台本概要
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タイトル | Cross road |
---|---|
作者名 | 愁有 (@syu_boikone) |
ジャンル | ファンタジー |
演者人数 | 7人用台本(男3、女2、不問2) |
時間 | 30 分 |
台本使用規定 | 商用、非商用問わず作者へ連絡要 |
説明 |
Crossシリーズ第1話 難しい漢字を使用しているので前読み必須になります! 同作者で詠唱集を出しているので見ていだけると幸いです 記憶したりノートに写したりの工夫が必要になるのでお手数ですがご容赦くださいm(_ _)m 1392 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
アグレス | 男 | 54 | アグレス・ログルス 本作の主人公。常に冷静で落ち着いているが仲間のことになると取り乱すことが多い。孤児院のお兄ちゃん的存在 |
バラク | 男 | 46 | バラク・オーディス アグレスの親友。名門オーディス家の人間。アグレスのことをたまにアグと呼ぶ |
サーシャ | 女 | 35 | サーシャ・スターシア 本作ヒロイン。常に淑やかで落ち着いているが、アグレスとバラクと喋る時は少し砕ける |
カール | 不問 | 58 | カール・ブライト 孤児院の子供。ギフト明点を持つ 常に明るくて元気 ※ケルミアが男の子の場合カールは女の子 |
ケルミア | 不問 | 41 | ケルミア・クイエント 孤児院の子供。ギフト静寂を持つ 物静かな子。カールにはつっけんどん |
傭兵A | 男 | 11 | 傭兵の男 |
傭兵B | 女 | 21 | 傭兵の女 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
アグレス:(夢を見ていた。ようやく皆に手が届きそうな…そんな幸せな夢を)
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サーシャ:おはようアグレス。貴方がこんなに深く眠っているなんて珍しいわね?
アグレス:おはようサーシャ…ところで何故俺の手を握っているんだ?
サーシャ:え?だって貴方が苦しそうに手を伸ばしてたから
アグレス:そうなのか。すまない心配かけて…
サーシャ:そんなことないわよ。だってアグレスは
バラク:おーい!アグー!起きてるかー!おっと…お取込み中だったかぁ?
アグレス:おはようバラク。どうかしたか?
バラク:いんやー珍しく起きてくんのが遅かったから悪戯でもしてやろうかと思ってなー
バラク:そしたらイチャイチャしてっからよー
サーシャ:イチャイチャなんかしてないわよ?
アグレス:それで?何か用があって来たんだろ?
バラク:あーやっぱお前には通じないかー
アグレス:当たり前だ。俺を誰だと思ってる
バラク:わりーわりー。んで本題だが…ログルス帝が動き出した
アグレス:それは本当か?
バラク:おいおい俺をなんだと思ってんだ
サーシャ:噓つきね
アグレス:噓つきだな
バラク:2人同時に酷い言い様だな。だが残念ながらこれは事実だ
アグレス:分かった。準備を済ませたらすぐに行く
バラク:了解
サーシャ:ゆっくりでいいからね
アグレス:あぁ
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0:<孤児院の広間>
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カール:あー!アグレスの兄ちゃんだ!おっはよー!
ケルミア:お兄ちゃんおはよう。あとカールうるさい
カール:なんだとぉ!?そーゆーミアは静かすぎるんだよぉー
ケルミア:うるさいよりマシ
カール:やんのかぁー!
ケルミア:望むところよ
アグレス:おはよう。カール、ケルミア
サーシャ:二人とも喧嘩は駄目よ?
バラク:ホント仲いいよなぁ
カール:バラク兄ホント!?
ケルミア:うるさい仲良くない
カール:酷くね!??
アグレス:ケルミアはいつも通り「カールだけ」には辛辣だな
カール:そーなんだよーサーシャ姉ちゃんなんか言ってやってよー
ケルミア:サーシャ姉に泣きつくのはズル
サーシャ:ケルミア、「カールにだけ」酷いこと言わないの
ケルミア:…はぁい
カール:なぁなぁバラク兄
バラク:ん?どうしたカール?
カール:アグレスの兄ちゃんもサーシャ姉ちゃんも僕だけ僕だけ言うんだけど酷くない?
バラク:そりゃお前、ケルミアはカールのことが…
サーシャ:ん゛ん゛っバラク?それ以上はダメよ?
バラク:お、おおぅ。取り敢えずその笑顔怖いからやめてくれ
サーシャ:誰が怖いですって?
カール:え?え?めっちゃ気になるんだけど!?
アグレス:そこまでだ。サーシャまで乗っかってどうする
サーシャ:ふふっごめんなさい楽しくてつい
アグレス:バラクお前もだ。空気を読めバカ
バラク:確かに悪いのは俺だけどさぁ!なんか酷くね?なんか酷くね!?
アグレス:酷くないバカ。時間もないんだ、始めるぞバカ
サーシャ:ふふっほら始めるわよバカ
バラク:お前らぁ覚えとけよ!
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アグレス:皆集まったか。バラク、本題を頼む
バラク:あいよ。んじゃ早速本題だが…
バラク:ログルス帝が動いた。みんな分かっていると思うが、「ギフテッド」攫いだ
アグレス:それで今回事件が起きたのがここ、フォレス地区ということだ
バラク:補足さんきゅー。そしていつもと違う点が一つある
バラク:それは子供が対象ということだ。
サーシャ:まだギフトの扱いに慣れてない子供たちを?
バラク:そうなんだよー多分狙いはギフトの選別ってとこかなぁ
アグレス:選別?
バラク:あぁ。まあ俺の推測だけどな。攫い、篩にかけることで強制的にギフトの覚醒を促す。
バラク:この国が良くやる手口だ。そしてここは孤児院…後は分かるよな
サーシャ:親がいないから攫っても問題にされにくい…
アグレス:それに今院長は主都グレアに呼ばれていて不在。なるほど、絶好の機会ということか
バラク:そうだなぁ今回の呼び出しも狙ってやっているだろう。はぁめんどくせー
サーシャ:バラク子供たちの前よ
バラク:で、どう対策すっかだけど、俺とアグレスで何とかするしかないだろうなぁ
アグレス:…いや、警戒するのは俺だけでいい
バラク:は?なに言ってんだよ
サーシャ:そうよ!一人じゃ無理よ!
