台本概要
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タイトル | 恋に成る【4部構成。第1部】 |
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作者名 | ゆる男 (@yuruyurumanno11) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 7人用台本(男2、女4、不問1) |
時間 | 40 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
.*・゚ .゚・*..*・゚ .゚・*..*・゚ .゚・*.*・゚ .゚・*.*・゚ .゚・*. 「誤解じゃない!悪意でしょ!」 「いっそ全身の匂いでも嗅いでみる?…」 「な、なんで俺なんだよ!」 「光井君…ありがとう」 「いつから…遠くなっちゃったんだろ?」 「…なんでそんな悲しい顔するんだよ」 .*・゚ .゚・*.*・゚ .゚・*.*・゚ .゚・*.*・゚ .゚・*.*・゚ .゚・*. 〜ヘアセットやヘアケアが大好きな男子高校生〜 【光井風馬】 彼に与えられた試練はやがて気付かされる 「ふーまに髪やってもらってる時が1番幸せ」 〜風馬の幼なじみ〜 【戸塚ひまわり】 「光井君がこうやって私を守ってくれたように 今度は私が光井君を守るから…」 〜初恋の相手??〜 【水瀬遥香】 誰が1番大切な人なのか 好きとは何か……… 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 こちらの台本は4部構成の話で1部になります この台本だけでも面白くなるように心がけてますのでこれだけ演じるのもありです! 続きが気になればそのまま続けて貰えたら光栄です! 野良劇の場合はクレジット表記などしなくて大丈夫です。 タイトルの右上にX(ツイッター)でつぶやけるので、つぶやいてくれたら今後のモチベーションに繋がりますm(_ _)m 約束劇の場合はなんでもいいのでクレジット表記してもらえると助かります! ぶっちゃけ何でもいいです!読んでもらえたら嬉しいです! 885 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
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風馬 | 男 | 231 | 風馬『ふうま』 ヘアセットが大好きな高校生。ひまわりの幼なじみだが、初恋は……?ツッコミ多めの主人公です |
ひまわり | 女 | 143 | ひまわり 風馬の幼なじみ。元気で明るい性格だが少し気を使う女の子。でもとにかく明るい! |
遥香 | 女 | 100 | 遥香『はるか』 お花が大好きな女の子。少し静かめだが花を見るとテンションが上がる。密かに燃え上がる恋心がある? |
奏音 | 女 | 36 | 奏音『かのん』 全体的に真面目すぎる一面がある。割とツッコミ役になる。でも仕切ってくれるから助かる |
大翔 | 男 | 32 | 大翔『ひろと』 ちょっと抜けてる所がある高校生。意外と甘えたがりな部分もある |
雛 | 女 | 31 | 雛『ひな』 少し男口調な感じ。でも性格も割とはっちゃけてるからクールでは無いかな?ボケとツッコミ両方出来る。万能! |
先生 | 不問 | 27 | 先生 セリフ数は少ないけどインパクトはめちゃくちゃある。果物ナイフを投げるのが趣味 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
奏音:誤解じゃない!悪意でしょ!
雛:いっそ全身の匂いでも嗅いでみる?…
大翔:な、なんで俺なんだよ!
遥香:光井君…ありがとう
ひまわり:いつから…遠くなっちゃったんだろ?
風馬:…なんでそんな悲しい顔するんだよ
ひまわり:『恋に成る』
0:【間】
ひまわり:1章『入学とあの子の髪』
風馬:んーー。なかなか上手くいかないなー。アイロン使うかー。前髪がシャープにならん。……まあいっか
ひまわり:おーーい!ふーまー!
風馬:……この声は
0:風馬はカーテンを開ける
0:向かいの家の窓に視界を向ける
ひまわり:おーーい!
風馬:何してんだよ
ひまわり:今日から高校生だね!
風馬:朝からうるせーなー
ひまわり:ふーママにも制服姿見せに行ってもいい?
風馬:勝手にしろよ。母さんも喜ぶと思うしな
ひまわり:やったー!今から家に行くね
風馬:……はあ
ひまわり:改めてー。おっはよー!!ふーまー!
風馬:頭痛くなってきた
ひまわり:ふーママー!制服どうー?一緒に写真撮ろうよー!
風馬:………ひまわり?
ひまわり:ん?
風馬:前髪うねってるぞ
ひまわり:あ!ほんとだ!
風馬:全く、入学式でそんなにボサボサな前髪は俺が許さねーぞ!
ひまわり:じゃあ直してー
風馬:はいはい
0:ひまわりの前髪を直して2人は学校へ行く
ひまわり:わーい!ここが私たちの学び舎ね!
風馬:お前、普段全然勉強してねーだろ。何が学び舎だ
ひまわり:細かいことは気にしないのー!クラス表見てこよ
風馬:あ!先に行くなよ!
ひまわり:ねー!ふーま!!同じクラスだよ!!
風馬:お、おう。まじか
ひまわり:やったねー!同じクラスって幼稚園以来じゃない?
風馬:そ、そうだな
ひまわり:早く教室行こうよー!
風馬:はいはい
0:教室に移動する
風馬:自分の席に座って待ってろよ?
ひまわり:はーい。じゃあまたねー
風馬:……ったく
0:ひまわりは自分の席に着く
奏音:………
ひまわり:とーんとん
奏音:………え?
ひまわり:前の席の子だよね。よろしくね!
奏音:う、うん。よろしく
風馬:あいつ、早速友達作ろうとしてるなー。コミュ力おばけが
遥香:………
風馬:………っ
0:遥香は風馬の後ろの席に座る
風馬:(………綺麗な髪だな)
0:【バァン!!】
0:机を叩く大きな声が響く
先生:貴様ら。席に着け
風馬:あ、あれ先生か?
先生:貴様ら入学おめでとう。そして今日から貴様らの担任をする事になった担任の先生だ
風馬:……いや、担任の先生って…
先生:っ!!
0:【シュパンッ!!】
風馬:ひぃ!!
0:風馬の机に果物ナイフが刺さる
先生:余計なことを口走るな。私はいくら生徒だとしても戦闘をする準備は出来ている
風馬:いや、過去に何してきたんだよー!
先生:では、出席確認をする。呼ばれたものは返事をするように
0:先生は名前を読み上げる
先生:北谷大翔
大翔:はーい
先生:手島奏音
奏音:はい
先生:戸塚ひまわり
ひまわり:いえーーーす!!
先生:光井風馬
風馬:はい
先生:水瀬遥香
遥香:はい
風馬:…………水瀬…遥香?
先生:湯山雛
雛:はーい
先生:では、プリントを配る。足りなくなったら言ってくれ
風馬:………
0:風馬は後ろの席の遥香にプリントを渡す
遥香:………ありがとう
風馬:………っ。お、おう
風馬:(……まさか……いや、違うよな?)
0:入学式も終わる
風馬:(俺の……後ろに…あの子がいる?)
先生:じゃあ。注意事項は以上だ。起立。それでは貴様らさようなら
0:全員同時に
風馬:さようなら
ひまわり:さようなら
遥香:さようなら
大翔:さようなら
奏音:さようなら
雛:さようなら
雛:よーし、奏音、それとー、大翔も一応一緒に帰る?
大翔:おーう。帰ろうぜー
奏音:あ、待って。ひまちゃん、こっち来てー
ひまわり:んー?なになにー?
奏音:私の中学の友達だよ。大翔と雛
雛:えぇー?奏音、友達出来たの?人見知りなのに
奏音:いや、ひまちゃんが入学式中もいっぱい話してくれたからだよ
ひまわり:うん!奏音ちゃんちっちゃくて可愛いなーって思ってたの!
雛:よく吠えるチワワみたいだもんなー
奏音:誰がチワワよ!
大翔:チワワ……はっ!お手も出来るのか!?
奏音:絞め殺すわよ?
ひまわり:あ、そしたら私もふーまがいるよ
大翔:風馬?
ひまわり:うん!幼なじみの…あれ?どこ行ったんだろ?
0:場面転換
0:教室の外に風馬と遥香は居た
風馬:……っ!あの!
遥香:……はい
風馬:……俺の事…覚えてますか?
遥香:……うん。覚えてるよ
風馬:………ほんとに?
遥香:うん。ごめんなさい。なんて声掛けたらいいかわからなかった
風馬:いや、いいんだよ
遥香:名前は光井君でいいんだっけ?
風馬:うん。水瀬だよな?
遥香:そうだよ。すぐ近くの席が光井君でよかった。これからもよろしくね
風馬:こちらこそ…よろしく
ひまわり:………ふーま?
ひまわり:………
0:ひまわりは風馬に気づかれないように教室に戻る
ひまわり:ふーま居なかったー!
