台本概要

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タイトル 衰界地図(せかいちず)
作者名 机の上の地球儀  (@tsukuenoueno)
ジャンル ホラー
演者人数 2人用台本(不問2)
時間 10 分
台本使用規定 非商用利用時は連絡不要
説明 5分程度/秘密の部屋の番人/胸糞/鬱エンド

商用・非商用利用に問わず連絡不要。
告知画像・動画の作成もお好きにどうぞ。
(その際各画像・音源の著作権等にご注意・ご配慮ください)
ただし、有料チケット販売による公演の場合は、可能ならTwitterにご一報いただけますと嬉しいです。
台本の一部を朗読・練習する配信なども問題ございません。
兼ね役OK。1人全役演じ分けもご自由に。

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キャラ説明  

名前 性別 台詞数 説明
レニ 不問 19 図書館掃除をしていたら、突然……?
エヌ 不問 18 ノーネーム。秘密の部屋の名も無き番人。
※役をクリックするとセリフに色が付きます。

台本本編

文字サイズ
 :   :   :  エヌ:(N)それは、古い古い言い伝え。誰もが馬鹿にするような夢物語。 エヌ:古びた図書館の奥深くにある秘密の部屋。部屋は薄暗く、古代の本や地図が壁一面に並んでいる。安直にも「伝説」と呼ばれたその地図を手にした者は、「世界」を手にすることができる……そう言われている。  :  レニ:(咳き込みながら)くそ。埃だらけじゃないか。いくら誰も来ないからって掃除サボりすぎだろ。……まったく。じいちゃんたら孫に掃除丸投げして慰安旅行とは良いご身分だよな。 レニ:……それにしても酷いな。大事な本がめちゃくちゃだ。本棚も建て付けが悪いのかガタついて……いや、建て付けが悪いんじゃない。これ、横にスライドできるようになってるんだ……。裏側にも本棚があるタイプか?……よっと。 レニ:これは……扉?こんな所に扉なんて。一体どこに繋がってるんだ?  :(ドアノブを回すが開かない)  :  レニ:あー、鍵がかかってるな。……じいちゃんからは何も預かってないし。そもそもこの図書館に隠し部屋があるなんて初耳だもんな……。  :  エヌ:(声だけ)汝、誠実なる者よ。誤りの道に迷わず、虚構に惑わされず、虚偽を弄することなく、高潔な行いを秉(ひも)じ、清らかな徳行(とっこう)に耽り、深く平和を愛し、その心に光を宿す者とならんことを。清廉な精神でその光を謳い讃えんことを。  :  レニ:は?な、なんだ……!  :  エヌ:(声だけ)汝、運命に選ばれし者なり!  :  レニ:うわあ……!  :(眩い光がレニを包んだ。視界が開けるとそこは書斎のような、でも奥行きのない、どこまでも部屋が繋がっているかのような不思議な場所だった)  :  レニ:な、なんだ……ここは……? エヌ:ようこそ、レニ。若き地図師よ。どうやら君が我々の探し人のようだね。 レニ:…………! エヌ:おっと。怪しいものではないよ。どうか警戒を解いておくれ。 レニ:誰だ、あんた。 エヌ:私はノーネーム。 レニ:……名無し?得体の知れなさナンバーワンの名前だな。 エヌ:呼び名に困るかな?……そうだな、エヌとでも呼んでくれ。 エヌ:……おやおや。ちゃんと問いに答えたのに変わらず険しい表情だね。まだ私を怪しんでいるのかい? レニ:名乗らない奴を信用はできないね。 