台本概要

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タイトル [2:2:0]勇者パーティを追放されたから他のパーティに就職してあいつらをギャフンと言わせてやる!~えっ、奉公構ってなんですか?~
作者名 新武将@野生の台本師  (@atarasitakemasa)
ジャンル ファンタジー
演者人数 4人用台本(男2、女2) ※兼役あり
時間 30 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 最近パーティ追放系が流行ってるって聞きました 要するにこういうことやろ(投げやり)
コンテストに出すならA4用紙4枚分と言われこっちは泣く泣くボツです
一応完全版という位置づけです

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
ナガマサ 45 パーティの長 直情型バカ 脳筋
モトノブ 46 直情型バカ 脳筋 書き終わったあとに名前を間違えたことに気がついた
テル 49 聖女 みんなのママ 一番年上
トモ 28 斬込み役 正直モトノブと役割が被ってる 名前もちょっとだけ似てる
タダオキ 8 別のパーティの長 ヤンヘラクソメンヘラ トモ兼役
チャチャ 9 魔王 ヒステリックロリママおばさん こうしてみると名前まんまやね
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

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ナガマサ:お前はもういらない!このパーティから出ていけ! 0:屋敷中にナガマサの声が響き渡る テル:ちょ、ちょっと・・・どうしたの?声が屋敷の外まで届いていたわよ? 0:現場に駆けつけるテル・・・そして後ろからひょっこりとトモが現れる トモ:どうせ、いつものあれですよ、テルさん テル:いつもの? トモ:ありゃ?テルさんは知らなかったんですかぃ? テル:ちょ・・・トモさん?酒臭いですよ? トモ:さっきまで飲んでましたからな!あっはっは!・・・と、それはともかく 0:トモが目をやる・・・目線の先にはモトノブがいた モトノブ:出ていけとはどういうことだ!?ああ!? ナガマサ:言葉のとおりだ!お前は、ここにいらねぇっつってんだ! モトノブ:大層な言い方だぜ、大将!俺がこのパーティにどれだけ貢献したと思ってる! ナガマサ:ほとんど独断専行、パーティに迷惑かけてただけじゃねーか!トモがどれだけ尻拭いしたと思ってんだ! モトノブ:なんだと! 0:殴りかかろうとするモトノブに割って入る二人 テル:ちょ、ふたりとも落ち着いて トモ:どうどう ナガマサ:ぐるるる・・・ モトノブ:ぐるるる・・・ テル:ナガマサ?どういうことか説明して? ナガマサ:・・・こいつが私の言うことを全く聞かないのです モトノブ:お前がチンタラしてるからだろ ナガマサ:なにを!? テル:モトノブさん! モトノブ:テルさん!ちょっとは言ってやってくださいよ! モトノブ:「お前はパーティの長なんだからもう少ししっかりしろ」ってさぁ! テル:モトノブさん、少し黙っていてください テル:話がややこしくなります モトノブ:お・・・おう 0:テルの気迫に圧されるモトノブ・・・ トモ:ははは、モトノブはテルさんには弱いねぇ モトノブ:うるせぇ トモ:そう言えば、これ見る?これ、すごいっしょ モトノブ:・・・?この槍は トモ:フクシマってやつからバチッてきた!・・・「日本号」って名前らしい モトノブ:・・・ トモ:パクったんじゃねえや、ちゃんと「譲り受けた」んだからな!酒の席で! モトノブ:・・・トモ・・・お前ってやつは トモ:見事な槍だろう?