雛:なーんだよ。ひまわりの友達だからとんでもないのが来るかと思ったのに
ひまわり:とんでも?
奏音:凄そうな雰囲気はある
ひまわり:ないよー!ましてやふーまなんか
大翔:んーまあそいつが忙しいなら俺らだけで帰るか?
ひまわり:あ、………やっぱ私ふーまのこと待ってるね
雛:ほーん。彼氏?
ひまわり:違うよ。幼なじみ
雛:違うのか。まあいいや、じゃあねー
ひまわり:うん!またねー
0:3人は教室を出る
ひまわり:………さっきの子…中学の時の……
遥香:『恋に成る』
0:【間】
遥香:2章『偶然と懐かしい髪』
0:風馬とひまわりが中学の時の話
ひまわり:ふーまー一!!!ドーーン!!
風馬:うぎゃぁーー!
ひまわり:一緒に帰ろ?
風馬:い、いってぇな!危なすぎだろ!タックルなんてレベルじゃねーぞ!
ひまわり:そんな怒ったら血圧上がって死に至るよ?
風馬:お前が至らせてるんだろ!
風馬:大体な、俺とお前が一緒に帰ってると噂されるんだよ
ひまわり:なんの噂ー?
風馬:付き合ってるって噂
ひまわり:そうなの?
風馬:そうだよ!お前は色んな人と仲良くしてるだろ?俺はそんなに友達も多くない
風馬:お前は俺とそんな噂になって嫌じゃないのかよ
ひまわり:嫌じゃないよ?
風馬:………
ひまわり:えへへ。一緒に帰ろ?
風馬:………お、おう
0:場面転換
0:風馬は隠れて中庭で本を読んでいた
風馬:おー。この髪型いいなー。今度ひまわりの髪で練習しようかな?
風馬:……ん?
遥香:………
0:遥香が通り過ぎる
風馬:……綺麗な髪だな
0:風馬は毎日中庭で遥香を見ていた
ひまわり:ふーま。今日も中庭に居る
ひまわり:……誰を見てんのかなー?
風馬:……っ!
遥香:……
風馬:(な、なんで…髪が濡れてるんだ?)
風馬:………危ない!!
遥香:……っ!!
0:風馬は思わず遥香を抱き寄せる
0:【パリーン!!】
風馬:(か、花瓶?なんでこんなのが落ちてきたんだ?)
風馬:っ!!ご、ごめん!だ、大丈夫?
遥香:……うん
風馬:………怪我はない?
遥香:……大丈夫
0:遥香はそのまま急いで校門を出ていく
風馬:………
風馬:(次の日、あの子は二度と学校には来なかった。何があったのかは分からない。でも濡れた髪と落ちてきた花瓶に何かあったのかもしれない)
風馬:(………あの綺麗な髪は、もう二度と見れないと思ってた)
0:場面転換
0:登校中の風馬とひまわり
ひまわり:ねえ、あの子奏音ちゃんじゃない?
風馬:お?ほんとだ
ひまわり:おーい!のんちゃーん!
奏音:ん?あ、ひまちゃんと…誰?
ひまわり:昨日話したふーまだよ
奏音:あー。おはよう
風馬:おはよう。……髪硬そうだな。長い髪なのに一本一本にハリコシがある
奏音:……え?なに?
風馬:……くんくん……この香りはベルガモットの香り
奏音:なにしとんじゃあーー!!
風馬:ぶへー!!
奏音:何!?初対面から髪の匂いを嗅ぐ変態なの!?ひまちゃんそんなやつと友達でいいの!?
ひまわり:……あ、あははー。ふーま?私とか妹の髪ならいいけど、女の子の髪を勝手に触ったらダメだよ?
風馬:そ、そうなのか?
0:学校に着く
奏音:全く!光井がそんな変態だと思わなかったよ!
雛:なーにー?プンスカ怒って
奏音:聞いてよ!ひまちゃんの友達変態だった!
雛:友達?あー風馬って人?
風馬:だから!誤解だって言ってんだろ?
奏音:誤解じゃない!悪意!
大翔:おー?なーんか盛り上がってない?
奏音:あ!大翔!光井が変態だったの!
風馬:何回もそんな説明すんな!
大翔:そんなことで怒るなよ
奏音:怒るでしょ!
雛:まあ、いいんじゃない?風馬、あたしの髪触る?
風馬:……い、いいのか
雛:どうぞー。
風馬:……こ、これは!!くんくん!くんくん!おー!!これは!!
奏音:気色悪いんじゃあああーー!!
風馬:ぶへー!!
雛:いいじゃん減るもんじゃないし。いっそ、全身の匂いでも嗅いでみる?
風馬:遠慮しときます
0:5人は席に着く
遥香:………おはよ。光井君
風馬:……お、おお、おはよ!
ひまわり:…………
0:【バァン!!】
先生:貴様ら。また会ったな
風馬:いや、学校なんだから毎日会うだろ
0:【シュパンッ!!】
風馬:ひぃ!!
先生:出席を確認する
風馬:この人サイコパスなのか!?
0:出席確認が終わり
先生:今日はクラス委員とやらを決めようと思う。
風馬:うーわ。めんどくさいな
0:【シュパンッ!!】
風馬:ひぃ!!
先生:貴様の言いたいことは分かるぞ光井。だが、貴様が思うよりクラス委員とは重要な役割だ
先生:クラスの中心。つまりリーダーシップやコミュニケーション能力が必要とされ、社会にも役立つ。
先生:それをめんどくさいだなんだと言っていたら将来リーダーシップを、そしてそれを決める責任すらもあやふやにする無責任な人間になることを肝に銘じとけ
風馬:は、はい
先生:それじゃあ。クラス委員をやってくれる人はいるか?
ひまわり:はいはーい!私やるー!
風馬:あ、あいつはまた……
先生:なら戸塚で決まりだな。男子はどうだ?
風馬:………
大翔:ふぁ〜〜〜あ(あくび)
先生:ここは運に任せるとしよう
先生:………むんっ!!
0:先生は後ろに向かって果物ナイフを投げ
0:【フワンフワンフワンっ!】
0:【シュパンッ!!】
大翔:………うわっ!!
0:大翔の机に刺さった
先生:ほう。北谷に決まりだ
0:盛大な拍手が送られる
大翔:な、なんで俺なんだよ
0:【間】
先生:それでは貴様らさようなら
0:(同時に)
風馬:さようなら
ひまわり:さようなら
遥香:さようなら
大翔:さようなら
雛:さようなら
奏音:さようなら
風馬:み、水瀬!
遥香:……ん?
風馬:また明日
遥香:うん。でも、ちょっと待って。これ、受け取って
風馬:なんだこれ?
遥香:白いダリアの花言葉は感謝っていうの。私からの気持ち
風馬:……本当に?ありがとう!
遥香:うん。あの時、ちょっと気持ちが落ち着いてなかったから、ありがとうって言えなかったから
風馬:全然、ありがとう
ひまわり:ふーまーー!!
風馬:……っ!ひまわり!?
ひまわり:みんなで帰ろ?
風馬:……あ、ああ。
遥香:……じゃあね。光井君
風馬:お、おう
ひまわり:ねえ!あなたってふーまの友達?
遥香:…え?
ひまわり:お名前は?
遥香:遥香
ひまわり:おー!可愛い名前だね。日曜日にさみんなでダフニーランド行こうって話してたんだけど、遥香ちゃんもどう?
遥香:わ、私も?
ひまわり:うん!
風馬:(ふざけんなひまわりー!!そんな急に呼び止められてダフニーランドなんて行けるわけねーだろ!)
遥香:私……
風馬:(………終わった)
遥香:ダフニーランド大好きなのー!
風馬:………ええぇーー!!!
大翔:『恋に成る』
0:【間】
大翔:第3章『遊園地とお花の髪』
ひまわり:みんなーおはよー!
雛:ういーす
奏音:おはよう
大翔:あれ?水瀬は?
ひまわり:来てないの?
奏音:来てないよー
風馬:本当に来てくれるのか?
遥香:はあ、はあ、ごめん、遅くなっちゃった
風馬:っっ!?
風馬:(服可愛すぎだろー!!なんだこの花柄のワンピースは!!この世に生まれてきた天使か!?)
ひまわり:あ、きたきた
雛:何してたの?
遥香:電車の中でお花の写真見返してたらさ、いつの間にか寝てた
雛:寝てた!?
奏音:ルーズなんだね、遥香ちゃんは
遥香:ごめんね
ひまわり:じゃあークッキー作ってきたからみんな食べてー
風馬:お、ひまわりのクッキー美味いんだよなー
大翔:ほんとだうめー!
ひまわり:えへへ、ありがとー
0:中に入る
遥香:っ!!