アグレス:大丈夫だ。一人の方が動きやすい。
カール:アグレスの兄ちゃん!僕もやるよ!!
ケルミア:足を引っ張るだけよ
カール:そんなことないよ!特訓だっていっぱいしたし!
サーシャ:カール、これは訓練とは違うのよ?
バラク:そうだぜ?敵は帝国軍。しかもちゃんと戦闘訓練を積んだ兵士だ
ケルミア:ギフトの練度も違う
カール:でもでも!一人より二人の方がいいじゃん!
バラク:それはそうだ。だから俺がやる
アグレス:ダメだ
バラク:なんでだよ?敵は帝国軍だけじゃない。傭兵を雇ってるって情報もある!
バラク:一人は危険だ!
アグレス:確かに本来なら俺とお前の二人で警戒するのが望ましいだろうな
バラク:ならどうしてっ
アグレス:バラクお前、ここ数日情報収集と当番でまともに寝てないだろ
バラク:何でそれを知って…
アグレス:当たり前だ。俺を誰だと思っている
バラク:だけど…
サーシャ:なら私が結界を張るわ。それならいいんじゃない?
アグレス:サーシャは昨日当番だったろう
サーシャ:大丈夫よ。体力には余裕があるし、バラクより元気よ?
アグレス:…確かにバラクが倒れ、カール以下の戦力になるよりはいいな
カール:なんかさらっと酷いこと言われてない??
ケルミア:事実なんだから仕方ないじゃない
カール:えぇぇ…
アグレス:だからバラク、今日は休め
バラク:…はいはい、分かりましたよアグレス様
バラク:んじゃあお言葉に甘えて、今夜はぐっすり眠らせてもらおうかなぁ
サーシャ:ふふ、今朝のアグレスみたいに?
バラク:そうだな。それはもう「幸せそうに」ぐっすりと…
アグレス:その話は無しだ
アグレス:さて、皆聞いてもらった通り、今日は俺が警戒にあたる
アグレス:16時以降はサーシャの結界から出ないようにな
アグレス:お前たちのことは俺が守る、だから安心して眠ってくれ
アグレス:それでは解散だ
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カール:なあミア
ケルミア:なにカール
カール:アグレスの兄ちゃんだけで本当に大丈夫かなぁ?
ケルミア:…貴方、まだ諦めてなかったのね
カール:もちろん!兄ちゃんたちはいつも僕たちを守るために頑張ってくれてるんだ!少しは楽させたいじゃん!!
ケルミア:それはそうだけど…
カール:な?ミアだって思うだろ?
ケルミア:…不安がないわけじゃないし、楽だってさせてあげたいけど…私たちには何もできないよ
カール:そんなことない!僕たちだってギフトを使いこなせる様になってきたんだ、何かの役には立てるはずだよ!
ケルミア:そんなこと言ったってお兄ちゃんが許可してくれるわけないじゃん
カール:分かってないなーミアは
ケルミア:なによ
カール:許可なんていらないさ!勝手にやればいいんだから!
ケルミア:すぐバレるのがオチだわ
カール:ミアのギフト使えばバレないって!
ケルミア:嫌よあれ使うと疲れるもの
カール:いいじゃん別に!あの状態のミア、僕は好きだよ?
ケルミア:な、なななっ何言ってるのよ!?
カール:それにさー僕たちを狙う悪者を退治出来たら、少しはアグレスの兄ちゃんに恩を返せると思わない?
ケルミア:それはそうかもしれないけど…
カール:じゃあ決定!大丈夫大丈夫!アグレスの兄ちゃんと反対側を警戒してればバレないから
ケルミア:…お兄ちゃんにバレたら全部カールのせいね
カール:おっけー!僕に任せなよ!!
ケルミア:はぁぁ…
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0:<数時間後>
0:<ケルミアの部屋>
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カール:よーし、ミア!MIV作戦開始だ!
ケルミア:MIV作戦?何それ
カール:ん?ああ、「ミアが入れば大丈ヴイ」作戦。略してMIV作戦だ!良いネーミングセンスだろー!?
ケルミア:ださっ
カール:ふん!お子ちゃまにはこのセンスは分からないだろうな
ケルミア:あなたの方が年下じゃない
カール:歳は関係ない!って言い合ってる場合じゃ!
カール:ミア「ギフト」よろしくー
ケルミア:…これ疲れるのよ?
カール:分かってるって!
ケルミア:はぁぁ…
ケルミア:静定
ケルミア:神授の森
ケルミア:遍く閑静の咆哮
ケルミア:始に感銘
ケルミア:終に音無し
ケルミア:ギフト静寂発動__『終慎遍瀞哭』
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0:<警戒中のアグレス>
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アグレス:(M)今朝は随分と変な夢を見た気がする
アグレス:(M)そのせいなのだろうか…とても嫌な予感がする
アグレス:(M)胸騒ぎが止まらない…なんだ、この違和感は
アグレス:(M)その違和感を探ろうと動き出した瞬間に気付いた
アグレス:(M)世界から音が消えていることに…
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アグレス:(これはケルミアのギフト!?いつからだ?どうしてこのタイミングで?いや、この際そんなことはどうでもいい)
アグレス:(音の鳴らない空間じゃあ警戒もくそもない!早く皆の所に戻らないと!!)
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アグレス:サーシャ!!
サーシャ:(っ!!?)
アグレス:無事だったかサーシャ、ギフトを使え。俺達のギフトには干渉できないはずだ
サーシャ:(頷く)
サーシャ:…ごめんなさい、私の結界も無効化されたみたいで
アグレス:無事ならそれでいい。他の皆は?
サーシャ:部屋にいたみんなは無事よ。でも…カールとケルミアだけ分からないの
アグレス:ケルミアだけじゃなくカールも…?