エヌ:名乗らないんじゃない。名乗れないのさ。 レニ:は? エヌ:ノーネームって言ったろ。困ったことに、私は名前が無いんだ。 エヌ:しかし、それは今はどうでもいいことさ。大事なのは、君が運命に選ばれたってこと。……だろう? レニ:運命に、選ばれた……? エヌ:私は秘密の部屋の名も無き番人。正しき者に扉を開き、地図師としての最初の試練を与えし役割を担う者。 レニ:試練……? エヌ:あぁ、試練と言っても何も難しいことはない。君はただ「選ぶ」だけでいい。 エヌ:君の目の前にいくつか地図があるだろう。その中から「世界」を選ぶんだ。たった1つ。でもどれでもいい。君の独断と偏見で、好きな「世界」を選べばいい。 エヌ:選ぶ地図によって、世界にそれぞれの変革をもたらすことができる。そして、その選択が君の運命をも大きく変えるだろう。 エヌ:まあ詳しくはその地図を見てみればわかるだろうさ。  :(レニ、目の前の地図を手に取る)  :  レニ:なんだ、この地図……帝国がない?そんな馬鹿な。世界の1/5を占める強国だぞ。 レニ:こっちは……北半球のほとんどが海に変わってる……こっちは西のほとんどが砂漠化してる……? エヌ:どれでもいいよ。どれも現時点では全て同確率で起こり得る未来の1つに過ぎないのだから。どれもあり得て、そしてどれもまだ確定していない。全てが未来に通じており、また同時に繋がっていない。 レニ:は? エヌ:君の直感に従って選ぶがいいさ。ほら、君が心から望む地図を探してご覧。さあさあどの地図を選ぶ?そこに君の運命が待っているよ。 レニ:ちょっと待ってくれ、それってつまり……、 エヌ:そうだな。この地図は帝国周辺諸国から反乱が起きて大きな戦争が起きる未来だね。君の家族や友人もたくさん徴兵される。仕事がない人は嬉しいんじゃないかな。戦争はいい金儲けになるから。でもこれ、帝国が敗戦してからも争いが続くんだよね。どんどん領地が細分化していって、最終的には消えていく。 エヌ:  エヌ:あぁ、こっちは隕石だね。突然の巨大な星からの砲撃に、人類のほとんどはなすすべなく死に絶える。でもそう悪いことじゃない。一瞬で死ねるからね。苦しみはそこにない。あと常にオーシャンビューを楽しめるね。景色は抜群だ。 エヌ:  エヌ:こっちは化学兵器。人工的に作られた毒ガスと言えばいいかな。地表の生態系や土壌が破壊され、植生の死滅や土壌の劣化が進行して世界は荒廃する。これは科学者くらいしか喜ばないかな、多分。……可能性は低いだろうけど、君って実験フリークだったりするかい? レニ:どれも世界の滅亡じゃないか! エヌ:そうだよ。もうすぐ世界は終わる。終末ってやつさ。君はそれを好きに選んでいい。 レニ:……好きに、って。こんなのどれも同じじゃないか!どれを選んでも……酷い未来が待ってる。それなのに、この中のどれか1つを……?そんなの無理だ!なんで俺(/あたし)が……! エヌ:正直者で、嘘偽りのない人間。それならきっと「最善」の選択をしてくれる。それが「運命」の下した決断だ。……君たちはそれを「神」と呼ぶかな。 レニ:神……? エヌ:レニ、運命とは理不尽なものだよ。君はもう運命の渦の中。逃げられないし、拒否権もない。……選ぶしかないのさ。 レニ:……ぁ、あぁあ……! エヌ:さあ、選ばれし者よ。 エヌ:君はどの世界を選択する? エヌ:世界は……君の手の中だよ。  :(部屋中にレニの絶叫が反響した)  :   :   : 

