台本概要

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タイトル 星の夢
作者名 maturit  (@inui_maturi)
ジャンル ファンタジー
演者人数 1人用台本(不問1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 ご自由に

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
スピカ 不問 1
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
スピカ:見渡す限りの地平線 スピカ:海に佇(たたず)む駅のホームで僕は列車を待っている スピカ:「まだこないのかな」 スピカ:両足を冷たい海水に浸(ひた)し、僕は空を仰(あお)ぐ スピカ:「綺麗だね」 スピカ:海より蒼い空に燦々(さんさん)と輝く星達が見下ろす スピカ:「早くそっちに行きたいなぁ」 スピカ:波ひとつない海面は僕の足で波紋(はもん)を広げる スピカ:地平線の彼方まで震えた海面は擽(くすぐ)ったそうだ スピカ:そんな僕を笑うように、小さな鳥が視界を過(よ)ぎる スピカ:「君たちは何処に行くんだい?」 スピカ:そんな問いかけに、小さな鳥はガラスが砕けるような音と共に海に沈む スピカ:「君はここが目的地だったんだね」 スピカ:小さく笑うと、鳥の創った波紋が足に静かに揺らす スピカ:「僕はまだ先なんだ」 スピカ:そういうと、悲しそうに波紋が消えた スピカ:「あと、どのくらい待てばいいのかな」 スピカ:この海に夜はない スピカ:太陽が遥か遠くで小さく輝く スピカ:この海に朝はない スピカ:月のないこの海は、星たちのフルオーケストラだ スピカ:「いつか…僕も歌いたいな」 スピカ:空の星を恨めしそうに見る スピカ:そして、僕は歌う スピカ:「らーららーらーらー」 スピカ:歌に合わせるように、星が点滅を繰り返す スピカ:「僕も混ぜてよ」 スピカ:世界が歌うこの星は…星の夢 スピカ:消えゆく星の最後 スピカ:「僕はまた歌うよ」 スピカ:遠くで汽笛が鳴り スピカ:足に大きな波を感じた スピカ:「ようやく来たね」 スピカ:海面を音も立てずに走る列車が駅のホームへと近づく スピカ:「さてと、待ちくたびれたよ」 スピカ:海から足を上げ、僅(わず)かに滴(したた)る スピカ:足の形に数歩 スピカ:そうして出来た水たまりに スピカ:空の星達が飛び込む様に光を映す スピカ:「急かさなくても、僕もそっちにいくよ」 スピカ:ホームに着いた列車は無人 スピカ:「じゃあね」 スピカ:開いたドアの中に入ると、先程海に沈んだ小鳥が窓際で小さく鳴く スピカ:「なんだ、君も僕と一緒に行きたいのかい?」 スピカ:小鳥は何も返さず、窓の外を見ては閉ざされた窓をコツンと啄(つつ)く スピカ:「開けて欲しいのかい?」 スピカ:小鳥は僕を向いて小さく囀(さえ)った スピカ:「はいはい」 スピカ:僕は列車の窓を引き上げて開くと、心地いい風が吹き込んだ スピカ:「これで満足かい?」 スピカ:小鳥はそこには居なかった スピカ:「なぁんだ、一緒に行きたいわけじゃなかったのか」 スピカ:開いた窓から外を眺める スピカ:何処までも変わらない地平線に光が灯る スピカ:「僕は長い旅に行くよ」 スピカ:汽笛が鳴り、列車が静かに動き出す スピカ:変わることの無い景色の中で、風を感じながら目を閉じた スピカ:「らーらーらー」 スピカ:歌う僕は夢を見ている スピカ:きっと、此処(ここ)には二度と戻ることは無い スピカ:「さあ、行こう」 スピカ:この列車が進むのは星の終わり スピカ:星屑(ほしくず)達が歌い続ける楽園 スピカ:「さあ、歌おう」 スピカ:砕けるようなパーカッション スピカ:燃えて絡むようなアンサンブル スピカ:「いつか…届きますように」 スピカ:僕は小さく微笑(ほほえ)んだ スピカ:星が流れるその刹那(せつな) スピカ:僕は歌う夢を見た

