台本概要
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タイトル | 拷問 |
---|---|
作者名 | akodon (@akodon1) |
ジャンル | ラブストーリー |
演者人数 | 2人用台本(男1、女1) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 非商用利用時は連絡不要 |
説明 |
【アドリブ大歓迎!】 彼氏が彼女に何故か拷問される話。 タイトル詐欺も甚だしいラブコメ。 コメディか、ラブストーリーのどちらに分類するか悩みましたが、なんかカップルがイチャつきだしたのでラブストーリーにしてやりました。 それでもコメディ成分7割くらいです。楽しんで頂けると嬉しい。 653 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
祐也 | 男 | 77 | 彼氏。拷問される人。ビビりでヘタレ。びっくりするぐらい酒に弱い。 |
直子 | 女 | 76 | 彼女。拷問する人。ノリがいい。かなりお茶目な性格。甘党。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:(祐也、薄暗い部屋の中で椅子に縛り付けられている)
祐也:「うっ・・・ここは・・・?なんだ?俺の部屋・・・か・・・?
祐也:確か、少し前まで直子と二人で夕飯を食べていたと思ったんだが・・・いつの間にか眠ってしまっていたのか・・・?」
直子:「・・・あら、ようやくお目覚めのようね、祐也」
祐也:「直子・・・?俺は一体・・・ううっ、頭が痛い・・・」
直子:「まぁ、大丈夫?」
祐也:「ああ・・・すまない、ちょっと頭痛が酷くてな。喉も乾いたし、水でも飲んでくるよ。
祐也:・・・ッ!?」
直子:「どうかした?」
祐也:「身体が、動かせない・・・?」
直子:「そうよ、あなたは今、椅子に拘束されている」
祐也:「何故、何故だ・・・?直子、お前は無事なのか・・・?」
直子:「ええ、見ての通り私は無事よ」
祐也:「そうか、良かった・・・しかし、誰がこんな真似を・・・」
直子:「私よ」
祐也:「なん・・・だと・・・?」
直子:「私があなたを椅子に縛り付けたの。何か問題でも?」
祐也:「どうして・・・ハッ!まさか、俺が急に眠ってしまったのは、お前が夕飯に睡眠薬を仕込んで・・・!?」
直子:「それは違うわ。あなたは夕飯の時、お酒に弱いくせに珍しくワインを飲んでいた」
祐也:「・・・ハッ・・・!」
直子:「しかも、三杯」
祐也:「・・・」
直子:「ふふ、ベロベロに酔っ払って寝てしまったあなたを、椅子に縛り付けるのは簡単だったわ」
祐也:「くっ・・・何故だ?俺をここに拘束した目的は?どうして突然こんなことを・・・!」
直子:「それは、自分の胸に聞いてみなさい」
祐也:「それは・・・どういう・・・」
直子:「しらばっくれるのね。いいわ、それなら仕方ない」
祐也:「な、直子・・・?」
直子:「私は今からあなたを拷問します」
祐也:「・・・はは・・・何を言っているんだ?正気か?」
直子:「正気よ。至って正気」
祐也:「おいおい・・・まぁ、やるにしたって、どうせ足の裏をくすぐる程度のモンだろ?」
直子:「いいえ、違うわ。そんな温いモノじゃない」
祐也:「じゃあ、何をやるって言うんだ」
直子:「・・・コレよ」
祐也:「・・・!そ、それは・・・ッ」
直子:「ふふ・・・震えているわね、祐也。この黒ひげ危機一発を見て・・・」
祐也:「くっ・・・」
直子:「目を逸らして誤魔化そうとしてもダメよ。
直子:あなたはこういう驚かせ系のオモチャが苦手だってこと、私はよく知っているわ」
祐也:「そんなこと・・・」