・・・ふふ、これでもっと闘えるってもんよ! モトノブ:闘う・・・ねぇ モトノブ:敵はどこにいるのやら 0:回想 テル:数年前・・・突如としてこの地に「魔王」が現れた テル:魔王は強大で、誰もが太刀打ちできなかった テル:勇気ある者は「勇者」として魔王討伐を志した テル:「ナガマサ」もその一人 テル:彼は仲間を集め、魔王討伐の旅をしていたのだ テル:──魔王、堕つ── テル:魔王を倒したのは、ヤスという若者だった テル:ヤスは盟友、「カズサ」の遺志を継ぎ、魔王討伐を果たしたのだ テル:ともあれ、魔王がいなくなった世は平和そのもの テル:「勇者」を志した者たちは、各々の生活に帰っていった 0:回想終わり ナガマサ:あいつは、モトノブは以前からそうだった! ナガマサ:俺の言うことには反発するし、周りのことを考えずに行動するし! テル:それでも、彼のお陰で助かったことだってあるでしょう? ナガマサ:そ・・・れは・・・そうですが テル:それに、今は平和な世の中です テル:今まで以上に仲良くすべきですよ ナガマサ:・・・いや、それはできません テル:ナガマサ・・・ ナガマサ:そう・・・俺とあいつは水と油なんです テル:水と油・・・ ナガマサ:絶対に相容れない・・・交わることがない存在なのです テル:ナガマサ・・・ モトノブ:それで、俺を「追放」するってかい ナガマサ:ああそうだ テル:ナガマサ!モトノブさん! ナガマサ:お前が、心を入れ替えぬ限り、このパーティに居場所はない モトノブ:・・・ テル:ナガマサ! モトノブ:ケッ、わかったぜ・・・こんなパーティ、出て行ってやらァ! テル:モトノブさん! ナガマサ:そうと決まれば早くここから出ていけ・・・俺はお前の顔も見たくない モトノブ:・・・じゃあな テル:モトノブさん! モトノブ:テルさん、世話になったな トモ:・・・ モトノブ:トモ・・・ トモ:お前が返ってくるのを、俺は待ってる モトノブ:お前は待っていても、大将はどうかねぇ トモ:・・・大将は・・・!いや、やめておく モトノブ:それがいい・・・じゃあな テル:モトノブさん・・・ トモ:まさか、こんなことになるなんてなァ・・・ ナガマサ:ふん トモ:・・・ テル:ナガマサ・・・ ナガマサ:・・・ 0:しばらく時が経つ テル:ナガマサ・・・ ナガマサ:はい、なんでしょう テル:本当に、モトノブさんを・・・「追放」してよかったのですか? ナガマサ:・・・そのことですか テル:モトノブさんは・・・たしかに粗暴で思慮が浅いところがあります・・・しかし・・・ トモ:独断専行も多かったな テル:トモさん・・・ トモ:でも、そのおかげで助かったことだってある・・・俺も、同じ斬込み役として、信頼してたさ ナガマサ:・・・ トモ:ただ・・・大将も無意味に追放したわけじゃあ、ないんだろう? ナガマサ:・・・ トモ:お互い、素直じゃないねェ・・・ テル:・・・? 0:旅に出るモトノブ モトノブ:ケッ、ナガマサのやつ・・・なにが水と油だっつんだ!俺だってあいつと仲良くするのは反吐が出るぜ、ペッペッ! モトノブ:あー、自由があるってのはいいもんだな!俺、何でもできるじゃねーか!最高だぜ! モトノブ:でもまあ、あいつから頭を下げてきたら・・・戻ってやってもいいかもな!なんてな!あっはっは! 0:ナガマサ屋敷 テル:ナガマサ ナガマサ:はい、なんですか? テル:以前、トモさんが言っていた「真意」とやらをそろそろ教えてもらってもいいですか? ナガマサ:・・・ テル:・・・ トモ:おや、どうしたんですかィ、お二人さん テル:トモさん・・・ トモ:どうせ、モトノブの話でしょうが テル:・・・トモさんには、モトノブさんを「追放」した真意、理解できているのですか トモ:そりゃ、もちろん トモ:両方とも付き合い長いしな テル:私も長いはずなんですが、全くわかりません トモ:大将もさァ、意地悪してないで早く教えてやったらどうだい ナガマサ:意地悪している訳では無いが トモ:なら俺から言いましょうか? ナガマサ:良い!