台本概要
150 views
タイトル | 手記 |
---|---|
作者名 | 桜美さくら (@OMI_SaKuRa0728) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 1人用台本(男1) |
時間 | 20 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
戦時中 一人の男が書いた手記です ※内容に戦争表記があり・男性声推進・アドリブ内容を壊さない程度 150 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
語り手 | 男 | 3 | ・語り手 ・田中源助 ・郵便配達員 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
:
:『 手記 』
:
語り手:皆さん、このお話を聞きに来てくださって、誠に感謝致します。このお話は私の祖母の兄が残した大切なお手紙のお話です。以下、祖母の兄を“源助(げんすけ)さん”と紹介致します。
語り手:源助さんは“特別攻撃隊”と呼ばれる隊に選ばれました。当時はとても栄誉な事で優秀な兵隊しか選出されないと誇らしかったそうです。みなさんに耳なじみがあるのは“特攻隊”の方でしょうか。
語り手:特攻隊と言っても、飛行機や船には・・・そして魚雷にも乗りません。源助さんはわが身ひとつで敵に向かって行く・・・言わば人間爆弾のような部隊に招集されました。
語り手:源助さんの背中には数個の爆弾を積んだ荷物、体には紐でぐるぐる巻きの爆弾が装着されたそうです。
語り手:源助さんの年齢は十七歳だと聞きます。皆さんにとって十七歳は子供であり、まだ年増も行かないと嘆(なげ)かれることでしょう。しかし源助さんの話をする祖母は不思議と悲しそうな表情はなく、どこか誇らしげな顔をしている印象が強かったのです。当時を生きたからこそ、お国の為と信念を持ち戦ったからこその心の在り方であると感じました。
語り手:手記は当時の文章そのままに読んで行きますので、分かりにくい表現や難しい言い回しが出てくるかと思いますが源助さんの心の文字を修正することなく伝えたいと私は思い、皆さんへ声を届ける決意をしました。
:
語り手:それでは戦時中を強く生きた源助さんの手記です。
:
0:ここより源助に成りきっても良し
0:女性の場合は感情のままに読んでも良し
0:この時点で爆弾は身に着けておらず
:
:
私:手記
私:
私:昭和18年6月某日
私:
私:晴天 雲一ツ無シ
私:
私:本日ノ任務
私:
私:
私:敵軍ヘノ特攻
私:
私:
私:我ハ選バレタ
私:
私:天皇陛下ノ為
私:
私:日本国ノ為
私:
私:尊敬スル父上
私:
私:オ優シイ母上
私:
私:我ハ誇ラシイ
私:
私:日本国ノ兵隊トシ
私:
私:特攻デキルコトガ
私:
私:コノ上ナイ勲章
私:
私:
私:有難キ幸セニ涙ガ止マラヌ
私:
私:
私:我ガ生ヲ成シ
私:
私:十三七つト人ハ申スガ
私:(じゅうさんななつ)
私:赤紙ヲ手ニシタ時ヨリ
私:
私:我ノ心ハ決マッテイタ
:
:
0:(これより源助の記憶に入る)
0:
0:赤紙を源助が受け取る
0:
0:配達人「貴様が田中源助だな。」
:
源助:尊敬する親父にも赤紙が来ていた
:
0:配達人「招集だ。」
:
源助:兄貴達も赤紙が来てから
源助:数か月前に家を出て
源助:帰って来ていない
:
0:配達人「時間と場所をしっかり確認するように。」
:
源助:次は自分が行かねば成らぬ日が
源助:やってくるのかと
:
0:配達人「厳守だ。いいな。」
:
源助:体に言い聞かせていた時の一間だった
:
:
:
源助:自分には夢があった
源助:幼き頃より思っていた夢で
源助:勿論今でも実現させたいと
源助:願っているものだ
源助:その為に勉学へも励んできた
:
源助:自分は教師になりたい
源助:誰かに教えを等、自分が
源助:務まるのか分からないが
源助:学びの中で過ごしたかった
:
源助:赤紙が来たからには
源助:全てをお国の為
源助:天皇陛下の加護を受け
源助:日本男児として
源助:これ程まで名誉なことはないと
源助:教わってきた
:
源助:今でもそう思っている
源助:ただ自分が部隊に所属し
源助:お国の為に散る事が
源助:どう足掻いても
源助:分からない時があるのだ
:
源助:お袋は褒めてくださった
源助:胸を張りなさいと
源助:褒めてくださった
:
源助:そんなお袋の瞳には
源助:曇るものがあり
源助:真っすぐ捉えることが
源助:出来ないでいた
:
源助:未来の人間と話せるなら
源助:問うてみたい事がある
源助:日本国はこのまま
源助:突き進んでも平気なのだろうか
源助:また再び川で魚を採り
源助:森のアケビを取れる日が
源助:来るのであろうか
:
源助:自分が見ているのは
源助:今一方の身であると
源助:肝に銘じたはずなのに
源助:余談が過ぎてしまったな
:
源助:手記の続きを書かなければ
:
0:(これより手記)
:
私:ドウカ、オ体二気ヲ付ケ
私:元気デ居テ下サイ
:
0:
語り手:この手記が手元に来た時に思いました。源助さんと直接お話がしてみたかったと。現在を生きるはずだった源助さんは何と私達に言って下さったことでしょう。
語り手:当時、源助さんのお体、そして身に着け居ていたものは何もありません。親族の私達ですら当時の物は何も持っていない中で、この手記と巡り合え嬉しさのあまり、膝から崩れ落ちた事を思い浮かばれます。
語り手:源助さん。今の日本は平和ですよ。川の魚も山のアケビもありますよ。綺麗な海に澄んだ空気・・・先人達の残してくださった物は変えられない事実ですが、巡り巡って今を生きている私達は、とても穏やかな日常を過ごしていますよ。
語り手:皆さん聞いてくださってありがとうございます。心が辛くなる事は重々承知ですが、想いを繋がなくてはと思いました。ありがとうございました。
:
:
:
:(終焉)
:
:『 手記 』
:
語り手:皆さん、このお話を聞きに来てくださって、誠に感謝致します。このお話は私の祖母の兄が残した大切なお手紙のお話です。以下、祖母の兄を“源助(げんすけ)さん”と紹介致します。
語り手:源助さんは“特別攻撃隊”と呼ばれる隊に選ばれました。当時はとても栄誉な事で優秀な兵隊しか選出されないと誇らしかったそうです。みなさんに耳なじみがあるのは“特攻隊”の方でしょうか。
語り手:特攻隊と言っても、飛行機や船には・・・そして魚雷にも乗りません。源助さんはわが身ひとつで敵に向かって行く・・・言わば人間爆弾のような部隊に招集されました。
語り手:源助さんの背中には数個の爆弾を積んだ荷物、体には紐でぐるぐる巻きの爆弾が装着されたそうです。
語り手:源助さんの年齢は十七歳だと聞きます。皆さんにとって十七歳は子供であり、まだ年増も行かないと嘆(なげ)かれることでしょう。しかし源助さんの話をする祖母は不思議と悲しそうな表情はなく、どこか誇らしげな顔をしている印象が強かったのです。当時を生きたからこそ、お国の為と信念を持ち戦ったからこその心の在り方であると感じました。
