台本概要

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タイトル 女児たちのお戯(たわむ)れ
作者名 ふらん☆くりん  (@Frank_lin01)
ジャンル コメディ
演者人数 5人用台本(女5) ※兼役あり
時間 30 分
台本使用規定 台本説明欄参照
説明 【あらすじ】
さあ!今日も幼稚園児仲良し女児5人組による楽しい時間の始まりだ!

【著作権について】
本作品の著作権は全て作者である「ふらん☆くりん」に帰属します。
また、いかなる場合であっても当方は著作権の放棄はいたしません。

【禁止事項】
●商業目的での利用
●台本の無断使用、無断転載、自作発言等
●過度なアドリブ、セリフの大幅な改変等

【ご利用に際してのお願い】
●台本の利用に際しては作者X(旧ツイッター)DMに連絡をお願いいたします。
●配信等で利用される場合は①作品名、②作者名、③台本掲載URLを掲示していただけると嬉しいです。
●たくさんの方の演技を聴きに行きたいので、可能であれば告知文にメンションを付けていただけると嬉しいです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
まさみ 29 さくら組の幼稚園児。少しお転婆な女の子。
ゆず子 27 いちご組の幼稚園児。しっかり者でお姉さんタイプの女の子。
えりな 26 もも組の幼稚園児。少し幼い感じの女の子。
たえこ 37 ひまわり組の幼稚園児。元気いっぱいの女の子。
さゆり 63 ばら組の幼稚園児。優しくて真面目な性格の女の子。
ナレーション 不問 2 このお話のナレーション。どなたかが兼役で読んでください。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
タイトル:女児たちのお*戯《たわむ》れ : 登場人物: : まさみ:さくら組の幼稚園児。少しお転婆な女の子。 ゆず子:いちご組の幼稚園児。しっかり者でお姉さんタイプの女の子。 えりな:もも組の幼稚園児。少し幼い感じの女の子。 たえこ:ひまわり組の幼稚園児。元気いっぱいの女の子。 さゆり:ばら組の幼稚園児。優しくて真面目な性格の女の子。 ナレーション:どなたかが兼役で読んでください。 : :『』のセリフ以外は基本的に幼稚園児の声で演じてください。 :(M)はモノローグ(独白)、〈〉はト書きです。 : 本編: (ナレーション):これは、とある幼稚園を舞台にした仲良し女児5人組が織り成すハートフルコメディである。 : まさみ:ねぇみんな、なにかおもしろいことしようよ。 ゆず子:おもしろいことって? まさみ:うーんとね、わかんない! ゆず子:なにそれ?まさみちゃんがいいだしたんじゃない。 まさみ:えへへ…ごめーん。でもぉ~ まさみ:〈急に大人口調になって〉『幼稚園の遊びってさぁ、何かありきたりっていうか…そう!クリエイティブなパッションに欠ける気がするんだよね~。遊びってさ、もっとワクワクするもんじゃないの?それがさぁ、昔からある遊びだかなんだか知らないけど、やらされてる感っての?マジかったるいんだけど。』 えりな:あー、なんかわかる!アタチたちようちえんじだからって、とりあえずオニごっことかカクレンボさせときゃまんぞくだろ、てきなノリあるよねー! たえこ:そうそう!アタイもそれかんじてた。とくにオニごっこなんてさ、ワケもわかんないのにオニとかいわれて?ちかづいたらみんなにげてくの。アレのなにがたのしいんやっちゅーねん! さゆり:ほんとだよねー!ねぇ、みんなであたらしいあそびかんがえない? まさみ:それいいねー!やろやろー! ゆず子:じゃあどんなのにする? まさみ:うーんとね、わかんない! ゆず子:アンタそればっかじゃない!すこしはかんがえなさいよ! まさみ:へーい。 さゆり:あのさ、こういうのはどうかな? ゆず子:なになに? さゆり:ゼロからつくるんじゃなくて、いまあるあそびにたりないものをたしていくの。そうねぇ、たとえばオニごっこだったら… さゆり:〈急に大人口調になって〉『そもそもにしてこの遊びは、グループの中で特定の一人を「鬼」に指名することで、「狩るモノ」と「狩られるモノ」という二つの立場を楽しむためのゲームであり、鬼役は逃げ惑う愚民どもをいかに*狡猾《こうかつ》に捕食するかを、それ以外の民衆は非道な鬼の手をかいくぐり、少しでも長く生き長らえるかについて、自らの知恵と頭脳を総動員して挑むサバイバルデスゲームよ。しかし残念なことにこのゲームは、鬼役には高い演技力と表現力、そして*類稀《たぐいまれ》なる頭脳と体力が、民衆役には鬼の行動を瞬時に読み取り次の手に繋げるための深い洞察力と瞬発力、さらには鬼から逃げ続けるだけの*強靭《きょうじん》な肉体があってこそ成立するというもの。どちらか一方、もしくは双方にこれらの要素が欠けていた場合、鬼によって瞬殺されるか、永遠に誰も捕まることのない無限地獄か、はたまた茶番に終わるか…いずれにせよ、結果は*惨憺《さんたん》たるものになるわ。』 