雛:え?は、遥香?
遥香:あー!可愛い!やっぱこの時期に咲いたんだー!
奏音:めっちゃ写真撮ってる
ひまわり:この花はなんて名前なの?
遥香:これはね沈丁花(ジンチョウゲ)っていう花だよ英語でダフニーっていうからこの遊園地もダフニーランドって名前になったんだよね
遥香:それでね、春になると咲く花でダフニーのいい香りがするから春にダフニーランドに行ってみたかったの!
ひまわり:そうなんだ!!!
風馬:9割何言ってるかわかんねーだろ
遥香:ねえ!ルピナスが咲いてるよー!ほらこっちにはヒヤシンスー!わあー!ネモフィラだー!
風馬:めちゃくちゃはしゃいでるな
ひまわり:話聞いてあげなよ
風馬:お、俺が?
ひまわり:うん
0:風馬は遥香の横に並ぶ
風馬:これは?なんて花なんだ?
遥香:これはハナミズキ
風馬:へぇー。聞いたことあるな
遥香:ハナミズキの花言葉、知ってる?
風馬:なに?
遥香:華やかな恋
風馬:………
遥香:光井君は、このハナミズキみたいに、誰かと華やかな恋とかしてるのかな?
風馬:………俺は
奏音:ちょっと
風馬:……うわあ!な、なんだよ手島
奏音:団体行動は乱さないで貰える?ひまちゃんもどっか行っちゃったし
風馬:どこ行ったんだ?
0:一方ひまわりは
ひまわり:ん〜甘いポップコーンは美味しいなー
ひまわり:ふーまと遥香ちゃん、上手くいってるかなー?
大翔:何してんだ?
ひまわり:お、北谷君
大翔:甘いもん好きなのか?
ひまわり:うん。好きだよ。ハニーシロップのポップコーンだって!ほら、食べる?
大翔:お、いただきまーす!
ひまわり:蜂蜜の匂いっていいよね。おいしい?
大翔:うまいなー!食べ物くれるやつに悪いやつは居ない
ひまわり:ダフニーランドは来たことあるの?
大翔:前に奏音と一緒に来たことあるぞ
ひまわり:へぇー。仲良いんだね
大翔:いやー?そん時は雛が熱出したとか言って来なかったんだよ。あとはもう一人もおじいちゃんがぎっくり腰になって面倒見ないといけないとかで。結局二人で行くことになったんだ
ひまわり:そうなんだね。みんな仲良いもんねー!
大翔:まあな!ひまわりは?風馬と仲良いのか?
ひまわり:んー。どうなんだろうね?
大翔:なんでわかんねーんだよ。幼なじみだろ?
ひまわり:うん。幼なじみだよ
大翔:幼なじみで高校生になってまで一緒に居るなら仲良いだろ
ひまわり:じゃあ仲良いってことにしよう
大翔:なんだそれ
ひまわり:よーし!じゃあみんなの所に戻ろー!
大翔:はいよ
ひまわり:おーい!みんなー!
奏音:団体行動!!乱さないの!!
ひまわり:う、うわあ!
奏音:どこ行ってたの!迷子になったら大変でしょ!
ひまわり:ご、ごめんねー。ほら!ポップコーン買ったんだー。食べて
奏音:私がポップコーンで機嫌直ると!……パクっ……美味しい!
雛:単純か!
風馬:なんか、手島のやつ、気合い入ってねーか?
大翔:ああ。こういう時妙に張り切るんだよなー。あいつ
遥香:明日もダフニーランド行かない?
雛:二日連続は行かねーよ
雛:『恋に成る』
0:【間】
雛:4章『夏と祭りの髪』
先生:明日から夏休みだが、学生の本分は勉強だ。なんてことは言わない。ともかく怪我がないようにだけは気をつけろ。以上
先生:それでは貴様らさようなら
全員:さようなら
雛:はあ〜明日から夏休みか〜
ひまわり:雛ちゃん……元気でね
雛:あ、ちょっ…抱きつくなって…!
ひまわり:雛ちゃんのこと忘れないよ……!
雛:夏休みどうせ会うだろ!離れろー!暑い!
ひまわり:あーん。いーけーずー!
雛:きしょいなお前
ひまわり:シンプル悪口やめて!?
奏音:ひまちゃんは夏休みどこか行くの?
ひまわり:んー毎年ふーまとふーまの妹と一緒にお祭り行ってるんだよね
奏音:へぇー!いいじゃん!
風馬:今年も行くのか?
ひまわり:えー?行かないの?
風馬:どっちがいい?
ひまわり:どっちって……なんで私に決めさせようとするの?
風馬:いや、俺が決めることじゃないだろ?
ひまわり:なにそれ
風馬:俺はどっちでもいい
ひまわり:……じゃあいいよ。じゃあねー
風馬:……?
雛:風馬、モテないんだね
風馬:どういう事だよ!!
大翔:お前らの関係複雑すぎないか?
風馬:複雑でもないだろ。幼なじみだし
大翔:ふーん。まあ幼なじみでも大事にした方がいいんじゃねーか?
風馬:……なんだよそれ
遥香:…………
0:場面転換
0:下校中のこと
大翔:んで?結局祭りには行くのか?
風馬:……いや、わかんねーよ。妹と毎年行ってたし、多分行くと思う
雛:なーんでこうもひまわりのこと考えられないのかねー
風馬:はあ?ひまわりを考えるって……んなことしなくてもいいだろ別に
雛:幼なじみでもね。ずっと一緒に居たかもしれないけど、居ることが当たり前じゃないんだよ
風馬:あ、当たり前だなんて思ってない
雛:まあそれならいいんじゃない?
奏音:じゃあ、私たち電車こっちだから。じゃあねー
風馬:おう…
0:遥香と風馬は二人で帰る
風馬:………
遥香:……あ、あの!
風馬:ん?
遥香:ひまわりさんとは、いつから友達なの?
風馬:生まれた時からだよ。俺の方が誕生日遅いけどな
遥香:………そうなんだ
風馬:俺の親とひまわりの親が仲良いんだ。だから学校も一緒に行くのが日課になってたし一緒に居ることに違和感はないんだよな
遥香:じゃあ、お祭りは?
風馬:………え?
遥香:ひまわりさんと行くの?
風馬:あー。どうだろうな?
遥香:……屋台の焼きそばとか美味しいよね
風馬:美味いよなー!なんで祭りに焼きそばってあんなに美味いんだろう
遥香:あんまりお祭り行かないからさ。食べてみたいな
風馬:……あ。じ、じゃあ!今度祭り行こうよ
遥香:……え?
風馬:焼きそば食いたいんだろ?……行こう。お祭り
遥香:ひまわりさんは?大丈夫?
風馬:大丈夫だよ。なんかちょっと怒ってたし、そのまま今年は無しになるだろ
遥香:……じゃあ私も行きたい
風馬:うん!行こう!
0:場面転換
0:風馬の部屋にて
風馬:(ふふふふふははははは!水瀬と祭りだと!!?こんなことがあっていいのか!こんな喜ばしいことがあっていいのか!!)
風馬:(もうこれ以上のチャンスはない!水瀬と祭りに行って……もっともっと仲良くなるんだ)
ひまわり:ふーま
風馬:う、うわあ!な、なんだよ!なんで勝手に部屋入ってきてんだ!
ひまわり:ふーママが入っていいって言ってたからだよ
風馬:なんで母さんは思春期の息子のプライバシーを守ろうとしてくれないんだ
ひまわり:なんかいい事でもあったの?
風馬:な、なんもねーよ!てか何しに来た?
ひまわり:じゃーん!ワッフル作ってきたよー!
風馬:おー!美味そうじゃん
ひまわり:食べて
風馬:おう、いただきます。うん、美味い!
ひまわり:……よかった
風馬:ワッフルなんて作れるんだな
ひまわり:意外と簡単だよ?
風馬:そうなのか?
ひまわり:すぐ出来ちゃったもんねー
風馬:まあ、ありがとう
ひまわり:うん!
ひまわり:………さっき、学校で怒ってごめんね
風馬:……え?やっぱ怒ってたのか?
ひまわり:うん。毎年お祭り行ってたからどっちでもいいって言われてちょっとイライラしちゃった
風馬:んなことで謝るなよ
ひまわり:ふーまとお祭り行きたい
風馬:………え?
ひまわり:私がふーまとお祭りに行きたいって素直に言えばよかったんだー!って今気付いたの
風馬:……あ、あー。お祭りな。……あー
ひまわり:やっぱ行きたくないの?
風馬:いや!確認したらその日バイトでさ、行けなくなったんだよなー
ひまわり:えーそうなの?じゃあ仕方ないか
風馬:お、おう。悪いな
ひまわり:……うん
風馬:…………ひまわり?
