台本概要

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タイトル 『漂流』~ヤッシー劇場
作者名 詩歌 -fumika-  (@tukiyonofumika)
ジャンル ファンタジー
演者人数 1人用台本(不問1) ※兼役あり
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 ヤッシー劇場へようこそ。

昔々ではないあるところに、某星新一氏の生まれ変わりかと思われる、ヤッシーという男性がおりました。
ヤッシーが織りなすショートショートを、不肖詩歌-fimika-が台本化させていただきました。

基本独演(兼ね役)ですが、お二人で分担しても良いかと思います。
サクっと読めるショートショート、待ち合わせや残り時間にお楽しみください。

お話によって、男性だったり女性だったり動物だったり宇宙人だったり一人読みだったり兼ね役があったりします。男女不問。演者によって一人称や語尾を変えて演じていただいて良いです。
N)…モノローグ(心の声)です。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
5 釣りに来たら海に流されてしまった人。
ナレ 不問 2 ナレーター。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
ナレ:『漂流』 俺:(つぶやき)「どれくらい経ったのだろう…。」 俺:N)俺は無限に広がる大海原を見つめながら呟いた。小型の漁船で釣りに来ていた俺は、嵐に巻き込まれて流されてしまった。もう燃料も尽きた。釣り道具と、持ってきたいくつかの道具。あとは雨水でなんとか生きながらえていた。しかし安心はできない。いよいよ雨水が底をつきそうなのだ。 俺:遭難したときには実感がなかったが、今は確実に命の危険を感じている。死を間近にすると、人は過去を思い出すらしい。俺は小学校の頃をぼんやりと思い出していた。 0:間 俺:N)小学校の頃、クラスにいじめられている女の子がいた。背は低く、声が小さくて、目が真ん丸な小動物のような女の子。あだ名は「カワウソ」。俺はそんな「カワウソ」をよく助けていたなあ。まるで正義の味方のように。実際は俺に正義感があったわけではない。俺は「カワウソ」が好きだったんだ。 俺:「カワウソ…元気かなあ。」 俺:N)卒業してからは会っていない。 俺:「カワウソにもう一回会いてえなあ。いや…未練とかじゃないんだけどさ…。」 俺:N)なんだか独り言が増える。 俺:「あー、カワウソ、今はどんな感じになってんだろうなー。カワウソ…え、カワウソ…?」 俺:N)目の前にカワウソがいた。あの頃の同級生ではない。生き物のカワウソだ。何やらこっちを見ている。ついて来いと言っているようだ。俺はどうにかついて行こうとした。が、船を動かす手段がない。諦めて食料調達の釣りをすることにした。カワウソはずっとそこにいた。 0:間 俺:N)気が付くと夜中になっていた。どうやら眠っていたようだ。ただ、不思議なことに船が動いている。見ると,カワウソが釣り糸を引っ張っている。釣り竿は船に固定されている。だから動いている。…んなバカな。都合のいい夢だな。…そして朦朧(もうろう)としたまま意識が途切れた。 0:間 俺:N)目が覚めると病院だった。俺は離島に漂着。どうやら助かったらしい。あのカワウソがどうなったのかはわからない。そうだな、夢だったのかな。 0:間 俺:奇跡の生還から10年後。俺は小学校の同窓会に行った。噂によると「カワウソは、中学卒業後に水難事故で行方不明になったらしい。そうだったのか…。胸が痛む。 俺:もしかして…ひょっとして…。いや、まさか、そんなことはありえないけど…。あの時海で助けてくれたのは、「カワウソ」だったんじゃないかな。 ナレ:---『漂流』---

ナレ:『漂流』 俺:(つぶやき)「どれくらい経ったのだろう…。」 俺:N)俺は無限に広がる大海原を見つめながら呟いた。小型の漁船で釣りに来ていた俺は、嵐に巻き込まれて流されてしまった。もう燃料も尽きた。釣り道具と、持ってきたいくつかの道具。あとは雨水でなんとか生きながらえていた。しかし安心はできない。いよいよ雨水が底をつきそうなのだ。 俺:遭難したときには実感がなかったが、今は確実に命の危険を感じている。死を間近にすると、人は過去を思い出すらしい。俺は小学校の頃をぼんやりと思い出していた。 0:間 俺:N)小学校の頃、クラスにいじめられている女の子がいた。背は低く、声が小さくて、目が真ん丸な小動物のような女の子。あだ名は「カワウソ」。俺はそんな「カワウソ」をよく助けていたなあ。まるで正義の味方のように。実際は俺に正義感があったわけではない。俺は「カワウソ」が好きだったんだ。 俺:「カワウソ…元気かなあ。」 俺:N)卒業してからは会っていない。 俺:「カワウソにもう一回会いてえなあ。いや…未練とかじゃないんだけどさ…。」 俺:N)なんだか独り言が増える。 俺:「あー、カワウソ、今はどんな感じになってんだろうなー。カワウソ…え、カワウソ…?」 俺:N)目の前にカワウソがいた。あの頃の同級生ではない。生き物のカワウソだ。何やらこっちを見ている。ついて来いと言っているようだ。俺はどうにかついて行こうとした。が、船を動かす手段がない。諦めて食料調達の釣りをすることにした。カワウソはずっとそこにいた。 0:間 俺:N)気が付くと夜中になっていた。どうやら眠っていたようだ。ただ、不思議なことに船が動いている。見ると,カワウソが釣り糸を引っ張っている。釣り竿は船に固定されている。だから動いている。…んなバカな。都合のいい夢だな。…そして朦朧(もうろう)としたまま意識が途切れた。 0:間 俺:N)目が覚めると病院だった。俺は離島に漂着。どうやら助かったらしい。あのカワウソがどうなったのかはわからない。そうだな、夢だったのかな。 0:間 俺:奇跡の生還から10年後。俺は小学校の同窓会に行った。噂によると「カワウソは、中学卒業後に水難事故で行方不明になったらしい。そうだったのか…。胸が痛む。 俺:もしかして…ひょっとして…。いや、まさか、そんなことはありえないけど…。あの時海で助けてくれたのは、「カワウソ」だったんじゃないかな。 ナレ:---『漂流』---