ゆず子:じゃあなにをたしたらいいの? さゆり:うーん、これにたすとすると… さゆり:〈大人口調で〉『ここで一番大事なことは、民衆側が逃げる以外の手段を何ら持ち合わせていないことなの。一度捕食されればその者は鬼へと変貌を遂げ、次の獲物を求めて*彷徨《さまよ》うことになるにも関わらず、ただ逃げるだけしかできないなんてあまりにも不公平だわ。そこで民衆側には新たに「団結」と「戦闘」のスキルをプラスするの。』 たえこ:だんけつ?せんとう?なにそれ? さゆり:〈大人口調で〉『まず「団結」は文字通り民衆同士がグループを結成することができるスキルのことよ。グループを作るには「団結!」と叫んだうえでお互いにジャンケンをして、あいこが出た相手とのみ作ることができるわ。グループを作るメリットとしては、一度捕食されてもグループから一人抜けることで鬼になることなく再び逃げることができるの。デメリットとしては、一度グループを作った相手とは手を繋ぎ続ける必要があるため、あまり大勢の人とグループを作ると逆に逃げにくくなることね。』 えりな:ふーん、じゃあせんとうは? さゆり:〈大人口調で〉『「戦闘」は鬼に捕食されそうになった時に「勝負!」と叫べば鬼にジャンケン勝負を挑むことができるスキルよ。見事鬼に勝つことができたら、そこから10秒間、鬼は身動きが取れなくなるの。』 ゆず子:じゃあそのあいだににげられるのね? さゆり:そのとおりよ。どう?おもしろくなったでしょ? たえこ:おもしろーい!じゃあじゃあ、ほかのあそびでもかんがえてみよーよ! えりな:はいはーい!アタチおままごとがいいな! ゆず子:おままごとかぁ… ゆず子:〈急に大人口調になって〉『そうね、これも幼稚園では定番中の定番の遊びと言っても過言ではないわ。実際の食卓をイメージして作られたプラスチック製のテーブルや食器を地面に設置し、夫役と妻役に分かれて食事のシーンを再現することで、数十年後に訪れるであろう結婚後の夫婦の会話を疑似体験できるというものだけど、当然のことながら知識と経験の浅い幼稚園児にとって、会話のパターンにそれほどバリエーションがあるはずもなく、数回やると飽きてしまうという欠点があるわ。それと同時に、おままごとをやる度に大掛かりなセットを準備する必要があるため、設置、撤収に時間と労力を必要とすることから、短い休み時間に行なうには不向きとも言える遊びね。』 まさみ:うーん、じゃあどんなのをたしたらおもしろくなるのかな? たえこ:たくさんかぞくをふやしてみたらどうかな? ゆず子:〈大人口調で〉それは良いアイデアね!従来の「夫役」「妻役」に加えて、「兄弟」、「ペット」、「ご近所さん」なんかを増やしてみると、より会話が弾んで楽しくなるかもしれないわね。ただそうなると、既存のおままごとセットでは圧倒的に食器が足りなくなるので、例えば「夫婦が食事をしている所に兄弟が学校から帰って来て、そのあとたまたま近くを通り掛かった近所のおばさんが訪ねてくる…」みたいにキャストがどんどん追加されていくようなシチュエーションにするのが良いかもしれないわね。』 まさみ:でもゆず子ちゃん。おんなのこだけでやるときは、おとうさんどうするの? えりな:そうだよね、おんなのこだけじゃおとうさんできないもんね。 ゆず子:そこはなんとかなるんじゃない?おとうさんがしゅっちょうにいってるってことにして、とうじょうしないことにすればいいだけだから。 まさみ:あー!そうかぁ!ゆず子ちゃんあたまいい!! ゆず子:えへへ。 さゆり:たのしくなってきたね! たえこ:とりあえずさ、アタイたち5にんでおままごとやってみない? えりな:さんせい! ゆず子:わたしも! まさみ:楽しみ~! さゆり:わぁーい! ゆず子:じゃあさ、だれがなんのやくやる? まさみ:わたしはね、しゃちょうさんやりたい! たえこ:えー?いきなりそれいっちゃう? まさみ:あはは…やっぱりだめかな? ゆず子:いいんじゃない?とりあえずやりたいやくをいっていこうよ。 さゆり:あたしおかあさんやりたい! えりな:いいね!さゆりちゃんおかあさんっぽいもんね! さゆり:うれしい!えりなちゃんありがとう! たえこ:じゃあアタイは…りょかんのおかみさん! ゆず子:おもしろそうね!じゃあわたしはかんごしさんやる! さゆり:わ〜!ゆず子ちゃんにあってる! ゆず子:ありがとう!えりなちゃんはなにがいい? えりな:アタチはねぇ…あかちゃんやりたい! まさみ:あかちゃんかぁ!えりなちゃんのあかちゃんぜったいかわいいよ! えりな:バブゥ…キャハハ! さゆり:わぁ!ほんとのあかちゃんみたい! たえこ:みんなやりたいやくがきまったみたいね。じゃあ、つぎはどんなおはなしにしよっか? えりな:はーい!アタチ、ちょっといいおはなしおもいついたの!いってもいい? ゆず子:わー!ききたい! えりな:じゃあきいててね。 