バラク:お前ら無事か
アグレス:バラク、無事だったか。
バラク:おう何ともないぜ。因みに侵入された形跡もなかった
アグレス:そうか、なら良かった
サーシャ:ねぇバラク、カールとケルミア知らない?
アグレス:…いや待て。そんなことよりお前、なんで普通に声を出せているんだ?
バラク:ん?ああ、ケルミアのギフトが『切れたんだ』…!?なんだ今の光
サーシャ:今のはカールのギフト!?
アグレス:まさか…サーシャもう一度結界を張れ!今度は孤児院全体にだ!!
サーシャ:うん…
サーシャ:噓っ、範囲を広げたのに二人とも見当たらない!
アグレス:クソッ
バラク:アグレスどこに行く!?
アグレス:二人が攫われた可能性が高い!追いに行く!
バラク:無駄だ!光の範囲が広すぎて何処でギフトを使ったかが分からないうえに、今使ったということはケルミアの静寂の効果範囲外だ!
バラク:今からじゃ到底追いつかない
サーシャ:でも早く行かないと二人が!
バラク:もうじき院長達が帰ってくる。今助けに行くにしても戦力が足りない
アグレス:じゃあどうすれば…
バラク:落ち着け。すぐあいつらがどうなるってことはないはずだ
バラク:選別にかけられるまで時間がある。それまでに間に合えばいいし
バラク:そもそもあの二人は同年代と比べたら弱くはないほうだ。選別されても残る可能性の方が高い
アグレス:だが相手はログルス帝だ!そもそもお前が言ったんじゃないか。今回は傭兵もいるって
アグレス:さっきのカールが使ったギフトは抵抗の可能性もある
アグレス:あの能力は視覚に直接作用するものだ。奴らが動けない今なら追いつける
バラク:どこで使ったか分からないのに?
アグレス:グレアに向かっているはずだ。それなら、ある程度の方角は絞れる
バラク:…経験豊富な軍や傭兵がそんな素直に動くと思ってるのか?
アグレス:そ、それは…
バラク:それにな、追いついたところでどう助ける?敵の数も、ましてや能力も分からない
バラク:足手まといを抱えて逃げ切れると?ははっ随分と舐めてんだなぁアグレス様ぁ
バラク:それだけじゃない。お前が追いに行ってる間、ここの守りはどうなる?
バラク:直ぐに次が来ないとは言い切れないし
バラク:仮にそうなった場合、俺とサーシャだけじゃ全員は守りきれない
アグレス:だがっ…
バラク:お前個人の感情で皆を危険に晒すのか?
バラク:…それはログルス帝とやってることは同じだぞ
バラク:なぁ、アグレス・ログルス
アグレス:っ…
サーシャ:そこまでよバラク。これ以上アグレスを追い込まないで
バラク:なんだよサーシャ
バラク:俺が言ったことに何か間違いでもあったか?
サーシャ:ないわよ。でもそれとこれは別
サーシャ:私もバラクの意見には納得だけど、もっと言い方があるでしょう
アグレス:……
サーシャ:大丈夫、貴方の想いは分かっているわ。でも焦っては駄目よ
バラク:お前だって焦ってたじゃねーか
サーシャ:茶化さないで。今は冷静よ
サーシャ:それに…アグレスと喋っているの。邪魔をしないで
バラク:おー怖
サーシャ:(バラクを睨む)
バラク:…ごめんて
サーシャ:アグレス落ち着こ?悔しいけどバラクの言う通りだわ
サーシャ:私たち三人しか動けない以上、戦力を分けるわけにはいかない
サーシャ:せめてフォルグ院長とリネアネ副院長を待つべきよ。
アグレス:でも…
サーシャ:大丈夫。二人の無事を信じましょ?
アグレス:……分かった。取り乱してすまなかった
バラク:ほんとサーシャの言うことにだけには素直だよなぁー
サーシャ:バラク何か言った?
バラク:いーーや何でもない。時間ももったいないし、作戦会議でもしよう
アグレス:そうだなすぐ始めよう
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カール:どうしようどうしよう!僕のせいで僕のせいで!!
ケルミア:あっは、何これわたしたち攫われちゃったの!?あははははははは
カール:ケルミアはギフトの反動でこんなんだし!どうしようっ
傭兵B:何このガキ、さっきまで静かだったのに急にうるさいんだけど
傭兵A:概ねギフトの反動だろう。まだ幼いしギフトを制御しきれてないのではないか
傭兵B:はん!こんなガキども集めてどうすんのよ?まともな戦力になるわけ?
傭兵A:即戦力になれば万々歳。戦力にならなくても抜き取って、別の奴に受け継がせればいい
傭兵B:へぇー。あれ完成してたのね…(このセリフの後はAとアドリブで会話してください)
傭兵A:(Bとアドリブで会話)
カール:(ギフトを抜き取る!?やばいやばいせめてケルミアだけでも逃がさないと!)
カール:(…でも僕に出来るかな。いっつもみんなに迷惑かけてる僕が……)
カール:(違う違う!今は僕がやるしかないんだ!兄ちゃん達に教わったことを思い出せ!!)
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バラク:ん?ピンチになった時どうするか?そりゃーこう、心をアツアツにしてほあっちゃーーてすれば何とかなるだろ!
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カール:(違うこれじゃない。ていうかバラク兄教えるの下手すぎるよ!!じゃなくて……)
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アグレス:ピンチになった時の対処法か…そうなったら「頑張る」以外ないだろうな
アグレス:まぁ待て分かってる。でも、本当に頑張る以外ないんだ
アグレス:ただ何の為に頑張るかが大事なんだ
アグレス:カールはケルミアのことが大事なんだろう?ならケルミアのことを想って戦え
アグレス:想いを馳せろ。その為に頑張れ
アグレス:そしたらきっと、力が湧いてくるはずだよ
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カール:(うん、頑張るよ。僕、超がんばる!!!)
傭兵B:で、こいつらのギフトってなんな……
カール:ミア目閉じて!ギフト「明点」!!!!
傭兵B:!!
傭兵A:!!
カール:この人たちの目が見えなくなってるうちに…うわっ!?