直子:「あるわよねぇ?前に一緒に遊んだ時、驚きすぎて後ろに仰け反った瞬間、壁に後頭部を強打して失神しちゃったものね」
祐也:「ううっ・・・」
直子:「うふふ、だからね、私は今からあなたの目の前で、この樽の穴に剣を刺していくわ」
祐也:「刺していくってお前・・・もうその黒ひげには、ほとんど穴が残ってないじゃないか!」
直子:「そうよ。だから、すぐにでもこの黒ひげはあなたの目の前で飛び出すかもしれない」
祐也:「やめろぉ!やめてくれぇ!」
直子:「あら、あなたが正直に答えてくれるのなら、今すぐにでもやめてあげるわよ」
祐也:「だから、俺は何て答えれば・・・!」
直子:「一本目」
祐也:「ヒィッ!」
直子:「・・・残念、ここじゃなかったみたいね」
祐也:「ううう・・・良かった・・・」
直子:「もう・・・涙目になっちゃって・・・可愛い」
祐也:「くそっ・・・なんだよ、お前の目的は一体何なんだ・・・」
直子:「まだわからないの?ほらほら、自分の胸に手を当てて、よく考えてみなさい」
祐也:「縛られてるのに胸に手なんか当てられるかよ!」
直子:「二本目」
祐也:「ヒィイイイ!」
直子:「こーら、そういう揚げ足取りをしちゃダメよ?」
祐也:「うう・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
直子:「わかればよろしい。さぁ、そろそろ何か思い当たることは無い?」
祐也:「ええっと・・・」
直子:「次はどこにし・よ・う・か・な」
祐也:「あああ!今日帰ってきて、冷蔵庫に入ってたシュークリームをこっそり食べたのは俺です!」
直子:「三本目」
祐也:「ヒエエエエ!何で刺すんだよ!」
直子:「・・・それは初耳だったわ」
祐也:「えっ・・・それが理由で怒ってたんじゃないの?」
直子:「違うわ。でも、あのシュークリームは今日の夜、あなたが寝た後、こっそり食べようと楽しみにしていたもの・・・」
祐也:「太るぞ?」
直子:「四本目」
祐也:「ギャアアアア!」
直子:「食べ物の恨み・・・!食べ物の恨み・・・!」
祐也:「ごめ、ごめんて・・・」
直子:「SNSでも話題の、超人気店のシュークリーム・・・開店と同時に売り切れちゃうから、朝四時に早起きして並んだのに・・・!」
祐也:「俺が悪かった!今度買いに行ってくるから!
祐也:その手に持ってる剣を刺すの待って!ね!お願い!」
直子:「約束よ?朝三時に起きて並んでね?」
祐也:「さりげなくお前より一時間早いし、ど早朝なんですけど・・・」
直子:「五本・・・」
祐也:(祐也、食い気味に)
祐也:「すみませんすみません!早朝だろうと深夜だろうと、喜んで並ばせて頂きます!」
直子:「三つ買ってきてね」
祐也:「二人分だとしても一つ多くね?」
直子:「私が二つ食べるの」
祐也:「あっ・・・そうですか・・・」
直子:「ふぅ・・・うっかり取り乱してしまったわ・・・。さて、続けましょうか?」
祐也:「おい、待て・・・続けようも何も、残ってる穴はあと三つじゃないか」
直子:「そうね。もしかしたら、次の瞬間にでもこの拷問は終わるかもしれない」
祐也:「そうか!じゃあ、俺は三回この恐怖を耐え抜けば・・・!」
直子:「甘いわ、シュークリームより甘いわ。祐也」
祐也:「ハッ・・・!?お前、その手に持っているのは・・・まさか・・・」
直子:「そう、歯を押すとワニがガブッとしてくるヤツよ」
祐也:「嘘・・・だろ・・・?」
直子:「ふふふ、そう簡単に拷問が終わると思った?」
祐也:「ああ・・・あああ・・・」
直子:「思い出すわね・・・二人でコレを使って遊んだ時、噛まれた瞬間、『おかあさーーーん!!!』と狂ったように泣き叫んだあなたの事を・・・」
祐也:「頼む・・・忘れて・・・忘れてくれ・・・」