えりな:〈急に大人口調になって〉『度重なる夫の暴力に耐えかねて赤ん坊を連れて家を出た一人の女。もうあんな家には戻れない…女の決意は固かった。これからどうやってこの子を育てて行けば良いのだろう…。頭によぎるのは明日からの生活とこの子の将来に対する不安だけ。あてのないままたどり着いたのは一軒の古びた旅館だった。夕食時に交した会話から二人の事情を察した旅館の*女将《おかみ》は、住み込みで働くよう説得する。女は涙を流して感謝し、女将の提案を受け入れた。今までの生活がウソのような充実した日々。そんな中、赤ん坊が急な病に冒され病院に緊急搬送される事態が発生する。検査の結果、赤ん坊は心臓に重い病気を*患《わずら》っており、すぐに手術をしなければひと月も持たないと告げられる。衝撃の事実にうなだれる女。次の瞬間、突如病室に入って来た女性は意外な人物だった。』 えりな:っていうかんじなんだけど、どうかな? さゆり:すごいすごーい!えりなちゃんてんさいだね! たえこ:アタイ、びっくりしちゃったよ! えりな:やったぁ! まさみ:やりたいやりたーい! ゆず子:よし、じゃあちょっとやってみましょうか!さいしょのばめんは、さゆりちゃんがえりなちゃんをつれていえをでるところからだね!3・2・1あくしょん! : :----------【リアルおままごとスタート】〈ここからは『』以外は幼稚園児の声でそれぞれの役になりきって演じてください〉 : さゆり:うう…もうげんかいだわ!まいにちまいにちおっとのでぃーぶいにおびえるひび。いえをでるならいましかない。おっとがかいしゃにいっているいまならきっと!このこだけは…えりなだけはわたしがまもらなきゃ…。 さゆり:(M)そういってわたしはいえをでた。 さゆり:てもちのおかねは、おっとにかくれてためたこのヘソクリだけ。いくあてもないけど、もうにどどあのいえにはもどらないわ! : :------------------------(古びた旅館にて) たえこ:いらっしゃいませ。ようこそおこしくださいました。 さゆり:はい…よろしくおねがいします。 えりな:だぁだァ! さゆり:さあ、えりな。りょかんについたわよ。 えりな:あぶぅ。キャハハ! たえこ:あら、かわいらしいおこさんだこと。おなまえはなんていうのかしら? えりな:バブゥ…。 さゆり:「えりな」っていいます…。 たえこ:えりなちゃん…かわいいおなまえね。さあさあ、つかれたでしょう。おへやにごあんないしますわ。 さゆり:ありがとうございます…。 たえこ:さあつきましたよ。おしょくじをもってきますので、どうぞゆっくりなさってくださいませ。〈女将は部屋を出る〉 : :-------------------(10分後) たえこ:(コンコン)おきゃくさま、おしょくじをもってきました。 さゆり:ありがとう。…なんておいしそうなの。うう…。 たえこ:おきゃくさま、だいじょうぶですか? さゆり:あ…ごめんなさい。こんなすてきなおりょうりをみたのははじめてだったのでつい…。 たえこ:そうでしたか。ゆっくりたべてくださいね。ちなみにおきゃくさま、きょうはりょこうでこちらに? さゆり:あ、いえ…。ちょっといろいろありまして…。 たえこ:そうですか。わたしはちかくにいるので、なにかあったらいつでもよんでくださいね。それではごゆっくり。 さゆり:ありがとうございます…。 :-------------------(女将が部屋を出る) さゆり:(もぐもぐ)…あぁ…おいしい…う、うぅ…ああぁ!〈泣き崩れる〉 えりな:まんま… さゆり:ぐすん…ごめんなさいね、えりな。あなたもおなかがすいたのね。もうちょっとまっててね。すぐにおっぱいあげるから。あなたにはもうこわいおもいはさせないからね。 えりな:あぶぶ…。 たえこ:…。 たえこ:〈急に大人口調になって〉『何かある…。私はこの時、この女性と赤ん坊に対して違和感を覚えずにはいられなかった。旅行というにはあまりにも軽装で、会話の内容からしても二人が家を飛び出してきたことは明白だった。その疑問が確信に変わったのは女性が食事中に流したあの涙だ。あれは純粋に食事の味に感激していたのではない。今まで心に蓋をして必死に抑え込んでいた感情が私の提供した食事によって一気に噴き出した…そんな感じの涙だった。普段の私であればお客様の事情には見て見ぬふりをするのだが…。なぜかこの時の私は二人をこのまま帰してはいけないという神の啓示にも似た強い意志に心を支配されていた。』 : :-------------------(翌朝) たえこ:おはようございます。 さゆり:おはようございます。 えりな:(すやすや) たえこ:きのうはよくねむれましたか? さゆり:いえ…あまりねむれなくて。 たえこ:あの、おきゃくさま。 さゆり:はい…。 たえこ:これからどこにいくのですか? さゆり:いえ、とくにはきめてなくて…。 たえこ:なにかわけがありそうですね。わたしでよければおはなし、きかせてください。 