語り手:手記は当時の文章そのままに読んで行きますので、分かりにくい表現や難しい言い回しが出てくるかと思いますが源助さんの心の文字を修正することなく伝えたいと私は思い、皆さんへ声を届ける決意をしました。
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語り手:それでは戦時中を強く生きた源助さんの手記です。
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0:ここより源助に成りきっても良し
0:女性の場合は感情のままに読んでも良し
0:この時点で爆弾は身に着けておらず
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私:手記
私:
私:昭和18年6月某日
私:
私:晴天 雲一ツ無シ
私:
私:本日ノ任務
私:
私:
私:敵軍ヘノ特攻
私:
私:
私:我ハ選バレタ
私:
私:天皇陛下ノ為
私:
私:日本国ノ為
私:
私:尊敬スル父上
私:
私:オ優シイ母上
私:
私:我ハ誇ラシイ
私:
私:日本国ノ兵隊トシ
私:
私:特攻デキルコトガ
私:
私:コノ上ナイ勲章
私:
私:
私:有難キ幸セニ涙ガ止マラヌ
私:
私:
私:我ガ生ヲ成シ
私:
私:十三七つト人ハ申スガ
私:(じゅうさんななつ)
私:赤紙ヲ手ニシタ時ヨリ
私:
私:我ノ心ハ決マッテイタ
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0:(これより源助の記憶に入る)
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0:赤紙を源助が受け取る
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0:配達人「貴様が田中源助だな。」
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源助:尊敬する親父にも赤紙が来ていた
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0:配達人「招集だ。」
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源助:兄貴達も赤紙が来てから
源助:数か月前に家を出て
源助:帰って来ていない
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0:配達人「時間と場所をしっかり確認するように。」
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源助:次は自分が行かねば成らぬ日が
源助:やってくるのかと
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0:配達人「厳守だ。いいな。」
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源助:体に言い聞かせていた時の一間だった
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源助:自分には夢があった
源助:幼き頃より思っていた夢で
源助:勿論今でも実現させたいと
源助:願っているものだ
源助:その為に勉学へも励んできた
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源助:自分は教師になりたい
源助:誰かに教えを等、自分が
源助:務まるのか分からないが
源助:学びの中で過ごしたかった
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源助:赤紙が来たからには
源助:全てをお国の為
源助:天皇陛下の加護を受け
源助:日本男児として
源助:これ程まで名誉なことはないと
源助:教わってきた
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源助:今でもそう思っている
源助:ただ自分が部隊に所属し
源助:お国の為に散る事が
源助:どう足掻いても
源助:分からない時があるのだ
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源助:お袋は褒めてくださった
源助:胸を張りなさいと
源助:褒めてくださった
:
源助:そんなお袋の瞳には
源助:曇るものがあり
源助:真っすぐ捉えることが
源助:出来ないでいた
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源助:未来の人間と話せるなら
源助:問うてみたい事がある
源助:日本国はこのまま
源助:突き進んでも平気なのだろうか
源助:また再び川で魚を採り
源助:森のアケビを取れる日が
源助:来るのであろうか
:
源助:自分が見ているのは
源助:今一方の身であると
源助:肝に銘じたはずなのに
源助:余談が過ぎてしまったな
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源助:手記の続きを書かなければ
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0:(これより手記)
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私:ドウカ、オ体二気ヲ付ケ
私:元気デ居テ下サイ
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0:
語り手:この手記が手元に来た時に思いました。源助さんと直接お話がしてみたかったと。現在を生きるはずだった源助さんは何と私達に言って下さったことでしょう。
語り手:当時、源助さんのお体、そして身に着け居ていたものは何もありません。親族の私達ですら当時の物は何も持っていない中で、この手記と巡り合え嬉しさのあまり、膝から崩れ落ちた事を思い浮かばれます。
語り手:源助さん。今の日本は平和ですよ。川の魚も山のアケビもありますよ。綺麗な海に澄んだ空気・・・先人達の残してくださった物は変えられない事実ですが、巡り巡って今を生きている私達は、とても穏やかな日常を過ごしていますよ。
語り手:皆さん聞いてくださってありがとうございます。心が辛くなる事は重々承知ですが、想いを繋がなくてはと思いました。ありがとうございました。
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:(終焉)