台本概要
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タイトル | 深海 |
---|---|
作者名 | 桜蛇あねり(おうじゃあねり) (@aneri_game_m) |
ジャンル | その他 |
演者人数 | 2人用台本(不問2) |
時間 | 10 分 |
台本使用規定 | 台本説明欄参照 |
説明 |
孤独にさいなまれてしまった、”私”の対談。それは自問自答なのか、他問自答なのか。 二人用としていますが、自問自答している設定で一人読みでも。 世界観を壊さない程度のアドリブや改変、一人称や語尾の改変はOKです。 最後の”私”のセリフは、どちらの選択にするかをあいまいにしても、はっきり答えてもらっても、どちらでもOKです。 思いのままに演じてください。 304 views |
キャラ説明
名前 | 性別 | 台詞数 | 説明 |
---|---|---|---|
私 | 不問 | 21 | この深海に閉じこもった私。 |
深淵 | 不問 | 21 | その声は自分なのか他人なのか、それは私にしかわからない。 オルターエゴと呼ばれるものなのかもしれない。 |
※役をクリックするとセリフに色が付きます。
台本本編
0:『深海』
:
:
私:深い深い深い。ここは、光の届かない深い海の底のよう。いや、光は見えている。私の目の前のずっとずっと先に。私が居た場所だ。いつの間に、こんなに離れてしまったのだろうか。そうだ。私は確かにあの光の中に、あの輝きの中にいたはずなのだ。
私:あの中にいたときは、ただただ楽しかった。
私:一緒に笑いあって、切磋琢磨しあって、嬉しくて、幸せで。
私:
私:だけど、ある時、その楽しさが苦しさに変わった。
私:思い通りにいかない自分、相手。
私:自分の中に湧き上がる負の感情。
私:コントロールできない、その感情。
私:苦しい、苦しい、苦しい。
私:そう、苦しかった。
私:
深淵:
深淵:光の中に入れば、影ができる。楽しいことに、苦しさは付き物。そんなこと、わかってただろう。
深淵:
私:後ろから声が聞こえた。私は背後を見る。そこには光のない暗い暗い深淵が広がっていた。
私:
深淵:また、悩んでいるのかい?
深淵:
私:そう。あの光が眩しすぎて、辛くて。でも、あの中に戻りたくて。
私:
深淵:その葛藤に苛(さいな)まれて、君はこうして1人孤独にここまで沈んできてしまったんだね。
深淵:
私:そう。あの中にいる人(達)を、巻き込む訳にはいかないから。それに私の苦しみを知って欲しくない。知られたくない。誰にも。
私:
深淵:辛くないかい?孤独は。
深淵:
私:辛い。でも、苦しんでる私を見られる方が、きっともっと辛い。
私:
深淵:そうか。でも君は、本当は叫びたいんじゃないかい?あの光の中に向かって、助けて、私はここだ、と。
深淵:
私:そう、かもしれない。
私:
深淵:それをしないのはどうして?助けを求める無様な自分を見られたくないから?
深淵:
私:それも、あると思う。
私:
深淵:それも、ね。
深淵:
私:でも1番は。自分の答えを出したいから。私が助けを求めたら、誰かが引っ張ってくれるかもしれないし、こっちに来るなとつっぱねるかもしれない。でもそれは、たぶん私の答えじゃない。
私:
深淵:そうだね。ねぇ、君は、誰かから必要とされたいの?
深淵:
私:誰かから、必要とされる……。
私:
深淵:君が助けを求めない理由の1番は、誰かから必要とされていないかもしれない、という恐怖があるからじゃないのかい?