さゆり:あ、でも…。 たえこ:ここであったのもなにかのえんですわ。ささ、えんりょせずに。 さゆり:…じつはわたし、おっとからにげてきたんです。 たえこ:そう…。 さゆり:わたしはこのすうねんかん、まいにちのようにおっとからでぃーぶいをうけてきました。 たえこ:あら、そうだったの。 さゆり:でもけっこんしたときはほんとうにやさしいひとで、まわりからもうらやましがられるほどのすてきなだんなでした。 たえこ:なにかあったの? さゆり:はい、おっとがかわったのは、えりながうまれてしばらくしてからでした。あるひ、かいしゃでリストラにあい、てんしょくしなければならなくなりました。すぐにあたらしいかいしゃにしゅうしょくすることはできましたが、なれないしごとのせいでおさけをたくさんのむようになり、そしてわたしにぼうりょくをふるうようになったのです。 たえこ:まあ…それはつらかったわね。 さゆり:おっとのぼうりょくが、いつかむすめにもいくんじゃないかとおもうと、わたしたえられなくて…。きづいたらこのこといっしょにいえをとびだしていたんです。 たえこ:もうもどるつもりはないのね? さゆり:はい…このこはわたしがりっぱにそだててみせます。 たえこ:わかったわ。それならうちではたらきなさいな。 さゆり:え…? たえこ:ちょうどひとがたりなかったところなの。 さゆり:いいんですか?わたし、ここではたらいても…? たえこ:もちろんよ。あいてるおへやはたくさんあるからじゆうにつかってちょうだい。 さゆり:あぁ…うれしい。うぅ…なんておれいをいったらいいか!おかみさん…ほんとうに、ほんとうにありがとうございます!ぜひ、こちらではたらかせてください! たえこ:よろしくね。 さゆり:はい!あぁ…えりな、これであなたをちゃんとそだてることができるわ。 えりな:あむあむ…。 さゆり:(M)それからわたしはおかみさんのもとでいっしょうけんめいはたらいた。きゅうりょうはやすかったけど、おかみさんとはたらけるまいにちはほんとうにしあわせだった。そんなせいかつが2ねんほどつづいたあるひ…。 えりな:はぁ…はぁ…。まま…。 さゆり:えりな?えりな! えりな:あ…う…。 さゆり:どうしたの!ねぇ!えりな! たえこ:いけない!すぐにきゅうきゅうしゃをよぶわね! さゆり:おねがいえりな!しっかりして! さゆり:(M)えりなはちかくのびょういんにいそいではこばれた。 ゆず子:おかあさん、とりあえずむすめさんはねむっています。ですが…。 さゆり:えりなは、えりなはだいじょうぶなんですか? ゆず子:じつは、せんせいからおかあさんにだいじなおはなしがありますのでこちらへどうぞ。 さゆり:は、はい…。 さゆり:(M)せんせいのはなしでは、えりなはしんぞうにびょうきをもっていて、しゅじゅつしないとあといっかげつしかいきられないとのことだった。 : さゆり:しゅじゅつにはいくらかかるんですか? ゆず子:いちおくまんえんかかります。 さゆり:い…いちおくまんえん!そんなおかね…どうやって…。 まさみ:ちょっとよろしいかしら? さゆり:え…?あなたは? まさみ:わたしはりょかんのおかみからここにくるようにおねがいされた「まさみ」です。 さゆり:え?おかみさんがどうして? まさみ:りょかんのおかみ「たえこ」はわたしのいもうとなの。 さゆり:いもうと? まさみ:そう、それでね、わたしはここのびょういんのしゃちょうなの。 さゆり:しゃちょう…さん? まさみ:そうよ。わたしはね、あなたたちのことをたえこからきいて、なんとかしてあげたいっておもったわけ。 さゆり:それはありがとうございます。でもなんとかって…? まさみ:あなたのむすめさんのしゅじゅつだい、いちおくまんえんはタダにしてあげるわ! さゆり:ほ、ほんとうですか! まさみ:そのかわり、ひとつおねがいがあるの。 さゆり:なんでしょうか? まさみ:これからも、たえこのりょかんでずっとはたらいてやってちょうだい。 さゆり:え?そんなことでいいんですか? まさみ:ええ。あのこ、ああみえてさびしがりやだから。そばにいてあげてほしいの。 さゆり:おやすいごようです!だからどうか、えりなのいのちをすくってください。 まさみ:まかせて。 さゆり:(M)こうして、まさみしゃちょうのおかげでえりなのしゅじゅつはせいこうし、ぶじたいいんすることになった。 ゆず子:たいいん、おめでとうございます! さゆり:ありがとうございます!これもみなさんのおかげです。 まさみ:よかったわね。えりなちゃんのいのちがたすかって。 えりな:ばば、あーと! まさみ:どういたしまして。これからもおかあさんとなかよくくらすのよ。 えりな:きゃ!きゃ! さゆり:さようなら! さゆり:(M)わたしはこんなすてきなひとたちにかこまれてほんとうにしあわせです。ありがとう!めでたしめでたし。 :-------------------(リアルおままごと終了) : ゆず子:おつかれさまぁ!!