傭兵B:舐めんじゃないわよクソガキ!!
カール:ど、どうして!?僕のギフトは少しの間、相手の目を見えなくするのに!
傭兵A:すまないな少年。私はすでに君のギフトの情報を持っていてね、対策済みなんだ。まぁ彼女は違うがね
傭兵B:ふざっけんじゃないわよ!なんでもっと早く言わないのよ!!
傭兵A:別に言っても言わなくても君のギフトの前では特に効果はないだろう?
傭兵B:それはそうだけど、こんなガキの攻撃食らったのが腹立つ!
カール:(うっそ!どっちにも効いてないの!?どうしよう、戦って勝てる相手じゃなさそうだし明点が効かないんじゃ逃げ切れない)
傭兵A:あー、少年
傭兵A:逃げようなんて考えないほうがいい。私達は酷い目に合わせたい訳じゃないんだ
傭兵A:おとなしくしていてくれれば危害を加えるつもりはないよ
傭兵B:あたしは嫌よ。どうせ選別にも耐えられないんだから今殺っても変わらないでしょ
傭兵B:それにこんなちんけな攻撃食らったのがホンットに腹が立つわ
傭兵A:後半が本音じゃないか。まぁ確かにこれ以上抵抗されるのも面倒だし、少し気を失ってもらおうかな
傭兵B:ならあたしにやらしてちょうだい。痛い目には合ってもらうけどね。そらっ!
カール:うわっ!くっ…
カール:(ダメだ、ギフトも効かないし戦っても勝てるような相手じゃないし…僕死んじゃうのかな)
傭兵B:ほらほらほらほらぁあっはあはははははははははは!さっさとくたばりなさいよクソガキぃ!
カール:(あはは……もう諦めよ…)
ケルミア:カール!!
カール:ミ、ミア!?大丈夫なの?
ケルミア:うん、もう治った
傭兵B:ちょっと何してんのよ!?ガキが邪魔してきたじゃない!近衛隊長のくせにガキ一人もまともに見れないわけ?
傭兵A:はは、耳が痛いね
傭兵A:(今何の音もしなかったぞ?彼女のギフトは未完成のはず。まさかね……)
ケルミア:カール諦めちゃダメ。私も一緒に戦うからがんばろ?
カール:うん、そうだね。勝てなくても時間を稼げば兄ちゃん達が来てくれるかもしれない
傭兵B:ちょっとちょっとぉ何希望見出しちゃってんの?時間を稼ぐ?笑わせないでよ。ガキごとき一瞬で殺してやるよ
ケルミア:きゃあっ!!?
カール:ミア!このぉっ
傭兵B:舐めんじゃないわよ!
カール:ぐっ
カール:(時間を稼ぎたくても僕たちの実力じゃ相手にならない……どうすれば)
ケルミア:カール!お兄ちゃんの言葉思い出して!!もうそれをやるしかないわ!!!
カール:アグレスの兄ちゃんが言ってた言葉……
傭兵B:あらー?目が少しずつ回復してきたかしら、薄っすら見えるようになってきたわねぇ
ケルミア:私が時間を稼ぐ。だから…お願いね
カール:ダメだミア!!
カール:(僕が頑張らないとミアが死んじゃう…兄ちゃん僕に力を分けて……)
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アグレス:カールにはまだ難しいと思うけどギフトにはね、そのギフトを極めた者だけが到達する事が出来る極致が有るんだ
アグレス:簡単に言うと、奥義とか必殺技ってやつだね
アグレス:その極致にたどり着いた時、とある声が聞こえるらしい
アグレス:それは自分の中に知らないうちに存在していて
アグレス:いつしか神様の贈り物だと信じられ『天能贈与』と名付けられた
アグレス:皆その天能贈与を使える様になるために日々努力している
アグレス:カールも使える様になるために頑張るといい。いつか、守りたい物を守れるように
0:
カール:(僕はギフトを極めたわけじゃない…)
カール:(だけど、もし本当に神様がいるのなら…)
カール:(どうか)
カール:(どうか)
カール:(僕にミアを、大好きな女の子を守る力をください)
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ケルミア:(どうしてかは分からないけど)
ケルミア:(いつも通りに戻った時、自分の中からギフトが失われていることに気がついた)
ケルミア:(だからなのか今とてもスッキリしている)
ケルミア:(私はここで生き残っても選別には耐えられない)
ケルミア:(なら今ここで、カールの盾として命燃え尽きたい)
ケルミア:(だから神様)
ケルミア:(どうか)
ケルミア:(カールに力を貸してあげてください。私の大好きな男の子のためにどうか……)
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傭兵B:ぐっこのメスガキ!さっさとくたばんなさいよ!何でこんなに耐える訳!?
ケルミア:ふふっおばさんには分からないわよ…一生ね
0:
???:純粋で綺麗な心を持つ子供たち。特別に力を与えましょう。貴方には………………を授けます。神のご加護があらんことを
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カール:!?この力は……
傭兵B:ハァハァ…無駄に耐えやがって
ケルミア:(間に合った、かしら…)
カール:ミア遅くなってごめんね。今、あいつ倒すから
ケルミア:…あら、かっこいいこと言うじゃない
ケルミア:じゃあ少し、休ませてもらうわね
カール:うん…僕もすぐ行くから待ってて
ケルミア:分かったわ…待ってる
傭兵B:あたしを倒すぅ?さっきまで手も足も出なかったガキがぁ、ほざくんじゃないわよ!!
カール:確かに僕じゃお前を倒せない。けど…お前の未来を閉ざすことは出来る
傭兵B:閉ざすぅ???何を意味の分からないこ…
カール:先獄
カール:今際は明泪
カール:瞬間に簒奪
カール:未来の暗魔
カール:監獄は此処に輝きは永遠に視す
傭兵A:これはまさか…ミィティア逃げろ!!
傭兵B:え……?
カール:天能贈与『明暗視獄奪』
傭兵B:…何?何よこれ!?何も見えない!!どうなってるのよ!!!