直子:「面白すぎたから録音してあるわ」
祐也:「うっ・・・うっ・・・恥ずかしい・・・」
直子:「だからね、例え黒ひげが飛び出しても、終わりじゃないの。
直子:あなたが自白するまで、この拷問は続くのよ」
祐也:「くそっ・・・くそうっ・・・」
直子:「さぁ、黒ひげを早く終わらせたいのなら、さっさと次の剣を刺しましょうか?」
祐也:「い、いや待ってくれ!せめて、せめてヒントをくれないか!」
直子:「あらあら、仕方ないわねぇ。じゃあ、一つだけ教えてあげる」
祐也:「あ、ああ・・・」
直子:「・・・先週の日曜日、一緒に歩いてた女」
祐也:「・・・!あれは・・・!」
直子:「五本目」
祐也:「ぐわぁあああ!」
直子:「ほら、ヒントはあげたわよ。早く白状してくれないと、黒ひげが飛び出しちゃう」
祐也:「はぁ・・・はぁ・・・なんでお前、俺が彼女と会ってたのを知って・・・」
直子:「ふぅん、彼女、ねぇ」
祐也:「いや、違う!誤解だ!彼女とはお前の思うような仲じゃない!」
直子:「あらあら、じゃあ二人で楽しく何処に出掛けてたのかしら?」
祐也:「えっと・・・ちょっとこの状況で言うのはちょっと・・・なんというか・・・その・・・」
直子:「・・・二分の一、行ってみる?」
祐也:「すみません!言います!」
直子:「うふ、聞かせてもらおうじゃない」
祐也:「・・・その前に、そこの引き出しを開けてくれ」
直子:「わかったわ」
祐也:「そこに入っている箱を取ってくれ」
直子:「コレね」
祐也:「箱を開けて、中身を左手の薬指に着けてくれ」
直子:「着けたわ」
祐也:「・・・こんな状況で言うことになるなんて、全く想像してなかったけど・・・聞いてくれるか?」
直子:「ええ、どうぞ」
祐也:「ハァーーー・・・
祐也:直子・・・ずっと待たせてごめん。俺は知っての通り、頼りなくて、情けない男だ。
祐也:今日だって、何だかんだ酒の勢いでどうにかしようと考えた挙句、酔い潰れてしまうような、ビビりでダサい男だ」
直子:「ええ、よーく知ってるわ」
祐也:「ハッキリ言うなよ・・・。
祐也:だけど、そんな俺でも許してくれるのなら、これから先ずっとお前の傍にいたい。
祐也:・・・どうか、俺と結婚してください」
直子:「はい、喜んで」
祐也:「・・・わりとあっさり受け入れるじゃん。もっと泣いたりとか驚いたりしないの?」
直子:「実はね、あなたと一緒に指輪を選んでくれた会社の後輩の女の子、私の学生時代の後輩でもあるの」
祐也:「なんだよ・・・じゃあ、もしかして全部筒抜けだったわけ?」
直子:「そうなるわね」
祐也:「マジかよ・・・サプライズにしたい、って言ってあったのに」
直子:「例えそういうことであっても、彼氏さんと二人で出掛けちゃってごめんなさい、って連絡があったの」
祐也:「そうかぁ・・・」
直子:「あと、あなたが予想以上にプロポーズのタイミングに悩んでるヘタレだから、いっそのこと自分から流れ作った方が良いかもですよ、って」
祐也:「かと言って、この流れはぶっ飛びすぎじゃない?」
直子:「想い出には残りそうでしょ?」
祐也:「こんな情けないプロポーズ。生まれ変わっても忘れられない気がするよ」
直子:「祐也らしいじゃない?」
祐也:「ははは」
直子:「へへへ」
祐也:「・・・直子さん」
直子:「何ですか?」
祐也:「あの、ちょっと抱き締めさせてもらいたいので、この紐を解いて頂けますか?」
直子:「あらあら、気が利かなくてごめんなさいね。祐也さん」
祐也:「いえいえ。ちょっと身体も痛くなってきたので」
直子:「あっ、その前にひとつ予行練習をしたいのですが」
祐也:「何の?」
直子:「ケーキ入刀」
祐也:「ケーキって・・・いや、お前・・・その手に持ってるのって、黒ひげ危機一発・・・!」
直子:「さぁて、ここで運試し!