ひまわり:ん?
風馬:………いや、なんでもない
ひまわり:そっか
風馬:(……なんでそんな悲しい顔するんだよ)
0:祭り当日
風馬:(水瀬は、どんな格好で来るんだろうな?きっとまた可愛らしいワンピースで)
遥香:お待たせ
風馬:あ!水瀬!あ!?水瀬!?
遥香:ど、どうかな?
0:風馬の目には浴衣姿の遥香が映る
風馬:に、似合う!可愛いよ!
遥香:……ありがとう
風馬:じゃあ、行こうか
遥香:うん!
0:商店街を歩く
風馬:この辺り全部屋台だなー。焼きそば買うか?
遥香:え?どっちかと言うとたこ焼き食べたいかも
風馬:あれ?屋台の焼きそば食うって言ってなかったっけ?
遥香:あ、ああー!そうだった
風馬:たこ焼きが良いの?
遥香:たこ焼きがいい
風馬:わかった。並ぼう
0:二人はたこ焼きを買って近くの椅子に座る
風馬:いただきまーす。……あっつ!
遥香:冷まさないと熱いよ?
風馬:そ、そうだな
遥香:私も猫舌だからしばらく冷ますよ
風馬:おー。それは頭が良い
遥香:うふっ。そんな事ないよ
風馬:…………
風馬:(な、何を話したらいいんだろう…)
遥香:光井君はさ
風馬:っ!な、なに?
遥香:毎年お祭り行ってたと思うけどいつも何買ってたの?
風馬:んー。いつもはかき氷とかりんご飴とか?
遥香:甘いの好きなの?
風馬:いやー?ひまわりが甘いの好きなんだよ
遥香:あー。そうなんだ。ひまわりさんお菓子作るのも上手だもんね
風馬:この前なんかワッフル作ってきたんだよ。すげーよな
遥香:すごい
風馬:しかも形もめちゃくちゃ綺麗だったぞ
遥香:………
風馬:まああいつがお菓子作ってくるおかげで俺も甘いの好きになったんだよなー
遥香:………光井君、ひまわりさんの話してる時楽しそうだね
風馬:……え?あ、いや!……そうか?
遥香:うん。でも幼なじみなんだもんね。ひまわりさんと一緒に居て楽しそうだし良いことだよ
風馬:ま、まあな。楽しいは楽しいからな
遥香:中学の時さ、私はひまわりさんのこと知ってたんだよね
風馬:なんで?
遥香:いつも明るくて元気だし凄く目立つでしょ?なんだかその名前の通り、向日葵の花みたいな存在だなって
風馬:んー。昔から一緒に居るけどあいつは異常なくらい人に絡むからな
遥香:ほんと、すごいよね
風馬:俺もあいつのそういう所はちゃんと尊敬してるよ
遥香:私にもそれが出来たら良かったんだけどなー
風馬:水瀬は中学は……あ
遥香:ああ。そう。途中で転校したんだよね
風馬:……どうして転校したの?
遥香:……いじめられてたから
風馬:………え?
遥香:光井君が私を庇ってくれた時、服も髪も濡れてたでしょ?あんまり言いたくないけどそういう事があったの
風馬:………そうだったのか
遥香:でも、私はあの時、光井君に助けてもらったから、今もこうして楽しくお祭りに来てるんだなーって思うよ。光井君…ありがとう
風馬:………お、俺は何もしてないよ!
遥香:うっふふ。ほんとに感謝してるからね
風馬:………お、おう
風馬:(水瀬がそう笑いかけると、俺の心臓は激しく動く。頭を傾げるだけでサラサラと揺れる髪は本当に綺麗だった)
風馬:(なんでだろうか。無性に湧き上がる、止めどない一つの感情に名前を付けるのがもどかしくどこか照れ臭さがあった)
風馬:(そうか、やっぱり俺は水瀬の揺れる髪が好きで、今もこうして喜びと幸せに浸っているんだ……)
風馬:(俺は……俺は水瀬の事が)
ひまわり:……遥香ちゃん?
風馬:………っ!?
遥香:ひ、ひまわりさん?
ひまわり:………なんで、ふーまと一緒に居るの?
風馬:…………
遥香:…………
ひまわり:……あははっ。バイトじゃなかったんだね
風馬:……あ、ああ
遥香:ひまわりさんは一人?
ひまわり:ううん。ふーまの妹と居るよ
風馬:………
ひまわり:私まだ屋台回るから、じゃあね。
風馬:………
遥香:うん、じゃあね
0:ひまわりは立ち去る
風馬:………あはは、またあいつ怒ってたな
遥香:……怒ってたかな?
風馬:……え?
遥香:悲しい顔してたと思う
風馬:……そ、そうか?
遥香:うん
風馬:………そうなのか
遥香:たこ焼き食べ終わった?
風馬:あ、うん。もう食い終わった
遥香:じゃあ、もう帰ろっか
風馬:……え?もう?まだ屋台半分も回ってないぞ?
遥香:光井君の気持ちがモヤモヤしてるんだったらすぐに解決した方がいいよ
風馬:俺は大丈夫だよ
遥香:ううん。行ってきて
風馬:……俺は、今日は水瀬と……
遥香:………っ
風馬:………え?…な……
0:遥香は風馬を抱きしめた
風馬:ど、どうした?
遥香:ずっとモヤモヤした気持ちを何年も引きずったことある?
風馬:………いや、ないけど
遥香:どんなに深呼吸しても、心に残ったモヤモヤって綺麗にならないんだよ。だから、光井君が良くてもひまわりさんは良くないかもしれない
風馬:………
遥香:行ってきて。私は大丈夫だから
風馬:………ひまわり
風馬:ごめん。行ってくる
0:風馬は走る
風馬:………くそ。なんで……
風馬:こんな状態でひまわりのことなんて探せねーよ
風馬:水瀬のあの行動は……なんなんだよ。なんであんな事したんだよ
0:場面転換
遥香:(私は重い足取りで歩く)
遥香:(こんなに早く帰る予定じゃなかったから少し寂しい気持ちはある。けど、光井君もひまわりさんも自分の気持ちを引きずってちゃダメだと思ったから、私は光井君をひまわりさんの所に行かせた)
遥香:(いじめられてた時は、ずっと暗闇の中にいる気分だった。でも、その暗闇の中に微かな光をくれたのは、光井君だよ)
遥香:(光井君と出会った、中庭に咲いた黄色いチューリップの花を私は思い出す。でも……どうなんだろう。私達の出会いは黄色いチューリップの花言葉みたいにならないといいなー)
遥香:(黄色いチューリップの花言葉は『望みのない恋』)
0:場面転換
風馬:どこにいんだ……家にも居ないみたいだしライン送っても返ってこねーし。………はあ。なんで俺はひまわりのあの顔を見ると……
0:風馬はスマホを取り出す
風馬:もしもし?雪乃か?ひまわりどこにいるかわかる?………帰った?家には居なかったぞ?わかった。ありがとう
風馬:ったく。あいつはどこに居るんだよ!
0:風馬は家の近くの公園に行く
風馬:ここの公園…トンネルがあるんだよな。よくひまわりと雨が止むまでここで雨宿りしてたこともあったな
0:風馬はトンネルを覗く
風馬:………は?
ひまわり:………え?
風馬:何してんだ?
ひまわり:ふーまこそ。遥香ちゃんはどうしたの?
風馬:……ちょっと色々あってな、ひまわりのこと気になって追いかけてきた
ひまわり:……そうなんだ
風馬:ごめん…ひまわりを傷付けるかと思って嘘ついたんだ
ひまわり:……うん
風馬:怒ってるよな
ひまわり:怒ってないよ?
風馬:……え?
ひまわり:たまには私も怒るけど、どっちかと言ったら悲しいかな
風馬:……
ひまわり:嘘つくくらいならちゃんと言ってくれた方がよかったなって。毎年お祭り行ってたからふーまとお祭りに行くわけじゃないのにって
風馬:ごめん
ひまわり:ごめんじゃないよ
風馬:………
ひまわり:………はあ
ひまわり:ま!お互い落ち込んでてもしょうがないし水に流そうよ!私は…んーー大丈夫!落ち込んでもこの通り元気だよー!
風馬:トンネルの中で暴れるなよ
ひまわり:私が傷付いたのに元気づけてあげてるんだから乗ってよ!
風馬:狭いんだよ!……うわっ!
ひまわり:きゃ!
0:風馬はよろけてひまわりを押し倒す体勢になる
風馬:………
ひまわり:………
ひまわり:(……ふーまが…近い)
ひまわり:(ふーまとの距離はこんなにも近い。……こんなにも…近いのに)
風馬:………っ!
