台本概要
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タイトル | 『ドラムセット』~ヤッシー劇場 |
---|---|
作者名 | 詩歌 -fumika- (@tukiyonofumika) |
ジャンル | コメディ |
演者人数 | 1人用台本(不問1) ※兼役あり |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
ヤッシー劇場へようこそ。 昔々ではないあるところに、某星新一氏の生まれ変わりかと思われる、ヤッシーという男性がおりました。 ヤッシーが織りなすショートショートを、不肖詩歌-fimika-が台本化させていただきました。 基本独演(兼ね役)ですが、お二人で分担しても良いかと思います。 サクっと読めるショートショート、待ち合わせや残り時間にお楽しみください。 お話によって、男性だったり女性だったり動物だったり宇宙人だったり一人読みだったり兼ね役があったりします。男女不問。演者によって一人称や語尾を変えて演じていただいて良いです。 N)…モノローグ(心の声)です。 22 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
彼 | 男 | 2 | 彼女と同棲している彼。ナレ・ご近所さんと兼ね役。 |
彼女 | 女 | 3 | 彼と同棲している彼女。売り子と兼ね役。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
ナレ:『ドラムセット』
売り子:(明るく)「おめでとうございます!あなたの願いを叶えます!」
彼:N)最近話題になっている「願いを叶える宝くじ」が当たった。この宝くじは不思議なシステムで、宝くじを買わなくても当選者は国民からランダムで選ばれる。そして、当選者は自分から願いを言う事は出来ない。その人の本当の願いを叶えてくれる。
彼:N)僕はずっと「音楽で売れてビッグになりたい。」と思っていた。当選通知から数日して、部屋にドラムセットが届いた。なんとマイク付きだ。「なるほど、ドラムボーカルになれってことか。」僕はやる気になった。
彼:N)朝から晩までドラムを叩き、声を張り上げて歌った。(アドリブで曲をつける)♩誰も俺をニートなんて呼ばせねえ♩♩…毎日練習をした。本気だった。
彼:N)練習が一段落して、いつも部屋の前に置かれている晩飯を取ろうとドアノブを回した。ガチャ…ガチャガチャ…ひらかない。ガチャガチャ…ガチャガチャガチャ…ビクともしない。今までそんな事は1度も無かった。食事はいつも朝昼晩、部屋の前に置かれる。それが当たり前だった僕は叫んだ。
彼:「チクショウ!どういうことだ!開けろ!開けろよ!」
彼:N)扉を叩いた。壁も、窓も叩いた。材質が変わっているのか、壊れる気配はない。ただ虚しく、ドンドンと大きな音を立てるだけだった。
彼:「クソっ!出られねえ!」
彼:N)僕はそこらじゅう叩きまくった。近所迷惑?そんなこと知るか。
0:間
彼女:N)私は彼の同居人、いわゆる同棲というやつね。この間、ご近所さんに言われちゃった。
ご近所さん:「最近、お宅のあの人、ドンドンうるさいんですけど。叫び声もするし…。」
彼女:「すみません。ドラムセットを買って、夢中になってるみたいなの。なんか流行ってるみたいで…」
彼女:N)怪訝(けげん)そうな目で見られたので、なんだか言い訳がましくなる。
彼女:「あの人、我慢強くないから…あと数日で静かになると思います…。すみません…。」
彼女:N)そう言うと近所の人もしぶしぶ納得してくれた。…それにしてもあの「願いを叶える宝くじ」ってすごい。ずっと、ずっと、ずーーーーっと、あのゴクツブシを始末したいと思っていたのだけど…まさかそんな願いまで叶えてくれるなんて。
0:(SE)ドン…ドン…
彼:「誰か…開けてくれ…助けてくれ…」
彼女:「ふふ、ドラム叩きながらバラードってのは新しいわね。」
彼女:N)私は微笑みながら扉を見つめていた。
0:---『ドラムセット』---
ナレ:『ドラムセット』
売り子:(明るく)「おめでとうございます!あなたの願いを叶えます!」
彼:N)最近話題になっている「願いを叶える宝くじ」が当たった。この宝くじは不思議なシステムで、宝くじを買わなくても当選者は国民からランダムで選ばれる。そして、当選者は自分から願いを言う事は出来ない。その人の本当の願いを叶えてくれる。
彼:N)僕はずっと「音楽で売れてビッグになりたい。」と思っていた。当選通知から数日して、部屋にドラムセットが届いた。なんとマイク付きだ。「なるほど、ドラムボーカルになれってことか。」僕はやる気になった。
彼:N)朝から晩までドラムを叩き、声を張り上げて歌った。(アドリブで曲をつける)♩誰も俺をニートなんて呼ばせねえ♩♩…毎日練習をした。本気だった。
彼:N)練習が一段落して、いつも部屋の前に置かれている晩飯を取ろうとドアノブを回した。ガチャ…ガチャガチャ…ひらかない。ガチャガチャ…ガチャガチャガチャ…ビクともしない。今までそんな事は1度も無かった。食事はいつも朝昼晩、部屋の前に置かれる。それが当たり前だった僕は叫んだ。
彼:「チクショウ!どういうことだ!開けろ!開けろよ!」
彼:N)扉を叩いた。壁も、窓も叩いた。材質が変わっているのか、壊れる気配はない。ただ虚しく、ドンドンと大きな音を立てるだけだった。
彼:「クソっ!出られねえ!」
彼:N)僕はそこらじゅう叩きまくった。近所迷惑?そんなこと知るか。
0:間
彼女:N)私は彼の同居人、いわゆる同棲というやつね。この間、ご近所さんに言われちゃった。
ご近所さん:「最近、お宅のあの人、ドンドンうるさいんですけど。叫び声もするし…。」
彼女:「すみません。ドラムセットを買って、夢中になってるみたいなの。なんか流行ってるみたいで…」
彼女:N)怪訝(けげん)そうな目で見られたので、なんだか言い訳がましくなる。
彼女:「あの人、我慢強くないから…あと数日で静かになると思います…。すみません…。」
彼女:N)そう言うと近所の人もしぶしぶ納得してくれた。…それにしてもあの「願いを叶える宝くじ」ってすごい。ずっと、ずっと、ずーーーーっと、あのゴクツブシを始末したいと思っていたのだけど…まさかそんな願いまで叶えてくれるなんて。
0:(SE)ドン…ドン…
彼:「誰か…開けてくれ…助けてくれ…」
彼女:「ふふ、ドラム叩きながらバラードってのは新しいわね。」
彼女:N)私は微笑みながら扉を見つめていた。
0:---『ドラムセット』---