俺から言う トモ:はいはい ナガマサ:追放は本気じゃない・・・ここまですれば、あいつも頭を冷やすだろうと思って テル:・・・ ナガマサ:きっと、野垂れ死ぬ前にひょっこり戻ってきますよ・・・「俺が悪かった」ってね トモ:果たして、そうかねェ・・・ 0:数日後 モトノブ:・・・自由を謳歌したはいいが・・・なにか物足りねぇ モトノブ:俺の中にある「魂」ってもんがケツを叩きやがる モトノブ:「テメエはこのままでいいのか」・・・てな モトノブ:・・・ちょっくら他の士官先でも見つけるとするか モトノブ:ここは・・・うん、ここにするか!たのもー! 0:門前払いを受けるモトノブ モトノブ:話くらい聞いてくれたっていいじゃねえかよ モトノブ:門前払いとはなんて失礼なパーティだ、こっちから願い下げだ モトノブ:お、ここもいいな・・・たのもー! 0:門前払い モトノブ:ここも門前払いかよ!どうなってやがる! モトノブ:しゃーねぇ!こうなったらヤケだ!片っ端から行ってやる! 0:すべて門前払い モトノブ:おいおい・・・おかしいじゃねえかよ・・・ モトノブ:ここまで門前払いされるってなんかおかしいだろうよ・・・ モトノブ:クソが・・・どうなってやがる・・・! 0:途方に暮れるモトノブの横を通り過ぎようとする一団が タダオキ:・・・ン?お前・・・よく見たらナガマサんとこのモトノブじゃないか モトノブ:・・・あ、あんたは タダオキ:こんなとこで何をしているんだ モトノブ:ああ、それがな・・・ 0:いきさつを話すモトノブ モトノブ:・・・てぇ言うわけさ タダオキ:なるほど・・・んで、図々しくも次の寄生先を探していると モトノブ:お前、後でぶっ殺す タダオキ:やれるもんならやってみろ モトノブ:・・・でよ、なかなか俺を雇ってくれるパーティがねぇんだ モトノブ:おかしいだろ?なぁ? タダオキ:なぁ?と言われても モトノブ:・・・あ、そうだ、なんならお前のとこで雇ってくれよ モトノブ:あいつをギャフンと言わせてやるぜ タダオキ:あー、そのことなんだがな モトノブ:ン?どうした? タダオキ:・・・お前、本当になにも知らないのか? モトノブ:なんだよ、もったいぶってんじゃねえよ、たたっ斬るぞ タダオキ:お前の大将・・・いや、元大将か・・・ タダオキ:ナガマサからな、こんな通告が来てるんだ 0:場面転換 テル:「奉公構(ほうこうかまえ)」? ナガマサ:そうだ・・・士官しようにもどこにも属せなくなる・・・そんな通告を各パーティに送っておいた テル:なんでそんなこと・・・ ナガマサ:どこにも属せないなら、もうここにしか帰る場所がないだろう? ナガマサ:やつも己の過ちを悔いてここに戻ってくるはずだ トモ:はたして、そううまくいくかねぇ・・・ 0:場面転換 モトノブ:クソ!なにが「奉公構」だよ、バカヤロウめ! モトノブ:・・・しかし、これで俺はどこにもいけなくなってしまったな モトノブ:いっそここで死ぬか!なんてな、ははは! モトノブ:・・・クソ、冗談じゃねえ モトノブ:俺は、あいつに一泡吹かせねぇと死んでも死にきれねぇ モトノブ:なにか・・・なにかないか 0:一枚の紙切れがモトノブの顔に飛んでくる モトノブ:うわっぷ・・・何だこりゃ モトノブ:「・・・浪人、募集中」? モトノブ:ふはは、今どき浪人なんか集めてなにするってんだよ モトノブ:「前科、経歴問わず・・・」 モトノブ:・・・ふーん、まぁ、少しくらいなら、いいか 0:場面転換 テル:ナガマサ ナガマサ:はい、なんでしょう テル:最近、魔王が職を失った者たちを集めているという情報があるみたいです ナガマサ:魔王が? テル:はい ナガマサ:・・・魔王、もはやなんの影響力もない、ただのお飾り魔王が一体何のために? テル:・・・もしかしたら、また・・・ ナガマサ:戦争・・・か テル:・・・ ナガマサ:モトノブ・・・か? テル:・・・はい ナガマサ:あいつもバカじゃない、流石にそれはないと思うぞ テル:妙な胸騒ぎがするのです