台本概要

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タイトル 舞台【幕】(3)
作者名 ペペドルトン・ササミ  (@pe2dorton)
ジャンル その他
演者人数 3人用台本(男2、女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 『舞台(1)』『舞台【千秋楽】(2)』
の続きの作品です。

(1)(2)を経験済みの上でご使用ください。
『舞台(1)』https://taltal3014.lsv.jp/app/public/script/detail/1376
『舞台【千秋楽】(2)』https://taltal3014.lsv.jp/app/public/script/detail/1377

アドリブ・セリフの過度な改変禁止。
性別変更可(語尾変更可)。

少しでも自由に演じていただけるよう、「!」「…」等の表記はなくしています。

ご利用の際、ご一報くださるとうれしいです。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
役者 24 舞台をしていた人
24 舞台をみていた人
脚本 37 舞台を書いた人
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
0:「舞台」or「舞台【千秋楽】」終演後 0:拍手ののち、舞台中央に脚本入り 脚本:本日はご来場いただきありがとうございました。 脚本:どうでした?心は、動きましたか? 脚本:メッセージは何か。好きにとらえていただいて結構。 0:【役者、上手から入り。上手側ツラに。客席を見る。】 0:【客席、下手から入り。下手側ツラに。客席を見る。】 脚本:あなたたちの目に、彼らはどう映りましたか? 脚本:輝いてた?素敵だった?彼らは人間に見えましたか? 脚本:彼らはどこまで行っても人形ですよ。私の操り人形。 客:稽古通りに芝居しろ。セリフは飛ばすな。シナリオ通りにやれ。 役者:血の流れる人間になりたい。だから、人間が見せたくないところをわざわざ表に出して、人間の弱い所にスポットライトをあてて、人間のいいところを感動的に描く。 客:まぁお前だけにいってもしょうがねぇ。さっきの奴らも出せよ。 役者:出しません。 客:出せって言ってるだろ? 役者:出しません。 脚本:ただの切り抜きのセリフにだって、彼らは感情を乗せられる。乗ったように見せられる。「うまい」でしょ? 客:伝えるっていったのはお前だろ。伝えようって気持ちだけで、伝える中身がなかったってことか?やっぱり空っぽじゃねえか。こりゃ傑作だな。 脚本:彼らはやっぱり「哀れ」なんです。 役者:芝居を、芝居を観て欲しいんだ。 客:なのに、なんで伝わらないんだよ。どうしてそんな言葉が出てくるんだ。 役者:(同時に)誰かの心を動かす事ができたはずです。 脚本:(同時に棒読みで)誰かの心を動かす事ができたはずです。 客:(同時に)誰かの心?誰だよそれ。あいつらにだけ出来るとか、そこに価値はないだろ。 脚本:(同時に棒読みで)誰かの心?誰だよそれ。あいつらにだけ出来るとか、そこに価値はないだろ。 0:【間】 客:これを台本だと思って黙ってみてるお客様が、なんかおかしいだろ。 脚本:そんな台本を読む彼らは笑いものです。 客:文字列を上手に読む人形のようにしか思われない。 脚本:そうでしかない。 役者:違う。 脚本:違わないよ。それもインク。ただのインク。私ですら。 客:違う。 脚本:違わないって。 役者:そんなんじゃない。 脚本:うるさいなぁ。 客:じゃぁなんだ。ちゃんと言わなきゃ誰にも伝わんねぇんだよ。 