スピカ:見渡す限りの地平線 スピカ:海に佇(たたず)む駅のホームで僕は列車を待っている スピカ:「まだこないのかな」 スピカ:両足を冷たい海水に浸(ひた)し、僕は空を仰(あお)ぐ スピカ:「綺麗だね」 スピカ:海より蒼い空に燦々(さんさん)と輝く星達が見下ろす スピカ:「早くそっちに行きたいなぁ」 スピカ:波ひとつない海面は僕の足で波紋(はもん)を広げる スピカ:地平線の彼方まで震えた海面は擽(くすぐ)ったそうだ スピカ:そんな僕を笑うように、小さな鳥が視界を過(よ)ぎる スピカ:「君たちは何処に行くんだい?」 スピカ:そんな問いかけに、小さな鳥はガラスが砕けるような音と共に海に沈む スピカ:「君はここが目的地だったんだね」 スピカ:小さく笑うと、鳥の創った波紋が足に静かに揺らす スピカ:「僕はまだ先なんだ」 スピカ:そういうと、悲しそうに波紋が消えた スピカ:「あと、どのくらい待てばいいのかな」 スピカ:この海に夜はない スピカ:太陽が遥か遠くで小さく輝く スピカ:この海に朝はない スピカ:月のないこの海は、星たちのフルオーケストラだ スピカ:「いつか…僕も歌いたいな」 スピカ:空の星を恨めしそうに見る スピカ:そして、僕は歌う スピカ:「らーららーらーらー」 スピカ:歌に合わせるように、星が点滅を繰り返す スピカ:「僕も混ぜてよ」 スピカ:世界が歌うこの星は…星の夢 スピカ:消えゆく星の最後 スピカ:「僕はまた歌うよ」 スピカ:遠くで汽笛が鳴り スピカ:足に大きな波を感じた スピカ:「ようやく来たね」 スピカ:海面を音も立てずに走る列車が駅のホームへと近づく スピカ:「さてと、待ちくたびれたよ」 スピカ:海から足を上げ、僅(わず)かに滴(したた)る スピカ:足の形に数歩 スピカ:そうして出来た水たまりに スピカ:空の星達が飛び込む様に光を映す スピカ:「急かさなくても、僕もそっちにいくよ」 スピカ:ホームに着いた列車は無人 スピカ:「じゃあね」 スピカ:開いたドアの中に入ると、先程海に沈んだ小鳥が窓際で小さく鳴く スピカ:「なんだ、君も僕と一緒に行きたいのかい?」 スピカ:小鳥は何も返さず、窓の外を見ては閉ざされた窓をコツンと啄(つつ)く スピカ:「開けて欲しいのかい?」 スピカ:小鳥は僕を向いて小さく囀(さえ)った スピカ:「はいはい」 スピカ:僕は列車の窓を引き上げて開くと、心地いい風が吹き込んだ スピカ:「これで満足かい?」 スピカ:小鳥はそこには居なかった スピカ:「なぁんだ、一緒に行きたいわけじゃなかったのか」 スピカ:開いた窓から外を眺める スピカ:何処までも変わらない地平線に光が灯る スピカ:「僕は長い旅に行くよ」 スピカ:汽笛が鳴り、列車が静かに動き出す スピカ:変わることの無い景色の中で、風を感じながら目を閉じた スピカ:「らーらーらー」 スピカ:歌う僕は夢を見ている スピカ:きっと、此処(ここ)には二度と戻ることは無い スピカ:「さあ、行こう」 スピカ:この列車が進むのは星の終わり スピカ:星屑(ほしくず)達が歌い続ける楽園 スピカ:「さあ、歌おう」 スピカ:砕けるようなパーカッション スピカ:燃えて絡むようなアンサンブル スピカ:「いつか…届きますように」 スピカ:僕は小さく微笑(ほほえ)んだ スピカ:星が流れるその刹那(せつな) スピカ:僕は歌う夢を見た