ナガマサ:考えすぎよ・・・さて、我らも動向を注視せねば テル:モトノブさん・・・ 0:場面転換 チャチャ:よくぞ、来てくれた モトノブ:・・・まぁ、行き場がなかったからな チャチャ:それでも来てくれたことに礼を言うぞ モトノブ:・・・しかし、魔王が人を集めて何をしようと言うんだ? モトノブ:もう、魔王の居場所はどこにもないぞ? チャチャ:・・・我らがいたという証を、刻み込む モトノブ:・・・ チャチャ:これは最後のあがきよ モトノブ:・・・面白いじゃないか チャチャ:そうか、面白いか モトノブ:ああ、面白いさ モトノブ:どうせここに集まった奴らも、この世界に馴染めなくて「勇者」をやめたやつばかりなんだろ? モトノブ:そんな奴らが、魔王と一緒に「生きた証」を刻むため世界に反逆する・・・実に面白い チャチャ:お主はなぜここに来た? モトノブ:俺は・・・そうだな モトノブ:とあるやつをギャフンと言わせるために・・・かな チャチャ:それは復讐? モトノブ:そんな大層なもんでもないが・・・まぁ・・・そう言っておいたほうが格好がつくか チャチャ:そなた・・・面白いのう モトノブ:あんたに惹かれて集まったここの奴らほどじゃないさ チャチャ:・・・改めて礼を言う モトノブ:いいってことよ 0:しばらくして テル:ナガマサ ナガマサ:はい、なんでしょう テル:いい話と悪い話・・・そしてもっと悪い話があります テル:どれから聞きますか ナガマサ:いい話から テル:魔王の反乱は鎮圧されました ナガマサ:ほう、それは良かったですね ナガマサ:では悪い話を聞きましょうか テル:魔王の城にモトノブが入ったと言う情報がありました ナガマサ:何!? テル:そして、最後に・・・もっと悪い話が ナガマサ:・・・良い、わかっておる テル:・・・ ナガマサ:モトノブ・・・なにゆえ、強情に戻ってこなんだ・・・ ナガマサ:俺は、確かに「追放」したが・・・「死ね」とまでは言ってないぞ・・・ 0:双方涙を浮かべ テル:最期は・・・味方を救け・・・討伐隊の攻撃にさらされ、討ち死に・・・ ナガマサ:奴め・・・ヤツらしい死に様ではないか・・・ テル:う・・・うう・・・ッ ナガマサ:・・・モトノブ・・・すまぬ・・・ トモ:・・・大将 ナガマサ:・・・ トモ:・・・きっと、ヤツ・・・モトノブめ、向こうで笑ってますよ トモ:「ざまーみろ!」って ナガマサ:そう・・・だな・・・ 0:時は戻り戦場にて モトノブ:味方は後退しろ!俺が殿になる! モトノブ:うおおおお! 0:複数の攻撃がモトノブを貫く モトノブ:へ・・・へへ・・・ドジ、ふんじまったなぁ モトノブ:ここで、俺が死んだら、あいつら、どう思うかねェ・・・ モトノブ:ナガマサのやつ・・・泣くんじゃねえか モトノブ:・・・ざまぁ・・・みろ・・・

ナガマサ:お前はもういらない!このパーティから出ていけ! 0:屋敷中にナガマサの声が響き渡る テル:ちょ、ちょっと・・・どうしたの?声が屋敷の外まで届いていたわよ? 0:現場に駆けつけるテル・・・そして後ろからひょっこりとトモが現れる トモ:どうせ、いつものあれですよ、テルさん テル:いつもの? トモ:ありゃ?テルさんは知らなかったんですかぃ? テル:ちょ・・・トモさん?酒臭いですよ? トモ:さっきまで飲んでましたからな!あっはっは!・・・と、それはともかく 0:トモが目をやる・・・目線の先にはモトノブがいた モトノブ:出ていけとはどういうことだ!?ああ!? ナガマサ:言葉のとおりだ!お前は、ここにいらねぇっつってんだ! モトノブ:大層な言い方だぜ、大将!俺がこのパーティにどれだけ貢献したと思ってる! ナガマサ:ほとんど独断専行、パーティに迷惑かけてただけじゃねーか!トモがどれだけ尻拭いしたと思ってんだ! モトノブ:なんだと! 0:殴りかかろうとするモトノブに割って入る二人 テル:ちょ、ふたりとも落ち着いて トモ:どうどう ナガマサ:ぐるるる・・・ モトノブ:ぐるるる・・・ テル:ナガマサ?