傭兵A:天能贈与…ギフトの極致をこんな子供が
カール:ハァハァ……ミア、僕頑張ったよ…ミアを傷つけたあいつを、懲らしめる事が出来たよ
ケルミア:頑張ったわね…でもごめんなさい
ケルミア:わたし…もうダメみたい
カール:大丈夫、僕も一緒に行くよ
カール:ミアを…一…人にはしない
ケルミア:ありがと…ねぇカール…わたしあなたのことが好きよ
カール:うん…僕もミアが大好きだよ
カール:(同時に)一緒に逝こう
ケルミア:(同時に)一緒に逝きましょう
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アグレス:これは各々の運命が交錯する始まりの第一歩《Crossroad》
アグレス:第一話【終焉の逝く末】
アグレス:俺が絶対に、皆を守ってみせる……
アグレス:(夢を見ていた。ようやく皆に手が届きそうな…そんな幸せな夢を)
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サーシャ:おはようアグレス。貴方がこんなに深く眠っているなんて珍しいわね?
アグレス:おはようサーシャ…ところで何故俺の手を握っているんだ?
サーシャ:え?だって貴方が苦しそうに手を伸ばしてたから
アグレス:そうなのか。すまない心配かけて…
サーシャ:そんなことないわよ。だってアグレスは
バラク:おーい!アグー!起きてるかー!おっと…お取込み中だったかぁ?
アグレス:おはようバラク。どうかしたか?
バラク:いんやー珍しく起きてくんのが遅かったから悪戯でもしてやろうかと思ってなー
バラク:そしたらイチャイチャしてっからよー
サーシャ:イチャイチャなんかしてないわよ?
アグレス:それで?何か用があって来たんだろ?
バラク:あーやっぱお前には通じないかー
アグレス:当たり前だ。俺を誰だと思ってる
バラク:わりーわりー。んで本題だが…ログルス帝が動き出した
アグレス:それは本当か?
バラク:おいおい俺をなんだと思ってんだ
サーシャ:噓つきね
アグレス:噓つきだな
バラク:2人同時に酷い言い様だな。だが残念ながらこれは事実だ
アグレス:分かった。準備を済ませたらすぐに行く
バラク:了解
サーシャ:ゆっくりでいいからね
アグレス:あぁ
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0:<孤児院の広間>
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カール:あー!アグレスの兄ちゃんだ!おっはよー!
ケルミア:お兄ちゃんおはよう。あとカールうるさい
カール:なんだとぉ!?そーゆーミアは静かすぎるんだよぉー
ケルミア:うるさいよりマシ
カール:やんのかぁー!
ケルミア:望むところよ
アグレス:おはよう。カール、ケルミア
サーシャ:二人とも喧嘩は駄目よ?
バラク:ホント仲いいよなぁ
カール:バラク兄ホント!?
ケルミア:うるさい仲良くない
カール:酷くね!??
アグレス:ケルミアはいつも通り「カールだけ」には辛辣だな
カール:そーなんだよーサーシャ姉ちゃんなんか言ってやってよー
ケルミア:サーシャ姉に泣きつくのはズル
サーシャ:ケルミア、「カールにだけ」酷いこと言わないの
ケルミア:…はぁい
カール:なぁなぁバラク兄
バラク:ん?どうしたカール?
カール:アグレスの兄ちゃんもサーシャ姉ちゃんも僕だけ僕だけ言うんだけど酷くない?
バラク:そりゃお前、ケルミアはカールのことが…
サーシャ:ん゛ん゛っバラク?それ以上はダメよ?
バラク:お、おおぅ。取り敢えずその笑顔怖いからやめてくれ
サーシャ:誰が怖いですって?
カール:え?え?めっちゃ気になるんだけど!?
アグレス:そこまでだ。サーシャまで乗っかってどうする
サーシャ:ふふっごめんなさい楽しくてつい
アグレス:バラクお前もだ。空気を読めバカ
バラク:確かに悪いのは俺だけどさぁ!なんか酷くね?なんか酷くね!?
アグレス:酷くないバカ。時間もないんだ、始めるぞバカ
サーシャ:ふふっほら始めるわよバカ
バラク:お前らぁ覚えとけよ!
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アグレス:皆集まったか。バラク、本題を頼む
バラク:あいよ。んじゃ早速本題だが…
バラク:ログルス帝が動いた。みんな分かっていると思うが、「ギフテッド」攫いだ
アグレス:それで今回事件が起きたのがここ、フォレス地区ということだ
バラク:補足さんきゅー。そしていつもと違う点が一つある
バラク:それは子供が対象ということだ。
サーシャ:まだギフトの扱いに慣れてない子供たちを?
バラク:そうなんだよー多分狙いはギフトの選別ってとこかなぁ
アグレス:選別?
バラク:あぁ。まあ俺の推測だけどな。攫い、篩にかけることで強制的にギフトの覚醒を促す。
バラク:この国が良くやる手口だ。そしてここは孤児院…後は分かるよな
サーシャ:親がいないから攫っても問題にされにくい…
アグレス:それに今院長は主都グレアに呼ばれていて不在。なるほど、絶好の機会ということか
バラク:そうだなぁ今回の呼び出しも狙ってやっているだろう。はぁめんどくせー
サーシャ:バラク子供たちの前よ
バラク:で、どう対策すっかだけど、俺とアグレスで何とかするしかないだろうなぁ
アグレス:…いや、警戒するのは俺だけでいい
バラク:は?なに言ってんだよ
サーシャ:そうよ!一人じゃ無理よ!
アグレス:大丈夫だ。一人の方が動きやすい。
カール:アグレスの兄ちゃん!僕もやるよ!!
ケルミア:足を引っ張るだけよ
カール:そんなことないよ!特訓だっていっぱいしたし!
サーシャ:カール、これは訓練とは違うのよ?
バラク:そうだぜ?敵は帝国軍。しかもちゃんと戦闘訓練を積んだ兵士だ
ケルミア:ギフトの練度も違う
カール:でもでも!一人より二人の方がいいじゃん!