風馬:(ひまわりは俺の頬に手を添える)
風馬:……な、なんだよ?
ひまわり:(幼なじみっていう言葉が…幼なじみっていう関係が…私とふーまの距離を遠くさせる)
ひまわり:あははっ。アッチョンブリケー!
風馬:ぶっ!
ひまわり:ここ出よう。暑い
風馬:だから言ったろ
ひまわり:……ねえ、ふーま
風馬:ん?
ひまわり:………子供の頃にふーまからもらった手紙…まだとってあるんだ
風馬:手紙?
ひまわり:うん
風馬:覚えてねーな
ひまわり:……そっか
風馬:その手紙がどうした?
ひまわり:ううん。何でもない
0:二人は家に着く
ひまわり:じゃあね
風馬:おう、おやすみ
ひまわり:(私は部屋に戻って財布を取り出して、ふーまからもらった手紙を取り出す)
ひまわり:(………いつから変わっちゃったんだろ?)
ひまわり:(この頃から私は、ふーまのことを幼なじみっていう関係で終わりたくないと思ってたのに、いつから……遠くなっちゃったんだろう)
ひまわり:(でも…私は大丈夫。ふーまが幸せで居てくれたら、私は大丈夫。………なのになんで私は…こんなことで泣いてるんだろう)
ひまわり:(ふーまのためにも、この気持ちは心の中に隠しておかないと……)
0:【恋に成る】1部END
奏音:誤解じゃない!悪意でしょ!
雛:いっそ全身の匂いでも嗅いでみる?…
大翔:な、なんで俺なんだよ!
遥香:光井君…ありがとう
ひまわり:いつから…遠くなっちゃったんだろ?
風馬:…なんでそんな悲しい顔するんだよ
ひまわり:『恋に成る』
0:【間】
ひまわり:1章『入学とあの子の髪』
風馬:んーー。なかなか上手くいかないなー。アイロン使うかー。前髪がシャープにならん。……まあいっか
ひまわり:おーーい!ふーまー!
風馬:……この声は
0:風馬はカーテンを開ける
0:向かいの家の窓に視界を向ける
ひまわり:おーーい!
風馬:何してんだよ
ひまわり:今日から高校生だね!
風馬:朝からうるせーなー
ひまわり:ふーママにも制服姿見せに行ってもいい?
風馬:勝手にしろよ。母さんも喜ぶと思うしな
ひまわり:やったー!今から家に行くね
風馬:……はあ
ひまわり:改めてー。おっはよー!!ふーまー!
風馬:頭痛くなってきた
ひまわり:ふーママー!制服どうー?一緒に写真撮ろうよー!
風馬:………ひまわり?
ひまわり:ん?
風馬:前髪うねってるぞ
ひまわり:あ!ほんとだ!
風馬:全く、入学式でそんなにボサボサな前髪は俺が許さねーぞ!
ひまわり:じゃあ直してー
風馬:はいはい
0:ひまわりの前髪を直して2人は学校へ行く
ひまわり:わーい!ここが私たちの学び舎ね!
風馬:お前、普段全然勉強してねーだろ。何が学び舎だ
ひまわり:細かいことは気にしないのー!クラス表見てこよ
風馬:あ!先に行くなよ!
ひまわり:ねー!ふーま!!同じクラスだよ!!
風馬:お、おう。まじか
ひまわり:やったねー!同じクラスって幼稚園以来じゃない?
風馬:そ、そうだな
ひまわり:早く教室行こうよー!
風馬:はいはい
0:教室に移動する
風馬:自分の席に座って待ってろよ?
ひまわり:はーい。じゃあまたねー
風馬:……ったく
0:ひまわりは自分の席に着く
奏音:………
ひまわり:とーんとん
奏音:………え?
ひまわり:前の席の子だよね。よろしくね!
奏音:う、うん。よろしく
風馬:あいつ、早速友達作ろうとしてるなー。コミュ力おばけが
遥香:………
風馬:………っ
0:遥香は風馬の後ろの席に座る
風馬:(………綺麗な髪だな)
0:【バァン!!】
0:机を叩く大きな声が響く
先生:貴様ら。席に着け
風馬:あ、あれ先生か?
先生:貴様ら入学おめでとう。そして今日から貴様らの担任をする事になった担任の先生だ
風馬:……いや、担任の先生って…
先生:っ!!
0:【シュパンッ!!】
風馬:ひぃ!!
0:風馬の机に果物ナイフが刺さる
先生:余計なことを口走るな。私はいくら生徒だとしても戦闘をする準備は出来ている
風馬:いや、過去に何してきたんだよー!
先生:では、出席確認をする。呼ばれたものは返事をするように
0:先生は名前を読み上げる
先生:北谷大翔
大翔:はーい
先生:手島奏音
奏音:はい
先生:戸塚ひまわり
ひまわり:いえーーーす!!
先生:光井風馬
風馬:はい
先生:水瀬遥香
遥香:はい
風馬:…………水瀬…遥香?
先生:湯山雛
雛:はーい
先生:では、プリントを配る。足りなくなったら言ってくれ
風馬:………
0:風馬は後ろの席の遥香にプリントを渡す
遥香:………ありがとう
風馬:………っ。お、おう
風馬:(……まさか……いや、違うよな?)
0:入学式も終わる
風馬:(俺の……後ろに…あの子がいる?)
先生:じゃあ。注意事項は以上だ。起立。それでは貴様らさようなら
0:全員同時に
風馬:さようなら
ひまわり:さようなら
遥香:さようなら
大翔:さようなら
奏音:さようなら
雛:さようなら
雛:よーし、奏音、それとー、大翔も一応一緒に帰る?
大翔:おーう。帰ろうぜー
奏音:あ、待って。ひまちゃん、こっち来てー
ひまわり:んー?なになにー?
奏音:私の中学の友達だよ。大翔と雛
雛:えぇー?奏音、友達出来たの?人見知りなのに
奏音:いや、ひまちゃんが入学式中もいっぱい話してくれたからだよ
ひまわり:うん!奏音ちゃんちっちゃくて可愛いなーって思ってたの!
雛:よく吠えるチワワみたいだもんなー
奏音:誰がチワワよ!
大翔:チワワ……はっ!お手も出来るのか!?
奏音:絞め殺すわよ?
ひまわり:あ、そしたら私もふーまがいるよ
大翔:風馬?
ひまわり:うん!幼なじみの…あれ?どこ行ったんだろ?
0:場面転換
0:教室の外に風馬と遥香は居た
風馬:……っ!あの!
遥香:……はい
風馬:……俺の事…覚えてますか?
遥香:……うん。覚えてるよ
風馬:………ほんとに?
遥香:うん。ごめんなさい。なんて声掛けたらいいかわからなかった
風馬:いや、いいんだよ
遥香:名前は光井君でいいんだっけ?
風馬:うん。水瀬だよな?
遥香:そうだよ。すぐ近くの席が光井君でよかった。これからもよろしくね
風馬:こちらこそ…よろしく
ひまわり:………ふーま?
ひまわり:………
0:ひまわりは風馬に気づかれないように教室に戻る
ひまわり:ふーま居なかったー!
雛:なーんだよ。ひまわりの友達だからとんでもないのが来るかと思ったのに
ひまわり:とんでも?
奏音:凄そうな雰囲気はある
ひまわり:ないよー!ましてやふーまなんか
大翔:んーまあそいつが忙しいなら俺らだけで帰るか?
ひまわり:あ、………やっぱ私ふーまのこと待ってるね
雛:ほーん。彼氏?
ひまわり:違うよ。幼なじみ
雛:違うのか。まあいいや、じゃあねー
ひまわり:うん!またねー
0:3人は教室を出る
ひまわり:………さっきの子…中学の時の……
遥香:『恋に成る』
0:【間】
遥香:2章『偶然と懐かしい髪』
0:風馬とひまわりが中学の時の話
ひまわり:ふーまー一!!!ドーーン!!
風馬:うぎゃぁーー!
ひまわり:一緒に帰ろ?
風馬:い、いってぇな!危なすぎだろ!タックルなんてレベルじゃねーぞ!
ひまわり:そんな怒ったら血圧上がって死に至るよ?
風馬:お前が至らせてるんだろ!
風馬:大体な、俺とお前が一緒に帰ってると噂されるんだよ
ひまわり:なんの噂ー?
風馬:付き合ってるって噂
ひまわり:そうなの?
風馬:そうだよ!お前は色んな人と仲良くしてるだろ?俺はそんなに友達も多くない
風馬:お前は俺とそんな噂になって嫌じゃないのかよ
ひまわり:嫌じゃないよ?