どういうことか説明して? ナガマサ:・・・こいつが私の言うことを全く聞かないのです モトノブ:お前がチンタラしてるからだろ ナガマサ:なにを!? テル:モトノブさん! モトノブ:テルさん!ちょっとは言ってやってくださいよ! モトノブ:「お前はパーティの長なんだからもう少ししっかりしろ」ってさぁ! テル:モトノブさん、少し黙っていてください テル:話がややこしくなります モトノブ:お・・・おう 0:テルの気迫に圧されるモトノブ・・・ トモ:ははは、モトノブはテルさんには弱いねぇ モトノブ:うるせぇ トモ:そう言えば、これ見る?これ、すごいっしょ モトノブ:・・・?この槍は トモ:フクシマってやつからバチッてきた!・・・「日本号」って名前らしい モトノブ:・・・ トモ:パクったんじゃねえや、ちゃんと「譲り受けた」んだからな!酒の席で! モトノブ:・・・トモ・・・お前ってやつは トモ:見事な槍だろう?・・・ふふ、これでもっと闘えるってもんよ! モトノブ:闘う・・・ねぇ モトノブ:敵はどこにいるのやら 0:回想 テル:数年前・・・突如としてこの地に「魔王」が現れた テル:魔王は強大で、誰もが太刀打ちできなかった テル:勇気ある者は「勇者」として魔王討伐を志した テル:「ナガマサ」もその一人 テル:彼は仲間を集め、魔王討伐の旅をしていたのだ テル:──魔王、堕つ── テル:魔王を倒したのは、ヤスという若者だった テル:ヤスは盟友、「カズサ」の遺志を継ぎ、魔王討伐を果たしたのだ テル:ともあれ、魔王がいなくなった世は平和そのもの テル:「勇者」を志した者たちは、各々の生活に帰っていった 0:回想終わり ナガマサ:あいつは、モトノブは以前からそうだった! ナガマサ:俺の言うことには反発するし、周りのことを考えずに行動するし! テル:それでも、彼のお陰で助かったことだってあるでしょう? ナガマサ:そ・・・れは・・・そうですが テル:それに、今は平和な世の中です テル:今まで以上に仲良くすべきですよ ナガマサ:・・・いや、それはできません テル:ナガマサ・・・ ナガマサ:そう・・・俺とあいつは水と油なんです テル:水と油・・・ ナガマサ:絶対に相容れない・・・交わることがない存在なのです テル:ナガマサ・・・ モトノブ:それで、俺を「追放」するってかい ナガマサ:ああそうだ テル:ナガマサ!モトノブさん! ナガマサ:お前が、心を入れ替えぬ限り、このパーティに居場所はない モトノブ:・・・ テル:ナガマサ! モトノブ:ケッ、わかったぜ・・・こんなパーティ、出て行ってやらァ! テル:モトノブさん! ナガマサ:そうと決まれば早くここから出ていけ・・・俺はお前の顔も見たくない モトノブ:・・・じゃあな テル:モトノブさん! モトノブ:テルさん、世話になったな トモ:・・・ モトノブ:トモ・・・ トモ:お前が返ってくるのを、俺は待ってる モトノブ:お前は待っていても、大将はどうかねぇ トモ:・・・大将は・・・!いや、やめておく モトノブ:それがいい・・・じゃあな テル:モトノブさん・・・ トモ:まさか、こんなことになるなんてなァ・・・ ナガマサ:ふん トモ:・・・ テル:ナガマサ・・・ ナガマサ:・・・ 0:しばらく時が経つ テル:ナガマサ・・・ ナガマサ:はい、なんでしょう テル:本当に、モトノブさんを・・・「追放」してよかったのですか? ナガマサ:・・・そのことですか テル:モトノブさんは・・・たしかに粗暴で思慮が浅いところがあります・・・しかし・・・ トモ:独断専行も多かったな テル:トモさん・・・ トモ:でも、そのおかげで助かったことだってある・・・俺も、同じ斬込み役として、信頼してたさ ナガマサ:・・・ トモ:ただ・・・大将も無意味に追放したわけじゃあ、ないんだろう? ナガマサ:・・・ トモ:お互い、素直じゃないねェ・・・ テル:・・・? 