直子:黒ひげが飛び出せば私たちの未来には幸福が訪れるでしょう!
直子:飛び出さなくても自らの力で幸せになれるよう、手と手を取り合って頑張って生きていきましょう!」
祐也:「あああ、頼む、せめてもう少し・・・もう少し離れて・・・」
直子:「ではでは!二人の門出を祝して!いざ!」
祐也:「ああああああ!!!」
0:〜FIN〜
0:(祐也、薄暗い部屋の中で椅子に縛り付けられている)
祐也:「うっ・・・ここは・・・?なんだ?俺の部屋・・・か・・・?
祐也:確か、少し前まで直子と二人で夕飯を食べていたと思ったんだが・・・いつの間にか眠ってしまっていたのか・・・?」
直子:「・・・あら、ようやくお目覚めのようね、祐也」
祐也:「直子・・・?俺は一体・・・ううっ、頭が痛い・・・」
直子:「まぁ、大丈夫?」
祐也:「ああ・・・すまない、ちょっと頭痛が酷くてな。喉も乾いたし、水でも飲んでくるよ。
祐也:・・・ッ!?」
直子:「どうかした?」
祐也:「身体が、動かせない・・・?」
直子:「そうよ、あなたは今、椅子に拘束されている」
祐也:「何故、何故だ・・・?直子、お前は無事なのか・・・?」
直子:「ええ、見ての通り私は無事よ」
祐也:「そうか、良かった・・・しかし、誰がこんな真似を・・・」
直子:「私よ」
祐也:「なん・・・だと・・・?」
直子:「私があなたを椅子に縛り付けたの。何か問題でも?」
祐也:「どうして・・・ハッ!まさか、俺が急に眠ってしまったのは、お前が夕飯に睡眠薬を仕込んで・・・!?」
直子:「それは違うわ。あなたは夕飯の時、お酒に弱いくせに珍しくワインを飲んでいた」
祐也:「・・・ハッ・・・!」
直子:「しかも、三杯」
祐也:「・・・」
直子:「ふふ、ベロベロに酔っ払って寝てしまったあなたを、椅子に縛り付けるのは簡単だったわ」
祐也:「くっ・・・何故だ?俺をここに拘束した目的は?どうして突然こんなことを・・・!」
直子:「それは、自分の胸に聞いてみなさい」
祐也:「それは・・・どういう・・・」
直子:「しらばっくれるのね。いいわ、それなら仕方ない」
祐也:「な、直子・・・?」
直子:「私は今からあなたを拷問します」
祐也:「・・・はは・・・何を言っているんだ?正気か?」
直子:「正気よ。至って正気」
祐也:「おいおい・・・まぁ、やるにしたって、どうせ足の裏をくすぐる程度のモンだろ?」
直子:「いいえ、違うわ。そんな温いモノじゃない」
祐也:「じゃあ、何をやるって言うんだ」
直子:「・・・コレよ」
祐也:「・・・!そ、それは・・・ッ」
直子:「ふふ・・・震えているわね、祐也。この黒ひげ危機一発を見て・・・」
祐也:「くっ・・・」
直子:「目を逸らして誤魔化そうとしてもダメよ。
直子:あなたはこういう驚かせ系のオモチャが苦手だってこと、私はよく知っているわ」
祐也:「そんなこと・・・」
直子:「あるわよねぇ?前に一緒に遊んだ時、驚きすぎて後ろに仰け反った瞬間、壁に後頭部を強打して失神しちゃったものね」
祐也:「ううっ・・・」
直子:「うふふ、だからね、私は今からあなたの目の前で、この樽の穴に剣を刺していくわ」
祐也:「刺していくってお前・・・もうその黒ひげには、ほとんど穴が残ってないじゃないか!」
直子:「そうよ。だから、すぐにでもこの黒ひげはあなたの目の前で飛び出すかもしれない」
祐也:「やめろぉ!やめてくれぇ!」
直子:「あら、あなたが正直に答えてくれるのなら、今すぐにでもやめてあげるわよ」
祐也:「だから、俺は何て答えれば・・・!」
直子:「一本目」
祐也:「ヒィッ!」