風馬:………
ひまわり:えへへ。一緒に帰ろ?
風馬:………お、おう
0:場面転換
0:風馬は隠れて中庭で本を読んでいた
風馬:おー。この髪型いいなー。今度ひまわりの髪で練習しようかな?
風馬:……ん?
遥香:………
0:遥香が通り過ぎる
風馬:……綺麗な髪だな
0:風馬は毎日中庭で遥香を見ていた
ひまわり:ふーま。今日も中庭に居る
ひまわり:……誰を見てんのかなー?
風馬:……っ!
遥香:……
風馬:(な、なんで…髪が濡れてるんだ?)
風馬:………危ない!!
遥香:……っ!!
0:風馬は思わず遥香を抱き寄せる
0:【パリーン!!】
風馬:(か、花瓶?なんでこんなのが落ちてきたんだ?)
風馬:っ!!ご、ごめん!だ、大丈夫?
遥香:……うん
風馬:………怪我はない?
遥香:……大丈夫
0:遥香はそのまま急いで校門を出ていく
風馬:………
風馬:(次の日、あの子は二度と学校には来なかった。何があったのかは分からない。でも濡れた髪と落ちてきた花瓶に何かあったのかもしれない)
風馬:(………あの綺麗な髪は、もう二度と見れないと思ってた)
0:場面転換
0:登校中の風馬とひまわり
ひまわり:ねえ、あの子奏音ちゃんじゃない?
風馬:お?ほんとだ
ひまわり:おーい!のんちゃーん!
奏音:ん?あ、ひまちゃんと…誰?
ひまわり:昨日話したふーまだよ
奏音:あー。おはよう
風馬:おはよう。……髪硬そうだな。長い髪なのに一本一本にハリコシがある
奏音:……え?なに?
風馬:……くんくん……この香りはベルガモットの香り
奏音:なにしとんじゃあーー!!
風馬:ぶへー!!
奏音:何!?初対面から髪の匂いを嗅ぐ変態なの!?ひまちゃんそんなやつと友達でいいの!?
ひまわり:……あ、あははー。ふーま?私とか妹の髪ならいいけど、女の子の髪を勝手に触ったらダメだよ?
風馬:そ、そうなのか?
0:学校に着く
奏音:全く!光井がそんな変態だと思わなかったよ!
雛:なーにー?プンスカ怒って
奏音:聞いてよ!ひまちゃんの友達変態だった!
雛:友達?あー風馬って人?
風馬:だから!誤解だって言ってんだろ?
奏音:誤解じゃない!悪意!
大翔:おー?なーんか盛り上がってない?
奏音:あ!大翔!光井が変態だったの!
風馬:何回もそんな説明すんな!
大翔:そんなことで怒るなよ
奏音:怒るでしょ!
雛:まあ、いいんじゃない?風馬、あたしの髪触る?
風馬:……い、いいのか
雛:どうぞー。
風馬:……こ、これは!!くんくん!くんくん!おー!!これは!!
奏音:気色悪いんじゃあああーー!!
風馬:ぶへー!!
雛:いいじゃん減るもんじゃないし。いっそ、全身の匂いでも嗅いでみる?
風馬:遠慮しときます
0:5人は席に着く
遥香:………おはよ。光井君
風馬:……お、おお、おはよ!
ひまわり:…………
0:【バァン!!】
先生:貴様ら。また会ったな
風馬:いや、学校なんだから毎日会うだろ
0:【シュパンッ!!】
風馬:ひぃ!!
先生:出席を確認する
風馬:この人サイコパスなのか!?
0:出席確認が終わり
先生:今日はクラス委員とやらを決めようと思う。
風馬:うーわ。めんどくさいな
0:【シュパンッ!!】
風馬:ひぃ!!
先生:貴様の言いたいことは分かるぞ光井。だが、貴様が思うよりクラス委員とは重要な役割だ
先生:クラスの中心。つまりリーダーシップやコミュニケーション能力が必要とされ、社会にも役立つ。
先生:それをめんどくさいだなんだと言っていたら将来リーダーシップを、そしてそれを決める責任すらもあやふやにする無責任な人間になることを肝に銘じとけ
風馬:は、はい
先生:それじゃあ。クラス委員をやってくれる人はいるか?
ひまわり:はいはーい!私やるー!
風馬:あ、あいつはまた……
先生:なら戸塚で決まりだな。男子はどうだ?
風馬:………
大翔:ふぁ〜〜〜あ(あくび)
先生:ここは運に任せるとしよう
先生:………むんっ!!
0:先生は後ろに向かって果物ナイフを投げ
0:【フワンフワンフワンっ!】
0:【シュパンッ!!】
大翔:………うわっ!!
0:大翔の机に刺さった
先生:ほう。北谷に決まりだ
0:盛大な拍手が送られる
大翔:な、なんで俺なんだよ
0:【間】
先生:それでは貴様らさようなら
0:(同時に)
風馬:さようなら
ひまわり:さようなら
遥香:さようなら
大翔:さようなら
雛:さようなら
奏音:さようなら
風馬:み、水瀬!
遥香:……ん?
風馬:また明日
遥香:うん。でも、ちょっと待って。これ、受け取って
風馬:なんだこれ?
遥香:白いダリアの花言葉は感謝っていうの。私からの気持ち
風馬:……本当に?ありがとう!
遥香:うん。あの時、ちょっと気持ちが落ち着いてなかったから、ありがとうって言えなかったから
風馬:全然、ありがとう
ひまわり:ふーまーー!!
風馬:……っ!ひまわり!?
ひまわり:みんなで帰ろ?
風馬:……あ、ああ。
遥香:……じゃあね。光井君
風馬:お、おう
ひまわり:ねえ!あなたってふーまの友達?
遥香:…え?
ひまわり:お名前は?
遥香:遥香
ひまわり:おー!可愛い名前だね。日曜日にさみんなでダフニーランド行こうって話してたんだけど、遥香ちゃんもどう?
遥香:わ、私も?
ひまわり:うん!
風馬:(ふざけんなひまわりー!!そんな急に呼び止められてダフニーランドなんて行けるわけねーだろ!)
遥香:私……
風馬:(………終わった)
遥香:ダフニーランド大好きなのー!
風馬:………ええぇーー!!!
大翔:『恋に成る』
0:【間】
大翔:第3章『遊園地とお花の髪』
ひまわり:みんなーおはよー!
雛:ういーす
奏音:おはよう
大翔:あれ?水瀬は?
ひまわり:来てないの?
奏音:来てないよー
風馬:本当に来てくれるのか?
遥香:はあ、はあ、ごめん、遅くなっちゃった
風馬:っっ!?
風馬:(服可愛すぎだろー!!なんだこの花柄のワンピースは!!この世に生まれてきた天使か!?)
ひまわり:あ、きたきた
雛:何してたの?
遥香:電車の中でお花の写真見返してたらさ、いつの間にか寝てた
雛:寝てた!?
奏音:ルーズなんだね、遥香ちゃんは
遥香:ごめんね
ひまわり:じゃあークッキー作ってきたからみんな食べてー
風馬:お、ひまわりのクッキー美味いんだよなー
大翔:ほんとだうめー!
ひまわり:えへへ、ありがとー
0:中に入る
遥香:っ!!
雛:え?は、遥香?
遥香:あー!可愛い!やっぱこの時期に咲いたんだー!
奏音:めっちゃ写真撮ってる
ひまわり:この花はなんて名前なの?
遥香:これはね沈丁花(ジンチョウゲ)っていう花だよ英語でダフニーっていうからこの遊園地もダフニーランドって名前になったんだよね
遥香:それでね、春になると咲く花でダフニーのいい香りがするから春にダフニーランドに行ってみたかったの!
ひまわり:そうなんだ!!!
風馬:9割何言ってるかわかんねーだろ
遥香:ねえ!ルピナスが咲いてるよー!ほらこっちにはヒヤシンスー!わあー!ネモフィラだー!
風馬:めちゃくちゃはしゃいでるな
ひまわり:話聞いてあげなよ
風馬:お、俺が?
ひまわり:うん
0:風馬は遥香の横に並ぶ
風馬:これは?なんて花なんだ?
遥香:これはハナミズキ
風馬:へぇー。聞いたことあるな
遥香:ハナミズキの花言葉、知ってる?
風馬:なに?
遥香:華やかな恋
風馬:………
遥香:光井君は、このハナミズキみたいに、誰かと華やかな恋とかしてるのかな?
風馬:………俺は
奏音:ちょっと
風馬:……うわあ!な、なんだよ手島
奏音:団体行動は乱さないで貰える?ひまちゃんもどっか行っちゃったし
風馬:どこ行ったんだ?
