台本概要

 20 views 

タイトル 『闇市』~ヤッシー劇場
作者名 詩歌 -fumika-  (@tukiyonofumika)
ジャンル コメディ
演者人数 1人用台本(不問1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 ヤッシー劇場へようこそ。

昔々ではないあるところに、某星新一氏の生まれ変わりかと思われる、ヤッシーという男性がおりました。
ヤッシーが織りなすショートショートを、不肖詩歌-fimika-が台本化させていただきました。

基本独演(兼ね役)ですが、お二人で分担しても良いかと思います。
サクっと読めるショートショート、待ち合わせや残り時間にお楽しみください。

お話によって、男性だったり女性だったり動物だったり宇宙人だったり一人読みだったり兼ね役があったりします。男女不問。演者によって一人称や語尾を変えて演じていただいて良いです。
N)…モノローグ(心の声)です。

 20 views 

キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
М氏 不問 5 筋トレする人
売人 不問 2 アレをうる闇の売人。
ナレ 不問 1 ナレーター。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
ナレ:『闇市』 М氏:N)俺は今日も繁華街へ出かけた。少し前までは、外に出るのも億劫だったが、今は毎日30分は歩いている。軽いウォーキングだ。 М氏:N)あの法律が出来てから、人々の生活のあり方が大きく変わった。それが良いか悪いか、そういう二項対立(にこうたいりつ)は野暮(やぼ)というものだろう。 М氏:N)繁華街はいつものように、多くの人で賑わっている。 М氏:N)「閉店セール開催中!」あの店はいつも閉店セールだ。 М氏:N)「期間限定商品です!」ここの商品は回転が早いな。 М氏:N)「ハッピーアワーです!」昼間から酒を飲む気にはならない。 М氏:N)「学校の本質は工場です!」また政治家はくだらない演説をしている。 0:間 М氏:N)大通りを超えて、細い路地に入っていく。だんだん人通りも少なくなる。そこに1人のガタイのいい男(筋肉質の女)が座っていた。俺は男に話しかけた。 М氏:「いつもの。1キログラム」 売人:「12万円だな。」 М氏:「12万円?先週は、10万円だったじゃないか…」 売人:(静かに)「わかってるんだろ?ここは闇市だ。欲しい奴がいればそれだけ値段も上がる。」 М氏:N)わかってるよ…と言いたかったが、俺は黙って金を払った。 М氏:N)そしてそれを何重にも袋で包み、誰にも見つからないように持って帰った。途中、警察官とすれ違ったが、気付かれることはなかった。 0:間 М氏:N)「国民健康増進法」…通称「むきむき法」。むきむき法とは、体脂肪率が規定数を超えた者に、重税を課す法律だ。 М氏:N)この法律のおかげで、国民は確かに健康になった。しかし、それと同時に起こったのは、プロテイン価格の高騰である。プロテインは市場から姿を消し、一部の富裕層(ふゆうそう)が独占した。 М氏:N)一般人は闇市で買うしかないが、その値段がどんどん上がっている。違法タンパク質の取り締まりも厳しくなり、国民は健康になったが、生活は豊かにならなかった。 М氏:N)家についた俺は、闇市で買ったプロテインを、ため息と一緒に飲み込んだ。ああ、そろそろスクワットの時間だ。 0:--『闇市』--

ナレ:『闇市』 М氏:N)俺は今日も繁華街へ出かけた。少し前までは、外に出るのも億劫だったが、今は毎日30分は歩いている。軽いウォーキングだ。 М氏:N)あの法律が出来てから、人々の生活のあり方が大きく変わった。それが良いか悪いか、そういう二項対立(にこうたいりつ)は野暮(やぼ)というものだろう。 М氏:N)繁華街はいつものように、多くの人で賑わっている。 М氏:N)「閉店セール開催中!」あの店はいつも閉店セールだ。 М氏:N)「期間限定商品です!」ここの商品は回転が早いな。 М氏:N)「ハッピーアワーです!」昼間から酒を飲む気にはならない。 М氏:N)「学校の本質は工場です!」また政治家はくだらない演説をしている。 0:間 М氏:N)大通りを超えて、細い路地に入っていく。だんだん人通りも少なくなる。そこに1人のガタイのいい男(筋肉質の女)が座っていた。俺は男に話しかけた。 М氏:「いつもの。1キログラム」 売人:「12万円だな。」 М氏:「12万円?先週は、10万円だったじゃないか…」 売人:(静かに)「わかってるんだろ?ここは闇市だ。欲しい奴がいればそれだけ値段も上がる。」 М氏:N)わかってるよ…と言いたかったが、俺は黙って金を払った。 М氏:N)そしてそれを何重にも袋で包み、誰にも見つからないように持って帰った。途中、警察官とすれ違ったが、気付かれることはなかった。 0:間 М氏:N)「国民健康増進法」…通称「むきむき法」。むきむき法とは、体脂肪率が規定数を超えた者に、重税を課す法律だ。 М氏:N)この法律のおかげで、国民は確かに健康になった。しかし、それと同時に起こったのは、プロテイン価格の高騰である。プロテインは市場から姿を消し、一部の富裕層(ふゆうそう)が独占した。 М氏:N)一般人は闇市で買うしかないが、その値段がどんどん上がっている。違法タンパク質の取り締まりも厳しくなり、国民は健康になったが、生活は豊かにならなかった。 М氏:N)家についた俺は、闇市で買ったプロテインを、ため息と一緒に飲み込んだ。ああ、そろそろスクワットの時間だ。 0:--『闇市』--