直子:「・・・残念、ここじゃなかったみたいね」
祐也:「ううう・・・良かった・・・」
直子:「もう・・・涙目になっちゃって・・・可愛い」
祐也:「くそっ・・・なんだよ、お前の目的は一体何なんだ・・・」
直子:「まだわからないの?ほらほら、自分の胸に手を当てて、よく考えてみなさい」
祐也:「縛られてるのに胸に手なんか当てられるかよ!」
直子:「二本目」
祐也:「ヒィイイイ!」
直子:「こーら、そういう揚げ足取りをしちゃダメよ?」
祐也:「うう・・・ごめんなさい・・・ごめんなさい・・・」
直子:「わかればよろしい。さぁ、そろそろ何か思い当たることは無い?」
祐也:「ええっと・・・」
直子:「次はどこにし・よ・う・か・な」
祐也:「あああ!今日帰ってきて、冷蔵庫に入ってたシュークリームをこっそり食べたのは俺です!」
直子:「三本目」
祐也:「ヒエエエエ!何で刺すんだよ!」
直子:「・・・それは初耳だったわ」
祐也:「えっ・・・それが理由で怒ってたんじゃないの?」
直子:「違うわ。でも、あのシュークリームは今日の夜、あなたが寝た後、こっそり食べようと楽しみにしていたもの・・・」
祐也:「太るぞ?」
直子:「四本目」
祐也:「ギャアアアア!」
直子:「食べ物の恨み・・・!食べ物の恨み・・・!」
祐也:「ごめ、ごめんて・・・」
直子:「SNSでも話題の、超人気店のシュークリーム・・・開店と同時に売り切れちゃうから、朝四時に早起きして並んだのに・・・!」
祐也:「俺が悪かった!今度買いに行ってくるから!
祐也:その手に持ってる剣を刺すの待って!ね!お願い!」
直子:「約束よ?朝三時に起きて並んでね?」
祐也:「さりげなくお前より一時間早いし、ど早朝なんですけど・・・」
直子:「五本・・・」
祐也:(祐也、食い気味に)
祐也:「すみませんすみません!早朝だろうと深夜だろうと、喜んで並ばせて頂きます!」
直子:「三つ買ってきてね」
祐也:「二人分だとしても一つ多くね?」
直子:「私が二つ食べるの」
祐也:「あっ・・・そうですか・・・」
直子:「ふぅ・・・うっかり取り乱してしまったわ・・・。さて、続けましょうか?」
祐也:「おい、待て・・・続けようも何も、残ってる穴はあと三つじゃないか」
直子:「そうね。もしかしたら、次の瞬間にでもこの拷問は終わるかもしれない」
祐也:「そうか!じゃあ、俺は三回この恐怖を耐え抜けば・・・!」
直子:「甘いわ、シュークリームより甘いわ。祐也」
祐也:「ハッ・・・!?お前、その手に持っているのは・・・まさか・・・」
直子:「そう、歯を押すとワニがガブッとしてくるヤツよ」
祐也:「嘘・・・だろ・・・?」
直子:「ふふふ、そう簡単に拷問が終わると思った?」
祐也:「ああ・・・あああ・・・」
直子:「思い出すわね・・・二人でコレを使って遊んだ時、噛まれた瞬間、『おかあさーーーん!!!』と狂ったように泣き叫んだあなたの事を・・・」
祐也:「頼む・・・忘れて・・・忘れてくれ・・・」
直子:「面白すぎたから録音してあるわ」
祐也:「うっ・・・うっ・・・恥ずかしい・・・」
直子:「だからね、例え黒ひげが飛び出しても、終わりじゃないの。
直子:あなたが自白するまで、この拷問は続くのよ」
祐也:「くそっ・・・くそうっ・・・」
直子:「さぁ、黒ひげを早く終わらせたいのなら、さっさと次の剣を刺しましょうか?」
祐也:「い、いや待ってくれ!せめて、せめてヒントをくれないか!」
直子:「あらあら、仕方ないわねぇ。じゃあ、一つだけ教えてあげる」
祐也:「あ、ああ・・・」
直子:「・・・先週の日曜日、一緒に歩いてた女」