0:一方ひまわりは
ひまわり:ん〜甘いポップコーンは美味しいなー
ひまわり:ふーまと遥香ちゃん、上手くいってるかなー?
大翔:何してんだ?
ひまわり:お、北谷君
大翔:甘いもん好きなのか?
ひまわり:うん。好きだよ。ハニーシロップのポップコーンだって!ほら、食べる?
大翔:お、いただきまーす!
ひまわり:蜂蜜の匂いっていいよね。おいしい?
大翔:うまいなー!食べ物くれるやつに悪いやつは居ない
ひまわり:ダフニーランドは来たことあるの?
大翔:前に奏音と一緒に来たことあるぞ
ひまわり:へぇー。仲良いんだね
大翔:いやー?そん時は雛が熱出したとか言って来なかったんだよ。あとはもう一人もおじいちゃんがぎっくり腰になって面倒見ないといけないとかで。結局二人で行くことになったんだ
ひまわり:そうなんだね。みんな仲良いもんねー!
大翔:まあな!ひまわりは?風馬と仲良いのか?
ひまわり:んー。どうなんだろうね?
大翔:なんでわかんねーんだよ。幼なじみだろ?
ひまわり:うん。幼なじみだよ
大翔:幼なじみで高校生になってまで一緒に居るなら仲良いだろ
ひまわり:じゃあ仲良いってことにしよう
大翔:なんだそれ
ひまわり:よーし!じゃあみんなの所に戻ろー!
大翔:はいよ
ひまわり:おーい!みんなー!
奏音:団体行動!!乱さないの!!
ひまわり:う、うわあ!
奏音:どこ行ってたの!迷子になったら大変でしょ!
ひまわり:ご、ごめんねー。ほら!ポップコーン買ったんだー。食べて
奏音:私がポップコーンで機嫌直ると!……パクっ……美味しい!
雛:単純か!
風馬:なんか、手島のやつ、気合い入ってねーか?
大翔:ああ。こういう時妙に張り切るんだよなー。あいつ
遥香:明日もダフニーランド行かない?
雛:二日連続は行かねーよ
雛:『恋に成る』
0:【間】
雛:4章『夏と祭りの髪』
先生:明日から夏休みだが、学生の本分は勉強だ。なんてことは言わない。ともかく怪我がないようにだけは気をつけろ。以上
先生:それでは貴様らさようなら
全員:さようなら
雛:はあ〜明日から夏休みか〜
ひまわり:雛ちゃん……元気でね
雛:あ、ちょっ…抱きつくなって…!
ひまわり:雛ちゃんのこと忘れないよ……!
雛:夏休みどうせ会うだろ!離れろー!暑い!
ひまわり:あーん。いーけーずー!
雛:きしょいなお前
ひまわり:シンプル悪口やめて!?
奏音:ひまちゃんは夏休みどこか行くの?
ひまわり:んー毎年ふーまとふーまの妹と一緒にお祭り行ってるんだよね
奏音:へぇー!いいじゃん!
風馬:今年も行くのか?
ひまわり:えー?行かないの?
風馬:どっちがいい?
ひまわり:どっちって……なんで私に決めさせようとするの?
風馬:いや、俺が決めることじゃないだろ?
ひまわり:なにそれ
風馬:俺はどっちでもいい
ひまわり:……じゃあいいよ。じゃあねー
風馬:……?
雛:風馬、モテないんだね
風馬:どういう事だよ!!
大翔:お前らの関係複雑すぎないか?
風馬:複雑でもないだろ。幼なじみだし
大翔:ふーん。まあ幼なじみでも大事にした方がいいんじゃねーか?
風馬:……なんだよそれ
遥香:…………
0:場面転換
0:下校中のこと
大翔:んで?結局祭りには行くのか?
風馬:……いや、わかんねーよ。妹と毎年行ってたし、多分行くと思う
雛:なーんでこうもひまわりのこと考えられないのかねー
風馬:はあ?ひまわりを考えるって……んなことしなくてもいいだろ別に
雛:幼なじみでもね。ずっと一緒に居たかもしれないけど、居ることが当たり前じゃないんだよ
風馬:あ、当たり前だなんて思ってない
雛:まあそれならいいんじゃない?
奏音:じゃあ、私たち電車こっちだから。じゃあねー
風馬:おう…
0:遥香と風馬は二人で帰る
風馬:………
遥香:……あ、あの!
風馬:ん?
遥香:ひまわりさんとは、いつから友達なの?
風馬:生まれた時からだよ。俺の方が誕生日遅いけどな
遥香:………そうなんだ
風馬:俺の親とひまわりの親が仲良いんだ。だから学校も一緒に行くのが日課になってたし一緒に居ることに違和感はないんだよな
遥香:じゃあ、お祭りは?
風馬:………え?
遥香:ひまわりさんと行くの?
風馬:あー。どうだろうな?
遥香:……屋台の焼きそばとか美味しいよね
風馬:美味いよなー!なんで祭りに焼きそばってあんなに美味いんだろう
遥香:あんまりお祭り行かないからさ。食べてみたいな
風馬:……あ。じ、じゃあ!今度祭り行こうよ
遥香:……え?
風馬:焼きそば食いたいんだろ?……行こう。お祭り
遥香:ひまわりさんは?大丈夫?
風馬:大丈夫だよ。なんかちょっと怒ってたし、そのまま今年は無しになるだろ
遥香:……じゃあ私も行きたい
風馬:うん!行こう!
0:場面転換
0:風馬の部屋にて
風馬:(ふふふふふははははは!水瀬と祭りだと!!?こんなことがあっていいのか!こんな喜ばしいことがあっていいのか!!)
風馬:(もうこれ以上のチャンスはない!水瀬と祭りに行って……もっともっと仲良くなるんだ)
ひまわり:ふーま
風馬:う、うわあ!な、なんだよ!なんで勝手に部屋入ってきてんだ!
ひまわり:ふーママが入っていいって言ってたからだよ
風馬:なんで母さんは思春期の息子のプライバシーを守ろうとしてくれないんだ
ひまわり:なんかいい事でもあったの?
風馬:な、なんもねーよ!てか何しに来た?
ひまわり:じゃーん!ワッフル作ってきたよー!
風馬:おー!美味そうじゃん
ひまわり:食べて
風馬:おう、いただきます。うん、美味い!
ひまわり:……よかった
風馬:ワッフルなんて作れるんだな
ひまわり:意外と簡単だよ?
風馬:そうなのか?
ひまわり:すぐ出来ちゃったもんねー
風馬:まあ、ありがとう
ひまわり:うん!
ひまわり:………さっき、学校で怒ってごめんね
風馬:……え?やっぱ怒ってたのか?
ひまわり:うん。毎年お祭り行ってたからどっちでもいいって言われてちょっとイライラしちゃった
風馬:んなことで謝るなよ
ひまわり:ふーまとお祭り行きたい
風馬:………え?
ひまわり:私がふーまとお祭りに行きたいって素直に言えばよかったんだー!って今気付いたの
風馬:……あ、あー。お祭りな。……あー
ひまわり:やっぱ行きたくないの?
風馬:いや!確認したらその日バイトでさ、行けなくなったんだよなー
ひまわり:えーそうなの?じゃあ仕方ないか
風馬:お、おう。悪いな
ひまわり:……うん
風馬:…………ひまわり?
ひまわり:ん?
風馬:………いや、なんでもない
ひまわり:そっか
風馬:(……なんでそんな悲しい顔するんだよ)
0:祭り当日
風馬:(水瀬は、どんな格好で来るんだろうな?きっとまた可愛らしいワンピースで)
遥香:お待たせ
風馬:あ!水瀬!あ!?水瀬!?
遥香:ど、どうかな?
0:風馬の目には浴衣姿の遥香が映る
風馬:に、似合う!可愛いよ!
遥香:……ありがとう
風馬:じゃあ、行こうか
遥香:うん!
0:商店街を歩く
風馬:この辺り全部屋台だなー。焼きそば買うか?
遥香:え?どっちかと言うとたこ焼き食べたいかも
風馬:あれ?屋台の焼きそば食うって言ってなかったっけ?
遥香:あ、ああー!そうだった
風馬:たこ焼きが良いの?
遥香:たこ焼きがいい
風馬:わかった。並ぼう
0:二人はたこ焼きを買って近くの椅子に座る
風馬:いただきまーす。……あっつ!
遥香:冷まさないと熱いよ?
風馬:そ、そうだな
遥香:私も猫舌だからしばらく冷ますよ
風馬:おー。それは頭が良い
遥香:うふっ。そんな事ないよ
風馬:…………
風馬:(な、何を話したらいいんだろう…)
遥香:光井君はさ
風馬:っ!な、なに?