バラク:それはそうだ。だから俺がやる
アグレス:ダメだ
バラク:なんでだよ?敵は帝国軍だけじゃない。傭兵を雇ってるって情報もある!
バラク:一人は危険だ!
アグレス:確かに本来なら俺とお前の二人で警戒するのが望ましいだろうな
バラク:ならどうしてっ
アグレス:バラクお前、ここ数日情報収集と当番でまともに寝てないだろ
バラク:何でそれを知って…
アグレス:当たり前だ。俺を誰だと思っている
バラク:だけど…
サーシャ:なら私が結界を張るわ。それならいいんじゃない?
アグレス:サーシャは昨日当番だったろう
サーシャ:大丈夫よ。体力には余裕があるし、バラクより元気よ?
アグレス:…確かにバラクが倒れ、カール以下の戦力になるよりはいいな
カール:なんかさらっと酷いこと言われてない??
ケルミア:事実なんだから仕方ないじゃない
カール:えぇぇ…
アグレス:だからバラク、今日は休め
バラク:…はいはい、分かりましたよアグレス様
バラク:んじゃあお言葉に甘えて、今夜はぐっすり眠らせてもらおうかなぁ
サーシャ:ふふ、今朝のアグレスみたいに?
バラク:そうだな。それはもう「幸せそうに」ぐっすりと…
アグレス:その話は無しだ
アグレス:さて、皆聞いてもらった通り、今日は俺が警戒にあたる
アグレス:16時以降はサーシャの結界から出ないようにな
アグレス:お前たちのことは俺が守る、だから安心して眠ってくれ
アグレス:それでは解散だ
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カール:なあミア
ケルミア:なにカール
カール:アグレスの兄ちゃんだけで本当に大丈夫かなぁ?
ケルミア:…貴方、まだ諦めてなかったのね
カール:もちろん!兄ちゃんたちはいつも僕たちを守るために頑張ってくれてるんだ!少しは楽させたいじゃん!!
ケルミア:それはそうだけど…
カール:な?ミアだって思うだろ?
ケルミア:…不安がないわけじゃないし、楽だってさせてあげたいけど…私たちには何もできないよ
カール:そんなことない!僕たちだってギフトを使いこなせる様になってきたんだ、何かの役には立てるはずだよ!
ケルミア:そんなこと言ったってお兄ちゃんが許可してくれるわけないじゃん
カール:分かってないなーミアは
ケルミア:なによ
カール:許可なんていらないさ!勝手にやればいいんだから!
ケルミア:すぐバレるのがオチだわ
カール:ミアのギフト使えばバレないって!
ケルミア:嫌よあれ使うと疲れるもの
カール:いいじゃん別に!あの状態のミア、僕は好きだよ?
ケルミア:な、なななっ何言ってるのよ!?
カール:それにさー僕たちを狙う悪者を退治出来たら、少しはアグレスの兄ちゃんに恩を返せると思わない?
ケルミア:それはそうかもしれないけど…
カール:じゃあ決定!大丈夫大丈夫!アグレスの兄ちゃんと反対側を警戒してればバレないから
ケルミア:…お兄ちゃんにバレたら全部カールのせいね
カール:おっけー!僕に任せなよ!!
ケルミア:はぁぁ…
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0:<数時間後>
0:<ケルミアの部屋>
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カール:よーし、ミア!MIV作戦開始だ!
ケルミア:MIV作戦?何それ
カール:ん?ああ、「ミアが入れば大丈ヴイ」作戦。略してMIV作戦だ!良いネーミングセンスだろー!?
ケルミア:ださっ
カール:ふん!お子ちゃまにはこのセンスは分からないだろうな
ケルミア:あなたの方が年下じゃない
カール:歳は関係ない!って言い合ってる場合じゃ!
カール:ミア「ギフト」よろしくー
ケルミア:…これ疲れるのよ?
カール:分かってるって!
ケルミア:はぁぁ…
ケルミア:静定
ケルミア:神授の森
ケルミア:遍く閑静の咆哮
ケルミア:始に感銘
ケルミア:終に音無し
ケルミア:ギフト静寂発動__『終慎遍瀞哭』
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0:<警戒中のアグレス>
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アグレス:(M)今朝は随分と変な夢を見た気がする
アグレス:(M)そのせいなのだろうか…とても嫌な予感がする
アグレス:(M)胸騒ぎが止まらない…なんだ、この違和感は
アグレス:(M)その違和感を探ろうと動き出した瞬間に気付いた
アグレス:(M)世界から音が消えていることに…
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アグレス:(これはケルミアのギフト!?いつからだ?どうしてこのタイミングで?いや、この際そんなことはどうでもいい)
アグレス:(音の鳴らない空間じゃあ警戒もくそもない!早く皆の所に戻らないと!!)
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アグレス:サーシャ!!
サーシャ:(っ!!?)
アグレス:無事だったかサーシャ、ギフトを使え。俺達のギフトには干渉できないはずだ
サーシャ:(頷く)
サーシャ:…ごめんなさい、私の結界も無効化されたみたいで
アグレス:無事ならそれでいい。他の皆は?
サーシャ:部屋にいたみんなは無事よ。でも…カールとケルミアだけ分からないの
アグレス:ケルミアだけじゃなくカールも…?
バラク:お前ら無事か
アグレス:バラク、無事だったか。
バラク:おう何ともないぜ。因みに侵入された形跡もなかった
アグレス:そうか、なら良かった
サーシャ:ねぇバラク、カールとケルミア知らない?
アグレス:…いや待て。そんなことよりお前、なんで普通に声を出せているんだ?
バラク:ん?ああ、ケルミアのギフトが『切れたんだ』…!?なんだ今の光
サーシャ:今のはカールのギフト!?
アグレス:まさか…サーシャもう一度結界を張れ!今度は孤児院全体にだ!!
サーシャ:うん…
サーシャ:噓っ、範囲を広げたのに二人とも見当たらない!
アグレス:クソッ
バラク:アグレスどこに行く!?
アグレス:二人が攫われた可能性が高い!追いに行く!