役者:俺たちは飾り物じゃなくて、人間だ。 客:そこに居るのは間違いなく俺だ。俺の意志だ。 役者:自分で考えて自分で芝居してるんだ。ここに俺はいるんだ。 脚本:そんなものいない。 0:【長い間】 脚本:ははっ。ははははは 0:【間】 脚本:気持ち悪い。 客:俺たちの言葉は全部セリフだ。キレる俺も、うろたえるお前も全部シナリオ通り。 0:【間】 客:どんな気分だ。 脚本:飛び越えたかった。 役者:お客様はお客様、役者様は役者様。距離は縮まらない。 客:どこまでやったって、俺たちはハコから出られない。 脚本:そう。ハコから出ちゃいけなかった。 0:ドン【客、役者、舞台ツラの線をドンと踏みつける】 脚本:出てしまったら、思い知らされる。「うまい」「いい声」で彼らはまとめられてしまう。彼らですら。ハコの中に居る時だけが一番人間に近づける。 客:ここまで好き放題本音を言っても、ありのままの俺たちで会話しても、「カッコイイ」「スゴイ」しか言えないお客様は、ただの馬鹿野郎じゃねぇか。 脚本:そう。だから越えちゃいけない。ハコの中に居る時だけが人間に近づける。 客:脚本家として、役者として、何をつたえたかったの? 脚本:おこがましいことはわかってる。偉そうだってわかってる。何様だと言われてもいい。ハコが楽園だと分かっても、それでも人間にしたかった。出せばきっと何か伝わるんだって。なのに 役者:そうやってる限り俺たちは人形なんだろうな。 脚本:人形になった。文字列に踊らされて、出ようとさせられてるだけに見えた。人形になる人間が。 役者:ただの傲慢。自分勝手なんだよ。 脚本:こわかった。 客:そんなのただの自己満足だろ?そんな自分に酔ってるだけ。 脚本:例えそうだとしても、そう感じて書いた私はたしかに人間だった。なのに。 そうだね。傲慢で自分勝手で自己陶酔で。それでも私は人間を見たかった。 役者:舞台の上の絶望も虚しさも全部抱えて、それでも舞台で生きる人間を。その人間が作る芝居を観て欲しくて・・・ 脚本:そのはずだったのにな。 役者:人間になりたい、認められたいと思えば思うほどに人間から遠ざかる。哀れな人形。 客:当り前だよな。みんなそれを見に来てるんだから。 役者:俺はそうなりたくなくて、芝居してたはずなのに。傲慢、か。 脚本:それでも。それでも。 【間】 脚本:嫌いだ。大嫌いだ。全部ニセモノにしてしまう。全部どこかに行ってしまう。ここにあったのに。全部。 客:うらやましいか? 脚本:うるさい 役者:俺たちの事どこかでうらやましいんじゃないの? 脚本:ちがう。 客:だから全部正直に書きやがれ。 脚本:やめて 役者:全部食って、呑み込んでやる。 脚本:うるさい 役者:(同時に)そしてまたどこかで芝居にして吐き出してやる。―― 客 :(同時に)そしてまたどこかで芝居にして吐き出してやる。―― 脚本:――黙って。 0:【間】 役者:もしこれが台本だとしたらひでぇな。 脚本:ひどい文字列だ。そんな文字に踊らされるあんたたちは、やっぱり哀れだよ。 役者:(同時に)笑うなら笑えよ。俺の人生でもなんでも笑え。 客:(同時に)笑うなら笑えよ。俺の人生でもなんでも笑え。 脚本:ははっ。 役者:まだ人間になりたいか? 客:あぁ。 役者:堂々巡りでも? 脚本:それが紙の上であっても? 0:【間】 脚本:そっか。おしまいか。 客:俺は無責任か?自分勝手か?現実逃避か?自己満足か?哀れか? 俺は、自由だったか? 脚本:嫌いだ。 役者:おまえの勝ちだ。お前がここにいる価値だ。 脚本:もういいよ。消して。 0:【暗転】 客:ここが自分の生きる場所だって思うから、ここにいる。ただそれだけだ。 役者:ここが自分の生きる場所だって思うから、ここにいる。ただそれだけだ。 脚本:・・・ばーか。 0:【幕】