遥香:毎年お祭り行ってたと思うけどいつも何買ってたの?
風馬:んー。いつもはかき氷とかりんご飴とか?
遥香:甘いの好きなの?
風馬:いやー?ひまわりが甘いの好きなんだよ
遥香:あー。そうなんだ。ひまわりさんお菓子作るのも上手だもんね
風馬:この前なんかワッフル作ってきたんだよ。すげーよな
遥香:すごい
風馬:しかも形もめちゃくちゃ綺麗だったぞ
遥香:………
風馬:まああいつがお菓子作ってくるおかげで俺も甘いの好きになったんだよなー
遥香:………光井君、ひまわりさんの話してる時楽しそうだね
風馬:……え?あ、いや!……そうか?
遥香:うん。でも幼なじみなんだもんね。ひまわりさんと一緒に居て楽しそうだし良いことだよ
風馬:ま、まあな。楽しいは楽しいからな
遥香:中学の時さ、私はひまわりさんのこと知ってたんだよね
風馬:なんで?
遥香:いつも明るくて元気だし凄く目立つでしょ?なんだかその名前の通り、向日葵の花みたいな存在だなって
風馬:んー。昔から一緒に居るけどあいつは異常なくらい人に絡むからな
遥香:ほんと、すごいよね
風馬:俺もあいつのそういう所はちゃんと尊敬してるよ
遥香:私にもそれが出来たら良かったんだけどなー
風馬:水瀬は中学は……あ
遥香:ああ。そう。途中で転校したんだよね
風馬:……どうして転校したの?
遥香:……いじめられてたから
風馬:………え?
遥香:光井君が私を庇ってくれた時、服も髪も濡れてたでしょ?あんまり言いたくないけどそういう事があったの
風馬:………そうだったのか
遥香:でも、私はあの時、光井君に助けてもらったから、今もこうして楽しくお祭りに来てるんだなーって思うよ。光井君…ありがとう
風馬:………お、俺は何もしてないよ!
遥香:うっふふ。ほんとに感謝してるからね
風馬:………お、おう
風馬:(水瀬がそう笑いかけると、俺の心臓は激しく動く。頭を傾げるだけでサラサラと揺れる髪は本当に綺麗だった)
風馬:(なんでだろうか。無性に湧き上がる、止めどない一つの感情に名前を付けるのがもどかしくどこか照れ臭さがあった)
風馬:(そうか、やっぱり俺は水瀬の揺れる髪が好きで、今もこうして喜びと幸せに浸っているんだ……)
風馬:(俺は……俺は水瀬の事が)
ひまわり:……遥香ちゃん?
風馬:………っ!?
遥香:ひ、ひまわりさん?
ひまわり:………なんで、ふーまと一緒に居るの?
風馬:…………
遥香:…………
ひまわり:……あははっ。バイトじゃなかったんだね
風馬:……あ、ああ
遥香:ひまわりさんは一人?
ひまわり:ううん。ふーまの妹と居るよ
風馬:………
ひまわり:私まだ屋台回るから、じゃあね。
風馬:………
遥香:うん、じゃあね
0:ひまわりは立ち去る
風馬:………あはは、またあいつ怒ってたな
遥香:……怒ってたかな?
風馬:……え?
遥香:悲しい顔してたと思う
風馬:……そ、そうか?
遥香:うん
風馬:………そうなのか
遥香:たこ焼き食べ終わった?
風馬:あ、うん。もう食い終わった
遥香:じゃあ、もう帰ろっか
風馬:……え?もう?まだ屋台半分も回ってないぞ?
遥香:光井君の気持ちがモヤモヤしてるんだったらすぐに解決した方がいいよ
風馬:俺は大丈夫だよ
遥香:ううん。行ってきて
風馬:……俺は、今日は水瀬と……
遥香:………っ
風馬:………え?…な……
0:遥香は風馬を抱きしめた
風馬:ど、どうした?
遥香:ずっとモヤモヤした気持ちを何年も引きずったことある?
風馬:………いや、ないけど
遥香:どんなに深呼吸しても、心に残ったモヤモヤって綺麗にならないんだよ。だから、光井君が良くてもひまわりさんは良くないかもしれない
風馬:………
遥香:行ってきて。私は大丈夫だから
風馬:………ひまわり
風馬:ごめん。行ってくる
0:風馬は走る
風馬:………くそ。なんで……
風馬:こんな状態でひまわりのことなんて探せねーよ
風馬:水瀬のあの行動は……なんなんだよ。なんであんな事したんだよ
0:場面転換
遥香:(私は重い足取りで歩く)
遥香:(こんなに早く帰る予定じゃなかったから少し寂しい気持ちはある。けど、光井君もひまわりさんも自分の気持ちを引きずってちゃダメだと思ったから、私は光井君をひまわりさんの所に行かせた)
遥香:(いじめられてた時は、ずっと暗闇の中にいる気分だった。でも、その暗闇の中に微かな光をくれたのは、光井君だよ)
遥香:(光井君と出会った、中庭に咲いた黄色いチューリップの花を私は思い出す。でも……どうなんだろう。私達の出会いは黄色いチューリップの花言葉みたいにならないといいなー)
遥香:(黄色いチューリップの花言葉は『望みのない恋』)
0:場面転換
風馬:どこにいんだ……家にも居ないみたいだしライン送っても返ってこねーし。………はあ。なんで俺はひまわりのあの顔を見ると……
0:風馬はスマホを取り出す
風馬:もしもし?雪乃か?ひまわりどこにいるかわかる?………帰った?家には居なかったぞ?わかった。ありがとう
風馬:ったく。あいつはどこに居るんだよ!
0:風馬は家の近くの公園に行く
風馬:ここの公園…トンネルがあるんだよな。よくひまわりと雨が止むまでここで雨宿りしてたこともあったな
0:風馬はトンネルを覗く
風馬:………は?
ひまわり:………え?
風馬:何してんだ?
ひまわり:ふーまこそ。遥香ちゃんはどうしたの?
風馬:……ちょっと色々あってな、ひまわりのこと気になって追いかけてきた
ひまわり:……そうなんだ
風馬:ごめん…ひまわりを傷付けるかと思って嘘ついたんだ
ひまわり:……うん
風馬:怒ってるよな
ひまわり:怒ってないよ?
風馬:……え?
ひまわり:たまには私も怒るけど、どっちかと言ったら悲しいかな
風馬:……
ひまわり:嘘つくくらいならちゃんと言ってくれた方がよかったなって。毎年お祭り行ってたからふーまとお祭りに行くわけじゃないのにって
風馬:ごめん
ひまわり:ごめんじゃないよ
風馬:………
ひまわり:………はあ
ひまわり:ま!お互い落ち込んでてもしょうがないし水に流そうよ!私は…んーー大丈夫!落ち込んでもこの通り元気だよー!
風馬:トンネルの中で暴れるなよ
ひまわり:私が傷付いたのに元気づけてあげてるんだから乗ってよ!
風馬:狭いんだよ!……うわっ!
ひまわり:きゃ!
0:風馬はよろけてひまわりを押し倒す体勢になる
風馬:………
ひまわり:………
ひまわり:(……ふーまが…近い)
ひまわり:(ふーまとの距離はこんなにも近い。……こんなにも…近いのに)
風馬:………っ!
風馬:(ひまわりは俺の頬に手を添える)
風馬:……な、なんだよ?
ひまわり:(幼なじみっていう言葉が…幼なじみっていう関係が…私とふーまの距離を遠くさせる)
ひまわり:あははっ。アッチョンブリケー!
風馬:ぶっ!
ひまわり:ここ出よう。暑い
風馬:だから言ったろ
ひまわり:……ねえ、ふーま
風馬:ん?
ひまわり:………子供の頃にふーまからもらった手紙…まだとってあるんだ
風馬:手紙?
ひまわり:うん
風馬:覚えてねーな
ひまわり:……そっか
風馬:その手紙がどうした?
ひまわり:ううん。何でもない
0:二人は家に着く
ひまわり:じゃあね
風馬:おう、おやすみ
ひまわり:(私は部屋に戻って財布を取り出して、ふーまからもらった手紙を取り出す)
ひまわり:(………いつから変わっちゃったんだろ?)
ひまわり:(この頃から私は、ふーまのことを幼なじみっていう関係で終わりたくないと思ってたのに、いつから……遠くなっちゃったんだろう)
ひまわり:(でも…私は大丈夫。ふーまが幸せで居てくれたら、私は大丈夫。………なのになんで私は…こんなことで泣いてるんだろう)
ひまわり:(ふーまのためにも、この気持ちは心の中に隠しておかないと……)
0:【恋に成る】1部END