台本概要

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タイトル 拷問
作者名 akodon  (@akodon1)
ジャンル ラブストーリー
演者人数 2人用台本(男1、女1)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 【アドリブ大歓迎!】
彼氏が彼女に何故か拷問される話。
タイトル詐欺も甚だしいラブコメ。

コメディか、ラブストーリーのどちらに分類するか悩みましたが、なんかカップルがイチャつきだしたのでラブストーリーにしてやりました。
それでもコメディ成分7割くらいです。楽しんで頂けると嬉しい。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
祐也 77 彼氏。拷問される人。ビビりでヘタレ。びっくりするぐらい酒に弱い。
直子 76 彼女。拷問する人。ノリがいい。かなりお茶目な性格。甘党。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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0:(祐也、薄暗い部屋の中で椅子に縛り付けられている) 祐也:「うっ・・・ここは・・・?なんだ?俺の部屋・・・か・・・? 祐也:確か、少し前まで直子と二人で夕飯を食べていたと思ったんだが・・・いつの間にか眠ってしまっていたのか・・・?」 直子:「・・・あら、ようやくお目覚めのようね、祐也」 祐也:「直子・・・?俺は一体・・・ううっ、頭が痛い・・・」 直子:「まぁ、大丈夫?」 祐也:「ああ・・・すまない、ちょっと頭痛が酷くてな。喉も乾いたし、水でも飲んでくるよ。 祐也:・・・ッ!?」 直子:「どうかした?」 祐也:「身体が、動かせない・・・?」 直子:「そうよ、あなたは今、椅子に拘束されている」 祐也:「何故、何故だ・・・?直子、お前は無事なのか・・・?」 直子:「ええ、見ての通り私は無事よ」 祐也:「そうか、良かった・・・しかし、誰がこんな真似を・・・」 直子:「私よ」 祐也:「なん・・・だと・・・?」 直子:「私があなたを椅子に縛り付けたの。何か問題でも?」 祐也:「どうして・・・ハッ!まさか、俺が急に眠ってしまったのは、お前が夕飯に睡眠薬を仕込んで・・・!?」 直子:「それは違うわ。あなたは夕飯の時、お酒に弱いくせに珍しくワインを飲んでいた」 祐也:「・・・ハッ・・・!」 直子:「しかも、三杯」 祐也:「・・・」 直子:「ふふ、ベロベロに酔っ払って寝てしまったあなたを、椅子に縛り付けるのは簡単だったわ」 祐也:「くっ・・・何故だ?俺をここに拘束した目的は?どうして突然こんなことを・・・!」 直子:「それは、自分の胸に聞いてみなさい」 祐也:「それは・・・どういう・・・」 直子:「しらばっくれるのね。いいわ、それなら仕方ない」 祐也:「な、直子・・・?」 直子:「私は今からあなたを拷問します」 祐也:「・・・はは・・・何を言っているんだ?正気か?」 直子:「正気よ。至って正気」 祐也:「おいおい・・・まぁ、やるにしたって、どうせ足の裏をくすぐる程度のモンだろ?」 直子:「いいえ、違うわ。そんな温いモノじゃない」 祐也:「じゃあ、何をやるって言うんだ」 直子:「・・・コレよ」 祐也:「・・・!そ、それは・・・ッ」 直子:「ふふ・・・震えているわね、祐也。この黒ひげ危機一発を見て・・・」 祐也:「くっ・・・」 直子:「目を逸らして誤魔化そうとしてもダメよ。 