めっちゃたのしかったね! たえこ:ほんとほんと!アタイ、こんなたのしいおままごとやったのはじめてだよ! ゆず子:おかみさんばっちりだったね! たえこ:ほんと?うれしい! えりな:ねー!アタチのあかちゃんどうだった? さゆり:とってもかわいかったよ!えりなちゃんうますぎだよぉ! えりな:えへへ…。さゆりちゃんのおかさあさんもやさしくてすてきだったよ! さゆり:わぁ!うれしい!ありがとう! まさみ:ねぇねぇ、わたしはどうだった? ゆず子:とってもよかったわ!ヒーローみたいだった! まさみ:ありがとう!ゆず子ちゃんのかんごしさんもかわいかったよ! ゆず子:まさみちゃんありがとう!じゃあさ、つぎはなんのあそびやろっか? えりな:「はないちもんめ」で! :----------------------------- : ナレーション:こうして女児達のお*戯《たわむ》れは飽きることなく続くのであった。 : :~完~

タイトル:女児たちのお*戯《たわむ》れ : 登場人物: : まさみ:さくら組の幼稚園児。少しお転婆な女の子。 ゆず子:いちご組の幼稚園児。しっかり者でお姉さんタイプの女の子。 えりな:もも組の幼稚園児。少し幼い感じの女の子。 たえこ:ひまわり組の幼稚園児。元気いっぱいの女の子。 さゆり:ばら組の幼稚園児。優しくて真面目な性格の女の子。 ナレーション:どなたかが兼役で読んでください。 : :『』のセリフ以外は基本的に幼稚園児の声で演じてください。 :(M)はモノローグ(独白)、〈〉はト書きです。 : 本編: (ナレーション):これは、とある幼稚園を舞台にした仲良し女児5人組が織り成すハートフルコメディである。 : まさみ:ねぇみんな、なにかおもしろいことしようよ。 ゆず子:おもしろいことって? まさみ:うーんとね、わかんない! ゆず子:なにそれ?まさみちゃんがいいだしたんじゃない。 まさみ:えへへ…ごめーん。でもぉ~ まさみ:〈急に大人口調になって〉『幼稚園の遊びってさぁ、何かありきたりっていうか…そう!クリエイティブなパッションに欠ける気がするんだよね~。遊びってさ、もっとワクワクするもんじゃないの?それがさぁ、昔からある遊びだかなんだか知らないけど、やらされてる感っての?マジかったるいんだけど。』 えりな:あー、なんかわかる!アタチたちようちえんじだからって、とりあえずオニごっことかカクレンボさせときゃまんぞくだろ、てきなノリあるよねー! たえこ:そうそう!アタイもそれかんじてた。とくにオニごっこなんてさ、ワケもわかんないのにオニとかいわれて?ちかづいたらみんなにげてくの。アレのなにがたのしいんやっちゅーねん! さゆり:ほんとだよねー!ねぇ、みんなであたらしいあそびかんがえない? まさみ:それいいねー!やろやろー! ゆず子:じゃあどんなのにする? まさみ:うーんとね、わかんない! ゆず子:アンタそればっかじゃない!すこしはかんがえなさいよ! まさみ:へーい。 さゆり:あのさ、こういうのはどうかな? ゆず子:なになに? さゆり:ゼロからつくるんじゃなくて、いまあるあそびにたりないものをたしていくの。そうねぇ、たとえばオニごっこだったら… さゆり:〈急に大人口調になって〉『そもそもにしてこの遊びは、グループの中で特定の一人を「鬼」に指名することで、「狩るモノ」と「狩られるモノ」という二つの立場を楽しむためのゲームであり、鬼役は逃げ惑う愚民どもをいかに*狡猾《こうかつ》に捕食するかを、それ以外の民衆は非道な鬼の手をかいくぐり、少しでも長く生き長らえるかについて、自らの知恵と頭脳を総動員して挑むサバイバルデスゲームよ。しかし残念なことにこのゲームは、鬼役には高い演技力と表現力、そして*類稀《たぐいまれ》なる頭脳と体力が、民衆役には鬼の行動を瞬時に読み取り次の手に繋げるための深い洞察力と瞬発力、さらには鬼から逃げ続けるだけの*強靭《きょうじん》な肉体があってこそ成立するというもの。どちらか一方、もしくは双方にこれらの要素が欠けていた場合、鬼によって瞬殺されるか、永遠に誰も捕まることのない無限地獄か、はたまた茶番に終わるか…いずれにせよ、結果は*惨憺《さんたん》たるものになるわ。』 ゆず子:じゃあなにをたしたらいいの? さゆり:うーん、これにたすとすると… さゆり:〈大人口調で〉『ここで一番大事なことは、民衆側が逃げる以外の手段を何ら持ち合わせていないことなの。一度捕食されればその者は鬼へと変貌を遂げ、次の獲物を求めて*彷徨《さまよ》うことになるにも関わらず、ただ逃げるだけしかできないなんてあまりにも不公平だわ。そこで民衆側には新たに「団結」と「戦闘」のスキルをプラスするの。』 たえこ:だんけつ?せんとう?なにそれ? さゆり:〈大人口調で〉『まず「団結」は文字通り民衆同士がグループを結成することができるスキルのことよ。グループを作るには「団結!」と叫んだうえでお互いにジャンケンをして、あいこが出た相手とのみ作ることができるわ。