バラク:無駄だ!光の範囲が広すぎて何処でギフトを使ったかが分からないうえに、今使ったということはケルミアの静寂の効果範囲外だ!
バラク:今からじゃ到底追いつかない
サーシャ:でも早く行かないと二人が!
バラク:もうじき院長達が帰ってくる。今助けに行くにしても戦力が足りない
アグレス:じゃあどうすれば…
バラク:落ち着け。すぐあいつらがどうなるってことはないはずだ
バラク:選別にかけられるまで時間がある。それまでに間に合えばいいし
バラク:そもそもあの二人は同年代と比べたら弱くはないほうだ。選別されても残る可能性の方が高い
アグレス:だが相手はログルス帝だ!そもそもお前が言ったんじゃないか。今回は傭兵もいるって
アグレス:さっきのカールが使ったギフトは抵抗の可能性もある
アグレス:あの能力は視覚に直接作用するものだ。奴らが動けない今なら追いつける
バラク:どこで使ったか分からないのに?
アグレス:グレアに向かっているはずだ。それなら、ある程度の方角は絞れる
バラク:…経験豊富な軍や傭兵がそんな素直に動くと思ってるのか?
アグレス:そ、それは…
バラク:それにな、追いついたところでどう助ける?敵の数も、ましてや能力も分からない
バラク:足手まといを抱えて逃げ切れると?ははっ随分と舐めてんだなぁアグレス様ぁ
バラク:それだけじゃない。お前が追いに行ってる間、ここの守りはどうなる?
バラク:直ぐに次が来ないとは言い切れないし
バラク:仮にそうなった場合、俺とサーシャだけじゃ全員は守りきれない
アグレス:だがっ…
バラク:お前個人の感情で皆を危険に晒すのか?
バラク:…それはログルス帝とやってることは同じだぞ
バラク:なぁ、アグレス・ログルス
アグレス:っ…
サーシャ:そこまでよバラク。これ以上アグレスを追い込まないで
バラク:なんだよサーシャ
バラク:俺が言ったことに何か間違いでもあったか?
サーシャ:ないわよ。でもそれとこれは別
サーシャ:私もバラクの意見には納得だけど、もっと言い方があるでしょう
アグレス:……
サーシャ:大丈夫、貴方の想いは分かっているわ。でも焦っては駄目よ
バラク:お前だって焦ってたじゃねーか
サーシャ:茶化さないで。今は冷静よ
サーシャ:それに…アグレスと喋っているの。邪魔をしないで
バラク:おー怖
サーシャ:(バラクを睨む)
バラク:…ごめんて
サーシャ:アグレス落ち着こ?悔しいけどバラクの言う通りだわ
サーシャ:私たち三人しか動けない以上、戦力を分けるわけにはいかない
サーシャ:せめてフォルグ院長とリネアネ副院長を待つべきよ。
アグレス:でも…
サーシャ:大丈夫。二人の無事を信じましょ?
アグレス:……分かった。取り乱してすまなかった
バラク:ほんとサーシャの言うことにだけには素直だよなぁー
サーシャ:バラク何か言った?
バラク:いーーや何でもない。時間ももったいないし、作戦会議でもしよう
アグレス:そうだなすぐ始めよう
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カール:どうしようどうしよう!僕のせいで僕のせいで!!
ケルミア:あっは、何これわたしたち攫われちゃったの!?あははははははは
カール:ケルミアはギフトの反動でこんなんだし!どうしようっ
傭兵B:何このガキ、さっきまで静かだったのに急にうるさいんだけど
傭兵A:概ねギフトの反動だろう。まだ幼いしギフトを制御しきれてないのではないか
傭兵B:はん!こんなガキども集めてどうすんのよ?まともな戦力になるわけ?
傭兵A:即戦力になれば万々歳。戦力にならなくても抜き取って、別の奴に受け継がせればいい
傭兵B:へぇー。あれ完成してたのね…(このセリフの後はAとアドリブで会話してください)
傭兵A:(Bとアドリブで会話)
カール:(ギフトを抜き取る!?やばいやばいせめてケルミアだけでも逃がさないと!)
カール:(…でも僕に出来るかな。いっつもみんなに迷惑かけてる僕が……)
カール:(違う違う!今は僕がやるしかないんだ!兄ちゃん達に教わったことを思い出せ!!)
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バラク:ん?ピンチになった時どうするか?そりゃーこう、心をアツアツにしてほあっちゃーーてすれば何とかなるだろ!
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カール:(違うこれじゃない。ていうかバラク兄教えるの下手すぎるよ!!じゃなくて……)
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アグレス:ピンチになった時の対処法か…そうなったら「頑張る」以外ないだろうな
アグレス:まぁ待て分かってる。でも、本当に頑張る以外ないんだ
アグレス:ただ何の為に頑張るかが大事なんだ
アグレス:カールはケルミアのことが大事なんだろう?ならケルミアのことを想って戦え
アグレス:想いを馳せろ。その為に頑張れ
アグレス:そしたらきっと、力が湧いてくるはずだよ
0:
カール:(うん、頑張るよ。僕、超がんばる!!!)
傭兵B:で、こいつらのギフトってなんな……
カール:ミア目閉じて!ギフト「明点」!!!!
傭兵B:!!
傭兵A:!!
カール:この人たちの目が見えなくなってるうちに…うわっ!?
傭兵B:舐めんじゃないわよクソガキ!!
カール:ど、どうして!?僕のギフトは少しの間、相手の目を見えなくするのに!
傭兵A:すまないな少年。私はすでに君のギフトの情報を持っていてね、対策済みなんだ。まぁ彼女は違うがね
傭兵B:ふざっけんじゃないわよ!なんでもっと早く言わないのよ!!
傭兵A:別に言っても言わなくても君のギフトの前では特に効果はないだろう?
傭兵B:それはそうだけど、こんなガキの攻撃食らったのが腹立つ!