直子:あなたはこういう驚かせ系のオモチャが苦手だってこと、私はよく知っているわ」 祐也:「そんなこと・・・」 直子:「あるわよねぇ?前に一緒に遊んだ時、驚きすぎて後ろに仰け反った瞬間、壁に後頭部を強打して失神しちゃったものね」 祐也:「ううっ・・・」 直子:「うふふ、だからね、私は今からあなたの目の前で、この樽の穴に剣を刺していくわ」 祐也:「刺していくってお前・・・もうその黒ひげには、ほとんど穴が残ってないじゃないか!」 直子:「そうよ。だから、すぐにでもこの黒ひげはあなたの目の前で飛び出すかもしれない」 祐也:「やめろぉ!やめてくれぇ!」 直子:「あら、あなたが正直に答えてくれるのなら、今すぐにでもやめてあげるわよ」 祐也:「だから、俺は何て答えれば・・・!」 直子:「一本目」 祐也:「ヒィッ!」 直子:「・・・残念、ここじゃなかったみたいね」 祐也:「ううう・・・良かった・・・」 直子:「もう・・・涙目になっちゃって・・・可愛い」 祐也:「くそっ・・・なんだよ、お前の目的は一体何なんだ・・・」 直子:「まだわからないの?ほらほら、自分の胸に手を当てて、よく考えてみなさい」 祐也:「縛られてるのに胸に手なんか当てられるかよ!」 直子:「二本目」 祐也:「ヒィイイイ!」 直子:「こーら、そういう揚げ足取りをしちゃダメよ?」 祐也:「うう・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」 直子:「わかればよろしい。さぁ、そろそろ何か思い当たることは無い?」 祐也:「ええっと・・・」 直子:「次はどこにし・よ・う・か・な」 祐也:「あああ!今日帰ってきて、冷蔵庫に入ってたシュークリームをこっそり食べたのは俺です!」 直子:「三本目」 祐也:「ヒエエエエ!何で刺すんだよ!」 直子:「・・・それは初耳だったわ」 祐也:「えっ・・・それが理由で怒ってたんじゃないの?」 直子:「違うわ。でも、あのシュークリームは今日の夜、あなたが寝た後、こっそり食べようと楽しみにしていたもの・・・」 祐也:「太るぞ?」 直子:「四本目」 祐也:「ギャアアアア!」 直子:「食べ物の恨み・・・!食べ物の恨み・・・!」 祐也:「ごめ、ごめんて・・・」 直子:「SNSでも話題の、超人気店のシュークリーム・・・開店と同時に売り切れちゃうから、朝四時に早起きして並んだのに・・・!」 祐也:「俺が悪かった!今度買いに行ってくるから! 祐也:その手に持ってる剣を刺すの待って!ね!お願い!」 直子:「約束よ?朝三時に起きて並んでね?」 祐也:「さりげなくお前より一時間早いし、ど早朝なんですけど・・・」 直子:「五本・・・」 祐也:(祐也、食い気味に) 祐也:「すみませんすみません!早朝だろうと深夜だろうと、喜んで並ばせて頂きます!」 直子:「三つ買ってきてね」 祐也:「二人分だとしても一つ多くね?」 直子:「私が二つ食べるの」 祐也:「あっ・・・そうですか・・・」 直子:「ふぅ・・・うっかり取り乱してしまったわ・・・。さて、続けましょうか?」 祐也:「おい、待て・・・続けようも何も、残ってる穴はあと三つじゃないか」 直子:「そうね。もしかしたら、次の瞬間にでもこの拷問は終わるかもしれない」 祐也:「そうか!じゃあ、俺は三回この恐怖を耐え抜けば・・・!」 直子:「甘いわ、シュークリームより甘いわ。祐也」 祐也:「ハッ・・・!?お前、その手に持っているのは・・・まさか・・・」 直子:「そう、歯を押すとワニがガブッとしてくるヤツよ」 祐也:「嘘・・・だろ・・・?」 直子:「ふふふ、そう簡単に拷問が終わると思った?」 祐也:「ああ・・・あああ・・・」 直子:「思い出すわね・・・二人でコレを使って遊んだ時、噛まれた瞬間、『おかあさーーーん!!!』