0:旅に出るモトノブ モトノブ:ケッ、ナガマサのやつ・・・なにが水と油だっつんだ!俺だってあいつと仲良くするのは反吐が出るぜ、ペッペッ! モトノブ:あー、自由があるってのはいいもんだな!俺、何でもできるじゃねーか!最高だぜ! モトノブ:でもまあ、あいつから頭を下げてきたら・・・戻ってやってもいいかもな!なんてな!あっはっは! 0:ナガマサ屋敷 テル:ナガマサ ナガマサ:はい、なんですか? テル:以前、トモさんが言っていた「真意」とやらをそろそろ教えてもらってもいいですか? ナガマサ:・・・ テル:・・・ トモ:おや、どうしたんですかィ、お二人さん テル:トモさん・・・ トモ:どうせ、モトノブの話でしょうが テル:・・・トモさんには、モトノブさんを「追放」した真意、理解できているのですか トモ:そりゃ、もちろん トモ:両方とも付き合い長いしな テル:私も長いはずなんですが、全くわかりません トモ:大将もさァ、意地悪してないで早く教えてやったらどうだい ナガマサ:意地悪している訳では無いが トモ:なら俺から言いましょうか? ナガマサ:良い!俺から言う トモ:はいはい ナガマサ:追放は本気じゃない・・・ここまですれば、あいつも頭を冷やすだろうと思って テル:・・・ ナガマサ:きっと、野垂れ死ぬ前にひょっこり戻ってきますよ・・・「俺が悪かった」ってね トモ:果たして、そうかねェ・・・ 0:数日後 モトノブ:・・・自由を謳歌したはいいが・・・なにか物足りねぇ モトノブ:俺の中にある「魂」ってもんがケツを叩きやがる モトノブ:「テメエはこのままでいいのか」・・・てな モトノブ:・・・ちょっくら他の士官先でも見つけるとするか モトノブ:ここは・・・うん、ここにするか!たのもー! 0:門前払いを受けるモトノブ モトノブ:話くらい聞いてくれたっていいじゃねえかよ モトノブ:門前払いとはなんて失礼なパーティだ、こっちから願い下げだ モトノブ:お、ここもいいな・・・たのもー! 0:門前払い モトノブ:ここも門前払いかよ!どうなってやがる! モトノブ:しゃーねぇ!こうなったらヤケだ!片っ端から行ってやる! 0:すべて門前払い モトノブ:おいおい・・・おかしいじゃねえかよ・・・ モトノブ:ここまで門前払いされるってなんかおかしいだろうよ・・・ モトノブ:クソが・・・どうなってやがる・・・! 0:途方に暮れるモトノブの横を通り過ぎようとする一団が タダオキ:・・・ン?お前・・・よく見たらナガマサんとこのモトノブじゃないか モトノブ:・・・あ、あんたは タダオキ:こんなとこで何をしているんだ モトノブ:ああ、それがな・・・ 0:いきさつを話すモトノブ モトノブ:・・・てぇ言うわけさ タダオキ:なるほど・・・んで、図々しくも次の寄生先を探していると モトノブ:お前、後でぶっ殺す タダオキ:やれるもんならやってみろ モトノブ:・・・でよ、なかなか俺を雇ってくれるパーティがねぇんだ モトノブ:おかしいだろ?なぁ? タダオキ:なぁ?と言われても モトノブ:・・・あ、そうだ、なんならお前のとこで雇ってくれよ モトノブ:あいつをギャフンと言わせてやるぜ タダオキ:あー、そのことなんだがな モトノブ:ン?どうした? タダオキ:・・・お前、本当になにも知らないのか? モトノブ:なんだよ、もったいぶってんじゃねえよ、たたっ斬るぞ タダオキ:お前の大将・・・いや、元大将か・・・ タダオキ:ナガマサからな、こんな通告が来てるんだ 0:場面転換 テル:「奉公構(ほうこうかまえ)」? ナガマサ:そうだ・・・士官しようにもどこにも属せなくなる・・・そんな通告を各パーティに送っておいた テル:なんでそんなこと・・・ ナガマサ:どこにも属せないなら、もうここにしか帰る場所がないだろう? ナガマサ:やつも己の過ちを悔いてここに戻ってくるはずだ トモ:はたして、そううまくいくかねぇ・・・ 0:場面転換 モトノブ:クソ!