 :   :   :  エヌ:(N)それは、古い古い言い伝え。誰もが馬鹿にするような夢物語。 エヌ:古びた図書館の奥深くにある秘密の部屋。部屋は薄暗く、古代の本や地図が壁一面に並んでいる。安直にも「伝説」と呼ばれたその地図を手にした者は、「世界」を手にすることができる……そう言われている。  :  レニ:(咳き込みながら)くそ。埃だらけじゃないか。いくら誰も来ないからって掃除サボりすぎだろ。……まったく。じいちゃんたら孫に掃除丸投げして慰安旅行とは良いご身分だよな。 レニ:……それにしても酷いな。大事な本がめちゃくちゃだ。本棚も建て付けが悪いのかガタついて……いや、建て付けが悪いんじゃない。これ、横にスライドできるようになってるんだ……。裏側にも本棚があるタイプか?……よっと。 レニ:これは……扉?こんな所に扉なんて。一体どこに繋がってるんだ?  :(ドアノブを回すが開かない)  :  レニ:あー、鍵がかかってるな。……じいちゃんからは何も預かってないし。そもそもこの図書館に隠し部屋があるなんて初耳だもんな……。  :  エヌ:(声だけ)汝、誠実なる者よ。誤りの道に迷わず、虚構に惑わされず、虚偽を弄することなく、高潔な行いを秉(ひも)じ、清らかな徳行(とっこう)に耽り、深く平和を愛し、その心に光を宿す者とならんことを。清廉な精神でその光を謳い讃えんことを。  :  レニ:は?な、なんだ……!  :  エヌ:(声だけ)汝、運命に選ばれし者なり!  :  レニ:うわあ……!  :(眩い光がレニを包んだ。視界が開けるとそこは書斎のような、でも奥行きのない、どこまでも部屋が繋がっているかのような不思議な場所だった)  :  レニ:な、なんだ……ここは……? エヌ:ようこそ、レニ。若き地図師よ。どうやら君が我々の探し人のようだね。 レニ:…………! エヌ:おっと。怪しいものではないよ。どうか警戒を解いておくれ。 レニ:誰だ、あんた。 エヌ:私はノーネーム。 レニ:……名無し?得体の知れなさナンバーワンの名前だな。 エヌ:呼び名に困るかな?……そうだな、エヌとでも呼んでくれ。 エヌ:……おやおや。ちゃんと問いに答えたのに変わらず険しい表情だね。まだ私を怪しんでいるのかい? レニ:名乗らない奴を信用はできないね。 エヌ:名乗らないんじゃない。名乗れないのさ。 レニ:は? エヌ:ノーネームって言ったろ。困ったことに、私は名前が無いんだ。 エヌ:しかし、それは今はどうでもいいことさ。大事なのは、君が運命に選ばれたってこと。……だろう? レニ:運命に、選ばれた……? エヌ:私は秘密の部屋の名も無き番人。正しき者に扉を開き、地図師としての最初の試練を与えし役割を担う者。 レニ:試練……? エヌ:あぁ、試練と言っても何も難しいことはない。君はただ「選ぶ」だけでいい。 エヌ:君の目の前にいくつか地図があるだろう。その中から「世界」を選ぶんだ。たった1つ。でもどれでもいい。君の独断と偏見で、好きな「世界」を選べばいい。 エヌ:選ぶ地図によって、世界にそれぞれの変革をもたらすことができる。そして、その選択が君の運命をも大きく変えるだろう。 エヌ:まあ詳しくはその地図を見てみればわかるだろうさ。  :(レニ、目の前の地図を手に取る)  :  レニ:なんだ、この地図……帝国がない?そんな馬鹿な。世界の1/5を占める強国だぞ。 レニ:こっちは……北半球のほとんどが海に変わってる……こっちは西のほとんどが砂漠化してる……? エヌ:どれでもいいよ。どれも現時点では全て同確率で起こり得る未来の1つに過ぎないのだから。どれもあり得て、そしてどれもまだ確定していない。全てが未来に通じており、また同時に繋がっていない。 レニ:は? エヌ:君の直感に従って選ぶがいいさ。ほら、君が心から望む地図を探してご覧。さあさあどの地図を選ぶ?そこに君の運命が待っているよ。 レニ:ちょっと待ってくれ、それってつまり……、 エヌ:そうだな。この地図は帝国周辺諸国から反乱が起きて大きな戦争が起きる未来だね。君の家族や友人もたくさん徴兵される。仕事がない人は嬉しいんじゃないかな。戦争はいい金儲けになるから。でもこれ、帝国が敗戦してからも争いが続くんだよね。どんどん領地が細分化していって、最終的には消えていく。 エヌ:  エヌ:あぁ、こっちは隕石だね。突然の巨大な星からの砲撃に、人類のほとんどはなすすべなく死に絶える。でもそう悪いことじゃない。一瞬で死ねるからね。苦しみはそこにない。あと常にオーシャンビューを楽しめるね。景色は抜群だ。 エヌ:  エヌ:こっちは化学兵器。人工的に作られた毒ガスと言えばいいかな。地表の生態系や土壌が破壊され、植生の死滅や土壌の劣化が進行して世界は荒廃する。これは科学者くらいしか喜ばないかな、多分。……可能性は低いだろうけど、君って実験フリークだったりするかい? レニ:どれも世界の滅亡じゃないか! エヌ:そうだよ。もうすぐ世界は終わる。終末ってやつさ。君はそれを好きに選んでいい。 レニ:……好きに、って。こんなのどれも同じじゃないか!どれを選んでも……酷い未来が待ってる。それなのに、この中のどれか1つを……?そんなの無理だ!なんで俺(/あたし)が……! エヌ:正直者で、嘘偽りのない人間。それならきっと「最善」の選択をしてくれる。それが「運命」の下した決断だ。……君たちはそれを「神」と呼ぶかな。 レニ:神……? エヌ:レニ、運命とは理不尽なものだよ。君はもう運命の渦の中。逃げられないし、拒否権もない。……選ぶしかないのさ。 レニ:……ぁ、あぁあ……! エヌ:さあ、選ばれし者よ。 エヌ:君はどの世界を選択する? エヌ:世界は……君の手の中だよ。  :(部屋中にレニの絶叫が反響した)  :   :   :