と狂ったように泣き叫んだあなたの事を・・・」 祐也:「頼む・・・忘れて・・・忘れてくれ・・・」 直子:「面白すぎたから録音してあるわ」 祐也:「うっ・・・うっ・・・恥ずかしい・・・」 直子:「だからね、例え黒ひげが飛び出しても、終わりじゃないの。 直子:あなたが自白するまで、この拷問は続くのよ」 祐也:「くそっ・・・くそうっ・・・」 直子:「さぁ、黒ひげを早く終わらせたいのなら、さっさと次の剣を刺しましょうか?」 祐也:「い、いや待ってくれ!せめて、せめてヒントをくれないか!」 直子:「あらあら、仕方ないわねぇ。じゃあ、一つだけ教えてあげる」 祐也:「あ、ああ・・・」 直子:「・・・先週の日曜日、一緒に歩いてた女」 祐也:「・・・!あれは・・・!」 直子:「五本目」 祐也:「ぐわぁあああ!」 直子:「ほら、ヒントはあげたわよ。早く白状してくれないと、黒ひげが飛び出しちゃう」 祐也:「はぁ・・・はぁ・・・なんでお前、俺が彼女と会ってたのを知って・・・」 直子:「ふぅん、彼女、ねぇ」 祐也:「いや、違う!誤解だ!彼女とはお前の思うような仲じゃない!」 直子:「あらあら、じゃあ二人で楽しく何処に出掛けてたのかしら?」 祐也:「えっと・・・ちょっとこの状況で言うのはちょっと・・・なんというか・・・その・・・」 直子:「・・・二分の一、行ってみる?」 祐也:「すみません!言います!」 直子:「うふ、聞かせてもらおうじゃない」 祐也:「・・・その前に、そこの引き出しを開けてくれ」 直子:「わかったわ」 祐也:「そこに入っている箱を取ってくれ」 直子:「コレね」 祐也:「箱を開けて、中身を左手の薬指に着けてくれ」 直子:「着けたわ」 祐也:「・・・こんな状況で言うことになるなんて、全く想像してなかったけど・・・聞いてくれるか?」 直子:「ええ、どうぞ」 祐也:「ハァーーー・・・ 祐也:直子・・・ずっと待たせてごめん。俺は知っての通り、頼りなくて、情けない男だ。 祐也:今日だって、何だかんだ酒の勢いでどうにかしようと考えた挙句、酔い潰れてしまうような、ビビりでダサい男だ」 直子:「ええ、よーく知ってるわ」 祐也:「ハッキリ言うなよ・・・。 祐也:だけど、そんな俺でも許してくれるのなら、これから先ずっとお前の傍にいたい。 祐也:・・・どうか、俺と結婚してください」 直子:「はい、喜んで」 祐也:「・・・わりとあっさり受け入れるじゃん。もっと泣いたりとか驚いたりしないの?」 直子:「実はね、あなたと一緒に指輪を選んでくれた会社の後輩の女の子、私の学生時代の後輩でもあるの」 祐也:「なんだよ・・・じゃあ、もしかして全部筒抜けだったわけ?」 直子:「そうなるわね」 祐也:「マジかよ・・・サプライズにしたい、って言ってあったのに」 直子:「例えそういうことであっても、彼氏さんと二人で出掛けちゃってごめんなさい、って連絡があったの」 祐也:「そうかぁ・・・」 直子:「あと、あなたが予想以上にプロポーズのタイミングに悩んでるヘタレだから、いっそのこと自分から流れ作った方が良いかもですよ、って」 祐也:「かと言って、この流れはぶっ飛びすぎじゃない?」 直子:「想い出には残りそうでしょ?」 祐也:「こんな情けないプロポーズ。生まれ変わっても忘れられない気がするよ」 直子:「祐也らしいじゃない?」 祐也:「ははは」 直子:「へへへ」 祐也:「・・・直子さん」 直子:「何ですか?」 祐也:「あの、ちょっと抱き締めさせてもらいたいので、この紐を解いて頂けますか?」 直子:「あらあら、気が利かなくてごめんなさいね。祐也さん」 祐也:「いえいえ。