台本概要

 80 views 

タイトル 僕は貯金をしています。
作者名 うどんマン  (@hello_udon_don)
ジャンル コメディ
演者人数 1人用台本(男1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 僕は貯金をしています。
ほしいものを買うために。

♯独特の世界観

 80 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
- ほしいものを買うために毎日貯金をしている変人
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:僕は貯金をしています。 0:欲しいものがあるから。 0:今日も、通りのショーウインドーに張り付いてそれを眺めています。 0:店員さんがやってきて僕に注意をします。 0:「ガラスが曇るからやめてくれ」 0:いつものことです。 0:聞き分けのいい僕は店員さんの言うことを聞いて、一度帰りました。帰ってから念入りに歯磨きをして、また戻ります。 0:うっとりです。 0:30センチメートル先には、ご立派なショルダーバッグが。 0:そうです。これが欲しいのです。 0:このとき僕は世の真理に気づきました。自分が気にしなければ、大抵のことで傷つくことはないのだと。 0:僕は今、ショルダーバッグ君と二人だけの世界にいて、愛を語り合っています。 0:いつもなら、通行人に変な目で見られて悲しくなってしまうのに、このときばかりは平気でした。 0:無駄に綺麗なショーウィンドーも張り付いてしまえば怖くありません。僕の目に通行人は映りません。見えません。 0:「ガラスが曇るからやめてくれ」 0:店員さんの言う通り、僕の呼吸と鼻息でガラスは曇るけれど、家に帰ってお口を綺麗にしてきたので今度は問題ありません。 0:ああ、でもここの店員さんはしつこい。僕を見るなり、またやってきました。 0:どうやら僕はブラックリストにのっているらしいです。それも上の方。悪い意味での有名人です。店員さんが教えてくれました。 0:しばらくごねていたら、「見ているだけの人はお客様ではありません」と。 0:しぶしぶレジ横のガムを購入しました。 0:これで僕も立派なお客様です。 0:お客様は神様だと聞いています。 0:今日から僕は通りのショーウィンドーに張り付いて、ただ欲しい商品をスーハースーハー眺めているだけの人ではなくなったのです。 0:お会計をすませ、店をあとにすると、ショルダーバッグ君と目が合います。 0:スーハースーハー。 0:はぁ、しつこい店員さん。またやってきました。 0:レジ横のガムは口臭ケア作用があって、さっきよりもお口は綺麗だというのに。スーハースーハーの何が問題なのでしょうか。 0:「そんなに欲しいなら買えばいいのに」 0:ああ、これだから店員さん。あなたはわかっていません。そう言われたって困るんですよ。 0: 0:僕は貯金をしています。 0:ショルダーバッグを買うために貯金をしています。 0:毎日毎日、1円貯金をしています。 0:1週間で7円。 0:1ヶ月で30円。もしくは31円。 0:1年かけて365円です。 0:ですから、「死ぬまでには買います。正確に言うと、死ぬまでには買えます。今はこの子を買えるだけのお金の余裕がないので。」 0:どや顔で続けます。 0:「安心して下さい店員さん。僕は100歳まで生きるつもりですから」 0:にっこり笑ってみせました。 0:36500円。僕が死ぬまでに使える贅沢費です。 0:道のりは遠いけれど、一歩一歩着実に目標に近づいています。 0:店員さんは何も言わずに帰っていきました。 0:僕の勝ちです。 0: 0:…ああ、忘れていました。さっき買ったガムでマイナス108円。 0:夢を叶えるためには時間と労力が必要。 0:1円貯金。今日も僕は貯金をしています。

0:僕は貯金をしています。 0:欲しいものがあるから。 0:今日も、通りのショーウインドーに張り付いてそれを眺めています。 0:店員さんがやってきて僕に注意をします。 0:「ガラスが曇るからやめてくれ」 0:いつものことです。 0:聞き分けのいい僕は店員さんの言うことを聞いて、一度帰りました。帰ってから念入りに歯磨きをして、また戻ります。 0:うっとりです。 0:30センチメートル先には、ご立派なショルダーバッグが。 0:そうです。これが欲しいのです。 0:このとき僕は世の真理に気づきました。自分が気にしなければ、大抵のことで傷つくことはないのだと。 0:僕は今、ショルダーバッグ君と二人だけの世界にいて、愛を語り合っています。 0:いつもなら、通行人に変な目で見られて悲しくなってしまうのに、このときばかりは平気でした。 0:無駄に綺麗なショーウィンドーも張り付いてしまえば怖くありません。僕の目に通行人は映りません。見えません。 0:「ガラスが曇るからやめてくれ」 0:店員さんの言う通り、僕の呼吸と鼻息でガラスは曇るけれど、家に帰ってお口を綺麗にしてきたので今度は問題ありません。 0:ああ、でもここの店員さんはしつこい。僕を見るなり、またやってきました。 0:どうやら僕はブラックリストにのっているらしいです。それも上の方。悪い意味での有名人です。店員さんが教えてくれました。 0:しばらくごねていたら、「見ているだけの人はお客様ではありません」と。 0:しぶしぶレジ横のガムを購入しました。 0:これで僕も立派なお客様です。 0:お客様は神様だと聞いています。 0:今日から僕は通りのショーウィンドーに張り付いて、ただ欲しい商品をスーハースーハー眺めているだけの人ではなくなったのです。 0:お会計をすませ、店をあとにすると、ショルダーバッグ君と目が合います。 0:スーハースーハー。 0:はぁ、しつこい店員さん。またやってきました。 0:レジ横のガムは口臭ケア作用があって、さっきよりもお口は綺麗だというのに。スーハースーハーの何が問題なのでしょうか。 0:「そんなに欲しいなら買えばいいのに」 0:ああ、これだから店員さん。あなたはわかっていません。そう言われたって困るんですよ。 0: 0:僕は貯金をしています。 0:ショルダーバッグを買うために貯金をしています。 0:毎日毎日、1円貯金をしています。 0:1週間で7円。 0:1ヶ月で30円。もしくは31円。 0:1年かけて365円です。 0:ですから、「死ぬまでには買います。正確に言うと、死ぬまでには買えます。今はこの子を買えるだけのお金の余裕がないので。」 0:どや顔で続けます。 0:「安心して下さい店員さん。僕は100歳まで生きるつもりですから」 0:にっこり笑ってみせました。 0:36500円。僕が死ぬまでに使える贅沢費です。 0:道のりは遠いけれど、一歩一歩着実に目標に近づいています。 0:店員さんは何も言わずに帰っていきました。 0:僕の勝ちです。 0: 0:…ああ、忘れていました。さっき買ったガムでマイナス108円。 0:夢を叶えるためには時間と労力が必要。 0:1円貯金。今日も僕は貯金をしています。