祐也:「・・・!あれは・・・!」
直子:「五本目」
祐也:「ぐわぁあああ!」
直子:「ほら、ヒントはあげたわよ。早く白状してくれないと、黒ひげが飛び出しちゃう」
祐也:「はぁ・・・はぁ・・・なんでお前、俺が彼女と会ってたのを知って・・・」
直子:「ふぅん、彼女、ねぇ」
祐也:「いや、違う!誤解だ!彼女とはお前の思うような仲じゃない!」
直子:「あらあら、じゃあ二人で楽しく何処に出掛けてたのかしら?」
祐也:「えっと・・・ちょっとこの状況で言うのはちょっと・・・なんというか・・・その・・・」
直子:「・・・二分の一、行ってみる?」
祐也:「すみません!言います!」
直子:「うふ、聞かせてもらおうじゃない」
祐也:「・・・その前に、そこの引き出しを開けてくれ」
直子:「わかったわ」
祐也:「そこに入っている箱を取ってくれ」
直子:「コレね」
祐也:「箱を開けて、中身を左手の薬指に着けてくれ」
直子:「着けたわ」
祐也:「・・・こんな状況で言うことになるなんて、全く想像してなかったけど・・・聞いてくれるか?」
直子:「ええ、どうぞ」
祐也:「ハァーーー・・・
祐也:直子・・・ずっと待たせてごめん。俺は知っての通り、頼りなくて、情けない男だ。
祐也:今日だって、何だかんだ酒の勢いでどうにかしようと考えた挙句、酔い潰れてしまうような、ビビりでダサい男だ」
直子:「ええ、よーく知ってるわ」
祐也:「ハッキリ言うなよ・・・。
祐也:だけど、そんな俺でも許してくれるのなら、これから先ずっとお前の傍にいたい。
祐也:・・・どうか、俺と結婚してください」
直子:「はい、喜んで」
祐也:「・・・わりとあっさり受け入れるじゃん。もっと泣いたりとか驚いたりしないの?」
直子:「実はね、あなたと一緒に指輪を選んでくれた会社の後輩の女の子、私の学生時代の後輩でもあるの」
祐也:「なんだよ・・・じゃあ、もしかして全部筒抜けだったわけ?」
直子:「そうなるわね」
祐也:「マジかよ・・・サプライズにしたい、って言ってあったのに」
直子:「例えそういうことであっても、彼氏さんと二人で出掛けちゃってごめんなさい、って連絡があったの」
祐也:「そうかぁ・・・」
直子:「あと、あなたが予想以上にプロポーズのタイミングに悩んでるヘタレだから、いっそのこと自分から流れ作った方が良いかもですよ、って」
祐也:「かと言って、この流れはぶっ飛びすぎじゃない?」
直子:「想い出には残りそうでしょ?」
祐也:「こんな情けないプロポーズ。生まれ変わっても忘れられない気がするよ」
直子:「祐也らしいじゃない?」
祐也:「ははは」
直子:「へへへ」
祐也:「・・・直子さん」
直子:「何ですか?」
祐也:「あの、ちょっと抱き締めさせてもらいたいので、この紐を解いて頂けますか?」
直子:「あらあら、気が利かなくてごめんなさいね。祐也さん」
祐也:「いえいえ。ちょっと身体も痛くなってきたので」
直子:「あっ、その前にひとつ予行練習をしたいのですが」
祐也:「何の?」
直子:「ケーキ入刀」
祐也:「ケーキって・・・いや、お前・・・その手に持ってるのって、黒ひげ危機一発・・・!」
直子:「さぁて、ここで運試し!
直子:黒ひげが飛び出せば私たちの未来には幸福が訪れるでしょう!
直子:飛び出さなくても自らの力で幸せになれるよう、手と手を取り合って頑張って生きていきましょう!」
祐也:「あああ、頼む、せめてもう少し・・・もう少し離れて・・・」
直子:「ではでは!二人の門出を祝して!いざ!」
祐也:「ああああああ!!!」
0:〜FIN〜