ちょっと身体も痛くなってきたので」 直子:「あっ、その前にひとつ予行練習をしたいのですが」 祐也:「何の?」 直子:「ケーキ入刀」 祐也:「ケーキって・・・いや、お前・・・その手に持ってるのって、黒ひげ危機一発・・・!」 直子:「さぁて、ここで運試し! 直子:黒ひげが飛び出せば私たちの未来には幸福が訪れるでしょう! 直子:飛び出さなくても自らの力で幸せになれるよう、手と手を取り合って頑張って生きていきましょう!」 祐也:「あああ、頼む、せめてもう少し・・・もう少し離れて・・・」 直子:「ではでは!二人の門出を祝して!いざ!」 祐也:「ああああああ!!!」 0:〜FIN〜

0:(祐也、薄暗い部屋の中で椅子に縛り付けられている) 祐也:「うっ・・・ここは・・・?なんだ?俺の部屋・・・か・・・? 祐也:確か、少し前まで直子と二人で夕飯を食べていたと思ったんだが・・・いつの間にか眠ってしまっていたのか・・・?」 直子:「・・・あら、ようやくお目覚めのようね、祐也」 祐也:「直子・・・?俺は一体・・・ううっ、頭が痛い・・・」 直子:「まぁ、大丈夫?」 祐也:「ああ・・・すまない、ちょっと頭痛が酷くてな。喉も乾いたし、水でも飲んでくるよ。 祐也:・・・ッ!?」 直子:「どうかした?」 祐也:「身体が、動かせない・・・?」 直子:「そうよ、あなたは今、椅子に拘束されている」 祐也:「何故、何故だ・・・?直子、お前は無事なのか・・・?」 直子:「ええ、見ての通り私は無事よ」 祐也:「そうか、良かった・・・しかし、誰がこんな真似を・・・」 直子:「私よ」 祐也:「なん・・・だと・・・?」 直子:「私があなたを椅子に縛り付けたの。何か問題でも?」 祐也:「どうして・・・ハッ!まさか、俺が急に眠ってしまったのは、お前が夕飯に睡眠薬を仕込んで・・・!?」 直子:「それは違うわ。あなたは夕飯の時、お酒に弱いくせに珍しくワインを飲んでいた」 祐也:「・・・ハッ・・・!」 直子:「しかも、三杯」 祐也:「・・・」 直子:「ふふ、ベロベロに酔っ払って寝てしまったあなたを、椅子に縛り付けるのは簡単だったわ」 祐也:「くっ・・・何故だ?俺をここに拘束した目的は?どうして突然こんなことを・・・!」 直子:「それは、自分の胸に聞いてみなさい」 祐也:「それは・・・どういう・・・」 直子:「しらばっくれるのね。いいわ、それなら仕方ない」 祐也:「な、直子・・・?」 直子:「私は今からあなたを拷問します」 祐也:「・・・はは・・・何を言っているんだ?正気か?」 直子:「正気よ。至って正気」 祐也:「おいおい・・・まぁ、やるにしたって、どうせ足の裏をくすぐる程度のモンだろ?」 直子:「いいえ、違うわ。そんな温いモノじゃない」 祐也:「じゃあ、何をやるって言うんだ」 直子:「・・・コレよ」 祐也:「・・・!そ、それは・・・ッ」 直子:「ふふ・・・震えているわね、祐也。この黒ひげ危機一発を見て・・・」 祐也:「くっ・・・」 直子:「目を逸らして誤魔化そうとしてもダメよ。 直子:あなたはこういう驚かせ系のオモチャが苦手だってこと、私はよく知っているわ」 祐也:「そんなこと・・・」 直子:「あるわよねぇ?前に一緒に遊んだ時、驚きすぎて後ろに仰け反った瞬間、壁に後頭部を強打して失神しちゃったものね」 祐也:「ううっ・・・」 直子:「うふふ、だからね、私は今からあなたの目の前で、この樽の穴に剣を刺していくわ」 祐也:「刺していくってお前・・・もうその黒ひげには、ほとんど穴が残ってないじゃないか!」 直子:「そうよ。だから、すぐにでもこの黒ひげはあなたの目の前で飛び出すかもしれない」 祐也:「やめろぉ!やめてくれぇ!」 