カール:(うっそ!どっちにも効いてないの!?どうしよう、戦って勝てる相手じゃなさそうだし明点が効かないんじゃ逃げ切れない)
傭兵A:あー、少年
傭兵A:逃げようなんて考えないほうがいい。私達は酷い目に合わせたい訳じゃないんだ
傭兵A:おとなしくしていてくれれば危害を加えるつもりはないよ
傭兵B:あたしは嫌よ。どうせ選別にも耐えられないんだから今殺っても変わらないでしょ
傭兵B:それにこんなちんけな攻撃食らったのがホンットに腹が立つわ
傭兵A:後半が本音じゃないか。まぁ確かにこれ以上抵抗されるのも面倒だし、少し気を失ってもらおうかな
傭兵B:ならあたしにやらしてちょうだい。痛い目には合ってもらうけどね。そらっ!
カール:うわっ!くっ…
カール:(ダメだ、ギフトも効かないし戦っても勝てるような相手じゃないし…僕死んじゃうのかな)
傭兵B:ほらほらほらほらぁあっはあはははははははははは!さっさとくたばりなさいよクソガキぃ!
カール:(あはは……もう諦めよ…)
ケルミア:カール!!
カール:ミ、ミア!?大丈夫なの?
ケルミア:うん、もう治った
傭兵B:ちょっと何してんのよ!?ガキが邪魔してきたじゃない!近衛隊長のくせにガキ一人もまともに見れないわけ?
傭兵A:はは、耳が痛いね
傭兵A:(今何の音もしなかったぞ?彼女のギフトは未完成のはず。まさかね……)
ケルミア:カール諦めちゃダメ。私も一緒に戦うからがんばろ?
カール:うん、そうだね。勝てなくても時間を稼げば兄ちゃん達が来てくれるかもしれない
傭兵B:ちょっとちょっとぉ何希望見出しちゃってんの?時間を稼ぐ?笑わせないでよ。ガキごとき一瞬で殺してやるよ
ケルミア:きゃあっ!!?
カール:ミア!このぉっ
傭兵B:舐めんじゃないわよ!
カール:ぐっ
カール:(時間を稼ぎたくても僕たちの実力じゃ相手にならない……どうすれば)
ケルミア:カール!お兄ちゃんの言葉思い出して!!もうそれをやるしかないわ!!!
カール:アグレスの兄ちゃんが言ってた言葉……
傭兵B:あらー?目が少しずつ回復してきたかしら、薄っすら見えるようになってきたわねぇ
ケルミア:私が時間を稼ぐ。だから…お願いね
カール:ダメだミア!!
カール:(僕が頑張らないとミアが死んじゃう…兄ちゃん僕に力を分けて……)
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アグレス:カールにはまだ難しいと思うけどギフトにはね、そのギフトを極めた者だけが到達する事が出来る極致が有るんだ
アグレス:簡単に言うと、奥義とか必殺技ってやつだね
アグレス:その極致にたどり着いた時、とある声が聞こえるらしい
アグレス:それは自分の中に知らないうちに存在していて
アグレス:いつしか神様の贈り物だと信じられ『天能贈与』と名付けられた
アグレス:皆その天能贈与を使える様になるために日々努力している
アグレス:カールも使える様になるために頑張るといい。いつか、守りたい物を守れるように
0:
カール:(僕はギフトを極めたわけじゃない…)
カール:(だけど、もし本当に神様がいるのなら…)
カール:(どうか)
カール:(どうか)
カール:(僕にミアを、大好きな女の子を守る力をください)
0:
ケルミア:(どうしてかは分からないけど)
ケルミア:(いつも通りに戻った時、自分の中からギフトが失われていることに気がついた)
ケルミア:(だからなのか今とてもスッキリしている)
ケルミア:(私はここで生き残っても選別には耐えられない)
ケルミア:(なら今ここで、カールの盾として命燃え尽きたい)
ケルミア:(だから神様)
ケルミア:(どうか)
ケルミア:(カールに力を貸してあげてください。私の大好きな男の子のためにどうか……)
0:
傭兵B:ぐっこのメスガキ!さっさとくたばんなさいよ!何でこんなに耐える訳!?
ケルミア:ふふっおばさんには分からないわよ…一生ね
0:
???:純粋で綺麗な心を持つ子供たち。特別に力を与えましょう。貴方には………………を授けます。神のご加護があらんことを
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カール:!?この力は……
傭兵B:ハァハァ…無駄に耐えやがって
ケルミア:(間に合った、かしら…)
カール:ミア遅くなってごめんね。今、あいつ倒すから
ケルミア:…あら、かっこいいこと言うじゃない
ケルミア:じゃあ少し、休ませてもらうわね
カール:うん…僕もすぐ行くから待ってて
ケルミア:分かったわ…待ってる
傭兵B:あたしを倒すぅ?さっきまで手も足も出なかったガキがぁ、ほざくんじゃないわよ!!
カール:確かに僕じゃお前を倒せない。けど…お前の未来を閉ざすことは出来る
傭兵B:閉ざすぅ???何を意味の分からないこ…
カール:先獄
カール:今際は明泪
カール:瞬間に簒奪
カール:未来の暗魔
カール:監獄は此処に輝きは永遠に視す
傭兵A:これはまさか…ミィティア逃げろ!!
傭兵B:え……?
カール:天能贈与『明暗視獄奪』
傭兵B:…何?何よこれ!?何も見えない!!どうなってるのよ!!!
傭兵A:天能贈与…ギフトの極致をこんな子供が
カール:ハァハァ……ミア、僕頑張ったよ…ミアを傷つけたあいつを、懲らしめる事が出来たよ
ケルミア:頑張ったわね…でもごめんなさい
ケルミア:わたし…もうダメみたい
カール:大丈夫、僕も一緒に行くよ
カール:ミアを…一…人にはしない
ケルミア:ありがと…ねぇカール…わたしあなたのことが好きよ
カール:うん…僕もミアが大好きだよ
カール:(同時に)一緒に逝こう
ケルミア:(同時に)一緒に逝きましょう
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アグレス:これは各々の運命が交錯する始まりの第一歩《Crossroad》
アグレス:第一話【終焉の逝く末】
アグレス:俺が絶対に、皆を守ってみせる……