グループを作るメリットとしては、一度捕食されてもグループから一人抜けることで鬼になることなく再び逃げることができるの。デメリットとしては、一度グループを作った相手とは手を繋ぎ続ける必要があるため、あまり大勢の人とグループを作ると逆に逃げにくくなることね。』 えりな:ふーん、じゃあせんとうは? さゆり:〈大人口調で〉『「戦闘」は鬼に捕食されそうになった時に「勝負!」と叫べば鬼にジャンケン勝負を挑むことができるスキルよ。見事鬼に勝つことができたら、そこから10秒間、鬼は身動きが取れなくなるの。』 ゆず子:じゃあそのあいだににげられるのね? さゆり:そのとおりよ。どう?おもしろくなったでしょ? たえこ:おもしろーい!じゃあじゃあ、ほかのあそびでもかんがえてみよーよ! えりな:はいはーい!アタチおままごとがいいな! ゆず子:おままごとかぁ… ゆず子:〈急に大人口調になって〉『そうね、これも幼稚園では定番中の定番の遊びと言っても過言ではないわ。実際の食卓をイメージして作られたプラスチック製のテーブルや食器を地面に設置し、夫役と妻役に分かれて食事のシーンを再現することで、数十年後に訪れるであろう結婚後の夫婦の会話を疑似体験できるというものだけど、当然のことながら知識と経験の浅い幼稚園児にとって、会話のパターンにそれほどバリエーションがあるはずもなく、数回やると飽きてしまうという欠点があるわ。それと同時に、おままごとをやる度に大掛かりなセットを準備する必要があるため、設置、撤収に時間と労力を必要とすることから、短い休み時間に行なうには不向きとも言える遊びね。』 まさみ:うーん、じゃあどんなのをたしたらおもしろくなるのかな? たえこ:たくさんかぞくをふやしてみたらどうかな? ゆず子:〈大人口調で〉それは良いアイデアね!従来の「夫役」「妻役」に加えて、「兄弟」、「ペット」、「ご近所さん」なんかを増やしてみると、より会話が弾んで楽しくなるかもしれないわね。ただそうなると、既存のおままごとセットでは圧倒的に食器が足りなくなるので、例えば「夫婦が食事をしている所に兄弟が学校から帰って来て、そのあとたまたま近くを通り掛かった近所のおばさんが訪ねてくる…」みたいにキャストがどんどん追加されていくようなシチュエーションにするのが良いかもしれないわね。』 まさみ:でもゆず子ちゃん。おんなのこだけでやるときは、おとうさんどうするの? えりな:そうだよね、おんなのこだけじゃおとうさんできないもんね。 ゆず子:そこはなんとかなるんじゃない?おとうさんがしゅっちょうにいってるってことにして、とうじょうしないことにすればいいだけだから。 まさみ:あー!そうかぁ!ゆず子ちゃんあたまいい!! ゆず子:えへへ。 さゆり:たのしくなってきたね! たえこ:とりあえずさ、アタイたち5にんでおままごとやってみない? えりな:さんせい! ゆず子:わたしも! まさみ:楽しみ~! さゆり:わぁーい! ゆず子:じゃあさ、だれがなんのやくやる? まさみ:わたしはね、しゃちょうさんやりたい! たえこ:えー?いきなりそれいっちゃう? まさみ:あはは…やっぱりだめかな? ゆず子:いいんじゃない?とりあえずやりたいやくをいっていこうよ。 さゆり:あたしおかあさんやりたい! えりな:いいね!さゆりちゃんおかあさんっぽいもんね! さゆり:うれしい!えりなちゃんありがとう! たえこ:じゃあアタイは…りょかんのおかみさん! ゆず子:おもしろそうね!じゃあわたしはかんごしさんやる! さゆり:わ〜!ゆず子ちゃんにあってる! ゆず子:ありがとう!えりなちゃんはなにがいい? えりな:アタチはねぇ…あかちゃんやりたい! まさみ:あかちゃんかぁ!えりなちゃんのあかちゃんぜったいかわいいよ! えりな:バブゥ…キャハハ! さゆり:わぁ!ほんとのあかちゃんみたい! たえこ:みんなやりたいやくがきまったみたいね。じゃあ、つぎはどんなおはなしにしよっか? えりな:はーい!アタチ、ちょっといいおはなしおもいついたの!いってもいい? ゆず子:わー!ききたい! えりな:じゃあきいててね。 えりな:〈急に大人口調になって〉『度重なる夫の暴力に耐えかねて赤ん坊を連れて家を出た一人の女。もうあんな家には戻れない…女の決意は固かった。これからどうやってこの子を育てて行けば良いのだろう…。頭によぎるのは明日からの生活とこの子の将来に対する不安だけ。あてのないままたどり着いたのは一軒の古びた旅館だった。夕食時に交した会話から二人の事情を察した旅館の*女将《おかみ》は、住み込みで働くよう説得する。女は涙を流して感謝し、女将の提案を受け入れた。今までの生活がウソのような充実した日々。そんな中、赤ん坊が急な病に冒され病院に緊急搬送される事態が発生する。検査の結果、赤ん坊は心臓に重い病気を*患《わずら》っており、すぐに手術をしなければひと月も持たないと告げられる。衝撃の事実にうなだれる女。次の瞬間、突如病室に入って来た女性は意外な人物だった。』 えりな:っていうかんじなんだけど、どうかな? さゆり:すごいすごーい!