深淵:
私:そう、かも。
私:
深淵:助けを求めても、誰も聞いてくれなかったらどうしよう、君なんていらないから、と言われたらどうしよう。それが、怖いんだよね。
深淵:
私:そう。怖い。拒絶されるのが怖いから、私は1人でここにいる。
私:
深淵:君は、周りが思っているよりも、そして自分が思っているよりも、ずっとずっと怖がりで、臆病で、弱い存在なんだ。
深淵:
私:うん、私は弱いよ、弱い。
私:
深淵:でも、大丈夫。あの光が君を受け入れなかったとしても、僕はずっと君のそばで、君の全てを、受け止めるよ。僕は君の全てを知っている。君の弱さを知っている。君の苦しさを知っている。
深淵:
私:私の、全てを?
私:
深淵:君はあの光の中でオルターエゴ(別人格)をまとった。自分の心が傷つかないように、光の中で輝けるように。オルターエゴに自分を護らせ、そしていろんな人から好かれるように。
深淵:
私:オルター、エゴ。
私:
深淵:楽しかった?皆からたくさん好かれて、褒められて。
深淵:
私:うん、とても。楽しかった、頑張れた。皆が褒めてくれるから。
私:
深淵:それなら、そのままあの中に戻ればいいんじゃないかな?何を迷うことがある?
深淵:
私:疲れてしまったの。オルターエゴを演じることに。あれは、自分じゃないから。
私:
深淵:そうか。じゃあ、ここで少し休んでいけばいい。それとも、ずっとここにいるかい?
深淵:
私:ずっとここに?
私:
深淵:そう。僕は、君をここに縛り付けることも出来る。もう光なんて眩しくて見られないように、この暗い闇に飲み込んでしまうことも出来る。
深淵:
私:それも、いいかもね。
私:
深淵:だけど、僕はそれをしない、したくない。君の自由を、君の意思を奪いたくないんだ。
深淵:
私:私の、意思……。
私:
深淵:今ならまだ、あの場所へ戻れる。結局、最後に決めるのは君自身なんだ。君が決めるしかない。僕は、君の選択を受け入れるだけさ。
深淵:光の中に戻ると言うなら、僕はその眩しさに目を細めながら、見守っていよう。
深淵:僕の元に戻ると言うのなら、強く抱き締めてあげよう。君が孤独に悩まないように、そして僕の元から離れないように。
深淵:でも一つだけ、忘れないで欲しい。僕はいつだって、ここで君がいつ戻ってきてもいいように、待っているよ。
深淵:
私:私は……。
私:
深淵:さぁ、選んで。君は、どうしたい?
深淵:
私:私は―――――。
私:
深淵:そっか。僕はその答えを受け入れるよ。君がどこにいても、僕はずっと見守っている。
深淵:
深淵:さぁ、さよならを告げよう。君のその選択が、その意思が、揺るがないように。
深淵:
:
:
0:【完】
:
0:『深海』
:
:
私:深い深い深い。ここは、光の届かない深い海の底のよう。いや、光は見えている。私の目の前のずっとずっと先に。私が居た場所だ。いつの間に、こんなに離れてしまったのだろうか。そうだ。私は確かにあの光の中に、あの輝きの中にいたはずなのだ。
私:あの中にいたときは、ただただ楽しかった。
私:一緒に笑いあって、切磋琢磨しあって、嬉しくて、幸せで。
私:
私:だけど、ある時、その楽しさが苦しさに変わった。
私:思い通りにいかない自分、相手。
私:自分の中に湧き上がる負の感情。
私:コントロールできない、その感情。
私:苦しい、苦しい、苦しい。
私:そう、苦しかった。
私:
深淵:
深淵:光の中に入れば、影ができる。楽しいことに、苦しさは付き物。そんなこと、わかってただろう。
深淵:
私:後ろから声が聞こえた。私は背後を見る。そこには光のない暗い暗い深淵が広がっていた。
私:
深淵:また、悩んでいるのかい?
