持ち悪いわね。」 野木:「いんやあ~?やっと部長も乙女になったんだなって。」 畠山:「どういう意味よ?てかめちゃくちゃ気持ち悪いわよその顔…」 品森:「気持ち悪いよ野木くん…」 土田:「気持ち悪いですよ、先輩。」 野木:「…はうっ…」 畠山:「さて、野木は放っておいて…今日も元気よく、部活をはじめていくわよ!皆、準備はいい?」 品森:「はーい!」 野木:「…ひゃい。」 土田:「…はいっ。」 畠山:「土田。」 土田:「…なんですか?」 畠山:「今日の帰りも…その、よろしくね…。」 土田:「っ!もちろん、喜んで…!」  :   :   :