なにが「奉公構」だよ、バカヤロウめ! モトノブ:・・・しかし、これで俺はどこにもいけなくなってしまったな モトノブ:いっそここで死ぬか!なんてな、ははは! モトノブ:・・・クソ、冗談じゃねえ モトノブ:俺は、あいつに一泡吹かせねぇと死んでも死にきれねぇ モトノブ:なにか・・・なにかないか 0:一枚の紙切れがモトノブの顔に飛んでくる モトノブ:うわっぷ・・・何だこりゃ モトノブ:「・・・浪人、募集中」? モトノブ:ふはは、今どき浪人なんか集めてなにするってんだよ モトノブ:「前科、経歴問わず・・・」 モトノブ:・・・ふーん、まぁ、少しくらいなら、いいか 0:場面転換 テル:ナガマサ ナガマサ:はい、なんでしょう テル:最近、魔王が職を失った者たちを集めているという情報があるみたいです ナガマサ:魔王が? テル:はい ナガマサ:・・・魔王、もはやなんの影響力もない、ただのお飾り魔王が一体何のために? テル:・・・もしかしたら、また・・・ ナガマサ:戦争・・・か テル:・・・ ナガマサ:モトノブ・・・か? テル:・・・はい ナガマサ:あいつもバカじゃない、流石にそれはないと思うぞ テル:妙な胸騒ぎがするのです ナガマサ:考えすぎよ・・・さて、我らも動向を注視せねば テル:モトノブさん・・・ 0:場面転換 チャチャ:よくぞ、来てくれた モトノブ:・・・まぁ、行き場がなかったからな チャチャ:それでも来てくれたことに礼を言うぞ モトノブ:・・・しかし、魔王が人を集めて何をしようと言うんだ? モトノブ:もう、魔王の居場所はどこにもないぞ? チャチャ:・・・我らがいたという証を、刻み込む モトノブ:・・・ チャチャ:これは最後のあがきよ モトノブ:・・・面白いじゃないか チャチャ:そうか、面白いか モトノブ:ああ、面白いさ モトノブ:どうせここに集まった奴らも、この世界に馴染めなくて「勇者」をやめたやつばかりなんだろ? モトノブ:そんな奴らが、魔王と一緒に「生きた証」を刻むため世界に反逆する・・・実に面白い チャチャ:お主はなぜここに来た? モトノブ:俺は・・・そうだな モトノブ:とあるやつをギャフンと言わせるために・・・かな チャチャ:それは復讐? モトノブ:そんな大層なもんでもないが・・・まぁ・・・そう言っておいたほうが格好がつくか チャチャ:そなた・・・面白いのう モトノブ:あんたに惹かれて集まったここの奴らほどじゃないさ チャチャ:・・・改めて礼を言う モトノブ:いいってことよ 0:しばらくして テル:ナガマサ ナガマサ:はい、なんでしょう テル:いい話と悪い話・・・そしてもっと悪い話があります テル:どれから聞きますか ナガマサ:いい話から テル:魔王の反乱は鎮圧されました ナガマサ:ほう、それは良かったですね ナガマサ:では悪い話を聞きましょうか テル:魔王の城にモトノブが入ったと言う情報がありました ナガマサ:何!? テル:そして、最後に・・・もっと悪い話が ナガマサ:・・・良い、わかっておる テル:・・・ ナガマサ:モトノブ・・・なにゆえ、強情に戻ってこなんだ・・・ ナガマサ:俺は、確かに「追放」したが・・・「死ね」とまでは言ってないぞ・・・ 0:双方涙を浮かべ テル:最期は・・・味方を救け・・・討伐隊の攻撃にさらされ、討ち死に・・・ ナガマサ:奴め・・・ヤツらしい死に様ではないか・・・ テル:う・・・うう・・・ッ ナガマサ:・・・モトノブ・・・すまぬ・・・ トモ:・・・大将 ナガマサ:・・・ トモ:・・・きっと、ヤツ・・・モトノブめ、向こうで笑ってますよ トモ:「ざまーみろ!」って ナガマサ:そう・・・だな・・・ 0:時は戻り戦場にて モトノブ:味方は後退しろ!俺が殿になる! モトノブ:うおおおお! 0:複数の攻撃がモトノブを貫く モトノブ:へ・・・へへ・・・ドジ、ふんじまったなぁ モトノブ:ここで、俺が死んだら、あいつら、どう思うかねェ・・・ モトノブ:ナガマサのやつ・・・泣くんじゃねえか モトノブ:・・・ざまぁ・・・みろ・・・