直子:「あら、あなたが正直に答えてくれるのなら、今すぐにでもやめてあげるわよ」 祐也:「だから、俺は何て答えれば・・・!」 直子:「一本目」 祐也:「ヒィッ!」 直子:「・・・残念、ここじゃなかったみたいね」 祐也:「ううう・・・良かった・・・」 直子:「もう・・・涙目になっちゃって・・・可愛い」 祐也:「くそっ・・・なんだよ、お前の目的は一体何なんだ・・・」 直子:「まだわからないの?ほらほら、自分の胸に手を当てて、よく考えてみなさい」 祐也:「縛られてるのに胸に手なんか当てられるかよ!」 直子:「二本目」 祐也:「ヒィイイイ!」 直子:「こーら、そういう揚げ足取りをしちゃダメよ?」 祐也:「うう・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」 直子:「わかればよろしい。さぁ、そろそろ何か思い当たることは無い?」 祐也:「ええっと・・・」 直子:「次はどこにし・よ・う・か・な」 祐也:「あああ!今日帰ってきて、冷蔵庫に入ってたシュークリームをこっそり食べたのは俺です!」 直子:「三本目」 祐也:「ヒエエエエ!何で刺すんだよ!」 直子:「・・・それは初耳だったわ」 祐也:「えっ・・・それが理由で怒ってたんじゃないの?」 直子:「違うわ。でも、あのシュークリームは今日の夜、あなたが寝た後、こっそり食べようと楽しみにしていたもの・・・」 祐也:「太るぞ?」 直子:「四本目」 祐也:「ギャアアアア!」 直子:「食べ物の恨み・・・!食べ物の恨み・・・!」 祐也:「ごめ、ごめんて・・・」 直子:「SNSでも話題の、超人気店のシュークリーム・・・開店と同時に売り切れちゃうから、朝四時に早起きして並んだのに・・・!」 祐也:「俺が悪かった!今度買いに行ってくるから! 祐也:その手に持ってる剣を刺すの待って!ね!お願い!」 直子:「約束よ?朝三時に起きて並んでね?」 祐也:「さりげなくお前より一時間早いし、ど早朝なんですけど・・・」 直子:「五本・・・」 祐也:(祐也、食い気味に) 祐也:「すみませんすみません!早朝だろうと深夜だろうと、喜んで並ばせて頂きます!」 直子:「三つ買ってきてね」 祐也:「二人分だとしても一つ多くね?」 直子:「私が二つ食べるの」 祐也:「あっ・・・そうですか・・・」 直子:「ふぅ・・・うっかり取り乱してしまったわ・・・。さて、続けましょうか?」 祐也:「おい、待て・・・続けようも何も、残ってる穴はあと三つじゃないか」 直子:「そうね。もしかしたら、次の瞬間にでもこの拷問は終わるかもしれない」 祐也:「そうか!じゃあ、俺は三回この恐怖を耐え抜けば・・・!」 直子:「甘いわ、シュークリームより甘いわ。祐也」 祐也:「ハッ・・・!?お前、その手に持っているのは・・・まさか・・・」 直子:「そう、歯を押すとワニがガブッとしてくるヤツよ」 祐也:「嘘・・・だろ・・・?」 直子:「ふふふ、そう簡単に拷問が終わると思った?」 祐也:「ああ・・・あああ・・・」 直子:「思い出すわね・・・二人でコレを使って遊んだ時、噛まれた瞬間、『おかあさーーーん!!!』と狂ったように泣き叫んだあなたの事を・・・」 祐也:「頼む・・・忘れて・・・忘れてくれ・・・」 直子:「面白すぎたから録音してあるわ」 祐也:「うっ・・・うっ・・・恥ずかしい・・・」 直子:「だからね、例え黒ひげが飛び出しても、終わりじゃないの。 直子:あなたが自白するまで、この拷問は続くのよ」 祐也:「くそっ・・・くそうっ・・・」 直子:「さぁ、黒ひげを早く終わらせたいのなら、さっさと次の剣を刺しましょうか?」 祐也:「い、いや待ってくれ!せめて、せめてヒントをくれないか!」 直子:「あらあら、仕方ないわねぇ。