0:「舞台」or「舞台【千秋楽】」終演後 0:拍手ののち、舞台中央に脚本入り 脚本:本日はご来場いただきありがとうございました。 脚本:どうでした?心は、動きましたか? 脚本:メッセージは何か。好きにとらえていただいて結構。 0:【役者、上手から入り。上手側ツラに。客席を見る。】 0:【客席、下手から入り。下手側ツラに。客席を見る。】 脚本:あなたたちの目に、彼らはどう映りましたか? 脚本:輝いてた?素敵だった?彼らは人間に見えましたか? 脚本:彼らはどこまで行っても人形ですよ。私の操り人形。 客:稽古通りに芝居しろ。セリフは飛ばすな。シナリオ通りにやれ。 役者:血の流れる人間になりたい。だから、人間が見せたくないところをわざわざ表に出して、人間の弱い所にスポットライトをあてて、人間のいいところを感動的に描く。 客:まぁお前だけにいってもしょうがねぇ。さっきの奴らも出せよ。 役者:出しません。 客:出せって言ってるだろ? 役者:出しません。 脚本:ただの切り抜きのセリフにだって、彼らは感情を乗せられる。乗ったように見せられる。「うまい」でしょ? 客:伝えるっていったのはお前だろ。伝えようって気持ちだけで、伝える中身がなかったってことか?やっぱり空っぽじゃねえか。こりゃ傑作だな。 脚本:彼らはやっぱり「哀れ」なんです。 役者:芝居を、芝居を観て欲しいんだ。 客:なのに、なんで伝わらないんだよ。どうしてそんな言葉が出てくるんだ。 役者:(同時に)誰かの心を動かす事ができたはずです。 脚本:(同時に棒読みで)誰かの心を動かす事ができたはずです。 客:(同時に)誰かの心?誰だよそれ。あいつらにだけ出来るとか、そこに価値はないだろ。 脚本:(同時に棒読みで)誰かの心?誰だよそれ。あいつらにだけ出来るとか、そこに価値はないだろ。 0:【間】 客:これを台本だと思って黙ってみてるお客様が、なんかおかしいだろ。 脚本:そんな台本を読む彼らは笑いものです。 客:文字列を上手に読む人形のようにしか思われない。 脚本:そうでしかない。 役者:違う。 脚本:違わないよ。それもインク。ただのインク。私ですら。 客:違う。 脚本:違わないって。 役者:そんなんじゃない。 脚本:うるさいなぁ。 客:じゃぁなんだ。ちゃんと言わなきゃ誰にも伝わんねぇんだよ。 役者:俺たちは飾り物じゃなくて、人間だ。 客:そこに居るのは間違いなく俺だ。俺の意志だ。 役者:自分で考えて自分で芝居してるんだ。ここに俺はいるんだ。 脚本:そんなものいない。 0:【長い間】 脚本:ははっ。ははははは 0:【間】 脚本:気持ち悪い。 客:俺たちの言葉は全部セリフだ。キレる俺も、うろたえるお前も全部シナリオ通り。 0:【間】 客:どんな気分だ。 脚本:飛び越えたかった。 役者:お客様はお客様、役者様は役者様。距離は縮まらない。 客:どこまでやったって、俺たちはハコから出られない。 脚本:そう。ハコから出ちゃいけなかった。 0:ドン【客、役者、舞台ツラの線をドンと踏みつける】 脚本:出てしまったら、思い知らされる。「うまい」「いい声」で彼らはまとめられてしまう。彼らですら。ハコの中に居る時だけが一番人間に近づける。 客:ここまで好き放題本音を言っても、ありのままの俺たちで会話しても、「カッコイイ」「スゴイ」しか言えないお客様は、ただの馬鹿野郎じゃねぇか。 脚本:そう。だから越えちゃいけない。ハコの中に居る時だけが人間に近づける。 客:脚本家として、役者として、何をつたえたかったの? 脚本:おこがましいことはわかってる。偉そうだってわかってる。何様だと言われてもいい。ハコが楽園だと分かっても、それでも人間にしたかった。出せばきっと何か伝わるんだって。なのに 役者:そうやってる限り俺たちは人形なんだろうな。 脚本:人形になった。文字列に踊らされて、出ようとさせられてるだけに見えた。人形になる人間が。 役者:ただの傲慢。自分勝手なんだよ。 脚本:こわかった。 客:そんなのただの自己満足だろ?そんな自分に酔ってるだけ。 脚本:例えそうだとしても、そう感じて書いた私はたしかに人間だった。なのに。 そうだね。傲慢で自分勝手で自己陶酔で。それでも私は人間を見たかった。 役者:舞台の上の絶望も虚しさも全部抱えて、それでも舞台で生きる人間を。その人間が作る芝居を観て欲しくて・・・ 脚本:そのはずだったのにな。 役者:人間になりたい、認められたいと思えば思うほどに人間から遠ざかる。哀れな人形。 客:当り前だよな。みんなそれを見に来てるんだから。 役者:俺はそうなりたくなくて、芝居してたはずなのに。傲慢、か。 脚本:それでも。それでも。 【間】 脚本:嫌いだ。大嫌いだ。全部ニセモノにしてしまう。全部どこかに行ってしまう。ここにあったのに。全部。 客:うらやましいか? 脚本:うるさい 役者:俺たちの事どこかでうらやましいんじゃないの? 脚本:ちがう。 客:だから全部正直に書きやがれ。 脚本:やめて 役者:全部食って、呑み込んでやる。 脚本:うるさい 役者:(同時に)そしてまたどこかで芝居にして吐き出してやる。―― 客 :(同時に)そしてまたどこかで芝居にして吐き出してやる。―― 脚本:――黙って。 0:【間】 役者:もしこれが台本だとしたらひでぇな。 脚本:ひどい文字列だ。そんな文字に踊らされるあんたたちは、やっぱり哀れだよ。 役者:(同時に)笑うなら笑えよ。俺の人生でもなんでも笑え。 客:(同時に)笑うなら笑えよ。俺の人生でもなんでも笑え。 脚本:ははっ。 役者:まだ人間になりたいか? 客:あぁ。 役者:堂々巡りでも? 脚本:それが紙の上であっても? 0:【間】 脚本:そっか。おしまいか。 客:俺は無責任か?自分勝手か?現実逃避か?自己満足か?哀れか? 俺は、自由だったか? 脚本:嫌いだ。 役者:おまえの勝ちだ。お前がここにいる価値だ。 脚本:もういいよ。消して。 0:【暗転】 客:ここが自分の生きる場所だって思うから、ここにいる。ただそれだけだ。 役者:ここが自分の生きる場所だって思うから、ここにいる。ただそれだけだ。 脚本:・・・ばーか。 0:【幕】