深淵:
私:そう。あの光が眩しすぎて、辛くて。でも、あの中に戻りたくて。
私:
深淵:その葛藤に苛(さいな)まれて、君はこうして1人孤独にここまで沈んできてしまったんだね。
深淵:
私:そう。あの中にいる人(達)を、巻き込む訳にはいかないから。それに私の苦しみを知って欲しくない。知られたくない。誰にも。
私:
深淵:辛くないかい?孤独は。
深淵:
私:辛い。でも、苦しんでる私を見られる方が、きっともっと辛い。
私:
深淵:そうか。でも君は、本当は叫びたいんじゃないかい?あの光の中に向かって、助けて、私はここだ、と。
深淵:
私:そう、かもしれない。
私:
深淵:それをしないのはどうして?助けを求める無様な自分を見られたくないから?
深淵:
私:それも、あると思う。
私:
深淵:それも、ね。
深淵:
私:でも1番は。自分の答えを出したいから。私が助けを求めたら、誰かが引っ張ってくれるかもしれないし、こっちに来るなとつっぱねるかもしれない。でもそれは、たぶん私の答えじゃない。
私:
深淵:そうだね。ねぇ、君は、誰かから必要とされたいの?
深淵:
私:誰かから、必要とされる……。
私:
深淵:君が助けを求めない理由の1番は、誰かから必要とされていないかもしれない、という恐怖があるからじゃないのかい?
深淵:
私:そう、かも。
私:
深淵:助けを求めても、誰も聞いてくれなかったらどうしよう、君なんていらないから、と言われたらどうしよう。それが、怖いんだよね。
深淵:
私:そう。怖い。拒絶されるのが怖いから、私は1人でここにいる。
私:
深淵:君は、周りが思っているよりも、そして自分が思っているよりも、ずっとずっと怖がりで、臆病で、弱い存在なんだ。
深淵:
私:うん、私は弱いよ、弱い。
私:
深淵:でも、大丈夫。あの光が君を受け入れなかったとしても、僕はずっと君のそばで、君の全てを、受け止めるよ。僕は君の全てを知っている。君の弱さを知っている。君の苦しさを知っている。
深淵:
私:私の、全てを?
私:
深淵:君はあの光の中でオルターエゴ(別人格)をまとった。自分の心が傷つかないように、光の中で輝けるように。オルターエゴに自分を護らせ、そしていろんな人から好かれるように。
深淵:
私:オルター、エゴ。
私:
深淵:楽しかった?皆からたくさん好かれて、褒められて。
深淵:
私:うん、とても。楽しかった、頑張れた。皆が褒めてくれるから。
私:
深淵:それなら、そのままあの中に戻ればいいんじゃないかな?何を迷うことがある?
深淵:
私:疲れてしまったの。オルターエゴを演じることに。あれは、自分じゃないから。
私:
深淵:そうか。じゃあ、ここで少し休んでいけばいい。それとも、ずっとここにいるかい?
深淵:
私:ずっとここに?
私:
深淵:そう。僕は、君をここに縛り付けることも出来る。もう光なんて眩しくて見られないように、この暗い闇に飲み込んでしまうことも出来る。
深淵:
私:それも、いいかもね。
私:
深淵:だけど、僕はそれをしない、したくない。君の自由を、君の意思を奪いたくないんだ。
深淵:
私:私の、意思……。
私:
深淵:今ならまだ、あの場所へ戻れる。結局、最後に決めるのは君自身なんだ。君が決めるしかない。僕は、君の選択を受け入れるだけさ。
深淵:光の中に戻ると言うなら、僕はその眩しさに目を細めながら、見守っていよう。
深淵:僕の元に戻ると言うのなら、強く抱き締めてあげよう。君が孤独に悩まないように、そして僕の元から離れないように。
深淵:でも一つだけ、忘れないで欲しい。僕はいつだって、ここで君がいつ戻ってきてもいいように、待っているよ。
深淵:
私:私は……。
私:
深淵:さぁ、選んで。君は、どうしたい?
深淵:
私:私は―――――。
私:
深淵:そっか。僕はその答えを受け入れるよ。君がどこにいても、僕はずっと見守っている。
深淵:
深淵:さぁ、さよならを告げよう。君のその選択が、その意思が、揺るがないように。
深淵:
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0:【完】
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