じゃあ、一つだけ教えてあげる」 祐也:「あ、ああ・・・」 直子:「・・・先週の日曜日、一緒に歩いてた女」 祐也:「・・・!あれは・・・!」 直子:「五本目」 祐也:「ぐわぁあああ!」 直子:「ほら、ヒントはあげたわよ。早く白状してくれないと、黒ひげが飛び出しちゃう」 祐也:「はぁ・・・はぁ・・・なんでお前、俺が彼女と会ってたのを知って・・・」 直子:「ふぅん、彼女、ねぇ」 祐也:「いや、違う!誤解だ!彼女とはお前の思うような仲じゃない!」 直子:「あらあら、じゃあ二人で楽しく何処に出掛けてたのかしら?」 祐也:「えっと・・・ちょっとこの状況で言うのはちょっと・・・なんというか・・・その・・・」 直子:「・・・二分の一、行ってみる?」 祐也:「すみません!言います!」 直子:「うふ、聞かせてもらおうじゃない」 祐也:「・・・その前に、そこの引き出しを開けてくれ」 直子:「わかったわ」 祐也:「そこに入っている箱を取ってくれ」 直子:「コレね」 祐也:「箱を開けて、中身を左手の薬指に着けてくれ」 直子:「着けたわ」 祐也:「・・・こんな状況で言うことになるなんて、全く想像してなかったけど・・・聞いてくれるか?」 直子:「ええ、どうぞ」 祐也:「ハァーーー・・・ 祐也:直子・・・ずっと待たせてごめん。俺は知っての通り、頼りなくて、情けない男だ。 祐也:今日だって、何だかんだ酒の勢いでどうにかしようと考えた挙句、酔い潰れてしまうような、ビビりでダサい男だ」 直子:「ええ、よーく知ってるわ」 祐也:「ハッキリ言うなよ・・・。 祐也:だけど、そんな俺でも許してくれるのなら、これから先ずっとお前の傍にいたい。 祐也:・・・どうか、俺と結婚してください」 直子:「はい、喜んで」 祐也:「・・・わりとあっさり受け入れるじゃん。もっと泣いたりとか驚いたりしないの?」 直子:「実はね、あなたと一緒に指輪を選んでくれた会社の後輩の女の子、私の学生時代の後輩でもあるの」 祐也:「なんだよ・・・じゃあ、もしかして全部筒抜けだったわけ?」 直子:「そうなるわね」 祐也:「マジかよ・・・サプライズにしたい、って言ってあったのに」 直子:「例えそういうことであっても、彼氏さんと二人で出掛けちゃってごめんなさい、って連絡があったの」 祐也:「そうかぁ・・・」 直子:「あと、あなたが予想以上にプロポーズのタイミングに悩んでるヘタレだから、いっそのこと自分から流れ作った方が良いかもですよ、って」 祐也:「かと言って、この流れはぶっ飛びすぎじゃない?」 直子:「想い出には残りそうでしょ?」 祐也:「こんな情けないプロポーズ。生まれ変わっても忘れられない気がするよ」 直子:「祐也らしいじゃない?」 祐也:「ははは」 直子:「へへへ」 祐也:「・・・直子さん」 直子:「何ですか?」 祐也:「あの、ちょっと抱き締めさせてもらいたいので、この紐を解いて頂けますか?」 直子:「あらあら、気が利かなくてごめんなさいね。祐也さん」 祐也:「いえいえ。ちょっと身体も痛くなってきたので」 直子:「あっ、その前にひとつ予行練習をしたいのですが」 祐也:「何の?」 直子:「ケーキ入刀」 祐也:「ケーキって・・・いや、お前・・・その手に持ってるのって、黒ひげ危機一発・・・!」 直子:「さぁて、ここで運試し! 直子:黒ひげが飛び出せば私たちの未来には幸福が訪れるでしょう! 直子:飛び出さなくても自らの力で幸せになれるよう、手と手を取り合って頑張って生きていきましょう!」 祐也:「あああ、頼む、せめてもう少し・・・もう少し離れて・・・」 直子:「ではでは!二人の門出を祝して!いざ!」 祐也:「ああああああ!!!」 0:〜FIN〜