えりなちゃんてんさいだね! たえこ:アタイ、びっくりしちゃったよ! えりな:やったぁ! まさみ:やりたいやりたーい! ゆず子:よし、じゃあちょっとやってみましょうか!さいしょのばめんは、さゆりちゃんがえりなちゃんをつれていえをでるところからだね!3・2・1あくしょん! : :----------【リアルおままごとスタート】〈ここからは『』以外は幼稚園児の声でそれぞれの役になりきって演じてください〉 : さゆり:うう…もうげんかいだわ!まいにちまいにちおっとのでぃーぶいにおびえるひび。いえをでるならいましかない。おっとがかいしゃにいっているいまならきっと!このこだけは…えりなだけはわたしがまもらなきゃ…。 さゆり:(M)そういってわたしはいえをでた。 さゆり:てもちのおかねは、おっとにかくれてためたこのヘソクリだけ。いくあてもないけど、もうにどどあのいえにはもどらないわ! : :------------------------(古びた旅館にて) たえこ:いらっしゃいませ。ようこそおこしくださいました。 さゆり:はい…よろしくおねがいします。 えりな:だぁだァ! さゆり:さあ、えりな。りょかんについたわよ。 えりな:あぶぅ。キャハハ! たえこ:あら、かわいらしいおこさんだこと。おなまえはなんていうのかしら? えりな:バブゥ…。 さゆり:「えりな」っていいます…。 たえこ:えりなちゃん…かわいいおなまえね。さあさあ、つかれたでしょう。おへやにごあんないしますわ。 さゆり:ありがとうございます…。 たえこ:さあつきましたよ。おしょくじをもってきますので、どうぞゆっくりなさってくださいませ。〈女将は部屋を出る〉 : :-------------------(10分後) たえこ:(コンコン)おきゃくさま、おしょくじをもってきました。 さゆり:ありがとう。…なんておいしそうなの。うう…。 たえこ:おきゃくさま、だいじょうぶですか? さゆり:あ…ごめんなさい。こんなすてきなおりょうりをみたのははじめてだったのでつい…。 たえこ:そうでしたか。ゆっくりたべてくださいね。ちなみにおきゃくさま、きょうはりょこうでこちらに? さゆり:あ、いえ…。ちょっといろいろありまして…。 たえこ:そうですか。わたしはちかくにいるので、なにかあったらいつでもよんでくださいね。それではごゆっくり。 さゆり:ありがとうございます…。 :-------------------(女将が部屋を出る) さゆり:(もぐもぐ)…あぁ…おいしい…う、うぅ…ああぁ!〈泣き崩れる〉 えりな:まんま… さゆり:ぐすん…ごめんなさいね、えりな。あなたもおなかがすいたのね。もうちょっとまっててね。すぐにおっぱいあげるから。あなたにはもうこわいおもいはさせないからね。 えりな:あぶぶ…。 たえこ:…。 たえこ:〈急に大人口調になって〉『何かある…。私はこの時、この女性と赤ん坊に対して違和感を覚えずにはいられなかった。旅行というにはあまりにも軽装で、会話の内容からしても二人が家を飛び出してきたことは明白だった。その疑問が確信に変わったのは女性が食事中に流したあの涙だ。あれは純粋に食事の味に感激していたのではない。今まで心に蓋をして必死に抑え込んでいた感情が私の提供した食事によって一気に噴き出した…そんな感じの涙だった。普段の私であればお客様の事情には見て見ぬふりをするのだが…。なぜかこの時の私は二人をこのまま帰してはいけないという神の啓示にも似た強い意志に心を支配されていた。』 : :-------------------(翌朝) たえこ:おはようございます。 さゆり:おはようございます。 えりな:(すやすや) たえこ:きのうはよくねむれましたか? さゆり:いえ…あまりねむれなくて。 たえこ:あの、おきゃくさま。 さゆり:はい…。 たえこ:これからどこにいくのですか? さゆり:いえ、とくにはきめてなくて…。 たえこ:なにかわけがありそうですね。わたしでよければおはなし、きかせてください。 さゆり:あ、でも…。 たえこ:ここであったのもなにかのえんですわ。ささ、えんりょせずに。 さゆり:…じつはわたし、おっとからにげてきたんです。 たえこ:そう…。 さゆり:わたしはこのすうねんかん、まいにちのようにおっとからでぃーぶいをうけてきました。 たえこ:あら、そうだったの。 さゆり:でもけっこんしたときはほんとうにやさしいひとで、まわりからもうらやましがられるほどのすてきなだんなでした。 たえこ:なにかあったの? さゆり:はい、おっとがかわったのは、えりながうまれてしばらくしてからでした。あるひ、かいしゃでリストラにあい、てんしょくしなければならなくなりました。すぐにあたらしいかいしゃにしゅうしょくすることはできましたが、なれないしごとのせいでおさけをたくさんのむようになり、そしてわたしにぼうりょくをふるうようになったのです。 たえこ:まあ…それはつらかったわね。 さゆり:おっとのぼうりょくが、いつかむすめにもいくんじゃないかとおもうと、わたしたえられなくて…。きづいたらこのこといっしょにいえをとびだしていたんです。 たえこ:もうもどるつもりはないのね? さゆり:はい…このこはわたしがりっぱにそだててみせます。 たえこ:わかったわ。それならうちではたらきなさいな。 さゆり:え…? たえこ:ちょうどひとがたりなかったところなの。 さゆり:いいんですか?わたし、ここではたらいても…? たえこ:もちろんよ。あいてるおへやはたくさんあるからじゆうにつかってちょうだい。 さゆり:あぁ…うれしい。うぅ…なんておれいをいったらいいか!おかみさん…ほんとうに、ほんとうにありがとうございます!ぜひ、こちらではたらかせてください! たえこ:よろしくね。 さゆり:はい!あぁ…えりな、これであなたをちゃんとそだてることができるわ。 えりな:あむあむ…。 さゆり:(M)それからわたしはおかみさんのもとでいっしょうけんめいはたらいた。きゅうりょうはやすかったけど、おかみさんとはたらけるまいにちはほんとうにしあわせだった。そんなせいかつが2ねんほどつづいたあるひ…。 えりな:はぁ…はぁ…。まま…。 さゆり:えりな?えりな! えりな:あ…う…。 さゆり:どうしたの!ねぇ!えりな! たえこ:いけない!すぐにきゅうきゅうしゃをよぶわね! さゆり:おねがいえりな!しっかりして! さゆり:(M)えりなはちかくのびょういんにいそいではこばれた。 ゆず子:おかあさん、とりあえずむすめさんはねむっています。ですが…。 さゆり:えりなは、えりなはだいじょうぶなんですか? ゆず子:じつは、せんせいからおかあさんにだいじなおはなしがありますのでこちらへどうぞ。 さゆり:は、はい…。 さゆり:(M)せんせいのはなしでは、えりなはしんぞうにびょうきをもっていて、しゅじゅつしないとあといっかげつしかいきられないとのことだった。 : さゆり:しゅじゅつにはいくらかかるんですか? ゆず子:いちおくまんえんかかります。 さゆり:い…いちおくまんえん!そんなおかね…どうやって…。 まさみ:ちょっとよろしいかしら? さゆり:え…?あなたは? まさみ:わたしはりょかんのおかみからここにくるようにおねがいされた「まさみ」です。 さゆり:え?おかみさんがどうして? まさみ:りょかんのおかみ「たえこ」はわたしのいもうとなの。 さゆり:いもうと? まさみ:そう、それでね、わたしはここのびょういんのしゃちょうなの。 さゆり:しゃちょう…さん? まさみ:そうよ。わたしはね、あなたたちのことをたえこからきいて、なんとかしてあげたいっておもったわけ。 さゆり:それはありがとうございます。でもなんとかって…? まさみ:あなたのむすめさんのしゅじゅつだい、いちおくまんえんはタダにしてあげるわ! さゆり:ほ、ほんとうですか! まさみ:そのかわり、ひとつおねがいがあるの。 さゆり:なんでしょうか? まさみ:これからも、たえこのりょかんでずっとはたらいてやってちょうだい。 さゆり:え?そんなことでいいんですか? まさみ:ええ。あのこ、ああみえてさびしがりやだから。そばにいてあげてほしいの。 さゆり:おやすいごようです!だからどうか、えりなのいのちをすくってください。 まさみ:まかせて。 さゆり:(M)こうして、まさみしゃちょうのおかげでえりなのしゅじゅつはせいこうし、ぶじたいいんすることになった。 ゆず子:たいいん、おめでとうございます! さゆり:ありがとうございます!これもみなさんのおかげです。 まさみ:よかったわね。えりなちゃんのいのちがたすかって。 えりな:ばば、あーと! まさみ:どういたしまして。これからもおかあさんとなかよくくらすのよ。 えりな:きゃ!きゃ! さゆり:さようなら! さゆり:(M)わたしはこんなすてきなひとたちにかこまれてほんとうにしあわせです。ありがとう!めでたしめでたし。 :-------------------(リアルおままごと終了) : ゆず子:おつかれさまぁ!!めっちゃたのしかったね! たえこ:ほんとほんと!アタイ、こんなたのしいおままごとやったのはじめてだよ! ゆず子:おかみさんばっちりだったね! たえこ:ほんと?うれしい! えりな:ねー!アタチのあかちゃんどうだった? さゆり:とってもかわいかったよ!えりなちゃんうますぎだよぉ! えりな:えへへ…。さゆりちゃんのおかさあさんもやさしくてすてきだったよ! さゆり:わぁ!うれしい!ありがとう! まさみ:ねぇねぇ、わたしはどうだった? ゆず子:とってもよかったわ!ヒーローみたいだった! まさみ:ありがとう!ゆず子ちゃんのかんごしさんもかわいかったよ! ゆず子:まさみちゃんありがとう!じゃあさ、つぎはなんのあそびやろっか? えりな:「はないちもんめ」で! :----------------------------- : ナレーション:こうして女児達のお*戯《たわむ》れは飽きることなく続くのであった。 : :~完~